問1
を の形で表しなさい。
目次 / 指数関数・対数関数 / 数学II
—— 「何乗すればよいか」に名前を付ける ——
第3章の最後に、$2^x = 5$ の解は $2$ と $3$ の間にあるのに、いまの道具では書き表せないという話をしました。この章では、その「何乗すれば $5$ になるか」という数に $\log_2 5$ という名前を付けます。これが**対数**です。対数は指数の逆向きの見方なので、指数法則をそのまま言いかえると、「掛け算が足し算に、累乗が掛け算に変わる」という対数の性質が出てきます。底をそろえ直す「底の変換公式」まで学ぶと、$2^x = 3^{x-1}$ のような、底がそろわない指数方程式も解けるようになります。
第3章の最後に残した方程式 から始めます。, なので、解は と の間にあります。 のグラフは右上がりの一本道で、値は正の数全体をとるので、高さ の横線とはちょうど 1 回だけ交わります(第2章 厳密定義の補足)。つまり解はたしかに 1 つあるのに、 や のようなおなじみの数では書けません。
そこで、この数に新しい名前を付けます。「 を何乗すれば になるか」という数を と書き、「ログ の 」と読みます。 は、英語の logarithm(対数)の頭の 3 文字です。
,, のとき
を、 を底(てい)とする の対数といい、 をこの対数の真数という。真数はつねに正である(真数条件 )。
第1章から使ってきた「電卓の ボタン」で言いかえてみます。 は「 から始めて を 回押すと、表示はいくつになるか」という質問でした。 はその逆で、「表示を にするには、 を何回押せばよいか」という質問です。答えが 回のような半端な回数になってもかまいません。第1章で「半分だけ押す」を として意味づけたのと同じです。
底と真数の条件にも理由があります。 を何回押しても表示は のままなので、底 では「何回押せばよいか」が決まりません。また、正の数を何回掛けても正の数のままなので、表示を や負の数にする回数はありません。だから真数は正に限ります。
は「 を何乗すれば になるか」を表す数で、 と は同じことを別の向きから言っているということです。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(1)〜(3) は の形に、(4),(5) は の形に書きかえた式を求めなさい。
【解答】
底は累乗される数、対数の値は指数です。
(1) (2) (3)
(4) (5)
(2) のように、対数の値が負になることもあります。負になるのは指数のほうなので、真数条件とは関係ありません。
の値は、 となる を探して です。一般に、真数を底の累乗で書ければ、対数の値はその指数として読みとれます。
,, のとき
は「 を 乗したものは、 を何乗したものか」への答えなので、当たり前に です。 は向きが逆で、「 を『 になる回数』だけ掛ければ 」と言っています。
鍵にたとえると分かりやすいでしょう。 は底 の鍵で扉を閉めること、 は同じ鍵で開けることです。同じ鍵で閉めて開ければ、中身の はそのまま出てきます。ただし鍵が違うと開きません。 は底が と で合っていないので、 にはなりません。
対数の値は真数を底の累乗で書いたときの指数として読みとれ、同じ底の指数と対数は打ち消し合って元の数に戻るということです。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
上の各式の値を求めなさい。
【解答】
(1) なので
(2) なので
(3) なので
(4) とおくと 。底を にそろえて より ,
(5)
(4) は、すぐに指数が見えないときに「 とおいて指数方程式にする」やり方で、第3章の技がそのまま使えます。(5) は を と見て、鍵の底を に合わせるのがポイントです。
指数法則 を思い出してください。掛け算をすると、指数は足し算になります。対数は指数のことなので、この法則を対数の言葉に言いかえると「積の対数は、対数の和」になります。
実際、, とおくと , なので、。したがって です。
,,,, が実数のとき
1 問正解するごとに賞金が 2 倍になるクイズを考えます。前半で 3 問正解すると賞金は 倍、後半で 5 問正解するとさらに 倍。全体では 倍ですが、正解数で数えれば 問です。賞金の倍率(真数)は掛け算でふくらみ、正解数(対数)は足し算で積み上がります。対数は、この「正解数」のほうを数える道具です。同じ成績を 3 回くり返せば、倍率は 3 乗、正解数は 3 倍になります。これが累乗の法則です。
足し算の対数には公式がありません。 を としてしまう間違いがよくあるので気をつけましょう。たとえば ですが、 です。
対数は、真数の掛け算を足し算に、割り算を引き算に、累乗を掛け算に変えるということです。
