問1
媒介変数 を用いて , と表された図形の方程式を求めなさい。
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直線 ( を代入する)
目次 / 複素数平面と二次曲線 / 数学C
—— 「時刻ごとの位置」と「距離と向き」で曲線を表す ——
これまでは、曲線を $x$ と $y$ の関係式で表してきました。この章では、別の2つの表し方を学びます。1つ目は、曲線上の点の $x$ 座標と $y$ 座標を、角 $\theta$ や $t$ などの第3の変数で表す**媒介変数表示**です。楕円上の点を $(a\cos\theta,\ b\sin\theta)$ と書くと、第8章の最大・最小の問題が三角関数の合成で片づきます。円が転がるときに円周上の1点が描く**サイクロイド**もこの方法で表します。2つ目は、原点からの距離 $r$ と向き $\theta$ で点を表す**極座標**です。これは第2章の極形式と同じ考え方です。$r$ と $\theta$ の関係式(**極方程式**)を使うと、焦点を中心に見た放物線・楕円・双曲線を、離心率 $e$ を含む1つの式で表せます。この章で、複素数平面と二次曲線の分野は完結します。
ベクトル 第6章では、点 を通り、向きが の直線を、, と表しました。 の値を1つ決めると、直線上の点が1つ決まります。この考え方は、直線以外の曲線にもそのまま使えます。
曲線上の点 の座標が、ある変数 を用いて
と表されるとき、これを曲線の媒介変数表示といい、 を媒介変数(パラメータ)という。
円の式は、単位円による三角関数の定義そのものです。 を から まで動かすと、点 は円を反時計回りに1周します。 を消去するには、 について解いて代入する方法のほか、 のような三角関数の関係式を使う方法があります。
範囲に注意が必要なのは、たとえば のように、 が 以上 以下の値しかとらない場合です。消去した式のグラフのうち、実際に点が通るのは一部だけなので、その部分を範囲で指定します。
ダンスの振り付けで使う「立ち位置表」を思い浮かべてください。カウント では舞台のここ、カウント ではここ、と、カウントごとに横の位置と縦の位置が書かれています。媒介変数 はこのカウントです。一方、踊り終わったあとの床に残る靴の跡だけを見ると、どこを通ったかは分かりますが、何カウント目に通ったかは分かりません。 を消去した方程式は、この「床の跡」にあたります。
媒介変数表示は と を第3の変数 の式で表す方法で、 を消去すれば , の方程式に戻せますが、点が実際に通る範囲を書き添える必要があるということです。
媒介変数 , で表された次の曲線について、媒介変数を消去して , の方程式を求め、どのような曲線か求めなさい。
(1) ,
(2) ,
(3) ,
【解答】
(1) 1つ目の式から です。2つ目の式に代入して
です。 がすべての実数をとると もすべての実数をとるので、範囲の制限はありません。よって です。
(2) , を に代入して
です。これは点 を中心とする半径 の円で、 が から まで動くと、この円を1周します。
(3) 2倍角の公式 より です。ただし なので で、逆にこの範囲の にはそれを とする があります。よって
です。 が増えると、点はこの弧の上を行ったり来たりします。
第6章 公式4 では、円を 軸をもとにして 軸方向に 倍に縮めると楕円になることを学びました。円 上の点 を縮めると となり、これが楕円の媒介変数表示です。
① 円 …… ,
② 楕円 …… ,
③ 双曲線 …… ,
④ 放物線 …… ,
② の は、楕円上の点 そのものの向きではなく、 と同じ 座標をもつ円 上の点 の向きです。この円を楕円の補助円といいます。 は、 から 軸に下ろした垂線を に縮めた位置にあります。
③ は から確かめられます。 です。 の範囲()で右の枝、 の範囲で左の枝を表します。④ は、 から として代入すれば に戻ります。
人形劇の操り人形を、2人の人形遣いで動かす場面を考えます。1人は人形を左右に、もう1人は上下に動かす係で、2人は同じ合図 を聞いています。左右の係は大きく だけ、上下の係は小さく だけ動かすと決めておけば、人形は横長の楕円を描きます。同じ合図のまま、動かす幅だけを変えたのが楕円の媒介変数表示です。
楕円は円の の側を 倍にした 、双曲線は を使った で表せるということです。
(1) 楕円 と放物線 を、それぞれ媒介変数を用いて表しなさい。
(2) 媒介変数 を用いて , と表される曲線の方程式を求めなさい。
【解答】
(1) 楕円は , なので です。
放物線は より なので です。(確かめ) です。
(2) , を に代入すると
です。焦点 の双曲線で、 が の範囲を動くと、2つの枝の全体を表します。
楕円上を動く点 について の最大値を求めるとき、 と は という条件で結ばれていて、別々には動かせません。媒介変数表示を使うと、動く文字が の1つだけになります。
楕円 上の点を とおくと、 は
と合成できる( は定数)。したがって、 の最大値は ,最小値は である。
合成の手順は三角比と三角関数 第11章と同じです。 は , を満たす角で、最大になる点の座標を求めるときに使います。楕円上の点と直線 の距離も、分子が なので、同じ方法で扱えます。
