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第7章 二次不等式

—— グラフが x 軸より上か下かを読んで、不等式を解く ——

第6章では、グラフと $x$ 軸が「どこで」「いくつ」交わるかを調べました。この章では一歩進めて、グラフが $x$ 軸より**上にある範囲・下にある範囲**を読み取り、$x^2 - 2x - 3 < 0$ のような**二次不等式**を解きます。答えは「2 つの解にはさまれた内側」か「その外側」になり、判別式 $D$ が $0$ 以下のときは「すべての実数」や「解なし」になります。連立不等式や文章題、すべての $x$ で成り立つ条件、文字を含む不等式、絶対値を含む不等式まで進みます。第6章で後回しにした「判別式が文字の二次式になる条件」も、ここで解けるようになります。

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未回答 25× 0○ 01か月定着 0

「上にある」「下にある」を式で言う

第6章の終わりで、yy=x2{}= x^2−2x{}- 2x−3{}- 3=(x+1)(x−3){}= (x + 1)(x - 3) のグラフが −1-1<x{}< x<3{}< 3 の範囲で xx 軸より下にあることを見ました。「グラフが xx 軸より下にある」とは「yy の値が負」ということなので、式で書くと x2x^2−2x{}- 2x−3{}- 3<0{}< 0 です。

このように、移項して整理すると ax2ax^2+bx{}+ bx+c{}+ c>0{}> 0,ax2ax^2+bx{}+ bx+c{}+ c≦0{}\leqq 0 などの形になる不等式を二次不等式といいます(aa≠0{}\neq 0)。不等式を満たす xx の値の範囲を求めることを、不等式を解くといい、その範囲を不等式の解といいます。

一次不等式(数と式 第4章)は、両辺に同じ数を足したり掛けたりして xx だけを残せば解けました。二次不等式はそうはいきません。そこで、グラフ yy=ax2{}= ax^2+bx{}+ bx+c{}+ c を思い浮かべ、「xx 軸より上にあるのはどこか、下にあるのはどこか」を読み取ります。境目になるのは、第5章・第6章で求めてきた xx 軸との共有点です。

判別式が正のとき——内側と外側

公式1:二次不等式の解(DD>0{}> 0 のとき)

aa>0{}> 0 とし、二次方程式 ax2ax^2+bx{}+ bx+c{}+ c=0{}= 0 が異なる 2 つの実数解 α\alpha,β\beta(α\alpha<β{}< \beta)をもつとき

不等式解
ax2+bx+c>0ax^2 + bx + c > 0x<α, β<xx < \alpha,\ \beta < x(外側)
ax2+bx+c≧0ax^2 + bx + c \geqq 0x≦α, β≦xx \leqq \alpha,\ \beta \leqq x
ax2+bx+c<0ax^2 + bx + c < 0α<x<β\alpha < x < \beta(内側)
ax2+bx+c≦0ax^2 + bx + c \leqq 0α≦x≦β\alpha \leqq x \leqq \beta

x2x^2 の係数が負のときは、両辺に −1-1 を掛けて不等号の向きを変え、x2x^2 の係数を正にしてから解く。

x y O −1 3 頂点 (1, −4) y = x² − 2x − 3 y < 0(内側) −1 < x < 3 y > 0 x < −1 y > 0 3 < x

aa>0{}> 0 なら、グラフは下に凸です。xx 軸との 2 つの交点 α\alpha,β\beta の間では谷の部分が xx 軸より下にもぐり、その外側では xx 軸より上に出ています。だから「<0< 0 は内側」「>0> 0 は外側」になります。≦\leqq,≧\geqq のときは、境目の xx=α,{}= \alpha, β\ \beta(yy=0{}= 0 になる点)も答えに含めます。

α\alpha,β\beta は、因数分解できれば因数分解で、できなければ解の公式で求めます(第5章)。ax2ax^2+bx{}+ bx+c{}+ c=a(x−α)(x−β){}= a(x - \alpha)(x - \beta) と因数分解した形で考えると、xx が 2 つの解にはさまれているときだけ (x−α)(x - \alpha) と (x−β)(x - \beta) の符号が逆になり、積が負になる、という説明もできます(厳密定義のページで確かめます)。

覚え方としては、サンドイッチを思い浮かべてください。2 つの解 α\alpha,β\beta が 2 枚のパンで、パンにはさまれた具の部分が「<0< 0」、パンの外側が「>0> 0」です。どちらが内側かで迷ったら、グラフの谷が xx 軸より下にもぐっている絵を思い出せば、「谷の部分=負=内側」とすぐに分かります。

x2x^2 の係数を正にそろえてから xx 軸との交点 α\alpha<β{}< \beta を求めれば、「<0< 0」は 2 つの解の内側、「>0> 0」は外側になるということです。

例題1:二次不等式を解く

次の二次不等式を解きなさい。

(1) x2x^2−2x{}- 2x−3{}- 3<0{}< 0

(2) x2x^2−x{}- x−6{}- 6≧0{}\geqq 0

(3) −2x2-2x^2+x{}+ x+3{}+ 3>0{}> 0

(4) x2x^2−4x{}- 4x+1{}+ 1≦0{}\leqq 0


【解答】

(1) x2x^2−2x{}- 2x−3{}- 3=(x+1)(x−3){}= (x + 1)(x - 3) なので、x2x^2−2x{}- 2x−3{}- 3=0{}= 0 の解は xx=−1,{}= -1, 3\ 3。<0< 0 は内側なので

−1<x<3‾\underline{-1 < x < 3}

(2) x2x^2−x{}- x−6{}- 6=(x+2)(x−3){}= (x + 2)(x - 3) なので、解は xx=−2,{}= -2, 3\ 3。≧0\geqq 0 は外側で、境目も含むので

x≦−2,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}x \leqq -2,} 3≦x‾\displaystyle \underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}\ 3 \leqq x}

(3) 両辺に −1-1 を掛けて、不等号の向きを変えます。

2x2\displaystyle 2x^2−x\displaystyle {}- x−3\displaystyle {}- 3<0\displaystyle {}< 0  ⟺  (x+1)(2x−3)\displaystyle {}\iff (x + 1)(2x - 3)<0\displaystyle {}< 0

2x22x^2−x{}- x−3{}- 3=0{}= 0 の解は xx=−1,{}= -1, 32\ \dfrac{3}{2} なので

−1<x<32‾\underline{-1 < x < \frac{3}{2}}

(4) x2x^2−4x{}- 4x+1{}+ 1=0{}= 0 は因数分解できないので、b′b'=−2{}= -2 として解の公式を使うと xx=2{}= 2±4−1{}\pm \sqrt{4 - 1}=2{}= 2±3{}\pm \sqrt{3}。≦0\leqq 0 は内側で、境目も含むので

2‾\displaystyle \underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.2119em}2}−3≦x≦2‾\displaystyle \underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.2119em}{}- \sqrt{3} \leqq x \leqq 2}+3‾\displaystyle \underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.2119em}{}+ \sqrt{3}}

(3) で −1-1 を掛けずに「>0> 0 だから外側」としてしまうのが、よくある間違いです。x2x^2 の係数が負だとグラフは上に凸で、xx 軸より上にあるのは内側のほうです。係数を正にそろえてから表を使えば、この取り違えを防げます。

判別式が 0 以下のとき——「すべて」か「なし」

グラフが xx 軸と 2 点で交わらないときは、「内側」「外側」という分け方ができません。第6章で見たとおり、DD=0{}= 0 ならグラフは xx 軸に接し、DD<0{}< 0 なら xx 軸から浮いています。

公式2:二次不等式の解(DD≦0{}\leqq 0 のとき)

aa>0{}> 0 のとき、ax2ax^2+bx{}+ bx+c{}+ c=0{}= 0 の判別式を DD とする。

不等式D=0D = 0(重解 pp)D<0D < 0
ax2+bx+c>0ax^2 + bx + c > 0pp 以外のすべての実数すべての実数
ax2+bx+c≧0ax^2 + bx + c \geqq 0すべての実数すべての実数
ax2+bx+c<0ax^2 + bx + c < 0解なし解なし
ax2+bx+c≦0ax^2 + bx + c \leqq 0x=px = p解なし

DD=0{}= 0 のとき、ax2ax^2+bx{}+ bx+c{}+ c=a(x−p)2{}= a(x - p)^2 である。

x y O D = 0:y = (x − 1)² 1 y > 0 → x ≠ 1 y ≧ 0 → すべての実数 y < 0 → 解なし y ≦ 0 → x = 1 x y O D < 0:y = (x − 1)² + 1 x 軸に届かない y > 0,y ≧ 0 → すべての実数 y < 0,y ≦ 0 → 解なし

DD=0{}= 0 のとき、ax2ax^2+bx{}+ bx+c{}+ c=a(x−p)2{}= a(x - p)^2 は、xx=p{}= p でだけ 00 になり、それ以外では正です。だから「>0> 0」の解は「pp 以外のすべての実数」、「≦0\leqq 0」の解は「xx=p{}= p だけ」になります。DD<0{}< 0 のときはグラフ全体が xx 軸より上にあるので、どの xx でも値は正です。

この表を丸暗記する必要はありません。平方完成して (x−p)2(x - p)^2≧0{}\geqq 0 を使えば、その場で判断できます。

お店の営業日にたとえると、DD<0{}< 0 のグラフは年中無休のお店です。「開いている日は?」と聞かれたら「毎日」、「休みの日は?」と聞かれたら「なし」と答えます。DD=0{}= 0 のグラフは、元日だけ休むお店にあたります。「開いている日」は「元日以外のすべての日」で、「休みの日」は「元日だけ」です。答えが範囲の形にならないので戸惑いますが、聞かれている内容はふつうの不等式と同じです。

DD<0{}< 0 なら値はいつも正なので「すべての実数」か「解なし」、DD=0{}= 0 なら xx=p{}= p の 1 点だけが 00 になるので「pp 以外のすべて」や「xx=p{}= p」が答えになるということです。

例題2:D ≦ 0 の二次不等式

次の二次不等式を解きなさい。

(1) x2x^2−6x{}- 6x+9{}+ 9>0{}> 0

(2) 4x24x^2+4x{}+ 4x+1{}+ 1≦0{}\leqq 0

(3) x2x^2−2x{}- 2x+3{}+ 3>0{}> 0

(4) −x2-x^2+4x{}+ 4x−5{}- 5≧0{}\geqq 0


【解答】

(1) x2x^2−6x{}- 6x+9{}+ 9=(x−3)2{}= (x - 3)^2 です。(x−3)2(x - 3)^2>0{}> 0 は xx=3{}= 3 のときだけ成り立たないので

x=3 以外のすべての実数‾\underline{x = 3 \ \text{以外のすべての実数}}

(2) 4x24x^2+4x{}+ 4x+1{}+ 1=(2x+1)2{}= (2x + 1)^2 です。(2x+1)2(2x + 1)^2≧0{}\geqq 0 なので、≦0\leqq 0 となるのは (2x+1)2(2x + 1)^2=0{}= 0 のときだけで

x=−12‾\underline{x = -\frac{1}{2}}

(3) b′b'=−1{}= -1 として D4\dfrac{D}{4}=1{}= 1−3{}- 3=−2{}= -2<0{}< 0 で、x2x^2 の係数は正です。グラフは全体が xx 軸より上にあるので

すべての実数‾\underline{\text{すべての実数}}

平方完成すると (x−1)2(x - 1)^2+2{}+ 2>0{}> 0 で、(x−1)2(x - 1)^2≧0{}\geqq 0 から確かにいつも成り立ちます。

(4) 両辺に −1-1 を掛けて x2x^2−4x{}- 4x+5{}+ 5≦0{}\leqq 0。D4\dfrac{D}{4}=4{}= 4−5{}- 5=−1{}= -1<0{}< 0 なので、x2x^2−4x{}- 4x+5{}+ 5 はいつも正で、00 以下になることはありません。

