問1
二次関数 のグラフと 軸の共有点の個数を求めなさい。
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目次 / 二次関数 / 数学I
—— 判別式 D で、解かずに共有点の個数を見抜く ——
第5章では、二次方程式を解いてグラフと $x$ 軸の交点を求めました。この章では、方程式を**解かずに**「交点がいくつあるか」を見抜く道具、判別式 $D = b^2 - 4ac$ を導入します。$D$ の符号は頂点が $x$ 軸の上にあるか下にあるかを表していて、$D > 0$ なら 2 点で交わり、$D = 0$ なら接し、$D < 0$ なら共有点がありません。共有点の個数から定数の範囲を決める問題、放物線が $x$ 軸から切り取る線分の長さ、方程式 $f(x) = k$ の解の個数、放物線と直線が接する条件まで進みます。判別式は数と式 第11章でも学びましたが、ここではグラフの見方と結びつけて扱い直します。
第5章では、グラフと 軸の交点を求めるために二次方程式を解きました。ところが問題によっては、交点の座標までは要らず、「交わるのか」「いくつ交わるのか」だけを知りたい場面がよくあります。係数に文字が入っていると、毎回解くのは大変です。
第5章の「第6章へ」で見たように、解の個数は解の公式の の中身 の符号で決まっていました。この章では、この式に名前を付けて、グラフの言葉に読みかえます。
二次関数 に対し、 を判別式という。グラフと 軸の位置関係は、 の符号で次のように決まる。
| の符号 | の実数解 | グラフと 軸 | 共有点の個数 |
|---|---|---|---|
| 異なる 2 つの実数解 | 異なる 2 点で交わる | 2 個 | |
| 重解 | 1 点で接する | 1 個 | |
| 実数解はない | 共有点をもたない | 0 個 |
とくに、共有点をもつ条件は である。 のときは、 の符号を調べてもよい。
判別式(はんべつしき)は、英語の discriminant(見分けるもの)の頭文字をとって と書きます。数と式 第11章では「虚数解か実数解か」を見分ける道具として登場しましたが、この分野では実数解だけを扱うので、「交わる・接する・離れている」を見分ける道具になります。 軸と共有点が 1 つだけで、そこでグラフが 軸をまたがないとき、グラフは 軸に接するといい、その点を接点といいます。
の符号がグラフの形と結びつく理由は、頂点の 座標にあります。第2章で平方完成したとおり
なので、頂点の 座標は です。(下に凸)のとき、 なら頂点は 軸より下にあり、グラフは上に向かって開いているので、 軸を 2 回横切ります。 なら頂点がちょうど 軸の上、 なら頂点が 軸より上にあって、グラフ全体が 軸から浮いています。 のときは、上下を逆にして同じことが言えます。
地下区間と高架区間をもつ鉄道の線路を思い浮かべてください。線路のいちばん低いところが地面より深ければ、線路は地下にもぐって、また地上に出てきます。地下への出入口は 2 か所です。いちばん低いところがちょうど地面の高さなら、線路は地面に 1 か所で触れるだけ。地面より高ければ、全部が高架で出入口はありません。出入口の数を知るのに、出入口の位置まで調べる必要はありません。「いちばん低いところの高さ」の符号さえ分かれば足ります。判別式は、その高さを表す信号です。
判別式 の符号は頂点が 軸のどちら側にあるかを表していて、正なら 2 点で交わり、 なら接し、負なら共有点がないということです。
次の二次関数のグラフと 軸の共有点の個数を求めなさい。
(1)
(2)
(3)
【解答】
(1) なので、
(2) の係数が偶数なので として
グラフは 軸に接していて、共有点は です。実際、 なので、接点は頂点 です。
(3) として
なので、。平方完成すると で、頂点 が 軸より上にあり、下に凸なので 軸に届きません。
(2) のように のときは、 の符号に気をつけます。 を引くので、 です。
二次関数 のグラフと 軸について
なら、 と書ける。
長さの式は、第5章の「第6章へ」で導いたものです。解の公式の 2 つの解 の差をとると、 が消えて が残ります。長さは正なので、 に絶対値を付けます。第4章の実践問題 j19 では、同じ長さを平方完成から求めました。
のとき接点が頂点になるのは、公式1 で見たとおり、頂点の 座標 が になるからです。重解 は、軸の位置そのものです。
