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第1章 三角形の辺の比と角の二等分線

—— 平行線が比を運ぶ——角の二等分線は向かいの辺を「2 辺の比」に分ける ——

この章から「図形の性質」が始まります。出発点は中学で学んだ相似です。平行線があると相似な三角形ができ、線分の比が別の場所へそのまま運ばれます。そこから線分の内分・外分、角の二等分線が向かいの辺を分ける比、面積の比へと進み、最後に三角形の辺と角の大小関係(三角不等式)を学びます。どれも次の章の「五心」、第3章の「チェバの定理・メネラウスの定理」を支える道具です。

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この章で使う記号

この分野では、図形を次の記号で書きます。

中学では、2 つの三角形が相似になる条件を 3 つ学びました。

  1. 3 組の辺の比がすべて等しい
  2. 2 組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい
  3. 2 組の角がそれぞれ等しい

相似な図形では、対応する辺の比がすべて等しくなります。この章の道具のほとんどは、この事実から出てきます。

平行線と線分の比——相似が比を運ぶ

A B C D E A B C D E DE ∥ BC ならば AD : AB = AE : AC = DE : BC、AD : DB = AE : EC

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB,ACAC 上に点 DD,EE をとり、DEDE∥BC{}\parallel BC となるようにします。平行線の同位角は等しいので ∠ADE\angle ADE=∠ABC{}= \angle ABC、しかも ∠A\angle A は共通です。2 組の角が等しいので △ADE∽△ABC\triangle ADE \backsim \triangle ABC。この相似の比を書き出すと、次の公式になります。

公式1:平行線と線分の比

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB,ACAC(またはその延長)上にそれぞれ点 DD,EE があり、DEDE∥BC{}\parallel BC ならば

(1)AD:AB\displaystyle \text{(1)}\quad AD : AB=AE:AC\displaystyle {}= AE : AC=DE:BC\displaystyle {}= DE : BC(2)AD:DB\displaystyle \text{(2)}\quad AD : DB=AE:EC\displaystyle {}= AE : EC
  • 逆に、(1) の AD:ABAD : AB=AE:AC{}= AE : AC か (2) が成り立てば、DEDE∥BC{}\parallel BC です(証明は厳密定義ページ)。
  • **DEDE と比べる相手は BCBC(全体)**です。DE:BCDE : BC を AD:DBAD : DB(部分どうしの比)と等しいとするのは、よくある誤りです。
  • 平行な 3 直線に 2 本の直線が交わるとき、切り取られる線分の比は等しくなります。一方の直線と平行な補助線を 1 本引くと、(2) の形に帰着します。

紙テープを 5 等分したいのに、長さが定規の目盛りで割り切れない——そんなときは罫線ノートを使う手があります。テープの一方の端を 1 本目の罫線に、もう一方の端を 6 本目の罫線に合わせて斜めに置くと、間の 4 本の罫線がテープをちょうど 5 等分する位置を教えてくれます。罫線は等しい間隔の平行線なので、斜めに置いたテープにも同じ比が写されるのです。平行線は、比をある直線から別の直線へそのまま運ぶ道具だと言えます。

平行線があると相似な三角形ができ、線分の比がそのまま運ばれるということです。ただし DEDE と比べる相手は BCBC で、AD:DBAD : DB ではありません。

例題1:平行線から線分の長さを求める

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB,ACAC 上にそれぞれ点 DD,EE があり、DEDE∥BC{}\parallel BC です。ADAD=4{}= 4,DBDB=2{}= 2,AEAE=5{}= 5,BCBC=9{}= 9 のとき、ECEC と DEDE の長さを求めなさい。


【解答】

公式1 (2) より AD:DBAD : DB=AE:EC{}= AE : EC なので

4:2\displaystyle 4 : 2=5:EC\displaystyle {}= 5 : EC⟹4 EC\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad 4\,EC=10\displaystyle {}= 10⟹EC\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad EC=52‾\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{2}}

DEDE は公式1 (1) を使い、BCBC と比べます。ABAB=AD{}= AD+DB{}+ DB=6{}= 6 なので

DE:BC\displaystyle DE : BC=AD:AB\displaystyle {}= AD : AB=4:6\displaystyle {}= 4 : 6⟹DE\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad DE=9⋅46\displaystyle {}= 9 \cdot \frac{4}{6}=6‾\displaystyle {}= \underline{6}

もし DE:BCDE : BC=AD:DB{}= AD : DB=4:2{}= 4 : 2 としてしまうと DEDE=18{}= 18 となり、DEDE が BCBC より長いという、図とかけ離れた答えになります。最後に図と見比べる習慣をつけておくと、この種の誤りに気づけます。

線分の内分と外分——比で点の位置を決める

公式1の DD は、線分 ABAB を AD:DBAD : DB の比に分ける点でした。「線分をある比に分ける点」には名前がついています。

(1) 3 : 1 に内分 A B P AP = 9 PB = 3 (2) 3 : 1 に外分 A B Q AQ = 18 QB = 6 (3) 1 : 3 に外分 A B R RA = 6 RB = 18
公式2:線分の内分と外分

mm,nn を正の数とします。

  • 点 PP が線分 ABAB 上にあって AP:PBAP : PB=m:n{}= m : n のとき、PP は線分 ABAB を m:nm : n に内分するといいます。
  • 点 QQ が線分 ABAB の延長上にあって AQ:QBAQ : QB=m:n{}= m : n のとき、QQ は線分 ABAB を m:nm : n に外分するといいます(mm≠n{}\neq n)。
AP\displaystyle AP=mm+nAB,\displaystyle {}= \frac{m}{m + n}AB,AQ\displaystyle AQ=mm−nAB  (m>n),\displaystyle {}= \frac{m}{m - n}AB\ \ (m > n),AQ\displaystyle AQ=mn−mAB  (m<n)\displaystyle {}= \frac{m}{n - m}AB\ \ (m < n)
  • mm>n{}> n なら外分点は BB の外側、mm<n{}< n なら AA の外側にあります。
  • mm=n{}= n の外分点はありません(AQAQ=QB{}= QB となる点は線分の中点だけで、延長上にはありません)。
  • 式を覚えるより、AQAQ=mk{}= mk,QBQB=nk{}= nk とおき、図を見て「和」か「差」が ABAB になると立式するほうが確実です。

鉄道の路線で考えてみましょう。A 駅から B 駅まで線路が伸びているとき、内分点は 2 つの駅のあいだにある駅です。外分点は、B 駅を通り過ぎた先(または A 駅の手前)にある駅です。どちらも「A 駅からの距離 : B 駅からの距離」が m:nm : n になる場所として決まります。ただし外分点では片方の駅を通り越しているので、2 つの距離の差が ABAB になります。内分点では 2 つの距離の和が ABAB でした。違いはそこだけです。

内分点は線分の内側で「2 つの距離の和が ABAB」、外分点は延長上で「2 つの距離の差が ABAB」になる点で、どちらも AA からの距離と BB からの距離の比で決まるということです。

例題2:内分点・外分点の位置

長さ 1212 の線分 ABAB について、次の点と AA との距離を求めなさい。

(1) ABAB を 3:13 : 1 に内分する点 PP (2) ABAB を 3:13 : 1 に外分する点 QQ (3) ABAB を 1:31 : 3 に外分する点 RR


【解答】

(1) APAP=3k{}= 3k,PBPB=k{}= k とおくと、和が ABAB なので 4k4k=12{}= 12、kk=3{}= 3。よって APAP=9‾{}= \underline{9}。

(2) 33>1{}> 1 なので QQ は BB の外側です。AQAQ=3k{}= 3k,QBQB=k{}= k とおくと、差が ABAB なので 3k3k−k{}- k=12{}= 12、kk=6{}= 6。よって AQAQ=18‾{}= \underline{18}。

(3) 11<3{}< 3 なので RR は AA の外側です。ARAR=k{}= k,RBRB=3k{}= 3k とおくと 3k3k−k{}- k=12{}= 12、kk=6{}= 6。よって ARAR=6‾{}= \underline{6}(AA から BB と反対の向きに 66 の位置)。

3:13 : 1 と 1:31 : 3 は、同じ外分でもまったく別の点です。比の順番は「AA 側 : BB 側」と決まっていることを忘れないでください。

角の二等分線と比——向かいの辺を「2 辺の比」に分ける

三角形の 1 つの角を二等分する直線を引くと、向かいの辺はどんな比に分かれるでしょうか。答えはとても簡単で、「その角をはさむ 2 辺の比」です。

A B C D E BD : DC = AB : AC(△ACE は AE = AC の二等辺三角形)

CC を通り ADAD に平行な直線を引き、辺 BABA を AA の先へ延ばした直線との交点を EE とします。平行線の錯角・同位角から

∠ACE\displaystyle \angle ACE=∠CAD,\displaystyle {}= \angle CAD,∠AEC\displaystyle \angle AEC=∠BAD\displaystyle {}= \angle BAD