キッチンの水道で、お湯と水の蛇口が別々の2つだと、温度を保ったまま勢いだけを変えるには、両方を気にしながら回さなければなりません。レバー1本の混合水栓なら、レバーの角度1つで調整できます。楕円上の点も同じで、 と の2つを条件を守りながら動かすより、 という1本のレバーで動かすほうが、とりうる値の範囲がはっきりします。
楕円上の点を とおけば、, の1次式は の三角関数になり、合成で最大値・最小値が求められるということです。
点 が楕円 上を動くとき、次のものを求めなさい。
(1) の最大値と最小値
(2) 点 と直線 の距離の最小値と、そのときの点 の座標
【解答】
()とおきます。
(1) です。ここで は , を満たす角です。 は 周分の角をすべてとるので、 の両端の値をとります。よって
です。最大になるのは のときで、, より、点 です。
(2) 点 と直線 の距離を とすると
です。 なので絶対値の中はつねに負で
です。 が最小になるのは 、つまり のときです。よって で、そのとき です。絶対値の中がつねに負であることから、この直線は楕円と共有点をもたないことも分かります。
媒介変数表示がとくに役に立つのは、「動くものが描く曲線」です。代表が、円が転がるときの曲線です。
半径 の円が 軸に接しながら、すべらずに正の向きへ転がるとき、はじめ原点にあった円周上の点 が描く曲線をサイクロイドという。円が角 だけ回転したときの の座標は
である。
導き方を確かめます。円が角 だけ回転すると、すべらずに転がるので、円が 軸上を進んだ距離は、円周のうち地面に触れた部分の長さ に等しくなります。したがって、円の中心は にあります。
次に、中心 から見た の位置を考えます。はじめ は の真下にあり、その向きは です。円は右へ転がるとき時計回りに回るので、 の向きは になります。よって
で、 の座標は です。 で円は1回転し、 は再び 軸上の点 に戻ります。
自転車のタイヤの空気を入れる口(バルブ)に、目立つ色のキャップを付けて走るようすを、横から撮影したとします。自転車は前へ進み、タイヤは回るので、キャップは「前へ進む動き」と「中心のまわりを回る動き」を足し合わせた道すじを描きます。キャップが地面に触れる瞬間は一瞬止まって見え、いちばん上に来たときは自転車の2倍の速さで進みます。 座標の は、この「進む分」から「回って戻る分」を引いた形です。
サイクロイドは、円の中心の位置 に、中心から見た点の位置 を足して求めるということです。
半径 の円が 軸に接しながら正の向きに転がるとき、はじめ原点にあった円周上の点 が描くサイクロイドを考えます。
(1) 円が だけ回転したときの点 の座標を求めなさい。
(2) 円が1回転する間()で、点 の 座標が最大になるときの の座標を求めなさい。
【解答】
公式4 で として、, です。
(1) を代入すると
より、 です。円の中心は にあり、 はその左下にあります。
(2) は、、つまり のとき最大値 をとります。このとき なので、 です。円が半回転して、 がちょうど円のてっぺんに来た位置です。
第2章では、複素数 を、原点からの距離 と偏角 を使って と表しました。平面上の点も、同じように「距離と向き」で表すことができます。
平面上に点 と、 から出る半直線 を定める。点 に対して、、 を から まで測った角とするとき、 を点 の極座標という。 を極、 を始線、 を偏角という。
極を原点、始線を 軸の正の部分に重ねると、極座標 と直交座標 の間に次の関係がある。
これまで使ってきた による座標を、極座標と区別して直交座標といいます。この章では、とくに断らない限り、極は原点、始線は 軸の正の部分とします。
極座標は、第2章の極形式と同じしくみです。複素数平面で点 の極座標は です。偏角と同じく、 に の整数倍を加えても同じ点を表します。極 は で、偏角は決まりません。極以外の点は、, とすると、極座標がただ1通りに決まります。
直交座標から極座標に直すときは、第2章の手順と同じく、点を打って を求め、, と点のある象限から を決めます。
空港の管制塔のレーダー画面では、飛行機の位置が「管制塔から何 km、どの方角」で表示されます。画面の中心が極、真北などの基準の向きが始線にあたります。地図のように東西・南北の目盛りで表すこともできますが、回転するアンテナで距離を測る装置にとっては、距離と方角で表すほうが自然なのです。
極座標は点を「極からの距離 」と「始線から測った角 」で表す方法で、, で直交座標と行き来できるということです。
極座標の偏角 は とします。
(1) 極座標が である点の直交座標を求めなさい。
(2) 直交座標が である点の極座標を求めなさい。
(3) 極座標で表された2点 , について、線分 の長さと の面積を求めなさい( は極)。
【解答】
(1) , より、 です。
(2) です。, で、点は第3象限にあるので です。よって です。
(3) , で、 です。余弦定理より
なので です。面積は
です。極座標では、2点の間の角が偏角の差としてすぐに分かるので、余弦定理や面積の公式がそのまま使えます。
直交座標で , の方程式が曲線を表したように、極座標では , の方程式が曲線を表します。
と の方程式 を満たす点 全体の表す図形を考え、この方程式を図形の極方程式という。極方程式では、 の場合も考え、極座標が ()の点とは、点 のことと約束する。
① 極を中心とする半径 の円 ……
② 極を通り、始線とのなす角が の直線 ……
③ 中心が ,半径が の円()……
