問1
最大値・最小値がないときは「ない」と答えることにします。関数 の最大値と最小値を求めなさい。
答えを見る答えを閉じる
(下に凸、頂点 )
目次 / 二次関数 / 数学I
—— 頂点と定義域の位置関係から、いちばん高い点・低い点を見つける ——
第2章で平方完成を身につけ、どんな放物線でも頂点が読みとれるようになりました。この章では、その頂点を手がかりに二次関数の最大値・最小値を求めます。定義域がなければ答えは頂点で決まりますが、定義域があると「頂点が定義域に入るかどうか」で話が変わります。まずは数値だけの関数で基本の見方を固め、次に最大値・最小値から係数を決める問題、そして軸や定義域が文字で動くときの場合分けへ進みます。最後に、2 つの変数に条件がある場合や文章題を、1 つの文字の二次関数に直して解く方法を学びます。
第2章の実践問題 j18 (3) や j20 (2) では、平方完成したあと「 だから」という理由で最小値や最大値を出しました。まずはこの考え方を、どの二次関数にも使える形にまとめます。
二次関数 について( はすべての実数をとる)
の形なら、まず平方完成して頂点を求める。
の場合を確かめます。 は 2 乗なので 以上です。 を掛けても 以上のままなので、 となり、 が より小さくなることはありません。しかも のときにちょうど になります。だから最小値は です。
一方、 を から遠ざけると はどこまでも大きくなります。たとえば で なら , なら です。どんなに大きな値を用意しても、それを超える が見つかるので、「これがいちばん大きい」という値はありません。これが「最大値はない」の意味です。
スケートボードのハーフパイプを思い浮かべてください。U 字形のコースの底がいちばん低い場所です。ここで、両側の壁が空に向かってどこまでも続いていると想像します。いちばん低い場所ははっきり 1 か所に決まりますが、壁をのぼればいくらでも高くなるので、いちばん高い場所は決まりません。下に凸の放物線は、まさにこの果てしないハーフパイプです。
定義域がなければ、下に凸なら頂点で最小(最大はない)、上に凸なら頂点で最大(最小はない)で、答えは頂点だけで決まるということです。
次の関数に最大値・最小値があれば、それを求めなさい。
【解答】
(1) 平方完成します。
下に凸で頂点は なので
(2) の係数 でくくってから平方完成します。
上に凸で頂点は なので
「最大値はない」「最小値はない」も答えの一部です。書き忘れないようにしましょう。
定義域が決まっていると、グラフのうち使える部分は一部だけになります。第1章の実践問題 j14 で、V 字のグラフについて「折れ目で最小、折れ目から遠い端で最大」と考えました。放物線でも同じ見方ができます。
二次関数 の、定義域 における最大・最小は、グラフをかいて頂点が定義域に入るかを見て決める。(下に凸)のとき
(上に凸)なら、最大と最小の役割を入れかえる。
定義域の端を含まない( のとき、グラフでは ○)場合、その端での値はとらないので、最大値や最小値がないことがある。
「軸から遠いほうの端で最大」になるのは、放物線が軸に関して左右対称で、下に凸なら軸から離れるほど高くなるからです。第2章の teigi 定理4で示したとおり、軸から同じ距離にある 2 点は同じ高さです。だから、両端の の値をいちいち計算しなくても、軸までの距離を比べれば大きいほうが分かります。もちろん、両端の値を両方計算して比べても構いません。
写真のトリミングを思い浮かべてください。山と谷が写った横長の風景写真から、一部分だけを切り取るとします。切り取った枠の中に谷底が入っていれば、写真の中でいちばん低いのは谷底です。枠が谷底を外れていれば、いちばん低いのは枠の端のどちらかになります。定義域はこの「枠」で、どこを切り取るかによって、いちばん高い・低い場所が変わります。
定義域があるときは、グラフをかいて頂点が定義域に入るかを確かめ、頂点と両端の値を比べて最大・最小を決めるということです。
関数 の最大値・最小値を、次の定義域でそれぞれ求めなさい。
【解答】
なので、グラフは頂点 ,軸 の下に凸の放物線です(上の図)。
(1) 頂点の は定義域に入るので、 で最小値 をとります。両端は (軸から距離 )と (距離 )なので、軸から遠い で最大です。