ADAD は ∠A\angle A の二等分線なので ∠BAD\angle BAD=∠CAD{}= \angle CAD。よって ∠ACE\angle ACE=∠AEC{}= \angle AEC となり、△ACE\triangle ACE は AEAE=AC{}= AC の二等辺三角形です。あとは △BCE\triangle BCE で公式1を使えば、ADAD∥EC{}\parallel EC より BD:DCBD : DC=BA:AE{}= BA : AE=AB:AC{}= AB : AC が出ます。

公式3:内角の二等分線と比

△ABC\triangle ABC の ∠A\angle A の二等分線と辺 BCBC との交点を DD とすると

BD:DC\displaystyle BD : DC=AB:AC\displaystyle {}= AB : AC
  • 「DD は辺 BCBC を AB:ACAB : AC に内分する」と言いかえられます。BDBD=ABAB+AC×BC{}= \dfrac{AB}{AB + AC} \times BC です。
  • 逆に、辺 BCBC 上に BD:DCBD : DC=AB:AC{}= AB : AC となる点 DD をとれば、ADAD は ∠A\angle A の二等分線です(厳密定義ページ)。

廊下の真ん中を歩く人は、左右の壁までの距離がいつも同じです。角の二等分線も同じで、その上の点は角をはさむ 2 辺 ABAB,ACAC から等しい距離にあります。すると △ABD\triangle ABD と △ACD\triangle ACD は、それぞれ ABAB,ACAC を底辺と見たときの高さが等しいので、面積の比は AB:ACAB : AC です。一方、同じ 2 つの三角形を BDBD,DCDC を底辺と見ると、高さはどちらも AA から BCBC までの距離で共通なので、面積の比は BD:DCBD : DC です。同じ面積の比を 2 通りに表したので BD:DCBD : DC=AB:AC{}= AB : AC。長い辺の側が、底辺の大きな取り分をもらうわけです。

角の二等分線は、向かいの辺を「その角をはさむ 2 辺の比」に内分するということです。

例題3:角の二等分線が分ける長さ

△ABC\triangle ABC で ABAB=9{}= 9,ACAC=6{}= 6,BCBC=10{}= 10 です。∠A\angle A の二等分線と辺 BCBC の交点を DD とするとき、BDBD と DCDC の長さを求めなさい。


【解答】

公式3より BD:DCBD : DC=AB:AC{}= AB : AC=9:6{}= 9 : 6=3:2{}= 3 : 2。BDBD+DC{}+ DC=BC{}= BC=10{}= 10 なので

BD\displaystyle BD=10⋅35\displaystyle {}= 10 \cdot \frac{3}{5}=6‾,\displaystyle {}= \underline{6},DC\displaystyle DC=10⋅25\displaystyle {}= 10 \cdot \frac{2}{5}=4‾\displaystyle {}= \underline{4}

DD は、短いほうの辺 ACAC の側(CC 寄り)にずれます。「角の真ん中を通るのだから BCBC の中点を通る」と思いこまないようにしましょう。中点を通るのは ABAB=AC{}= AC の二等辺三角形のときだけです。

外角の二等分線と比——今度は外分する

△ABC\triangle ABC の辺 BABA を AA の先へ延ばすと、AA のところに外角(∠A\angle A のとなりの角で、大きさは 180∘−∠A180^\circ - \angle A)ができます。この外角を二等分する直線も直線 BCBC と交わり(ABAB≠AC{}\neq AC のとき)、同じ比が現れます。

A B C D E P F BE : EC = AB : AC(E は辺 BC を外分)。AD ⊥ AE

証明は内角のときと同じ手順です。BABA の延長上に点 PP をとり、外角 ∠CAP\angle CAP の二等分線を AEAE とします。CC を通り AEAE に平行な直線を引き、辺 ABAB との交点を FF とすると、平行線の同位角・錯角から

∠AFC\displaystyle \angle AFC=∠PAE,\displaystyle {}= \angle PAE,∠ACF\displaystyle \angle ACF=∠CAE\displaystyle {}= \angle CAE

∠PAE\angle PAE=∠CAE{}= \angle CAE なので ∠AFC\angle AFC=∠ACF{}= \angle ACF、よって AFAF=AC{}= AC です。△BEA\triangle BEA で FCFC∥AE{}\parallel AE なので、公式1より BE:ECBE : EC=BA:AF{}= BA : AF=AB:AC{}= AB : AC となります。

公式4:外角の二等分線と比

ABAB≠AC{}\neq AC である △ABC\triangle ABC の ∠A\angle A の外角の二等分線と、直線 BCBC との交点を EE とすると

BE:EC\displaystyle BE : EC=AB:AC\displaystyle {}= AB : AC
  • 「EE は辺 BCBC を AB:ACAB : AC に外分する」と言いかえられます。ABAB>AC{}> AC なら EE は CC の外側、ABAB<AC{}< AC なら BB の外側にあります。
  • ABAB=AC{}= AC のときは外角の二等分線が BCBC と平行になり、交点はありません(1:11 : 1 の外分点がないことと対応しています)。
  • 内角の二等分線 ADAD と外角の二等分線 AEAE は直交します(∠DAE\angle DAE=90∘{}= 90^\circ)。∠A\angle A の半分と外角の半分を足すと 180∘÷2180^\circ \div 2=90∘{}= 90^\circ になるからです。

鏡に当たった光は、入ってきたときと同じ角度ではね返ります。点 BB から出た光が、点 AA に置いた鏡ではね返って CC に届くとしましょう。このとき鏡の面は、ABAB と ACAC のどちらに対しても同じ角度で傾いています。実はこの鏡の面こそが ∠A\angle A の外角の二等分線で、鏡に垂直な線(法線)が内角の二等分線です。内角と外角の二等分線が直交するのは、「鏡の面と、その法線」の関係だったのです。

外角の二等分線は、向かいの辺を内角のときと同じ 2 辺の比に「外分」し、内角の二等分線とは直交するということです。

例題4:外角の二等分線が分ける長さ

例題3の △ABC\triangle ABC(ABAB=9{}= 9,ACAC=6{}= 6,BCBC=10{}= 10)で、∠A\angle A の外角の二等分線と直線 BCBC の交点を EE とします。CECE の長さと、例題3の点 DD との距離 DEDE を求めなさい。


【解答】

公式4より BE:ECBE : EC=AB:AC{}= AB : AC=3:2{}= 3 : 2。ABAB>AC{}> AC なので EE は CC の外側にあります。BEBE=3k{}= 3k,ECEC=2k{}= 2k とおくと、差が BCBC なので

3k\displaystyle 3k−2k\displaystyle {}- 2k=10\displaystyle {}= 10⟹k\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad k=10\displaystyle {}= 10⟹CE\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad CE=20‾\displaystyle {}= \underline{20}

例題3より DCDC=4{}= 4 なので、DEDE=DC{}= DC+CE{}+ CE=4{}= 4+20{}+ 20=24‾{}= \underline{24}。

DD は BCBC を 3:23 : 2 に内分し、EE は 3:23 : 2 に外分しています。さらに ∠DAE\angle DAE=90∘{}= 90^\circ なので、AA は DEDE を直径とする円の上にあります。この円の話は、小話「アポロニウスの円」で続きを紹介します。

面積の比——高さがそろえば底辺の比

角の二等分線の説明で、面積の比を使いました。面積の比は、線分の比を調べるもう 1 つの道具です。

A B C D h △ABD : △ADC = BD : DC A B C P Q △APQ / △ABC = (AP/AB)(AQ/AC)
公式5:三角形の面積の比

(1) 高さが等しい 2 つの三角形の面積の比は、底辺の比に等しい。特に、点 DD が △ABC\triangle ABC の辺 BCBC 上にあれば

△ABD:△ADC\displaystyle \triangle ABD : \triangle ADC=BD:DC\displaystyle {}= BD : DC

(2) △ABC\triangle ABC の辺 ABAB,ACAC 上にそれぞれ点 PP,QQ があるとき(∠A\angle A を共有する 2 つの三角形)

△APQ△ABC\displaystyle \frac{\triangle APQ}{\triangle ABC}=APAB×AQAC\displaystyle {}= \frac{AP}{AB} \times \frac{AQ}{AC}
  • (2) は (1) を 2 回使えば出ます。△APQ\triangle APQ と △APC\triangle APC は PP からの高さが共通なので △APQ△APC\dfrac{\triangle APQ}{\triangle APC}=AQAC{}= \dfrac{AQ}{AC}、△APC\triangle APC と △ABC\triangle ABC は CC からの高さが共通なので △APC△ABC\dfrac{\triangle APC}{\triangle ABC}=APAB{}= \dfrac{AP}{AB}。この 2 つを掛けます。
  • 相似な 2 つの三角形の面積の比は、相似比の 2 乗です((2) で APAB\dfrac{AP}{AB}=AQAC{}= \dfrac{AQ}{AC} の場合)。

三角比を学んだ人は、面積の公式 SS=12bcsin⁡A{}= \dfrac{1}{2}bc\sin A からも (2) が見えるはずです。△APQ\triangle APQ と △ABC\triangle ABC は sin⁡A\sin A が共通なので、面積の比は「∠A\angle A をはさむ 2 辺の積」の比になります。

