目次 / 図形の性質 / 数学A

第5章 円の接線と方べきの定理

—— 円に「触れる」直線と、円を「切る」直線——長さの積がそろうしくみ ——

第4章では円と「角」の関係を調べました。この章では円と「直線」の関係に進みます。直線が円に触れる(接する)とき何が起こるか、円の外の点から引いた 2 本の接線の長さが等しいのはなぜか、接線と弦が作る角が円周角と等しくなる理由(接弦定理)を学びます。後半は、点を通る直線で円を切ったときに現れる「2 つの長さの積はいつも同じ」という方べきの定理と、その逆、そして 2 つの円の位置関係と共通接線までを扱います。第2章・第3章から持ち越している「接線の長さは等しい」も、ここで証明がつきます。

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この章で使う言葉と記号

円と直線の話に入る前に、言葉をそろえておきます。

記号は第4章と同じく、円は OO、半径は rr(2 つの円を比べるときは rr と r′r')、中心 OO と直線 ℓ\ell の距離は dd と書きます。

円と直線の位置関係——距離と半径を比べる

円 OO と直線 ℓ\ell の関係は、3 通りしかありません。どれになるかは、OO から ℓ\ell に下ろした垂線の長さ dd と、半径 rr の大小で決まります。

r d O ℓ H d > r 共有点 0 個 r d O ℓ H d = r 共有点 1 個(接する) r d O ℓ H d < r 共有点 2 個 距離 d と半径 r の大小で、共有点の個数が決まる

垂線の足を HH とすると、ℓ\ell 上の点のうち OO にいちばん近いのは HH です(ℓ\ell 上のほかの点 XX は、直角三角形 OHXOHX の斜辺の端なので OXOX>OH{}> OH)。

dd=r{}= r のときの接点は垂線の足そのものなので、接線は接点を通る半径に垂直です。

公式1:円と直線の位置関係・接線と半径

半径 rr の円 OO と直線 ℓ\ell について、OO と ℓ\ell の距離を dd とすると

dd と rr位置関係共有点
d>rd > r離れている0 個
d=rd = r接する1 個
d<rd < r2 点で交わる2 個

円の接線は、接点を通る半径に垂直である。逆に、円周上の点 AA を通り半径 OAOA に垂直な直線は、AA における接線である。

ボールを壁ぎわへ転がしていくところを思い浮かべてください。ボールの中心と壁の距離が半径より大きいうちは、まだ壁に触れていません。距離がちょうど半径になった瞬間、ボールは壁に 1 点だけで触れます。そのとき、中心から触れている点へ引いた線は、壁にまっすぐ突き当たっています。斜めに当たっていたら、もっと近い点が壁にあるはずだからです。

円と直線の関係は「中心までの距離」と「半径」の比べっこで決まり、ぴったり等しいときの接線は半径と直角に交わるということです。

接線の長さ——2 本の接線は同じ長さ

円の外の点 PP からは、接線がちょうど 2 本引けます。接点を AA,BB とすると、∠OAP\angle OAP=∠OBP{}= \angle OBP=90∘{}= 90^\circ(公式1)。直角三角形 OAPOAP と OBPOBP は、斜辺 OPOP が共通で、OAOA=OB{}= OB(半径)です。斜辺と他の 1 辺がそれぞれ等しいので合同になり

PA\displaystyle PA=PB,\displaystyle {}= PB,∠APO\displaystyle \angle APO=∠BPO\displaystyle {}= \angle BPO

が出ます。第2章・第3章で「中学で学んだ事実」として使ってきた接線の長さの等しさは、この合同が根拠です。

A B O P M r PA = PB。図は直線 OP について線対称

この事実を 4 回使うと、四角形についておもしろい条件が出ます。四角形 ABCDABCD の 4 つの辺すべてに接する円があるとき(円に外接する四角形)、各頂点から接点までの長さを aa,bb,cc,dd とすると、4 つの辺は

AB\displaystyle AB=a\displaystyle {}= a+b,\displaystyle {}+ b,BC\displaystyle BC=b\displaystyle {}= b+c,\displaystyle {}+ c,CD\displaystyle CD=c\displaystyle {}= c+d,\displaystyle {}+ d,DA\displaystyle DA=d\displaystyle {}= d+a\displaystyle {}+ a

と書けます。向かい合う辺の和を作ると、どちらも aa+b{}+ b+c{}+ c+d{}+ d です。

a a b b c c d d A B C D 接点までの長さは同じ色どうし等しい。AB + CD = BC + DA
公式2:接線の長さ・円に外接する四角形
  1. 円の外の点 PP から引いた 2 本の接線の接点を AA,BB とすると PA\displaystyle PA=PB\displaystyle {}= PB また、直線 POPO は ∠APB\angle APB を 2 等分し、弦 ABAB と垂直に交わる。
  2. 四角形 ABCDABCD が円に外接するならば、向かい合う辺の長さの和は等しい。 AB\displaystyle AB+CD\displaystyle {}+ CD=BC\displaystyle {}= BC+DA\displaystyle {}+ DA

(2) の逆(向かい合う辺の和が等しい凸四角形には、4 辺に接する円がある)も成り立ちます。証明は厳密定義ページで。

太い丸い柱の向こう側を、左から回り込んで覗く視線と、右から回り込んで覗く視線を考えてみてください。柱の表面をかすめる 2 本の視線は、あなたと柱の中心を結ぶ線をはさんで鏡に映したような形になります。だから、目から柱に触れる点までの距離は、左右で同じです。

(2) のほうは、双子を 4 組集めて 2 チームに分ける場面に似ています。どの双子も片方をチーム AB⋅CDAB \cdot CD に、もう片方をチーム BC⋅DABC \cdot DA に入れる決まりなら、2 チームの身長の合計は必ず等しくなります。

円の外の 1 点からの 2 本の接線は、長さも角度も左右でそろうということです。四角形ではそれが「向かい合う辺の和が等しい」という形で現れます。

例題1:接線の長さと弦

半径 55 の円 OO があり、OPOP=13{}= 13 の点 PP から円に 2 本の接線を引き、接点を AA,BB とします。

(1) 接線の長さ PAPA を求めなさい。

(2) 四角形 PAOBPAOB の面積を求めなさい。

(3) 弦 ABAB の長さを求めなさい。

5 13 A B O P M 例題1:OA = 5,OP = 13。AB は OP と垂直に交わる

【解答】

(1) ∠OAP\angle OAP=90∘{}= 90^\circ なので、直角三角形 OAPOAP で三平方の定理より

PA\displaystyle PA=OP2−OA2\displaystyle {}= \sqrt{OP^2 - OA^2}=169−25\displaystyle {}= \sqrt{169 - 25}=144\displaystyle {}= \sqrt{144}=12‾\displaystyle {}= \underline{12}

(2) 四角形 PAOBPAOB は、合同な直角三角形 OAPOAP と OBPOBP を合わせたものです。

2×12×5×12\displaystyle 2 \times \frac{1}{2} \times 5 \times 12=60‾\displaystyle {}= \underline{60}

(3) 公式2 (1) より ABAB⊥OP{}\perp OP です。交点を MM とすると、AMAM は直角三角形 OAPOAP の斜辺 OPOP への高さなので、面積を 2 通りに表して

12×OP×AM\displaystyle \frac{1}{2} \times OP \times AM=12×OA×PA\displaystyle {}= \frac{1}{2} \times OA \times PA⟹AM\displaystyle {}\Longrightarrow\quad AM=5×1213\displaystyle {}= \frac{5 \times 12}{13}=6013\displaystyle {}= \frac{60}{13}

ABAB=2AM{}= 2AM(OPOP について線対称)なので

AB\displaystyle AB=12013‾\displaystyle {}= \underline{\frac{120}{13}}

接弦定理——接線と弦が作る角

第4章の円周角の定理で、円周角の頂点 CC を弦の端 AA にどんどん近づけていくと、どうなるでしょうか。弦 CACA は短くなっていき、最後には AA における接線の向きになります。そのあいだ、角の大きさはずっと変わりません。行き着いた先の角——接線と弦 ABAB が作る角——も、同じ円周角に等しいはずです。

A B C D O T 接線と弦 AB の作る角 ∠BAT は、円周角 ∠ACB に等しい

この予想は正しく、円周角の定理を使って証明できます。AA を通る直径 ADAD を引くと、公式1 より ∠DAT\angle DAT=90∘{}= 90^\circ、第4章 公式2 より ∠ABD\angle ABD=90∘{}= 90^\circ。すると

∠BAT\displaystyle \angle BAT=90∘−∠DAB\displaystyle {}= 90^\circ - \angle DAB=∠ADB\displaystyle {}= \angle ADB=∠ACB\displaystyle {}= \angle ACB

最後の等号は、∠ADB\angle ADB と ∠ACB\angle ACB がどちらも弧 ABAB に対する円周角だからです(図は ∠BAT\angle BAT が鋭角の場合。直角・鈍角の場合は厳密定義ページで扱います)。

公式3:接弦定理

円の弦 ABAB と、点 AA における接線 ATAT が作る角 ∠BAT\angle BAT は、その角の内側にある弧 ABAB に対する円周角に等しい。

∠BAT\displaystyle \angle BAT=∠ACB\displaystyle {}= \angle ACB

ここで CC は、その弧の上にない円周上の点(CC と TT は直線 ABAB について反対側)。

円形のグラウンドの周りを歩きながら、グラウンドの縁に立つ旗 AA と旗 BB を同時に眺めているとします。2 本の旗の見え方の角度は、どこを歩いても変わりません(第4章)。旗 AA にぴったりたどり着いた瞬間、AA の旗はもう足もとにあり、「AA を見る向き」は自分がいま進んでいる向き、つまり円の接線の向きに重なります。それでも角度は変わらない——これが接弦定理です。

接線と弦の作る角は、円周角の頂点を接点まで滑らせたものなので、円周角と同じ大きさだということです。

例題2:接弦定理で角を求める

△ABC\triangle ABC が円に内接していて、点 AA における接線上に点 TT,SS を、TT は直線 ABAB について CC と反対側、SS は直線 ACAC について BB と反対側にとります。∠BAT\angle BAT=65∘{}= 65^\circ,∠ABC\angle ABC=50∘{}= 50^\circ のとき、∠ACB\angle ACB,∠BAC\angle BAC,∠CAS\angle CAS を求めなさい。