(2) 頂点の は定義域に入りません。定義域 はすべて軸の右側で、グラフは右上がりの部分だけです。
(3) (1) との違いは、左端 を含まないことだけです。最小値は (1) と同じく で です。ところが、(1) で最大だった の点 はグラフでは ○ になり、 は にいくらでも近づくのに にはなりません。
第1章の定理3で見た「 の に最小値はない」と同じ現象です。
これで、第1章の実践問題 j20 から持ち越していた問いに答えられます。三角形 の面積は、第2章で平方完成したとおり
でした。上に凸で、頂点の は範囲 に入っています。よって のとき、つまり点 が にあるとき、面積は最大値 をとります。ちなみに両端の , では ですが、どちらも範囲に含まれていません( が や に重なって三角形がつぶれてしまうからです)。だから最小値はありません。
ここまでは「式が分かっていて、最大・最小を求める」問題でした。今度は逆に、最大値や最小値が分かっていて、式の中の定数を求めます。
定数を含む二次関数でも、手順はこれまでと同じである。
定数が定数項だけにある場合、グラフは上下に動くだけなので、最大・最小をとる は定数の値によらない。
たとえば は です。 を変えても軸は のままで、グラフは上下に平行移動するだけです。だから、どこで最大・最小になるかは を知らなくても決められます。
高さを変えられる昇降デスクを思い浮かべてください。つまみを回すと天板が上下しますが、天板の形や傾きは変わりません。「天板のいちばん低い角を床から にしたい」なら、どの角がいちばん低いかは高さを変える前から分かっています。その角の高さが になるように、つまみを合わせればよいのです。定数項 はこのつまみにあたります。
最大値・最小値から定数を決めるには、まず最大・最小をとる を決め、そこでの値を条件と等しいとおいて方程式を解けばよいということです。
関数 の最小値が となるように定数 の値を定めなさい。また、そのときの最大値を求めなさい。
【解答】
平方完成します。
上に凸で、軸は です。軸は定義域 に入っているので、頂点 で最大になります。最小は両端のうち軸から遠いほうで、(距離 )と (距離 )では が遠いので、 で最小です。
これが なので、 より です。
このとき なので、 です。
確かめとして、もう一方の端 の値は で、確かに より大きくなっています。上に凸のグラフでは、軸から遠い端ほど低くなります。
関数の式に文字が入り、軸の位置がその文字によって変わると、「頂点が定義域に入るか」も文字の値しだいになります。第1章の実践問題 j18 では、V 字のグラフで「折れ目と定義域の位置関係」によって場合分けしました。放物線では、折れ目のかわりに軸を見ます。
とする。 の、定義域 における最大・最小は、軸 の位置で次のように分かれる。
最小値(軸が定義域の左・中・右の 3 通り)
| 軸の位置 | |||
|---|---|---|---|
| 最小値 |
最大値(軸が定義域の中央 より左か右かの 2 通り)
| 軸の位置 | |||
|---|---|---|---|
| 最大値 |
なら、最大と最小の役割を入れかえる。定義域のほうが文字で動く場合も、同じように「軸と定義域の位置関係」で分ける。
最小値は「定義域の中で軸にいちばん近い点」でとります。軸が定義域の中にあれば軸そのもの、外にあれば軸に近いほうの端です。最大値は「軸からいちばん遠い点」で、これはいつも両端のどちらかなので、定義域の中央を境に 2 通りに分かれます。場合分けの境目( や )はどちらの場合に入れても答えは同じになりますが、この分野では「軸が定義域に入る(端を含む)」ほうにまとめて書きます。
キャンプのたき火を囲むベンチを想像してください。座ってよいのは、長いベンチのうち決められた区間だけです。たき火から離れるほど寒く感じるとします。いちばん暖かい席は、たき火にいちばん近い席です。たき火が区間の正面にあればその真正面、区間より左にあれば区間の左端、右にあれば右端。たき火の位置で答えが 3 通りに変わります。いちばん寒い席は、たき火からいちばん遠い席なので、いつも区間の両端のどちらかです。たき火が区間の真ん中より左にあれば右端、右にあれば左端になります。放物線の の値は、このたき火からの距離と同じ役割をしています。
