目次 / 場合の数と確率 / 数学A

第7章 独立な試行と反復試行

—— 影響し合わない試行は確率をかけ、同じ試行のくり返しは「何回目に起こるか」の並べ方を数える ——

第6章では「または」の確率を足し算で求めました。この章では「かつ」の確率を扱います。硬貨とさいころのように、結果が互いに影響しない試行を独立な試行といい、それらの結果が同時に起こる確率は、それぞれの確率をかければ求まります。かけ算と足し算の組み合わせ方を整理したあと、同じ試行を何回もくり返す反復試行で「ちょうど $k$ 回起こる」確率の公式を導きます。最後に、優勝決定や数直線上を動く点の問題に応用します。

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未回答 25× 0○ 01か月定着 0

独立な試行

硬貨を1枚投げ、続けてさいころを1個投げるとします。硬貨が表だったからといって、さいころの目が出やすくなったり出にくくなったりはしません。このように、結果が互いに影響を与えない試行には名前がついています。

公式1:独立な試行の確率

2つの試行 SS,TT について、どちらの結果も他方の結果に影響を与えないとき、SS と TT は独立である(独立な試行である)という。

独立な試行 SS,TT を行うとき、「SS では事象 AA が起こり、TT では事象 BB が起こる」という事象 CC の確率は

P(C)\displaystyle P(C)=P(A)×P(B)\displaystyle {}= P(A) \times P(B)

である。3つ以上の試行でも、どれも互いに独立ならば、それぞれの確率をかければよい。

なぜかけ算になるのか、数えて確かめましょう。硬貨の出方は 22 通り、さいころの目の出方は 66 通りで、2つを続けて行うときの結果は、積の法則より 2×62 \times 6=12{}= 12 通りです。この 1212 通りは同様に確からしいとみなせます。「硬貨が表」かつ「さいころが 33 の倍数」となる結果は 1×21 \times 2=2{}= 2 通りなので

1×22×6\displaystyle \frac{1 \times 2}{2 \times 6}=12×26\displaystyle {}= \frac{1}{2} \times \frac{2}{6}=16\displaystyle {}= \frac{1}{6}

となり、分母どうし・分子どうしのかけ算が、そのまま確率のかけ算になっています。

**2台の自動販売機の「当たりつき」**を思い浮かべてください。駅の東口と西口にある別々の機械で、それぞれ 110\dfrac{1}{10} で当たりが出るとします。東口の機械で当たったという情報は、西口の機械には伝わりません。だから「両方で当たる」確率は、110\dfrac{1}{10} の中のさらに 110\dfrac{1}{10}、つまり 1100\dfrac{1}{100} です。

一方、袋から玉を1個取り出し、戻さずにもう1個取り出す場合は、1回目に何が出たかで袋の中身が変わるので、2回の取り出しは独立ではありません。取り出した玉を袋に戻してからもう1回取り出すなら、袋の中身は元どおりなので独立です。問題文の「戻す」「戻さない」には注意しましょう。

結果が互いに影響しない試行(独立な試行)では、「こちらでは AA、あちらでは BB」の確率は、それぞれの確率のかけ算で求まるということです。

例題1:2つの袋から1個ずつ取り出す

袋 A\mathrm{A} には赤玉 33 個と白玉 11 個、袋 B\mathrm{B} には赤玉 22 個と白玉 33 個が入っています。袋 A\mathrm{A},B\mathrm{B} から玉を1個ずつ取り出します。

(1) 2個とも赤玉である確率を求めなさい。

(2) 袋 A\mathrm{A} から白玉、袋 B\mathrm{B} から赤玉が出る確率を求めなさい。


【解答】

袋 A\mathrm{A} から取り出す試行と、袋 B\mathrm{B} から取り出す試行は、互いに結果に影響を与えないので独立です。袋 A\mathrm{A} で赤玉が出る確率は 34\dfrac{3}{4}、袋 B\mathrm{B} で赤玉が出る確率は 25\dfrac{2}{5} です。

(1)

34×25\displaystyle \frac{3}{4} \times \frac{2}{5}=310‾\displaystyle {}= \underline{\frac{3}{10}}

(2) 袋 A\mathrm{A} で白玉が出る確率は 14\dfrac{1}{4} なので

14×25\displaystyle \frac{1}{4} \times \frac{2}{5}=110‾\displaystyle {}= \underline{\frac{1}{10}}

確かめ:玉をすべて区別すると、取り出し方は 4×54 \times 5=20{}= 20 通りで同様に確からしく、(1) は 3×23 \times 2=6{}= 6 通りなので 620\dfrac{6}{20}=310{}= \dfrac{3}{10} です。

かけ算と足し算の組み合わせ

独立な試行の問題では、「AA だけが起こる」「ちょうど2つが起こる」のように、いくつかの場合をまとめることがよくあります。場合ごとの確率はかけ算で、場合どうしは足し算でまとめます。

公式2:乗法と加法の使い分け

独立な試行の結果を、互いに排反な場合 C1C_1,C2C_2,…,CkC_k に分けて考える。

  • 各場合 CiC_i(「こちらでは〇〇、あちらでは〇〇」)の確率は、各試行の確率の積で求める。
  • 求める事象がそれらの場合の和事象なら、確率の加法定理により、P(C1)P(C_1)+P(C2){}+ P(C_2)+⋯{}+ \cdots+P(Ck){}+ P(C_k) と和で求める。

「少なくとも1つ起こる」確率は、余事象「どれも起こらない」の確率(積で求まる)を 11 から引いて求めるとよい。

樹形図の枝に確率を書きこむと、この使い分けが目で見えます。1本の道を進むときは枝の確率をかけ、同じ結果にたどりつく道が何本かあるときは、それぞれの道の確率を足します。

スタート 1つめの試行 2つめの試行 道の確率(積) 3/5 2/5 A A 1/3 2/3 1/3 2/3 B B B B 3/5 × 1/3 = 3/15 3/5 × 2/3 = 6/15 2/5 × 1/3 = 2/15 2/5 × 2/3 = 4/15 ちょうど1つ起こる確率 = 6/15 + 2/15 = 8/15 1本の道の中は確率をかけ、道どうしは足す

田んぼの用水路を想像してください。水門から流れる水は、分かれ道ごとに決まった割合で分かれていきます。水が 35\dfrac{3}{5} と 25\dfrac{2}{5} に分かれ、その先でさらに 13\dfrac{1}{3} と 23\dfrac{2}{3} に分かれるなら、ある1本の水路に届く水は 35×13\dfrac{3}{5} \times \dfrac{1}{3} です。別々の水路が同じ池に流れこむなら、池にたまる水はそれらの和になります。

ここで、第6章で予告した「排反と独立は別のもの」を確認しておきましょう。

例えば、さいころ1個を投げたときの「11 の目」と「22 の目」は排反です。一方、大小2個のさいころの「大が 11」と「小が 22」は、別々の試行の結果なので影響し合わず、確率は 16×16\dfrac{1}{6} \times \dfrac{1}{6} とかけて求めます。公式2 は、排反な道に分けて足し、1本の道の中では独立な試行の確率をかける、という2つの使い分けを組み合わせたものです。

樹形図の「1本の道」は独立な試行の確率をかけ、「同じ結果にたどりつく何本もの道」は排反なので足すということです。

例題2:ちょうど2個が赤玉

袋 A\mathrm{A} には赤玉 11 個と白玉 11 個、袋 B\mathrm{B} には赤玉 22 個と白玉 33 個、袋 C\mathrm{C} には赤玉 11 個と白玉 22 個が入っています。3つの袋から玉を1個ずつ取り出します。

(1) ちょうど2個が赤玉である確率を求めなさい。

(2) 少なくとも1個が赤玉である確率を求めなさい。


【解答】

3つの袋から取り出す試行は互いに独立です。赤玉が出る確率は、袋 A\mathrm{A} で 12\dfrac{1}{2}、袋 B\mathrm{B} で 25\dfrac{2}{5}、袋 C\mathrm{C} で 13\dfrac{1}{3} です。

(1) 白玉が出る袋がどれかで、次の3つの場合に分けられます。これらは互いに排反です。

  • A\mathrm{A} 赤・B\mathrm{B} 赤・C\mathrm{C} 白:12×25×23\dfrac{1}{2} \times \dfrac{2}{5} \times \dfrac{2}{3}=430{}= \dfrac{4}{30}
  • A\mathrm{A} 赤・B\mathrm{B} 白・C\mathrm{C} 赤:12×35×13\dfrac{1}{2} \times \dfrac{3}{5} \times \dfrac{1}{3}=330{}= \dfrac{3}{30}
  • A\mathrm{A} 白・B\mathrm{B} 赤・C\mathrm{C} 赤:12×25×13\dfrac{1}{2} \times \dfrac{2}{5} \times \dfrac{1}{3}=230{}= \dfrac{2}{30}

加法定理より

430\displaystyle \frac{4}{30}+330\displaystyle {}+ \frac{3}{30}+230\displaystyle {}+ \frac{2}{30}=930\displaystyle {}= \frac{9}{30}=310‾\displaystyle {}= \underline{\frac{3}{10}}

(2) 余事象は「3個とも白玉」で、その確率は

12×35×23\displaystyle \frac{1}{2} \times \frac{3}{5} \times \frac{2}{3}=15\displaystyle {}= \frac{1}{5}

よって、求める確率は

1\displaystyle 1−15\displaystyle {}- \frac{1}{5}=45‾\displaystyle {}= \underline{\frac{4}{5}}

(1) で「12\dfrac{1}{2}+25{}+ \dfrac{2}{5}+13{}+ \dfrac{1}{3}」のように赤玉の確率を足すのは誤りです。3つの袋の「赤玉が出る」は別々の試行の事象で、排反な場合に分けたことにはなっていません。

反復試行の確率

さいころを何回も投げるように、同じ条件で同じ試行をくり返すことを反復試行といいます。1回ごとの結果はほかの回に影響しないので、各回の試行は互いに独立です。

公式3:反復試行の確率

1回の試行で事象 AA が起こる確率を pp とする。この試行を nn 回くり返す反復試行で、AA がちょうど kk 回起こる確率は

nCk pk(1−p)n−k\displaystyle {}_n\mathrm{C}_k\, p^k (1 - p)^{n-k}(k=0, 1, 2, …, n)\displaystyle (k = 0,\ 1,\ 2,\ \ldots,\ n)

である。

nn=5{}= 5,kk=2{}= 2 で考えます。AA が起こることを ○、起こらないことを × で表すと、例えば「○○×××」(1回目と2回目だけ AA が起こる)の確率は、各回が独立なので

p×p×(1−p)×(1−p)×(1−p)\displaystyle p \times p \times (1 - p) \times (1 - p) \times (1 - p)=p2(1−p)3\displaystyle {}= p^2 (1 - p)^3