三角形のケーキを、てっぺんの頂点から底辺に向かってまっすぐ切り分けると、どのピースも高さは同じです。だからピースの大きさは、底辺をどこで切ったかだけで決まります。底辺を 2:32 : 3 に切れば、ケーキも 2:32 : 3 に分かれます。(2) のように角を共有する場合は、この切り方を向きを変えて 2 回くり返したことになります。

面積の比は、高さがそろっていれば底辺の比に、1 つの角を共有していればその角をはさむ 2 辺の比の積になるということです。

例題5:面積の比から面積を求める

△ABC\triangle ABC の面積は 3030 です。

(1) 辺 BCBC を 2:32 : 3 に内分する点を DD とするとき、△ABD\triangle ABD の面積を求めなさい。

(2) 辺 ABAB を 1:21 : 2 に内分する点を PP、辺 ACAC を 3:13 : 1 に内分する点を QQ とするとき、△APQ\triangle APQ の面積を求めなさい。


【解答】

(1) 公式5 (1) より △ABD:△ADC\triangle ABD : \triangle ADC=2:3{}= 2 : 3 なので

△ABD\displaystyle \triangle ABD=30×25\displaystyle {}= 30 \times \frac{2}{5}=12‾\displaystyle {}= \underline{12}

(2) APAB\dfrac{AP}{AB}=13{}= \dfrac{1}{3},AQAC\dfrac{AQ}{AC}=34{}= \dfrac{3}{4} なので、公式5 (2) より

△APQ\displaystyle \triangle APQ=30×13×34\displaystyle {}= 30 \times \frac{1}{3} \times \frac{3}{4}=152‾\displaystyle {}= \underline{\frac{15}{2}}

(2) で使うのは「AA からの距離 ÷ 辺全体」です。AP:PBAP : PB=1:2{}= 1 : 2 から 12\dfrac{1}{2} を掛けないように注意してください。

三角形の辺と角の大小——大きい辺の向かいに大きい角

最後に、比ではなく「大小」の関係を見ておきます。ここからは、∠A\angle A,∠B\angle B,∠C\angle C の向かいの辺の長さをそれぞれ aa,bb,cc と書きます(aa=BC{}= BC,bb=CA{}= CA,cc=AB{}= AB)。

ABの三角形ABCで、AC上にAD=ABとなる点Dをとると三角形ABDは二等辺三角形。右:BからCへまっすぐ行く道と、Aに寄り道する道"> A B C D ∠B > ∠ABD = ∠ADB > ∠C B C A(寄り道) a c b a < b + c(寄り道すると遠回り)

ACAC>AB{}> AB の三角形で、辺 ACAC 上に ADAD=AB{}= AB となる点 DD をとります。△ABD\triangle ABD は二等辺三角形なので ∠ABD\angle ABD=∠ADB{}= \angle ADB。∠ADB\angle ADB は △DBC\triangle DBC の外角なので ∠C\angle C より大きく、∠ABD\angle ABD は ∠B\angle B の一部なので ∠B\angle B より小さい。こうして ∠B\angle B>∠C{}> \angle C、つまり「長い辺 ACAC の向かいの角 ∠B\angle B のほうが大きい」ことが分かります。

公式6:三角形の辺と角の大小・成立条件

△ABC\triangle ABC で

(1)b\displaystyle \text{(1)}\quad b>c\displaystyle {}> c  ⟺  ∠B\displaystyle {}\iff \angle B>∠C\displaystyle {}> \angle C(2)∣b−c∣\displaystyle \text{(2)}\quad |b - c|<a\displaystyle {}< a<b\displaystyle {}< b+c\displaystyle {}+ c
  • (1) は「大きい辺の向かいに大きい角がある」という意味です。最大の辺の向かいの角が最大の角です。
  • (2) は 3 辺の長さが満たす条件で、三角形の成立条件と呼ばれます。逆に、正の数 aa,bb,cc が (2) を満たせば、それを 3 辺とする三角形が作れます。
  • 3 辺のうち最大のものが分かっていれば、「最大の辺 << 残りの 2 辺の和」だけ確かめれば十分です。

家から駅に向かうとき、途中でコンビニに寄り道すると、まっすぐ行くより必ず遠回りになります。これが (2) の右半分 aa<b{}< b+c{}+ c で、三角不等式とも呼ばれます。左半分の ∣b−c∣|b - c|<a{}< a は、同じことを別の辺について書いたものです(bb<c{}< c+a{}+ a と cc<a{}< a+b{}+ b の 2 つをまとめると ∣b−c∣|b - c|<a{}< a になります)。

三角形では大きい辺の向かいに大きい角があり、どの辺も「残り 2 辺の差より長く、和より短い」ということです。

例題6:角の大小と三角形の成立条件

(1) △ABC\triangle ABC で aa=7{}= 7,bb=5{}= 5,cc=8{}= 8 のとき、∠A\angle A,∠B\angle B,∠C\angle C の大小を不等号を使って表しなさい。

(2) 3 辺の長さが xx,xx+2{}+ 2,1010 である三角形が存在するような xx の値の範囲を求めなさい。


【解答】

(1) 辺の大小は cc>a{}> a>b{}> b です。公式6 (1) より、向かいの角も同じ順になるので ∠C>∠A>∠B‾\underline{\angle C > \angle A > \angle B}。

(2) 長さ 1010 の辺に公式6 (2) を使うと

∣(x+2)−x∣\displaystyle |(x + 2) - x|<10\displaystyle {}< 10<x\displaystyle {}< x+(x+2)\displaystyle {}+ (x + 2)

左の不等式は 22<10{}< 10 で、つねに成り立ちます。右の不等式から 1010<2x{}< 2x+2{}+ 2、よって x>4‾\underline{x > 4}。このとき 3 辺はすべて正です。

(2) の条件は、どの辺を aa に選んでも同じ結論になります。計算が楽になる辺を選んでください。

次の章へ

三角形の 3 つの角の二等分線は、実は 1 点で交わります。その点は内接円の中心(内心)です。次の第2章「三角形の五心」では、この章の公式3を使ってそのことを確かめ、外心・重心へと進みます。

基礎確認問題(全5問)

まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。

問1

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB,ACAC 上にそれぞれ点 DD,EE があり、DEDE∥BC{}\parallel BC です。ADAD=3{}= 3,DBDB=2{}= 2,AEAE=6{}= 6 のとき、ECEC の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

ECEC=4‾{}= \underline{4}(AD:DBAD : DB=AE:EC{}= AE : EC より 3:23 : 2=6:EC{}= 6 : EC)

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問2

長さ 1010 の線分 ABAB を 3:23 : 2 に内分する点を PP、3:23 : 2 に外分する点を QQ とするとき、APAP と AQAQ の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

APAP=6‾{}= \underline{6},AQAQ=30‾{}= \underline{30}(内分は 3k3k+2k{}+ 2k=10{}= 10 で kk=2{}= 2。外分は QQ が BB の外側で 3k3k−2k{}- 2k=10{}= 10 より kk=10{}= 10)

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問3

△ABC\triangle ABC で ABAB=6{}= 6,BCBC=5{}= 5,CACA=4{}= 4 です。∠A\angle A の二等分線と辺 BCBC の交点を DD とするとき、BDBD の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

BDBD=3‾{}= \underline{3}(BD:DCBD : DC=6:4{}= 6 : 4=3:2{}= 3 : 2 より BDBD=5⋅35{}= 5 \cdot \dfrac{3}{5})

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問4

△ABC\triangle ABC で ABAB=6{}= 6,BCBC=5{}= 5,CACA=4{}= 4 です。∠A\angle A の外角の二等分線と直線 BCBC の交点を EE とするとき、CECE の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

CECE=10‾{}= \underline{10}(BE:ECBE : EC=3:2{}= 3 : 2、EE は CC の外側で 3k3k−2k{}- 2k=5{}= 5 より kk=5{}= 5)

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問5

3 辺の長さが 44,77,xx である三角形が存在するような xx の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

3<x<11‾\underline{3 < x < 11}(∣7−4∣|7 - 4|<x{}< x<7{}< 7+4{}+ 4)

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実践問題(全20問)

難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。

問1 ★

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB,ACAC 上にそれぞれ点 DD,EE があり、DEDE∥BC{}\parallel BC です。ADAD=4{}= 4,ABAB=10{}= 10,AEAE=6{}= 6,BCBC=15{}= 15 のとき、ACAC と DEDE の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

ACAC=15{}= 15,DEDE=6{}= 6

解説

公式1 (1) より AD:ABAD : AB=AE:AC{}= AE : AC なので

4:10\displaystyle 4 : 10=6:AC\displaystyle {}= 6 : AC⟹4 AC\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad 4\,AC=60\displaystyle {}= 60⟹AC\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad AC=15‾\displaystyle {}= \underline{15}

DEDE は BCBC と比べます。

DE:BC\displaystyle DE : BC=AD:AB\displaystyle {}= AD : AB=4:10\displaystyle {}= 4 : 10⟹DE\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad DE=15⋅410\displaystyle {}= 15 \cdot \frac{4}{10}=6‾\displaystyle {}= \underline{6}