解なし‾\underline{\text{解なし}}

(1) の答えは「xx≠3{}\neq 3」と書くこともできます。また、「xx<3,{}< 3,33<x{}< x」と書いても同じ範囲を表します。

連立不等式と、不等式の応用

公式3:連立不等式・文章題・整数解
  • 連立不等式は、それぞれの不等式を解き、数直線の上で共通する範囲を求める。AA<B{}< B<C{}< C の形は「AA<B{}< B かつ BB<C{}< C」の連立不等式として解く。
  • 文章題では、文字の表す量から決まる範囲(長さは正、など)を先に書き出し、不等式の解のうちその範囲に入る部分だけを答える。
  • 整数解を求めるときは、解の端の値(b\sqrt{\phantom{b}} を含むことが多い)がどの整数の間にあるかを見積もる。

連立不等式は、数と式 第4章で一次不等式について学んだものと同じです。二次不等式が混ざると、それぞれの解が「内側」や「外側」の形になるので、数直線に描いて重なりを探すのが確実です。

2 人で旅行の日程を決める場面を思い浮かべてください。1 人目の空いている日と、2 人目の空いている日をそれぞれカレンダーに塗り、両方が塗られた日を探します。片方の空き日が「月の前半と後半」のように 2 つに分かれていても、やることは変わりません。カレンダーを 1 枚に重ねてみれば、候補の日が見えてきます。

文章題では、文字の範囲を忘れがちです。不等式を解いたあとで「その値は問題の場面で意味があるか」を確かめるのは、第5章の「解の吟味」と同じ考え方です。

連立不等式は解を数直線に重ねて共通部分を読み、文章題では文字の範囲との共通部分をとり、整数解では端の値を見積もって数えるということです。

例題3:連立不等式と応用

(1) 連立不等式 {x2−3x−4<0x2−x−2≧0\begin{cases} x^2 - 3x - 4 < 0 \\ x^2 - x - 2 \geqq 0 \end{cases} を解きなさい。

(2) 縦 2020 m,横 3030 m の長方形の土地に、縦と横に同じ幅 xx m の道を 1 本ずつ、土地の辺と平行に通します。道を除いた部分の面積を 504504 m² 以上にするとき、xx の値の範囲を求めなさい。

(3) 不等式 x2x^2−5x{}- 5x+3{}+ 3<0{}< 0 を満たす整数 xx をすべて求めなさい。


【解答】

(1) 1 つ目は (x+1)(x−4)(x + 1)(x - 4)<0{}< 0 より −1-1<x{}< x<4{}< 4。2 つ目は (x+1)(x−2)(x + 1)(x - 2)≧0{}\geqq 0 より xx≦−1,{}\leqq -1,22≦x{}\leqq x。

数直線に重ねると、−1-1<x{}< x<4{}< 4 のうち、xx≦−1{}\leqq -1 と重なる部分はなく(xx=−1{}= -1 は 1 つ目に含まれません)、22≦x{}\leqq x と重なるのは 22≦x{}\leqq x<4{}< 4 です。

2≦x<4‾\underline{2 \leqq x < 4}

(2) 道の幅は正で、縦の長さ 2020 m より小さいので 00<x{}< x<20{}< 20 です。道を端に寄せて考えると、残りの部分は縦 (20−x)(20 - x) m,横 (30−x)(30 - x) m の長方形になります。

(20−x)(30−x)\displaystyle (20 - x)(30 - x)≧504\displaystyle {}\geqq 504  ⟺  x2\displaystyle {}\iff x^2−50x\displaystyle {}- 50x+96\displaystyle {}+ 96≧0\displaystyle {}\geqq 0  ⟺  (x−2)(x−48)\displaystyle {}\iff (x - 2)(x - 48)≧0\displaystyle {}\geqq 0

より xx≦2,{}\leqq 2,4848≦x{}\leqq x。このうち 00<x{}< x<20{}< 20 に入るのは

0<x≦2‾\underline{0 < x \leqq 2}

xx≧48{}\geqq 48 も不等式は満たしますが、土地より広い道になってしまうので捨てます。

(3) x2x^2−5x{}- 5x+3{}+ 3=0{}= 0 の解は xx=5±132{}= \dfrac{5 \pm \sqrt{13}}{2} なので、不等式の解は

5−132\displaystyle \frac{5 - \sqrt{13}}{2}<x\displaystyle {}< x<5+132\displaystyle {}< \frac{5 + \sqrt{13}}{2}

33<13{}< \sqrt{13}<4{}< 4 なので、12\dfrac{1}{2}<5−132{}< \dfrac{5 - \sqrt{13}}{2}<1{}< 1,44<5+132{}< \dfrac{5 + \sqrt{13}}{2}<92{}< \dfrac{9}{2} です。この間にある整数は

x=1,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}x = 1,} 2,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 2,} 3,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 3,} 4‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 4}

端の整数も代入して確かめます。xx=1{}= 1 で −1-1<0{}< 0,xx=4{}= 4 で −1-1<0{}< 0 と成り立ち、xx=0{}= 0,xx=5{}= 5 ではどちらも 33 で成り立ちません。

すべての xx で成り立つ条件

第6章の公式3で、「グラフ全体が xx 軸より上」になる条件は「aa>0{}> 0 かつ DD<0{}< 0」だと学びました。これを不等式の言葉で言いかえると、次のようになります。

公式4:すべての xx で成り立つ条件

aa≠0{}\neq 0 のとき、すべての実数 xx について

成り立たせたい不等式条件
ax2+bx+c>0ax^2 + bx + c > 0a>0a > 0 かつ D<0D < 0
ax2+bx+c≧0ax^2 + bx + c \geqq 0a>0a > 0 かつ D≦0D \leqq 0
ax2+bx+c<0ax^2 + bx + c < 0a<0a < 0 かつ D<0D < 0
ax2+bx+c≦0ax^2 + bx + c \leqq 0a<0a < 0 かつ D≦0D \leqq 0
  • x2x^2 の係数に文字があって 00 になりうるときは、その場合を別に調べる。
  • 定義域があるときは、「定義域での最小値が 00 より大きい」(>0> 0 の場合)と言いかえて、第3章の方法で最小値を求める。

「すべての xx で f(x)f(x)>0{}> 0」を確かめるのに、無数にある xx を 1 つずつ調べることはできません。そこで、いちばん小さくなるところだけを見ます。いちばん小さい値でさえ正なら、ほかの値はすべて正です。定義域がなければ、いちばん小さくなるのは頂点で、その yy 座標 −D4a-\dfrac{D}{4a} が正になる条件が「aa>0{}> 0 かつ DD<0{}< 0」です。

鎖は、いちばん弱い輪のところで切れます。「この鎖は 100 kg に耐えるか」を知りたければ、輪を全部試す必要はなく、いちばん弱い輪が 100 kg に耐えるかどうかだけを調べれば足ります。「すべての xx で」という条件は、「最小値で」という 1 か所の条件に置きかえられるのです。

第6章 例題3(2) で後回しにした問題も、ここで解けます。二次関数 yy=kx2{}= kx^2−2x{}- 2x+k{}+ k のグラフが xx 軸と異なる 2 点で交わるのは、kk≠0{}\neq 0 かつ D4\dfrac{D}{4}=1{}= 1−k2{}- k^2>0{}> 0 のときです。11−k2{}- k^2>0{}> 0  ⟺  k2{}\iff k^2−1{}- 1<0{}< 0  ⟺  −1{}\iff -1<k{}< k<1{}< 1 なので、kk≠0{}\neq 0 と合わせて −1-1<k{}< k<0,{}< 0,00<k{}< k<1{}< 1 となります(例題4(3))。判別式が文字の二次式になっても、二次不等式が解ければ条件を求められます。

「すべての xx で成り立つ」は「最小値(最大値)で成り立つ」と同じで、定義域がなければ aa の符号と DD の符号の組で表せるということです。

例題4:すべての x で成り立つ条件

(1) すべての実数 xx について x2x^2−2kx{}- 2kx+k{}+ k+6{}+ 6>0{}> 0 が成り立つような、定数 kk の値の範囲を求めなさい。

(2) すべての実数 xx について kx2kx^2+2kx{}+ 2kx+3{}+ 3>0{}> 0 が成り立つような、定数 kk の値の範囲を求めなさい。

(3) 二次関数 yy=kx2{}= kx^2−2x{}- 2x+k{}+ k のグラフが xx 軸と異なる 2 点で交わるような、定数 kk の値の範囲を求めなさい。

(4) 00≦x{}\leqq x≦3{}\leqq 3 を満たすすべての xx について x2x^2−2x{}- 2x+k{}+ k≧0{}\geqq 0 が成り立つような、定数 kk の値の範囲を求めなさい。


【解答】

(1) x2x^2 の係数は 11>0{}> 0 なので、条件は DD<0{}< 0 です。b′b'=−k{}= -k として

D4\displaystyle \frac{D}{4}=k2\displaystyle {}= k^2−(k+6)\displaystyle {}- (k + 6)=k2\displaystyle {}= k^2−k\displaystyle {}- k−6\displaystyle {}- 6=(k+2)(k−3)\displaystyle {}= (k + 2)(k - 3)<0\displaystyle {}< 0−2<k<3‾\underline{-2 < k < 3}

(2) x2x^2 の係数 kk が 00 になりうるので、場合を分けます。

  • kk=0{}= 0 のとき 不等式は 33>0{}> 0 となり、すべての xx で成り立ちます。
  • kk≠0{}\neq 0 のとき 条件は kk>0{}> 0 かつ DD<0{}< 0 です。D4\dfrac{D}{4}=k2{}= k^2−3k{}- 3k=k(k−3){}= k(k - 3)<0{}< 0 より 00<k{}< k<3{}< 3。これは kk>0{}> 0 を満たします。

2 つの場合を合わせて

0≦k<3‾\underline{0 \leqq k < 3}

(3) 二次関数なので kk≠0{}\neq 0。異なる 2 点で交わる条件は DD>0{}> 0 です。b′b'=−1{}= -1 として

D4\displaystyle \frac{D}{4}=1\displaystyle {}= 1−k2\displaystyle {}- k^2>0\displaystyle {}> 0  ⟺  k2\displaystyle {}\iff k^2−1\displaystyle {}- 1<0\displaystyle {}< 0  ⟺  (k+1)(k−1)\displaystyle {}\iff (k + 1)(k - 1)<0\displaystyle {}< 0  ⟺  −1\displaystyle {}\iff -1<k\displaystyle {}< k<1\displaystyle {}< 1

kk≠0{}\neq 0 と合わせて

−1<k<0,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8888em}-1 < k < 0,} 0<k<1‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8888em}\ 0 < k < 1}

(4) f(x)f(x)=x2{}= x^2−2x{}- 2x+k{}+ k=(x−1)2{}= (x - 1)^2+k{}+ k−1{}- 1 とおきます。軸 xx=1{}= 1 は 00≦x{}\leqq x≦3{}\leqq 3 に入っているので、最小値は f(1)f(1)=k{}= k−1{}- 1 です。すべての xx で f(x)f(x)≧0{}\geqq 0 となる条件は、最小値が 00 以上であることなので

k\displaystyle k−1\displaystyle {}- 1≧0\displaystyle {}\geqq 0より\displaystyle \text{より}k≧1‾\displaystyle \underline{k \geqq 1}

(2) で kk=0{}= 0 の場合を忘れると、答えが 00<k{}< k<3{}< 3 になってしまいます。問題文に「二次関数」「二次不等式」と書かれていなければ、x2x^2 の係数が 00 の場合も調べます。

文字を含む不等式と、解から係数を決める問題

公式5:文字を含む二次不等式
  • (x−α)(x−a)(x - \alpha)(x - a)<0{}< 0 のように、解の一方が文字 aa のときは、aa と α\alpha の大小で場合を分ける。aa=α{}= \alpha のときは DD=0{}= 0 の場合(公式2)になる。
  • 二次不等式の解が α\alpha<x{}< x<β{}< \beta(内側)になるなら、x2x^2 の係数を kk>0{}> 0 として、不等式は k(x−α)(x−β)k(x - \alpha)(x - \beta)<0{}< 0 と同じである。解が外側 xx<α,{}< \alpha,β\beta<x{}< x なら k(x−α)(x−β)k(x - \alpha)(x - \beta)>0{}> 0 と同じである。係数を比べて文字の値を決める。

(x−2)(x−a)(x - 2)(x - a)≦0{}\leqq 0 の解は「22 と aa の内側」ですが、22 と aa のどちらが小さいかが分からないと、「□\square≦x{}\leqq x≦□{}\leqq \square」の左右に何を書けばよいか決まりません。