です。「○×○××」「××○×○」なども、○ と × の個数が同じなので、確率はどれも p2(1−p)3p^2 (1 - p)^3 です。○ が入る2回を5回の中から選ぶ方法は 5C2{}_5\mathrm{C}_2=10{}= 10 通りあり、これらの並びは互いに排反なので、足して 5C2 p2(1−p)3{}_5\mathrm{C}_2\, p^2 (1 - p)^3 となります。

回 1 2 3 4 5 この並びの確率 × × × p²(1−p)³ × × × p²(1−p)³ × × × p²(1−p)³ × × × p²(1−p)³ × × × p²(1−p)³ × × × p²(1−p)³ × × × p²(1−p)³ × × × p²(1−p)³ × × × p²(1−p)³ × × × p²(1−p)³ ○ の位置の選び方 ₅C₂ = 10 通り → 合計 10 × p²(1−p)³

第1章では「ちょうど1つ」の個数をベン図で数えました。反復試行の「ちょうど kk 回」は、何回目に起こるかを nCk{}_n\mathrm{C}_k 通りに並べ分け、1つの並びの確率をかけ算で求める、という2段階で数えます。第4章の「同じものを含む順列」(○ kk 個と × nn−k{}-k 個の並べ方)がここで役に立っています。

バスケットボールのフリースローで考えてみましょう。成功率 77 割の選手が 55 本打つとき、「33 本入れて 22 本外す」には、最初の2本を外す、最後の2本を外す、1本目と4本目を外す……と、外す2本の選び方が 1010 通りあります。どの並びでも、確率は 0.73×0.320.7^3 \times 0.3^2 です。

「nn 回中ちょうど kk 回」の確率は、起こる回の選び方 nCk{}_n\mathrm{C}_k 通りに、1つの並びの確率 pk(1−p)n−kp^k (1-p)^{n-k} をかければよいということです。

例題3:さいころを5回投げる

1個のさいころを 55 回投げます。

(1) 11 の目がちょうど 22 回出る確率を求めなさい。

(2) 11 の目が 44 回以上出る確率を求めなさい。


【解答】

1回の試行で 11 の目が出る確率は 16\dfrac{1}{6}、出ない確率は 56\dfrac{5}{6} です。

(1) 反復試行の確率の公式より

5C2(16)2(56)3\displaystyle {}_5\mathrm{C}_2 \left(\frac{1}{6}\right)^2 \left(\frac{5}{6}\right)^3=10×136×125216\displaystyle {}= 10 \times \frac{1}{36} \times \frac{125}{216}=12507776\displaystyle {}= \frac{1250}{7776}=6253888‾\displaystyle {}= \underline{\frac{625}{3888}}

(2) 「ちょうど 44 回」と「ちょうど 55 回」は互いに排反なので、それぞれを求めて足します。

5C4(16)4(56)\displaystyle {}_5\mathrm{C}_4 \left(\frac{1}{6}\right)^4 \left(\frac{5}{6}\right)=5×57776\displaystyle {}= 5 \times \frac{5}{7776}=257776,\displaystyle {}= \frac{25}{7776},5C5(16)5\displaystyle {}_5\mathrm{C}_5 \left(\frac{1}{6}\right)^5=17776\displaystyle {}= \frac{1}{7776}257776\displaystyle \frac{25}{7776}+17776\displaystyle {}+ \frac{1}{7776}=267776\displaystyle {}= \frac{26}{7776}=133888‾\displaystyle {}= \underline{\frac{13}{3888}}

分母の 77767776 は 656^5 で、5回の目の出方の総数です。反復試行の公式は、第6章までのように全部の出方を数える方法と同じ結果を、かけ算で素早く出していることが分かります。

優勝決定の確率

「先に 33 勝したほうが優勝」のように、決着がつくとそこで試合を終える問題では、最後の試合は必ず優勝する側が勝つことに注目します。

公式4:先に nn 勝したほうが優勝する場合

1試合で A\mathrm{A} が勝つ確率を pp、B\mathrm{B} が勝つ確率を 11−p{}- p(引き分けはない)とし、各試合は独立とする。A\mathrm{A} が第 nn+k{}+ k 試合で優勝する(その時点で A\mathrm{A} が nn 勝 kk 敗、00≦k{}\leqq k≦n{}\leqq n−1{}- 1)確率は

n+k−1Ck pn−1(1−p)k×p{}_{n+k-1}\mathrm{C}_{k}\, p^{n-1} (1 - p)^{k} \times p

である。「それまでの nn+k{}+ k−1{}- 1 試合で A\mathrm{A} が nn−1{}- 1 勝 kk 敗」の確率に、「最後の試合で A\mathrm{A} が勝つ」確率 pp をかけたものである。A\mathrm{A} が優勝する確率は、kk=0,{}= 0, 1,\ 1, …,\ \ldots, n\ n−1{}- 1 の場合を足して求める。

A\mathrm{A} が 33 勝 11 敗で優勝する並びは、「○○×○」「○×○○」「×○○○」の3通りで、「○○○×」は含まれません。3勝した時点で試合は終わるからです。最後の ○ を固定し、その前の 33 試合で ○ を 22 個並べる、と考えれば数えもれも数えすぎも起こりません。

将棋の七番勝負(先に 44 勝したほうがタイトルを獲得)では、第 66 局で決着したなら、第 66 局の勝者はタイトルを取った棋士です。その前の 55 局では、勝者が 33 勝、相手が 22 勝しています。

「先に nn 勝」の問題は、最後の試合を優勝者の勝ちに固定し、それより前の試合だけを反復試行として数えればよいということです。

例題4:先に3勝したほうが優勝

A\mathrm{A},B\mathrm{B} の2人が試合をくり返し、先に 33 勝したほうを優勝とします。1試合で A\mathrm{A} が勝つ確率は 23\dfrac{2}{3} で、引き分けはないものとし、各試合の結果は互いに影響しないものとします。

(1) 第 44 試合で A\mathrm{A} が優勝する確率を求めなさい。

(2) A\mathrm{A} が優勝する確率を求めなさい。


【解答】

(1) 第 33 試合までに A\mathrm{A} が 22 勝 11 敗で、第 44 試合に A\mathrm{A} が勝つ場合です。

3C2(23)2(13)×23\displaystyle {}_3\mathrm{C}_2 \left(\frac{2}{3}\right)^2 \left(\frac{1}{3}\right) \times \frac{2}{3}=3×427×23\displaystyle {}= 3 \times \frac{4}{27} \times \frac{2}{3}=827‾\displaystyle {}= \underline{\frac{8}{27}}

(2) A\mathrm{A} が優勝するのは、第 33 試合(33 勝 00 敗)、第 44 試合(33 勝 11 敗)、第 55 試合(33 勝 22 敗)のどれかで、これらは互いに排反です。

  • 第 33 試合:(23)3\left(\dfrac{2}{3}\right)^3=827{}= \dfrac{8}{27}=2481{}= \dfrac{24}{81}
  • 第 44 試合:(1) より 827\dfrac{8}{27}=2481{}= \dfrac{24}{81}
  • 第 55 試合:4C2(23)2(13)2×23{}_4\mathrm{C}_2 \left(\dfrac{2}{3}\right)^2 \left(\dfrac{1}{3}\right)^2 \times \dfrac{2}{3}=6×481×23{}= 6 \times \dfrac{4}{81} \times \dfrac{2}{3}=1681{}= \dfrac{16}{81}
2481\displaystyle \frac{24}{81}+2481\displaystyle {}+ \frac{24}{81}+1681\displaystyle {}+ \frac{16}{81}=6481‾\displaystyle {}= \underline{\frac{64}{81}}

1試合の勝率は 23\dfrac{2}{3}≒0.67{}\fallingdotseq 0.67 ですが、3勝先取にすると優勝の確率は 6481\dfrac{64}{81}≒0.79{}\fallingdotseq 0.79 に上がります。試合数が多いほど、強いほうが勝ちやすくなります。

数直線上を動く点

コインやさいころの結果に応じて点が動く問題も、反復試行で解けます。最後の位置は、それぞれの動きが何回起こったかだけで決まり、その順番にはよりません。

公式5:点の移動と反復試行

点が、1回の試行で確率 pp で正の向きに aa だけ、確率 11−p{}- p で負の向きに bb だけ動くとする。nn 回の試行のうち正の向きに動く回数を rr とすると、nn 回後の点の移動量は

ar\displaystyle ar−b(n−r)\displaystyle {}- b(n - r)

である。目標の位置になる rr を求め、その rr に対する反復試行の確率 nCr pr(1−p)n−r{}_n\mathrm{C}_r\, p^r (1 - p)^{n-r} を計算する。条件を満たす rr が複数あれば、それらの確率を足す。

まず「何回ずつ動けばその位置に着くか」を式で決め、そのあとで「その回数になる確率」を反復試行で求める、という2段階です。移動量の式を満たす rr が 00 以上 nn 以下の整数にならなければ、その位置には決して着きません(確率は 00)。

すごろくで「33 以上の目なら 22 マス進み、それ以外なら 11 マス戻る」というルールを考えます。44 回ふって「進む・進む・戻る・戻る」でも「戻る・進む・戻る・進む」でも、最後にいるマスは 2×22 \times 2−1×2{}- 1 \times 2=2{}= 2 マス先で同じです。途中の順番は、最後の位置には関係しません。

点の移動の問題は、最後の位置から「正の向きに何回動いたか」を先に決め、その回数になる確率を反復試行の公式で求めればよいということです。

例題5:さいころの目で動く点

数直線上の原点に点 P\mathrm{P} があります。さいころを1回投げるごとに、33 の倍数の目が出たら P\mathrm{P} を正の向きに 22 だけ動かし、それ以外の目が出たら負の向きに 11 だけ動かします。さいころを 66 回投げます。

(1) P\mathrm{P} の座標が 33 である確率を求めなさい。

(2) P\mathrm{P} が原点にある確率を求めなさい。


【解答】

1回の試行で正の向きに動く確率は 26\dfrac{2}{6}=13{}= \dfrac{1}{3}、負の向きに動く確率は 23\dfrac{2}{3} です。66 回のうち 33 の倍数の目が rr 回出たとすると、P\mathrm{P} の座標は

2r\displaystyle 2r−1×(6−r)\displaystyle {}- 1 \times (6 - r)=3r\displaystyle {}= 3r−6\displaystyle {}- 6

です。

(1) 3r3r−6{}- 6=3{}= 3 より rr=3{}= 3 です。

6C3(13)3(23)3\displaystyle {}_6\mathrm{C}_3 \left(\frac{1}{3}\right)^3 \left(\frac{2}{3}\right)^3=20×127×827\displaystyle {}= 20 \times \frac{1}{27} \times \frac{8}{27}=160729‾\displaystyle {}= \underline{\frac{160}{729}}