(1)
(2)
(3)
(4)
上の各式の値を求めなさい。
【解答】
(1)
(2)
(3) なので
(4) なので
(1),(4) のように、1 つずつでは値の出ない対数も、まとめると真数がきれいな累乗になることがあります。係数はまず累乗の法則で真数の中へ入れ、それから 1 つの対数にまとめるのが定石です。
の値を考えます。底 も真数 も の累乗です。 とおくと , より 。これは と同じ値です。一般に、次のことが成り立ちます。
,, は正の数で、, のとき
とくに次の形がよく使われる( とする)。
導き方は短く、 とおいて の両辺の、底 の対数をとります。累乗の法則から 。 なので で、両辺を割れば公式になります。
旅行の両替を思い出してください。 ドル 円、 ユーロ 円と分かっていれば、ユーロとドルの交換レートが直接書かれていなくても、 ユーロ ドルと計算できます。円を共通のものさしにして割り算したわけです。底の変換公式でも、底 を共通のものさしにして「 は底 で何回分」を「 は底 で何回分」で割っています。ものさしの は計算しやすいものを自由に選んでかまいません。
底がちがう対数は、計算しやすい共通の底にそろえ直して、分数の形で比べればよいということです。
(1) の値を求めなさい。
(2) の値を求めなさい。
(3) , とします。 を , を用いて表した式を求めなさい。
【解答】
(1) 底を にそろえて
(2) 底を にそろえると , なので
(3) 与えられた対数の底 にそろえます。 なので
(2) で が約分されて消えたのは、 という「逆数の関係」が隠れていたからです。
ここで に戻ると、対数の定義から、答えはそのまま と書けます。第3章では手の出なかった方程式が、1 行で解けました。
底がそろわない はどうでしょう。両辺はどちらも正の数なので、それぞれの対数(底は など、同じ底ならどれでもよい)をとることができます。等しい正の数の対数は等しいので、方程式は
という、ただの 1 次方程式になります。
,, のとき
底がそろわない方程式は、両辺の同じ底の対数をとって、指数を係数に下ろす(公式3の累乗の法則)。
中学校で方程式を学んだとき、天秤のたとえがありました。つり合った天秤の両方の皿に同じ操作をしても、つり合いはくずれません。両辺の対数をとるのも、「両方の皿に同じ をかける」操作です。ただし、使えるのは両方の皿が正のときだけです。真数条件を確かめてから操作しましょう。
底をそろえられない指数方程式でも、両辺の同じ底の対数をとれば、指数が前に下りてきて 1 次方程式として解けるということです。
(1)
(2)
(3)
上の各方程式の解を求めなさい。
【解答】
(1) 対数の定義から
(2) なので
(3) 両辺の底 の対数をとると 。 を左辺に集めて
で、これは ではないので
(3) の最後は、底の変換公式を逆向きに使いました。 のままでも正解ですが、1 つの対数にまとめると見通しがよくなります。(2) も と書けます。
| 見方 | 式 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 指数の言いかえ | 値を求める・指数方程式を解く | |
| 掛け算を足し算に | , | 式をまとめる・指数を前に下ろす |
| 底のつけかえ | 底がちがう対数をそろえる |
どの公式も、元をたどれば指数法則の言いかえです。迷ったら「 とおいて に戻す」と、たいていの疑問は指数の話として解けます。次の第5章では、 を関数として見て、そのグラフが のグラフとどういう関係にあるかを調べます。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
を の形で表しなさい。
問2
の値を求めなさい。
()
問3
の値を求めなさい。
()
問4
の値を求めなさい。
()
問5
の値を求めなさい。
( より ,)
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
(1)
(2)
(3)
(4)
(1),(2) は の形に、(3),(4) は の形に書きかえた式を求めなさい。
(1) (2) (3) (4)
です。累乗される数が底、指数が対数の値になります。
(1) 底 、指数 、真数 なので
(2) 底 、指数 なので
(3) 底 を 乗すると という意味なので
(4) (実際 )
問2 ★
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
上の各式の値を求めなさい。
(1) (2) (3) (4) (5)
真数を底の累乗で書き、その指数を読みとります。
(1) なので
(2) なので
(3) なので
(4) なので
(5) なので
問3 ★
(1)
(2)
(3)
