問1
点 を通り、方向ベクトルが の直線を、媒介変数 を使って表しなさい。
目次 / ベクトル / 数学C
—— 直線・平面・球面を式で表し、交わり・角・距離を計算する ——
第8章までは、平面を「3 点」や「2 本のベクトル」で表し、垂線の足を連立方程式で求めてきました。この章では、座標空間の図形を方程式で表します。直線は媒介変数を使った式で、平面は法線ベクトルから作る $ax + by + cz + d = 0$ の形で、球面は中心と半径から作る式で表します。式にしておくと、2 つの平面のなす角や直線と平面の交点、点と平面の距離が短い計算で求められます。最後に、球面を平面で切った切り口の円と接平面を扱い、ベクトル分野のしめくくりとします。
第6章では、平面上の直線と円をベクトル方程式で表し、 や の形に書き直しました。この章では、同じことを座標空間で行います。
平面から空間へ移ると、式の顔ぶれが少し入れかわります。第6章の終わりで予告したとおり、法線ベクトルを使った は、空間では直線ではなく平面を表します。そのため、空間の直線は 1 本の 1 次方程式では表せず、媒介変数を使って表します。円の式 は、空間では球面になります。
直線の表し方は、第6章とまったく同じです。通る点 A と、進む向き(方向ベクトル) がわかれば、直線上の点 P は と表せます。違うのは、成分が 3 つになることだけです。
点 を通り、方向ベクトルが の直線上の点を とする。
ベクトル方程式:( は実数)
媒介変数表示:
を消去した形(,, がどれも でないとき):
2 点を通る直線:2 点 , を通る直線は ( で A、 で B。線分 AB は )
ここでの は方向ベクトルの 成分で、このあと出てくる法線ベクトル とは別物です。
平面の直線 は 1 本の式でしたが、空間の直線を を使わずに書くと、「」が 2 つ並んだ形になります。これは式が 2 本あるということです。後で見るように、,, の 1 次方程式 1 本は平面を表すので、直線は「2 枚の平面の交わり」として 2 本の式で表されるのです。成分に があるとき、たとえば なら、 と の 2 本に分けて書きます。
ある点が直線上にあるかどうかは、媒介変数表示の 3 本の式を満たす が 1 つ共通に とれるかで判定します。 座標から決まる で、, 座標も合うかを確かめるわけです。
公園にあるジップライン(ワイヤーにつるされて滑り降りる遊具)を思い浮かべてください。ワイヤーの道すじは、スタート台の位置と、「東へ 2 m 進むごとに北へ 1 m、下へ 2 m」という向きがわかれば 1 本に決まります。 は、スタート台から向きの何倍ぶん進んだかを表す目盛りです。
空間の直線は、平面のときと同じく「通る点 + × 方向ベクトル」で表し、成分の式が 3 本になるだけだということです。
点 を通り、 に平行な直線を とします。
(1) 直線 を媒介変数 を使って表しなさい。
(2) 直線 と 平面の交点の座標を求めなさい。
(3) 2 点 , のうち、直線 上にある点を求めなさい。
【解答】
(1) 公式1から
を消去すると とも書けます。
(2) 平面上の点は です。 より で、,。よって交点は です。
(3) P について、 座標から で 。このとき , となり、P の座標と一致します。
Q について、 座標から で 。このとき は合いますが、 は Q の 座標 と合いません。
よって、直線 上にあるのは です。
第8章では、平面に垂直なベクトルを法線ベクトルと呼びました。平面は、「通る 1 点」と「法線ベクトル」で 1 つに決まります。
点 を通り、 に垂直な平面を とします。点 が 上にあるとき、 は平面の中のベクトルなので と垂直です(P が A に重なるときは で、内積はやはり )。逆に が と垂直なら、P は 上にあります(厳密定義ページの定理1)。したがって
が平面 のベクトル方程式です。第6章 公式3で「直線」を表したのとまったく同じ式が、空間では平面を表します。平面では法線に垂直な向きが 1 通り(直線の向き)でしたが、空間では法線に垂直な向きが平面いっぱいに広がっているからです。
点 を通り、法線ベクトルが ()の平面の方程式は
展開すると の形になる。逆に、 のとき、方程式 は 法線ベクトルが の平面 を表す。
3 点を通る平面:一直線上にない 3 点 A,B,C を通る平面は、, の両方に垂直なベクトル(第8章 公式2)を法線ベクトルにとって求める。
切片の形: 軸・ 軸・ 軸とそれぞれ ,, で交わる平面()は
係数を読むだけで法線ベクトルがわかるのが、この形のよいところです。たとえば の法線ベクトルは です。第7章で扱った のような座標平面に平行な平面も、法線ベクトルが の平面として、この形に含まれています。また、 のように を含まない式は、 平面上の直線ではなく、法線ベクトル が 軸と垂直な平面、つまり 軸に平行な平面を表します。
3 点を通る平面は、 に 3 点の座標を代入して係数の比を求めることもできます。どちらの方法でも、最後に 3 点を代入して確かめましょう。
屋根にソーラーパネルを取りつける場面を考えます。パネルがどちらを向いているかは、パネルの面にまっすぐ立てた棒がどちらを指すかで言い表せます。取りつける場所 1 点と、その棒の向きが決まれば、パネルを広げた平面は 1 枚に決まります。この棒が法線ベクトルです。