山型食パンの、ふくらんだ山の部分を思い浮かべてください。山のてっぺんから同じ深さのところで水平に切っても、とがった山なら切り口は狭く、なだらかな山なら広くなります。そして、切る位置をてっぺんに近づけるほど切り口は狭くなり、ちょうどてっぺんでは幅が になります。 の分子の が「てっぺんからの深さ」、分母の が「山のとがり具合」にあたります。 で長さが になるのが、接する場合です。
共有点の座標は方程式を解いて求め、接点は頂点、 軸から切り取る線分の長さは で、解かなくても分かるということです。
(1) 二次関数 のグラフと 軸の共有点の座標を求めなさい。また、グラフが 軸から切り取る線分の長さを求めなさい。
(2) 二次関数 のグラフは 軸に接することを示し、接点の座標を求めなさい。
(3) 二次関数 のグラフが 軸から切り取る線分の長さを求めなさい。
【解答】
(1) を解くと、 として 。共有点の座標は
線分の長さは 2 つの 座標の差で、 です。公式で確かめると、 なので となり、一致します。
(2) として
なので、グラフは 軸に接します。接点の 座標は です。
実際、 です。
(3) なので、グラフは 軸と 2 点で交わります。線分の長さは
(3) は、解 を求めてから差をとっても同じ結果になります。長さだけが聞かれているなら、公式を使うほうが速く済みます。
係数に文字が入っていても、 を計算すればその文字の式になります。共有点の条件を の条件に言いかえれば、文字の値や範囲が決まります。
二次関数 のグラフについて
| 条件 | 判別式などで書くと |
|---|---|
| 軸と異なる 2 点で交わる | |
| 軸に接する | |
| 軸と共有点をもつ | |
| 軸と共有点をもたない | |
| グラフ全体が 軸より上(すべての で ) | かつ |
| グラフ全体が 軸より下(すべての で ) | かつ |
「二次関数」と断っていない では、 のとき直線(一次関数か定数関数)になるので、その場合を別に調べる。
表の下の 2 行は、 だけでは足りません。 はグラフが 軸から浮いていることしか言っていないので、上に浮いているのか下に浮いているのかは、 の符号(凸の向き)で決まります。
を文字の式として見ると、文字の値を動かすにつれて、2 つの交点が近づいたり離れたりします。両開きの自動ドアが閉まるとき、左右の扉の端はだんだん近づいて、最後に真ん中の 1 か所でぴたりと合わさります。 から が小さくなっていくと、2 つの交点がちょうどこのように近づき、 で 1 点に重なります。これが「接する」です。さらに に進むと、交点は消えます。つまり は、「交わる」と「離れる」の境目です。
なお、この章では が文字の一次式になる問題(または を解けばよい問題)だけを扱います。 が文字の二次式で、 のような不等式を解く必要がある問題は、第7章で二次不等式を学んでから扱います。
共有点の条件を判別式の等式・不等式に言いかえれば文字の値が決まり、「グラフ全体が 軸より上」は と の両方が要るということです。
(1) を定数とします。二次関数 のグラフと 軸の共有点の個数を、 の値によって分類しなさい。
(2) 二次関数 のグラフが 軸に接するように、定数 の値を定め、そのときの接点の座標を求めなさい。
(3) 二次関数 のグラフが 軸より常に上にあるような、定数 の値の範囲を求めなさい。
【解答】
(1) として
なので、次のように分類できます。
(2) 二次関数なので です。 として
接する条件は なので、 より 。どちらも を満たします。
(3) の係数は なので、グラフは下に凸です。あとは 軸と共有点をもたなければよいので、 として
より です。
(2) で は の二次式ですが、「」なら第5章の方法で解けます。「」となる の範囲は、第7章で求められるようになります。
第1章の公式5で、「方程式 の実数解は、グラフ と直線 の共有点の 座標」だと学びました。判別式と組み合わせると、解の個数をグラフで数えられます。
方程式 の実数解の個数は、グラフ と直線 の共有点の個数に等しい。
, のとき、 を下から動かすと
| の値 | |||
|---|---|---|---|
| 実数解の個数 | 0 個 | 1 個() | 2 個 |
( のときは、 で 0 個、 で 2 個。)
定義域があるときは、定義域の部分だけのグラフをかいて、直線 を上下に動かして数える。端点を含むかどうか(●と○)に注意する。