65° 50° A B C T S 例題2:接線 SAT。赤どうし・緑どうしが接弦定理の組

【解答】

∠BAT\angle BAT の内側にある弧 ABAB に対する円周角が ∠ACB\angle ACB なので、公式3 より

∠ACB\displaystyle \angle ACB=∠BAT\displaystyle {}= \angle BAT=65∘‾\displaystyle {}= \underline{65^\circ}

△ABC\triangle ABC の内角の和から

∠BAC\displaystyle \angle BAC=180∘−50∘−65∘\displaystyle {}= 180^\circ - 50^\circ - 65^\circ=65∘‾\displaystyle {}= \underline{65^\circ}

∠CAS\angle CAS についても同じように、その内側にある弧 ACAC に対する円周角が ∠ABC\angle ABC なので

∠CAS\displaystyle \angle CAS=∠ABC\displaystyle {}= \angle ABC=50∘‾\displaystyle {}= \underline{50^\circ}

確かめ:TT,AA,SS は一直線なので、∠BAT\angle BAT+∠BAC{}+ \angle BAC+∠CAS{}+ \angle CAS=65∘+65∘+50∘{}= 65^\circ + 65^\circ + 50^\circ=180∘{}= 180^\circ。合っています。ABAB の両側の角 ∠BAT\angle BAT と ∠ACB\angle ACB、ACAC の両側の角 ∠CAS\angle CAS と ∠ABC\angle ABC が、それぞれ「接弦定理のペア」になっていることを図で確かめてください。

方べきの定理——長さの積はいつも同じ

点 PP を通る直線で円を切ると、円との交点が 2 つできます。PP からそれぞれの交点までの長さを掛け合わせると、直線の向きをどう変えても同じ値になります。これが方べきの定理です。PP が円の内側にあっても外側にあっても成り立ち、外側では接線の場合も含みます。

A B C D P (i) 交わる弦 PA·PB = PC·PD A B C D P (ii) 2 本の割線 PA·PB = PC·PD B T A P (iii) 割線と接線 PA·PB = PT² 方べきの定理の 3 つの形。長さはどれも P から測る

証明は相似です。(i) の場合、△PAC\triangle PAC と △PDB\triangle PDB で、∠APC\angle APC=∠DPB{}= \angle DPB(対頂角)、∠PAC\angle PAC=∠PDB{}= \angle PDB(弧 BCBC に対する円周角)なので 2 角が等しく

△PAC∽△PDB\displaystyle \triangle PAC \backsim \triangle PDB⟹PAPD\displaystyle {}\Longrightarrow\quad \frac{PA}{PD}=PCPB\displaystyle {}= \frac{PC}{PB}⟹PA⋅PB\displaystyle {}\Longrightarrow\quad PA \cdot PB=PC⋅PD\displaystyle {}= PC \cdot PD
A B C D P (i) △PAC ∽ △PDB A B C D P (ii) △PAC ∽ △PDB 赤と緑の三角形が相似。同じ色の角が等しい

(ii) では、∠P\angle P が共通で、∠PAC\angle PAC=∠PDB{}= \angle PDB(四角形 ABDCABDC が円に内接するので、外角 == 内対角。第4章 公式5)。(iii) では、∠P\angle P が共通で、∠PTA\angle PTA=∠PBT{}= \angle PBT(接弦定理)なので △PTA∽△PBT\triangle PTA \backsim \triangle PBT となり、PT2PT^2=PA⋅PB{}= PA \cdot PB が出ます。

公式4:方べきの定理

点 PP を通る 2 本の直線が、円とそれぞれ AA,BB および CC,DD で交わるとき

PA⋅PB\displaystyle PA \cdot PB=PC⋅PD\displaystyle {}= PC \cdot PD

PP が円の内部にあるとき((i) 交わる弦)も、外部にあるとき((ii) 2 本の割線)も成り立つ。

PP が円の外部にあり、PP から引いた接線の接点を TT とすると

PA⋅PB\displaystyle PA \cdot PB=PT2\displaystyle {}= PT^2(iii)\displaystyle \text{(iii)}
  • この一定の値を、円に対する点 PP の方べきといいます。半径 rr、OPOP=p{}= p とすると、PP が内部なら r2r^2−p2{}- p^2、外部なら p2p^2−r2{}- r^2 です(PP を通る直径で測るとすぐ分かります)。

面積が 24 m224\,\mathrm{m}^2 と決まっている長方形の花壇を考えてください。縦を 3 m3\,\mathrm{m} にすれば横は 8 m8\,\mathrm{m}、縦を 4 m4\,\mathrm{m} にすれば横は 6 m6\,\mathrm{m}。片方を伸ばせば、もう片方が縮んで、積は動きません。点 PP を通る直線の向きを変えるのは、この花壇の縦横を取りかえるのと同じです。面積にあたる「方べき」は、円と点 PP の位置だけで決まっています。

点 PP を通るどの直線で円を切っても、PP から 2 つの交点までの長さの積は同じだということです。接線は、2 つの交点が 1 つに重なった場合です。

第4章の例題3 で、2 本の弦の交点にできる角が「向かい合う 2 つの弧に対する円周角の和」になることを見ました。同じ交点には、角だけでなく長さについても、この方べきの関係が成り立っているわけです。

例題3:方べきの定理の 3 つの形

次の xx を求めなさい。点の並び方は、それぞれの直線上で ( ) 内の順とします。

(1) 円の弦 ABAB,CDCD が点 PP で交わり、PAPA=4{}= 4,PBPB=6{}= 6,PCPC=3{}= 3,PDPD=x{}= x。

(2) 円の外の点 PP を通る 2 直線が円と AA,BB および CC,DD で交わり(PP,AA,BB の順、PP,CC,DD の順)、PAPA=4{}= 4,ABAB=5{}= 5,PCPC=3{}= 3,CDCD=x{}= x。

(3) 円の外の点 PP を通る直線が円と AA,BB で交わり(PP,AA,BB の順)、PAPA=2{}= 2,ABAB=6{}= 6。PP から引いた接線の長さ PTPT=x{}= x。


【解答】

(1) 公式4 (i) より 4×64 \times 6=3×x{}= 3 \times x なので xx=8‾{}= \underline{8}。

(2) PBPB=PA{}= PA+AB{}+ AB=9{}= 9 です。公式4 (ii) より PA⋅PBPA \cdot PB=PC⋅PD{}= PC \cdot PD なので

4×9\displaystyle 4 \times 9=3×PD\displaystyle {}= 3 \times PD⟹PD\displaystyle {}\Longrightarrow\quad PD=12\displaystyle {}= 12

CDCD=PD{}= PD−PC{}- PC=12{}= 12−3{}- 3 より xx=9‾{}= \underline{9}。

(3) PBPB=2{}= 2+6{}+ 6=8{}= 8。公式4 (iii) より

x2\displaystyle x^2=PA⋅PB\displaystyle {}= PA \cdot PB=2×8\displaystyle {}= 2 \times 8=16\displaystyle {}= 16

xx>0{}> 0 なので xx=4‾{}= \underline{4}。

(2) で PDPD に CDCD をそのまま入れてしまうのが、いちばん多い間違いです。方べきの定理の長さは、いつも PP から測ります。

方べきの定理の逆——積がそろえば同じ円の上

方べきの定理も、逆が成り立ちます。第4章の「4 点が同一円周上にあることを示す道具」に、長さを使うものが 1 つ加わります。

公式5:方べきの定理の逆
  1. 2 直線 ABAB,CDCD が点 PP で交わり、PP が線分 ABAB,CDCD の両方の内部にあるか、両方の外部にあって PA⋅PB\displaystyle PA \cdot PB=PC⋅PD\displaystyle {}= PC \cdot PD が成り立つならば、4 点 AA,BB,CC,DD は同一円周上にある。
  2. 点 PP が線分 ABAB の延長上にあり、PP を通り直線 ABAB 上にない点 TT について PT2PT^2=PA⋅PB{}= PA \cdot PB ならば、直線 PTPT は 3 点 AA,BB,TT を通る円に TT で接する。

証明の流れは (1) も (2) も同じで、式を PAPC\dfrac{PA}{PC}=PDPB{}= \dfrac{PD}{PB} と比の形に直すと、2 辺の比とその間の角が等しいので相似が出ます。相似から角が等しくなり、第4章の公式6((1) の場合)や、接弦定理の逆((2) の場合、厳密定義ページ)に持ち込めます。

「両方の内部」「両方の外部」の条件は外せません。4 点が 1 つの円の上にあるとすると、PP が弦 ABAB の内部にあれば PP は円の内側、弦 CDCD の外部にあれば PP は円の外側にあることになり、両立しないからです。PP が線分 ABAB の内部で線分 CDCD の外部なら、積が等しくても 4 点は同じ円に乗りません。

たとえば会員証の番号のように、「PP に対する方べき」は円ごとに決まった値です。PP を通る 2 本の直線の上で積が一致したら、「同じ円の会員証を持っている」と判定してよい——公式5 はそう言っています。

長さの積 PA⋅PBPA \cdot PB と PC⋅PDPC \cdot PD が一致すれば、4 点が同一円周上にあると言えるということです。

2 つの円の位置関係と共通接線

最後に、円と円の関係です。半径 rr,r′r'(rr>r′{}> r')の 2 つの円の中心間の距離を dd とすると、位置関係は 5 通りに分かれます。

d > r + r' 互いに外部 d = r + r' 外接する r − r' < d < r + r' 2 点で交わる d = r − r' 内接する d < r − r' 一方が内部 d を r + r' と r − r' と比べて、位置関係が決まる
公式6:2 つの円の位置関係と共通接線

半径 rr,r′r'(rr>r′{}> r')の 2 円の中心間の距離を dd とする。

dd の範囲位置関係共有点共通接線
d>r+r′d > r + r'互いに外部にある0 個4 本
d=r+r′d = r + r'外接する1 個3 本
r−r′<d<r+r′r - r' < d < r + r'2 点で交わる2 個2 本
d=r−r′d = r - r'内接する1 個1 本
d<r−r′d < r - r'一方が他方の内部にある0 個0 本

2 円が接するとき、接点は 2 つの中心を結ぶ直線の上にある。

2 円が互いに外部にあるとき、共通接線の接点間の長さは

共通外接線:d2−(r−r′)2,\displaystyle \text{共通外接線:}\sqrt{d^2 - (r - r')^2},共通内接線:d2−(r+r′)2\displaystyle \text{共通内接線:}\sqrt{d^2 - (r + r')^2}