時刻表で、10 時発の電車と、まだ時刻の決まっていない aa 時発の電車があるとします。「2 本の電車の発車の間の時間帯」を書こうとしても、aa が 10 より前か後かで「aa 時から 10 時まで」なのか「10 時から aa 時まで」なのかが変わります。同時刻ならその時間帯は一瞬だけです。だから aa の値で場合を分けて書きます。

解から係数を決める問題は、第4章の「分解形で二次関数を決める」の不等式版です。「<0< 0 の解が内側」になるのは x2x^2 の係数が正のときなので、問題の不等式の向きと解の形から、係数の符号も一緒に決まります。

解の一方が文字なら 2 つの解の大小で場合を分け、解が分かっている不等式は k(x−α)(x−β)k(x - \alpha)(x - \beta) の形と係数を比べるということです。

例題5:文字を含む不等式と、解から係数

(1) aa を定数とします。二次不等式 x2x^2−(a+2)x{}- (a + 2)x+2a{}+ 2a≦0{}\leqq 0 を解きなさい。

(2) 二次不等式 ax2ax^2+bx{}+ bx+6{}+ 6>0{}> 0 の解が −1-1<x{}< x<3{}< 3 となるように、定数 aa,bb の値を定めなさい。


【解答】

(1) x2x^2−(a+2)x{}- (a + 2)x+2a{}+ 2a=(x−2)(x−a){}= (x - 2)(x - a) なので、不等式は (x−2)(x−a)(x - 2)(x - a)≦0{}\leqq 0 です。22 と aa の大小で分けます。

  • aa<2{}< 2 のとき 内側は aa≦x{}\leqq x≦2{}\leqq 2
  • aa=2{}= 2 のとき (x−2)2(x - 2)^2≦0{}\leqq 0 なので xx=2{}= 2
  • aa>2{}> 2 のとき 内側は 22≦x{}\leqq x≦a{}\leqq a
a<2 のとき a≦x≦2a=2 のとき x=2a>2 のとき 2≦x≦a‾\underline{\begin{aligned}&a < 2 \ \text{のとき}\ a \leqq x \leqq 2 \\ &a = 2 \ \text{のとき}\ x = 2 \\ &a > 2 \ \text{のとき}\ 2 \leqq x \leqq a\end{aligned}}

(2) 「>0> 0」の解が内側 −1-1<x{}< x<3{}< 3 になるので、グラフは上に凸で aa<0{}< 0 です。このとき、両辺を aa(負の数)で割ると不等号の向きが変わり

ax2\displaystyle ax^2+bx\displaystyle {}+ bx+6\displaystyle {}+ 6>0\displaystyle {}> 0  ⟺  x2\displaystyle {}\iff x^2+bax\displaystyle {}+ \frac{b}{a}x+6a\displaystyle {}+ \frac{6}{a}<0\displaystyle {}< 0

この解が −1-1<x{}< x<3{}< 3 なので、左辺は (x+1)(x−3)(x + 1)(x - 3)=x2{}= x^2−2x{}- 2x−3{}- 3 と一致します。係数を比べて

ba\displaystyle \frac{b}{a}=−2,\displaystyle {}= -2,6a\displaystyle \frac{6}{a}=−3\displaystyle {}= -3

より aa=−2{}= -2,bb=4{}= 4。これは aa<0{}< 0 を満たします。

a=−2,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8889em}a = -2,} b=4‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8889em}\ b = 4}

確かめると、−2x2-2x^2+4x{}+ 4x+6{}+ 6>0{}> 0  ⟺  x2{}\iff x^2−2x{}- 2x−3{}- 3<0{}< 0  ⟺  −1{}\iff -1<x{}< x<3{}< 3 で、確かに一致します。

絶対値を含む不等式

公式6:絶対値を含む不等式

実数 AA,BB について

∣A∣\displaystyle \lvert A \rvert<B\displaystyle {}< B  ⟺  −B\displaystyle {}\iff -B<A\displaystyle {}< A<B,\displaystyle {}< B,∣A∣\displaystyle \lvert A \rvert>B\displaystyle {}> B  ⟺  A\displaystyle {}\iff A<−B または A\displaystyle {}< -B \ \text{または}\ A>B\displaystyle {}> B

(≦\leqq,≧\geqq でも同じ。)∣x∣\lvert x \rvert を含む式は、x2x^2=∣x∣2{}= \lvert x \rvert^2 を使って ∣x∣\lvert x \rvert の二次不等式とみることもできる。うまくいかないときは、絶対値の中の符号で場合を分ける。

数と式 第4章では、rr>0{}> 0 のとき ∣x∣\lvert x \rvert<r{}< r  ⟺  −r{}\iff -r<x{}< x<r{}< r を学びました。公式6は、xx と rr を式 AA,BB に置きかえたものです。BB が負になるときも、この形のままで正しく働きます。たとえば BB<0{}< 0 なら −B-B<A{}< A<B{}< B を満たす AA はなく、「∣A∣\lvert A \rvert<B{}< B は成り立たない」ことと一致します。第5章で、方程式 ∣A∣\lvert A \rvert=B{}= B では先に BB≧0{}\geqq 0 を確かめたのと比べると、不等式のほうが扱いが楽です。

場合分けで解くときは、これまでと同じく境目を右側の範囲に含めて「xx≧a{}\geqq a / xx<a{}< a」と分け、それぞれの範囲の中にある解だけを残します。

絶対値の不等式は −B-B<A{}< A<B{}< B などの連立不等式に直し、∣x∣\lvert x \rvert を含むなら ∣x∣\lvert x \rvert をひとかたまりの文字とみるか、符号で場合を分けるということです。

例題6:絶対値を含む不等式

次の不等式を解きなさい。

(1) x2x^2−∣x∣{}- \lvert x \rvert−6{}- 6<0{}< 0

(2) ∣x2−4∣\lvert x^2 - 4 \rvert<3x{}< 3x


【解答】

(1) x2x^2=∣x∣2{}= \lvert x \rvert^2 なので、不等式は

∣x∣2\displaystyle \lvert x \rvert^2−∣x∣\displaystyle {}- \lvert x \rvert−6\displaystyle {}- 6<0\displaystyle {}< 0  ⟺  (∣x∣+2)(∣x∣−3)\displaystyle {}\iff (\lvert x \rvert + 2)(\lvert x \rvert - 3)<0\displaystyle {}< 0

∣x∣\lvert x \rvert+2{}+ 2>0{}> 0 なので、両辺をこれで割って ∣x∣\lvert x \rvert−3{}- 3<0{}< 0、つまり ∣x∣\lvert x \rvert<3{}< 3 です。

−3<x<3‾\underline{-3 < x < 3}

場合分けでも確かめられます。xx≧0{}\geqq 0 なら x2x^2−x{}- x−6{}- 6=(x+2)(x−3){}= (x + 2)(x - 3)<0{}< 0 より −2-2<x{}< x<3{}< 3 で、xx≧0{}\geqq 0 と合わせて 00≦x{}\leqq x<3{}< 3。xx<0{}< 0 なら x2x^2+x{}+ x−6{}- 6=(x+3)(x−2){}= (x + 3)(x - 2)<0{}< 0 より −3-3<x{}< x<2{}< 2 で、xx<0{}< 0 と合わせて −3-3<x{}< x<0{}< 0。まとめると −3-3<x{}< x<3{}< 3 です。

(2) 公式6より、−3x-3x<x2{}< x^2−4{}- 4<3x{}< 3x と同じです。

  • x2x^2−4{}- 4<3x{}< 3x より x2x^2−3x{}- 3x−4{}- 4=(x+1)(x−4){}= (x + 1)(x - 4)<0{}< 0、よって −1-1<x{}< x<4{}< 4
  • −3x-3x<x2{}< x^2−4{}- 4 より x2x^2+3x{}+ 3x−4{}- 4=(x+4)(x−1){}= (x + 4)(x - 1)>0{}> 0、よって xx<−4,{}< -4,11<x{}< x

共通する範囲は

1<x<4‾\underline{1 < x < 4}

xx=2{}= 2 を代入すると ∣0∣\lvert 0 \rvert=0{}= 0<6{}< 6 で成り立ち、端の xx=4{}= 4 では 1212<12{}< 12 となって成り立ちません。右辺 3x3x が負になる xx<0{}< 0 では、公式6の連立不等式が自動的に解なしになっています(1 つ目の −1-1<x{}< x<4{}< 4 と 2 つ目の xx<−4{}< -4 が重ならず、−1-1<x{}< x<0{}< 0 の部分も 2 つ目を満たしません)。

第8章へ——解の「位置」を条件にする

この章で、判別式が文字の式になっても、不等式として解けるようになりました。第8章では、「方程式の解がどこにあるか」を条件にした問題を扱います。

たとえば、「x2x^2−2ax{}- 2ax+a{}+ a+6{}+ 6=0{}= 0 が異なる 2 つの正の解をもつ」ような aa の範囲を考えます。グラフ yy=x2{}= x^2−2ax{}- 2ax+a{}+ a+6{}+ 6 が xx 軸の正の部分と 2 点で交わるには

の 3 つがそろえばよく、1 つ目はこの章の二次不等式 (a+2)(a−3)(a + 2)(a - 3)>0{}> 0 で aa<−2,{}< -2,33<a{}< a です。3 つを合わせて aa>3{}> 3 となります。条件をグラフの言葉に翻訳し、それぞれを不等式で解いて共通部分をとる——この章の道具が、そのまま次の章の土台になります。

基礎確認問題(全5問)

まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。

問1

二次不等式 x2x^2−5x{}- 5x+4{}+ 4<0{}< 0 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

1<x<4‾\underline{1 < x < 4}((x−1)(x−4)(x - 1)(x - 4)<0{}< 0 で、解の内側)

自己採点:
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問2

二次不等式 x2x^2+2x{}+ 2x−8{}- 8≧0{}\geqq 0 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

x≦−4,‾\underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}x \leqq -4,} 2≦x‾\underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}\ 2 \leqq x}((x+4)(x−2)(x + 4)(x - 2)≧0{}\geqq 0 で、解の外側)

自己採点:
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問3

二次不等式 x2x^2−4x{}- 4x+4{}+ 4>0{}> 0 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

x=2 以外のすべての実数‾\underline{x = 2 \ \text{以外のすべての実数}}((x−2)2(x - 2)^2>0{}> 0)

自己採点:
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問4

二次不等式 x2x^2+x{}+ x+1{}+ 1<0{}< 0 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

解なし‾\underline{\text{解なし}}(DD=1{}= 1−4{}- 4=−3{}= -3<0{}< 0 で、x2x^2 の係数が正なので値はいつも正)

自己採点:
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問5

二次不等式 −x2-x^2+3x{}+ 3x>0{}> 0 の解を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

0<x<3‾\underline{0 < x < 3}(−1-1 を掛けて x(x−3)x(x - 3)<0{}< 0)

自己採点:
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実践問題(全20問)

難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。

問1 ★

(1) x2x^2−7x{}- 7x+10{}+ 10≦0{}\leqq 0

(2) x2x^2−9{}- 9>0{}> 0

(3) 2x22x^2+5x{}+ 5x−3{}- 3<0{}< 0

上の (1)〜(3) の二次不等式の解を、それぞれ求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 22≦x{}\leqq x≦5{}\leqq 5 (2) xx<−3,{}< -3,33<x{}< x (3) −3-3<x{}< x<12{}< \dfrac{1}{2}

解説

因数分解して xx 軸との交点を求め、「<0< 0 は内側」「>0> 0 は外側」を使います(公式1)。

(1) (x−2)(x−5)(x - 2)(x - 5)≦0{}\leqq 0 で、境目を含む内側なので 2≦x≦5‾\underline{2 \leqq x \leqq 5}。

(2) (x+3)(x−3)(x + 3)(x - 3)>0{}> 0 で、外側なので x<−3,‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}x < -3,} 3<x‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 3 < x}。

(3) (2x−1)(x+3)(2x - 1)(x + 3)<0{}< 0 で、2x22x^2+5x{}+ 5x−3{}- 3=0{}= 0 の解は xx=−3,{}= -3, 12\ \dfrac{1}{2}。内側なので