DEDE と比べる相手は BCBC(全体)で、使う比は AD:ABAD : AB です。AD:DBAD : DB=4:6{}= 4 : 6 ではありません。

自己採点:
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問2 ★

平行な 3 直線 ℓ\ell,mm,nn に、直線 pp が点 AA,BB,CC で、直線 qq が点 DD,EE,FF で交わっています(AA,DD は ℓ\ell 上、BB,EE は mm 上、CC,FF は nn 上)。ABAB=4{}= 4,BCBC=6{}= 6,DEDE=5{}= 5 のとき、EFEF の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

EFEF=152{}= \dfrac{15}{2}

解説

平行な 3 直線が 2 本の直線から切り取る線分の比は等しいので

AB:BC\displaystyle AB : BC=DE:EF\displaystyle {}= DE : EF⟹4:6\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad 4 : 6=5:EF\displaystyle {}= 5 : EF⟹EF\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad EF=152‾\displaystyle {}= \underline{\frac{15}{2}}

理由:DD を通り pp に平行な直線を引き、mm,nn との交点を B′B',C′C' とすると、平行四辺形ができるので DB′DB'=AB{}= AB=4{}= 4,B′C′B'C'=BC{}= BC=6{}= 6 です。△DC′F\triangle DC'F で B′EB'E∥C′F{}\parallel C'F なので、公式1 (2) より DB′:B′C′DB' : B'C'=DE:EF{}= DE : EF となります。

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問3 ★

長さ 88 の線分 ABAB について、ABAB を 5:35 : 3 に内分する点 PP、5:35 : 3 に外分する点 QQ、3:53 : 5 に外分する点 RR を考えます。APAP,AQAQ,ARAR の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

APAP=5{}= 5,AQAQ=20{}= 20,ARAR=12{}= 12

解説

(内分) APAP=5k{}= 5k,PBPB=3k{}= 3k とおくと 8k8k=8{}= 8、kk=1{}= 1。よって APAP=5‾{}= \underline{5}。

(5 : 3 の外分) 55>3{}> 3 なので QQ は BB の外側です。AQAQ=5k{}= 5k,QBQB=3k{}= 3k とおくと、差が ABAB なので 2k2k=8{}= 8、kk=4{}= 4。よって AQAQ=20‾{}= \underline{20}。

(3 : 5 の外分) 33<5{}< 5 なので RR は AA の外側です。ARAR=3k{}= 3k,RBRB=5k{}= 5k とおくと 2k2k=8{}= 8、kk=4{}= 4。よって ARAR=12‾{}= \underline{12}。

QQ と RR は、線分 ABAB をはさんで反対側にあります。AQAQ=20{}= 20 と ARAR=12{}= 12 が違うのは、AA から見て QQ は BB の向こう、RR は手前側に出ているからです。

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問4 ★

△ABC\triangle ABC で ABAB=8{}= 8,BCBC=7{}= 7,CACA=6{}= 6 です。∠A\angle A の二等分線と辺 BCBC の交点を DD とするとき、BDBD と DCDC の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

BDBD=4{}= 4,DCDC=3{}= 3

解説

公式3より BD:DCBD : DC=AB:AC{}= AB : AC=8:6{}= 8 : 6=4:3{}= 4 : 3。BDBD+DC{}+ DC=7{}= 7 なので

BD\displaystyle BD=7⋅47\displaystyle {}= 7 \cdot \frac{4}{7}=4‾,\displaystyle {}= \underline{4},DC\displaystyle DC=7⋅37\displaystyle {}= 7 \cdot \frac{3}{7}=3‾\displaystyle {}= \underline{3}

DD は短いほうの辺 CACA の側(CC 寄り)にあります。

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問5 ★

△ABC\triangle ABC で ABAB=7{}= 7,BCBC=6{}= 6,CACA=5{}= 5 です。∠A\angle A の外角の二等分線と直線 BCBC の交点を EE とするとき、CECE の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

CECE=15{}= 15

解説

公式4より BE:ECBE : EC=AB:AC{}= AB : AC=7:5{}= 7 : 5。ABAB>AC{}> AC なので EE は CC の外側にあります。BEBE=7k{}= 7k,ECEC=5k{}= 5k とおくと、差が BCBC なので

7k\displaystyle 7k−5k\displaystyle {}- 5k=6\displaystyle {}= 6⟹k\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad k=3\displaystyle {}= 3⟹CE\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad CE=15‾\displaystyle {}= \underline{15}

外分点は「近いほうの端点の外側」に出ます。7:57 : 5 なら EE は CC に近く、CC の外側です。

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問6 ★

面積が 4242 の △ABC\triangle ABC で、辺 BCBC を 3:43 : 4 に内分する点を DD、線分 ADAD の中点を EE とします。△ABD\triangle ABD と △EBC\triangle EBC の面積を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

△ABD\triangle ABD=18{}= 18,△EBC\triangle EBC=21{}= 21

解説

公式5 (1) より △ABD:△ADC\triangle ABD : \triangle ADC=BD:DC{}= BD : DC=3:4{}= 3 : 4 なので

△ABD\displaystyle \triangle ABD=42×37\displaystyle {}= 42 \times \frac{3}{7}=18‾,\displaystyle {}= \underline{18},△ADC\displaystyle \triangle ADC=42×47\displaystyle {}= 42 \times \frac{4}{7}=24\displaystyle {}= 24

EE は ADAD の中点なので、△EBD\triangle EBD は △ABD\triangle ABD の半分(BB からの高さが共通で、底辺 EDED が ADAD の半分)、△EDC\triangle EDC は △ADC\triangle ADC の半分です。

△EBC\displaystyle \triangle EBC=△EBD\displaystyle {}= \triangle EBD+△EDC\displaystyle {}+ \triangle EDC=9\displaystyle {}= 9+12\displaystyle {}+ 12=21‾\displaystyle {}= \underline{21}

別解:EE から BCBC までの高さは、AA から BCBC までの高さの半分です。底辺 BCBC が共通なので、△EBC\triangle EBC=12×42{}= \dfrac{1}{2} \times 42=21{}= 21 とすぐに出ます。

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問7 ★

△ABC\triangle ABC で BCBC=5{}= 5,CACA=7{}= 7,ABAB=6{}= 6 のとき、∠A\angle A,∠B\angle B,∠C\angle C の大小を不等号を使って表しなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠B\angle B>∠C{}> \angle C>∠A{}> \angle A

解説

aa=BC{}= BC=5{}= 5,bb=CA{}= CA=7{}= 7,cc=AB{}= AB=6{}= 6 なので、辺の大小は bb>c{}> c>a{}> a です。

公式6 (1) より、大きい辺の向かいに大きい角があるので

∠B>∠C>∠A‾\underline{\angle B > \angle C > \angle A}

「∠B\angle B の向かいの辺」は BB を含まない辺 CACA です。辺と角の対応を取り違えないようにしましょう。

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問8 ★

3 辺の長さが xx,xx+3{}+ 3,99 である三角形が存在するような xx の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

xx>3{}> 3

解説

長さ 99 の辺に公式6 (2) を使うと

∣(x+3)−x∣\displaystyle |(x + 3) - x|<9\displaystyle {}< 9<x\displaystyle {}< x+(x+3)\displaystyle {}+ (x + 3)

左は 33<9{}< 9 でつねに成り立ちます。右から 99<2x{}< 2x+3{}+ 3、よって x>3‾\underline{x > 3}。このとき 3 辺はすべて正です。

xx=3{}= 3 だと 3 辺は 33,66,99 で、33+6{}+ 6=9{}= 9 となり三角形がぺしゃんこにつぶれます。等号は含みません。

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問9 ★★

△ABC\triangle ABC で ABAB=10{}= 10,BCBC=8{}= 8,CACA=6{}= 6 です。∠A\angle A の二等分線と辺 BCBC の交点を DD、∠A\angle A の外角の二等分線と直線 BCBC の交点を EE とするとき、線分 DEDE の長さと AEAE の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

DEDE=15{}= 15,AEAE=65{}= 6\sqrt{5}

解説

公式3より BD:DCBD : DC=10:6{}= 10 : 6=5:3{}= 5 : 3 なので DCDC=8⋅38{}= 8 \cdot \dfrac{3}{8}=3{}= 3。

公式4より BE:ECBE : EC=5:3{}= 5 : 3。ABAB>AC{}> AC なので EE は CC の外側で、5k5k−3k{}- 3k=8{}= 8 より kk=4{}= 4、CECE=12{}= 12。よって

DE\displaystyle DE=DC\displaystyle {}= DC+CE\displaystyle {}+ CE=3\displaystyle {}= 3+12\displaystyle {}+ 12=15‾\displaystyle {}= \underline{15}

626^2+82{}+ 8^2=102{}= 10^2 なので ∠C\angle C=90∘{}= 90^\circ です(三平方の定理の逆)。直角三角形 ACEACE で

AE\displaystyle AE=AC2+CE2\displaystyle {}= \sqrt{AC^2 + CE^2}=36+144\displaystyle {}= \sqrt{36 + 144}=180\displaystyle {}= \sqrt{180}=65‾\displaystyle {}= \underline{6\sqrt{5}}