平面は「通る 1 点」と「法線ベクトル」で決まり、 の係数 がそのまま法線ベクトルになるということです。
(1) 点 を通り、 に垂直な平面の方程式を求めなさい。
(2) 3 点 ,, を通る平面の方程式を求めなさい。
(3) 平面 を の形(係数は整数)に直し、法線ベクトルを 1 つ求めなさい。
【解答】
(1) 公式2から
(2) , です。法線ベクトルを とおくと
2 つ目から 。1 つ目に代入して より 。 として がとれます。A を通るので
確かめると、B は ,C は で、どちらも平面上にあります。
(3) 両辺に をかけて
法線ベクトルは係数を並べて です( でない実数倍でもかまいません)。
平面の向きは法線ベクトルで決まるので、2 つの平面の関係は、2 本の法線ベクトルの関係で調べられます。
平面 , の法線ベクトルを , とする。
方向ベクトル の直線 と、法線ベクトル の平面 について
2 平面のなす角は、交線に垂直な平面で 2 枚を切ったときの、切り口の 2 直線がつくる角です。この角は、法線ベクトルどうしのなす角か、その補角( から引いた角)に等しくなります。第6章で 2 直線のなす角を 〜 にそろえたのと同じ理由で、分子に絶対値をつけます。
直線と平面のなす角は、直線と、その直線を平面に正射影した直線とがつくる角です。直線が平面に垂直に近いほど、 と の向きは近くなります。 と のなす角を とすると ( が鈍角なら )なので、 の代わりに が現れます。
交線の方向ベクトルは、第8章 公式2の手順で求められます。交線は 2 枚の平面の両方に含まれるので、どちらの法線ベクトルとも垂直だからです。
ノートパソコンの画面の開き具合を分度器で測るとき、分度器はヒンジ(ちょうつがい)と直角になるように当てます。斜めに当てると、正しい角度が読めません。画面とキーボードに、それぞれの面にまっすぐ立つ棒をつけておけば、2 本の棒がつくる角からも開き具合がわかります。これが法線ベクトルで 2 平面の角を測る考え方です。
2 つの平面の平行・垂直・なす角は法線ベクトルどうしで、直線と平面の関係は方向ベクトルと法線ベクトルの内積で調べ、交点は媒介変数表示を平面の式に代入して求めればよいということです。
2 つの平面 , があります。
(1) と のなす角 を求めなさい。
(2) 直線 ,, と平面 の交点の座標を求めなさい。
(3) , の両方に垂直で、原点を通る平面の方程式を求めなさい。
【解答】
(1) , とすると
から です。
(2) 直線の式を の方程式に代入すると
よって交点は です。( に代入すると で、確かに 上にあります。)
(3) 求める平面を 、その法線ベクトルを とします。公式3から、, となる条件は , です。
2 式を足すと で 。1 つ目の式から 。 として 。原点を通るので
この は、, の両方に垂直なので、 と の交線の方向ベクトルでもあります。求めた平面は、交線に垂直な平面です。
第8章では、点と平面の距離を、垂線の足を求めてから長さを計算するか、法線ベクトルの向きへの正射影 として求めました。平面の方程式がわかっていれば、この正射影の計算を 1 本の公式にまとめられます。
平面 上に点 をとり、 とします。A は 上にあるので です。点 に対して
となり、A の座標が消えます。P から に下ろした垂線 PH は と平行なので、PH の長さは の の向きへの正射影の長さです。
点 と平面 の距離 は
P から に下ろした垂線の足 H は、 として
第6章 公式4の点と直線の距離 と、同じ形をしています。どちらも「法線ベクトルの向きへの正射影」から出てきた式だからです。垂線の足の式は、H が P から の向きに 倍だけ進んだ点であり、 を平面の方程式に代入すると になることから確かめられます。
第8章の例題5で、原点 O から平面 ABC(,,)までの距離を と求めました。この平面は、公式2の切片の形から ,つまり です。公式4を使うと となり、1 行で同じ答えが出ます。
分子の は、P が平面からどれだけ離れているかを、長さの 倍の目盛りで表した数です。海外の体重計がポンド表示なら、キログラムに直すには換算の数で割ります。同じように、この数を で割ると、本当の長さに直ります。符号は、P が平面のどちら側にあるかを表しています。
点と平面の距離は、平面の式の左辺に点の座標を代入した値の絶対値を、法線ベクトルの大きさで割れば求まり、第6章の点と直線の距離と同じ形になるということです。
点 と平面 があります。
(1) 点 P と平面 の距離を求めなさい。
(2) P から に下ろした垂線の足 H の座標を求めなさい。
(3) 平面 に関して P と対称な点 の座標を求めなさい。
【解答】
(1) , なので、公式4から
(2) , なので
よって です。 に代入すると で、確かに 上にあります。また で、(1) と一致します。
(3) H は線分 の中点なので、。
( としても同じです。)
空間で、定点 C から一定の距離 にある点全体を、中心 C、半径 の球面といいます。第6章の円 と同じ式が、空間では球面を表します。
中心 ,半径 の球面のベクトル方程式は で、成分で書くと
とくに、中心が原点なら 。
一般形: は、,, それぞれで平方完成して、右辺が正なら球面を表す。