の判別式を調べても同じ結果になりますが、グラフを使うほうが、定義域があるときや、あとで学ぶもっと複雑な関数のときにも通用します。定数 を右辺に分離しておくのがこつです。すると のグラフは と関係なく固定され、動くのは水平な直線 だけになります。
走り高跳びを思い浮かべてください。選手の体の通り道は上に凸の放物線です。バーが通り道のいちばん高いところより低ければ、体はバーの高さを 2 回通ります(上がるときと下りるとき)。バーがちょうど最高点の高さなら、1 回かすめるだけ。最高点より高ければ、一度もその高さに届きません。上に凸なので、「バーが低いほど 2 回」になるのが、表の の場合です。
の解の個数は、固定したグラフ に水平な直線 を当てて、共有点を数えればよいということです。
を定数とします。
(1) 方程式 の実数解の個数を、 の値によって分類しなさい。
(2) 方程式 の の範囲にある解の個数を、 の値によって分類しなさい。
【解答】
(1) のグラフは、頂点 の下に凸の放物線です。直線 との共有点の個数を数えて
判別式でも確かめられます。 で なので、 で です。
(2) を分離して とし、 のグラフと直線 の共有点を数えます。
頂点は 、左端は 、右端は で、両端とも含みます。
直線 を下から上へ動かすと
境目の と は、実際に解いて確かめます。 なら で がどちらも範囲内、 なら で範囲内は だけです。
軸は、直線 のことでした。相手が一般の直線 になっても、考え方は変わりません。
放物線 と直線 の共有点の 座標は、 を消去した二次方程式
の実数解である。この方程式の判別式を とすると
ただし、 軸に平行な直線 は、放物線とつねに 1 点で交わるが、接線ではない。
を消去した式は「放物線の − 直線の 」と同じです。つまり、2 つのグラフの高さの差が になる を探していることになります。
リレーで 2 チームの走者が並んで走っている場面を考えます。「どこで並んだか」を知りたいとき、2 人の位置をそれぞれ追うより、「A チームが何 m リードしているか」という差だけを見て、差が になる瞬間を探すほうが簡単です。差が一度 になって符号が変わるなら抜いた、 になった瞬間にまた広がっていくなら、並びかけて抜ききれなかった——これが「接する」です。放物線と直線でも、差の二次関数 と 軸の関係を調べれば、公式1 がそのまま使えます。
最後の注意の直線 は、 を消去できない(式に しか残らない)ので、判別式の話に乗りません。放物線を縦に貫いて通り過ぎるだけなので、共有点が 1 つでも「接する」とは言いません(厳密定義のページで扱います)。
放物線と直線は、 を消去した二次方程式(高さの差が になる式)の判別式で、交わる・接する・離れるが分かり、接するときは重解が接点の 座標になるということです。
(1) を定数とします。放物線 と直線 の共有点の個数を の値によって分類しなさい。また、接するときの接点の座標を求めなさい。
(2) 点 を通り、放物線 に接する直線の方程式と、そのときの接点の座標を求めなさい。
【解答】
(1) を消去して 、すなわち 。 として
のとき、方程式は で、重解 。 なので です。
(2) 点 を通る直線のうち、 は 軸に平行で接線になりません。そこで傾きを として、直線を とおきます。 を消去して
接する条件は です。
より 。接点の 座標は重解 です。
確かめると、、 で、どちらも重解になっています。放物線の外の点からは、接線が 2 本引けます。
この章では、グラフが 軸と交わるか、どこで交わるかを調べました。 のグラフは、 軸と で交わり、その間 では 軸より下にあります。これを式で書くと
という二次不等式の答えになります。第7章では、このように「グラフが 軸より上か下か」を読むことで二次不等式を解きます。例題3 で後回しにした「 となる の範囲」も、そこで求められるようになります。公式3 の「グラフ全体が 軸より上」は、「すべての で が成り立つ」という不等式の条件として、第7章でもう一度登場します。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
二次関数 のグラフと 軸の共有点の個数を求めなさい。
()
問2
二次関数 のグラフと 軸の共有点の個数を求めなさい。
( で接する。接点は )
問3
二次関数 のグラフと 軸の共有点の個数を求めなさい。
()
問4