軸が動くときは、最小値は「軸にいちばん近い点」なので軸が定義域の左・中・右の 3 通り、最大値は「軸からいちばん遠い端」なので軸が定義域の中央より左か右かの 2 通りに場合分けするということです。
を定数とします。関数 について、次の値を の値によって場合分けして求めなさい。
(1) 最小値 (2) 最大値
【解答】
なので、グラフは軸 の下に凸の放物線です。両端の値は , です。
(1) 軸 と定義域 の位置関係で 3 通りに分けます(上の図 fig02)。
境目で確かめます。 では , では と で、となりの場合の値とつながっています。
(2) 最大値は両端のうち軸から遠いほうです。定義域の中央 と軸 を比べます(上の図 fig03)。
のとき となり、確かに右端のほうが高くなっています。最小値と最大値で、場合分けの境目が違う( と ,)ことに注意しましょう。
変数が 2 つあっても、それらの間に条件の式があれば、一方をもう一方で表して 1 つの文字の関数にできます。文章題も、何かを文字でおけば同じ形になります。
2 つの変数 , に条件の式(例:)があるとき、または文章題で量を文字でおいたとき
いちばん大事なのは手順 2 です。たとえば , なら、 から という条件が に移ってきます。これを忘れると、実際にはとれない の値で最大・最小を答えてしまいます。文章題なら、長さは正、個数は 以上の整数、というように、問題の場面から変域が決まります。
60 分の自由時間を、ゲームと読書に分けることを考えてみてください。ゲームを 20 分と決めたら、読書は自動的に 40 分です。2 つの量があっても、自由に決められるのは 1 つだけ。しかも、ゲームの時間をどれだけ減らしても 分より少なくはできず、読書に回せるのは最大 60 分です。「片方を決めればもう片方が決まる」ことと、「どちらもマイナスにはできないので、決められる範囲に限りがある」こと。この 2 つが、1 文字消去と変域の関係です。
条件つきの最大・最小や文章題は、1 つの文字で表して二次関数に直し、その文字の変域を定義域として最大・最小を求めるということです。
(1) 長さ の針金を 2 つに切り、それぞれを折り曲げて正方形を 2 つ作ります。2 つの正方形の面積の和が最小になるのは、どのように切ったときかを求めなさい。また、その最小値を求めなさい。
(2) 実数 , が ,, を満たすとき、 の最大値と最小値を求めなさい。
【解答】
(1) 一方の針金の長さを とすると、もう一方は です。2 つに切るので です。正方形の 1 辺はそれぞれ , なので、面積の和 は
頂点の は に入るので、 で最小です。
ずつに切ったとき、最小値 です。
(2) から です。 より ,つまり 。 と合わせて、 の変域は です。
上に凸で、軸 は変域に入ります。両端は で , で です。 のとき , のとき , のとき なので
答えには、そのときの の値も書きます。(2) で の変域を忘れて「最小値はない」としてしまうのが、よくある間違いです。
この章では「式が分かっていて、最大・最小を求める」ことが中心でした。例題3では少しだけ逆向きに、最小値から定数 を決めました。第4章では、この逆向きの問題を本格的に扱います。「頂点が で点 を通る」「3 点を通る」「最大値が で軸が 」のような条件から、二次関数の式そのものを決める方法を学びます。頂点・軸・最大値・最小値という、第2章と第3章で身につけた言葉が、そのまま条件として出てきます。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
最大値・最小値がないときは「ない」と答えることにします。関数 の最大値と最小値を求めなさい。
(下に凸、頂点 )
問2
最大値・最小値がないときは「ない」と答えることにします。関数 の最大値と最小値を求めなさい。
()
問3
関数 の最大値と最小値を求めなさい。
()
問4
関数 の最大値と最小値を求めなさい。
(軸 は定義域の右の外)
問5
関数 の最小値が となるように、定数 の値を定めなさい。
( より )
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
(1) (2) (3)
最大値・最小値がないときは「ない」と答えることにして、上の (1)〜(3) の関数の最大値と最小値を、それぞれ求めなさい。