④ 極から下ろした垂線の足が である直線()……
の約束は、「 の向きとは逆向きに だけ進んだ点」という意味です。この約束のおかげで、② の は、半直線ではなく、極の両側にのびる直線全体を表します。 でも ,, はそのまま成り立つので、極方程式と , の方程式は、これらの式で行き来できます。
③ は、両辺に をかけて 、つまり と直せば、 になります。図形で見ると、()を直径とする円で、円周上の点 では なので、 となっています。
④ は、直線上の点 について、直角三角形 で となることから出ます。加法定理で展開すると となり、図形と方程式で学んだ直線の式になります。
岬に立つ灯台の光が、ぐるりと回りながら海を照らしているとします。光が向いている向きを 、その向きで光が届く距離を とすると、「向きごとの届く距離」を書いた表が、光の届く範囲の境目を決めます。極方程式は、この表を式にしたものです。どの向きにも同じ距離まで届くなら境目は円 で、向きによって届く距離が変われば、いろいろな形の曲線になります。
極方程式は「向き ごとに、極からの距離 を決める式」で、,, を使えば直交座標の方程式と行き来できるということです。
(1) 極方程式 , の表す図形を、それぞれ直交座標の方程式で表しなさい。
(2) 双曲線 を極方程式で表しなさい。
【解答】
(1) の両辺に をかけると なので、、つまり
です。( をかけると の点、つまり極が加わる心配がありますが、極は のとき として、もとの方程式の図形に含まれています。)
を加法定理で展開すると
なので、 です。極から下ろした垂線の足は、極座標で 、直交座標で です。
(2) , を代入すると
です。 となる向きにだけ点があり、 に近づくと がいくらでも大きくなります。これは、漸近線 の向きです。
第5章の最後と第6・7章の厳密定義で、放物線・楕円・双曲線は、どれも「焦点からの距離 離心率 準線からの距離」を満たす点の集まりとして表せることを見ました。焦点を極にとると、この性質はとても短い極方程式になります。
焦点 を極、準線 を極から左へ ()の位置にある、始線に垂直な直線とする。 と の距離 を満たす点 全体の表す曲線の極方程式は
である。この曲線は、 のとき楕円、 のとき放物線、 のとき双曲線である。
導き方を見ます。直交座標で準線は です。 が準線の右側にあるとき、 と準線の距離は です。 なので
となります。双曲線の枝のうち準線の左側にあるほうは、この式で となる部分として表されます(公式6 の約束。詳しくは厳密定義で)。分子の は、 のときの で、焦点を通り始線に垂直な弦の長さ(放物線では通径)の半分です。
カレーの辛さを数字で選べる店を考えます。数字が より小さければ甘口、ちょうど なら中辛、 をこえれば辛口と、ルーの作り方は同じまま、1つの数字だけで味が3つに分かれます。二次曲線の極方程式も、式の形は同じで、 という1つの数字が より小さいか、等しいか、大きいかで、楕円・放物線・双曲線が切りかわります。
焦点を極にとると、放物線・楕円・双曲線はどれも と表せて、 と の大小で種類が決まるということです。
(1) 極方程式 の表す曲線を、直交座標の方程式で表しなさい。また、この曲線の離心率を求めなさい。
(2) 放物線 の焦点が原点であることを確かめ、この放物線を極方程式で表しなさい。
【解答】
(1) 分母と分子を で割ると なので、公式7 で ,()の場合です。離心率は で、曲線は楕円です。
直交座標に直します。 より です。両辺を2乗して 、整理すると
です。(2乗しても同値であることは、逆に楕円上の点では より で、両辺の正の平方根をとれば に戻れることから分かります。)
(確かめ)中心 ,, なので、焦点は と で、たしかに極が焦点です。離心率 も一致します。
(2) は、(焦点 ,準線 )を 軸方向に だけ平行移動したものです。焦点は で、たしかに原点です。準線は なので、公式7 で , として
です。(確かめ) より で、2乗すると 、つまり です。
| 知りたいこと | 使う道具 |
|---|---|
| 媒介変数表示の曲線の方程式 | 媒介変数を消去し、範囲を書き添える(公式1) |
| 円・楕円・双曲線・放物線の表示 | ,,(公式2) |
| 楕円上の点の最大・最小 | の式にして合成(公式3) |
| 転がる円の上の点 | 中心の位置 + 中心から見た位置(公式4) |
| 極座標と直交座標 | ,,(公式5) |
| 極方程式の図形 | をかけるなどして , の式に直す(公式6) |
| 焦点から見た二次曲線 | (公式7) |
第8章 実践 問17 では、楕円 の接線が座標軸とつくる三角形の面積の最小値を、接点を として求めました。接点を とおくと、接線は で、三角形の面積は となり、 のとき最小値 がすぐに読み取れます。
複素数平面と二次曲線の分野は、この章で完結です。第1〜4章では複素数を平面の点とみて、かけ算を回転と拡大として扱いました。第5〜8章では、距離の条件から放物線・楕円・双曲線を定め、平行移動と接線を学びました。この章の極座標は、第2章の極形式と、二次曲線の焦点・準線の性質を1つに結びつけるものです。媒介変数表示や極方程式で表された曲線の面積や長さは、微分積分 第15章で扱っています。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
媒介変数 を用いて , と表された図形の方程式を求めなさい。