(2) 3r3r−6{}- 6=0{}= 0 より rr=2{}= 2 です。

6C2(13)2(23)4\displaystyle {}_6\mathrm{C}_2 \left(\frac{1}{3}\right)^2 \left(\frac{2}{3}\right)^4=15×19×1681\displaystyle {}= 15 \times \frac{1}{9} \times \frac{16}{81}=240729\displaystyle {}= \frac{240}{729}=80243‾\displaystyle {}= \underline{\frac{80}{243}}

座標は 3r3r−6{}- 6 なので、66 回後の P\mathrm{P} の座標は 33 の倍数に限られます。例えば座標 11 になる確率は 00 です。

基礎確認問題(全5問)

まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。

問1

硬貨1枚とさいころ1個を同時に投げるとき、硬貨が表で、さいころの目が 33 の倍数である確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

16‾\underline{\dfrac{1}{6}}(独立な試行なので 12×26\dfrac{1}{2} \times \dfrac{2}{6})

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問2

袋 A\mathrm{A} には赤玉 22 個と白玉 33 個、袋 B\mathrm{B} には赤玉 44 個と白玉 11 個が入っています。袋 A\mathrm{A},B\mathrm{B} から玉を1個ずつ取り出すとき、2個とも赤玉である確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

825‾\underline{\dfrac{8}{25}}(25×45\dfrac{2}{5} \times \dfrac{4}{5})

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問3

1個のさいころを 33 回投げるとき、33 回とも 44 以下の目が出る確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

827‾\underline{\dfrac{8}{27}}((46)3\left(\dfrac{4}{6}\right)^3=(23)3{}= \left(\dfrac{2}{3}\right)^3)

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問4

1枚の硬貨を 55 回投げるとき、表がちょうど 22 回出る確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

516‾\underline{\dfrac{5}{16}}(5C2(12)2(12)3{}_5\mathrm{C}_2 \left(\dfrac{1}{2}\right)^2 \left(\dfrac{1}{2}\right)^3=1032{}= \dfrac{10}{32})

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問5

当たりの確率が 14\dfrac{1}{4} のくじを1本引き、引いたくじを元に戻すことを 44 回くり返します。ちょうど 11 回当たる確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

2764‾\underline{\dfrac{27}{64}}(4C1(14)(34)3{}_4\mathrm{C}_1 \left(\dfrac{1}{4}\right) \left(\dfrac{3}{4}\right)^3=4×27256{}= 4 \times \dfrac{27}{256})

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実践問題(全20問)

難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。

問1 ★

A\mathrm{A},B\mathrm{B} の2人が1回ずつ的をねらいます。A\mathrm{A} が的に当てる確率は 35\dfrac{3}{5}、B\mathrm{B} が的に当てる確率は 23\dfrac{2}{3} で、2人の結果は互いに影響しないものとします。

(1) 2人とも的に当てる確率を求めなさい。

(2) 2人のうち1人だけが的に当てる確率を求めなさい。

(3) 少なくとも1人が的に当てる確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 25\dfrac{2}{5} (2) 715\dfrac{7}{15} (3) 1315\dfrac{13}{15}

解説

2人がねらう試行は独立です。的を外す確率は、A\mathrm{A} が 11−35{}- \dfrac{3}{5}=25{}= \dfrac{2}{5}、B\mathrm{B} が 11−23{}- \dfrac{2}{3}=13{}= \dfrac{1}{3} です。

(1)

35×23\displaystyle \frac{3}{5} \times \frac{2}{3}=25‾\displaystyle {}= \underline{\frac{2}{5}}

(2) 「A\mathrm{A} だけ当てる」と「B\mathrm{B} だけ当てる」は互いに排反なので、それぞれの確率を足します。

35×13\displaystyle \frac{3}{5} \times \frac{1}{3}+25×23\displaystyle {}+ \frac{2}{5} \times \frac{2}{3}=315\displaystyle {}= \frac{3}{15}+415\displaystyle {}+ \frac{4}{15}=715‾\displaystyle {}= \underline{\frac{7}{15}}

(3) 余事象は「2人とも外す」で、その確率は 25×13\dfrac{2}{5} \times \dfrac{1}{3}=215{}= \dfrac{2}{15} です。

1\displaystyle 1−215\displaystyle {}- \frac{2}{15}=1315‾\displaystyle {}= \underline{\frac{13}{15}}

確かめ:(1) と (2) を足すと 615\dfrac{6}{15}+715{}+ \dfrac{7}{15}=1315{}= \dfrac{13}{15} で、(3) と一致します。

自己採点:
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問2 ★

袋 A\mathrm{A} には赤玉 33 個と白玉 22 個、袋 B\mathrm{B} には赤玉 11 個と白玉 33 個が入っています。袋 A\mathrm{A},B\mathrm{B} から玉を1個ずつ取り出します。

(1) 2個が同じ色である確率を求めなさい。

(2) 少なくとも1個が白玉である確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 920\dfrac{9}{20} (2) 1720\dfrac{17}{20}

解説

2つの袋から取り出す試行は独立です。赤玉が出る確率は、袋 A\mathrm{A} で 35\dfrac{3}{5}、袋 B\mathrm{B} で 14\dfrac{1}{4} です。

(1) 「2個とも赤」と「2個とも白」は互いに排反です。

35×14\displaystyle \frac{3}{5} \times \frac{1}{4}+25×34\displaystyle {}+ \frac{2}{5} \times \frac{3}{4}=320\displaystyle {}= \frac{3}{20}+620\displaystyle {}+ \frac{6}{20}=920‾\displaystyle {}= \underline{\frac{9}{20}}

(2) 余事象は「2個とも赤玉」で、その確率は 320\dfrac{3}{20} です。

1\displaystyle 1−320\displaystyle {}- \frac{3}{20}=1720‾\displaystyle {}= \underline{\frac{17}{20}}
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問3 ★

1個のさいころを 44 回投げます。

(1) 66 の目がちょうど 11 回出る確率を求めなさい。

(2) 33 の倍数の目がちょうど 33 回出る確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 125324\dfrac{125}{324} (2) 881\dfrac{8}{81}

解説

(1) 1回で 66 の目が出る確率は 16\dfrac{1}{6} です。反復試行の確率の公式より

4C1(16)(56)3\displaystyle {}_4\mathrm{C}_1 \left(\frac{1}{6}\right) \left(\frac{5}{6}\right)^3=4×16×125216\displaystyle {}= 4 \times \frac{1}{6} \times \frac{125}{216}=5001296\displaystyle {}= \frac{500}{1296}=125324‾\displaystyle {}= \underline{\frac{125}{324}}

(2) 1回で 33 の倍数の目(33,66)が出る確率は 26\dfrac{2}{6}=13{}= \dfrac{1}{3} です。

4C3(13)3(23)\displaystyle {}_4\mathrm{C}_3 \left(\frac{1}{3}\right)^3 \left(\frac{2}{3}\right)=4×127×23\displaystyle {}= 4 \times \frac{1}{27} \times \frac{2}{3}=881‾\displaystyle {}= \underline{\frac{8}{81}}
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問4 ★

1枚の硬貨を 66 回投げます。

(1) 表がちょうど 33 回出る確率を求めなさい。

(2) 表が 55 回以上出る確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 516\dfrac{5}{16} (2) 764\dfrac{7}{64}

解説

1回で表が出る確率も裏が出る確率も 12\dfrac{1}{2} なので、どの並びの確率も (12)6\left(\dfrac{1}{2}\right)^6=164{}= \dfrac{1}{64} です。

(1)

6C3(12)3(12)3\displaystyle {}_6\mathrm{C}_3 \left(\frac{1}{2}\right)^3 \left(\frac{1}{2}\right)^3=2064\displaystyle {}= \frac{20}{64}=516‾\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{16}}

(2) 「ちょうど 55 回」と「ちょうど 66 回」は互いに排反です。

6C5(12)6\displaystyle {}_6\mathrm{C}_5 \left(\frac{1}{2}\right)^6+6C6(12)6\displaystyle {}+ {}_6\mathrm{C}_6 \left(\frac{1}{2}\right)^6=664\displaystyle {}= \frac{6}{64}+164\displaystyle {}+ \frac{1}{64}=764‾\displaystyle {}= \underline{\frac{7}{64}}
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問5 ★

4つの選択肢から正解を1つ選ぶ問題が 55 問あります。どの問題も、でたらめに1つを選んで答えるものとします。

(1) ちょうど 33 問正解する確率を求めなさい。

(2) 44 問以上正解する確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 45512\dfrac{45}{512} (2) 164\dfrac{1}{64}

解説

でたらめに答えるので、1問ごとに正解する確率は 14\dfrac{1}{4}、不正解の確率は 34\dfrac{3}{4} で、各問の結果は独立です。

(1)

5C3(14)3(34)2\displaystyle {}_5\mathrm{C}_3 \left(\frac{1}{4}\right)^3 \left(\frac{3}{4}\right)^2=10×164×916\displaystyle {}= 10 \times \frac{1}{64} \times \frac{9}{16}=901024\displaystyle {}= \frac{90}{1024}=45512‾\displaystyle {}= \underline{\frac{45}{512}}

(2) 「ちょうど 44 問」と「55 問すべて」は互いに排反です。

5C4(14)4(34)\displaystyle {}_5\mathrm{C}_4 \left(\frac{1}{4}\right)^4 \left(\frac{3}{4}\right)+5C5(14)5\displaystyle {}+ {}_5\mathrm{C}_5 \left(\frac{1}{4}\right)^5=151024\displaystyle {}= \frac{15}{1024}+11024\displaystyle {}+ \frac{1}{1024}=161024\displaystyle {}= \frac{16}{1024}=164‾\displaystyle {}= \underline{\frac{1}{64}}
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問6 ★

大小2個のさいころを同時に投げます。

(1) 大きいさいころの目が偶数で、小さいさいころの目が 33 以上である確率を求めなさい。

(2) 大きいさいころの目が偶数であるか、または小さいさいころの目が 33 以上である確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 13\dfrac{1}{3} (2) 56\dfrac{5}{6}

解説

大きいさいころと小さいさいころの試行は独立です。大が偶数である確率は 36\dfrac{3}{6}=12{}= \dfrac{1}{2}、小が 33 以上である確率は 46\dfrac{4}{6}=23{}= \dfrac{2}{3} です。

(1) 2つの試行の結果が同時に起こる確率なので、かけ算です。

12×23\displaystyle \frac{1}{2} \times \frac{2}{3}=13‾\displaystyle {}= \underline{\frac{1}{3}}

(2) 余事象は「大が奇数で、小が 22 以下」です。その確率は 12×26\dfrac{1}{2} \times \dfrac{2}{6}=16{}= \dfrac{1}{6} なので