二次関数 のグラフが 軸に接するように、定数 の値を定めなさい。
()
問5
放物線 と直線 の共有点の個数を求めなさい。
( で 。点 で接する)
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
(1)
(2)
(3)
上の (1)〜(3) の二次関数のグラフと 軸の共有点の個数を、それぞれ求めなさい。
(1) 個 (2) 個 (3) 個
判別式の符号を調べます(公式1)。
(1) なので 。
(2) として
なので (接する)。 で、接点は です。
(3) なので 。
(2) は なので、 の符号に注意します。
問2 ★
(1)
(2)
上の (1),(2) の二次関数のグラフと 軸の共有点の座標を、それぞれ求めなさい。
(1) , (2) (接点)
共有点の 座標は、 とおいた二次方程式の実数解です(公式2)。
(1) を として解くと
(2) として なので、グラフは 軸に接します。接点の 座標は
実際、 です。
問3 ★
(1)
(2)
(3)
上の (1)〜(3) の二次関数のグラフが 軸から切り取る線分の長さを、それぞれ求めなさい。
(1) (2) (3)
長さは 、 なら です(公式2)。
(1) なので、長さは 。 解は で、差は確かに です。
(2) なので、長さは
解は より で、差は です。
(3) なので、長さは 。
(2) のように のときも、分母は絶対値 にします。
問4 ★
を定数とします。二次関数 のグラフと 軸の共有点の個数を、 の値によって場合分けして求めなさい。
のとき 個, のとき 個, のとき 個
として
,, なので
グラフで見ると、 の頂点 が、 なら 軸より下、 なら上にあります。
問5 ★
二次関数 のグラフが 軸に接するように、定数 の値を定め、そのときの接点の座標を求めなさい。
のとき接点 , のとき接点
として
接する条件は なので、 です。接点の 座標は です。
は の二次式ですが、「」なので第5章の方法で解けます。
問6 ★
放物線 と直線 の共有点の個数と、共有点の座標を求めなさい。
個(接する),共有点
を消去します(公式5)。
なので、放物線と直線は接していて、共有点は 個です。
より (重解)。 なので
放物線の式に入れても で一致します。直線 は、点 における放物線の接線です。
問7 ★
を定数とし、二次関数 を考えます。
(1) グラフが 軸と共有点をもつ
(2) グラフ全体が 軸より下にある
上の (1),(2) の条件を満たす の値の範囲を、それぞれ求めなさい。
(1) (2)
として
(1) 共有点をもつ条件は なので、 より 。
(2) の係数が なので、グラフは上に凸です。全体が 軸より下にある条件は、共有点をもたないこと、すなわち です(公式3)。 より 。
上に凸のグラフは、 軸から浮くとすれば必ず下側に浮くので、(2) はちょうど (1) の否定になっています。平方完成すると で、頂点の 座標 が負になる条件と同じです。
問8 ★
二次関数 のグラフについて、次の (1)〜(4) の場合を考えます。
(1) で、頂点が
(2) で、頂点が
(3) で、頂点が
(4) で、頂点が
上の (1)〜(4) のそれぞれについて、判別式 の符号を求めなさい。
(1) (2) (3) (4)
軸との共有点の個数を、グラフの形から読みとります。
(1) 下に凸で頂点が 軸より上 → 共有点なし →
(2) 上に凸で頂点が 軸より上 → 軸と 2 点で交わる →
(3) 頂点が 軸上 → 接する →
(4) 上に凸で頂点が 軸より下 → 共有点なし →
式で確かめることもできます。頂点の 座標は なので、 です。たとえば (2) は で、 なので です。(4) は です。 「頂点が 軸より上だから 」と覚えると、(2) で間違えます。凸の向きと組み合わせて判断します。
問9 ★★
を定数とします。関数 のグラフと 軸の共有点の個数を、 の値によって場合分けして求めなさい。
, のとき 個;, のとき 個; のとき 個
「二次関数」と書かれていないので、 の係数が になる場合を先に調べます(公式3)。
のとき は傾き の直線で、 軸と点 の 1 点で交わります。共有点は 個です。
のとき 二次関数なので判別式を使います。 として
(ただし )で 個、 で 個、 で 個です。
まとめると
の直線は 軸と交わっている(接してはいない)ので、共有点の数は 個でも の場合とは様子が違います。