−3<x<12‾\underline{-3 < x < \frac{1}{2}}

(2) は x2x^2>9{}> 9 と同じです。「xx>3{}> 3」だけにしないよう、負の側の xx<−3{}< -3 も忘れずに書きます。

自己採点:
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問2 ★

(1) −x2-x^2+x{}+ x+12{}+ 12≧0{}\geqq 0

(2) −3x2-3x^2+2x{}+ 2x+1{}+ 1<0{}< 0

上の (1),(2) の二次不等式の解を、それぞれ求めなさい。

つまずいたときは:
答えを見る
答え

(1) −3-3≦x{}\leqq x≦4{}\leqq 4 (2) xx<−13,{}< -\dfrac{1}{3},11<x{}< x

解説

両辺に −1-1 を掛けて x2x^2 の係数を正にし、不等号の向きを変えます。

(1) x2x^2−x{}- x−12{}- 12≦0{}\leqq 0  ⟺  (x+3)(x−4){}\iff (x + 3)(x - 4)≦0{}\leqq 0 なので

−3≦x≦4‾\underline{-3 \leqq x \leqq 4}

(2) 3x23x^2−2x{}- 2x−1{}- 1>0{}> 0  ⟺  (3x+1)(x−1){}\iff (3x + 1)(x - 1)>0{}> 0 で、3x23x^2−2x{}- 2x−1{}- 1=0{}= 0 の解は xx=−13,{}= -\dfrac{1}{3}, 1\ 1。外側なので

x<−13,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}x < -\frac{1}{3},} 1<x‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}\ 1 < x}

(1) で xx=0{}= 0 を代入すると 1212≧0{}\geqq 0 で成り立ち、00 が答えの範囲に入っていることと合います。1 つ代入して確かめると、内側と外側の取り違えに気づけます。

自己採点:
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問3 ★

(1) x2x^2−6x{}- 6x+4{}+ 4>0{}> 0

(2) 2x22x^2−2x{}- 2x−1{}- 1≦0{}\leqq 0

上の (1),(2) の二次不等式の解を、それぞれ求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) xx<3{}< 3−5,{}- \sqrt{5},33+5{}+ \sqrt{5}<x{}< x (2) 1−32\dfrac{1 - \sqrt{3}}{2}≦x{}\leqq x≦1+32{}\leqq \dfrac{1 + \sqrt{3}}{2}

解説

因数分解できないので、解の公式で xx 軸との交点を求めます。

(1) x2x^2−6x{}- 6x+4{}+ 4=0{}= 0 を b′b'=−3{}= -3 として解くと

x\displaystyle x=3\displaystyle {}= 3±9−4\displaystyle {}\pm \sqrt{9 - 4}=3\displaystyle {}= 3±5\displaystyle {}\pm \sqrt{5}

>0> 0 は外側なので

x<3‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{1.1505em}x < 3}−5,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{1.1505em}{}- \sqrt{5},} 3‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{1.1505em}\ 3}+5<x‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{1.1505em}{}+ \sqrt{5} < x}

(2) 2x22x^2−2x{}- 2x−1{}- 1=0{}= 0 を b′b'=−1{}= -1 として解くと

x\displaystyle x=1±1+22\displaystyle {}= \frac{1 \pm \sqrt{1 + 2}}{2}=1±32\displaystyle {}= \frac{1 \pm \sqrt{3}}{2}

≦0\leqq 0 は境目を含む内側なので

1−32≦x≦1+32‾\underline{\frac{1 - \sqrt{3}}{2} \leqq x \leqq \frac{1 + \sqrt{3}}{2}}
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問4 ★

(1) x2x^2+10x{}+ 10x+25{}+ 25≦0{}\leqq 0

(2) 9x29x^2−6x{}- 6x+1{}+ 1>0{}> 0

(3) 2x22x^2−3x{}- 3x+2{}+ 2≧0{}\geqq 0

(4) −x2-x^2+2x{}+ 2x−2{}- 2>0{}> 0

上の (1)〜(4) の二次不等式の解を、それぞれ求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) xx=−5{}= -5 (2) xx=13{}= \dfrac{1}{3} 以外のすべての実数 (3) すべての実数 (4) 解なし

解説

DD≦0{}\leqq 0 の場合です(公式2)。平方の形にすると判断しやすくなります。

(1) (x+5)2(x + 5)^2≦0{}\leqq 0。2 乗は 00 以上なので、成り立つのは (x+5)2(x + 5)^2=0{}= 0 のときだけで x=−5‾\underline{x = -5}。

(2) (3x−1)2(3x - 1)^2>0{}> 0。3x3x−1{}- 1=0{}= 0 のときだけ成り立たないので

x=13 以外のすべての実数‾\underline{x = \frac{1}{3} \ \text{以外のすべての実数}}

(3) DD=9{}= 9−16{}- 16=−7{}= -7<0{}< 0 で、x2x^2 の係数は正なので、左辺はいつも正です。すべての実数‾\underline{\text{すべての実数}}。

(4) −1-1 を掛けて x2x^2−2x{}- 2x+2{}+ 2<0{}< 0。(x−1)2(x - 1)^2+1{}+ 1<0{}< 0 ですが、左辺はいつも 11 以上なので 解なし‾\underline{\text{解なし}}。

自己採点:
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問5 ★

連立不等式 {x2−x−12<0x2−4x≧0\begin{cases} x^2 - x - 12 < 0 \\ x^2 - 4x \geqq 0 \end{cases} を満たす xx の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−3-3<x{}< x≦0{}\leqq 0

解説

それぞれを解いて、共通部分をとります(公式3)。

1 つ目:(x+3)(x−4)(x + 3)(x - 4)<0{}< 0 より −3-3<x{}< x<4{}< 4。

2 つ目:x(x−4)x(x - 4)≧0{}\geqq 0 より xx≦0,{}\leqq 0,44≦x{}\leqq x。

数直線に重ねると、−3-3<x{}< x<4{}< 4 と xx≦0{}\leqq 0 の重なりは −3-3<x{}< x≦0{}\leqq 0。44≦x{}\leqq x とは重なりません(xx=4{}= 4 は 1 つ目に含まれない)。

−3<x≦0‾\underline{-3 < x \leqq 0}
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問6 ★

不等式 33<x2{}< x^2+2x{}+ 2x≦8{}\leqq 8 を満たす xx の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−4-4≦x{}\leqq x<−3,{}< -3,11<x{}< x≦2{}\leqq 2

解説

「33<x2{}< x^2+2x{}+ 2x かつ x2x^2+2x{}+ 2x≦8{}\leqq 8」の連立不等式として解きます。

1 つ目:x2x^2+2x{}+ 2x−3{}- 3>0{}> 0  ⟺  (x+3)(x−1){}\iff (x + 3)(x - 1)>0{}> 0 より xx<−3,{}< -3,11<x{}< x。

2 つ目:x2x^2+2x{}+ 2x−8{}- 8≦0{}\leqq 0  ⟺  (x+4)(x−2){}\iff (x + 4)(x - 2)≦0{}\leqq 0 より −4-4≦x{}\leqq x≦2{}\leqq 2。

−4-4≦x{}\leqq x≦2{}\leqq 2 のうち、xx<−3{}< -3 と重なるのは −4-4≦x{}\leqq x<−3{}< -3、11<x{}< x と重なるのは 11<x{}< x≦2{}\leqq 2 です。

−4≦x<−3,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}-4 \leqq x < -3,} 1<x≦2‾\displaystyle \underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}\ 1 < x \leqq 2}

端を確かめると、xx=−4{}= -4 で x2x^2+2x{}+ 2x=8{}= 8(含む)、xx=−3{}= -3 で 33(含まない)、xx=1{}= 1 で 33(含まない)、xx=2{}= 2 で 88(含む)です。答えが 2 つの範囲に分かれるのは、yy=x2{}= x^2+2x{}+ 2x のグラフの左右の斜面が、それぞれ高さ 33 から 88 の帯を通るからです。

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問7 ★

不等式 x2x^2−3x{}- 3x−2{}- 2<0{}< 0 を満たす整数 xx をすべて求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

xx=0,{}= 0, 1,\ 1, 2,\ 2, 3\ 3

解説

x2x^2−3x{}- 3x−2{}- 2=0{}= 0 の解は xx=3±172{}= \dfrac{3 \pm \sqrt{17}}{2} なので、不等式の解は

3−172\displaystyle \frac{3 - \sqrt{17}}{2}<x\displaystyle {}< x<3+172\displaystyle {}< \frac{3 + \sqrt{17}}{2}

44<17{}< \sqrt{17}<5{}< 5 なので

−1\displaystyle -1<3−172\displaystyle {}< \frac{3 - \sqrt{17}}{2}<−12,\displaystyle {}< -\frac{1}{2},72\displaystyle \frac{7}{2}<3+172\displaystyle {}< \frac{3 + \sqrt{17}}{2}<4\displaystyle {}< 4

この範囲にある整数は

x=0,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}x = 0,} 1,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 1,} 2,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 2,} 3‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 3}

境目の外の整数を代入すると、xx=−1{}= -1 で 11+3{}+ 3−2{}- 2=2{}= 2,xx=4{}= 4 で 1616−12{}- 12−2{}- 2=2{}= 2 となり、どちらも 00 より大きいので含まれません。

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問8 ★

すべての実数 xx について x2x^2+kx{}+ kx+k{}+ k>0{}> 0 が成り立つような、定数 kk の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

00<k{}< k<4{}< 4

解説

x2x^2 の係数は 11>0{}> 0 なので、条件は DD<0{}< 0 です(公式4)。

D\displaystyle D=k2\displaystyle {}= k^2−4k\displaystyle {}- 4k=k(k−4)\displaystyle {}= k(k - 4)<0\displaystyle {}< 0 0<k<4‾\underline{0 < k < 4}

たとえば kk=4{}= 4 では x2x^2+4x{}+ 4x+4{}+ 4=(x+2)2{}= (x + 2)^2 となり、xx=−2{}= -2 で 00 になって「>0> 0」が崩れます。境目の kk を含めないことが、この確かめで分かります。

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問9 ★★

kk を定数とします。

(1) 二次関数 yy=x2{}= x^2+2kx{}+ 2kx+3k{}+ 3k のグラフが xx 軸と異なる 2 点で交わるような kk の値の範囲を求めなさい。

(2) xx の二次方程式 x2x^2+(k+1)x{}+ (k + 1)x+k2{}+ k^2=0{}= 0 が実数解をもつような kk の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) kk<0,{}< 0,33<k{}< k (2) −13-\dfrac{1}{3}≦k{}\leqq k≦1{}\leqq 1

解説

判別式が kk の二次式になるので、二次不等式を解きます。

(1) 条件は DD>0{}> 0。b′b'=k{}= k として

D4\displaystyle \frac{D}{4}=k2\displaystyle {}= k^2−3k\displaystyle {}- 3k=k(k−3)\displaystyle {}= k(k - 3)>0\displaystyle {}> 0 k<0,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8888em}k < 0,} 3<k‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8888em}\ 3 < k}

(2) 実数解をもつ条件は DD≧0{}\geqq 0 です。

D\displaystyle D=(k+1)2\displaystyle {}= (k + 1)^2−4k2\displaystyle {}- 4k^2=−3k2\displaystyle {}= -3k^2+2k\displaystyle {}+ 2k+1\displaystyle {}+ 1≧0\displaystyle {}\geqq 0

−1-1 を掛けて 3k23k^2−2k{}- 2k−1{}- 1≦0{}\leqq 0  ⟺  (3k+1)(k−1){}\iff (3k + 1)(k - 1)≦0{}\leqq 0 なので

−13≦k≦1‾\underline{-\frac{1}{3} \leqq k \leqq 1}

(2) で DD の k2k^2 の係数が負になっています。−1-1 を掛けるときに不等号の向きを変えるのを忘れないようにします。

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問10 ★★

すべての実数 xx について kx2kx^2+(k−1)x{}+ (k - 1)x+k{}+ k−1{}- 1<0{}< 0 が成り立つような、定数 kk の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

kk<−13{}< -\dfrac{1}{3}

解説

x2x^2 の係数 kk が 00 になる場合を先に調べます(公式4)。

  • kk=0{}= 0 のとき 不等式は −x-x−1{}- 1<0{}< 0 で、たとえば xx=−2{}= -2 では 11<0{}< 0 となり成り立ちません。よって不適です。
  • kk≠0{}\neq 0 のとき すべての xx で「<0< 0」となる条件は、kk<0{}< 0 かつ DD<0{}< 0 です。
D\displaystyle D=(k−1)2\displaystyle {}= (k - 1)^2−4k(k−1)\displaystyle {}- 4k(k - 1)=(k−1){(k−1)−4k}\displaystyle {}= (k - 1)\{(k - 1) - 4k\}=−(k−1)(3k+1)\displaystyle {}= -(k - 1)(3k + 1)