確かめ:ADAD=AC2+DC2{}= \sqrt{AC^2 + DC^2}=45{}= \sqrt{45}=35{}= 3\sqrt{5} で、AD2AD^2+AE2{}+ AE^2=45{}= 45+180{}+ 180=225{}= 225=DE2{}= DE^2。内角と外角の二等分線が直交する(∠DAE\angle DAE=90∘{}= 90^\circ)ことと合っています。

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問10 ★★

ADAD∥BC{}\parallel BC の台形 ABCDABCD で ADAD=4{}= 4,BCBC=10{}= 10 です。対角線 ACAC,BDBD の交点を OO とし、OO を通り BCBC に平行な直線が辺 ABAB,DCDC と交わる点をそれぞれ PP,QQ とするとき、PQPQ の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

PQPQ=407{}= \dfrac{40}{7}

解説

ADAD∥BC{}\parallel BC より錯角が等しいので △OAD∽△OCB\triangle OAD \backsim \triangle OCB で、相似比は AD:CBAD : CB=4:10{}= 4 : 10=2:5{}= 2 : 5。よって

AO:OC\displaystyle AO : OC=2:5,\displaystyle {}= 2 : 5,DO:OB\displaystyle DO : OB=2:5\displaystyle {}= 2 : 5

△ABC\triangle ABC で POPO∥BC{}\parallel BC なので、公式1 (1) より PO:BCPO : BC=AO:AC{}= AO : AC=2:7{}= 2 : 7、POPO=207{}= \dfrac{20}{7}。

△DBC\triangle DBC で OQOQ∥BC{}\parallel BC なので OQ:BCOQ : BC=DO:DB{}= DO : DB=2:7{}= 2 : 7、OQOQ=207{}= \dfrac{20}{7}。

PQ\displaystyle PQ=PO\displaystyle {}= PO+OQ\displaystyle {}+ OQ=407‾\displaystyle {}= \underline{\frac{40}{7}}

OO は PQPQ の中点になっています。一般に PQPQ=2⋅AD⋅BCAD+BC{}= \dfrac{2 \cdot AD \cdot BC}{AD + BC} で、これは ADAD と BCBC の調和平均です。

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問11 ★★

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB を 2:12 : 1 に内分する点を PP、辺 ACAC を 3:13 : 1 に内分する点を QQ とします。△APQ\triangle APQ と四角形 PBCQPBCQ の面積の比を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

1:11 : 1

解説

△ABC\triangle ABC=S{}= S とします。APAB\dfrac{AP}{AB}=23{}= \dfrac{2}{3},AQAC\dfrac{AQ}{AC}=34{}= \dfrac{3}{4} なので、公式5 (2) より

△APQ\displaystyle \triangle APQ=S×23×34\displaystyle {}= S \times \frac{2}{3} \times \frac{3}{4}=12S\displaystyle {}= \frac{1}{2}S

四角形 PBCQPBCQ=S{}= S−12S{}- \dfrac{1}{2}S=12S{}= \dfrac{1}{2}S。よって △APQ:四角形 PBCQ\triangle APQ : \text{四角形 } PBCQ=1:1‾{}= \underline{1 : 1}。

線分 PQPQ はちょうど △ABC\triangle ABC の面積を二等分しています。PP と QQ はどちらも中点ではないのに半分になるところが面白い点です。

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問12 ★★

△ABC\triangle ABC で ABAB=5{}= 5,BCBC=7{}= 7,CACA=3{}= 3 です。∠A\angle A の二等分線と辺 BCBC の交点を DD、∠B\angle B の二等分線と線分 ADAD の交点を II とするとき、BDBD の長さと AI:IDAI : ID を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

BDBD=358{}= \dfrac{35}{8},AI:IDAI : ID=8:7{}= 8 : 7

解説

公式3より BD:DCBD : DC=AB:AC{}= AB : AC=5:3{}= 5 : 3 なので

BD\displaystyle BD=7⋅58\displaystyle {}= 7 \cdot \frac{5}{8}=358‾\displaystyle {}= \underline{\frac{35}{8}}

次に △ABD\triangle ABD に注目します。BIBI は ∠ABD\angle ABD(=∠ABC= \angle ABC)の二等分線なので、公式3を △ABD\triangle ABD で使うと

AI:ID\displaystyle AI : ID=BA:BD\displaystyle {}= BA : BD=5:358\displaystyle {}= 5 : \frac{35}{8}=40:35\displaystyle {}= 40 : 35=8:7‾\displaystyle {}= \underline{8 : 7}

II は 3 つの角の二等分線の交点(内心)で、第2章で扱います。AI:IDAI : ID=(AB+AC):BC{}= (AB + AC) : BC=8:7{}= 8 : 7 という関係になっていることも確かめられます。

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問13 ★★

△ABC\triangle ABC の辺 BCBC を 1:21 : 2 に内分する点を DD、線分 ADAD を 3:13 : 1 に内分する点を EE とします。△ABE:△ACE:△BCE\triangle ABE : \triangle ACE : \triangle BCE を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

1:2:11 : 2 : 1

解説

△ABC\triangle ABC=S{}= S とします。公式5 (1) より

△ABD\displaystyle \triangle ABD=13S,\displaystyle {}= \frac{1}{3}S,△ACD\displaystyle \triangle ACD=23S\displaystyle {}= \frac{2}{3}S

△ABE\triangle ABE と △ABD\triangle ABD は BB からの高さが共通で、底辺の比は AE:ADAE : AD=3:4{}= 3 : 4 なので

△ABE\displaystyle \triangle ABE=34⋅13S\displaystyle {}= \frac{3}{4} \cdot \frac{1}{3}S=14S,\displaystyle {}= \frac{1}{4}S,△ACE\displaystyle \triangle ACE=34⋅23S\displaystyle {}= \frac{3}{4} \cdot \frac{2}{3}S=12S\displaystyle {}= \frac{1}{2}S

△BCE\triangle BCE=S{}= S−14S{}- \dfrac{1}{4}S−12S{}- \dfrac{1}{2}S=14S{}= \dfrac{1}{4}S。よって △ABE:△ACE:△BCE\triangle ABE : \triangle ACE : \triangle BCE=1:2:1‾{}= \underline{1 : 2 : 1}。

確かめ:EE から BCBC までの高さは AA からの高さの EDAD\dfrac{ED}{AD}=14{}= \dfrac{1}{4} なので、△BCE\triangle BCE=14S{}= \dfrac{1}{4}S と直接も出ます。

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問14 ★★

△ABC\triangle ABC の内部に点 PP があるとき、PBPB+PC{}+ PC<AB{}< AB+AC{}+ AC が成り立つことを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

BPBP を延ばして辺 ACAC との交点を QQ とし、△ABQ\triangle ABQ と △PQC\triangle PQC で三角不等式を使って辺ごとに足す。

解説

線分 BPBP を PP の先へ延ばし、辺 ACAC との交点を QQ とします(PP が内部にあるので、QQ は AA と CC の間にあります)。

△ABQ\triangle ABQ で三角不等式より

BQ\displaystyle BQ<AB\displaystyle {}< AB+AQ\displaystyle {}+ AQすなわち\displaystyle \text{すなわち}BP\displaystyle BP+PQ\displaystyle {}+ PQ<AB\displaystyle {}< AB+AQ\displaystyle {}+ AQ⋯(1)\displaystyle \cdots(1)

△PQC\triangle PQC で三角不等式より

PC\displaystyle PC<PQ\displaystyle {}< PQ+QC\displaystyle {}+ QC⋯(2)\displaystyle \cdots(2)

(1) と (2) を辺ごとに足すと BPBP+PQ{}+ PQ+PC{}+ PC<AB{}< AB+AQ{}+ AQ+PQ{}+ PQ+QC{}+ QC。両辺から PQPQ を引き、AQAQ+QC{}+ QC=AC{}= AC を使うと

PB\displaystyle PB+PC\displaystyle {}+ PC<AB\displaystyle {}< AB+AC\displaystyle {}+ AC

(証明終)「寄り道すると遠回り」を 2 回使っています。BB から CC まで、PP 経由の道は AA 経由の道より短い、という意味です。

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問15 ★★

△ABC\triangle ABC の辺 BCBC の中点を MM とするとき、AMAM<AB+AC2{}< \dfrac{AB + AC}{2} が成り立つことを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

AMAM を延長して MDMD=AM{}= AM となる点 DD をとると BDBD=AC{}= AC。△ABD\triangle ABD で ADAD<AB{}< AB+BD{}+ BD から 2AM2AM<AB{}< AB+AC{}+ AC。

解説

線分 AMAM を MM の先へ延ばし、MDMD=AM{}= AM となる点 DD をとります。

△AMC\triangle AMC と △DMB\triangle DMB で、AMAM=DM{}= DM,CMCM=BM{}= BM、対頂角で ∠AMC\angle AMC=∠DMB{}= \angle DMB なので、2 辺とその間の角がそれぞれ等しく △AMC\triangle AMC≡△DMB{}\equiv \triangle DMB。よって BDBD=CA{}= CA です。