(1) のとき最小値 ,最大値はない (2) のとき最大値 ,最小値はない (3) のとき最大値 ,最小値はない
平方完成して頂点を求め、凸の向きで最大か最小かを決めます。
(1)
下に凸なので
(2)
上に凸なので
(3) でくくると、 なので、かっこの中は です。
上に凸なので
定義域がないときは、頂点の 座標がそのまま最大値か最小値です。もう一方は「ない」になります。
問2 ★
関数 の最大値と最小値を求めなさい。
のとき最大値 , のとき最小値
なので、軸は ,頂点は です。軸は定義域 に入るので、頂点で最小になります。
最大は両端のうち軸から遠いほうです。 は軸から距離 , は距離 なので、 で最大です。
両端の値を両方計算して比べると、距離で判断した結果と合っていることが確かめられます。
問3 ★
関数 の最大値と最小値を求めなさい。
のとき最大値 , のとき最小値
なので、軸は です。軸は定義域 の左にあり、定義域ではグラフは右上がりの部分だけです。したがって、左端で最小、右端で最大になります。
頂点の 座標 を最小値と答えるのは誤りです。 は定義域に入っていないので、 になることはありません。
問4 ★
関数 の最大値と最小値を求めなさい。
のとき最大値 , のとき最小値
上に凸で、軸 は定義域に入るので、頂点で最大値 をとります。
上に凸のグラフでは、軸から遠いほど低くなります。 は軸から距離 , は距離 なので、 で最小です。
問5 ★
(1)
(2)
最大値・最小値がないときは「ない」と答えることにして、上の (1),(2) の関数の最大値と最小値を、それぞれ求めなさい。
(1) のとき最小値 ,最大値はない (2) のとき最大値 ,最小値はない
(1) です。軸 は定義域に入るので、 で最小値 をとります。
最大になるはずの端は、軸から遠い (距離 )です。ところが は定義域に含まれません。 を に近づけると は にいくらでも近づきますが、 にはなりません。もう一方の端 では です。
(2) です。上に凸で、軸 は定義域に入るので、 で最大値 をとります。
最小になるはずの端は、軸から遠い (距離 )ですが、 は含まれません。 に近づくと は に近づきますが、 にはなりません。 では です。
グラフで端を ○ でかくと、「近づくけれど届かない」ことが目で見て分かります。
問6 ★
関数 の値域を求めなさい。
値域は、最小値から最大値までの範囲です。
上に凸で、軸 は定義域に入るので、最大値は頂点の です。
最小は軸から遠い端です。(距離 )と (距離 )なので で、 です。念のため では です。
グラフは から まで から へ切れ目なく上がり、そのあと で まで下がります。 から までのすべての値をとるので、値域は最小値と最大値ではさんだ範囲になります。
問7 ★
関数 の最大値が となるように定数 の値を定めなさい。また、そのときの最小値を求めなさい。
,最小値 ( のとき)
なので、軸は で、 の値によりません。軸は定義域 に入ります。
下に凸なので、最大は軸から遠い端です。 は距離 , は距離 なので、 で最大です。
これが なので です。
このとき なので、 です。
は定数項なので、グラフを上下に動かすだけです。「どこで最大になるか」は、 を求める前に決められます。
問8 ★
長さ の柵を使い、まっすぐな長い壁を 1 辺として利用して、長方形の囲いを作ります(壁の部分には柵を使いません)。囲いの面積の最大値と、そのときの壁に垂直な辺の長さを求めなさい。
壁に垂直な辺が (壁に平行な辺 )のとき、最大値
壁に垂直な辺の長さを とします。この辺は 2 本あるので、壁に平行な辺は です。長さは正なので , より です。
面積を とすると
上に凸で、軸 は に入るので、 で最大値 をとります。このとき壁に平行な辺は です。
壁に垂直な辺が のとき、最大値 です。
囲いは正方形( 四方で )ではなく、壁に沿って横長の のときに最大になります。壁が 1 辺の代わりをしてくれるぶん、壁の方向へ長くするほうが得なのです。
問9 ★★
実数 , が ,, を満たすとき、 の最大値と最小値を求めなさい。また、そのときの , の値を求めなさい。
のとき最大値 , のとき最小値