DD<0{}< 0  ⟺  (k−1)(3k+1){}\iff (k - 1)(3k + 1)>0{}> 0  ⟺  k{}\iff k<−13,{}< -\dfrac{1}{3},11<k{}< k。kk<0{}< 0 と合わせて

k<−13‾\underline{k < -\frac{1}{3}}

kk=−1{}= -1 で確かめると、−x2-x^2−2x{}- 2x−2{}- 2=−(x+1)2{}= -(x + 1)^2−1{}- 1<0{}< 0 で、確かにすべての xx で成り立ちます。境目の kk=−13{}= -\dfrac{1}{3} では −13(x+2)2-\dfrac{1}{3}(x + 2)^2 となり、xx=−2{}= -2 で 00 になるので含みません。

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問11 ★★

aa を定数とします。二次不等式 x2x^2−(a+3)x{}- (a + 3)x+3a{}+ 3a>0{}> 0 の解を、aa の値によって場合分けして求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

aa<3{}< 3 のとき xx<a,{}< a,33<x{}< x;aa=3{}= 3 のとき xx=3{}= 3 以外のすべての実数;aa>3{}> 3 のとき xx<3,{}< 3,aa<x{}< x

解説

左辺は (x−3)(x−a)(x - 3)(x - a) と因数分解できます。>0> 0 は外側なので、33 と aa の大小で分けます(公式5)。

  • aa<3{}< 3 のとき 小さいほうが aa なので x<a,‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}x < a,} 3<x‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 3 < x}
  • aa=3{}= 3 のとき (x−3)2(x - 3)^2>0{}> 0 なので、x=3 以外のすべての実数‾\underline{x = 3\ \text{以外のすべての実数}}
  • aa>3{}> 3 のとき 小さいほうが 33 なので x<3,‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}x < 3,} a<x‾\underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ a < x}

aa=3{}= 3 の答えは、aa<3{}< 3 の答え「xx<a,{}< a,33<x{}< x」に aa=3{}= 3 を入れた「xx<3,{}< 3,33<x{}< x」と同じ範囲です。境目で答えがつながっていることを確かめておくと安心です。

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問12 ★★

(1) 二次不等式 x2x^2+ax{}+ ax+b{}+ b≦0{}\leqq 0 の解が −2-2≦x{}\leqq x≦5{}\leqq 5 である。

(2) 二次不等式 ax2ax^2+5x{}+ 5x+b{}+ b>0{}> 0 の解が 12\dfrac{1}{2}<x{}< x<2{}< 2 である。

上の (1),(2) の条件を満たすように、定数 aa,bb の値をそれぞれ定めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) aa=−3,{}= -3,bb=−10{}= -10 (2) aa=−2,{}= -2,bb=−2{}= -2

解説

解から、もとの不等式の形を組み立てます(公式5)。

(1) x2x^2 の係数が 11 で、「≦0\leqq 0」の解が −2-2≦x{}\leqq x≦5{}\leqq 5 なので、左辺は (x+2)(x−5)(x + 2)(x - 5)=x2{}= x^2−3x{}- 3x−10{}- 10 と一致します。

a=−3,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8889em}a = -3,} b=−10‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8889em}\ b = -10}

(2) 「>0> 0」の解が内側なので、グラフは上に凸で aa<0{}< 0 です。解が 12\dfrac{1}{2}<x{}< x<2{}< 2 になる不等式は、aa<0{}< 0 を係数として

a(x−12)(x−2)\displaystyle a\left(x - \frac{1}{2}\right)(x - 2)>0\displaystyle {}> 0  ⟺  ax2\displaystyle {}\iff ax^2−52ax\displaystyle {}- \frac{5}{2}ax+a\displaystyle {}+ a>0\displaystyle {}> 0

と書けます(両辺を負の数 aa で割ると (x−12)(x−2)\left(x - \frac{1}{2}\right)(x - 2)<0{}< 0 になり、解が内側になることが確かめられます)。ax2ax^2+5x{}+ 5x+b{}+ b と係数を比べて

−52a\displaystyle -\frac{5}{2}a=5,\displaystyle {}= 5,b\displaystyle b=a\displaystyle {}= a

より aa=−2{}= -2,bb=−2{}= -2。aa<0{}< 0 を満たします。

a=−2,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8889em}a = -2,} b=−2‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8889em}\ b = -2}

確かめ:−2x2-2x^2+5x{}+ 5x−2{}- 2>0{}> 0  ⟺  2x2{}\iff 2x^2−5x{}- 5x+2{}+ 2<0{}< 0  ⟺  (2x−1)(x−2){}\iff (2x - 1)(x - 2)<0{}< 0  ⟺  12{}\iff \dfrac{1}{2}<x{}< x<2{}< 2。

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問13 ★★

(1) x2x^2−4∣x∣{}- 4\lvert x \rvert+3{}+ 3<0{}< 0

(2) ∣x2−2x∣\lvert x^2 - 2x \rvert≦3{}\leqq 3

上の (1),(2) の不等式の解を、それぞれ求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) −3-3<x{}< x<−1,{}< -1,11<x{}< x<3{}< 3 (2) −1-1≦x{}\leqq x≦3{}\leqq 3

解説

(1) x2x^2=∣x∣2{}= \lvert x \rvert^2 を使うと

∣x∣2\displaystyle \lvert x \rvert^2−4∣x∣\displaystyle {}- 4\lvert x \rvert+3\displaystyle {}+ 3<0\displaystyle {}< 0  ⟺  (∣x∣−1)(∣x∣−3)\displaystyle {}\iff (\lvert x \rvert - 1)(\lvert x \rvert - 3)<0\displaystyle {}< 0  ⟺  1\displaystyle {}\iff 1<∣x∣\displaystyle {}< \lvert x \rvert<3\displaystyle {}< 3

∣x∣\lvert x \rvert が 11 より大きく 33 より小さいのは、xx が正の側で 11<x{}< x<3{}< 3、負の側で −3-3<x{}< x<−1{}< -1 のときです。

−3<x<−1,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}-3 < x < -1,} 1<x<3‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 1 < x < 3}

(2) 公式6より −3-3≦x2{}\leqq x^2−2x{}- 2x≦3{}\leqq 3 と同じです。

  • x2x^2−2x{}- 2x≧−3{}\geqq -3 は x2x^2−2x{}- 2x+3{}+ 3=(x−1)2{}= (x - 1)^2+2{}+ 2≧0{}\geqq 0 と同じで、すべての実数で成り立ちます。
  • x2x^2−2x{}- 2x≦3{}\leqq 3 は (x+1)(x−3)(x + 1)(x - 3)≦0{}\leqq 0 で、−1-1≦x{}\leqq x≦3{}\leqq 3。

共通部分は

−1≦x≦3‾\underline{-1 \leqq x \leqq 3}

yy=x2{}= x^2−2x{}- 2x のいちばん低いところは −1-1 なので、「−3-3 以上」は初めから満たされています。連立の片方が「すべての実数」になることもあります。

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問14 ★★

不等式 x2x^2−3∣x−1∣{}- 3\lvert x - 1 \rvert−1{}- 1>0{}> 0 を満たす xx の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

xx<−4,{}< -4,22<x{}< x

解説

絶対値の中の符号で場合を分けます。境目の xx=1{}= 1 は右側に含めます。

xx≧1{}\geqq 1 のとき ∣x−1∣\lvert x - 1 \rvert=x{}= x−1{}- 1 なので

x2\displaystyle x^2−3(x−1)\displaystyle {}- 3(x - 1)−1\displaystyle {}- 1=x2\displaystyle {}= x^2−3x\displaystyle {}- 3x+2\displaystyle {}+ 2=(x−1)(x−2)\displaystyle {}= (x - 1)(x - 2)>0\displaystyle {}> 0

より xx<1,{}< 1,22<x{}< x。xx≧1{}\geqq 1 と合わせて xx>2{}> 2。

xx<1{}< 1 のとき ∣x−1∣\lvert x - 1 \rvert=−(x−1){}= -(x - 1) なので

x2\displaystyle x^2+3(x−1)\displaystyle {}+ 3(x - 1)−1\displaystyle {}- 1=x2\displaystyle {}= x^2+3x\displaystyle {}+ 3x−4\displaystyle {}- 4=(x+4)(x−1)\displaystyle {}= (x + 4)(x - 1)>0\displaystyle {}> 0

より xx<−4,{}< -4,11<x{}< x。xx<1{}< 1 と合わせて xx<−4{}< -4。

2 つの場合を合わせて

x<−4,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}x < -4,} 2<x‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 2 < x}

確かめ:xx=0{}= 0 では 00−3{}- 3−1{}- 1=−4{}= -4 で不成立、xx=3{}= 3 では 99−6{}- 6−1{}- 1=2{}= 2>0{}> 0、xx=−5{}= -5 では 2525−18{}- 18−1{}- 1=6{}= 6>0{}> 0 で成立します。各場合で出てきた「11<x{}< x」や「xx<1{}< 1」の部分を、場合の範囲と照らし合わせて捨てるのがポイントです。

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問15 ★★

ある店では、1 個 100100 円の商品が 1 日に 600600 個売れます。11 円値上げするごとに、1 日に売れる個数が 33 個ずつ減るものとします。値上げ額を xx 円(00≦x{}\leqq x≦200{}\leqq 200)とするとき、1 日の売上金額を 6720067200 円以上にするような xx の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

4040≦x{}\leqq x≦60{}\leqq 60

解説

値上げ後の価格は (100+x)(100 + x) 円、売れる個数は (600−3x)(600 - 3x) 個です(xx≦200{}\leqq 200 なので個数は 00 以上)。売上金額の条件は

(100+x)(600−3x)\displaystyle (100 + x)(600 - 3x)≧67200\displaystyle {}\geqq 67200

左辺を展開すると 6000060000+300x{}+ 300x−3x2{}- 3x^2 なので

−3x2\displaystyle -3x^2+300x\displaystyle {}+ 300x−7200\displaystyle {}- 7200≧0\displaystyle {}\geqq 0  ⟺  x2\displaystyle {}\iff x^2−100x\displaystyle {}- 100x+2400\displaystyle {}+ 2400≦0\displaystyle {}\leqq 0  ⟺  (x−40)(x−60)\displaystyle {}\iff (x - 40)(x - 60)≦0\displaystyle {}\leqq 0

より 4040≦x{}\leqq x≦60{}\leqq 60。これは 00≦x{}\leqq x≦200{}\leqq 200 に入っています。

40≦x≦60‾\underline{40 \leqq x \leqq 60}

価格でいえば 140140 円以上 160160 円以下です。売上は −3(x−50)2-3(x - 50)^2+67500{}+ 67500 と平方完成でき、値上げ額 5050 円(価格 150150 円)で最大の 6750067500 円になります。6720067200 円以上になる範囲は、その頂点をはさむ内側です。

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問16 ★★

−1-1≦x{}\leqq x≦1{}\leqq 1 を満たすすべての xx について x2x^2+kx{}+ kx−3{}- 3<0{}< 0 が成り立つような、定数 kk の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−2-2<k{}< k<2{}< 2

解説

f(x)f(x)=x2{}= x^2+kx{}+ kx−3{}- 3 とおきます。すべての xx で f(x)f(x)<0{}< 0 となる条件は、−1-1≦x{}\leqq x≦1{}\leqq 1 での最大値が負であることです。

f(x)f(x) は下に凸なので、両端を含む範囲での最大値は、軸から遠いほうの端でとります(第3章)。軸の位置がどこであっても、最大値は f(−1)f(-1) と f(1)f(1) の大きいほうです。したがって条件は

f(−1)\displaystyle f(-1)<0 かつ f(1)\displaystyle {}< 0 \ \text{かつ}\ f(1)<0\displaystyle {}< 0

f(−1)f(-1)=1{}= 1−k{}- k−3{}- 3=−k{}= -k−2{}- 2<0{}< 0 より kk>−2{}> -2。f(1)f(1)=1{}= 1+k{}+ k−3{}- 3=k{}= k−2{}- 2<0{}< 0 より kk<2{}< 2。