直線 ( を代入する)
問2
円 を、媒介変数 を用いて表しなさい。
,(公式1 で )
問3
媒介変数 を用いて , と表された曲線の方程式を求めなさい。
楕円 (, を に代入する)
問4
極座標が である点の直交座標を求めなさい。
(,)
問5
極方程式 の表す図形を、直交座標の方程式で表しなさい。
円 (両辺に をかけて )
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
(1) ,
(2) ,
(3) ,
媒介変数 , で表された上の (1)〜(3) の曲線について、媒介変数を消去して , の方程式を求めなさい。
(1) (2) (3)
(1) 1つ目の式から です。2つ目の式に代入して
はすべての実数をとるので、(放物線)です。
(2) , を に代入して
です。中心 の楕円で、長軸は 軸に平行です。
(3) , を に代入して
です。公式2 ③ で , の双曲線です。
問2 ★
(1) ,
(2) ,()
媒介変数 , で表された上の (1)(2) の図形が、それぞれどのような図形か求めなさい。
(1) 放物線 の の部分 (2) 双曲線 の の部分
(1) より です。 のとりうる値は で、この範囲の にはそれを とする があるので
です。
(2) 2つの式を2乗して引くと
です。 なので です。
逆に、双曲線 上で の点をとります。 より と は同符号で、和 が正なので、どちらも正です。 とおくと で、 なので、, となります。よって
です。 の枝の全体を、過不足なく表しています。
問3 ★
(1) 点 を中心とする半径 の円
(2) 楕円
(3) 放物線
上の (1)〜(3) の曲線を、それぞれ媒介変数を用いて表しなさい。
(1) , (2) , (3) ,(表し方はほかにもあります)
(1) 公式2 ① で ,, として
です。
(2) , とおけば、 から楕円の式が成り立ちます。よって
です。中心 の楕円を、中心から だけずらした点と見ています。
(3) より なので、公式2 ④ より
です。(確かめ) です。
媒介変数表示は1通りではありません。たとえば (1) は を に変えた , でも同じ円を表します(回る向きが逆になるだけです)。
問4 ★
極座標の偏角 は とします。
(1) 極座標が , である点の直交座標
(2) 直交座標が , である点の極座標
上の (1)(2) を、それぞれ求めなさい。
(1) , (2) ,
(1) , より です。
, より です。
(2) は、 です。, で、点は第2象限にあるので です。よって です。
は、 で、 軸の負の部分にあるので です。よって です。
だけで を決めようとすると、 では で割れず、 では と取り違えやすくなります。 と の両方を見るのが確実です。
問5 ★
(1) (2) (3) (4)
上の (1)〜(4) の極方程式の表す図形を、それぞれ直交座標の方程式で表しなさい。
(1) (2) (3) (4)
(1) 極からの距離が の点全体なので、 です。
(2) 極を通り、始線とのなす角が の直線です。 の点も含めると直線全体になります。傾きは なので です。
(3) , なので です。
(4) 両辺に をかけると なので、、つまり
です。 をかけたことで極が加わる心配がありますが、極は のとき として、もとの方程式の図形に含まれています。点 を中心とし、極を通る円です。
問6 ★
(1) 円 (2) 直線 (3) 放物線
上の (1)〜(3) の図形を、それぞれ極方程式で表しなさい。
(1) (2) (3)
, を代入します。
(1) です。 の表す図形も同じ円なので、 と表せます。
(2) です。極から直線に下ろした垂線の足は なので、公式6 ④ で , の場合です。
(3) です。両辺を で割ると
です。 で割ると極()が抜ける心配がありますが、極は , としてこの式を満たすので、図形は変わりません。
問7 ★
極 と、極座標で表された2点 , について、線分 の長さと の面積を求めなさい。
,
,, です。余弦定理より
なので です。面積は
です。
(確かめ)直交座標では , なので、 です。面積は で、一致します。
問8 ★
サイクロイド ,()上で、 座標が である点の座標をすべて求めなさい。
,
より で、 では , です。
のとき、 なので です。
のとき、 なので です。
よって、求める点は , です。2点の 座標の和は で、サイクロイドの1つのアーチが直線 に関して対称であることと合っています。
問9 ★★
点 が楕円 上を動くとき、点 と の距離の最大値と最小値、およびそのときの点 の座標を求めなさい。
最大値 (),最小値 (,)
とおき、 と書きます。
です。 は の値をすべてとります。
よって , です。
に最も近い点は、 の真横の頂点 (距離 )ではありません。媒介変数で の2次関数にすると、軸 が範囲の内側にあることがすぐに分かります。
問10 ★★
媒介変数 を用いて , と表される図形がどのような図形か求めなさい。
放物線 の の部分
なので
です。 の範囲は、合成して より です。
逆に、この範囲の に対して となる があり、そのとき は自動的に成り立ちます。よって、求める図形は
です。両端は です。範囲を書き忘れると、放物線全体と答えてしまうので注意します。
問11 ★★