です。 より なので、 の変域は です。
軸 は変域の中にあるので、 で最小値 をとります。このとき です。
変域の両端 , は、軸 からの距離がどちらも で等しいので、両方で最大になります。値は です。
条件 , がなければ、 はすべての実数をとれるので、最大値はありません。変域が答えを左右する例です。
問10 ★★
関数 の最小値と、そのときの の値を求めなさい。
のとき最小値
とおきます。まず のとりうる値の範囲を調べます。
なので は で最小値 をとり、最大値はありません。よって の変域は です。
を で表して平方完成します。
軸 は変域 の左にあるので、変域ではグラフは右上がりです。左端 で最小になります。
となるのは ,つまり のときです。
の変域を調べずに頂点の値 を答えると誤りです。 にするには が必要で、そんな実数 はありません。置きかえたら、新しい文字の変域を必ず確かめます。
問11 ★★
, がすべての実数値をとるとき、 の最小値と、そのときの , の値を求めなさい。
のとき最小値
まず について平方完成します。 は、 の係数 の半分 を使って
なので
残りを について平方完成すると
, なので、全体は 以上です。等号は かつ ,つまり のときに成り立ちます。
確かめ: です。第2章 j16 と同じく、2 つの 2 乗の和に直すのが鍵です。 を固定して だけの二次関数と見れば「 のとき最小」、次にその最小値を の二次関数と見れば「 のとき最小」と、2 段階で考えていることになります。
問12 ★★
ある店では、1 個 円の商品が 1 日に 個売れます。値段を 円上げるごとに、1 日に売れる個数が 個ずつ減るとします(値上げは 円単位)。1 日の売上金額が最大となる値段と、そのときの売上金額を求めなさい。
1 個 円のとき、最大 円
円の値上げを 回行うとします。値段は 円、売れる個数は 個です。個数は 以上なので、 は の整数です。
売上金額を 円とすると
上に凸で、軸 は変域に入る整数なので、 で最大値 をとります。値段は 円です。
1 個 円のとき、売上金額は最大で 円です。
確かめ:。 円なら , 円なら で、どちらも少し下がります。軸の左右で同じ値になるのは、放物線の対称性のとおりです。
問13 ★★
とします。関数 の最大値が ,最小値が となるように、定数 , の値を定めなさい。
を でくくって平方完成します。
なので下に凸、軸は で、定義域 に入ります。
条件より
辺々引くと なので , です。 で条件に合います。
確かめ: で、 のとき , のとき です。 という条件があるので、凸の向きの場合分けをせずにすみました。
問14 ★★
1 辺の長さが の正方形 の辺 ,,, 上に、それぞれ点 ,,, を、 となるようにとります。このとき四角形 は正方形になります。その面積が最小となる の値と、面積の最小値を求めなさい。
のとき最小値
, で、角 は直角です。三平方の定理より
正方形 の面積は 1 辺の 2 乗なので
下に凸で、軸 は に入るので、 で最小値 をとります。
のとき、,,, は各辺の中点で、面積はもとの正方形 のちょうど半分です。 を や に近づけると はもとの正方形に近づき、面積は に近づきますが、端を含まないので最大値はありません。
問15 ★★
放物線 と 軸で囲まれた部分に、長方形 を、辺 が 軸上にあり、頂点 , が放物線上にあるようにとります。点 , の 座標を ,点 , の 座標を とするとき、長方形の周の長さの最大値と、そのときの の値を求めなさい。
のとき最大値
, なので、長方形の横の長さは ,縦の長さは です( で正)。
周の長さを とすると
上に凸で、軸 は に入るので、 で最大値 をとります。
このとき長方形は横 ,縦 です。周の長さは「横の 2 倍+縦の 2 倍」なので、式を立てるときに 倍を忘れないようにしましょう。
問16 ★★
実数 , が を満たすとき、 の最大値と最小値を求めなさい。また、そのときの , の値を求めなさい。
のとき最大値 , のとき最小値
を使って を消します。ここで、 は実数なので ,つまり から です。2 乗して 以下になる は なので、これが の変域です。
上に凸で、軸 は変域に入るので、 で最大値 をとります。このとき より です。
最小は軸 から遠い端です。 は距離 , は距離 なので、 で最小です。