−2<k<2‾\underline{-2 < k < 2}

下に凸のグラフでは、両端が xx 軸より下にあれば、その間の部分も下にあります。両端を結ぶ線分より、グラフのほうが下を通るからです。このため、「最小値が正」の条件では軸の位置で場合分けが要るのに対し、「最大値が負」の条件は両端だけで済みます。

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問17 ★★★

00≦x{}\leqq x≦2{}\leqq 2 を満たすすべての xx について x2x^2−2ax{}- 2ax+a{}+ a+2{}+ 2>0{}> 0 が成り立つような、定数 aa の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−2-2<a{}< a<2{}< 2

解説

f(x)f(x)=x2{}= x^2−2ax{}- 2ax+a{}+ a+2{}+ 2=(x−a)2{}= (x - a)^2−a2{}- a^2+a{}+ a+2{}+ 2 とおきます。条件は「00≦x{}\leqq x≦2{}\leqq 2 での最小値が正」です。軸 xx=a{}= a と範囲の位置で分けます(第3章 公式4)。

aa<0{}< 0 のとき 最小値は f(0)f(0)=a{}= a+2{}+ 2。aa+2{}+ 2>0{}> 0 より aa>−2{}> -2。aa<0{}< 0 と合わせて −2-2<a{}< a<0{}< 0。

00≦a{}\leqq a≦2{}\leqq 2 のとき 最小値は f(a)f(a)=−a2{}= -a^2+a{}+ a+2{}+ 2。

−a2\displaystyle -a^2+a\displaystyle {}+ a+2\displaystyle {}+ 2>0\displaystyle {}> 0  ⟺  a2\displaystyle {}\iff a^2−a\displaystyle {}- a−2\displaystyle {}- 2<0\displaystyle {}< 0  ⟺  (a+1)(a−2)\displaystyle {}\iff (a + 1)(a - 2)<0\displaystyle {}< 0  ⟺  −1\displaystyle {}\iff -1<a\displaystyle {}< a<2\displaystyle {}< 2

00≦a{}\leqq a≦2{}\leqq 2 と合わせて 00≦a{}\leqq a<2{}< 2。

aa>2{}> 2 のとき 最小値は f(2)f(2)=4{}= 4−4a{}- 4a+a{}+ a+2{}+ 2=6{}= 6−3a{}- 3a。66−3a{}- 3a>0{}> 0 より aa<2{}< 2 で、aa>2{}> 2 と合わないので、この場合は条件を満たす aa はありません。

3 つの場合を合わせて

−2<a<2‾\underline{-2 < a < 2}

境目を確かめると、aa=2{}= 2 では f(x)f(x)=(x−2)2{}= (x - 2)^2 で f(2)f(2)=0{}= 0、aa=−2{}= -2 では f(0)f(0)=0{}= 0 となり、どちらも「>0> 0」を満たしません。2 つ目の場合で出た −1-1<a{}< a の条件は、00≦a{}\leqq a の中では効いていないことにも注意します。

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問18 ★★★

aa を定数とします。不等式 x2x^2−(a+1)x{}- (a + 1)x+a{}+ a<0{}< 0 を満たす整数 xx がちょうど 33 個となるような、aa の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−3-3≦a{}\leqq a<−2,{}< -2,44<a{}< a≦5{}\leqq 5

解説

左辺は (x−1)(x−a)(x - 1)(x - a) なので、不等式は (x−1)(x−a)(x - 1)(x - a)<0{}< 0 です。

aa>1{}> 1 のとき 解は 11<x{}< x<a{}< a。この範囲の整数は 2,2, 3,\ 3, 4,\ 4, …\ \ldots と小さいほうから並ぶので、ちょうど 3 個(2,2, 3,\ 3, 4\ 4)になるのは、44 を含み 55 を含まないときです。xx<a{}< a の端は含まないので

4\displaystyle 4<a\displaystyle {}< a≦5\displaystyle {}\leqq 5

aa=1{}= 1 のとき (x−1)2(x - 1)^2<0{}< 0 で解なし。整数は 0 個で不適。

aa<1{}< 1 のとき 解は aa<x{}< x<1{}< 1。整数は 0,0, −1,{}\ -1, −2,{}\ -2, …\ \ldots と大きいほうから並ぶので、ちょうど 3 個(0,0, −1,{}\ -1, −2{}\ -2)になるのは、−2-2 を含み −3-3 を含まないときで

−3\displaystyle -3≦a\displaystyle {}\leqq a<−2\displaystyle {}< -2 −3≦a<−2,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}-3 \leqq a < -2,} 4<a≦5‾\displaystyle \underline{\rule[-0.2558em]{0em}{1.0117em}\ 4 < a \leqq 5}

端の確かめ:aa=5{}= 5 なら 11<x{}< x<5{}< 5 で 2,2, 3,\ 3, 4\ 4 の 3 個(55 は含まない)。aa=4{}= 4 なら 2,2, 3\ 3 の 2 個。aa=−3{}= -3 なら −3-3<x{}< x<1{}< 1 で −2,-2, −1,{}\ -1, 0\ 0 の 3 個。aa=−2{}= -2 なら −1,-1, 0\ 0 の 2 個。数直線に整数の目盛りを打って、aa の位置を動かしながら数えると間違えにくくなります。

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問19 ★★★

aa を定数とします。連立不等式 {x2−2x−8≦0x2−4ax+3a2<0\begin{cases} x^2 - 2x - 8 \leqq 0 \\ x^2 - 4ax + 3a^2 < 0 \end{cases} を満たす xx が存在するような、aa の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

−2-2<a{}< a<0,{}< 0,00<a{}< a<4{}< 4

解説

1 つ目:(x+2)(x−4)(x + 2)(x - 4)≦0{}\leqq 0 より −2-2≦x{}\leqq x≦4{}\leqq 4。これを範囲 PP とします。

2 つ目:(x−a)(x−3a)(x - a)(x - 3a)<0{}< 0。aa と 3a3a の大小で分けます。

aa>0{}> 0 のとき aa<3a{}< 3a なので、解は aa<x{}< x<3a{}< 3a。これが PP と重なる条件を考えます。3a3a>0{}> 0>−2{}> -2 なので左側ではつねに重なる余地があり、あとは左端 aa が PP の右端 44 より左にあればよいので aa<4{}< 4(aa=4{}= 4 だと 44<x{}< x<12{}< 12 で、xx=4{}= 4 を含まないので重ならない)。よって 00<a{}< a<4{}< 4。

aa=0{}= 0 のとき x2x^2<0{}< 0 で解なし。不適。

aa<0{}< 0 のとき 3a3a<a{}< a なので、解は 3a3a<x{}< x<a{}< a。右端 aa が PP の左端 −2-2 より右にあれば重なります。3a3a<0{}< 0<4{}< 4 なので右側は問題ありません。条件は aa>−2{}> -2(aa=−2{}= -2 だと −6-6<x{}< x<−2{}< -2 で、xx=−2{}= -2 を含まないので重ならない)。よって −2-2<a{}< a<0{}< 0。

−2<a<0,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}-2 < a < 0,} 0<a<4‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8389em}\ 0 < a < 4}

「共通部分が存在する」は、2 つの範囲の端どうしの位置関係だけで決まります。端を含むか含まないかが、答えの等号の有無に直結するので、境目の値を代入して確かめます。

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問20 ★★★

すべての実数 xx,yy について x2x^2−2xy{}- 2xy+2y2{}+ 2y^2+2x{}+ 2x−6y{}- 6y+k{}+ k≧0{}\geqq 0 が成り立つような、定数 kk の値の範囲を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

kk≧5{}\geqq 5

解説

まず yy を定数とみて、左辺を xx の二次式として整理します。

x2\displaystyle x^2+2(1−y)x\displaystyle {}+ 2(1 - y)x+(2y2−6y+k)\displaystyle {}+ (2y^2 - 6y + k)

x2x^2 の係数は 11>0{}> 0 なので、すべての xx で ≧0\geqq 0 となる条件は DD≦0{}\leqq 0 です(公式4)。

D4\displaystyle \frac{D}{4}=(1−y)2\displaystyle {}= (1 - y)^2−(2y2−6y+k)\displaystyle {}- (2y^2 - 6y + k)=−y2\displaystyle {}= -y^2+4y\displaystyle {}+ 4y+1\displaystyle {}+ 1−k\displaystyle {}- k≦0\displaystyle {}\leqq 0

これがすべての実数 yy で成り立てばよいので、−1-1 を掛けて

y2\displaystyle y^2−4y\displaystyle {}- 4y+k\displaystyle {}+ k−1\displaystyle {}- 1≧0\displaystyle {}\geqq 0(すべての y)\displaystyle (\text{すべての}\ y)

y2y^2 の係数は正なので、条件は判別式が 00 以下であることです。

D′4\displaystyle \frac{D'}{4}=4\displaystyle {}= 4−(k−1)\displaystyle {}- (k - 1)=5\displaystyle {}= 5−k\displaystyle {}- k≦0\displaystyle {}\leqq 0 k≧5‾\underline{k \geqq 5}

別の見方:左辺は (x−y+1)2(x - y + 1)^2+(y−2)2{}+ (y - 2)^2+k{}+ k−5{}- 5 と変形できます(展開して確かめられます)。2 つの 2 乗は同時に 00 になれる(yy=2,{}= 2,xx=1{}= 1)ので、左辺の最小値は kk−5{}- 5 で、これが 00 以上になる条件が kk≧5{}\geqq 5 です。「1 文字ずつ固定して判別式」を 2 回使う方法は、平方の形が見えないときにも使えます。

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数学小話コーナー

ダンクシュートはなぜ「浮いて」見えるのか

バスケットボールのダンクシュートやバレーボールのスパイクを見ていると、選手が空中でふわりと止まっているように感じることがあります。実際には、人の体は投げ上げたボールと同じく、重力に引かれて放物線を描いているだけです。それでも「浮いて」見える理由を、二次不等式で測ってみましょう。

真上に秒速 3.923.92 m で跳び上がった選手の、体の重心の高さ(踏み切ったときからの上昇分)を考えます。tt 秒後の高さ hh m は、空気の抵抗を無視すると

h\displaystyle h=3.92t\displaystyle {}= 3.92t−4.9t2\displaystyle {}- 4.9t^2=4.9t(0.8−t)\displaystyle {}= 4.9t(0.8 - t)

です。tt=0{}= 0 で踏み切り、tt=0.8{}= 0.8 で着地するので、滞空時間は 0.80.8 秒。いちばん高いのは真ん中の tt=0.4{}= 0.4 で、hh=4.9×0.4×0.4{}= 4.9 \times 0.4 \times 0.4=0.784{}= 0.784 m、つまり約 7878 cm 跳び上がっています。

では、最高点から上の 4 分の 1、つまり高さ 0.784×340.784 \times \dfrac{3}{4}=0.588{}= 0.588 m 以上にいるのは、何秒間でしょうか。

4.9t(0.8−t)\displaystyle 4.9t(0.8 - t)≧0.588\displaystyle {}\geqq 0.588  ⟺  t2\displaystyle {}\iff t^2−0.8t\displaystyle {}- 0.8t+0.12\displaystyle {}+ 0.12≦0\displaystyle {}\leqq 0  ⟺  (t−0.2)(t−0.6)\displaystyle {}\iff (t - 0.2)(t - 0.6)≦0\displaystyle {}\leqq 0

より 0.20.2≦t{}\leqq t≦0.6{}\leqq 0.6。なんと 0.40.4 秒、滞空時間のちょうど半分です。高さでいえばたった 2020 cm ほどの範囲に、時間の半分がつぎ込まれています。

これは跳び方によらず成り立ちます。最高点からの高さの割合を rr とすると、その範囲にいる時間は滞空時間の r\sqrt{r} 倍になります。上の 14\dfrac{1}{4} なら 12\dfrac{1}{2}、上の 1100\dfrac{1}{100}(この例では 88 mm ほど)でも、時間は 110\dfrac{1}{10} にあたる 0.080.08 秒もあります。頂点の近くではほとんど高さが変わらないまま時間が過ぎるので、見ている人の目には「空中で止まった」ように映る、と説明されています(※見え方の感じ方には、腕や脚の動きなども関わるとされます)。