「2 点で交わる」の条件 rr−r′{}- r'<d{}< d<r{}< r+r′{}+ r' は、2 つの中心と交点の 1 つが作る三角形(辺の長さ dd,rr,r′r')が存在する条件そのものです。第1章の厳密定義ページで、三角形の成立条件 ∣b−c∣|b - c|<a{}< a<b{}< b+c{}+ c の逆を「2 円が 2 点で交わる条件」として説明しました。同じ不等式に、ここで戻ってきたわけです。

日食を思い浮かべるとイメージしやすいでしょう。地上から見た月の円盤が太陽の円盤に近づいていくとき、離れている → 縁が触れる → 欠け始める(2 点で交わる)と進みます。月の見かけの円盤が太陽より小さい日には、月が太陽の内側にすっぽり入って縁に触れ、やがて完全に内側に収まります。これが金環日食で、公式6 の表を上から下へ順にたどったものです。

共通接線のほうは、2 つの滑車にかけたベルトが実物です。ベルトをそのまま掛ければ共通外接線、8 の字にたすき掛けすれば共通内接線になります。

O O' S T H d 共通外接線 OH = r − r' ST = √(d² − (r − r')²) O O' S T H d 共通内接線 OH = r + r' ST = √(d² − (r + r')²) ST を平行移動した HO' で、斜辺 d の直角三角形を作る

長さの公式は、図のように接線を平行移動して直角三角形を作れば出ます。共通外接線 STST を、O′O' を通るように平行移動すると、OSOS 上に長さ rr−r′{}- r' の部分が残り、斜辺 dd の直角三角形ができます。共通内接線では OSOS を延長して rr+r′{}+ r' になります。

2 つの円の関係は、中心間の距離 dd を rr+r′{}+ r' と rr−r′{}- r' にはさんで比べれば決まり、共通接線の長さは直角三角形 1 つで求まるということです。

例題4:棒がいちばん大きく見える位置(第4章 小話1 の続き)

直線 ℓ\ell 上に点 OO があり、OO を通って ℓ\ell に垂直な直線上の、ℓ\ell について同じ側に 2 点 AA,BB を OAOA=1{}= 1,OBOB=4{}= 4 となるようにとります。AA,BB を通り ℓ\ell に接する円の、接点を TT とします(TT は OO の右側にとる)。

(1) OTOT の長さを求めなさい。

(2) この円の半径を求めなさい。

C A B O T X 1 3 ℓ 例題4:T から AB が最も大きく見える(X からは小さい)

【解答】

(1) 点 OO は直線 ABAB 上にあり、AA,BB の外側です。OO から円に引いた接線が OTOT(ℓ\ell そのもの)なので、公式4 (iii) より

OT2\displaystyle OT^2=OA⋅OB\displaystyle {}= OA \cdot OB=1×4\displaystyle {}= 1 \times 4=4\displaystyle {}= 4

OTOT>0{}> 0 より OTOT=2‾{}= \underline{2}。

(2) 円の中心を CC とします。接線は接点を通る半径に垂直なので(公式1)、CC は TT を通り ℓ\ell に垂直な直線上にあり、CC から直線 ABAB までの距離は OTOT=2{}= 2 です。また CC は弦 ABAB の垂直二等分線上にあるので、CC の ℓ\ell からの高さは AA,BB の高さの平均 1+42\dfrac{1 + 4}{2}=52{}= \dfrac{5}{2} です。半径は CTCT なので

r\displaystyle r=52‾\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{2}}

確かめ:CA2CA^2=22{}= 2^2+(52−1)2{}+ \left(\dfrac{5}{2} - 1\right)^2=4{}= 4+94{}+ \dfrac{9}{4}=254{}= \dfrac{25}{4} で、CACA=52{}= \dfrac{5}{2} と一致します。

第4章の小話1 で見たとおり、ℓ\ell 上で TT 以外の点はこの円の外にあるので、ABAB を見込む角は TT で最大です。高さ 11 と 44 のあいだにある棒は、根元から 1×4\sqrt{1 \times 4}=2{}= 2 離れたところでいちばん大きく見える。レギオモンタヌスの問いの答えは、方べきの定理で「高さの積の平方根」と一言で書けます。三角比の余弦定理を使うと、そのときの角は cos⁡∠ATB\cos\angle ATB=45{}= \dfrac{4}{5} と分かります(TATA=5{}= \sqrt{5},TBTB=25{}= 2\sqrt{5},ABAB=3{}= 3)。

例題5:2 円の位置関係と共通接線

半径 55 の円 OO と、半径 33 の円 O′O' があります。

(1) 中心間の距離 dd が 1010,88,55,22,11 のとき、2 円の位置関係をそれぞれ答えなさい。

(2) dd=10{}= 10 のとき、共通外接線と共通内接線について、接点間の長さをそれぞれ求めなさい。


【解答】

(1) rr+r′{}+ r'=8{}= 8,rr−r′{}- r'=2{}= 2 と比べます(公式6)。

  • dd=10{}= 10:1010>8{}> 8 なので 互いに外部にある
  • dd=8{}= 8:dd=r{}= r+r′{}+ r' なので 外接する
  • dd=5{}= 5:22<5{}< 5<8{}< 8 なので 2 点で交わる
  • dd=2{}= 2:dd=r{}= r−r′{}- r' なので 内接する
  • dd=1{}= 1:11<2{}< 2 なので 円 O′O' が円 OO の内部にある

(2) 公式6 より

共通外接線:102−(5−3)2\displaystyle \text{共通外接線:}\sqrt{10^2 - (5 - 3)^2}=96\displaystyle {}= \sqrt{96}=46‾\displaystyle {}= \underline{4\sqrt{6}}共通内接線:102−(5+3)2\displaystyle \text{共通内接線:}\sqrt{10^2 - (5 + 3)^2}=36\displaystyle {}= \sqrt{36}=6‾\displaystyle {}= \underline{6}

内接線のほうが短いのは、たすき掛けのベルトが 2 つの円のあいだを斜めに横切り、そのぶん「平行移動で残る長さ」rr+r′{}+ r' が大きくなるからです。

4 点が同一円周上にあることを示す道具(第4章の表に追加)

第4章の 3 つに、方べきの定理の逆が加わりました。

場面使う道具形
CC,DD が ABAB の同じ側第4章 公式4∠ACB=∠ADB\angle ACB = \angle ADB
同じ側で、しかも直角第4章 公式2 の逆∠ACB=∠ADB=90∘\angle ACB = \angle ADB = 90^\circ
4 点が四角形をなす第4章 公式6対角の和 180∘180^\circ、外角 == 内対角
2 直線の交点 PP からの長さが分かる公式5PA⋅PB=PC⋅PDPA \cdot PB = PC \cdot PD

角が見えたら第4章、長さが見えたら公式5。図を見て、どちらの情報が与えられているかで選びます。

次の章へ

この章で、円と直線・円と円の関係が出そろいました。次の第6章「作図」では、定規とコンパスだけで図形をかく方法を学びます。「円の外の点から接線を引く」作図には、この章の公式1(接線と半径は直角)と第4章の「直径に対する円周角は 90∘90^\circ」がそのまま使えます。また、線分の長さが aa,bb のとき、長さ ab\sqrt{ab} の線分をかく作図には、方べきの定理(例題4 の「積の平方根」)が活躍します。

基礎確認問題(全5問)

まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。

問1

半径 66 の円 OO と直線 ℓ\ell があり、OO と ℓ\ell の距離は 44 です。円と ℓ\ell の共有点の個数を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

2‾\underline{2} 個(dd=4{}= 4<6{}< 6=r{}= r なので 2 点で交わる)

自己採点:
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問2

円の外の点 PP から円に 2 本の接線を引き、接点を AA,BB とします。PAPA=7{}= 7 のとき、PBPB を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

PBPB=7‾{}= \underline{7}(接線の長さは等しい)

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問3

△ABC\triangle ABC が円に内接していて、点 AA における接線上に、直線 ABAB について CC と反対側の点 TT をとります。∠BAT\angle BAT=40∘{}= 40^\circ のとき、∠ACB\angle ACB を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠ACB\angle ACB=40∘‾{}= \underline{40^\circ}(接弦定理)

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問4

円の弦 ABAB,CDCD が点 PP で交わり、PAPA=3{}= 3,PBPB=8{}= 8,PCPC=4{}= 4 です。PDPD を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

3×83 \times 8=4×PD{}= 4 \times PD より PDPD=6‾{}= \underline{6}(方べきの定理)

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問5

半径 44 と半径 22 の 2 つの円があり、中心間の距離は 66 です。2 円の位置関係を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

dd=6{}= 6=4{}= 4+2{}+ 2 なので 外接する‾\underline{\text{外接する}}

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実践問題(全20問)

難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。

問1 ★

半径 88 の円 OO の外に、OPOP=17{}= 17 となる点 PP があります。PP から円に引いた接線の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

1515

解説

接点を AA とすると、接線は接点を通る半径に垂直なので ∠OAP\angle OAP=90∘{}= 90^\circ(公式1)。直角三角形 OAPOAP で三平方の定理より

PA\displaystyle PA=OP2−OA2\displaystyle {}= \sqrt{OP^2 - OA^2}=289−64\displaystyle {}= \sqrt{289 - 64}=225\displaystyle {}= \sqrt{225}=15‾\displaystyle {}= \underline{15}

88,1515,1717 は整数の直角三角形の辺としてよく出る組です。

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問2 ★

四角形 ABCDABCD が円に外接していて、ABAB=5{}= 5,BCBC=9{}= 9,CDCD=10{}= 10 です。DADA を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

DADA=6{}= 6

解説

円に外接する四角形では、向かい合う辺の和が等しい(公式2 (2))ので

AB\displaystyle AB+CD\displaystyle {}+ CD=BC\displaystyle {}= BC+DA\displaystyle {}+ DA⟹5\displaystyle {}\Longrightarrow\quad 5+10\displaystyle {}+ 10=9\displaystyle {}= 9+DA\displaystyle {}+ DA

よって DADA=6‾{}= \underline{6}。

向かい合う辺どうしを組にするのがかんじんです。となり合う ABAB+BC{}+ BC と CDCD+DA{}+ DA は一般には等しくありません。

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問3 ★

△ABC\triangle ABC が円に内接していて、点 AA における接線上に、直線 ABAB について CC と反対側の点 TT をとります。∠BAT\angle BAT=58∘{}= 58^\circ,∠BAC\angle BAC=74∘{}= 74^\circ のとき、∠ACB\angle ACB と ∠ABC\angle ABC を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠ACB\angle ACB=58∘{}= 58^\circ,∠ABC\angle ABC=48∘{}= 48^\circ