1\displaystyle 1−16\displaystyle {}- \frac{1}{6}=56‾\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{6}}

第6章の公式3 を使っても、12\dfrac{1}{2}+23{}+ \dfrac{2}{3}−13{}- \dfrac{1}{3}=56{}= \dfrac{5}{6} と同じ答えになります。「大が偶数」と「小が 33 以上」は同時に起こりうるので、12\dfrac{1}{2}+23{}+ \dfrac{2}{3} と足すだけでは誤りです(11 を超えてしまいます)。

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問7 ★

A\mathrm{A},B\mathrm{B},C\mathrm{C} の3人がそれぞれ別の資格試験を受けます。合格する確率は A\mathrm{A} が 12\dfrac{1}{2}、B\mathrm{B} が 23\dfrac{2}{3}、C\mathrm{C} が 34\dfrac{3}{4} で、3人の結果は互いに影響しないものとします。

(1) 3人とも合格する確率を求めなさい。

(2) ちょうど1人が合格する確率を求めなさい。

(3) 少なくとも1人が合格する確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 14\dfrac{1}{4} (2) 14\dfrac{1}{4} (3) 2324\dfrac{23}{24}

解説

3人の試験は独立な試行です。不合格の確率は、A\mathrm{A} が 12\dfrac{1}{2}、B\mathrm{B} が 13\dfrac{1}{3}、C\mathrm{C} が 14\dfrac{1}{4} です。

(1)

12×23×34\displaystyle \frac{1}{2} \times \frac{2}{3} \times \frac{3}{4}=14‾\displaystyle {}= \underline{\frac{1}{4}}

(2) 合格するのがだれか1人で、次の3つの場合に分けられます。これらは互いに排反です。

  • A\mathrm{A} だけ合格:12×13×14\dfrac{1}{2} \times \dfrac{1}{3} \times \dfrac{1}{4}=124{}= \dfrac{1}{24}
  • B\mathrm{B} だけ合格:12×23×14\dfrac{1}{2} \times \dfrac{2}{3} \times \dfrac{1}{4}=224{}= \dfrac{2}{24}
  • C\mathrm{C} だけ合格:12×13×34\dfrac{1}{2} \times \dfrac{1}{3} \times \dfrac{3}{4}=324{}= \dfrac{3}{24}
124\displaystyle \frac{1}{24}+224\displaystyle {}+ \frac{2}{24}+324\displaystyle {}+ \frac{3}{24}=624\displaystyle {}= \frac{6}{24}=14‾\displaystyle {}= \underline{\frac{1}{4}}

(3) 余事象は「3人とも不合格」で、その確率は 12×13×14\dfrac{1}{2} \times \dfrac{1}{3} \times \dfrac{1}{4}=124{}= \dfrac{1}{24} です。

1\displaystyle 1−124\displaystyle {}- \frac{1}{24}=2324‾\displaystyle {}= \underline{\frac{23}{24}}
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問8 ★

赤玉 22 個と白玉 33 個が入った袋から玉を1個取り出し、色を確かめてから袋に戻します。これを 55 回くり返します。

(1) 赤玉がちょうど 22 回出る確率を求めなさい。

(2) 赤玉が少なくとも 11 回出る確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 216625\dfrac{216}{625} (2) 28823125\dfrac{2882}{3125}

解説

取り出した玉を戻すので、袋の中身は毎回同じで、各回の試行は独立です。1回で赤玉が出る確率は 25\dfrac{2}{5}、白玉が出る確率は 35\dfrac{3}{5} です。

(1)

5C2(25)2(35)3\displaystyle {}_5\mathrm{C}_2 \left(\frac{2}{5}\right)^2 \left(\frac{3}{5}\right)^3=10×425×27125\displaystyle {}= 10 \times \frac{4}{25} \times \frac{27}{125}=10803125\displaystyle {}= \frac{1080}{3125}=216625‾\displaystyle {}= \underline{\frac{216}{625}}

(2) 余事象は「55 回とも白玉」で、その確率は (35)5\left(\dfrac{3}{5}\right)^5=2433125{}= \dfrac{243}{3125} です。

1\displaystyle 1−2433125\displaystyle {}- \frac{243}{3125}=28823125‾\displaystyle {}= \underline{\frac{2882}{3125}}

もし玉を戻さなければ、白玉は 33 個しかないので「55 回とも白玉」は起こりえません。「戻す」ことで独立な試行のくり返しになっています。

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問9 ★★

A\mathrm{A},B\mathrm{B} の2チームが試合をくり返し、先に 33 勝したほうを優勝とします。1試合で A\mathrm{A} が勝つ確率は 35\dfrac{3}{5} で、引き分けはないものとし、各試合の結果は互いに影響しないものとします。

(1) 第 55 試合で優勝が決まる確率を求めなさい。

(2) B\mathrm{B} が優勝する確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 216625\dfrac{216}{625} (2) 9923125\dfrac{992}{3125}

解説

1試合で B\mathrm{B} が勝つ確率は 25\dfrac{2}{5} です。

(1) 第 55 試合で優勝が決まるのは、第 44 試合までが 22 勝 22 敗のときです。そのとき第 55 試合はどちらが勝っても優勝が決まります。

4C2(35)2(25)2\displaystyle {}_4\mathrm{C}_2 \left(\frac{3}{5}\right)^2 \left(\frac{2}{5}\right)^2=6×925×425\displaystyle {}= 6 \times \frac{9}{25} \times \frac{4}{25}=216625‾\displaystyle {}= \underline{\frac{216}{625}}

(2) B\mathrm{B} が 33 勝 kk 敗(kk=0,{}= 0, 1,\ 1, 2\ 2)で優勝する場合に分けます。最後の試合は B\mathrm{B} の勝ちです。

  • kk=0{}= 0(第 33 試合):(25)3\left(\dfrac{2}{5}\right)^3=8125{}= \dfrac{8}{125}=2003125{}= \dfrac{200}{3125}
  • kk=1{}= 1(第 44 試合):3C1(25)2(35)×25{}_3\mathrm{C}_1 \left(\dfrac{2}{5}\right)^2 \left(\dfrac{3}{5}\right) \times \dfrac{2}{5}=3×12125×25{}= 3 \times \dfrac{12}{125} \times \dfrac{2}{5}=72625{}= \dfrac{72}{625}=3603125{}= \dfrac{360}{3125}
  • kk=2{}= 2(第 55 試合):4C2(25)2(35)2×25{}_4\mathrm{C}_2 \left(\dfrac{2}{5}\right)^2 \left(\dfrac{3}{5}\right)^2 \times \dfrac{2}{5}=216625×25{}= \dfrac{216}{625} \times \dfrac{2}{5}=4323125{}= \dfrac{432}{3125}

これらは互いに排反なので

2003125\displaystyle \frac{200}{3125}+3603125\displaystyle {}+ \frac{360}{3125}+4323125\displaystyle {}+ \frac{432}{3125}=9923125‾\displaystyle {}= \underline{\frac{992}{3125}}

A\mathrm{A} が優勝する確率は同じように計算すると 21333125\dfrac{2133}{3125} で、2つを足すと 11 になります。

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問10 ★★

数直線上の原点に点 P\mathrm{P} があります。硬貨を1回投げるごとに、表が出たら P\mathrm{P} を正の向きに 11、裏が出たら負の向きに 11 だけ動かします。硬貨を 88 回投げます。

(1) P\mathrm{P} の座標が 22 である確率を求めなさい。

(2) P\mathrm{P} が原点にある確率を求めなさい。

(3) P\mathrm{P} の座標が 11 である確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 732\dfrac{7}{32} (2) 35128\dfrac{35}{128} (3) 00

解説

88 回のうち表が rr 回出たとすると、P\mathrm{P} の座標は

r\displaystyle r−(8−r)\displaystyle {}- (8 - r)=2r\displaystyle {}= 2r−8\displaystyle {}- 8

です。どの並びの確率も (12)8\left(\dfrac{1}{2}\right)^8=1256{}= \dfrac{1}{256} です。

(1) 2r2r−8{}- 8=2{}= 2 より rr=5{}= 5 です。

8C5×1256\displaystyle {}_8\mathrm{C}_5 \times \frac{1}{256}=56256\displaystyle {}= \frac{56}{256}=732‾\displaystyle {}= \underline{\frac{7}{32}}

(2) 2r2r−8{}- 8=0{}= 0 より rr=4{}= 4 です。

8C4×1256\displaystyle {}_8\mathrm{C}_4 \times \frac{1}{256}=70256\displaystyle {}= \frac{70}{256}=35128‾\displaystyle {}= \underline{\frac{35}{128}}

(3) 2r2r−8{}- 8=1{}= 1 を満たす整数 rr はありません。座標 2r2r−8{}- 8 はいつも偶数なので、求める確率は 0‾\underline{0} です。

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問11 ★★

1個のさいころを 55 回投げます。55 以上の目が 33 回以上出る確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

1781\dfrac{17}{81}

解説

1回で 55 以上の目(55,66)が出る確率は 26\dfrac{2}{6}=13{}= \dfrac{1}{3}、出ない確率は 23\dfrac{2}{3} です。「ちょうど 33 回」「ちょうど 44 回」「ちょうど 55 回」は互いに排反なので、それぞれを求めて足します。分母を 353^5=243{}= 243 にそろえます。

5C3(13)3(23)2\displaystyle {}_5\mathrm{C}_3 \left(\frac{1}{3}\right)^3 \left(\frac{2}{3}\right)^2=10×4243\displaystyle {}= 10 \times \frac{4}{243}=40243\displaystyle {}= \frac{40}{243} 5C4(13)4(23)\displaystyle {}_5\mathrm{C}_4 \left(\frac{1}{3}\right)^4 \left(\frac{2}{3}\right)=5×2243\displaystyle {}= 5 \times \frac{2}{243}=10243,\displaystyle {}= \frac{10}{243},5C5(13)5\displaystyle {}_5\mathrm{C}_5 \left(\frac{1}{3}\right)^5=1243\displaystyle {}= \frac{1}{243}

よって、求める確率は

40243\displaystyle \frac{40}{243}+10243\displaystyle {}+ \frac{10}{243}+1243\displaystyle {}+ \frac{1}{243}=51243\displaystyle {}= \frac{51}{243}=1781‾\displaystyle {}= \underline{\frac{17}{81}}
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問12 ★★

1枚の硬貨を 88 回投げます。表がちょうど 44 回出て、しかも 11 回目と 22 回目がともに表である確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

15256\dfrac{15}{256}

解説

11 回目と 22 回目がともに表で、残りの 66 回のうち表がちょうど 22 回出る場合です。最初の2回と残りの6回は独立な試行なので、それぞれの確率をかけます。