このとき より です。
条件の式に「」のような範囲が書いていなくても、「」から の変域が生まれます。これを見落とすと「最小値はない」と答えてしまいます。
問17 ★★★
を定数とし、関数 の最小値を とします。
(1) を の値によって場合分けして求めなさい。
(2) の最大値と、そのときの の値を求めなさい。
(1) のとき , のとき , のとき (2) のとき最大値
なので、軸は です。両端の値は , です。
(1) 軸と定義域 の位置関係で 3 通りに分けます。
境目では、 で と , で と となり、つながっています。
(2) を の関数と見て、場合ごとに調べます。
全体で比べると、いちばん大きいのは です。
「最小値の最大値」という言い方にとまどうかもしれません。(1) で求めた最小値は によって変わるので、それ自体が の関数 です。その関数の最大値を、この章の方法でもう一度求めているだけです。
問18 ★★★
を定数とし、関数 の最大値を とします。
(1) を の値によって場合分けして求めなさい。
(2) となる の値を求めなさい。
(1) のとき (), のとき (), のとき () (2)
で、下に凸、軸は です。両端の値は , です。
(1) 最大は両端のうち軸から遠いほうです。定義域の中央 と軸 を比べます。
なら で、確かに右端のほうが大きくなっています。
(2) のとき なので、 にはなりません。 のとき
これは を満たします。
確かめ: なら で、 のとき , のとき 。最大値は です。最大値の場合分けは「中央」が境目になる、という点が最小値との違いです。
問19 ★★★
を定数とし、関数 を考えます。
(1) 最小値 を、 の値によって場合分けして求めなさい。
(2) 最大値 を、 の値によって場合分けして求めなさい。
(1) のとき , のとき , のとき (2) のとき , のとき , のとき
で、軸 は動きません。今度は定義域(幅 の区間)のほうが動きます。第1章 j18 で V 字のグラフに対して行ったのと同じ場合分けです。両端の値は
(1) 軸 が定義域の右の外・中・左の外のどこにあるかで分けます。
境目で確かめると、 で , で となり、つながっています。
(2) 最大は両端のうち軸 から遠いほうです。定義域の中央 と軸を比べます。
では , で、どちらの式とも一致します。軸が動くか定義域が動くかの違いはあっても、見るべきものは「軸と定義域の位置関係」ただ 1 つです。
問20 ★★★
関数 の最小値が となるように、定数 の値を定めなさい。
で、軸は です。最小値を場合分けして求め、それぞれで「」を解きます。解が、その場合の の範囲に入っているかを必ず確かめます。
(i) のとき:最小値は 。
は を満たすので適します。
(ii) のとき:最小値は 。
なので で、これは適しません。 は、 から なので、 を満たし適します。
(iii) のとき:最小値は 。
なので を満たさず、適しません。
以上より
確かめ: なら で、 では で最小値 。 なら なので、最小値は です。(iii) の のように、方程式は解けても「その場合の範囲」に入らない解は捨てます。これを忘れると、答えが 1 つ多くなってしまいます。
1801 年の元日、イタリアのパレルモ天文台で、ピアッツィという天文学者が小さな天体を見つけました。のちに「ケレス」と名づけられる天体です。ピアッツィは 1 か月あまり観測を続けましたが、ケレスはやがて太陽の方向に近づき、明るい空に隠れて見えなくなってしまいます。手元に残ったのは、夜空のわずかな範囲を動いた短い記録だけ。この少ないデータから軌道を割り出し、「次にどこに現れるか」を当てるのは、当時の天文学者にとって大変な難問でした。
これに挑んだのが、24 歳のドイツの数学者ガウスです。ガウスは独自の方法で軌道を計算し、予想の位置を発表しました。その年の暮れから翌年の初めにかけて、ほかの天文学者たちが予想の場所に望遠鏡を向けると、ケレスは本当にそこにいました(※再発見の日付や、計算にどの方法をどこまで使ったかには諸説あり)。
ガウスの武器の 1 つが、のちに最小二乗法と呼ばれる考え方です。観測には必ず誤差があります。同じものを何回か測って少しずつ違う値が出たら、「本当の値」をどう決めればよいでしょうか。最小二乗法の答えは、「それぞれの測定値とのずれを 2 乗して足した和が、いちばん小さくなる値を選ぶ」というものです。