直径の両端:2 点 , を直径の両端とする球面は
直径の両端の式は、第6章 公式5 (2) と同じ理由で成り立ちます。P が A,B と異なる球面上の点なら、P を含み線分 AB を含む平面で切った切り口は AB を直径とする円なので、 です。
一般形で右辺が になるときは 1 点、負になるときは何も表しません。平方完成をしたら、右辺の符号を必ず確かめましょう。
タンポポの綿毛は、茎の先を中心に、同じ長さの細い柄が四方八方へ伸び、その先に種がついています。種が並ぶのは、茎の先から等しい距離にある点、つまり球面の上です。平面の上で同じことをすると、点は円の上に並びます。
球面は中心からの距離が一定の点の集まりで、円の式に の項を 1 つ加えた で表されるということです。
(1) 中心が ,半径が の球面の方程式を求めなさい。
(2) 方程式 が表す球面の中心と半径を求めなさい。
(3) 2 点 , を直径の両端とする球面の方程式を求めなさい。
【解答】
(1) 公式5から
(2) ,, それぞれで平方完成すると
右辺が正なので球面で、 です。
(3) 中心は AB の中点 ,半径は中心と A の距離 です。
公式5の直径の両端の式で確かめると
平方完成すると となり、一致します。
球面を平面で切ると、切り口はどうなるでしょうか。中心 C から平面 に下ろした垂線の足を H、距離を とします。平面上の点 Q について、 は平面に垂直なので で、三平方の定理から
です。Q が球面上にある、つまり となる条件は です。
中心 C,半径 の球面と平面 について、C と の距離を ,C から に下ろした垂線の足を H とする。
接平面の方程式:中心 ,半径 の球面上の点 における接平面は、 を法線ベクトルとする平面で
は公式4で計算できます。,つまり平面が中心を通るとき、切り口の円の半径は で最大になります。この円を大円といいます。
接平面の式は、第6章 公式5 (3) の円の接線の式と同じ形です。接平面は接点で半径 と垂直なので、 です。 と書きかえ、 を使うと、上の式になります。
また、座標平面との交わりも公式6の特別な場合です。球面の式に を代入すれば、 平面上の切り口の円の式が得られます。
丸いグレープフルーツを包丁で切ると、真ん中で切ったときに切り口の円がいちばん大きくなります。中心から離れた位置で切るほど切り口は小さくなり、皮の端をかすめるように切ると点になり、さらに外では包丁は実に触れません。この 3 通りが、公式6の ,, に対応しています。
球面と平面の関係は、中心と平面の距離 を半径 と比べて決まり、切り口の円の中心は垂線の足、半径は 、接平面は半径に垂直な平面だということです。
球面 があります。
(1) 平面 と球面 の交わりは円になります。この円の中心の座標と半径を求めなさい。
(2) 点 は 上にあります。 における の接平面の方程式を求めなさい。
【解答】
(1) 中心 ,半径 です。, なので、公式4から C と の距離は
なので交わりは円で、半径は です。
円の中心は C から に下ろした垂線の足 H です。, なので
よって中心は です。( に代入すると 。)
(2) まず が 上にあることを確かめると、 です。 なので、公式6から
を代入すると で成り立ちます。この平面は を含まないので、 軸に平行です。
これで、ベクトル分野の 9 つの章が終わりました。第1章の「向きと大きさをもつ矢印」から始まり、内積で角と長さを、位置ベクトルで図形を扱い、最後は空間の直線・平面・球面を式で表すところまで来ました。平面の円と空間の球面、平面の直線と空間の平面が同じ式で書けたように、ベクトルを使うと、次元が変わっても同じ考え方で図形を扱えます。この見方は、大学で学ぶ線形代数へとつながっていきます。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
点 を通り、方向ベクトルが の直線を、媒介変数 を使って表しなさい。
問2
点 を通り、法線ベクトルが の平面の方程式を求めなさい。
より
問3
点 と平面 の距離を求めなさい。
問4
中心が ,半径が の球面の方程式を求めなさい。
問5
方程式 が表す球面の中心と半径を求めなさい。
より
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
2 点 , を通る直線を媒介変数 で表し、この直線と 平面の交点の座標を求めなさい。
,,,交点
公式1の を使います。 なので
平面上では なので、 より 。このとき , で、交点は です。 なので、この交点は線分 AB の中点でもあります。
問2 ★
3 点 ,, を通る平面の方程式を求めなさい。
, です。法線ベクトルを とおくと
2 式を足すと で 、1 つ目から 。 として です。A を通るので
B は ,C は で、確かに平面上にあります。
この方程式には が含まれません。 がどんな値でも、 を満たせば平面上にあるということなので、この平面は 軸に平行です(法線ベクトル が 軸と垂直)。
問3 ★
2 つの平面 , について、(1) と のなす角 を求め、(2) 平面 が , の両方に垂直であることを示しなさい。
(1) (2) 法線ベクトル が , の両方と内積
(1) , の法線ベクトルは , です。
から です。
(2) 平面 の法線ベクトルは で