問10 ★★
条件を満たす がないときは「ない」と答えることにします。 を定数とし、関数 を考えます。
(1) すべての実数 で となる
(2) すべての実数 で となる
上の (1),(2) の条件を満たす の値の範囲を、それぞれ求めなさい。
(1) (2) ない
のとき は直線で、 が大きければ正、小さければ負になります。(1),(2) のどちらも満たしません。
のとき として
(1) グラフ全体が 軸より上にある条件は、 かつ です(公式3)。 より で、これは も満たします。
(2) グラフ全体が 軸より下にある条件は、 かつ 、すなわち かつ です。これを満たす はありません。
のとき となり、上に凸のグラフが必ず 軸をまたいでしまいます。定数項 が正なので、グラフは点 を通り、 軸より下に収まりようがないのです。
問11 ★★
二次関数 のグラフが 軸から切り取る線分の長さが となるように、定数 の値を定めなさい。
判別式は
線分ができるには 、すなわち が必要です。このとき線分の長さは
( に注意します。) より なので
どちらも を満たします。
確かめ: なら で長さ 、 なら で長さ です。
実は と因数分解でき、 軸との交点は と です。長さは となり、同じ結果になります。
問12 ★★
を定数とします。二次関数 のグラフは、 の値にかかわらず 軸と共有点をもつことを示しなさい。また、グラフが 軸に接するときの の値と、接点の座標を求めなさい。
より示される。接するのは のときで、接点
判別式を計算します。
実数の 2 乗は 以上なので、どんな でも です。よって、グラフは の値にかかわらず 軸と共有点をもちます。(証明終)
接する条件は 、すなわち より 。このとき なので、接点は です。
別の見方: と因数分解できるので、グラフは によらず点 を通ります。もう 1 つの交点 が に重なるときが接する場合です。 が「文字の式の 2 乗」になったら、このような因数分解が隠れていることが多いです。
問13 ★★
を定数とします。放物線 と直線 の共有点の個数を、 の値によって場合分けして求めなさい。また、接するときの接点の座標を求めなさい。
のとき 個, のとき 個, のとき 個;接点
を消去すると
として
のとき、方程式は で、重解 。 なので
放物線の式でも です。直線 は傾き のまま上下に動くので、 が大きいほど放物線の内側に入りこみ、2 点で交わります。
問14 ★★
点 を通り、放物線 に接する直線の方程式と、そのときの接点の座標をすべて求めなさい。
(接点 ),(接点 )
点 を通る直線のうち、( 軸)は放物線と 1 点で交わるだけで接線ではありません。そこで傾きを として とおきます。 を消去して
接する条件は です。
接点の 座標は重解 です。
は、放物線 の頂点を通る水平な直線です。放物線の頂点での接線は、いつも 軸に平行になります。
問15 ★★
を定数とします。方程式 の の範囲にある解の個数を、 の値によって場合分けして求めなさい。
, のとき 個;, のとき 個; のとき 個
を分離して とし、 のグラフと直線 の共有点を数えます(公式4)。
頂点は 、左端は 、右端は で、両端とも含みます。軸 から見て左側の部分は高さ まで、右側の部分は高さ まであります。
直線 を下から動かすと
境目の確かめ: なら で (どちらも範囲内で 2 個)、 なら で (範囲内は だけで 1 個)です。
問16 ★★
を定数とし、放物線 と直線 を考えます。
(1) 放物線と直線が異なる 2 点で交わるような の値の範囲を求めなさい。
(2) 2 つの共有点を結ぶ線分の長さが となるように、 の値を定めなさい。
(1) (2)
を消去して 。判別式は
(1) より なので 。
(2) 2 つの共有点の 座標を とすると、その差は公式2 と同じ計算で です。 2 点はどちらも直線 上にあり、傾きが なので、 座標の差も です。三平方の定理より、線分の長さは
これが なので、 より 、。(1) の範囲に入っています。
確かめ: なら で、共有点は ,。距離は です。
軸から切り取る線分と違い、斜めの直線では「 座標の差」がそのまま長さにはなりません。傾き の直線なら、長さは 座標の差の 倍です。
問17 ★★★
を定数とします。方程式 の実数解の個数を、 の値によって場合分けして求めなさい。
のとき 個, のとき 個, のとき 個, のとき 個, のとき 個