これはまさに二次関数の最小値の問題です。ある長さを 3 回測って ,, が出たとします。本当の値を とすると、ずれの 2 乗の和は
のとき最小です。そして は、3 つの測定値の平均 にほかなりません。測定値が ,,…, の 個でも、 となるので、軸は ,つまり平均値です。ふだん何気なく使っている平均値には、「ずれの 2 乗の和をいちばん小さくする値」という顔もあったのです。
豆知識
最小二乗法を最初に本として発表したのは、フランスのルジャンドルで、1805 年のことでした。ガウスは 1809 年の著書で「自分は 1795 年ごろからこの方法を使っていた」と書き、どちらが先かをめぐって気まずい関係になったといわれます(※ガウスの主張を裏づける資料については諸説あり)。2 乗の和を小さくするという考え方は、今も身近なところで生きています。データの傾向を表す直線を引くときや、AI(機械学習)が「予想と正解のずれ」を小さくするように学ぶときにも、ずれの 2 乗の和がよく使われています。
真上に打ち上げたものの高さは、空気の抵抗を無視すると時間 の二次関数になります。秒速 メートルで打ち上げると、 秒後の高さは
です( は重力による加速の半分の値)。平方完成すると、打ち上げから 秒後に最高点 メートルに達することが読みとれます。 は の関数なので、グラフの頂点が「いちばん高くなる瞬間」です。
打ち上げ花火は、この頂点のあたりで開くように作られています。花火玉には、打ち上げと同時に火がつく導火線が入っていて、それが燃えつきたときに玉が割れます。導火線の長さは、玉が最高点に届くころに燃えつきるように調整されています。頂点では玉の上向きの速さがほぼ になるので、そこで割れると、火の粉は玉の中心から四方へ均等に飛び、きれいな球の形に広がります。まだ勢いよく上っている途中で割れると、全体が上へ流されて形がくずれてしまいます(※花火の種類によっては、わざと頂点以外で開かせるものもある)。
大きな花火玉として知られる「10 号玉」(尺玉)は、およそ メートルの高さまで上がり、直径 メートルほどの大きさに開くといわれます(※大きさの目安は資料によって違いがある)。空気の抵抗を無視して計算すると、高さ メートルに届くには、 から秒速約 メートルが必要です。実際には空気の抵抗があるので、もっと速く打ち出されています。
豆知識
平方完成した式を見ると、頂点のまわりでは高さがほとんど変わらないことも分かります。頂点の時刻から 秒ずれても、高さは メートル低いだけです。 の は、ずれが小さいと、ずれそのものよりずっと小さくなるからです。導火線の燃える時間が少しばらついても、花火が開く高さはほとんど変わりません。頂点の近くが「平ら」なことが、花火をそろった高さで開かせる助けになっているのです。
最大値・最小値は、ふつう「 を動かして がどう変わるか」を見て求めます。ところが、まったく逆向きの探し方もあります。「 がある値 になれるかどうか」を調べて、なれる の範囲から最大・最小を読みとる方法です。
で試してみます。 となる があるかどうかは、方程式 が実数の解をもつかどうかで決まります。第1章 公式5 の言葉でいえば、グラフと直線 が共有点をもつかどうかです。変形すると
左辺は 以上なので、解があるのは ,つまり のときだけです。 がとれる値は 以上ぜんぶ、よって最小値は 。頂点を探しにいかなくても、「答えになれる値」の側から最小値が見つかりました。直線 を下から少しずつ持ち上げていき、初めてグラフに触れた高さが最小値だ、というイメージです。
この方法の本当の強みは、二次関数でない関数にも使えることです。たとえば
の最大値と最小値は、この章の方法ではすぐには求められません。そこで「 となる があるか」を考えます。分母を払うと 。 なら が解です。 なら の二次方程式で、実数解をもつ条件は判別式(数と式 第11章)で ,つまり です。よって のとれる値は で、最大値 ( のとき)、最小値 ( のとき)と分かります。
豆知識