AA,BB,DD は一直線上にないので、△ABD\triangle ABD で三角不等式より

AD\displaystyle AD<AB\displaystyle {}< AB+BD\displaystyle {}+ BD=AB\displaystyle {}= AB+AC\displaystyle {}+ AC

ADAD=2AM{}= 2AM なので 2AM2AM<AB{}< AB+AC{}+ AC、すなわち

AM\displaystyle AM<AB+AC2\displaystyle {}< \frac{AB + AC}{2}

(証明終)中線を 2 倍に延ばして平行四辺形 ABDCABDC を作るのは、中線の問題の定番の補助線です。

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問16 ★★

△ABC\triangle ABC で ABAB=6{}= 6,BCBC=5{}= 5,CACA=4{}= 4 です。∠A\angle A の二等分線と辺 BCBC の交点を DD とし、DD を通り辺 ABAB に平行な直線と辺 ACAC の交点を EE とするとき、DEDE と AEAE の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

DEDE=125{}= \dfrac{12}{5},AEAE=125{}= \dfrac{12}{5}

解説

公式3より BD:DCBD : DC=6:4{}= 6 : 4=3:2{}= 3 : 2 なので CD:CBCD : CB=2:5{}= 2 : 5。

△CAB\triangle CAB で EDED∥AB{}\parallel AB なので、公式1 (1) より

DE:AB\displaystyle DE : AB=CD:CB\displaystyle {}= CD : CB=2:5\displaystyle {}= 2 : 5⟹DE\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad DE=6⋅25\displaystyle {}= 6 \cdot \frac{2}{5}=125‾\displaystyle {}= \underline{\frac{12}{5}} CE:CA\displaystyle CE : CA=2:5\displaystyle {}= 2 : 5⟹CE\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad CE=85,\displaystyle {}= \frac{8}{5},AE\displaystyle AE=4\displaystyle {}= 4−85\displaystyle {}- \frac{8}{5}=125‾\displaystyle {}= \underline{\frac{12}{5}}

AEAE=DE{}= DE になったのは偶然ではありません。EDED∥AB{}\parallel AB の錯角から ∠EDA\angle EDA=∠DAB{}= \angle DAB、二等分線なので ∠DAB\angle DAB=∠DAE{}= \angle DAE。よって ∠EDA\angle EDA=∠EAD{}= \angle EAD となり、△AED\triangle AED は二等辺三角形です。実は BCBC の長さは使っておらず、一般に DEDE=AB⋅ACAB+AC{}= \dfrac{AB \cdot AC}{AB + AC} となります。

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問17 ★★★

△ABC\triangle ABC で ABAB=6{}= 6,ACAC=3{}= 3,∠BAC\angle BAC=120∘{}= 120^\circ です。∠A\angle A の二等分線と辺 BCBC の交点を DD とするとき、ADAD の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

ADAD=2{}= 2

解説

公式3の証明と同じ補助線を引きます。CC を通り ADAD に平行な直線と、辺 BABA を AA の先へ延ばした直線との交点を EE とします。

∠BAD\angle BAD=∠DAC{}= \angle DAC=60∘{}= 60^\circ です。平行線の同位角・錯角から

∠AEC\displaystyle \angle AEC=∠BAD\displaystyle {}= \angle BAD=60∘,\displaystyle {}= 60^\circ,∠ACE\displaystyle \angle ACE=∠DAC\displaystyle {}= \angle DAC=60∘\displaystyle {}= 60^\circ

よって △ACE\triangle ACE は正三角形で、AEAE=EC{}= EC=AC{}= AC=3{}= 3。BEBE=BA{}= BA+AE{}+ AE=9{}= 9 です。

△BEC\triangle BEC で ADAD∥EC{}\parallel EC なので、公式1 (1) より

AD:EC\displaystyle AD : EC=BA:BE\displaystyle {}= BA : BE=6:9\displaystyle {}= 6 : 9⟹AD\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad AD=3⋅69\displaystyle {}= 3 \cdot \frac{6}{9}=2‾\displaystyle {}= \underline{2}

一般に ∠A\angle A=120∘{}= 120^\circ のとき 1AD\dfrac{1}{AD}=1AB{}= \dfrac{1}{AB}+1AC{}+ \dfrac{1}{AC} が成り立ちます(16\dfrac{1}{6}+13{}+ \dfrac{1}{3}=12{}= \dfrac{1}{2})。三角比を使うなら、面積を △ABD\triangle ABD+△ADC{}+ \triangle ADC に分けて 12⋅6⋅3sin⁡120∘\dfrac{1}{2} \cdot 6 \cdot 3\sin 120^\circ=12(6+3)ADsin⁡60∘{}= \dfrac{1}{2}(6 + 3)AD\sin 60^\circ からも ADAD=2{}= 2 が出ます。

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問18 ★★★

2 点 AA,BB は ABAB=6{}= 6 を満たします。直線 ABAB 上にない点 PP が PA:PBPA : PB=2:1{}= 2 : 1 を満たすとき、∠APB\angle APB の二等分線と直線 ABAB の交点を CC、∠APB\angle APB の外角の二等分線と直線 ABAB の交点を DD とします。線分 CDCD の長さと、CDCD の中点 MM と PP との距離 PMPM を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

CDCD=8{}= 8,PMPM=4{}= 4

解説

△PAB\triangle PAB で、公式3より AC:CBAC : CB=PA:PB{}= PA : PB=2:1{}= 2 : 1 なので ACAC=4{}= 4,CBCB=2{}= 2。

公式4より DD は ABAB を 2:12 : 1 に外分します。PAPA>PB{}> PB なので DD は BB の外側で、ADAD=2k{}= 2k,DBDB=k{}= k とおくと kk=6{}= 6、BDBD=6{}= 6。よって

CD\displaystyle CD=CB\displaystyle {}= CB+BD\displaystyle {}+ BD=2\displaystyle {}= 2+6\displaystyle {}+ 6=8‾\displaystyle {}= \underline{8}

内角と外角の二等分線は直交するので ∠CPD\angle CPD=90∘{}= 90^\circ。直角三角形 PCDPCD は斜辺 CDCD を直径とする円に内接するので、斜辺の中点 MM は 3 頂点から等しい距離にあり

PM\displaystyle PM=CD2\displaystyle {}= \frac{CD}{2}=4‾\displaystyle {}= \underline{4}

CC,DD,MM の位置は PP によらず決まっています(ACAC=4{}= 4,ADAD=12{}= 12)。つまり PA:PBPA : PB=2:1{}= 2 : 1 を満たす点 PP は、すべて MM を中心とする半径 44 の円の上にあります。これが小話で紹介する「アポロニウスの円」です。

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問19 ★★★

△ABC\triangle ABC の内部に点 PP があるとき、不等式 AB+BC+CA2\dfrac{AB + BC + CA}{2}<PA{}< PA+PB{}+ PB+PC{}+ PC<AB{}< AB+BC{}+ BC+CA{}+ CA が成り立つことを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

左側は △PAB\triangle PAB,△PBC\triangle PBC,△PCA\triangle PCA の三角不等式を足す。右側は j14 の不等式を 3 通り足す。

解説

(左側の不等式)PP は内部にあるので △PAB\triangle PAB,△PBC\triangle PBC,△PCA\triangle PCA はどれも三角形です。三角不等式より

AB\displaystyle AB<PA\displaystyle {}< PA+PB,\displaystyle {}+ PB,BC\displaystyle BC<PB\displaystyle {}< PB+PC,\displaystyle {}+ PC,CA\displaystyle CA<PC\displaystyle {}< PC+PA\displaystyle {}+ PA

3 つを足すと ABAB+BC{}+ BC+CA{}+ CA<2(PA+PB+PC){}< 2(PA + PB + PC) なので、AB+BC+CA2\dfrac{AB + BC + CA}{2}<PA{}< PA+PB{}+ PB+PC{}+ PC。

(右側の不等式)j14 より PBPB+PC{}+ PC<AB{}< AB+AC{}+ AC。頂点の役割を入れかえた同じ議論で

PC\displaystyle PC+PA\displaystyle {}+ PA<BC\displaystyle {}< BC+BA,\displaystyle {}+ BA,PA\displaystyle PA+PB\displaystyle {}+ PB<CA\displaystyle {}< CA+CB\displaystyle {}+ CB

3 つを足すと 2(PA+PB+PC)2(PA + PB + PC)<2(AB+BC+CA){}< 2(AB + BC + CA) なので、PAPA+PB{}+ PB+PC{}+ PC<AB{}< AB+BC{}+ BC+CA{}+ CA。

(証明終)内部の点から 3 頂点までの距離の和は、周の長さの半分より大きく、周の長さより小さい、という評価です。

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問20 ★★★

△ABC\triangle ABC の面積を 11 とします。辺 BCBC,CACA,ABAB をそれぞれ 1:21 : 2 に内分する点を PP,QQ,RR とするとき(BP:PCBP : PC=CQ:QA{}= CQ : QA=AR:RB{}= AR : RB=1:2{}= 1 : 2)、△PQR\triangle PQR の面積を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