解説

∠BAT\angle BAT の内側にある弧 ABAB に対する円周角が ∠ACB\angle ACB なので、接弦定理(公式3)より

∠ACB\displaystyle \angle ACB=∠BAT\displaystyle {}= \angle BAT=58∘‾\displaystyle {}= \underline{58^\circ}

△ABC\triangle ABC の内角の和から

∠ABC\displaystyle \angle ABC=180∘−74∘−58∘\displaystyle {}= 180^\circ - 74^\circ - 58^\circ=48∘‾\displaystyle {}= \underline{48^\circ}
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問4 ★

円の外の点 PP を通る 2 直線が、円とそれぞれ AA,BB および CC,DD で交わります(直線上の並びは PP,AA,BB の順と PP,CC,DD の順)。PAPA=3{}= 3,ABAB=9{}= 9,PCPC=4{}= 4 のとき、CDCD を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

CDCD=5{}= 5

解説

長さはいつも PP から測ります。PBPB=PA{}= PA+AB{}+ AB=3{}= 3+9{}+ 9=12{}= 12。方べきの定理(公式4 (ii))より

PA⋅PB\displaystyle PA \cdot PB=PC⋅PD\displaystyle {}= PC \cdot PD⟹3×12\displaystyle {}\Longrightarrow\quad 3 \times 12=4×PD\displaystyle {}= 4 \times PD

よって PDPD=9{}= 9 で、CDCD=PD{}= PD−PC{}- PC=9{}= 9−4{}- 4=5‾{}= \underline{5}。

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問5 ★

円の外の点 PP を通る直線が円と AA,BB で交わり(PP,AA,BB の順)、PAPA=4{}= 4,ABAB=5{}= 5 です。PP から円に引いた接線の接点を TT とするとき、PTPT を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

PTPT=6{}= 6

解説

PBPB=4{}= 4+5{}+ 5=9{}= 9。方べきの定理(公式4 (iii))より

PT2\displaystyle PT^2=PA⋅PB\displaystyle {}= PA \cdot PB=4×9\displaystyle {}= 4 \times 9=36\displaystyle {}= 36

PTPT>0{}> 0 なので PTPT=6‾{}= \underline{6}。

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問6 ★

円の弦 ABAB と弦 CDCD が点 PP で交わり、PP は弦 ABAB の中点です。ABAB=12{}= 12,PCPC=4{}= 4 のとき、弦 CDCD の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

CDCD=13{}= 13

解説

PP は ABAB の中点なので PAPA=PB{}= PB=6{}= 6。方べきの定理(公式4 (i))より

PA⋅PB\displaystyle PA \cdot PB=PC⋅PD\displaystyle {}= PC \cdot PD⟹6×6\displaystyle {}\Longrightarrow\quad 6 \times 6=4×PD\displaystyle {}= 4 \times PD

PDPD=9{}= 9。PP は弦 CDCD の内部にあるので CDCD=PC{}= PC+PD{}+ PD=4{}= 4+9{}+ 9=13‾{}= \underline{13}。

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問7 ★

半径 77 の円 OO と半径 rr の円 O′O' があり、中心間の距離は 1010 です。2 円が外接するときと、内接するときの rr をそれぞれ求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

外接するとき rr=3{}= 3,内接するとき rr=17{}= 17

解説

外接するのは中心間の距離が半径の和に等しいときなので

7\displaystyle 7+r\displaystyle {}+ r=10\displaystyle {}= 10⟹r\displaystyle {}\Longrightarrow\quad r=3‾\displaystyle {}= \underline{3}

内接するのは中心間の距離が半径の差に等しいときです。どちらが大きいか分からないので絶対値で書くと

∣7−r∣\displaystyle |7 - r|=10\displaystyle {}= 10⟹7\displaystyle {}\Longrightarrow\quad 7−r\displaystyle {}- r=±10\displaystyle {}= \pm 10

よって rr=17{}= 17 または rr=−3{}= -3 で、rr>0{}> 0 より rr=17‾{}= \underline{17}。このときは円 O′O' のほうが大きく、円 OO が内側から接しています。

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問8 ★

半径 66 の円 OO と半径 22 の円 O′O' があり、OO′OO'=8{}= 8 です。共通外接線の 1 本が 2 円に接する点を SS,TT とするとき、STST を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

STST=43{}= 4\sqrt{3}

解説

OSOS⊥ST{}\perp ST,O′TO'T⊥ST{}\perp ST なので OSOS∥O′T{}\parallel O'T。O′O' を通り STST に平行な直線と OSOS の交点を HH とすると、四角形 HSTO′HSTO' は長方形で HSHS=O′T{}= O'T=2{}= 2,HO′HO'=ST{}= ST。OHOH=6{}= 6−2{}- 2=4{}= 4 なので、直角三角形 OHO′OHO' で

ST\displaystyle ST=HO′\displaystyle {}= HO'=82−42\displaystyle {}= \sqrt{8^2 - 4^2}=48\displaystyle {}= \sqrt{48}=43‾\displaystyle {}= \underline{4\sqrt{3}}

なお OO′OO'=8{}= 8=6{}= 6+2{}+ 2 なので、この 2 円は外接しています(共通接線は 3 本)。

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問9 ★★

台形 ABCDABCD は ADAD∥BC{}\parallel BC,∠A\angle A=∠B{}= \angle B=90∘{}= 90^\circ で、4 つの辺すべてに接する円があります。ADAD=4{}= 4,BCBC=6{}= 6 のとき、この円の半径を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

125\dfrac{12}{5}

解説

円は平行な 2 辺 ADAD,BCBC に接するので、その間の距離 ABAB が直径です。ABAB=h{}= h とおくと半径は h2\dfrac{h}{2}。

円に外接する四角形なので(公式2 (2))

AB\displaystyle AB+CD\displaystyle {}+ CD=AD\displaystyle {}= AD+BC\displaystyle {}+ BC=10\displaystyle {}= 10⟹CD\displaystyle {}\Longrightarrow\quad CD=10\displaystyle {}= 10−h\displaystyle {}- h

DD から BCBC に垂線 DEDE を下ろすと、DEDE=h{}= h,ECEC=6{}= 6−4{}- 4=2{}= 2。直角三角形 DECDEC で三平方の定理より

(10−h)2\displaystyle (10 - h)^2=h2\displaystyle {}= h^2+22\displaystyle {}+ 2^2 100\displaystyle 100−20h\displaystyle {}- 20h=4\displaystyle {}= 4⟹h\displaystyle {}\Longrightarrow\quad h=245\displaystyle {}= \frac{24}{5}

半径は h2\dfrac{h}{2}=125‾{}= \underline{\dfrac{12}{5}}。確かめ:CDCD=10{}= 10−245{}- \dfrac{24}{5}=265{}= \dfrac{26}{5} で、(245)2\left(\dfrac{24}{5}\right)^2+22{}+ 2^2=67625{}= \dfrac{676}{25}=(265)2{}= \left(\dfrac{26}{5}\right)^2。

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問10 ★★

円の外の点 PP から円に 2 本の接線を引き、接点を AA,BB とします。∠APB\angle APB=50∘{}= 50^\circ のとき、AA,BB と異なる円周上の点 CC を、CC と PP が直線 ABAB について反対側になるようにとります。∠ACB\angle ACB を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠ACB\angle ACB=65∘{}= 65^\circ

解説

PAPA=PB{}= PB(公式2)なので △PAB\triangle PAB は二等辺三角形で

∠PAB\displaystyle \angle PAB=180∘−50∘2\displaystyle {}= \frac{180^\circ - 50^\circ}{2}=65∘\displaystyle {}= 65^\circ

PAPA は AA における接線、ABAB は弦です。∠PAB\angle PAB の内側にある弧 ABAB に対する円周角が ∠ACB\angle ACB(CC と PP は ABAB について反対側)なので、接弦定理より

∠ACB\displaystyle \angle ACB=∠PAB\displaystyle {}= \angle PAB=65∘‾\displaystyle {}= \underline{65^\circ}

一般に ∠ACB\angle ACB=90∘−∠APB2{}= 90^\circ - \dfrac{\angle APB}{2} です。別解:四角形 PAOBPAOB で ∠AOB\angle AOB=360∘−90∘−90∘−50∘{}= 360^\circ - 90^\circ - 90^\circ - 50^\circ=130∘{}= 130^\circ、円周角はその半分で 65∘65^\circ。

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問11 ★★

半径 77 の円 OO の内部に、OPOP=3{}= 3 となる点 PP があります。PP を通る弦 ABAB で PAPA=5{}= 5 のとき、PBPB を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

PBPB=8{}= 8

解説

PP を通る直径を引き、円との交点を EE,FF(PP に近いほうが EE)とすると

PE\displaystyle PE=7\displaystyle {}= 7−3\displaystyle {}- 3=4,\displaystyle {}= 4,PF\displaystyle PF=7\displaystyle {}= 7+3\displaystyle {}+ 3=10\displaystyle {}= 10

方べきの定理(公式4 (i))を弦 ABAB と直径 EFEF に使うと

PA⋅PB\displaystyle PA \cdot PB=PE⋅PF\displaystyle {}= PE \cdot PF=4×10\displaystyle {}= 4 \times 10=40\displaystyle {}= 40

よって PBPB=405{}= \dfrac{40}{5}=8‾{}= \underline{8}。

PP を通る直径で測ると、方べきは r2r^2−OP2{}- OP^2=49{}= 49−9{}- 9=40{}= 40 と一息で求まります。

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問12 ★★

半径 66 の円 OO の外に、OPOP=10{}= 10 となる点 PP があります。PP を通る直線が円と 2 点 AA,BB で交わり(PP,AA,BB の順)、PAPA=AB{}= AB となっています。PAPA を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

PAPA=42{}= 4\sqrt{2}

解説

PP から円に接線を引き、接点を TT とすると、∠OTP\angle OTP=90∘{}= 90^\circ より

PT2\displaystyle PT^2=OP2\displaystyle {}= OP^2−OT2\displaystyle {}- OT^2=100\displaystyle {}= 100−36\displaystyle {}- 36=64\displaystyle {}= 64