(12)2×6C2(12)2(12)4\displaystyle \left(\frac{1}{2}\right)^2 \times {}_6\mathrm{C}_2 \left(\frac{1}{2}\right)^2 \left(\frac{1}{2}\right)^4=14×1564\displaystyle {}= \frac{1}{4} \times \frac{15}{64}=15256‾\displaystyle {}= \underline{\frac{15}{256}}

並びの数で確かめると、88 回のうち表の 44 回が 11,22 回目を含む並びは、残りの表 22 回を 33〜88 回目の 66 回から選ぶ 6C2{}_6\mathrm{C}_2=15{}= 15 通りで、全体は 282^8=256{}= 256 通りです。

「表がちょうど 44 回」の確率 8C4(12)8{}_8\mathrm{C}_4 \left(\dfrac{1}{2}\right)^8=70256{}= \dfrac{70}{256} に「11,22 回目が表」の確率 14\dfrac{1}{4} をかけるのは誤りです。2つの事象は、同じ 88 回の結果についての条件なので、別々の試行の事象とはいえません。

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問13 ★★

3つの部品 A\mathrm{A},B\mathrm{B},C\mathrm{C} があり、正常に働く確率はそれぞれ 0.90.9,0.80.8,0.70.7 で、各部品が働くかどうかは互いに影響しないものとします。

(1) 「A\mathrm{A} が働き、かつ B\mathrm{B} と C\mathrm{C} の少なくとも一方が働く」ときに動く装置があります。この装置が動く確率を小数で求めなさい。

(2) 「A\mathrm{A} と B\mathrm{B} がともに働くか、または C\mathrm{C} が働く」ときに動く装置があります。この装置が動く確率を小数で求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 0.8460.846 (2) 0.9160.916

解説

働かない確率は、A\mathrm{A} が 0.10.1、B\mathrm{B} が 0.20.2、C\mathrm{C} が 0.30.3 です。

(1) 「B\mathrm{B} と C\mathrm{C} の少なくとも一方が働く」の余事象は「B\mathrm{B} も C\mathrm{C} も働かない」で、その確率は 0.2×0.30.2 \times 0.3=0.06{}= 0.06 です。よって「少なくとも一方が働く」確率は 11−0.06{}- 0.06=0.94{}= 0.94 です。これと A\mathrm{A} が働くことは独立なので

0.9×0.94\displaystyle 0.9 \times 0.94=0.846‾\displaystyle {}= \underline{0.846}

(2) 装置が動かないのは、「A\mathrm{A} と B\mathrm{B} がともに働く」ことが起こらず、しかも C\mathrm{C} が働かないときです。「A\mathrm{A} と B\mathrm{B} がともに働く」確率は 0.9×0.80.9 \times 0.8=0.72{}= 0.72 なので、それが起こらない確率は 0.280.28 です。

1\displaystyle 1−0.28×0.3\displaystyle {}- 0.28 \times 0.3=1\displaystyle {}= 1−0.084\displaystyle {}- 0.084=0.916‾\displaystyle {}= \underline{0.916}

「かつ」でつながる部分(直列)はかけ算、「少なくとも一方」でつながる部分(並列)は「どちらも働かない」確率を 11 から引く、と覚えておくと整理しやすくなります。

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問14 ★★

大小2個のさいころを同時に投げる試行を 44 回くり返します。

(1) 出た目の和が 55 になることが、ちょうど 22 回ある確率を求めなさい。

(2) 出た目の和が 55 になることが、少なくとも 11 回ある確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 1282187\dfrac{128}{2187} (2) 24656561\dfrac{2465}{6561}

解説

1回の試行で目の和が 55 になるのは (1, 4)(1,\ 4),(2, 3)(2,\ 3),(3, 2)(3,\ 2),(4, 1)(4,\ 1) の 44 通りなので、その確率は 436\dfrac{4}{36}=19{}= \dfrac{1}{9} です。

(1)

4C2(19)2(89)2\displaystyle {}_4\mathrm{C}_2 \left(\frac{1}{9}\right)^2 \left(\frac{8}{9}\right)^2=6×181×6481\displaystyle {}= 6 \times \frac{1}{81} \times \frac{64}{81}=3846561\displaystyle {}= \frac{384}{6561}=1282187‾\displaystyle {}= \underline{\frac{128}{2187}}

(2) 余事象は「44 回とも和が 55 にならない」で、その確率は (89)4\left(\dfrac{8}{9}\right)^4=40966561{}= \dfrac{4096}{6561} です。

1\displaystyle 1−40966561\displaystyle {}- \frac{4096}{6561}=24656561‾\displaystyle {}= \underline{\frac{2465}{6561}}
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問15 ★★

1枚の硬貨を 22 回投げ、表が出た回数と同じ回数だけ、1個のさいころを投げます(表が 11 回も出なければ、さいころは投げません)。さいころで 66 の目が1回も出ない確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

121144\dfrac{121}{144}

解説

表の回数で、互いに排反な3つの場合に分けます。硬貨の試行とさいころの試行は独立です。

  • 表が 00 回(確率 14\dfrac{1}{4}):さいころを投げないので、66 の目は必ず出ません。14×1\dfrac{1}{4} \times 1=36144{}= \dfrac{36}{144}
  • 表が 11 回(確率 2C1(12)2{}_2\mathrm{C}_1 \left(\dfrac{1}{2}\right)^2=12{}= \dfrac{1}{2}):1回投げて 66 以外。12×56\dfrac{1}{2} \times \dfrac{5}{6}=60144{}= \dfrac{60}{144}
  • 表が 22 回(確率 14\dfrac{1}{4}):2回とも 66 以外。14×(56)2\dfrac{1}{4} \times \left(\dfrac{5}{6}\right)^2=25144{}= \dfrac{25}{144}
36144\displaystyle \frac{36}{144}+60144\displaystyle {}+ \frac{60}{144}+25144\displaystyle {}+ \frac{25}{144}=121144‾\displaystyle {}= \underline{\frac{121}{144}}

別の見方:硬貨を1回投げるごとに「裏なら何もしない、表ならさいころを1回投げる」と考えると、1回分で 66 の目が出ない確率は 12\dfrac{1}{2}+12×56{}+ \dfrac{1}{2} \times \dfrac{5}{6}=1112{}= \dfrac{11}{12} です。これを2回独立にくり返すので (1112)2\left(\dfrac{11}{12}\right)^2=121144{}= \dfrac{121}{144} となり、一致します。

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問16 ★★

A\mathrm{A},B\mathrm{B} の2人が、A\mathrm{A},B\mathrm{B},A\mathrm{A},B\mathrm{B} の順に1個のさいころを1回ずつ投げ、先に 11 の目を出したほうを勝ちとします。4回投げてもだれも 11 の目を出さなければ引き分けとします。

(1) A\mathrm{A} が勝つ確率を求めなさい。

(2) B\mathrm{B} が勝つ確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 61216\dfrac{61}{216} (2) 3051296\dfrac{305}{1296}

解説

各回の試行は独立で、11 の目が出る確率は 16\dfrac{1}{6}、出ない確率は 56\dfrac{5}{6} です。勝負が決まるのは、初めて 11 の目が出た回です。

(1) A\mathrm{A} が勝つのは、1回目に 11 が出るか、1〜2回目に 11 が出ずに3回目に 11 が出るときで、この2つは互いに排反です。

16\displaystyle \frac{1}{6}+(56)2×16\displaystyle {}+ \left(\frac{5}{6}\right)^2 \times \frac{1}{6}=36216\displaystyle {}= \frac{36}{216}+25216\displaystyle {}+ \frac{25}{216}=61216‾\displaystyle {}= \underline{\frac{61}{216}}

(2) B\mathrm{B} が勝つのは、2回目に初めて 11 が出るか、4回目に初めて 11 が出るときです。

56×16\displaystyle \frac{5}{6} \times \frac{1}{6}+(56)3×16\displaystyle {}+ \left(\frac{5}{6}\right)^3 \times \frac{1}{6}=1801296\displaystyle {}= \frac{180}{1296}+1251296\displaystyle {}+ \frac{125}{1296}=3051296‾\displaystyle {}= \underline{\frac{305}{1296}}

確かめ:引き分けの確率は (56)4\left(\dfrac{5}{6}\right)^4=6251296{}= \dfrac{625}{1296} で、3661296\dfrac{366}{1296}+3051296{}+ \dfrac{305}{1296}+6251296{}+ \dfrac{625}{1296}=1{}= 1 となります。先に投げる A\mathrm{A} のほうが有利です。

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問17 ★★★

1個のさいころを 2020 回投げるとき、11 の目がちょうど kk 回出る確率を pkp_k とします(kk=0,{}= 0, 1,\ 1, …,\ \ldots, 20\ 20)。pkp_k が最大となる kk を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

kk=3{}= 3

解説

反復試行の確率の公式より

pk\displaystyle p_k=20Ck(16)k(56)20−k\displaystyle {}= {}_{20}\mathrm{C}_k \left(\frac{1}{6}\right)^k \left(\frac{5}{6}\right)^{20-k}

です。pkp_k はすべて正なので、隣り合う2つの比 pk+1pk\dfrac{p_{k+1}}{p_k} を 11 と比べます(kk=0,{}= 0, 1,\ 1, …,\ \ldots, 19\ 19)。

pk+1pk\displaystyle \frac{p_{k+1}}{p_k}=20Ck+120Ck×16×65\displaystyle {}= \frac{{}_{20}\mathrm{C}_{k+1}}{{}_{20}\mathrm{C}_k} \times \frac{1}{6} \times \frac{6}{5}=20−kk+1×15\displaystyle {}= \frac{20 - k}{k + 1} \times \frac{1}{5}=20−k5(k+1)\displaystyle {}= \frac{20 - k}{5(k + 1)}

ここで 20Ck+1{}_{20}\mathrm{C}_{k+1}=20!(k+1)! (19−k)!{}= \dfrac{20!}{(k+1)!\,(19-k)!},20Ck{}_{20}\mathrm{C}_k=20!k! (20−k)!{}= \dfrac{20!}{k!\,(20-k)!} より、その比は 20−kk+1\dfrac{20-k}{k+1} です。

pk+1pk\displaystyle \frac{p_{k+1}}{p_k}>1\displaystyle {}> 1  ⟺  20\displaystyle {}\iff 20−k\displaystyle {}- k>5k\displaystyle {}> 5k+5\displaystyle {}+ 5  ⟺  k\displaystyle {}\iff k<52\displaystyle {}< \frac{5}{2}

kk は整数なので、kk=0,{}= 0, 1,\ 1, 2\ 2 のとき pk+1p_{k+1}>pk{}> p_k、kk≧3{}\geqq 3 のとき pk+1p_{k+1}<pk{}< p_k です(pk+1pk\dfrac{p_{k+1}}{p_k}=1{}= 1 となる整数 kk はありません)。よって

p0\displaystyle p_0<p1\displaystyle {}< p_1<p2\displaystyle {}< p_2<p3\displaystyle {}< p_3>p4\displaystyle {}> p_4>p5\displaystyle {}> p_5>⋯\displaystyle {}> \cdots>p20\displaystyle {}> p_{20}