△PQR\triangle PQR=13{}= \dfrac{1}{3}

解説

△PQR\triangle PQR は、△ABC\triangle ABC から角のところの 3 つの三角形 △ARQ\triangle ARQ,△BPR\triangle BPR,△CQP\triangle CQP を取り除いたものです。

△ARQ\triangle ARQ は ∠A\angle A を共有し、ARAB\dfrac{AR}{AB}=13{}= \dfrac{1}{3},AQAC\dfrac{AQ}{AC}=23{}= \dfrac{2}{3}(CQ:QACQ : QA=1:2{}= 1 : 2 より QAQA は CACA の 23\dfrac{2}{3})なので、公式5 (2) より

△ARQ\displaystyle \triangle ARQ=1×13×23\displaystyle {}= 1 \times \frac{1}{3} \times \frac{2}{3}=29\displaystyle {}= \frac{2}{9}

同様に △BPR\triangle BPR=BPBC×BRBA{}= \dfrac{BP}{BC} \times \dfrac{BR}{BA}=13×23{}= \dfrac{1}{3} \times \dfrac{2}{3}=29{}= \dfrac{2}{9},△CQP\triangle CQP=CQCA×CPCB{}= \dfrac{CQ}{CA} \times \dfrac{CP}{CB}=13×23{}= \dfrac{1}{3} \times \dfrac{2}{3}=29{}= \dfrac{2}{9}。

△PQR\displaystyle \triangle PQR=1\displaystyle {}= 1−3×29\displaystyle {}- 3 \times \frac{2}{9}=13‾\displaystyle {}= \underline{\frac{1}{3}}

比を 1:11 : 1(中点)にすると 11−3×14{}- 3 \times \dfrac{1}{4}=14{}= \dfrac{1}{4} となり、中点を結んだ三角形の面積がもとの 14\dfrac{1}{4} という中学の結果に戻ります。

自己採点:
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数学小話コーナー

アポロニウスの円——鬼ごっこで先に着ける場所

鬼ごっこで、鬼の足があなたのちょうど 2 倍速いとします。広場のどこかに「そこまで走れば鬼より先に着ける」場所はあるでしょうか。

鬼のいる点を AA、あなたのいる点を BB とします。ある地点 PP に 2 人が同時に着くのは、鬼の走る距離 PAPA があなたの走る距離 PBPB のちょうど 2 倍、つまり PA:PBPA : PB=2:1{}= 2 : 1 のときです。この章の j18 で見たとおり、そうした点 PP はすべて、ABAB を 2:12 : 1 に内分する点と外分する点を直径の両端とする 1 つの円の上にあります。この円の内側(あなたのいる側)なら、あなたが先に着く「安全地帯」です。鬼が速いほど、この円は小さく縮んでいきます。

「2 点からの距離の比が一定の点は円をえがく」ことを示したのは、紀元前 3 世紀ごろのギリシャの数学者アポロニウスとされ、この円はアポロニウスの円と呼ばれています。アポロニウスの著書『平面の軌跡』は失われていて、内容は 4 世紀の数学者パップスが残した紹介から推測されています(※どこまでがアポロニウス自身の結果かは諸説あり)。

豆知識

比が 1:11 : 1、つまり鬼とあなたが同じ速さのときはどうなるでしょう。PAPA=PB{}= PB を満たす点は、線分 ABAB の垂直二等分線という直線になります。1:11 : 1 の外分点はない(公式2)ので、直径の片方の端が遠くへ行ってしまい、円が直線に開いてしまうのです。比が 11 に近づくほどアポロニウスの円はどんどん大きくなり、最後は直線になる——直線を「半径が限りなく大きい円」と見る考え方の入口です。

パンタグラフ——平行四辺形で絵を拡大する

パンタグラフは、4 本の棒を平行四辺形の形につないだ製図道具です。1 点をピンで固定し、針で元の絵をなぞると、別の位置につけたペンが同じ絵を一定の倍率で拡大(または縮小)して描きます。

仕組みは、この章の公式1そのものです。固定点 OO、なぞる針 PP、ペン QQ はいつも一直線上に並び、棒どうしが平行を保つので、OP:OQOP : OQ はいつも同じ比になります。すると針がたどった線とペンが描く線は相似になり、倍率はこの比で決まります。「平行線が比を運ぶ」という性質を、そのまま機械にしたものです。

発明者とされるのは、ドイツのイエズス会士で天文学者のクリストフ・シャイナーです。1603 年ごろに考案し、1631 年の著書でくわしく紹介しました(※考案の年は諸説あり)。

豆知識

電車の屋根にのっている、架線から電気を取る装置も「パンタグラフ」と呼ばれます。菱形に組んだ骨組みが製図道具に似ていたことからついた名前です。最近は「く」の字形の片腕だけのもの(シングルアーム)が増えましたが、名前はそのまま残っています。ちなみにシャイナーは太陽の黒点を観察した人でもあり、黒点の発見をめぐってガリレオと激しく争いました。

「ロバの橋」と「ロバでも知っている」

ユークリッドの『原論』第1巻の命題5は、「二等辺三角形の 2 つの底角は等しい」という定理です。中世ヨーロッパの大学では、この命題は「ロバの橋(pons asinorum)」と呼ばれました。証明の図が橋のように見えること、そして飲みこみの遅い学生(ロバ)はここを渡れずにつまずく、というからかいが込められていたと言われます(※名前の由来には諸説あり)。

同じ第1巻の命題20は「三角形の 2 辺の和は、残りの 1 辺より大きい」——この章の公式6 (2)、三角不等式です。5 世紀の哲学者プロクロスが書いた『原論』の注釈によると、エピクロス派の人々はこの命題を「ロバでも知っている」と笑ったそうです。ロバは干し草のところへ、2 辺をたどるような回り道はせず、まっすぐ歩いていくのだから、というわけです(※伝承による)。

それでもユークリッドは、この「当たり前」をきちんと証明しました。しかも順番が面白いのです。命題5(二等辺三角形の底角)を使って命題18・19(大きい辺の向かいに大きい角)を示し、それを使って命題20(三角不等式)を示す。この章の公式6とまったく同じ道筋です(証明は厳密定義ページ)。

豆知識

「当たり前」を証明する意味は、それが何に支えられているかをはっきりさせることにあります。三角不等式は、のちに「距離とは何か」を定めるときの条件の 1 つになりました。地図の上の距離でも、2 つの単語のつづりの違いを数える距離でも、「寄り道すると遠くなる」ことが距離らしさの条件なのです。

厳密定義(発展)

※ここは発展ページです。高校の範囲では「公式1〜6を使えること」で十分ですが、「内分点はなぜ 1 つに決まるのか」「平行線と比は相似を使わずに示せるか」「当たり前に見える三角不等式はどう証明するのか」が気になる人のために、証明を紹介します。

定義1:線分の内分と外分

mm,nn を正の数とする。線分 ABAB 上の点 PP が AP:PBAP : PB=m:n{}= m : n を満たすとき、PP は線分 ABAB を m:nm : n に内分するという。直線 ABAB 上で線分 ABAB の外にある点 QQ が AQ:QBAQ : QB=m:n{}= m : n を満たすとき、QQ は線分 ABAB を m:nm : n に外分するという。

定理1:内分点・外分点はただ 1 つ

ABAB=ℓ{}= \ell とする。線分 ABAB を m:nm : n に内分する点はただ 1 つ存在する。mm≠n{}\neq n ならば m:nm : n に外分する点もただ 1 つ存在し、mm=n{}= n ならば外分する点は存在しない。

証明 (内分)線分 ABAB 上の点 PP を APAP=t{}= t(00<t{}< t<ℓ{}< \ell)で表すと、条件は tℓ−t\dfrac{t}{\ell - t}=mn{}= \dfrac{m}{n} である。ntnt=m(ℓ−t){}= m(\ell - t) より tt=mℓm+n{}= \dfrac{m\ell}{m + n} となり、これは 00<t{}< t<ℓ{}< \ell を満たす。解はこの 1 つだけである。

(外分)QQ が BB の外側にあるとき、QBQB=s{}= s(ss>0{}> 0)とおくと AQAQ=ℓ{}= \ell+s{}+ s>QB{}> QB なので、比 AQQB\dfrac{AQ}{QB} は 11 より大きい。AA の外側にあるときは同様に AQAQ<QB{}< QB で、比は 11 より小さい。したがって mm=n{}= n となる外分点はない。

mm>n{}> n のとき、QQ は BB の外側にあり、ℓ+ss\dfrac{\ell + s}{s}=mn{}= \dfrac{m}{n} を解くと ss=nℓm−n{}= \dfrac{n\ell}{m - n} でただ 1 つ。mm<n{}< n のときは AA の外側にあり、AQAQ=s{}= s として ss+ℓ\dfrac{s}{s + \ell}=mn{}= \dfrac{m}{n} から ss=mℓn−m{}= \dfrac{m\ell}{n - m} でただ 1 つ。(証明終)

「ただ 1 つ」を示しておくと、あとで「逆」の定理を証明するときに役立ちます。同じ条件を満たす点が 2 つ見つかれば、それは同じ点だと言えるからです(同一法と呼ばれる証明法です)。