第3章の小話で、打ち上げ花火が頂点で開くことと「頂点の近くは平ら」という話をしました。そのとき「平ら」と言ったことを、この章の不等式で「時間の長さ」として数えたのが、今回の計算です。

豆知識

滞空時間 TT 秒と跳び上がる高さ HH m の間には、HH=4.94T2{}= \dfrac{4.9}{4}T^2 という関係があります(上の例なら TT=0.8{}= 0.8 で HH=0.784{}= 0.784)。滞空時間を 11 秒にするには HH=1.225{}= 1.225 m、つまり重心を 11 m 以上も持ち上げる必要があります。世界のトップ選手でも垂直跳びは 11 m 前後と言われるので(※測り方によって違います)、「1 秒間浮いていた」と感じる場面でも、実際の滞空時間は長くて 0.90.9 秒ほど(HH=1{}= 1 のとき TT≒0.90{}\fallingdotseq 0.90)と考えられます。

コンピューターに「範囲」で計算させる——区間演算

コンピューターの小数計算には、わずかな誤差がつきものです。ふつうは気にしなくてよい大きさですが、橋の設計や数学の証明のように「絶対に間違えられない」場面では困ります。そこで考えられたのが区間演算です。数を 1 つの値ではなく「この範囲のどこかにある」という下限と上限の組で持ち、計算のたびに、答えが確実に入る範囲を求めていきます。

足し算や引き算は、不等式の性質そのものです。11≦x{}\leqq x≦2{}\leqq 2,33≦y{}\leqq y≦5{}\leqq 5 なら

4\displaystyle 4≦x\displaystyle {}\leqq x+y\displaystyle {}+ y≦7,\displaystyle {}\leqq 7,−4\displaystyle -4≦x\displaystyle {}\leqq x−y\displaystyle {}- y≦−1\displaystyle {}\leqq -1

となります(引き算は「小さい xx から大きい yy を引いたとき」が下限です)。

ところが、同じ式でも書き方によって、得られる範囲の広さが変わります。11≦x{}\leqq x≦2{}\leqq 2 のとき、x2x^2−2x{}- 2x の範囲を 3 通りに計算してみます。

  • x2x^2−2x{}- 2x のまま:11≦x2{}\leqq x^2≦4{}\leqq 4,22≦2x{}\leqq 2x≦4{}\leqq 4 から、11−4{}- 4≦x2{}\leqq x^2−2x{}- 2x≦4{}\leqq 4−2{}- 2、つまり −3-3≦x2{}\leqq x^2−2x{}- 2x≦2{}\leqq 2
  • x(x−2)x(x - 2) と因数分解:11≦x{}\leqq x≦2{}\leqq 2 と −1-1≦x{}\leqq x−2{}- 2≦0{}\leqq 0 の積なので、−2-2≦x(x−2){}\leqq x(x - 2)≦0{}\leqq 0
  • (x−1)2(x - 1)^2−1{}- 1 と平方完成:00≦x{}\leqq x−1{}- 1≦1{}\leqq 1 から 00≦(x−1)2{}\leqq (x - 1)^2≦1{}\leqq 1 なので、−1-1≦(x−1)2{}\leqq (x - 1)^2−1{}- 1≦0{}\leqq 0

本当の値域は、第3章の方法で求めると −1-1≦x2{}\leqq x^2−2x{}- 2x≦0{}\leqq 0 です。平方完成した式だけが、ぴったり正しい範囲を出しました。

ずれの原因は、xx が式に 2 回出てくることです。区間演算は、x2x^2 の xx と 2x2x の xx を「別々に動ける数」として扱ってしまいます。実際には同じ xx なので、x2x^2=4{}= 4(xx=2{}= 2)と 2x2x=2{}= 2(xx=1{}= 1)が同時に起こることはありません。平方完成で xx を 1 か所にまとめると、このすれ違いが消えるのです。

この方法は「精度保証付き数値計算」と呼ばれ、数学の証明にも使われています。2002 年ごろ、ウォーリック・タッカーは、気象のモデルから生まれた「ローレンツ・アトラクタ」と呼ばれる図形の性質を、区間演算を使ったコンピューター計算で証明しました(※数学者スメールが 1998 年に挙げた未解決問題の 1 つとされます)。

豆知識

区間演算の考え方を早い時期に論文にまとめた一人は、日本の須永照雄(1958 年)で、アメリカのラモン・ムーアが 1966 年の本で広めたとされます(※先行する研究には諸説あります)。2015 年には、区間演算の国際的な規格(IEEE 1788)も定められました。

「すべての」と「ある」——∀ と ∃ の記号

この章では、「すべての実数 xx について〜が成り立つ」という条件をたくさん扱いました。数学では、この「すべての」と、その相棒の「〜となるものがある」を、専用の記号で書くことがあります。

∀x (x2+1>0)\displaystyle \forall x \ (x^2 + 1 > 0)∃x (x2<1)\displaystyle \exists x \ (x^2 < 1)

左は「すべての xx について x2x^2+1{}+ 1>0{}> 0」、右は「x2x^2<1{}< 1 となる xx がある」と読みます。∀\forall は英語の All(ドイツ語の Alle)の A を逆さにしたもの、∃\exists は Exists の E を裏返したものです。∃\exists はイタリアのジュゼッペ・ペアノが 1897 年ごろに、∀\forall はドイツのゲルハルト・ゲンツェンが 1935 年の論文で、∃\exists にならって使い始めたとされます(※それ以前にも別の書き方があり、最初の使用者には諸説あります)。

この 2 つの記号は、否定するとお互いに入れかわります。「すべての xx で PP」を否定すると、「PP でない xx がある」になります。数と式 第6章の「命題の否定」と同じ考え方です。

例題4(1) で、「すべての実数 xx について x2x^2−2kx{}- 2kx+k{}+ k+6{}+ 6>0{}> 0」となる kk の範囲は −2-2<k{}< k<3{}< 3 でした。すると、その否定

「x2\displaystyle \text{「}x^2−2kx\displaystyle {}- 2kx+k\displaystyle {}+ k+6\displaystyle {}+ 6≦0 となる実数 x がある」\displaystyle {}\leqq 0 \ \text{となる実数}\ x \ \text{がある」}

となる kk の範囲は、残りの部分 kk≦−2,{}\leqq -2,33≦k{}\leqq k だと、計算しなくても分かります。グラフで言えば、「全体が xx 軸より上」の否定は「どこか 1 か所でも xx 軸に届く」で、それは判別式 DD≧0{}\geqq 0 のことです。実際、D4\dfrac{D}{4}=(k+2)(k−3){}= (k + 2)(k - 3)≧0{}\geqq 0 を解くと同じ答えになります。

「すべて」の条件は 1 つでも反例があれば崩れ、「ある」の条件は 1 つでも例があれば成り立ちます。記号にしてみると、この裏返しの関係がはっきり見えてきます。

豆知識

∀x\forall x は、日本語の数学書ではよく「任意の xx に対して」と読まれます。この「任意」は「どれを選んでもよい(どれを選んでも成り立つ)」という意味で、「参加は任意です」の「やってもやらなくてもよい」とは少し違います。数学の文章で「任意の」が出てきたら、「すべての」と読みかえると意味がつかみやすくなります。

厳密定義(発展)

※ここは発展ページです。高校の範囲では、公式1〜6の手順が使えれば十分です。「内側・外側」の表はなぜ正しいのか、「すべての xx で成り立つ」条件は本当に「aa>0{}> 0 かつ DD<0{}< 0」で過不足ないのか、下に凸なら両端だけ調べればよいのはなぜか、解から係数がただ 1 通りに決まるのはなぜか——が気になる人のために、根拠を示します。

以下、f(x)f(x)=ax2{}= ax^2+bx{}+ bx+c (a≠0){}+ c \ (a \neq 0),DD=b2{}= b^2−4ac{}- 4ac,pp=−b2a{}= -\dfrac{b}{2a} とします。

定義1:不等式の解の集合

実数 xx についての条件 P(x)P(x)(不等式など)に対し、P(x)P(x) を満たす実数 xx 全体の集合を P(x)P(x) の解の集合という。2 つの条件の解の集合が等しいとき、2 つの条件は同値であるといい、  ⟺  \iff で結ぶ。

  • 「すべての実数 xx について P(x)P(x) が成り立つ」とは、解の集合が実数全体に等しいことをいう。
  • 「P(x)P(x) を満たす実数 xx が存在する」とは、解の集合が空集合でないことをいう。

不等式を「解く」とは、解の集合を、−1-1<x{}< x<3{}< 3 のような分かりやすい形の条件で書き表すことです。途中の変形がすべて同値変形(解の集合を変えない変形)であれば、最後に得た範囲が正しい答えになります。「両辺に正の数を掛ける」「両辺に負の数を掛けて向きを変える」「両辺に同じ式を足す」は、どれも同値変形です(数と式 第4章の不等式の性質から、逆向きの変形もできるため)。

定理1:積の符号

実数 AA,BB について

AB\displaystyle AB>0\displaystyle {}> 0  ⟺  (A>0 かつ B>0)\displaystyle {}\iff (A > 0 \ \text{かつ}\ B > 0)または (A<0 かつ B<0)\displaystyle \qquad \text{または}\ (A < 0 \ \text{かつ}\ B < 0)AB\displaystyle AB<0\displaystyle {}< 0  ⟺  (A>0 かつ B<0)\displaystyle {}\iff (A > 0 \ \text{かつ}\ B < 0)または (A<0 かつ B>0)\displaystyle \qquad \text{または}\ (A < 0 \ \text{かつ}\ B > 0)

とくに、α\alpha<β{}< \beta のとき

(x−α)(x−β)\displaystyle (x - \alpha)(x - \beta)<0\displaystyle {}< 0  ⟺  α\displaystyle {}\iff \alpha<x\displaystyle {}< x<β,\displaystyle {}< \beta,(x−α)(x−β)\displaystyle (x - \alpha)(x - \beta)>0\displaystyle {}> 0  ⟺  x\displaystyle {}\iff x<α または β\displaystyle {}< \alpha \ \text{または}\ \beta<x\displaystyle {}< x

証明 AA,BB はそれぞれ「正・00・負」のどれか 1 つにあたるので、組み合わせは 9 通りである。不等式の性質から、正と正の積、負と負の積は正、正と負の積は負、どちらかが 00 なら積は 00 となる。9 通りのうち積が正になるのは「ともに正」「ともに負」の 2 通り、負になるのは「異符号」の 2 通りだけなので、前半が成り立つ。

後半では AA=x{}= x−α{}- \alpha,BB=x{}= x−β{}- \beta とおく。AA−B{}- B=β{}= \beta−α{}- \alpha>0{}> 0 なので、つねに AA>B{}> B である。

  • 「AA>0{}> 0 かつ BB>0{}> 0」は、BB>0{}> 0(このとき AA>B{}> B>0{}> 0)と同じで、xx>β{}> \beta である。
  • 「AA<0{}< 0 かつ BB<0{}< 0」は、AA<0{}< 0 と同じで、xx<α{}< \alpha である。
  • 「AA<0{}< 0 かつ BB>0{}> 0」は AA<0{}< 0<B{}< B となって AA>B{}> B に反するので起こらない。「AA>0{}> 0 かつ BB<0{}< 0」は α\alpha<x{}< x<β{}< \beta である。

前半と合わせて、後半の 2 つの同値が得られる。(証明終)

AA>B{}> B という一言が効いています。2 つの因数は、どの xx でも「xx−α{}- \alpha のほうが大きい」という順番を崩さないので、符号の組み合わせは「+,+,+{}+」「+,+,−{}-」「−,-,−{}-」の 3 通りしか現れません。数直線を左から見ていくと、α\alpha を過ぎたところで 1 つ目の因数が、β\beta を過ぎたところで 2 つ目の因数が、それぞれ負から正に変わる——これが「内側で負、外側で正」の正体です。