となり、pkp_k が最大となるのは k=3‾\underline{k = 3} のときです。

2020 回投げると 11 の目は平均して 20×1620 \times \dfrac{1}{6}≒3.3{}\fallingdotseq 3.3 回くらい出る、という感覚と合っています。

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問18 ★★★

数直線上の原点に点 P\mathrm{P} があります。硬貨を1回投げるごとに、表が出たら P\mathrm{P} を正の向きに 11、裏が出たら負の向きに 11 だけ動かします。硬貨を 66 回投げます。

(1) 66 回後に P\mathrm{P} が原点にある確率を求めなさい。

(2) 66 回後に P\mathrm{P} が原点にあり、しかも途中で一度も P\mathrm{P} の座標が負にならない確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 516\dfrac{5}{16} (2) 564\dfrac{5}{64}

解説

どの表裏の並びも確率は (12)6\left(\dfrac{1}{2}\right)^6=164{}= \dfrac{1}{64} なので、条件を満たす並びの数を数えます。

(1) 表が rr 回のとき座標は 2r2r−6{}- 6 で、2r2r−6{}- 6=0{}= 0 より rr=3{}= 3 です。

6C3×164\displaystyle {}_6\mathrm{C}_3 \times \frac{1}{64}=2064\displaystyle {}= \frac{20}{64}=516‾\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{16}}

(2) (1) の 2020 通りのうち、途中で座標が負にならないものを数えます。「jj 回目のあとに座標 xx にいる並び(途中で負にならないもの)の数」を表にします。座標 xx に来るには、直前に xx−1{}- 1 か xx+1{}+ 1 にいたはずなので、その2つの数を足せば求まります。負の座標には進めないので 00 とします。また、jj 回目に座標が 66−j{}- j より大きいと 66 回目までに原点へ戻れないので、そのますは空欄にしています。

回 \ 座標00112233
00 回目11
11 回目0011
22 回目110011
33 回目00220011
44 回目220033
55 回目0055
66 回目5\mathbf{5}

例えば 44 回目の座標 00 は、33 回目の座標 11 から裏で来る場合だけ(座標 −1-1 からは来られない)なので 22 です。66 回目の座標 00 は、55 回目の座標 11 から来る 55 通りです。

よって、求める確率は

5×164\displaystyle 5 \times \frac{1}{64}=564‾\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{64}}

表を ○、裏を × とすると、条件を満たす並びは「○×○×○×」「○×○○××」「○○××○×」「○○×○××」「○○○×××」の 55 通りで、どれも「最初から数えて × の個数が ○ の個数を超えない」並びになっています。

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問19 ★★★

座標平面上の原点に点 Q\mathrm{Q} があります。さいころを1回投げるごとに、11 か 22 の目が出たら Q\mathrm{Q} を xx 軸の正の向きに 11、33,44,55 の目が出たら yy 軸の正の向きに 11 だけ動かし、66 の目が出たら動かしません。さいころを 66 回投げます。

(1) Q\mathrm{Q} が点 (2, 3)(2,\ 3) にある確率を求めなさい。

(2) Q\mathrm{Q} が直線 xx+y{}+ y=6{}= 6 上にある確率を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 536\dfrac{5}{36} (2) 1562546656\dfrac{15625}{46656}

解説

1回の試行で、xx 方向に動く確率は 26\dfrac{2}{6}=13{}= \dfrac{1}{3}、yy 方向に動く確率は 36\dfrac{3}{6}=12{}= \dfrac{1}{2}、動かない確率は 16\dfrac{1}{6} です。

(1) (2, 3)(2,\ 3) にあるのは、66 回のうち xx 方向が 22 回、yy 方向が 33 回、動かないのが 11 回のときです。このような結果の並びは、第4章の同じものを含む順列より 6!2! 3! 1!\dfrac{6!}{2!\,3!\,1!}=60{}= 60 通りあり、どの並びの確率も (13)2(12)3(16)\left(\dfrac{1}{3}\right)^2 \left(\dfrac{1}{2}\right)^3 \left(\dfrac{1}{6}\right) です。これらは互いに排反なので

60×19×18×16\displaystyle 60 \times \frac{1}{9} \times \frac{1}{8} \times \frac{1}{6}=60432\displaystyle {}= \frac{60}{432}=536‾\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{36}}

(2) xx+y{}+ y は動いた回数なので、xx+y{}+ y=6{}= 6 となるのは 66 回とも動く(66 の目が 11 回も出ない)ときです。

(56)6\displaystyle \left(\frac{5}{6}\right)^6=1562546656‾\displaystyle {}= \underline{\frac{15625}{46656}}

結果が3種類になっても、「並べ方の数 × 1つの並びの確率」という反復試行の考え方はそのまま使えます。2種類のときの nCk{}_n\mathrm{C}_k が、3種類では同じものを含む順列の数に変わるだけです。

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問20 ★★★

当たりの確率が 110\dfrac{1}{10} のくじを1本引き、引いたくじを元に戻すことを nn 回くり返します。必要なら、次の近似値を使ってよいものとします。

mm0.9m0.9^m
660.53140.5314
770.47830.4783
15150.20590.2059
16160.18530.1853
17170.16680.1668

(1) 少なくとも 11 回当たる確率が 12\dfrac{1}{2} 以上となる最小の nn を求めなさい。

(2) 少なくとも 22 回当たる確率が 12\dfrac{1}{2} 以上となる最小の nn を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) nn=7{}= 7 (2) nn=17{}= 17

解説

各回の試行は独立で、当たる確率は 0.10.1、はずれる確率は 0.90.9 です。どちらの確率も、nn が 11 増えると大きくなるか等しくなります(nn 回で条件を満たす結果は、nn+1{}+ 1 回引いても条件を満たすから)。したがって、条件を満たす境目の nn を見つければ、それが最小です。

(1) 余事象は「nn 回ともはずれ」で、求める確率は 11−0.9n{}- 0.9^n です。

1\displaystyle 1−0.9n\displaystyle {}- 0.9^n≧0.5\displaystyle {}\geqq 0.5  ⟺  0.9n\displaystyle {}\iff 0.9^n≦0.5\displaystyle {}\leqq 0.5

0.960.9^6=0.5314{}= 0.5314>0.5{}> 0.5,0.970.9^7=0.4783{}= 0.4783≦0.5{}\leqq 0.5 なので、最小の nn は n=7‾\underline{n = 7} です。

(2) 余事象は「当たりが 00 回または 11 回」で、その確率は

0.9n\displaystyle 0.9^n+nC1×0.1×0.9n−1\displaystyle {}+ {}_n\mathrm{C}_1 \times 0.1 \times 0.9^{n-1}=0.9n\displaystyle {}= 0.9^n+0.1n×0.9n−1\displaystyle {}+ 0.1n \times 0.9^{n-1}

です。求める確率を qnq_n=1{}= 1−0.9n{}- 0.9^n−0.1n×0.9n−1{}- 0.1n \times 0.9^{n-1} とおきます。

  • nn=16{}= 16:q16q_{16}=1{}= 1−0.1853{}- 0.1853−1.6×0.2059{}- 1.6 \times 0.2059=1{}= 1−0.1853{}- 0.1853−0.32944{}- 0.32944≒0.485{}\fallingdotseq 0.485
  • nn=17{}= 17:q17q_{17}=1{}= 1−0.1668{}- 0.1668−1.7×0.1853{}- 1.7 \times 0.1853=1{}= 1−0.1668{}- 0.1668−0.31501{}- 0.31501≒0.518{}\fallingdotseq 0.518

q16q_{16}<0.5{}< 0.5≦q17{}\leqq q_{17} なので、最小の nn は n=17‾\underline{n = 17} です(0.50.5 との差は 0.0150.015 ほどあり、近似値の誤差で結論が変わることはありません)。

(1) の 77 回に対して、(2) は 22 倍よりもずっと多い 1717 回が必要です。「少なくとも 22 回」は、余事象に「ちょうど 11 回」が加わるぶん、なかなか確率が上がりません。

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数学小話コーナー

黒が26回続いた夜のモンテカルロ

1913 年 8 月 18 日、モナコのモンテカルロのカジノで、ルーレットの玉が 26 回続けて黒 に入ったという記録が残っています(※日付や、当時の様子の細かい部分は伝える資料によって少しずつ違います)。

黒が 10 回、15 回と続くにつれて、テーブルのまわりは騒がしくなりました。「これだけ黒が続いたのだから、次こそ赤が来るはずだ」と考えた客たちが、赤に大金を賭け続けたのです。ところが黒はなかなか止まらず、赤に賭けた人たちは大損をしたと伝えられています。

この章の言葉で考えてみましょう。ヨーロッパ式のルーレットには 00 と 11〜3636 の 3737 個のポケットがあり、赤と黒が 1818 個ずつです。1回ごとの回転は、前の回の結果に影響されない独立な試行です。玉は、自分が前にどこへ入ったかを覚えていません。だから、黒が 25 回続いたあとでも、次に黒になる確率は 1837\dfrac{18}{37}、赤になる確率も 1837\dfrac{18}{37} のままです。

たしかに、26 回続けて黒になる確率は

(1837)26\displaystyle \left(\frac{18}{37}\right)^{26}≒0.0000000073\displaystyle {}\fallingdotseq 0.0000000073

で、およそ 1 億 3700 万分の 1 というとても小さな値です。しかしこれは、回し始める前に「これから 26 回続けて黒」と言い当てる確率です。すでに 25 回黒が出たあとで「次も黒」となる確率とは別物です。

「しばらく出ていないから、そろそろ出るはずだ」という思いこみは、ギャンブラーの誤謬(誤謬=論理のあやまり)と呼ばれ、この夜の出来事から「モンテカルロの誤謬」ともいわれます。

豆知識

「よく当たる」と評判の宝くじ売り場があります。けれども、当たりくじが多く出るのは、その売り場でたくさんの枚数が売れているからだと考えられます。1枚ごとの当たる確率は、どこで買っても同じです。どの1枚も、ほかのくじの当たり外れとは関係なく当たり外れが決まります。

釘の森を落ちる玉――ゴルトンボード

板にたくさんの釘を三角形に並べて打ち、上から玉を落とします。玉は釘に当たるたびに左か右へはね、いちばん下に並んだ仕切りのどれかに入ります。これをゴルトンボードといいます。イギリスの科学者フランシス・ゴルトンが 1870 年代に考案したとされます(※考案の年は資料によって 1873 年や 1874 年などと書かれています)。