(4)
上の各式を満たす の値を求めなさい。
(1) (2) (3) (4)
指数の形に書きかえます。底 は , です。
(1)
(2) 。 なので
(3) 。両辺を 乗して
(4)
(2) で の解には もありますが、底は正なので除きます。
問4 ★
(1)
(2)
(3)
上の各式の値を求めなさい。
(1) (2) (3)
(1)
(2)
(3) なので
問5 ★
(1)
(2)
(3)
上の各式の値を求めなさい。
(1) (2) (3)
係数を累乗の法則で真数の中へ入れてから、1 つの対数にまとめます。
(1) なので
(2) なので
(3) なので
問6 ★
(1)
(2)
(3)
(4)
上の各式の値を求めなさい。
(1) (2) (3) (4)
が使えるよう、底を対数の底に合わせます。
(1) 底が同じなので
(2)
(3)
(4)
問7 ★
(1)
(2)
(3)
(4)
上の各式の値を求めなさい。
(1) (2) (3) (4)
底と真数が同じ数の累乗なので、その数を共通の底にします。
(1)
(2)
(3)
(4)
問8 ★
(1)
(2)
(3)
上の各式の値を求めなさい。
(1) (2) (3)
(1) より
(2) 底を にそろえると
なので、積は
(3) より
問9 ★★
の値を求めなさい。
各かっこの中を、底 と底 にそろえます。
なので、1 つ目のかっこは 。
, なので、2 つ目のかっこは 。
最後は (逆数の関係)を使いました。
問10 ★★
, とします。
(1)
(2)
(3)
上の各式を , を用いて表した式を求めなさい。
(1) (2) (3)
真数を ,, の積・商に分解します。
(1) なので
(2) なので
(3) 底を にそろえます。 なので
問11 ★★
, とします。
(1)
(2)
(3)
(4)
上の各式を , を用いて表した式を求めなさい。
(1) (2) (3) (4)
は と見るのがコツです。 を使います。
(1)
(2)
(3) なので
(4) , なので
問12 ★★
(1)
(2)
(3)
上の各方程式の解を、対数を用いて求めなさい。
(1) (2) ( でもよい) (3) ( でもよい)
を使います。
(1)
(2) なので 。 なので、 とも書けます。
(3) なので 。 と見れば、 とも書けます。
問13 ★★
方程式 の解を求めなさい。答えは 1 つの対数の形で求めなさい。
両辺は正なので、底 の対数をとります。
を左辺に集めると 。ここで は ではないので
別解:, なので、両辺を で割ると 。対数の定義から、すぐに が得られます。
問14 ★★
(1)
(2)
(3)
上の各数を とするとき、 を満たす整数 をそれぞれ求めなさい。
(1) (2) (3)
真数を、底の連続する整数乗ではさみます。 は の解なので、第3章の指数不等式と同じく、底が 1 より大きければ大小の向きはそのままです。
(1) なので 。
(2) なので 。
(3) 。 より なので
(3) を としないように注意します。 くらいの数の整数部分は、数直線で左側にある です。
問15 ★★
(1)
(2)
上の各式の値を求めなさい。
(1) (2)
(1) 底を にそろえると、 なので
となり、分子と分母が次々に約分されます。
(2) 和を 1 つの対数にまとめると、真数の積が約分されます。
問16 ★★
(1)
(2)
(3)
(4)
上の各式の値を求めなさい。
(1) (2) (3) (4)
(1) 内側から計算します。 なので
(2) なので ()
(3) 指数の底を にそろえます。 なので
(4) なので、指数は 。
問17 ★★★
, とします。 を , を用いて表した式を求めなさい。
与えられた 2 つの対数は底が違うので、まず底を にそろえます。
()。すると
なので
「どの底にそろえるか」が鍵です。 を底 に直すには を掛ければよい、と気づけば、残りは ,, の分解だけです。
問18 ★★★
,, は でない実数で、 を満たします。このとき が成り立つことを示しなさい。
共通の値を とおき、,, を示して足す(解説参照)。
とおきます。 は正で、 なので です( となるのは のときだけ)。
対数の定義から
なので底を にでき、逆数の関係 より
したがって
(証明終)
別解:,, と書け、 より 。, なので指数を比べて結論を得ます。
問19 ★★★
が無理数であることを示しなさい。
有理数 (, は正の整数)と仮定すると となり、左辺が偶数・右辺が奇数で矛盾する(解説参照)。
背理法で示します。
まず で、底 なので です。
が有理数であると仮定すると、正の整数 , を用いて と書けます。定義から で、両辺を 乗すると
なので左辺は偶数、右辺は奇数を掛け合わせたものなので奇数です。偶数と奇数が等しくなることはないので矛盾します。