半径 の円 が、 軸に接しながら、すべらずに 軸の正の向きに転がります。はじめ の中心は にあり、 に固定された点 は、中心の真下で中心から距離 の点 にあります。 が角 だけ回転したときの の座標を で表し、 で の 座標が となる点の座標をすべて求めなさい。
。点は ,
が角 だけ回転すると、すべらずに転がるので、中心は だけ進んで にあります。
中心から見た は、はじめ真下(向き )にあり、円は時計回りに だけ回るので、向きは です。距離は なので、中心から へのずれは
です。よって
です。
より で、, です。
よって、求める点は , です。
円周上ではなく、円の内側の点が描く曲線をトロコイドといいます。 の 座標は 以上 以下で、サイクロイドと違って 軸には触れず、波のようになめらかにうねります。
問12 ★★
(1) (2)
上の (1)(2) の極方程式の表す曲線を、それぞれ直交座標の方程式で表し、離心率を求めなさい。
(1) 放物線 ,離心率 (2) 双曲線 ,離心率
(1) より です。両辺を2乗して
です。逆に、この放物線上の点では なので で、 に戻れます。頂点 で左に開く放物線で、焦点は 、つまり極です。 は「P と直線 の距離」なので、準線は (極の右側)で、離心率は です。
(2) より です。両辺を2乗して
です。
逆向きも確かめます。この双曲線上の点では または なので、 は 以上か 以下で、 になりません。 とおくと なので、, となる があり、点は極座標 で表されて、 を満たします。左の枝()は の部分です。
中心 ,, なので、焦点は と で、極は焦点の1つです。離心率は で、公式7 の と一致します。
問13 ★★
(1) 極方程式 の表す円の、中心の極座標と半径
(2) 極座標で表された点 を中心とする半径 の円の極方程式
上の (1)(2) を、それぞれ求めなさい。
(1) 中心 ,半径 (2)
(1) 公式6 ③ の円 ()は、中心 ,半径 の円です。 を に置きかえると、図形は極のまわりに だけ回転します(向き の点の距離が、もとの図形の向き の距離と同じになるため)。よって
です。
(確かめ)加法定理で展開すると で、両辺に をかけると 、つまり です。中心 の極座標は です。
(2) 円上の点を とします。 で、,, の余弦は なので、余弦定理より
です。 なので
です。(,, が一直線上にあるときも、 の値が となって同じ式が成り立ちます。)
直交座標では、, より 、つまり です。
問14 ★★
(1) 直線
(2) 極座標で表された2点 , を通る直線
上の (1)(2) の直線を、それぞれ (,)の形の極方程式で表しなさい。
(1) (2)
を展開すると です。直線の式を、, の係数の2乗の和が になるように割り、右辺が正になるように整えます。
(1) 係数の2乗の和の平方根は なので、両辺を で割って
です。, より で、 です。極からこの直線に下ろした垂線の足は、極座標で です。
(2) , の直交座標は , なので、直線は です。両辺を で割って
より , で、 です。
(確かめ) のとき より で、たしかに を通ります。 のときも で、 を通ります。
問15 ★★
楕円 上の2点 , と、この楕円の , の部分を動く点 があります。 の面積の最大値と、そのときの点 の座標を求めなさい。
最大値 ,
()とおきます。
, なので
です。 では なので
です。 なので、、つまり のとき最大になります。
このときの における接線は 、つまり で、直線 ()と平行です。「底辺 AB から最も遠い点では、接線が底辺に平行」という図形的な見方とも合っています。
問16 ★★
媒介変数 を用いて ,()と表される曲線 について、次の問いに答えなさい。
(1) を消去して、 の , の方程式を求めなさい。
(2) と直線 の共有点の座標をすべて求めなさい。
(1) (2) ,,
(1) で、 なので
です。逆に、この式を満たす点では ( のとき)より で、 となる は、 のものと のものの両方があります。 のどちらの符号も実際に現れるので、(1) の式は を過不足なく表します( のときは で、 の点です)。
(2) を代入すると 、つまり です。よって , で、 ,, です。
(確かめ) のとき 、 のとき です。
は「8の字」を横に倒したような曲線で、横の振動 と縦の振動 の速さの比が のリサジュー図形です(小話2)。
問17 ★★★
楕円 上の点 ()における接線が、 軸、 軸と交わる点をそれぞれ , とします。線分 の長さの最小値と、そのときの点 の座標を求めなさい。
最小値 ,
第8章 公式5 より、 における接線は
です。 として 、 として です。よって
です。()とおくと、, なので
です。, なので、相加平均と相乗平均の大小関係より
で、 です。等号は 、つまり のときに成り立ちます。このとき , で、, です。よって
です。
最小値 は、 に等しくなっています。一般に、楕円 で同じ計算をすると、 となります。
問18 ★★★
楕円 の焦点のうち、 座標が正のものを とします。
(1) を極、 から 軸の正の向きにのびる半直線を始線とする極座標で、この楕円の極方程式を求めなさい。
(2) を通る直線がこの楕円と交わる2点を , とします。 は直線によらず一定であることを示し、その値を求めなさい。
(3) (2) の弦 の長さの最小値を求めなさい。
(1) (2) (一定) (3)