のグラフと直線 の共有点を数えます(公式4)。
なので、 のグラフは頂点 で、 軸と で交わります。絶対値をとると、 軸より下にある の部分が 軸に関して折り返され、そこは頂点 の上に凸の山になります(第1章 公式5 と同じ考え方)。
グラフは、両側の「下に凸の腕」(,、高さ から上へどこまでも)と、真ん中の「山」(高さ から まで)でできています。直線 を動かすと
を計算で確かめます。 から (, で腕の上)、 から で 。合わせて 個です。
問18 ★★★
2 つの放物線 , の両方に接する直線の方程式を求めなさい。また、それぞれの放物線との接点の座標を求めなさい。
直線 ;接点は と , と
軸に平行な直線はどちらの放物線にも接しないので、求める直線を とおきます。
に接する条件 が重解をもつので
に接する条件 が重解をもつので
をつくって と を消すと
に入れて より 。直線は です。
接点は重解から求めます。
2 つ目の放物線は で、 を 軸方向に , 軸方向に 平行移動したものです。同じ形の放物線どうしなので、2 つの判別式の がそろって消え、共通接線が 1 本に決まりました。
問19 ★★★
を定数とし、2 つの放物線 , を考えます。
(1) 2 つの放物線の共有点の個数を、 の値によって場合分けして求めなさい。
(2) 共有点がちょうど 1 個になるときの、その共有点の座標を求めなさい。また、その点を通り、2 つの放物線の両方に接する直線の方程式を求めなさい。
(1) のとき 個, のとき 個, のとき 個 (2) 共有点 ,直線
(1) を消去すると
共有点の 座標はこの二次方程式の実数解で、 が決まれば も 1 つに決まるので、共有点の個数は実数解の個数と同じです。 として
(2) のとき、方程式は で、。 なので、共有点は です。
この点を通る直線( 軸に平行なものは接線にならない)を とおき、 に接する条件を調べます。
より 。直線は 、すなわち です。
もう一方の放物線にも接しているかを確かめます。 として
で重解になるので、同じ点で接しています。
2 つの放物線は、この直線をはさんで上と下から同じ点で触れ合っています。 を消去した方程式が重解をもつことが、「放物線どうしが接する」ことの目印になっています。
問20 ★★★
を定数とし、二次関数 を考えます。
(1) グラフが 軸に接するように の値を定め、そのときの接点の座標を求めなさい。
(2) グラフが 軸と異なる 2 点で交わるとき、グラフが 軸から切り取る線分の長さの最大値と、そのときの の値を求めなさい。
(1) のとき接点 , のとき接点 (2) のとき最大値
として
(1) より 、。平方完成すると なので、接点(頂点)の 座標は です。
(2) 異なる 2 点で交わるのは のときで、このとき切り取る線分の長さ は
なので で、。等号は のときで、このとき なので、確かに 2 点で交わる場合に入っています。
なら で、線分は の長さ です。
頂点 の 座標は そのものです。形( の係数 )が変わらないので、頂点が 軸から深いほど切り取る線分は長く、いちばん深くなる で最長になります。
「 軸に接する」とは、方程式が重解をもつこと——この章の中心になる考え方を、接線を引く方法として初めて大きく使ったのが、フランスの哲学者・数学者ルネ・デカルト(1596〜1650)です。1637 年の『方法序説』に付けた論文『幾何学』の中で、デカルトは曲線の法線(接点を通り、接線に垂直な直線)を求める方法を示しました。
アイデアはこうです。曲線上の点 P を通る円を、中心を決まった直線(たとえば軸)の上に置いて描きます。ふつうの円は、P の近くで曲線ともう 1 回交わります。中心を少しずつずらしていくと、その 2 つの交点が近づき、ある位置で重なります。そのとき円は曲線に接していて、円の中心と P を結ぶ線が法線になる、というわけです。「2 つの交点が重なる」は、式の上では「重解をもつ」です。
放物線 の点 でやってみます(※デカルト自身の記号や手順とは違い、現代風に書き直しています)。中心を 軸上の にとると、点 を通る円は
です。放物線の を代入して整理すると
となり、解は と です。この 2 つが重なる、つまり となるのは のとき。法線は と を結ぶ傾き の直線なので、それに垂直な接線の傾きは 、接線は です。基礎確認 k05 で「放物線 と直線 は接する」と確かめた、あの直線です。