法線ベクトルどうしが垂直なので、公式3から、この平面は , の両方に垂直です。(証明終)
問4 ★
点 と平面 の距離と、A から に下ろした垂線の足 H の座標を求めなさい。
距離 ,
, なので、公式4から距離は
, なので
よって です。 に代入すると で、 も距離と一致します。
問5 ★
(1) 中心が で 平面に接する球面と、(2) 中心が で点 を通る球面の方程式を、それぞれ求めなさい。
(1) (2)
(1) 平面()と中心の距離は、中心の 座標の絶対値 です。接するので半径は で
(2) 半径は中心と点 の距離なので、。
問6 ★
直線 について、(1) 平面 との交点の座標を求め、(2) 平面 と共有点をもたないことを示しなさい。
(1) (2) 代入すると となり、成り立つ がない
(1) 平面の方程式に代入すると
よって交点は です()。
(2) 平面 に代入すると
となり、 が消えて「」という成り立たない式になります。どの でも 上の点は平面上にないので、共有点はありません。(証明終)
公式3で確かめると、方向ベクトル と法線ベクトル の内積は なので、 は平面と平行か平面に含まれます。 上の点 は で平面上にないので、平行で交わらない場合です。
問7 ★
平面 が 軸・ 軸・ 軸と交わる点を A,B,C とします。(1) A,B,C の座標、(2) 原点 O と の距離、(3) 四面体 OABC の体積を使った三角形 ABC の面積を、それぞれ求めなさい。
(1) ,, (2) (3)
(1) 軸上では なので ,。同様にして
(2) なので、公式4から
(3) 3 本の辺 OA,OB,OC はどの 2 本も垂直なので、四面体 OABC の体積は
三角形 ABC を底面とみると、高さは (2) の なので、 から
第8章 公式3で確かめると、, で となり、一致します。
問8 ★
平面 に平行で、点 を通る平面 の方程式を求め、2 つの平面 , の距離を求めなさい。
,距離
平行な平面は法線ベクトルが共通なので、 の法線ベクトルとして がとれます。点 を通るので
平行な 2 平面の距離は、一方の平面上の 1 点ともう一方の平面の距離です。 上の点 と の距離を公式4で求めて
( を , を と、法線ベクトルをそろえて書けば、距離は定数項の差を使って とも計算できます。)
問9 ★★
2 つの平面 , について、(1) 交線を媒介変数 で表し、(2) この交線と原点 O を含む平面の方程式を求めなさい。
(1) ,, (2)
(1) 2 式を足すと で 。 に代入して ,つまり 。 とおくと
方向ベクトルは です。, の法線ベクトルとの内積は , で、公式3のとおり両方に垂直になっています。
(2) 交線上の点 をとると、求める平面は と を含みます(この 2 本は平行ではありません)。法線ベクトルを とおくと
, で、 として 。原点を通るので
交線上の点 を代入すると で、確かに交線全体を含みます。
問10 ★★
平面 と 2 点 , があります。(1) P から に下ろした垂線の足 H の座標、(2) に関して P と対称な点 の座標、(3) 点 X が 上を動くときの の最小値を、それぞれ求めなさい。
(1) (2) (3)
, とします。
(1) , なので 。公式4から
です()。
(2) H は の中点なので 。 です。
(3) , なので、P と Q は の同じ側にあります。 は線分 の垂直二等分面なので、 上の点 X について です。よって
で、 と Q は の反対側にあるので、線分 は と交わります。その交点を X にとると等号が成り立つので、最小値は です。 と Q の座標の差は ,, なので
第6章 j20 の平面上の最短経路と同じ考え方で、直線が平面に変わっただけです。
問11 ★★
球面 について、(1) 中心と半径、(2) 平面 との交わりの円の中心と半径を求め、(3) と 平面の位置関係を調べ、共有点があればその座標を求めなさい。
(1) 中心 ,半径 (2) 中心 ,半径 (3) 接する,接点
(1) 平方完成すると
です。
(2) 平面 と C の距離は で、 なので交わりは円です。C から平面 に下ろした垂線の足は なので
( の式に を代入すると となり、平面 上の円であることが直接わかります。)
(3) 平面()と C の距離は で、半径と等しいので、 は 平面に 。接点は C から下ろした垂線の足で です。
( を代入すると で、, の 1 点だけになります。)
問12 ★★
(1) 球面 上の点 における接平面の方程式を求めなさい。(2) 球面 と平面 が接するように定数 の値を定め、それぞれの接点の座標を求めなさい。
(1) (2) のとき接点 , のとき接点
(1) 中心が原点なので、公式6は の形になります。
原点との距離は で、半径と一致します。
(2) 中心は ,半径は です。平面 と C の距離は
接する条件 から で、 です。
接点は C から平面に下ろした垂線の足です。, とします。
どちらも球面の式を満たし()、平面の式も満たします(,)。
問13 ★★
球面 と直線 について、(1) 共有点の座標、(2) 2 つの共有点を結ぶ線分の長さ、(3) 原点 O と直線 の距離を求めなさい。
(1) , (2) (3)
(1) 直線の式を球面の式に代入すると