「答えの側から探す」発想は、関数の値域を求める基本の考え方でもあります。第1章で「値域= がとる値の範囲」と定義しましたが、それは「 が解をもつような の集まり」と言いかえることができます。ある値を「とるか、とらないか」を 1 つずつ確かめるわけです。判別式は第6章(グラフと 軸の位置関係)で、二次関数の立場からもう一度くわしく学びます。この小話の計算は、そのときに改めて読み返すと、もっとすっきり見えるはずです。
※ここは発展ページです。高校の範囲では、公式1〜5の手順が使えれば十分です。「軸から遠い端で最大」「軸にいちばん近い点で最小」はなぜ言い切れるのか、閉じた区間なら最大値・最小値は必ずあるのか、1 文字消去で変域を求めるのはなぜ正しいのか——が気になる人のために、根拠を示します。最大値・最小値の意味(実際にとる値であること)は、第1章の定義3のとおりとします。
関数 と、その定義域に含まれる範囲 を考える。 に属する任意の , について
が成り立つとき、 は で増加するという。 が成り立つとき、 は で減少するという。
本文でいう「右上がり」「右下がり」を、言葉で正確に言い直したものです。
とし、 とする。 は の範囲で減少し、 の範囲で増加する。
証明 任意の に対して
である。, なので、符号は で決まる。
のとき、 なので 。よって減少する。
のとき、 なので 。よって増加する。(証明終)
公式2の「頂点が定義域に入らないなら、グラフは増えるだけか減るだけ」は、この定理から出てきます。定義域がすべて軸の右側()なら増加するので、左端で最小・右端で最大です。
とし、 とする。任意の実数 , について
が成り立つ。とくに なら である。
証明 , とおくと , で、
のときは かつ なので、両辺ともに成り立たず、同値である。それ以外のとき , なので、 と は同じ符号をもつ。よって 。 なら も同じ式から分かる。(証明終)
下に凸の放物線では、 の値の大小が「軸からの距離」の大小とそっくり同じになる、ということです。本文のたき火のたとえは、この定理をそのまま絵にしたものでした。上に凸()なら、不等号の向きが逆になります。
,, とする。定義域 において、 は必ず最大値と最小値をもつ。
(i) 最小値をとる はただ 1 つで、それは区間の中で にいちばん近い点
である。
(ii) 最大値は端点でとり、 なら , なら , なら両端でとる。
証明 (i) 区間の任意の について を示せば、定理2より となる。 なら , なら で成り立つ。 なら なので明らか。さらに、 ならこの不等号は になる( の場合は から、ほかも同様)ので、定理2より で、最小値をとる点は だけである。
(ii) 区間の任意の について、 なので、 は と の大きいほう以下である。よって定理2より、最大値は両端のうち から遠いほうでとる。どちらが遠いかは
の符号で決まり、 なので、 なら が遠く、 なら が遠く、等しければ同じ距離である。(証明終)
これで公式2と公式4の場合分けが、すべて証明されました。証明の中で、端の点 , が区間に含まれていることを使っている点に注意しましょう。端を含まない では、軸から遠い端 が区間にないため、最大値がなくなることがあります(例題2 (3))。第1章の teigi で予告した「両端を含む範囲でつながったグラフなら最大・最小が存在する」という定理(最大値・最小値の定理)の、二次関数の場合がこの定理3です。一般の関数での証明には、実数の性質をもっと深く使う必要があり、大学で学びます。
を、条件を満たす実数の組 全体の集合とする。 のとき式 の値が だけで と表されるとする。このとき、 となる実数 があるような の全体を とすると
が成り立つ。したがって、 の最大値・最小値は、 の における最大値・最小値に等しい。
証明 左辺の値 は に等しく、このとき なので右辺に属する。逆に なら、 となる があり、 は左辺に属する。(証明終)
が、公式5でいう「残した文字の変域」の正確な意味です。実践問題 j16 では、 は を満たす組の全体、 でした。 となるのは、 を満たす実数 があるとき、つまり のときなので、 は です。 を「すべての実数」と取り違えると、右辺の集合が大きくなりすぎて、ありもしない値まで数えてしまいます。実践問題 j10 の置きかえ で「」を求めたのも、同じ考え方です。
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