デカルトはこの方法について、「幾何学で自分が知っているうちで最も有用で一般的な問題であり、ずっと知りたいと願ってきた問題でもある」という意味のことを書いています(※訳によって言い回しは違います)。
豆知識
同じころ、フランスのピエール・ド・フェルマーは別の方法で接線や極値を求めていて、どちらの方法が優れているかをめぐり、2 人は知人を通じた手紙で激しく言い争いました(1637〜1638 年ごろ ※経緯には諸説あり)。デカルトの方法は、曲線が複雑になると計算がとても重くなります。数十年後に微分が生まれると、接線の傾きは 1 行の計算で求められるようになりました。微分積分の分野で、 の での傾きが になることを、もう一度確かめられます。
映画やゲームの 3DCG には、レイトレーシング(光線追跡)という描き方があります。カメラから画面の 1 画素ごとに光線(レイ)を飛ばし、その光線がどの物体に最初に当たるかを調べて、その点の色を決める方法です。フルハイビジョンの画面なら、1 枚につき約 207 万本の光線を飛ばします。
このとき、「光線が球に当たるか」を決めているのが、判別式です。平面で様子を見てみましょう。カメラを原点に置き、中心 ,半径 の円(ボールの断面)に向けて、直線 の光線を飛ばします。円の式 に を代入すると
空間の球でも、光線上の点を「出発点+ × 向き」と表して球の式に入れると、 の二次方程式になり、まったく同じ判定ができます。実際のプログラムでは、まず判別式だけを計算して、負なら平方根の計算を省いて次の物体へ進みます。平方根は、足し算やかけ算に比べて時間のかかる計算だからです。 の形の公式を使って、無駄な 2 倍や 4 倍を省く書き方もよく見かけます(※実装によって違います)。
豆知識
鏡や窓ガラスで反射・屈折した光線をさらに追いかける方法は、1980 年にターナー・ウィッテッドが発表した論文で広まりました(※先行研究あり)。長いあいだ、映画用の CG で 1 コマに何時間もかけて使う技術でしたが、2018 年ごろから、ゲーム機やパソコンのグラフィックス用の部品で、1 秒間に何十枚もの画面を計算できるようになりました(※製品による)。画面の 1 点 1 点で、判別式が「当たる・かすめる・外れる」を見分けています。
「判別式」の英語 discriminant は、イギリスの数学者ジェームズ・ジョセフ・シルベスター(1814〜1897)が 1851 年の論文で使い始めた言葉だとされています(※)。シルベスターは新しい言葉を作るのが好きな人で、今では当たり前の「行列」を意味する matrix(1850 年 ※)も彼の命名です。自分のことを、動物に名前を付けたアダムになぞらえて「数学のアダム」と呼んだという話も伝わっています(※出典の解釈には諸説あり)。整数の性質の分野の厳密定義にも、彼の名前の付いた定理が出てきます。
では、 は、そもそも何を測っている量なのでしょうか。二次方程式 の 2 つの解を , とすると、数と式 第11章の解と係数の関係から
つまり
です。判別式の正体は、2 つの解の距離の 2 乗(に を掛けたもの)だったのです。こう見ると、この章の結果がすべて一度に説明できます。
豆知識
3 次方程式にも判別式があり、3 つの解 ,, を使うと、 と、やはり「解どうしの差の 2 乗」の積で表されます( は の係数)。どれか 2 つの解が重なれば になる、という性質は二次のときと同じです。微分積分の分野の小話にも、3 次方程式の解の個数を決める式として登場しています。
※ここは発展ページです。高校の範囲では、公式1〜5の手順が使えれば十分です。「接する」とは正確には何か、 軸に平行な直線を接線と呼ばないのはなぜか、接線が放物線を横切らないのはなぜか、値域を判別式で求めてよいのはなぜか——が気になる人のために、根拠を示します。
以下、 とし、放物線 を と書きます。
軸に平行でない直線 について、 と の両方に属する点を共有点という。
とおく。方程式 が異なる 2 つの実数解をもつとき、 と は 2 点で交わるという。 が重解 をもつとき、 は に点 で接するといい、 を接線、この点を接点という。
軸は、 の場合である。
「接する」を「共有点がただ 1 つ」と定義しなかったのには理由があります。 軸に平行な直線 は、 とつねに点 のただ 1 点で交わります。けれども、この直線は放物線を縦に突き抜けていて、「触れる」という感じとはほど遠いものです。そこで、 軸に平行な直線はあらかじめ除き、残りの直線について「重解」で接することを定めました。後の定理1で見るとおり、 軸に平行でない直線に限れば、「共有点がただ 1 つ」と「接する」は同じことになります。