玉が釘に当たって右へはねる確率を 12\dfrac{1}{2} とし、どの釘での向きも前の釘の結果に影響されないとします。すると、釘の段が 1212 段のボードで玉が落ちていく様子は、「硬貨を 1212 回投げる」反復試行と同じです。左から数えて kk 番目(00 番目から数えます)の仕切りに入るのは、1212 回のうち右へ kk 回はねたときなので、その確率は

12Ck(12)12\displaystyle {}_{12}\mathrm{C}_k \left(\frac{1}{2}\right)^{12}=12Ck4096\displaystyle {}= \frac{{}_{12}\mathrm{C}_k}{4096}

です。分子の 12Ck{}_{12}\mathrm{C}_k は

1,\displaystyle 1, 12,\displaystyle \ 12, 66,\displaystyle \ 66, 220,\displaystyle \ 220, 495,\displaystyle \ 495, 792,\displaystyle \ 792, 924,\displaystyle \ \mathbf{924}, 792,\displaystyle \ 792, 495,\displaystyle \ 495, 220,\displaystyle \ 220, 66,\displaystyle \ 66, 12,\displaystyle \ 12, 1\displaystyle \ 1

と、真ん中がいちばん大きく、両端へ向かって急に小さくなります。真ん中の3つの仕切り(kk=5,{}= 5, 6,\ 6, 7\ 7)だけで、792+924+7924096\dfrac{792 + 924 + 792}{4096}≒0.61{}\fallingdotseq 0.61、つまり約 61%61\% の玉が入ります。いちばん端の仕切りに入るのは、12 回とも同じ向きにはねたときだけで、40964096 回に 11 回です。

1個1個の玉がどこへ行くかは、まったく予想できません。それなのに、数千個の玉を落とすと、仕切りにたまった玉の山は毎回ほとんど同じ釣り鐘のような形になります。ゴルトンはこの装置で、偶然の積み重ねから規則正しい形が生まれる様子を見せようとしました。この形は、統計の分野で学ぶ二項分布や正規分布につながっていきます。

豆知識

山の形を決めているのは、パスカルの三角形の 1212 段目の数そのものです。釘の並びがパスカルの三角形と同じ形をしているのは偶然ではありません。ある釘に届く道の数は、そのすぐ上の左右2本の釘に届く道の数の和になっていて、これはパスカルの三角形の作り方と同じ規則です。

まとめて調べる検査の工夫

1000 人の血液を調べて、ごくまれな病気にかかっている人を見つけたいとします。1人ずつ検査すれば 1000 回の検査が必要です。もっと少ない回数で済ませる方法はないでしょうか。

第二次世界大戦中の 1943 年、アメリカの統計学者ロバート・ドーフマンは、兵士の血液検査について次の方法を提案しました(※当時は実際には広く使われなかったといわれています)。

  1. 何人かの血液を少しずつ混ぜて、1回で検査する。
  2. 陰性なら、その組の全員を陰性とする。
  3. 陽性なら、その組の人を1人ずつ検査し直す。

この方法をプール検査(グループ検査)といいます。

病気にかかっている人の割合を 1%1\% とし、1人1人がかかっているかどうかは互いに独立だとします。10 人ずつ組にすると、組の全員が陰性である確率は、独立な試行の積で

0.9910\displaystyle 0.99^{10}≒0.904\displaystyle {}\fallingdotseq 0.904

です。つまり、陽性になる組は 11−0.904{}- 0.904=0.096{}= 0.096、およそ 1010 組に 11 組です。1000 人を 10 人ずつ 100 組に分けると、陽性の組はおよそ 1010 組と見込まれます。検査の回数は、まとめた検査 100100 回に、陽性の組の検査し直し 10×1010 \times 10=100{}= 100 回ほどを加えて、合計およそ 200200 回です。1人ずつ調べる場合のおよそ5分の1で済みます。

ただし、うまくいくのはかかっている人が少ないときです。割合が大きいと、ほとんどの組が陽性になって、検査し直しばかりが増えてしまいます。組の人数を何人にすると最も得かは、この割合によって変わります。

豆知識

2020 年に新型コロナウイルス感染症が広がったとき、検査の数が足りない中で、いくつかの国や地域で検体をまとめて調べる方法が使われました(※採用の範囲や時期は国や地域によってさまざまです)。80 年近く前の、確率のかけ算を使ったアイデアが、あらためて役に立ったのです。

厳密定義(発展)

※ここは発展ページです。本文では「結果が互いに影響しない」という言葉で独立な試行を説明し、確率をかけてよい理由を数え上げで確かめました。ここでは第5章の定義3(有限の確率分布)を使って、「2つの試行を続けて行う」ことを1つの確率分布として定義し直します。そのうえで、事象の独立と排反の関係、3つの事象の独立で起こる落とし穴、反復試行の公式と「確率が最大になる回数」を証明します。

以下、有限集合 UU 上の確率分布 pp に対して、事象 AA⊂U{}\subset U の確率を P(A)\displaystyle P(A)=∑ω∈Ap(ω)\displaystyle {}= \sum_{\omega \in A} p(\omega) とします(第6章の厳密定義と同じ約束です)。

独立な試行を確率分布で表す

定義1:独立な試行(直積の確率分布)

試行 SS の標本空間を U1U_1、その確率分布を p1p_1、試行 TT の標本空間を U2U_2、その確率分布を p2p_2 とする。直積 UU=U1×U2{}= U_1 \times U_2 の上で

p(ω1, ω2)\displaystyle p(\omega_1,\ \omega_2)=p1(ω1) p2(ω2)\displaystyle {}= p_1(\omega_1)\, p_2(\omega_2)(ω1∈U1, ω2∈U2)\displaystyle (\omega_1 \in U_1,\ \omega_2 \in U_2)

と定めた pp を、p1p_1 と p2p_2 の直積の確率分布という。SS と TT を続けて行う試行の確率分布がこの pp であるとき、SS と TT は独立であるという。

この pp が本当に確率分布(すべて 00 以上で、総和が 11)であることは、次のように確かめられます。

∑(ω1, ω2)∈Up1(ω1) p2(ω2)\displaystyle \sum_{(\omega_1,\ \omega_2) \in U} p_1(\omega_1)\, p_2(\omega_2)=(∑ω1∈U1p1(ω1))(∑ω2∈U2p2(ω2))\displaystyle {}= \left( \sum_{\omega_1 \in U_1} p_1(\omega_1) \right) \left( \sum_{\omega_2 \in U_2} p_2(\omega_2) \right)=1×1\displaystyle {}= 1 \times 1=1\displaystyle {}= 1

2つの和の積を展開すると、(ω1, ω2)(\omega_1,\ \omega_2) のすべての組についての p1(ω1) p2(ω2)p_1(\omega_1)\, p_2(\omega_2) がちょうど1回ずつ現れるからです(第2章 定理2 の直積の数え方と同じです)。

本文の「結果が互いに影響しない」は、数学的にはこの形の分布を採用するという約束です。どの現実の試行がこの約束に合うかは、数学の外で判断することになります。

定理1:独立な試行の確率の乗法

SS と TT が独立であるとき、AA⊂U1{}\subset U_1,BB⊂U2{}\subset U_2 に対して

P(A×B)\displaystyle P(A \times B)=P1(A) P2(B)\displaystyle {}= P_1(A)\, P_2(B)

が成り立つ。ここで P1P_1,P2P_2 はそれぞれ p1p_1,p2p_2 から定まる確率である。

証明 A×BA \times B は「SS では AA が起こり、TT では BB が起こる」という事象である。定義1 と、上と同じ和の積の展開により

P(A×B)\displaystyle P(A \times B)=∑ω1∈A∑ω2∈Bp1(ω1) p2(ω2)\displaystyle {}= \sum_{\omega_1 \in A} \sum_{\omega_2 \in B} p_1(\omega_1)\, p_2(\omega_2)=(∑ω1∈Ap1(ω1))(∑ω2∈Bp2(ω2))\displaystyle {}= \left( \sum_{\omega_1 \in A} p_1(\omega_1) \right) \left( \sum_{\omega_2 \in B} p_2(\omega_2) \right)=P1(A) P2(B)\displaystyle {}= P_1(A)\, P_2(B)

(証明終)

p1p_1,p2p_2 がどちらも「同様に確からしい」分布(p1p_1=1n(U1){}= \dfrac{1}{n(U_1)},p2p_2=1n(U2){}= \dfrac{1}{n(U_2)})なら、pp=1n(U1) n(U2){}= \dfrac{1}{n(U_1)\, n(U_2)}=1n(U){}= \dfrac{1}{n(U)} となり、直積の分布も同様に確からしくなります。本文の公式1 の説明(硬貨とさいころの 1212 通り)は、この場合を数えて確かめたものです。

3つ以上の試行についても、p(ω1, …, ωm)p(\omega_1,\ \ldots,\ \omega_m)=p1(ω1)⋯pm(ωm){}= p_1(\omega_1) \cdots p_m(\omega_m) と定めれば同じように扱えます。

事象の独立と排反

定理1 で、A×BA \times B は「SS で AA」という事象 EE=A×U2{}= A \times U_2 と、「TT で BB」という事象 FF=U1×B{}= U_1 \times B の積事象 E∩FE \cap F です。P(E)P(E)=P1(A){}= P_1(A),P(F)P(F)=P2(B){}= P_2(B) なので、定理1 は P(E∩F)P(E \cap F)=P(E) P(F){}= P(E)\, P(F) と書けます。この等式そのものを、事象についての定義として取り出します。

定義2:事象の独立

同じ標本空間 UU 上の事象 EE,FF が

P(E∩F)\displaystyle P(E \cap F)=P(E) P(F)\displaystyle {}= P(E)\, P(F)

を満たすとき、EE と FF は独立であるという。独立でないとき、従属であるという。

この定義は、同じ1つの試行の中の事象にも使えます。例えば、さいころを1個投げる試行で EE=「偶数の目」、FF=「22 以下の目」とすると、E∩FE \cap F={2}{}= \{2\} で

P(E∩F)\displaystyle P(E \cap F)=16\displaystyle {}= \frac{1}{6}=12×13\displaystyle {}= \frac{1}{2} \times \frac{1}{3}=P(E) P(F)\displaystyle {}= P(E)\, P(F)

なので、EE と FF は独立です。「22 以下である」と知っても、偶数である割合は 12\dfrac{1}{2} のまま変わらない、ということを表しています。この見方は、第8章の条件付き確率であらためて扱います。

第6章の最後で予告した「排反と独立は別物」は、次のように言い表せます。

定理2:排反な事象は(ほとんど)独立でない

事象 EE,FF が互いに排反で、しかも独立ならば、P(E)P(E)=0{}= 0 または P(F)P(F)=0{}= 0 である。

証明 排反だから E∩FE \cap F=∅{}= \varnothing で、P(E∩F)P(E \cap F)=0{}= 0。独立だから P(E) P(F)P(E)\, P(F)=P(E∩F){}= P(E \cap F)=0{}= 0。2つの実数の積が 00 なので、どちらかが 00 である。(証明終)