よって は無理数です。(証明終)
を先に確かめたのは、, を正の整数にとるためです。負の有理数だと、 の形に直すとき分数が出てきて、偶奇の議論が使えなくなります。
問20 ★★★
の値を求めなさい。
, とおきます。どちらも正なので、底 の対数をとれます。累乗の法則から
右辺どうしは等しいので 。対数の値が等しい正の数は等しい()ので です。
同じ理由で、一般に (,,,)が成り立ちます。どちらも値そのものは求められなくても、「対数をとって比べる」と一発で決着がつきます。
「三角比と三角関数」第12章の小話で、16 世紀の天文学者たちが積和の公式を使って掛け算を「表を引く・足す・半分にする」に置きかえていた話をしました。プロスタファエレシスと呼ばれる方法です。その話は、1614 年にスコットランドのジョン・ネイピアが対数を発表したところで終わっていました。ここではその続きです。
ネイピアの考えの芯は、この章の公式3そのものです。 の累乗の表を作っておきます。
| 指数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 累乗 | 1 | 2 | 4 | 8 | 16 | 32 | 64 | 128 | 256 | 512 | 1024 |
を計算したいなら、表で と の指数 と を引き、足して 。表の の欄を見れば です。掛け算が、表を引く・足す・表を引くだけで済みました。プロスタファエレシスでは表を 4 回引いて足し、半分にする必要がありましたが、こちらはさらに身軽です。
ただし、 の累乗の表では ,,, と間がすかすかで、 や は載っていません。そこでネイピアは、 にごく近い数を底のように使い、少しずつしか変わらない細かい表を作りました(ネイピア自身は を掛けていく数の並びを使ったとされます)。この気の遠くなる計算に、ネイピアは 20 年ほどをかけたと伝えられています(※年数には諸説あり)。スイスの時計職人ヨスト・ビュルギも、 を掛けていく似た表を独自に作り、1620 年に発表しています。
ネイピアの対数は今の とは定義が少し違い、「底」という考え方もはっきりしていませんでした。これを使いやすく作り直したのが、ロンドンの数学者ヘンリー・ブリッグズです。ブリッグズはネイピアを訪ねて相談し、底を にした表を作ります。この「底 の対数」は、第7章で詳しく扱います。
対数表は、ケプラーが惑星の運行表を仕上げるときにも使われました。のちにラプラスが「対数の発明は、天文学者の寿命を 2 倍にした」と言ったと伝えられています(※ラプラスの言葉とされるが、出典には諸説あり)。
豆知識
logarithm(対数)という言葉はネイピアが作ったもので、ギリシャ語の logos(比)と arithmos(数)を組み合わせたと考えられています。「比を数える数」——同じ比で掛けていった回数を数える、という意味です。日本語の「対数」は、等比数列と等差数列を「対(つい)」にして並べた数、というところから来ているともいわれます(※語源には諸説あり)。
地震そのものの大きさはマグニチュードという数で表します。1935 年にアメリカのリヒターが考えた尺度がもとになっていて、地震が出すエネルギー (単位はジュール)とマグニチュード の間には、おおよそ次の関係があります。
エネルギーをそのまま書くと桁が大きすぎるので、対数で目盛りを付けているわけです。この式と公式3を合わせると、2 つの地震のエネルギーの比が分かります。マグニチュードが , の地震のエネルギーを , とすると
マグニチュードが 違えば、エネルギーは 倍、つまり約 32 倍です。 違えば 倍になります。
2011 年の東北地方太平洋沖地震はマグニチュード 、1995 年の兵庫県南部地震は でした。差は なので、エネルギーの比は で、約 350 倍です(※2 つの地震は、マグニチュードの求め方の種類が異なるため、あくまで目安です)。数字の上では「 と 」とそれほど違わないように見えても、中身には何百倍もの差があります。対数の目盛りは、差が小さく見えてしまう点に注意が必要です。
豆知識
夜空の星の明るさを表す「等級」も対数の目盛りです。1856 年にイギリスのポグソンが、「1 等星は 6 等星のちょうど 100 倍明るい」と決めました。5 等級の差が 100 倍なので、1 等級の差は 倍です。等級は数が小さいほど明るく、とても明るい星や惑星はマイナスの等級になります(シリウスは約 等)。
出題者が心の中で 1 つのものを思い浮かべ、回答者は「はい」か「いいえ」で答えられる質問を重ねて当てる——「20 の扉」と呼ばれる遊びがあります。
まずは簡単な版で考えます。1 から 100 までの整数を 1 つ当てるとき、何回質問すれば必ず当たるでしょうか。「50 以下ですか?」のように、候補をいつも半分に分ける質問をすると、1 回ごとに候補は半分になります。 回の質問で区別できるのは 通りなので、必要な回数は