定義1の について、 の判別式を とする。 と の共有点の個数は
である。とくに、 と の共有点がただ 1 つであることと、 が に接することは同値である。
証明 点 が共有点であるための条件は
である。したがって、 の実数解 と共有点 は、1 つずつ過不足なく対応する( が違えば点も違う)。共有点の個数は の実数解の個数に等しい。
の の係数は なので、 は二次方程式であり、第5章 teigi 定理3より、実数解の個数は の符号に応じて 2,1,0 個である。
後半:共有点がただ 1 つ が重解をもつ 接する。(証明終)
証明のかぎは、「 を決めれば、直線上の点がただ 1 つに決まる」ことでした。 軸に平行な直線ではこれが崩れる( が 1 つの値しかとらない)ので、この議論に乗りません。
とすると
であり、 の頂点の 座標は である。さらに のとき
(i) すべての実数 で
(ii) すべての実数 で
証明 前半は第2章 公式2 の平方完成である。
のとき、 より、すべての で であり、等号は で成り立つ。よって の最小値は である。
(i) すべての で 最小値 ( を使った)。
(ii) 同様に、最小値 。(証明終)
「すべての で成り立つ」という条件は、「最小値について成り立つ」ことに言いかえられます。いちばん低いところが より上なら、ほかの場所も当然 より上だからです。 のときは、 にこの定理を使えば、公式3 の表の最後の行が得られます。第7章では、(i),(ii) を不等式の言葉で使います。
定義1の が に点 で接するとき、次が成り立つ。
(i) すべての実数 で
(ii) なら、 は接点を除いて より上にある( なら下にある)。
(iii) 点 で に接する直線はただ 1 本であり、その傾きは である。
証明 (i) は の係数が で、判別式が である。平方完成すると
であり、重解は なので、 である。
(ii) なら なので、 のとき 、すなわち である。
(iii) (i) より
が、すべての で成り立つ。第4章 teigi 定理1(係数比較)より , であり、, は だけで決まる。(証明終)
(ii) は、接線が放物線を横切らないことを言っています。一方、 軸に平行な直線 の左右には、どちらにも放物線の点があります。定義1で縦の直線を除いたことは、この性質から見ても自然です。
(iii) の傾き を例で確かめましょう。(,)の では 、 では で、例題5(2) の 2 本の接線の傾きと一致します。実践問題 j06 の の では で、直線 の傾きと一致します。微分積分の分野では、この値を「 の における微分係数」として、もっと一般の曲線で求めます。
定義1で とし、2 つの共有点の 座標を とすると
であり、2 つの共有点を結ぶ線分の長さは である。とくに が 軸のとき、 が 軸から切り取る線分の長さは である。
証明 の解は で、その差の絶対値は である。
2 つの共有点は , なので、三平方の定理より距離は
である。(証明終)
実践問題 j16 は の場合で、 倍が現れました。
関数 の定義域を とする。実数 について
さらに、 の の中の解の個数は、グラフ と直線 の共有点の個数に等しい。
証明 値域は なので、 が値域に属することは、 となる が存在することと同じである。
後半:点 がグラフと直線 の共有点であることは、,, が同時に成り立つこと、すなわち が の の中の解で、 であることと同値である。解 と共有点 は 1 つずつ対応する。(証明終)
この定理を使うと、値域を「答えの側」から求められます。たとえば (定義域は実数全体)では
なので、値域は 、最小値は です。平方完成 から求めた結果と一致します。第3章の小話3で、 の値域を判別式で求めたのは、まさにこの定理の使い方でした。ただしあの計算では、 の値によって の係数が になる場合があり、公式3 の注意(係数が なら別に調べる)が必要になります。
後半は、第1章 公式5 と、この章の公式4 の根拠です。 を分離してグラフを固定する方法は、定義域 が実数全体でなくてもそのまま使えます。
この章の学習が終わったら
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