定理2:高さが共通な三角形の面積比

点 AA が直線 BCBC 上になく、点 DD が直線 BCBC 上の BB,CC と異なる点であるとき

△ABD:△ACD\displaystyle \triangle ABD : \triangle ACD=BD:CD\displaystyle {}= BD : CD

証明 AA から直線 BCBC に下ろした垂線の長さを hh とすると、△ABD\triangle ABD=12BD⋅h{}= \dfrac{1}{2}BD \cdot h,△ACD\triangle ACD=12CD⋅h{}= \dfrac{1}{2}CD \cdot h。比をとると hh が消える。(証明終)

DD は線分 BCBC の外にあってもかまいません。この形にしておくと、外角の二等分線(定理4)にもそのまま使えます。

A B C D E △DBE A B C D E △DCE 底辺 DE が共通で高さも等しいので △DBE = △DCE
定理3:平行線と線分の比

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB,ACAC 上にそれぞれ点 DD,EE があるとき(頂点とは異なる)

DE\displaystyle DE∥BC\displaystyle {}\parallel BC  ⟺  AD:DB\displaystyle {}\iff AD : DB=AE:EC\displaystyle {}= AE : EC

証明 (⇒\Rightarrow)△DBE\triangle DBE と △DCE\triangle DCE は底辺 DEDE が共通で、DEDE∥BC{}\parallel BC より BB と CC から直線 DEDE までの距離が等しい。よって △DBE\triangle DBE=△DCE{}= \triangle DCE。

EE から直線 ABAB への垂線を共通の高さと見ると、定理2より △ADE:△DBE\triangle ADE : \triangle DBE=AD:DB{}= AD : DB。DD から直線 ACAC への垂線を共通の高さと見ると、△ADE:△DCE\triangle ADE : \triangle DCE=AE:EC{}= AE : EC。△DBE\triangle DBE=△DCE{}= \triangle DCE なので、この 2 つの比は等しく、AD:DBAD : DB=AE:EC{}= AE : EC。

(⇐\Leftarrow)DD を通り BCBC に平行な直線と辺 ACAC との交点を E′E' とすると、(⇒\Rightarrow)より AD:DBAD : DB=AE′:E′C{}= AE' : E'C。仮定と合わせて AE:ECAE : EC=AE′:E′C{}= AE' : E'C なので、EE と E′E' はどちらも線分 ACAC を同じ比に内分する点である。定理1より EE=E′{}= E'、すなわち DEDE∥BC{}\parallel BC。(証明終)

中学では相似を使ってこの定理を示しました。しかし相似の理論を突きつめると、「比が分数で表せない(無理数の)ときにどう扱うか」という難しい問題に行き当たります。ユークリッドは『原論』第6巻の最初でこの面積による証明を与え、比そのものの扱いは第5巻の比例論(エウドクソスの理論とされる)に任せました。面積を使うと、難しさを「三角形の面積 = 底辺 × 高さ ÷ 2」の 1 か所に閉じこめられるのです(※『原論』の証明の細部は、ここでの書き方とは異なります)。

定理4:角の二等分線と比

△ABC\triangle ABC の ∠A\angle A の二等分線と辺 BCBC の交点を DD とする。また ABAB≠AC{}\neq AC のとき、∠A\angle A の外角の二等分線と直線 BCBC の交点を EE とする。このとき

BD:DC\displaystyle BD : DC=AB:AC,\displaystyle {}= AB : AC,BE:EC\displaystyle BE : EC=AB:AC\displaystyle {}= AB : AC

証明 角の二等分線上の点は、角をはさむ 2 直線から等しい距離にある(その点から 2 直線に垂線を下ろしてできる 2 つの直角三角形は、斜辺が共通で 1 つの鋭角が等しいので合同)。DD から直線 ABAB,ACAC までの距離を dd とすると

△ABD:△ACD\displaystyle \triangle ABD : \triangle ACD=12AB⋅d:12AC⋅d\displaystyle {}= \frac{1}{2}AB \cdot d : \frac{1}{2}AC \cdot d=AB:AC\displaystyle {}= AB : AC

一方、定理2より △ABD:△ACD\triangle ABD : \triangle ACD=BD:DC{}= BD : DC。よって BD:DCBD : DC=AB:AC{}= AB : AC。

外角の二等分線上の点 EE も、直線 ABAB,ACAC から等しい距離にある。同じ計算で △ABE:△ACE\triangle ABE : \triangle ACE=AB:AC{}= AB : AC。EE は直線 BCBC 上にあるので、定理2より △ABE:△ACE\triangle ABE : \triangle ACE=BE:CE{}= BE : CE。(証明終)

本文の公式3・4では平行線を引いて示しましたが、ここでは面積を使いました。本文の「廊下の真ん中を歩く」例えは、この証明をことばにしたものです。

定理5:定理4の逆

△ABC\triangle ABC の辺 BCBC 上の点 DD が BD:DCBD : DC=AB:AC{}= AB : AC を満たすならば、ADAD は ∠A\angle A の二等分線である。

証明 ∠A\angle A の二等分線と辺 BCBC の交点を D′D' とすると、定理4より BD′:D′CBD' : D'C=AB:AC{}= AB : AC。DD と D′D' はどちらも線分 BCBC を AB:ACAB : AC に内分する点なので、定理1より DD=D′{}= D'。よって ADAD は ∠A\angle A の二等分線である。(証明終)

同一法を使うと、逆の証明はこのように一瞬で終わります。

定理6:辺と角の大小

△ABC\triangle ABC において

AC\displaystyle AC>AB\displaystyle {}> AB  ⟺  ∠B\displaystyle {}\iff \angle B>∠C\displaystyle {}> \angle C

証明 (⇒\Rightarrow)ACAC>AB{}> AB より、辺 ACAC 上に ADAD=AB{}= AB となる点 DD が AA と CC の間にとれる。△ABD\triangle ABD は二等辺三角形なので ∠ABD\angle ABD=∠ADB{}= \angle ADB。∠ADB\angle ADB は △DBC\triangle DBC の外角なので ∠ADB\angle ADB=∠DBC{}= \angle DBC+∠C{}+ \angle C>∠C{}> \angle C。また DD は ∠ABC\angle ABC の内部にあるので ∠ABC\angle ABC>∠ABD{}> \angle ABD。以上より

∠B\displaystyle \angle B>∠ABD\displaystyle {}> \angle ABD=∠ADB\displaystyle {}= \angle ADB>∠C\displaystyle {}> \angle C

(⇐\Leftarrow)∠B\angle B>∠C{}> \angle C とする。もし ACAC=AB{}= AB なら二等辺三角形なので ∠B\angle B=∠C{}= \angle C。もし ACAC<AB{}< AB なら、(⇒\Rightarrow)で BB と CC の役割を入れかえて ∠C\angle C>∠B{}> \angle B。どちらも仮定に反するので ACAC>AB{}> AB。(証明終)

定理7:三角不等式

△ABC\triangle ABC において

BC\displaystyle BC<AB\displaystyle {}< AB+AC\displaystyle {}+ AC

証明 辺 BABA を AA の先へ延ばし、ADAD=AC{}= AC となる点 DD をとる。△ACD\triangle ACD は二等辺三角形なので ∠ADC\angle ADC=∠ACD{}= \angle ACD。AA は線分 BDBD 上にあるので

∠BCD\displaystyle \angle BCD=∠BCA\displaystyle {}= \angle BCA+∠ACD\displaystyle {}+ \angle ACD>∠ACD\displaystyle {}> \angle ACD=∠BDC\displaystyle {}= \angle BDC

△BCD\triangle BCD に定理6を使うと、大きい角 ∠BCD\angle BCD の向かいの辺 BDBD は、∠BDC\angle BDC の向かいの辺 BCBC より長い。BDBD=BA{}= BA+AD{}+ AD=AB{}= AB+AC{}+ AC なので BCBC<AB{}< AB+AC{}+ AC。(証明終)

定理7を 3 つの辺それぞれについて書くと aa<b{}< b+c{}+ c,bb<c{}< c+a{}+ a,cc<a{}< a+b{}+ b となり、後ろの 2 つをまとめると ∣b−c∣|b - c|<a{}< a です。こうして公式6 (2) の ∣b−c∣|b - c|<a{}< a<b{}< b+c{}+ c が得られます。

逆に、正の数 aa,bb,cc が ∣b−c∣|b - c|<a{}< a<b{}< b+c{}+ c を満たせば三角形が作れることは、次のように分かります。2 点 BB,CC を距離 aa だけ離して置き、BB を中心とする半径 cc の円と、CC を中心とする半径 bb の円をかきます。2 つの円が 2 点で交わる条件が、ちょうど ∣b−c∣|b - c|<a{}< a<b{}< b+c{}+ c です。その交点を AA とすれば、3 辺が aa,bb,cc の三角形 ABCABC ができます。

小話で紹介したとおり、『原論』も「二等辺三角形の底角(命題5)→ 辺と角の大小(命題18・19)→ 三角不等式(命題20)」の順に進みます。定理6・7は、その順番をそのままたどったものです。

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