より 。共有点は です。
(2) 2 点を , の点とすると、そのあいだは方向ベクトル の 倍なので、長さは です。
(3) 中心 O から弦に下ろした垂線の足は、弦の中点 M です( の二等辺三角形 OAB の頂点から底辺に下ろした垂線)。M は の点 で、 と確かめられます。
三平方の定理でも となり、一致します。
問14 ★★
直線 と、 上にない点 があります。(1) と A を含む平面 の方程式、(2) 原点 O から に下ろした垂線の足の座標と、O と の距離を求めなさい。
(1) (2) ,距離
(1) 上の点 をとると、 は の方向ベクトル と を含みます。 は の 倍で、 とは平行ではありません。法線ベクトルを とおくと
引き算して 、さらに 。 として 。Q を通るので
A は 、 上の点は で、どちらも 上にあります。
(2) に O を代入すると , なので 。公式4から
垂線の足は 、距離は です。
問15 ★★
直線 と平面 について、(1) 交点の座標と、(2) と のなす角 ()を求めなさい。
(1) (2)
(1) 代入すると
交点は です()。
(2) , とすると、,。公式3から
から です。
と のなす角は で です。直線は法線から 傾いているので、平面とのなす角は になります。 のまま答えて としないように注意しましょう。
問16 ★★
球面 と平面 があります。(1) と が共有点をもたないことを示し、(2) 点 P が 上を動くときの、P と の距離の最小値とそのときの P の座標、および最大値を求めなさい。
(1) 中心と の距離 が半径 より大きい (2) 最小値 (),最大値
(1) 中心 ,半径 です。
なので、公式6から共有点はありません。(証明終)
(2) ,()とします。 は 1 次式なので、 上の点 P について
が成り立ちます(公式4の前の計算と同じ理由)。 なので で、 です。 なので、P と の距離は で
左の等号は が と同じ向きのとき、右の等号は と同じ向きのときに成り立ちます。よって最小値 ,最大値 です。図で見ると、C を通り に垂直な直線と の 2 つの交点のうち、 に近いほうで最小、遠いほうで最大になります。
最小になる点を とすると、 は の向きで長さ なので
確かめると、 の左辺は で、距離は です。
問17 ★★★
ねじれの位置にある 2 直線 , があります。 上の点 P と 上の点 Q について、(1) 直線 PQ が , の両方に垂直になるときの P,Q の座標、(2) このときの線分 PQ の長さを求め、(3) を含み に平行な平面の方程式を求めて、 上の点とこの平面の距離が (2) と一致することを示しなさい。
(1) , (2) (3) ,距離
, とします。
(1) , とおくと 。
1 つ目から 。2 つ目に代入して ,,。
(2) なので 。
この PQ を 2 直線の 共通垂線 といいます。 上の点 X と 上の点 Y をどうとっても となり、PQ の長さを 2 直線の 距離 と呼びます(厳密定義ページの定理4)。
(3) 求める平面は , の両方を含むので、法線ベクトル は , を満たします。 として 。 上の点 を通るので
は でこの平面に平行なので、 上のどの点も平面から同じ距離にあります。点 で計算すると
となり、(2) と一致します。(証明終)
が と平行( 倍)になっていることからも、共通垂線がこの平面に垂直であることがわかります。
問18 ★★★
座標空間で ,, が表す立方体を考え、原点 O と点 を向かい合う頂点とします。3 点 ,, を通る平面を とします。(1) の方程式を求め、(2) が線分 OG の垂直二等分面であることを示し、(3) 立方体を で切った切り口の図形の面積を求めなさい。
(1) (2) 法線ベクトル で、OG の中点 が 上にある (3) 1 辺 の正六角形で、面積
(1) ,。法線ベクトル は , を満たすので、, で 。P を通るので
(2) なので、 は直線 OG に垂直です。また OG の中点 は で 上にあります。よって は線分 OG の垂直二等分面です。(証明終)
公式4で確かめると、O と の距離は ,G と の距離は で等しくなっています。
(3) 立方体の 8 つの頂点で の値を調べると、O が 、O の隣の 3 頂点が 、G の隣の 3 頂点が 、G が です。 となる点をもつ辺は、値が の頂点と の頂点を結ぶ 6 本だけで、どれも辺の中点で交わります。切り口の頂点は
の 6 点で、この順に隣り合う 2 点の距離はどれも です。また、中心 からの距離もどれも です。6 つの頂点が M から等距離にあり辺の長さも等しいので、M と隣り合う 2 頂点でできる 6 つの三角形はすべて 1 辺 の正三角形で、切り口は正六角形です。
(別解:切り口を 平面に正射影すると、1 辺 4 の正方形から 2 つの角(面積 2 ずつ)を除いた面積 の六角形になります。 と 平面のなす角 は なので、切り口の面積は です。第8章 j19 の「影の面積 = 面積 × 」を使いました。)
問19 ★★★
2 つの球面 , の交わりは円になります。(1) この円を含む平面の方程式、(2) 円の中心の座標と半径を求めなさい。(3) の中心を とし、円周上の点を P とするとき、 の値を求めなさい。