PAPA=x{}= x とおくと PBPB=PA{}= PA+AB{}+ AB=2x{}= 2x。方べきの定理(公式4 (iii))より

PA⋅PB\displaystyle PA \cdot PB=PT2\displaystyle {}= PT^2⟹x⋅2x\displaystyle {}\Longrightarrow\quad x \cdot 2x=64\displaystyle {}= 64⟹x2\displaystyle {}\Longrightarrow\quad x^2=32\displaystyle {}= 32

xx>0{}> 0 より PAPA=42‾{}= \underline{4\sqrt{2}}。確かめ:弦 ABAB=42{}= 4\sqrt{2}≒5.7{}\fallingdotseq 5.7 は直径 1212 より短く、ありうる長さです。

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問13 ★★

△ABC\triangle ABC の外接円の、点 AA における接線が、直線 BCBC と点 PP で交わっています(直線上の並びは PP,BB,CC の順)。PBPB=4{}= 4,BCBC=5{}= 5 のとき、PAPA と AB:ACAB : AC を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

PAPA=6{}= 6,AB:ACAB : AC=2:3{}= 2 : 3

解説

PCPC=4{}= 4+5{}+ 5=9{}= 9。方べきの定理(公式4 (iii))より

PA2\displaystyle PA^2=PB⋅PC\displaystyle {}= PB \cdot PC=4×9\displaystyle {}= 4 \times 9=36\displaystyle {}= 36⟹PA\displaystyle {}\Longrightarrow\quad PA=6‾\displaystyle {}= \underline{6}

次に △PAB\triangle PAB と △PCA\triangle PCA を比べます。∠P\angle P は共通。接弦定理より、接線 PAPA と弦 ABAB の作る角 ∠PAB\angle PAB は弧 ABAB に対する円周角 ∠ACB\angle ACB=∠PCA{}= \angle PCA に等しい。2 角が等しいので

△PAB∽△PCA\triangle PAB \backsim \triangle PCA

対応する辺の比から

ABCA\displaystyle \frac{AB}{CA}=PAPC\displaystyle {}= \frac{PA}{PC}=69\displaystyle {}= \frac{6}{9}=23\displaystyle {}= \frac{2}{3}

よって AB:ACAB : AC=2:3‾{}= \underline{2 : 3}。PBPA\dfrac{PB}{PA}=46{}= \dfrac{4}{6} でも同じ値になり、相似の比が方べきの定理そのものだと分かります。

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問14 ★★

点 PP で交わる 2 直線の一方の上に AA,BB を、もう一方の上に CC,DD を、それぞれ PP,AA,BB の順と PP,CC,DD の順にとります。PAPA=3{}= 3,ABAB=5{}= 5,PCPC=4{}= 4,CDCD=2{}= 2 です。4 点 AA,BB,CC,DD が同一円周上にあることを示し、∠PBD\angle PBD=35∘{}= 35^\circ のときの ∠PCA\angle PCA を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

PA⋅PBPA \cdot PB=PC⋅PD{}= PC \cdot PD=24{}= 24 より同一円周上。∠PCA\angle PCA=35∘{}= 35^\circ

解説

PBPB=3{}= 3+5{}+ 5=8{}= 8,PDPD=4{}= 4+2{}+ 2=6{}= 6 なので

PA⋅PB\displaystyle PA \cdot PB=3×8\displaystyle {}= 3 \times 8=24,\displaystyle {}= 24,PC⋅PD\displaystyle PC \cdot PD=4×6\displaystyle {}= 4 \times 6=24\displaystyle {}= 24

PP は線分 ABAB,CDCD のどちらの外部にもあり、PA⋅PBPA \cdot PB=PC⋅PD{}= PC \cdot PD が成り立つので、方べきの定理の逆(公式5 (1))より 4 点 AA,BB,CC,DD は同一円周上にあります。(証明終)

このとき、円周上の並びは AA,BB,DD,CC で、四角形 ABDCABDC は円に内接します。CC における外角 ∠PCA\angle PCA(辺 DCDC を CC の先へ延ばした側)は、内対角 ∠ABD\angle ABD に等しい(第4章 公式5 (2))。AA は線分 PBPB 上にあるので ∠ABD\angle ABD=∠PBD{}= \angle PBD です。よって

∠PCA\displaystyle \angle PCA=∠PBD\displaystyle {}= \angle PBD=35∘‾\displaystyle {}= \underline{35^\circ}

別の見方:PAPD\dfrac{PA}{PD}=PCPB{}= \dfrac{PC}{PB}(=12= \dfrac{1}{2})と ∠P\angle P 共通から △PAC∽△PDB\triangle PAC \backsim \triangle PDB で、対応する角として ∠PCA\angle PCA=∠PBD{}= \angle PBD が出ます。

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問15 ★★

2 つの円が 2 点 AA,BB で交わっています。直線 ABAB 上の、線分 ABAB の外部に点 PP があり、PP,AA,BB の順に並んでいて、PAPA=2{}= 2,ABAB=6{}= 6 です。PP から一方の円に引いた接線の接点を SS、もう一方の円に引いた接線の接点を TT とするとき、PSPS と PTPT を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

PSPS=PT{}= PT=4{}= 4

解説

AA,BB は 2 つの円の両方の上にあります。PBPB=2{}= 2+6{}+ 6=8{}= 8。

一方の円で方べきの定理(公式4 (iii))を使うと

PS2\displaystyle PS^2=PA⋅PB\displaystyle {}= PA \cdot PB=2×8\displaystyle {}= 2 \times 8=16\displaystyle {}= 16

もう一方の円でも、直線 PABPAB は同じ 2 点 AA,BB で交わるので

PT2\displaystyle PT^2=PA⋅PB\displaystyle {}= PA \cdot PB=16\displaystyle {}= 16

よって PSPS=PT{}= PT=4‾{}= \underline{4}。

直線 ABAB(の延長)上のどの点からでも、2 つの円に引いた接線の長さは等しくなります。この直線を 2 円の根軸と呼びます。

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問16 ★★

円の弦 ABAB の長さは 2424 です。ABAB の中点を MM とし、MM を通り ABAB に垂直な直線が、短いほうの弧 ABAB と交わる点を NN とすると、MNMN=4{}= 4 でした。この円の半径を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

2020

解説

弦の垂直二等分線は円の中心を通るので、直線 MNMN は直径を含みます。NN の反対側でこの直線が円と交わる点を N′N' とすると、NN′NN' は直径で、長さを 2R2R とおくと MN′MN'=2R{}= 2R−4{}- 4。

弦 ABAB と直径 NN′NN' は MM で交わるので、方べきの定理(公式4 (i))より

MA⋅MB\displaystyle MA \cdot MB=MN⋅MN′\displaystyle {}= MN \cdot MN'⟹12×12\displaystyle {}\Longrightarrow\quad 12 \times 12=4(2R−4)\displaystyle {}= 4(2R - 4) 144\displaystyle 144=8R\displaystyle {}= 8R−16\displaystyle {}- 16⟹R\displaystyle {}\Longrightarrow\quad R=20‾\displaystyle {}= \underline{20}

確かめ:中心から ABAB までの距離は 2020−4{}- 4=16{}= 16 で、12212^2+162{}+ 16^2=400{}= 400=202{}= 20^2。小話2 の「破片から器の大きさを知る」計算と同じです。

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問17 ★★★

鋭角三角形 ABCABC の垂心を HH とし、直線 AHAH と辺 BCBC の交点を DD、直線 ADAD が外接円と再び交わる点を KK とします。

(1) HDHD=DK{}= DK を示しなさい。

(2) AD⋅HDAD \cdot HD=BD⋅DC{}= BD \cdot DC を示しなさい。

(3) BDBD=2{}= 2,DCDC=6{}= 6,ADAD=4{}= 4 のとき、HDHD と AHAH を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) ∠HCD\angle HCD=∠KCD{}= \angle KCD と CDCD⊥HK{}\perp HK から △HCD\triangle HCD≡△KCD{}\equiv \triangle KCD で HDHD=DK{}= DK。(2) 方べきの定理 AD⋅DKAD \cdot DK=BD⋅DC{}= BD \cdot DC に (1) を代入。(3) HDHD=3{}= 3,AHAH=1{}= 1

解説

(1) 垂心の性質から ADAD⊥BC{}\perp BC。CC から辺 ABAB に下ろした垂線の足を FF とすると、HH は CFCF 上にあります。

直角三角形 BCFBCF で ∠HCD\angle HCD=∠FCB{}= \angle FCB=90∘−∠B{}= 90^\circ - \angle B。

一方、∠KCB\angle KCB と ∠KAB\angle KAB はどちらも弧 KBKB に対する円周角なので等しく、直角三角形 ABDABD で ∠KAB\angle KAB=∠DAB{}= \angle DAB=90∘−∠B{}= 90^\circ - \angle B。よって

∠HCD\displaystyle \angle HCD=∠KCD\displaystyle {}= \angle KCD=90∘−∠B\displaystyle {}= 90^\circ - \angle B

△HCD\triangle HCD と △KCD\triangle KCD は、辺 CDCD が共通、∠HDC\angle HDC=∠KDC{}= \angle KDC=90∘{}= 90^\circ、そして上の角が等しいので、1 辺とその両端の角が等しく合同です。よって HDHD=DK{}= DK。(証明終)

(2) 弦 AKAK と弦 BCBC は DD で交わるので、方べきの定理(公式4 (i))より

AD⋅DK\displaystyle AD \cdot DK=BD⋅DC\displaystyle {}= BD \cdot DC

(1) の DKDK=HD{}= HD を代入して AD⋅HDAD \cdot HD=BD⋅DC{}= BD \cdot DC。(証明終)

(3) (2) より HDHD=BD⋅DCAD{}= \dfrac{BD \cdot DC}{AD}=2×64{}= \dfrac{2 \times 6}{4}=3‾{}= \underline{3}、AHAH=AD{}= AD−HD{}- HD=4{}= 4−3{}- 3=1‾{}= \underline{1}。

第2章 j18 では相似で出した関係 AD⋅HDAD \cdot HD=BD⋅DC{}= BD \cdot DC が、「垂心を BCBC で折り返すと外接円に乗る」という事実を通して方べきの定理そのものだと分かりました。

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問18 ★★★

直線 ℓ\ell の同じ側に、半径 99 の円 O1O_1 と半径 44 の円 O2O_2 があり、どちらも ℓ\ell に接し、互いに外接しています。

(1) 2 円と ℓ\ell の接点をそれぞれ SS,TT とするとき、STST を求めなさい。

(2) ℓ\ell に接し、2 円のどちらにも外接する円のうち、SS と TT のあいだで ℓ\ell に接するものの半径を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) STST=12{}= 12 (2) 3625\dfrac{36}{25}