を満たす最小の です。, なので、7 回あれば足ります。対数で書けば「 以上の最小の整数」です。
では 20 回なら? なので、約 100 万通りの中から 1 つを当てられる計算です。うまい質問さえできれば、世の中のたいていの「もの」は 20 回で当てられる、というのがこの遊びの面白さです。
辞書を引くときにも同じことが起きています。適当なところを開いて、前か後ろかを決め、残りをまた半分に……とくり返せば、10 万語の辞書でも なので、17 回ほどで目的の語にたどり着けます。コンピューターが大量のデータから探し物をするときにも、この「半分ずつに絞る」方法(二分探索)が使われています。
豆知識
「はい・いいえ」1 回分の情報の量を 1 ビットといいます。 通りの中から 1 つを特定するのに必要な情報の量は ビットです。この考え方は、1948 年にアメリカのクロード・シャノンが発表した論文で数学の理論として整えられ、今日のデジタル通信の土台になりました。
※ここは発展ページです。本文では「 を何乗すれば になるか」という数を と名付けましたが、そのような数がちょうど 1 つあることは、グラフを見て納得するだけにしていました。ここでは、第3章 厳密定義の定理2( は実数全体から正の実数全体への全単射)を土台に、対数をきちんと定義し、本文の公式を証明します。最後に、 のような対数がなぜ分数で書けないのかも確かめます。
, とする。第3章 定理2 より、関数 は実数全体から正の実数全体への全単射である。したがって、どんな正の数 に対しても
を満たす実数 がただ 1 つ存在する。この を と書き、 を底とする の対数という。
「ただ 1 つ存在する」の「存在する」は全射性から、「ただ 1 つ」は単射性から来ています。どちらかが欠けると、名前を付けることができません。存在しなければ名前を付ける相手がなく、2 つあればどちらに付けたらよいか決まらないからです。言いかえると、 は の働きを逆にたどる関数(逆関数)です。逆関数は第5章で改めて扱います。
この定義から、次の 2 つがすぐに出ます。
特に , として , です。以下では、実数の指数についても指数法則 , が成り立つことを認めます(有理数の指数では第1章 厳密定義で示しました。実数への拡張は第1章 補足2 の極限の考え方によります)。
,,,, を実数とする。
証明 , とおくと , である。
1:。 は正で、 を満たす はただ 1 つなので、。
2:。同様に 。
3:。同様に 。(証明終)
どの証明も「指数法則で の形を作り、一意性で対数の値を読みとる」という同じ型です。定義1の「ただ 1 つ」が、ここで効いています。
,, は正の数で、, とする。このとき
証明 まず分母が でないことを確かめる。 なら、 となって に反する。
とおくと 。両辺は正なので、底 の対数をとると(等しい正の数の対数は等しい)。定理1の 3 より 。 で割って 。(証明終)
とおけば ()が、また が得られます。本文の公式4の後半は、この 2 つです。
最後に、対数の値がどんな数になるかを 1 つ見ておきます。 や のように分数で書ける対数もありますが、 はどうでしょう。
, を異なる素数とする。このとき は無理数である。
証明 で、 なので単調性(第2章 定理2)から 。
が有理数だと仮定すると、正の整数 , を用いて と書ける。定義から で、両辺を 乗すると
左辺を素因数分解すると素数 だけが 個()、右辺は素数 だけが 個並ぶ。 なので、同じ正の整数に 2 通りの素因数分解があることになり、素因数分解の一意性に反する。よって は無理数である。(証明終)
実践問題の j19 では、, の場合を「偶数と奇数」だけで示します。定理3はそれを一般の素数に広げたもので、偶奇の代わりに素因数分解の一意性を使っています。
対数表に並ぶ値のほとんどは、このように無理数です。ネイピアやブリッグズが何桁もの小数を手で計算し続けなければならなかったのは、終わりのない小数を相手にしていたからでもあります。
定義1で底を , としたのは、 が全単射であるための条件だからです。 なら で、 以外の値をとらず(全射でない)、 になる は無数にあります(単射でない)。負の底では、第1章 補足1で見たとおり、 そのものがうまく定まりません。
真数を に限るのは、 の値が正の数だけだからです。 は「 を何乗すれば になるか」という、答えのない問いになります。この真数条件は、第6章の対数方程式で、答えの候補をふるい落とす条件として重要な役割を果たします。
この章の学習が終わったら
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