(1) (2) 中心 ,半径 (3)
(1) の式を展開すると です。2 つの球面の共有点は両方の式を満たすので、 の式から の式を辺々引いた式も満たします。
2 乗の項が消えて 1 次式になるので、共有点はすべてこの平面 上にあります。逆に、 上で の式を満たす点は、引き算を戻せば の式も満たします。よって交わりは「 と の交わり」と同じです。
(2) O と の距離は なので、交わりは半径 の円です。中心は O から に下ろした垂線の足で、 から 。
2 つの球面の半径が等しいので、 は線分 の垂直二等分面で、円の中心は の中点になっています。
(3) (どちらも半径), です。 の両辺の大きさを 2 乗すると
この値は P が円周上のどこにあっても同じです。2 つの球面が円に沿って一定の角度で交わっていることを表しています。
問20 ★★★
球面 と 2 点 , があります。(1) A,B を通り、 に接する平面の方程式をすべて求め、それぞれの接点の座標を求めなさい。(2) (1) で求めた平面どうしのなす角を求めなさい。
(1) (接点 ),(接点 ) (2)
(1) 求める平面の法線ベクトルを とします。平面は A,B を通るので を含み、,つまり です。
とすると で、平面は A を通る です。これは中心 O を通るので に接しません(O との距離が )。よって で、 にそろえて とおけます。A を通るので平面は
O との距離が半径 に等しいことが接する条件なので
接点は O から平面に下ろした垂線の足で、 から です。
接点は で 上にあります。
(2) 法線ベクトル , の内積は なので、2 つの平面は垂直で、なす角は です。
2 つの接平面は、どちらも直線 AB を含み、 平面に関して対称です。 平面とのなす角は、 からどちらも で、合わせて になっています。
東京からニューヨークへ向かう飛行機の飛行ルートを、ふだん見る世界地図に描くと、大きく北へふくらんだ弧になります。まっすぐ東へ飛べばよさそうなのに、わざわざアラスカやカナダの北のほうを回っているように見えます。実は、この弧のほうが近道なのです。
地球を半径 の球とみなします。球面上の 2 点を結ぶ最短の道は、2 点と地球の中心 O を通る平面で球面を切った切り口、つまり大円(公式6で の場合)の短いほうの弧です。この道を大圏航路といいます。大円は球面上でいちばん大きな円なので、同じ 2 点を結ぶ他の円の弧よりも曲がり方がゆるく、道のりが短くなります。
距離は内積で計算できます。緯度 ,経度 の地点の位置ベクトルは、中心を原点として
と表せます。東京(北緯約 ,東経約 )とニューヨーク(北緯約 ,西経約 )の位置ベクトルのなす角を とすると、内積を計算して , です。 とすると、大円の弧の長さは
になります。
この大円は、北緯約 、アラスカの北の海岸あたりまで北上します。地図の上で曲がって見えるのは、微分積分 第14章の小話で紹介したメルカトル図法が、北へ行くほど東西を引き伸ばして描くためです。メルカトル図法でまっすぐに見える等角航路(方位を一定に保って進む道)は、舵を切らなくてよい代わりに遠回りになります。実際の飛行ルートは、上空の風や空域の決まりによって、大圏航路から多少ずれます(※便や季節によって異なります)。
豆知識
地球儀の上で 2 つの都市にひもを当て、ぴんと張ると、ひもは自然に大圏航路に沿います。張ったひもは最短の道を選ぶからです。帆船の時代の航海士は、大圏航路をいくつかの区間に分け、区間ごとには方位を一定に保って進むことで、最短の道に近いルートをたどったといわれます。
中国の古い数学書『九章算術』(紀元前後ごろにまとめられたとされます ※成立時期には諸説あります)の第8章「方程」には、次のような問題があります。
上等の稲 3 束、中等の稲 2 束、下等の稲 1 束から、実が 39 斗とれる。上等 2 束、中等 3 束、下等 1 束からは 34 斗、上等 1 束、中等 2 束、下等 3 束からは 26 斗とれる。それぞれ 1 束から何斗とれるか。
1 束あたりの量を ,, とすると、連立方程式
になります。答えは ,, で、本にも「上等は 1 束 9 斗と 4 分の 1 斗」のように書かれています。
この章の言葉で見ると、3 本の式はそれぞれ座標空間の平面です。法線ベクトルは ,, で、答えの は 3 枚の平面がただ 1 つ共有する点です。3 本の法線ベクトルが同じ平面に平行でない(1次独立な)ので、3 枚は 1 点で交わります。第7章の厳密定義で紹介した 3 次の行列式で確かめると、この 3 本では です。もし法線ベクトルが 1次従属なら、3 枚の平面は 1 本の直線を共有するか、共通の点をもたないかのどちらかになり、答えは無数にあるか、1 つもないことになります。
『九章算術』の解き方は、係数を算木(計算用の小さな棒)で縦の列に並べ、ある列の何倍かを別の列から引いて、係数を 1 つずつ消していくものでした。これは、現在「ガウスの消去法」と呼ばれる方法と同じ考え方です。ドイツのガウスは 19 世紀の初めに、天体の軌道を求める計算でこの手順を整理して使いました。中国では、それより千数百年も前に、同じ手順が書き残されていたことになります(※この方法がガウスの名で呼ばれるようになった経緯には諸説あります)。
豆知識