解説

(1) O1O2O_1 O_2=9{}= 9+4{}+ 4=13{}= 13(外接)。O1SO_1 S⊥ℓ{}\perp \ell,O2TO_2 T⊥ℓ{}\perp \ell なので、O2O_2 を通り ℓ\ell に平行な直線と O1SO_1 S の交点を HH とすると、O1HO_1 H=9{}= 9−4{}- 4=5{}= 5,HO2HO_2=ST{}= ST。直角三角形 O1HO2O_1 H O_2 で

ST\displaystyle ST=132−52\displaystyle {}= \sqrt{13^2 - 5^2}=144\displaystyle {}= \sqrt{144}=12‾\displaystyle {}= \underline{12}

同じ計算を文字で行うと、半径 aa,bb の 2 円が外接して同じ直線に接するとき、接点間の距離は

(a+b)2−(a−b)2\displaystyle \sqrt{(a + b)^2 - (a - b)^2}=4ab\displaystyle {}= \sqrt{4ab}=2ab\displaystyle {}= 2\sqrt{ab}

です(29⋅42\sqrt{9 \cdot 4}=12{}= 12 と合っています)。

(2) 求める円の半径を xx、ℓ\ell との接点を UU とします。この円は円 O1O_1 とも円 O2O_2 とも外接し、同じ直線 ℓ\ell に接するので、上の式から

SU\displaystyle SU=29x\displaystyle {}= 2\sqrt{9x}=6x,\displaystyle {}= 6\sqrt{x},UT\displaystyle UT=24x\displaystyle {}= 2\sqrt{4x}=4x\displaystyle {}= 4\sqrt{x}

UU は SS と TT のあいだにあるので SUSU+UT{}+ UT=ST{}= ST。

6x\displaystyle 6\sqrt{x}+4x\displaystyle {}+ 4\sqrt{x}=12\displaystyle {}= 12⟹x\displaystyle {}\Longrightarrow\quad \sqrt{x}=65\displaystyle {}= \frac{6}{5}⟹x\displaystyle {}\Longrightarrow\quad x=3625‾\displaystyle {}= \underline{\frac{36}{25}}

一般に、3 つの半径 aa,bb,xx について 1x\dfrac{1}{\sqrt{x}}=1a{}= \dfrac{1}{\sqrt{a}}+1b{}+ \dfrac{1}{\sqrt{b}} が成り立ちます(13\dfrac{1}{3}+12{}+ \dfrac{1}{2}=56{}= \dfrac{5}{6})。江戸時代の算額にもよく見られる形です。

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問19 ★★★

2 つの円が 2 点 AA,BB で交わっています。2 円の共通接線の 1 本が、それぞれの円に SS,TT で接し、直線 ABAB が線分 STST と点 MM で交わっています(直線上の並びは MM,AA,BB の順)。

(1) MM は線分 STST の中点であることを示しなさい。

(2) STST=8{}= 8,MAMA=2{}= 2 のとき、ABAB を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) MS2MS^2=MA⋅MB{}= MA \cdot MB=MT2{}= MT^2 より MSMS=MT{}= MT。(2) ABAB=6{}= 6

解説

(1) MM は直線 ABAB 上で、線分 ABAB の外部にあります。SS を接点とする円について、MSMS は MM から引いた接線、直線 MABMAB は割線なので、方べきの定理(公式4 (iii))より

MS2\displaystyle MS^2=MA⋅MB\displaystyle {}= MA \cdot MB

TT を接点とする円も AA,BB を通るので、同じく

MT2\displaystyle MT^2=MA⋅MB\displaystyle {}= MA \cdot MB

よって MS2MS^2=MT2{}= MT^2、MSMS>0{}> 0,MTMT>0{}> 0 より MSMS=MT{}= MT。MM は線分 STST 上にあるので、STST の中点です。(証明終)

(2) (1) より MSMS=4{}= 4。MS2MS^2=MA⋅MB{}= MA \cdot MB より

16\displaystyle 16=2×MB\displaystyle {}= 2 \times MB⟹MB\displaystyle {}\Longrightarrow\quad MB=8\displaystyle {}= 8

ABAB=MB{}= MB−MA{}- MA=8{}= 8−2{}- 2=6‾{}= \underline{6}。

2 つの円の共通弦を延ばすと、共通接線をちょうど 2 等分します。j15 の「根軸の上では接線の長さが等しい」を、共通接線に当てはめたものです。

自己採点:
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問20 ★★★

半径 55 の円 OO の外に OPOP=13{}= 13 となる点 PP があり、PP から引いた 2 本の接線の接点を AA,BB、線分 ABAB と OPOP の交点を MM とします。また、PP を通り、OO を通らない直線が円と CC,DD で交わり(PP,CC,DD の順)、PCPC=9{}= 9 です。

(1) PDPD と PMPM を求めなさい。

(2) 4 点 CC,DD,OO,MM が同一円周上にあることを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) PDPD=16{}= 16,PMPM=14413{}= \dfrac{144}{13} (2) PM⋅POPM \cdot PO=PA2{}= PA^2=PC⋅PD{}= PC \cdot PD と方べきの定理の逆

解説

(1) PAPA=132−52{}= \sqrt{13^2 - 5^2}=12{}= 12(∠OAP\angle OAP=90∘{}= 90^\circ)。方べきの定理(公式4 (iii))より

PC⋅PD\displaystyle PC \cdot PD=PA2\displaystyle {}= PA^2=144\displaystyle {}= 144⟹PD\displaystyle {}\Longrightarrow\quad PD=1449\displaystyle {}= \frac{144}{9}=16‾\displaystyle {}= \underline{16}

公式2 (1) より ABAB⊥OP{}\perp OP なので、AMAM は直角三角形 OAPOAP の斜辺への垂線です。△PAM\triangle PAM と △POA\triangle POA は、∠P\angle P 共通、∠PMA\angle PMA=∠PAO{}= \angle PAO=90∘{}= 90^\circ で相似なので

PMPA\displaystyle \frac{PM}{PA}=PAPO\displaystyle {}= \frac{PA}{PO}⟹PM⋅PO\displaystyle {}\Longrightarrow\quad PM \cdot PO=PA2\displaystyle {}= PA^2 PM\displaystyle PM=14413\displaystyle {}= \frac{144}{13}

よって PMPM=14413‾{}= \underline{\dfrac{144}{13}}。

(2) (1) の 2 つの式から

PM⋅PO\displaystyle PM \cdot PO=PA2\displaystyle {}= PA^2=PC⋅PD\displaystyle {}= PC \cdot PD(=144)\displaystyle (= 144)

PP は線分 MOMO の外部(MM は線分 POPO 上)にも、線分 CDCD の外部にもあります。また直線 CDCD は OO を通らないので、直線 POPO とは別の直線です。よって方べきの定理の逆(公式5 (1))より、4 点 CC,DD,OO,MM は同一円周上にあります。(証明終)

接点を結ぶ弦 ABAB と OPOP の交点 MM は、PP を通るどの割線 CDCD に対しても、CC,DD,OO と同じ円に乗ります。数値は確かめのためで、証明には PM⋅POPM \cdot PO=PA2{}= PA^2 という形しか使っていません。

自己採点:
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数学小話コーナー

地平線までは何 km?——接線の長さで測る

海辺に立って水平線を眺めると、海はどこまでも続いているように見えます。でも実際には、見えている海の端までの距離には限りがあります。地球が丸いからです。

目の位置を PP、地球の中心を OO、地球の半径を RR、目の高さを hh とします。PP から地球の表面に引いた接線の接点 TT が、見えるいちばん遠い点(地平線・水平線)です。PP から地球の中心へ向かう直線は、地表と hh 進んだところで交わり、さらに直径 2R2R だけ進んだところで反対側の地表と交わります。方べきの定理(公式4 (iii))より

PT2\displaystyle PT^2=h(h+2R)\displaystyle {}= h(h + 2R)

hh は RR に比べてずっと小さいので、PTPT≒2Rh{}\fallingdotseq \sqrt{2Rh} と考えてかまいません。

RR≒6370 km{}\fallingdotseq 6370\,\mathrm{km} で計算してみます。身長 160 cm160\,\mathrm{cm} の人の目の高さを 1.6 m1.6\,\mathrm{m} とすると、PTPT≒4.5 km{}\fallingdotseq 4.5\,\mathrm{km}。浜辺から見える水平線は、意外に近いのです。高さ 450 m450\,\mathrm{m} の展望台に上がると約 76 km76\,\mathrm{km}、富士山の山頂(約 3776 m3776\,\mathrm{m})からは約 219 km219\,\mathrm{km} 先まで届きます。高さを 100 倍にしても、見える距離は 10 倍にしかならない——平方根の効き方がよく分かります。

実際には、空気の層で光がわずかに曲がるので、計算より数%ほど遠くまで見えます。また、見る側も山の上にいれば、両方の山から引いた接線の長さを足した距離まで見通せます。富士山が見える最も遠い地点として 300 km 以上離れた山の峠が挙げられるのは、このためです(※どこまで見えるかは気象条件で変わり、記録にも諸説あります)。

豆知識

11 世紀ペルシアの学者アル・ビールーニーは、この図を逆向きに使って地球の半径を求めたと伝えられています。高さの分かった山の頂上から地平線を見下ろす角度(伏角)を測れば、接線と半径が直角であることから、直角三角形 1 つで RR が出ます。彼の値は現代の値にかなり近かったといわれます(※測定の精度や細部には諸説あります)。

割れたお皿から、元の大きさを当てる

遺跡から見つかる土器は、たいてい小さな破片です。それでも考古学者は、口の縁(口縁部)の破片が 1 つあれば、器の口がどれくらいの大きさだったかを推定できます。手がかりは、破片の縁が描いている円弧です。

破片の縁の両端を結んだ長さ(弦)を cc、弦の真ん中から縁までの高さ(「矢」と呼びます)を hh とします。弦の中点を通る直径で円を切ると、交わる弦の方べきの定理(公式4 (i))から

(c2)2\displaystyle \left(\frac{c}{2}\right)^2=h (2R−h)\displaystyle {}= h\,(2R - h)

たとえば cc=10 cm{}= 10\,\mathrm{cm},hh=1 cm{}= 1\,\mathrm{cm} なら、2525=2R{}= 2R−1{}- 1 で直径 2R2R=26 cm{}= 26\,\mathrm{cm}。手のひらに乗る破片から、直径 26 cm26\,\mathrm{cm} の鉢の姿が浮かんできます。実践問題 j16 と同じ計算です。