定理2:二次不等式の解の表

aa>0{}> 0 とする。

(i) DD>0{}> 0 のとき、f(x)f(x)=0{}= 0 の 2 つの実数解を α\alpha<β{}< \beta とすると、f(x)f(x)<0{}< 0  ⟺  α{}\iff \alpha<x{}< x<β{}< \beta,f(x)f(x)>0{}> 0  ⟺  x{}\iff x<α または β{}< \alpha \ \text{または}\ \beta<x{}< x である。

(ii) DD=0{}= 0 のとき、f(x)f(x)=a(x−p)2{}= a(x - p)^2 であり、f(x)f(x)≧0{}\geqq 0 はすべての実数で成り立ち、等号は xx=p{}= p のときに限る。

(iii) DD<0{}< 0 のとき、すべての実数 xx について f(x)f(x)>0{}> 0 である。

aa<0{}< 0 のときは、−f(x)-f(x) に (i)〜(iii) を当てはめる。

証明 平方完成により

f(x)\displaystyle f(x)=a(x−p)2\displaystyle {}= a(x - p)^2−D4a\displaystyle {}- \frac{D}{4a}

(i) DD>0{}> 0 なら、第5章の解の公式より f(x)f(x)=a(x−α)(x−β){}= a(x - \alpha)(x - \beta) と因数分解できる。aa>0{}> 0 なので、f(x)f(x) と (x−α)(x−β)(x - \alpha)(x - \beta) の符号は同じである(正の数を掛けても符号は変わらない)。あとは定理1による。

(ii) DD=0{}= 0 なら f(x)f(x)=a(x−p)2{}= a(x - p)^2。(x−p)2(x - p)^2≧0{}\geqq 0 と aa>0{}> 0 から f(x)f(x)≧0{}\geqq 0。f(x)f(x)=0{}= 0  ⟺  (x−p)2{}\iff (x - p)^2=0{}= 0  ⟺  x{}\iff x=p{}= p である。

(iii) DD<0{}< 0 なら −D4a-\dfrac{D}{4a}>0{}> 0 なので、f(x)f(x)≧−D4a{}\geqq -\dfrac{D}{4a}>0{}> 0。

aa<0{}< 0 のとき、f(x)f(x)<0{}< 0  ⟺  −f(x){}\iff -f(x)>0{}> 0 などは、両辺に −1-1 を掛ける同値変形である。−f(x)-f(x) の x2x^2 の係数 −a-a は正で、判別式は (−b)2(-b)^2−4(−a)(−c){}- 4(-a)(-c)=D{}= D と変わらないので、(i)〜(iii) が使える。(証明終)

公式1・公式2の表は、この定理を 4 種類の不等号について書き並べたものです。(ii) から、たとえば f(x)f(x)>0{}> 0 の解の集合は「実数全体から pp を 1 つ除いたもの」、f(x)f(x)≦0{}\leqq 0 の解の集合は「pp だけからなる集合」になります。

定理3:すべての x で成り立つ条件と、その否定

次の同値が成り立つ(aa≠0{}\neq 0 とする)。

すべての実数 x について f(x)\displaystyle \text{すべての実数}\ x \ \text{について}\ f(x)>0\displaystyle {}> 0  ⟺  a\displaystyle {}\iff a>0 かつ D\displaystyle {}> 0 \ \text{かつ}\ D<0\displaystyle {}< 0すべての実数 x について f(x)\displaystyle \text{すべての実数}\ x \ \text{について}\ f(x)≧0\displaystyle {}\geqq 0  ⟺  a\displaystyle {}\iff a>0 かつ D\displaystyle {}> 0 \ \text{かつ}\ D≦0\displaystyle {}\leqq 0

したがって、否定をとると

f(x)\displaystyle f(x)≦0 となる実数 x が存在する\displaystyle {}\leqq 0 \ \text{となる実数}\ x \ \text{が存在する}  ⟺  a\displaystyle {}\iff a<0 または D\displaystyle {}< 0 \ \text{または}\ D≧0\displaystyle {}\geqq 0

証明 1 つ目を示す。qq=−D4a{}= -\dfrac{D}{4a} とおくと、f(x)f(x)=a(x−p)2{}= a(x - p)^2+q{}+ q,f(p)f(p)=q{}= q である。

(⇐\Leftarrow)定理2 (iii) による。

(⇒\Rightarrow)すべての xx で f(x)f(x)>0{}> 0 とする。まず xx=p{}= p として qq=f(p){}= f(p)>0{}> 0。次に、aa<0{}< 0 と仮定して矛盾を導く。ss=2q−a{}= \sqrt{\dfrac{2q}{-a}} とおくと s2s^2=−2qa{}= -\dfrac{2q}{a} なので

f(p+s)\displaystyle f(p + s)=as2\displaystyle {}= as^2+q\displaystyle {}+ q=−2q\displaystyle {}= -2q+q\displaystyle {}+ q=−q\displaystyle {}= -q<0\displaystyle {}< 0

となり、仮定に反する。よって aa>0{}> 0。このとき qq=−D4a{}= -\dfrac{D}{4a}>0{}> 0 と aa>0{}> 0 から DD<0{}< 0 である。

2 つ目も同様に示せる(⇒\Rightarrow では qq≧0{}\geqq 0 を得る。aa<0{}< 0 なら f(p+s)f(p + s)=as2{}= as^2+q{}+ q は ss を大きくとると負になる。たとえば ss=q+1−a{}= \sqrt{\dfrac{q + 1}{-a}} で f(p+s)f(p + s)=−1{}= -1)。

3 つ目の左辺は「すべての xx で f(x)f(x)>0{}> 0」の否定である。右辺「aa>0{}> 0 かつ DD<0{}< 0」の否定は、ド・モルガンの法則により「aa≦0{}\leqq 0 または DD≧0{}\geqq 0」で、aa≠0{}\neq 0 だから「aa<0{}< 0 または DD≧0{}\geqq 0」となる。(証明終)

第6章の定理2では、aa>0{}> 0 を前提にして「すべての xx で f(x)f(x)>0{}> 0  ⟺  D{}\iff D<0{}< 0」を示しました。定理3では、その前提も条件の中に取り込みました。「aa<0{}< 0 ならいつかは負になる」という部分は、上に凸の放物線は頂点から離れるほどいくらでも下がる、ということを式で確かめたものです。

小話3で見たように、「すべて」の否定は「ある」になります。aa<0{}< 0 なら頂点から遠くで、DD≧0{}\geqq 0 なら頂点で、f(x)f(x)≦0{}\leqq 0 となる xx が実際に見つかります。

定理4:範囲を限ったときの条件

ss<t{}< t とし、II を ss≦x{}\leqq x≦t{}\leqq t を満たす xx の範囲とする。

(i) II のすべての xx について f(x)f(x)>0{}> 0  ⟺  {}\iff(II での f(x)f(x) の最小値)>0> 0

(ii) aa>0{}> 0 のとき、II のすべての xx について f(x)f(x)<0{}< 0  ⟺  f(s){}\iff f(s)<0{}< 0 かつ f(t)f(t)<0{}< 0

証明 (i) 第3章の定理3より、II での最小値 mm が存在し、II のある点 x0x_0 で mm=f(x0){}= f(x_0) となる。(⇒\Rightarrow)x0x_0 は II に属するので mm=f(x0){}= f(x_0)>0{}> 0。(⇐\Leftarrow)II のすべての xx で f(x)f(x)≧m{}\geqq m>0{}> 0。

(ii)(⇒\Rightarrow)ss,tt は II に属するので明らか。(⇐\Leftarrow)II の点 xx は、00≦λ{}\leqq \lambda≦1{}\leqq 1 を満たす λ\lambda を使って xx=(1−λ)s{}= (1 - \lambda)s+λt{}+ \lambda t と表せる。このとき

(1−λ)f(s)\displaystyle (1 - \lambda)f(s)+λf(t)\displaystyle {}+ \lambda f(t)−f(x)\displaystyle {}- f(x)=aλ(1−λ)(t−s)2\displaystyle {}= a\lambda(1 - \lambda)(t - s)^2

が成り立つ(bxbx+c{}+ c の部分は左辺で打ち消し合い、ax2ax^2 の部分は (1−λ)s2(1 - \lambda)s^2+λt2{}+ \lambda t^2−{(1−λ)s+λt}2{}- \{(1 - \lambda)s + \lambda t\}^2=λ(1−λ)(t−s)2{}= \lambda(1 - \lambda)(t - s)^2 となる)。右辺は 00 以上なので

f(x)\displaystyle f(x)≦(1−λ)f(s)\displaystyle {}\leqq (1 - \lambda)f(s)+λf(t)\displaystyle {}+ \lambda f(t)<0\displaystyle {}< 0

(f(s)f(s)<0{}< 0,f(t)f(t)<0{}< 0 で、11−λ{}- \lambda,λ\lambda は 00 以上かつ同時に 00 にならないため。)(証明終)

(ii) の不等式 f(x)f(x)≦(1−λ)f(s){}\leqq (1 - \lambda)f(s)+λf(t){}+ \lambda f(t) は、「下に凸のグラフは、両端を結ぶ線分より下(または線分上)にある」という意味です。右辺は、点 (s, f(s))(s,\ f(s)) と点 (t, f(t))(t,\ f(t)) を結ぶ線分の、xx における高さだからです。両端が xx 軸より下なら線分全体も下にあり、グラフはさらにその下を通ります。実践問題 j16 はこの定理の応用で、j17 は (i) を使って最小値で場合を分けた問題です。「下に凸」という性質は、微分積分の分野で「凸関数」として一般の関数に広げられます。

定理5:解から不等式が決まる

α\alpha<β{}< \beta とする。不等式 f(x)f(x)<0{}< 0 の解の集合が α\alpha<x{}< x<β{}< \beta となるための必要十分条件は

a\displaystyle a>0\displaystyle {}> 0かつ\displaystyle \text{かつ}f(x)\displaystyle f(x)=a(x−α)(x−β)\displaystyle {}= a(x - \alpha)(x - \beta)

である。

証明 (⇐\Leftarrow)定理2 (i) による。

(⇒\Rightarrow)aa<0{}< 0 とすると、定理2 を −f(x)-f(x) に当てはめて、f(x)f(x)<0{}< 0  ⟺  −f(x){}\iff -f(x)>0{}> 0 の解の集合は「xx<γ{}< \gamma または δ\delta<x{}< x の形(DD>0{}> 0)」「実数全体から 1 点を除いたもの(DD=0{}= 0)」「実数全体(DD<0{}< 0)」のどれかである。どれも、いくらでも大きい xx を含むので、α\alpha<x{}< x<β{}< \beta にはならない。よって aa>0{}> 0。

aa>0{}> 0 で DD≦0{}\leqq 0 なら、定理2 (ii)(iii) より f(x)f(x)<0{}< 0 は解をもたないが、α\alpha<x{}< x<β{}< \beta は空でないので不適。よって DD>0{}> 0 で、f(x)f(x)=0{}= 0 の解を α′\alpha'<β′{}< \beta' とすると、解の集合は α′\alpha'<x{}< x<β′{}< \beta' である。

2 つの範囲 α\alpha<x{}< x<β{}< \beta と α′\alpha'<x{}< x<β′{}< \beta' が一致するとき、α\alpha=α′{}= \alpha' である。実際、α\alpha<α′{}< \alpha' なら、α\alpha と min⁡(α′, β)\min(\alpha',\ \beta) の中点は前者に属し後者に属さない。α′\alpha'<α{}< \alpha でも同様。同じように β\beta=β′{}= \beta' である。したがって f(x)f(x)=a(x−α′)(x−β′){}= a(x - \alpha')(x - \beta')=a(x−α)(x−β){}= a(x - \alpha)(x - \beta)。(証明終)

例題5(2) や実践問題 j12 (2) の「>0> 0 の解が内側」の場合は、−f(x)-f(x)<0{}< 0 に定理5を当てはめれば、「−a-a>0{}> 0 かつ −f(x)-f(x)=−a(x−α)(x−β){}= -a(x - \alpha)(x - \beta)」、つまり aa<0{}< 0 で f(x)f(x)=a(x−α)(x−β){}= a(x - \alpha)(x - \beta) となります。解の形を見ただけで x2x^2 の係数の符号まで決まり、残りは係数比較(第4章 定理1)でただ 1 通りに決まる——解から係数を「定める」問題の答えがただ 1 つになる根拠が、この定理です。

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