係数を引き算していくと、途中で負の数が出てきます。そこで「方程」の章には、負の数の足し算・引き算の規則(正負術)も書かれています。算木では、正の数を赤、負の数を黒の棒で表したと伝えられています。この本は、負の数を計算の規則として扱った、知られている中で最も古い文献の 1 つとされています。
2 つのシャボン玉がくっつくと、あいだに薄い膜の壁ができます。この壁のふちは、きれいな円になっています。この理由は、この章の計算で説明できます。
シャボン玉を、中心 ,半径 の球面 と、中心 ,半径 の球面 とみなします。2 つの式
の両方を満たす点は、辺々引いた式
も満たします。2 乗の項が消えるので、これは平面の方程式です(実践問題 j19)。つまり、2 つの球面の交わりは平面の上にあり、その平面で球面を切った切り口なので、公式6から円になります。壁のふちは、この円に沿っています。
この平面の法線ベクトルは で、2 つの中心を結ぶベクトル と平行です。中心が の球面を一般形に展開すると ,, となり、係数の差は中心の座標の差の 倍になるからです。したがって、境目の円は、2 つの中心を結ぶ直線を軸にした円になっています。
同じ大きさのシャボン玉なら、壁は平らになります。大きさが違うと、壁は大きいほうのシャボン玉へ向かってふくらみます。小さいシャボン玉ほど中の空気の圧力が高く、壁を押すからです。
泡の膜がつながる形については、ベルギーの物理学者プラトーが、19 世紀に実験を重ねてまとめた規則が知られています。そのうちの 1 つは、「膜は 3 枚ずつ集まり、たがいに の角をなす」というものです。この規則が数学的に正しいことは、1976 年にアメリカの数学者ジーン・テイラーによって証明されました(※証明の範囲には条件がつきます)。
豆知識
同じ体積の部屋で空間をすき間なく仕切るとき、壁の面積の合計をいちばん小さくするにはどうすればよいか。1887 年に、イギリスのケルビン卿は、少し曲がった面をもつ 14 面体を並べる形を提案しました。100 年以上たった 1993 年、アイルランドの物理学者ウィアとフェランが、2 種類の立体を組み合わせてさらに面積の小さい形を見つけました。この構造は、2008 年の北京オリンピックの水泳会場「ウォーターキューブ(北京国家水泳センター)」の外壁のデザインに使われています。
※ここは発展ページです。高校の範囲では、本文の公式を使って直線・平面・球面の式を立て、交点・角・距離を計算できれば十分です。本文では、「 と垂直なら平面上にある」「点と平面の距離の公式」「切り口は円」を図と計算で確かめました。ここでは、それらを証明の形に整え、さらに 2 平面の交線と、ねじれの位置にある 2 直線の距離を扱います。
以下、第7章の厳密定義(1次独立・分解の一意性・平面 )と、第8章の厳密定義(平面に垂直なベクトル・正射影)を使います。
第7章の定義2では、一直線上にない 3 点 A,B,C に対して、平面を集合
として定義し、「, を消去すると 1 次方程式になるのは第9章で」と予告しました。ここでそれを示します。
(1) 一直線上にない 3 点 A,B,C について、, に垂直な でないベクトルを とすると
(2) のとき、方程式 を満たす点全体は、ある 3 点 A,B,C による に一致し、 はその法線ベクトルである。
証明 (1) まず、,, は 1次独立である。実際、 と の内積をとると で ,すると , の 1次独立性から となる。
() なら 。
() とする。第7章 定理2により、 と表せる。両辺と の内積をとると なので 。よって で、P は に属する。
(2) の場合を示す(, の場合も文字を入れかえて同様)。 は方程式を満たし、 とおくと、任意の点 について
である。そこで , とし、, となる点 B,C をとる。 であり、 の 成分・ 成分から , より なので、, は 1次独立である(A,B,C は一直線上にない)。(1) により、方程式を満たす点全体は に一致する。(証明終)
こうして、「3 点(媒介変数 2 つ)」「1 点と法線ベクトル」「1 次方程式」の 3 通りの表し方が、同じ図形を表すことがわかりました。第6章の定理2では、平面上の直線について同じことを示しました。次元が 1 つ上がると、「法線形・1 次方程式」が表すものが直線から平面に変わり、方向ベクトルは 1 本から 2 本に増えます。
なお、1 つの平面を表す方程式は、全体を でない実数倍しても同じ平面を表します。逆に、2 つの 1 次方程式が同じ平面を表すなら、一方は他方の でない実数倍です(法線ベクトルがどちらも平面に垂直なので平行であり、共通の点を代入すると定数項の比も一致します)。
平面 と点 に対し、,, とおき、 で点 H を定める。このとき
(1) H は 上にあり、 は に垂直である。
(2) 上のすべての点 X について が成り立つ。したがって で、等号は X = H のときに限る。
(3)
証明 (1) 定理1 (2) の証明と同じ計算で、任意の点 A,B について が成り立つ( は 1 次式なので、定数項が打ち消し合う)。 なので
よって H は 上にある。 は と平行なので、定理1 (1) の , のような 上のどのベクトルとも垂直である。
(2) で、H,X はともに 上にあるので ,したがって 。
等号 は のときに限る。
(3) 。(証明終)