実際の現場では、計算のかわりに口径図(同心円がたくさん印刷された紙)を使うことが多いそうです。破片の縁を下にして当て、いちばんぴったり重なる円を探す。円周角の定理でも方べきの定理でもなく、「弧の曲がり具合は半径で決まる」という事実を、そのまま道具にしたものです。

豆知識

レンズや鏡の表面がどれだけ曲がっているかを測る球面計(スフェロメーター)という器具があります。3 本の脚が正三角形の頂点に立ち、真ん中にねじで上下する針が 1 本。脚を面に置き、針が面に触れるまでねじを回して、脚の先と針の先の高さの差 hh を読みます。脚が乗っている円の半径を aa とすると、上と同じ式から面の曲率半径は RR=a2+h22h{}= \dfrac{a^2 + h^2}{2h}。お皿の破片と同じ定理が、精密機器の中で働いています。

「方べき」という名前と、3 つの円の真ん中

「方べき」は、ふだんの日本語ではまず出会わない言葉です。漢字では「方冪」と書き、「冪(べき)」は累乗のこと。点 PP に対して決まる値 OP2OP^2−r2{}- r^2 が 2 乗の差の形をしていることからの訳語と考えられます(※訳語の由来ははっきりしません)。

もとの考え方に「点の力(ドイツ語で Potenz)」という名前を与えたのは、19 世紀スイス出身の幾何学者ヤコブ・シュタイナーで、1826 年の論文だとされます(※それ以前の使用例を挙げる資料もあります)。英語では今も power of a point と呼びます。円に対して、点ごとに決まった「強さ」がある、という見方です。

この見方をとると、おもしろい直線が見えてきます。2 つの円に対して方べきが等しい点を集めると、1 本の直線になるのです。これを根軸といいます。2 円が交わっていれば、根軸は 2 つの交点を通る直線、つまり共通弦の延長です(実践問題 j15・j19)。

さらに 3 つの円を用意し、2 つずつの根軸を 3 本引くと、3 本は 1 点で交わります(中心が一直線に並ぶ場合を除く)。第3章でチェバの定理を使って三角形の線の共点を示しましたが、こちらは理由がもっと単純です。2 本の根軸の交点は、円 1 と円 2、円 2 と円 3 で方べきが等しいので、円 1 と円 3 でも方べきが等しい。だから 3 本目の根軸にも乗っている、というわけです。この点を根心と呼びます。

豆知識

互いに接する 4 つの円の半径のあいだには、きれいな関係があります。半径の逆数(曲率)を k1k_1,k2k_2,k3k_3,k4k_4 とすると

(k1+k2+k3+k4)2\displaystyle (k_1 + k_2 + k_3 + k_4)^2=2(k12+k22+k32+k42)\displaystyle {}= 2(k_1^2 + k_2^2 + k_3^2 + k_4^2)

デカルトが 1643 年にボヘミアのエリーザベト王女への手紙で扱ったとされ、1936 年にはイギリスの化学者フレデリック・ソディが、この式を詩にして科学誌『ネイチャー』に載せました。題は「The Kiss Precise(正確なキス)」。円どうしが接することを「キス」と呼んだのです。4 つの円の 1 つを直線(半径が限りなく大きい円、曲率 00)に置きかえると、実践問題 j18 の 1x\dfrac{1}{\sqrt{x}}=1a{}= \dfrac{1}{\sqrt{a}}+1b{}+ \dfrac{1}{\sqrt{b}} が出てきます。

厳密定義(発展)

※ここは発展ページです。高校の範囲では「公式1〜6 を使えること」で十分ですが、「接するとはそもそも何か」「接弦定理はなぜ 3 通りに分けるのか」「方べきの定理を 1 本の式で言えないか」「逆はどうやって示すのか」が気になる人のために、この章の定理を順番に組み立て直します。第1章の三角不等式、第2章の「3 点を通る円はただ 1 つ」、第4章の円周角の定理と円に内接する四角形の定理を使います。

定義1:接する・接線・方べき

円 OO(半径 rr)と直線 ℓ\ell がただ 1 つの共有点 TT をもつとき、ℓ\ell は円に TT で接するといい、ℓ\ell を接線、TT を接点という。

点 PP に対して、実数

pow(P)\displaystyle \mathrm{pow}(P)=OP2\displaystyle {}= OP^2−r2\displaystyle {}- r^2

を、円 OO に対する PP の方べきという。PP が円の外部・周上・内部にあるに従って、pow(P)\mathrm{pow}(P) は正・00・負である。

教科書の公式4 では「方べき」を正の値(PA⋅PBPA \cdot PB)として扱いましたが、ここでは符号つきで定義します。内部と外部を 1 本の式で扱えるからです。

定理1:円と直線の位置関係・接線と半径

OO から ℓ\ell に下ろした垂線の足を HH、dd=OH{}= OH とする。

(1) dd>r{}> r なら共有点はなく、dd=r{}= r なら共有点は HH ただ 1 つ、dd<r{}< r なら共有点はちょうど 2 つで、HH について対称な位置にある。

(2) 円周上の点 TT を通る直線 ℓ\ell が円に接するための必要十分条件は、ℓ\ell⊥OT{}\perp OT である。

証明 (1) ℓ\ell 上の点 XX に対し、直角三角形 OHXOHX(XX=H{}= H のときは線分)で三平方の定理より

OX2\displaystyle OX^2=d2\displaystyle {}= d^2+HX2\displaystyle {}+ HX^2

XX が円周上にある条件は OXOX=r{}= r、すなわち HX2HX^2=r2{}= r^2−d2{}- d^2 である。右辺が負なら解はなく、00 なら HXHX=0{}= 0(XX=H{}= H)のみ、正なら HXHX=r2−d2{}= \sqrt{r^2 - d^2} となる XX が ℓ\ell 上で HH の両側に 1 つずつある。

(2) ℓ\ell が TT で接するとき、(1) より共有点がただ 1 つなのは dd=r{}= r の場合で、その共有点は HH だから TT=H{}= H、すなわち OTOT⊥ℓ{}\perp \ell。逆に OTOT⊥ℓ{}\perp \ell なら HH=T{}= T で dd=OT{}= OT=r{}= r だから、(1) より ℓ\ell は TT で接する。(証明終)

(1) の証明で、共有点が HH について対称に並ぶことも同時に分かりました。これが次の定理3(方べき)を 1 本の式で示す鍵になります。

定理2:接線の長さ・円に外接する四角形

(1) 円の外の点 PP から引いた 2 本の接線の接点を AA,BB とすると、PAPA=PB{}= PB であり、POPO は ∠APB\angle APB を 2 等分する。

(2) 凸四角形 ABCDABCD が円に外接するならば ABAB+CD{}+ CD=BC{}= BC+DA{}+ DA。

(3) 逆に、凸四角形 ABCDABCD で ABAB+CD{}+ CD=BC{}= BC+DA{}+ DA ならば、4 辺すべてに接する円がある。

証明 (1) 定理1 (2) より ∠OAP\angle OAP=∠OBP{}= \angle OBP=90∘{}= 90^\circ。直角三角形 OAPOAP,OBPOBP は斜辺 OPOP を共有し、OAOA=OB{}= OB なので、斜辺と他の 1 辺が等しく合同である。

(2) 各頂点から 2 つの接点までの長さは (1) より等しいので、それを aa,bb,cc,dd とおけば、ABAB+CD{}+ CD=(a+b){}= (a + b)+(c+d){}+ (c + d)=(b+c){}= (b + c)+(d+a){}+ (d + a)=BC{}= BC+DA{}+ DA。

(3) ∠A\angle A と ∠B\angle B の二等分線は、∠A\angle A+∠B{}+ \angle B<360∘{}< 360^\circ より ∠A2\dfrac{\angle A}{2}+∠B2{}+ \dfrac{\angle B}{2}<180∘{}< 180^\circ なので、辺 ABAB について CC,DD と同じ側で交わる。交点を中心とし、辺 ABAB,BCBC,DADA(を含む直線)に接する円 KK をとる(第2章の厳密定義ページ:角の二等分線上の点は 2 辺から等距離)。

DD から KK に、直線 DADA でないほうの接線を引き、直線 BCBC との交点を C′C' とする。四角形 ABC′DABC'D は KK に外接するので、(2) より

AB\displaystyle AB+C′D\displaystyle {}+ C'D=BC′\displaystyle {}= BC'+DA\displaystyle {}+ DA

仮定 ABAB+CD{}+ CD=BC{}= BC+DA{}+ DA から引くと

CD\displaystyle CD−C′D\displaystyle {}- C'D=BC\displaystyle {}= BC−BC′\displaystyle {}- BC'

C′C'≠C{}\ne C と仮定すると、CC,C′C' は直線 BCBC 上の異なる点なので ∣BC−BC′∣|BC - BC'|=CC′{}= CC'(C′C' が BB から見て CC と同じ向きにあるとき)となり、∣CD−C′D∣|CD - C'D|=CC′{}= CC'。これは △DCC′\triangle DCC' の三角不等式 ∣CD−C′D∣|CD - C'D|<CC′{}< CC'(第1章)に反する(DD は直線 BCBC 上にないので、△DCC′\triangle DCC' はつぶれていない)。よって C′C'=C{}= C で、辺 CDCD も KK に接する。(証明終)

(3) は第1章から使ってきた同一法の形です。「接する円を 3 辺でまず作り、4 本目の辺の候補 C′DC'D と本物の CDCD が一致するしかない」ことを、三角不等式の等号が成り立たないことで示しました。(C′C' が BB の反対側に出る場合は凸性に反するので除けますが、ここでは細部を省きます。)

定理3:接弦定理(3 つの場合)

円 OO の弦 ABAB と、AA における接線上の点 TT があり、CC は直線 ABAB について TT と反対側の円周上の点とする。このとき ∠BAT\angle BAT=∠ACB{}= \angle ACB。