(1) ,, で、,離心率は です。楕円上の点 について、第6章 公式5 より
です。 の極座標を とすると、, なので
です。 なので、 の部分は現れません。準線 が極の右側にあるので、公式7 の分母の符号が になっています。
(2) の偏角を とすると、 は をはさんで反対側にあるので、偏角は です。 より
で、 によりません。よって一定で、値は です。
(3)
です。分母は のとき最大の になるので、 の最小値は です。このとき弦は 軸に垂直で、長さ の弦です。
なお、 のとき で、長軸の長さ に一致します。(2) の値 は で、焦点を通る弦の「逆数の和が一定」は、放物線(第5章 実践 問18)と同じ性質です。
問19 ★★★
極方程式 で表される曲線 について、次の問いに答えなさい。
(1) を直交座標の方程式で表しなさい。
(2) 上の点の 座標の最小値と、そのときの点の直交座標をすべて求めなさい。
(1) (2) 最小値 ,点 ,
(1) なので、 上の点では です。両辺に をかけると 、つまり
です。両辺を2乗して
です。
逆向きを確かめます。この式を満たす点で とおくと、 です。符号が のときは から 、つまり極で、極は のとき 上にあります。符号が で のときは、点の偏角を として を で割ると で、 上の点です。
(2) 上の点の 座標は、 とおくと
です。 なので、 のとき最小値 をとります。このとき , で、 です。よって ,, です。
は、極で内側にへこんだハートの形をしていて、カージオイド(心臓形)と呼ばれます。極( の点)の 座標は ですが、そのすぐ上下で曲線は極より左にはみ出しています。 座標の最大値は のときの です。
問20 ★★★
複素数平面上で、点 が を満たしながら動きます。極を原点 、始線を実軸の正の部分とする極座標を使います。
(1) (, は実数)とするとき、 と が満たす方程式を求めなさい。
(2) (,)とするとき、 を で表しなさい。
(3) 点 が描く図形を、極方程式を用いて表しなさい。
(1) (2) () (3) 極方程式 の表す曲線(カージオイド)から原点を除いた部分
(1) , なので、条件は です。両辺を2乗して 、つまり
です。この放物線上では で なので、2乗する前の式に戻れます。例題7 (2) の放物線で、焦点は原点、準線は です。
(2) , なので、条件は 、つまり です。 ではこれを満たす がないので で
です。公式7 で , の場合です。
(3) 第2章 公式4 より
です。 の極座標を とすると、 で、 が を動くと も をちょうど1回ずつ動きます。 なので
です。逆に、 で の点は、 に対応する から得られます。極方程式 の表す曲線のうち、 に対応する点(原点)だけが除かれるので、求める図形は極方程式
の表す曲線(カージオイド)から です。 は なので であり、原点が除かれることとも合っています。
放物線の焦点を中心に「距離を逆数にし、向きを裏返す」と、ハート形のカージオイドに変わりました。 が放物線上を遠くへ行くほど、 は原点に近づき、放物線の開いた口の向き()が、カージオイドのへこみ(原点)になっています。
1696年6月、スイスの数学者ヨハン・ベルヌーイは、ライプツィヒの学術誌『アクタ・エルディトルム』で、ヨーロッパ中の数学者に向けて1つの問題を出しました。
高さの違う2点 A,B が、真上と真下ではない位置にある。A から B へ、重力だけで(摩擦なしに)すべり降りるとき、最も短い時間で着く曲線はどれか。
いちばん短い道すじは線分 AB ですが、いちばん速い道すじはそうとは限りません。はじめに急な坂を下って速さをかせげば、道のりが少し長くなっても、早く着けるかもしれないからです。ヨハンはこの曲線を、ギリシャ語で「最も短い時間」を意味するブラキストクローン(最速降下線)と名づけました。
答えはサイクロイド
答えは、この章の公式4 のサイクロイドを上下にひっくり返した曲線です。A をサイクロイドのとがった点(円が地面に触れていた点)に合わせ、B を通るように円の大きさを選びます。
どのくらい速いのか、比べてみます。半径 m の円でつくったサイクロイドの半分のアーチ(A から最も低い点まで、横に m、下に m)をすべり降りる時間は、重力加速度を として、およそ 秒です。同じ2点を結ぶ斜面(線分)をすべり降りると、およそ 秒かかります。道のりは斜面のほうが短いのに、サイクロイドのほうが2割近く速く着くのです。
「爪を見ればライオンと分かる」
期限までに正しい答えを寄せたのは、ヨハンの兄ヤコブ・ベルヌーイ、ライプニッツ、ロピタル(※)、そしてイギリスのニュートンでした。ニュートンは問題を受け取ったその日のうちに解いたと伝えられ(※)、答えを名前を伏せて送りました。それを見たヨハンが「爪を見ればライオンと分かる」と言って、ニュートンの仕事だと見抜いたという話が残っています(※諸説あり)。
ヨハンは、光が「かかる時間が最も短い道」を通って屈折することにヒントを得て解きました。一方、兄ヤコブの解き方は、「曲線全体を少しずつ変えて、いちばんよいものを探す」という新しい考え方を含んでいました。これが、のちにオイラーやラグランジュが育てた変分法の出発点になりました。
豆知識