(2) により、「点と平面の距離」を「平面上の点との距離の最小値」として定義しても、垂線の長さと一致することがわかります。第8章の定理2は、同じことを「3 点で与えられた平面」について示したものでした。
証明の中で使った から、 と が異符号なら線分 PQ は と交わり、同符号なら交わらないこともわかります( は線分上で の 1 次式として連続に変わるため)。平面は空間を 2 つの側に分け、 の符号がどちらの側かを表しています。第6章 定理4 の「直線の両側」の、空間での姿です。
平面 , の法線ベクトル , が平行でないとする。, の両方に垂直な でないベクトルを とすると、 と の共有点全体は、ある点 を通る直線
である。
証明 (共有点の存在) の形の点を探す。, に代入すると
係数から作る は、, を 2 辺とする平行四辺形の面積の 2 乗で、平行でないので正である。第2章の厳密定義(2 × 2 のクラメルの公式)により , がただ 1 組決まり、 は , の共有点になる。
(共有点全体),, は、定理1 の証明と同じ理由で 1次独立である。点 P が , の両方の上にあるための条件は、 が , を満たすことである。 と表すと、この 2 つの条件は
となり、 から に限る。よって条件は「 と表せること」と同値である。(証明終)
としては、第8章の厳密定義で紹介した外積 がとれます。, が平行なら、 と は一致するか、共有点をもたないかのどちらかです(定理1のあとの注意)。
3 枚の平面の場合、法線ベクトル ,, が 1次独立(第7章 定義3の行列式で )であれば、3 枚はちょうど 1 点で交わることが、同じように示せます。小話2の『九章算術』の問題は、この場合にあたります。
第7章の定理5で、2 直線がねじれの位置にあるための条件を扱いました。本文の実践問題 j17 と第8章の j10 で求めた「両方に垂直な線分」について、次のことが言えます。
2 直線 , の方向ベクトル , が平行でないとする。
(1) 上の点 P, 上の点 Q で、 かつ となるものが、ただ 1 組存在する。
(2) 上の任意の点 X, 上の任意の点 Y について であり、等号は X = P かつ Y = Q のときに限る。
(3) , の両方に垂直な でないベクトルを とすると
を 2 直線 , の 距離、直線 PQ を 共通垂線 という。
証明 (1) である。条件は
係数の行列式は で、, が平行でないので 。よって , はただ 1 組に決まる。
(2) X,Y を , の点とすると
は , と垂直なので で
等号は ,つまり , の 1次独立性から , のときに限る。
(3) は , の両方に垂直なので、定理3 の証明と同じ理由で と書ける。 と の内積をとると 。よって
(証明終)
(3) の式は、「 を含み に平行な平面」(法線ベクトル )と、 上の点 B の距離を、定理2で求めた形になっています。j17 (3) で確かめたとおりです。また、, が交わるとき距離は で、 となります。これは、第7章 定理5の「,, が 1次従属」と同じ条件です。 として外積 をとると、 は第8章 定理5の行列式 になります。
点 C と正の数 に対し、 を中心 C,半径 の 球面 という。平面 と球面の共有点がただ 1 つであるとき、 は球面に 接する といい、 を 接平面、共有点を 接点 という。
中心 C,半径 の球面 と平面 について、C から に下ろした垂線の足を H, とする。
(1) なら、 と の共有点全体は、 上で H を中心とする半径 の円である。
(2) なら、共有点は H だけである( は接平面)。 なら、共有点はない。
(3) 上の点 を通る平面 が の接平面であるための必要十分条件は、 が に垂直であることである。
証明 (1)(2) 定理2 (2) により、 上の点 Q について 。したがって
右辺が正なら、これは 上の円(H からの距離が一定の点の集まり)であり、 なら Q = H だけ、負なら満たす Q はない。
(3) は 上かつ 上にあるので、 である(定理2 (2))。(1)(2) から、 が接平面 (定理2 (2) の等号条件) が に垂直。最後の同値は、H が「C から への垂線の足」としてただ 1 つに決まることによる。(証明終)
(3) から、本文 公式6の接平面の方程式 ,つまり が導かれます。第6章 定理5で示した「円の接線は半径に垂直」の空間版です。
参考:2 つの球面と、より高い次元
2 つの球面 , の式を引くと
となり、 なら法線ベクトル の平面が得られます(小話3と実践問題 j19)。この平面を 2 つの球面の 根平面 といいます。共有点があれば、それは根平面と一方の球面の交わりなので、定理5により円(または 1 点)になります。
また、この章で使った計算は、成分の個数によりません。 個の実数の組 の空間で、内積を と定めると、 は「 次元の平面」(超平面)、 は「 次元の球面」になり、定理2や定理5はそのままの証明で成り立ちます。第7章の小話3で、 次元の箱と球の不思議な関係を紹介しましたが、その計算の土台になっているのがこの見方です。第6章の厳密定義の最後で触れた超平面と線形計画法も、この言葉で書かれています。
この章の学習が終わったら
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