証明 ∠BAT\angle BAT が鋭角・直角・鈍角の 3 つの場合に分ける。

(i) 鋭角のとき AA を通る直径 ADAD を引く。定理1 (2) より ∠DAT\angle DAT=90∘{}= 90^\circ で、∠BAT\angle BAT は鋭角だから BB は ∠DAT\angle DAT の内部にあり、∠BAT\angle BAT=90∘−∠DAB{}= 90^\circ - \angle DAB。一方、∠ABD\angle ABD=90∘{}= 90^\circ(直径に対する円周角)なので、△ABD\triangle ABD で ∠ADB\angle ADB=90∘−∠DAB{}= 90^\circ - \angle DAB。よって ∠BAT\angle BAT=∠ADB{}= \angle ADB。DD は ABAB について TT と反対側にあるので、∠ADB\angle ADB と ∠ACB\angle ACB は同じ弧に対する円周角で等しい。

(ii) 直角のとき ABAB⊥AT{}\perp AT で、定理1 (2) より OAOA⊥AT{}\perp AT だから、BB は直線 AOAO 上、すなわち ABAB は直径。よって ∠ACB\angle ACB=90∘{}= 90^\circ=∠BAT{}= \angle BAT。

(iii) 鈍角のとき 接線上で AA について TT と反対側に T′T' をとると、∠BAT′\angle BAT'=180∘−∠BAT{}= 180^\circ - \angle BAT は鋭角である。C′C' を、ABAB について T′T' と反対側(つまり TT と同じ側)の円周上の点とすると、(i) より ∠BAT′\angle BAT'=∠AC′B{}= \angle AC'B。四角形 AC′BCAC'BC は円に内接するので(CC,C′C' は ABAB の反対側)、∠ACB\angle ACB=180∘−∠AC′B{}= 180^\circ - \angle AC'B=180∘−∠BAT′{}= 180^\circ - \angle BAT'=∠BAT{}= \angle BAT。(証明終)

(iii) は、第4章の「円に内接する四角形の対角の和」を使って (i) に帰着させています。円周角の定理の証明で、中心の位置で 3 通りに分けたのと同じ事情です。

定理4:接弦定理の逆

円周上の 3 点 AA,BB,CC と、直線 ABAB について CC と反対側の点 TT があり、∠BAT\angle BAT=∠ACB{}= \angle ACB ならば、直線 ATAT は AA における接線である。

証明 AA における接線上に、ABAB について CC と反対側の点 T′T' をとる。定理3 より ∠BAT′\angle BAT'=∠ACB{}= \angle ACB=∠BAT{}= \angle BAT。TT,T′T' は直線 ABAB の同じ側にあり、半直線 ABAB と同じ角をなすので、半直線 ATAT と AT′AT' は一致する。よって直線 ATAT は接線である。(証明終)

定理5:方べきの定理(1 本の式で)

点 PP を通る直線が円 OO と 2 点 AA,BB で交わるとき

PA⋅PB\displaystyle PA \cdot PB=∣pow(P)∣\displaystyle {}= |\mathrm{pow}(P)|=∣OP2−r2∣\displaystyle {}= |OP^2 - r^2|

PP を通る直線が TT で接するときは PT2PT^2=pow(P){}= \mathrm{pow}(P)。特に、この値は直線の向きによらない。

証明 OO から直線に下ろした垂線の足を HH とする。定理1 の証明より、AA,BB は HH について対称で HAHA=HB{}= HB=r2−OH2{}= \sqrt{r^2 - OH^2}。AA,BB を PP に近い順に並べると、PAPA=∣PH−HA∣{}= |PH - HA|,PBPB=PH{}= PH+HA{}+ HA だから

PA⋅PB\displaystyle PA \cdot PB=∣PH2−HA2∣\displaystyle {}= |PH^2 - HA^2|=∣PH2−(r2−OH2)∣\displaystyle {}= |PH^2 - (r^2 - OH^2)|=∣(PH2+OH2)−r2∣\displaystyle {}= |(PH^2 + OH^2) - r^2|

直角三角形 OHPOHP で PH2PH^2+OH2{}+ OH^2=OP2{}= OP^2 なので PA⋅PBPA \cdot PB=∣OP2−r2∣{}= |OP^2 - r^2|。

接線のときは HH=T{}= T なので、PT2PT^2=OP2{}= OP^2−OT2{}- OT^2=OP2{}= OP^2−r2{}- r^2。(証明終)

教科書の 3 つの形 (i)(ii)(iii) は、どれもこの定理の特別な場合です。相似を使った証明(本文)は図の形ごとに違う三角形を選ぶ必要がありましたが、ここでは「弦の中点 HH」と三平方の定理だけで全部が片づきました。向きつきの長さを使えば、絶対値も外して PA‾⋅PB‾\overline{PA} \cdot \overline{PB}=OP2{}= OP^2−r2{}- r^2(PP が内部なら AA,BB が PP の反対側にあるので積が負)と書けます。

定理6:方べきの定理の逆

(1) 異なる 2 直線が点 PP で交わり、一方の上に AA,BB、他方の上に CC,DD がある(どれも PP と異なる)。PP が線分 ABAB,CDCD の両方の内部にあるか両方の外部にあり、PA⋅PBPA \cdot PB=PC⋅PD{}= PC \cdot PD ならば、AA,BB,CC,DD は同一円周上にある。

(2) PP が線分 ABAB の延長上にあり、TT が直線 ABAB 上にない点で PT2PT^2=PA⋅PB{}= PA \cdot PB ならば、直線 PTPT は AA,BB,TT を通る円に接する。

証明 (1) AA,BB,CC は一直線上にないので、これらを通る円 KK がただ 1 つある(第2章の厳密定義ページ)。直線 PCPC と KK のもう 1 つの共有点を D′D' とする(接する場合は D′D'=C{}= C とする)。

PP が線分 ABAB の外部にあるとき、PP は KK の外部にあり(弦の外側の直線上の点は円の外)、定理5 より

PC⋅PD′\displaystyle PC \cdot PD'=PA⋅PB\displaystyle {}= PA \cdot PB=PC⋅PD\displaystyle {}= PC \cdot PD

なので PD′PD'=PD{}= PD。PP が KK の外部にあるとき、D′D' は半直線 PCPC 上にある。仮定から PP は線分 CDCD の外部なので DD も半直線 PCPC 上にある。同じ半直線上で PP からの距離が等しいので D′D'=D{}= D。D′D'=C{}= C(接する場合)だとすると PDPD=PC{}= PC で DD=C{}= C となり、CC≠D{}\ne D に反する。

PP が線分 ABAB の内部にあるときは、PP は KK の内部にあり、D′D' も DD も PP について CC の反対側にあるので、同じ議論で D′D'=D{}= D。

いずれの場合も DD は KK の上にある。

(2) AA,BB,TT を通る円を KK とする。PP は KK の外部にある。直線 PTPT が KK と TT 以外の点 T′T' で交わるとすると、定理5 より PT⋅PT′PT \cdot PT'=PA⋅PB{}= PA \cdot PB=PT2{}= PT^2 なので PT′PT'=PT{}= PT。T′T' は TT と同じく半直線 PTPT 上にあるので T′T'=T{}= T となり、矛盾。よって直線 PTPT と KK の共有点は TT だけで、PTPT は KK に接する。(証明終)

(1) の仮定「両方の内部か、両方の外部」は、証明の中で D′D' と DD が PP の同じ側にあることを保証するためにだけ使われています。仮定を外すと、DD は D′D' を PP について折り返した点になりうるので、同一円周上とは言えません。

定理7:2 つの円の位置関係

円 OO(半径 rr)と円 O′O'(半径 r′r',rr≧r′{}\geqq r')の中心間の距離を dd>0{}> 0 とする。

(1) 2 円が 2 点で交わるための必要十分条件は rr−r′{}- r'<d{}< d<r{}< r+r′{}+ r'。

(2) dd=r{}= r+r′{}+ r' または dd=r{}= r−r′{}- r' のとき、2 円の共有点はただ 1 つで、直線 OO′OO' の上にある。

(3) dd>r{}> r+r′{}+ r' または dd<r{}< r−r′{}- r' のとき、2 円は共有点をもたない。

証明 共有点 XX があれば、OXOX=r{}= r,O′XO'X=r′{}= r',OO′OO'=d{}= d。

XX が直線 OO′OO' 上にないとき、△OO′X\triangle OO'X が存在するので、三角形の成立条件(第1章)より rr−r′{}- r'<d{}< d<r{}< r+r′{}+ r'。XX が直線 OO′OO' 上にあるときは、3 点の並び方で場合を分ける。XX が OO と O′O' の間なら dd=r{}= r+r′{}+ r'。O′O' が OO と XX の間なら dd=r{}= r−r′{}- r'。OO が XX と O′O' の間なら r′r'=r{}= r+d{}+ d で dd=r′{}= r'−r{}- r≦0{}\leqq 0 となり、dd>0{}> 0 に反するのでこの並びは起こらない。

したがって、dd>r{}> r+r′{}+ r' または dd<r{}< r−r′{}- r' なら共有点はない((3))。

rr−r′{}- r'<d{}< d<r{}< r+r′{}+ r' のとき、第1章の厳密定義ページ(成立条件の逆)より、3 辺が dd,rr,r′r' の三角形 OO′XOO'X が直線 OO′OO' の片側に作れる。XX を直線 OO′OO' について折り返した点 X′X' も共有点なので、共有点は少なくとも 2 つ。一方、異なる 2 円が 3 つ以上の共有点をもつと、その 3 点を通る円がただ 1 つであることに反するので、共有点はちょうど 2 つ((1) の十分性)。必要性はすでに示した。

dd=r{}= r+r′{}+ r' のとき、共有点 XX は上の議論から直線 OO′OO' 上で OXOX+XO′{}+ XO'=OO′{}= OO' を満たす点、すなわち線分 OO′OO' を r:r′r : r' に内分する点ただ 1 つ。dd=r{}= r−r′{}- r' のときも同様に、半直線 OO′OO' 上で OXOX=r{}= r となる点ただ 1 つ((2))。(証明終)

第1章の厳密定義ページで、三角形の成立条件の逆を「2 円が 2 点で交わる条件」として説明しました。定理7 はその話を裏返したものです。「3 辺 dd,rr,r′r' の三角形が作れる」ことと「2 円が 2 点で交わる」ことは、同じ事実を三角形の言葉で言うか円の言葉で言うかの違いにすぎません。

最後に、共通接線の本数(公式6 の表)について一言。共通外接線は 2 円の相似の中心(外分点)から、共通内接線は内分点から引いた接線として得られ、その点が円の外にあるか周上にあるか内にあるかで、本数が 2・1・0 と変わります。外接するときに内接線が 1 本(接点での接線)に減り、交わるときに 0 本になる、という数え方で表の「4・3・2・1・0」が出てきます。

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