ひっくり返したサイクロイドには、もう1つ不思議な性質があります。アーチのどの高さから玉を放しても、最も低い点に着くまでの時間が同じになるのです(等時性)。ホイヘンスがこの性質を振り子時計に使った話は、微分積分 第10章の小話で紹介しました。「いちばん速い坂」と「どこから放しても同時に着く坂」が同じ曲線だったことになります。科学館などでは、斜面・サイクロイド・深く曲がった曲線の3本のレールで玉を同時に転がす展示が見られることがあります。
1857年ごろ、フランスの物理学者ジュール・アントワーヌ・リサジューは、音の振動を目で見るための実験を工夫しました。音叉の腕に小さな鏡を貼り、そこに光を当てて、反射した光をスクリーンに映したのです。音叉が鳴ると鏡がふるえ、光の点が小刻みに往復します。
2つの振動を組み合わせる
リサジューは、鏡を付けた音叉を2本用意し、1本は左右に、もう1本は上下に光をふらせるように並べました。光の点の位置は、時刻を として
という媒介変数表示で表されます。, は2本の音叉の振動の速さ(周波数)、 はタイミングのずれです。この曲線をリサジュー図形といいます(アメリカのボウディッチが、振り子を使って先に調べていたともいわれます ※)。
周波数を「形」で比べる
この性質は、2つの振動の周波数の比を調べるのに役立ちました。形が止まって見えれば比はちょうど整数の比で、形がゆっくり回るように変わり続けるなら、比がわずかにずれています。音叉の調整や、電気信号を画面に映すオシロスコープでの周波数の測定に、長く使われてきました。
豆知識
オーストラリア放送協会(ABC)のロゴは、リサジュー図形をもとにデザインされたといわれています(※)。また、天井からつるした振り子にペンを付け、2方向の揺れを組み合わせて紙に模様を描く「ハーモノグラフ」という装置も、同じしくみで美しい曲線を描きます。
ひまわりの花の中心には、たくさんの種がすき間なく並び、右回りと左回りのうずまきが何本も見えます。うずまきの本数にフィボナッチ数が現れやすいことは、数列 第7章の小話でも触れました。ここでは、「種をどう並べると、あの模様になるのか」を極座標で考えます。
フォーゲルのモデル
1979年、ヘルムート・フォーゲルは、ひまわりの種の並びを次の簡単な規則で再現してみせました。中心から数えて 番目の種を、極座標で
の位置に置く、というものです。種を1つ置くごとに、向きを ずつ回し、極からの距離を に比例させて少しずつ外へ広げていきます。
距離を に比例させるのは、種1つあたりの面積をそろえるためです。半径 の円の面積は で、 に比例します。 個の種が、ちょうど に比例する面積を分け合うので、中心から外まで同じ密度で並びます。
なぜ なのか
回す角が の簡単な分数だと、うまくいきません。たとえば ずつ回すと、4個ごとに同じ向きに戻るので、種は4本のまっすぐな腕の上に並び、腕と腕の間が大きく空きます。 なら5本の腕です。一般に、回す角が なら、種は 本の半直線の上にしか並びません。
は、黄金比 を使って と表される黄金角です。 は、どんな簡単な分数でも近似しにくい無理数なので、何個置いても同じ向きにほとんど重なりません。そのため種はすき間なく広がり、腕の代わりに、近似の分数の分母にあたる本数(,, などのフィボナッチ数)のうずまきが見えてくるのです。角をほんの ずらすだけでも、模様にすき間の筋が現れることが、コンピュータで確かめられます。
豆知識
実際のひまわりが、いつもこのとおりに育つわけではありません。2016年に発表された、イギリスの市民参加の調査では、観察されたひまわりのうち、およそ5つに1つで、うずまきの本数がフィボナッチ数にならなかったと報告されています(※)。一方、このきれいな並べ方は人の工夫にも使われていて、太陽の光を鏡で1か所に集める太陽熱発電所で、ひまわりの並びをまねて鏡を配置すると、土地を節約できるという研究もあります(※)。
※ここは発展ページです。本文では、媒介変数表示を「消去すれば , の方程式になるもの」、極方程式を「 をかけるなどして直交座標に直せるもの」として使いました。ここでは、曲線の表し方を集合の言葉で定義し直し、楕円と双曲線の媒介変数表示が曲線を過不足なく表すことを証明します。そのうえで、極座標の表し方が1通りでないことから生まれる注意点を整理し、二次曲線の極方程式(公式7)を、双曲線のもう一方の枝まで含めて証明します。
区間 で定義された2つの関数 , に対して、集合
を、,()で媒介変数表示された曲線という。方程式 の表す図形が と一致するとき、この媒介変数表示は図形 を表すという。
「一致する」ためには、(i) どの についても点 が を満たすことと、(ii) を満たすどの点にも、それを与える があることの両方が必要です。媒介変数を消去する計算は (i) しか示していないので、本文の例題1 (3) や実践 問2・問10 では (ii) を別に確かめました。
同じ図形でも、媒介変数表示は1通りではありません。たとえば ,()と ,()は、どちらも単位円を表します。
, とする。写像
は、区間 から楕円 への1対1の対応(どの点にもちょうど1つの が対応する)である。
証明 なので、像は に含まれる。
逆に とすると、 なので、点 は単位円上にある。単位円上の点には、, を満たす が の範囲にちょうど1つある(第2章 厳密定義 定義1 の偏角と同じ議論)。この に対して であり、 と の値の組が同じになる はこの範囲に1つしかないので、対応は1対1である。(証明終)
のときは円の媒介変数表示です。 のとき、 は点 の偏角とは一致しない(本文の補助円の説明)ことに注意してください。
, とし、 とする。写像