対偶をとると、P(E)P(E)>0{}> 0,P(F)P(F)>0{}> 0 の事象が排反なら、それらは独立ではありません。一方が起こったと分かれば、他方は決して起こらないからです。

3つの事象の独立

3つの事象 E1E_1,E2E_2,E3E_3 が独立であるというときは、次の4つの等式をすべて要求します。

P(E1∩E2)\displaystyle P(E_1 \cap E_2)=P(E1) P(E2),\displaystyle {}= P(E_1)\, P(E_2),P(E2∩E3)\displaystyle \quad P(E_2 \cap E_3)=P(E2) P(E3),\displaystyle {}= P(E_2)\, P(E_3),P(E3∩E1)\displaystyle \quad P(E_3 \cap E_1)=P(E3) P(E1),\displaystyle {}= P(E_3)\, P(E_1),P(E1∩E2∩E3)\displaystyle P(E_1 \cap E_2 \cap E_3)=P(E1) P(E2) P(E3)\displaystyle {}= P(E_1)\, P(E_2)\, P(E_3)

「どの2つも独立」だけでは、最後の等式は出てきません。

定理3:どの2つも独立でも、3つが独立とは限らない

硬貨を2回投げる試行(44 通りが同様に確からしい)で、E1E_1=「1回目が表」、E2E_2=「2回目が表」、E3E_3=「1回目と2回目が同じ面」とする。このとき、E1E_1,E2E_2,E3E_3 のどの2つも独立であるが、

P(E1∩E2∩E3)\displaystyle P(E_1 \cap E_2 \cap E_3)≠P(E1) P(E2) P(E3)\displaystyle {}\neq P(E_1)\, P(E_2)\, P(E_3)

である。

証明 表を H、裏を T とすると、E1E_1={HH, HT}{}= \{\mathrm{HH},\ \mathrm{HT}\},E2E_2={HH, TH}{}= \{\mathrm{HH},\ \mathrm{TH}\},E3E_3={HH, TT}{}= \{\mathrm{HH},\ \mathrm{TT}\} で、どれも確率は 12\dfrac{1}{2} である。どの2つの共通部分も {HH}\{\mathrm{HH}\} で、確率は 14\dfrac{1}{4}=12×12{}= \dfrac{1}{2} \times \dfrac{1}{2} だから、どの2つも独立である。一方、E1∩E2∩E3E_1 \cap E_2 \cap E_3={HH}{}= \{\mathrm{HH}\} の確率は 14\dfrac{1}{4} で、12×12×12\dfrac{1}{2} \times \dfrac{1}{2} \times \dfrac{1}{2}=18{}= \dfrac{1}{8} と等しくない。(証明終)

1回目と2回目の両方が表だと分かれば、「同じ面」であることは確実になります。2つずつ見ると影響がないのに、2つの情報を合わせると3つめが決まってしまうのです。定義1 のように直積の分布から作った事象(別々の試行についての事象)なら、このようなことは起こらず、何個でもかけ算してかまいません。

反復試行の確率

定理4:反復試行の確率

00≦p{}\leqq p≦1{}\leqq 1,qq=1{}= 1−p{}- p とする。U1U_1={1, 0}{}= \{1,\ 0\} 上の分布 p1(1)p_1(1)=p{}= p,p1(0)p_1(0)=q{}= q を nn 個並べた直積の分布を考え、長さ nn の 00,11 の列 ω\omega=(ω1, …, ωn){}= (\omega_1,\ \ldots,\ \omega_n) のうち 11 がちょうど kk 個のものの集合を BkB_k とする。このとき

P(Bk)\displaystyle P(B_k)=nCk pkqn−k\displaystyle {}= {}_n\mathrm{C}_k\, p^k q^{n-k}(k=0, 1, …, n)\displaystyle (k = 0,\ 1,\ \ldots,\ n)

であり、P(B0)P(B_0)+P(B1){}+ P(B_1)+⋯{}+ \cdots+P(Bn){}+ P(B_n)=1{}= 1 が成り立つ。

証明 ω\omega∈Bk{}\in B_k に対して、直積の分布の定義から p(ω)p(\omega)=p1(ω1)⋯p1(ωn){}= p_1(\omega_1) \cdots p_1(\omega_n) で、11 の成分が kk 個、00 の成分が nn−k{}- k 個だから p(ω)p(\omega)=pkqn−k{}= p^k q^{n-k} である。これは ω\omega∈Bk{}\in B_k の選び方によらない。

BkB_k の要素は、11 を置く kk か所を nn か所から選ぶことと1対1に対応するので、n(Bk)n(B_k)=nCk{}= {}_n\mathrm{C}_k である(第4章 定理1)。よって P(Bk)P(B_k)=nCk pkqn−k{}= {}_n\mathrm{C}_k\, p^k q^{n-k}。

B0B_0,…,BnB_n は互いに排反で、和集合は U1 nU_1^{\,n} 全体である。二項定理(数と式の分野)より

∑k=0nnCk pkqn−k\displaystyle \sum_{k=0}^{n} {}_n\mathrm{C}_k\, p^k q^{n-k}=(p+q)n\displaystyle {}= (p + q)^n=1n\displaystyle {}= 1^n=1\displaystyle {}= 1

(証明終)

(p+q)n(p + q)^n を展開したときの各項が、そのまま「ちょうど kk 回」の確率になっています。反復試行の確率が二項定理の項として現れることから、kk に P(Bk)P(B_k) を対応させる分布は二項分布と呼ばれます。確率変数の言葉を使った二項分布の扱いは、データの分析と統計の分野(第7章)で学びます。

確率が最大になる回数

実践 問17 では、2020 回投げたときの 11 の目の回数で、確率が最大になるのは 33 回でした。一般には次のようになります。

定理5:反復試行の確率が最大になる kk

00<p{}< p<1{}< 1 とし、bkb_k=nCk pkqn−k{}= {}_n\mathrm{C}_k\, p^k q^{n-k}(qq=1{}= 1−p{}- p)とおく。mm=(n+1)p{}= (n + 1)p とすると

(1) kk<m{}< m−1{}- 1 ならば bkb_k<bk+1{}< b_{k+1}、kk>m{}> m−1{}- 1 ならば bkb_k>bk+1{}> b_{k+1} である(00≦k{}\leqq k≦n{}\leqq n−1{}- 1)。

(2) mm が整数でないとき、bkb_k が最大となる kk は、mm を超えない最大の整数ただ1つである。mm が整数のときは、kk=m{}= m−1{}- 1 と kk=m{}= m で最大となる(mm=n{}= n+1{}+ 1,mm=0{}= 0 にはならない)。

証明 (1) bkb_k>0{}> 0 であり

bk+1bk\displaystyle \frac{b_{k+1}}{b_k}=n−kk+1⋅pq\displaystyle {}= \frac{n - k}{k + 1} \cdot \frac{p}{q}

である(nCk+1/nCk{}_n\mathrm{C}_{k+1} \big/ {}_n\mathrm{C}_k=n−kk+1{}= \dfrac{n-k}{k+1})。kk+1{}+ 1>0{}> 0,qq>0{}> 0 だから

bk+1bk\displaystyle \frac{b_{k+1}}{b_k}>1\displaystyle {}> 1  ⟺  (n−k)p\displaystyle {}\iff (n - k)p>(k+1)q\displaystyle {}> (k + 1)q  ⟺  np\displaystyle {}\iff np−kp\displaystyle {}- kp>k\displaystyle {}> k+1\displaystyle {}+ 1−kp\displaystyle {}- kp−p\displaystyle {}- p  ⟺  k\displaystyle {}\iff k<(n+1)p\displaystyle {}< (n+1)p−1\displaystyle {}- 1=m\displaystyle {}= m−1\displaystyle {}- 1

同様に、bk+1bk\dfrac{b_{k+1}}{b_k}<1{}< 1  ⟺  k{}\iff k>m{}> m−1{}- 1、bk+1bk\dfrac{b_{k+1}}{b_k}=1{}= 1  ⟺  k{}\iff k=m{}= m−1{}- 1 である。

(2) 00<p{}< p<1{}< 1 より 00<m{}< m<n{}< n+1{}+ 1 である。

mm が整数でないとき、mm を超えない最大の整数を k0k_0 とすると、mm−1{}- 1<k0{}< k_0<m{}< m で、00≦k0{}\leqq k_0≦n{}\leqq n である。kk≦k0{}\leqq k_0−1{}- 1 ならば kk<m{}< m−1{}- 1 なので、(1) より b0b_0<b1{}< b_1<⋯{}< \cdots<bk0{}< b_{k_0}。kk≧k0{}\geqq k_0 ならば kk>m{}> m−1{}- 1 なので、bk0b_{k_0}>bk0+1{}> b_{k_0 + 1}>⋯{}> \cdots>bn{}> b_n。よって最大となる kk は k0k_0 ただ1つである。

mm が整数のとき、11≦m{}\leqq m≦n{}\leqq n である。(1) より b0b_0<⋯{}< \cdots<bm−1{}< b_{m-1},bmb_m>⋯{}> \cdots>bn{}> b_n で、kk=m{}= m−1{}- 1 のときの比が 11 だから bm−1b_{m-1}=bm{}= b_m。よって kk=m{}= m−1{}- 1,mm で最大となる。(証明終)

問17 では nn=20{}= 20,pp=16{}= \dfrac{1}{6} で mm=216{}= \dfrac{21}{6}=3.5{}= 3.5 なので、最大となるのは kk=3{}= 3 です。例えば nn=5{}= 5,pp=12{}= \dfrac{1}{2} なら mm=3{}= 3 が整数で、b2b_2=b3{}= b_3=1032{}= \dfrac{10}{32} が最大になります。mm=(n+1)p{}= (n+1)p は npnp とほとんど同じ大きさなので、「nn 回のうち、割合 pp にあたる回数のあたりが最も起こりやすい」と言いかえられます。

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定義2 の等式 P(E∩F)P(E \cap F)=P(E) P(F){}= P(E)\, P(F) は、両辺を P(E)P(E)(>0> 0)で割ると P(E∩F)P(E)\dfrac{P(E \cap F)}{P(E)}=P(F){}= P(F) となります。左辺は「EE が起こったと分かったとき、その中で FF も起こっている割合」です。第8章では、この割合を条件付き確率として定義し、「独立とは、EE が起こったと知っても FF の確率が変わらないことである」と言いかえます。第5章で扱ったくじ引きも、そこで「前の人の結果が分かったあと」の確率として見直します。

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