は、 から双曲線 への1対1の対応である。さらに、 の は の枝に、 の は の枝に対応する。
証明 より、像は に含まれる。 の符号は の符号と同じである。
逆に とする。 なので である。, とおくと
であり、 である。よって , を満たす がちょうど1つある。このとき , である。
逆に、 となる は , を満たすので、上の しかない。(証明終)
放物線 ()の表示 ( は実数全体)も、 によって が点から1つに決まるので、1対1の対応です。
極 と始線を定める。実数の組 に対して、直交座標が である点を、極座標で と表される点という。
この定義は、本文の の場合と、公式6 の「 なら点 」の約束を、1つにまとめたものです。実際、 のとき , です。
(1) 極 は、( は任意の実数)と表され、それ以外の表し方はない。
(2) 極以外の点 は、, の範囲でただ1通りに と表される。 のすべての表し方は、 を整数として
である。
証明 点 と極の距離は なので、極を表すのは のときに限る。これで (1) が示された。
(2) 前半は、第2章 厳密定義 定理1(極形式の一意性)で、点 を複素数 とみたものである。 が を表すとすると、 である。 なら , より である。 なら , より である。逆に、これらがすべて を表すことは明らかである。(証明終)
, の方程式 に対して、少なくとも1つの表し方 がこの方程式を満たすような点全体の集合を、極方程式 の表す図形という。
定理3 により1つの点には無数の表し方があるので、「少なくとも1つ」という言葉が大切です。たとえば、点 は を満たしませんが、同じ点の別の表し方 が満たすので、極方程式 の図形に含まれます。こうして と は同じ円を表します。
この定義から、次の注意が生まれます。2つの極方程式の図形の共有点を求めるとき、連立方程式を解くだけでは足りないことがあります。共有点で、2つの方程式を満たす表し方が別々でもよいからです。
たとえば、円 と円 を連立すると、 から , で、どちらも同じ点 を与えます。しかし極も共有点です。極は、1つ目の式では 、2つ目の式では という別の表し方で満たされるので、連立方程式からは出てきません。直交座標では、 と を連立して、 と の2点がきちんと得られます。
, とし、点 を極、直線 を準線とする(直交座標は、極を原点、始線を 軸の正の部分として定める)。点 と の距離を として
とおくと、 は極方程式
の表す図形と一致する。さらに、 のときは のすべての点が ① を の表し方で満たし、 のときは、 のうち の左側にある点は の表し方でだけ ① を満たす。
証明 点 の表し方の1つを とすると、, である。
(① の図形 ) が ① を満たすとする。① は と同じなので、両辺の絶対値をとって 、つまり である。
( ① の図形) とする。 なら となり矛盾するので、 である。 を の表し方 で表し、 とする。 が 上にあると となるので、 である。
となり、 が ① を満たす。
最後に、 の点があるのは のときに限ることを示す。 から が必要で、 なので である。また、 の左側の点 が の表し方 で ① を満たすと、 となって矛盾する。(証明終)
のときは、( では を除く)なので、① を と書けば、 ごとに曲線上の点がちょうど1つずつ決まります。 のときは、 となる向き、つまり の向きで となり、その点は極の反対側、準線の左の枝にあらわれます。 となる2つの向きは、双曲線の漸近線の向きです。
第5〜7章の厳密定義で見たとおり、 は で楕円、 で放物線、 で双曲線です。ここで は のときの で、焦点を通り主軸に垂直な弦の長さの半分です。これを半通径ということがあり、楕円・双曲線では 、放物線 では に等しくなります。
とし、 とおく。焦点 を通る直線が曲線 と2点 , で交わるとき
が成り立つ。
証明 なので、定理4 より , は の表し方で ① を満たす。 とすると、 は をはさんで反対側にあるので と表せる。① より
である。(証明終)
楕円では で、実践 問18 (2) の です。放物線 ()では で、第5章 実践 問18 の結果と一致します。双曲線でも、, が同じ枝にあれば、同じ計算で同じ式が成り立ちます。2つの枝にまたがる弦では、一方が で表されるため、 に変わります。
焦点ではなく中心を極にとると、楕円は別の形の極方程式になり、別の性質が見えてきます。
(1) 楕円 は、中心を極として、極方程式
で表される。
(2) この楕円上の2点 , が を満たすとき
が成り立つ。
証明 (1) , を代入すると である。極()はこの式を満たさず、楕円上にもない。 なら両辺を で割って (1) の式を得る。逆の変形もできる。
(2) とすると、 は と表せる。, なので、(1) より
である。(証明終)
(2) から、原点から直角三角形 の斜辺 に下ろした垂線の長さ は、 より、 の位置によらず一定です。つまり、直角をはさむ弦 は、すべて原点を中心とする1つの円に接します。
最後に、この先の話題を紹介します。極方程式 で表された曲線と、2本の半直線 , で囲まれた部分の面積は、中心角の小さい扇形(面積 )を足し合わせる考え方で
と表されます。実践 問19 のカージオイド では、 となります(紹介のみ。定積分は微分積分の分野で学びます)。
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