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第4章 円周角と円に内接する四角形

—— 弧を「どこから見ても同じ角度」——円が角を一定に保つしくみ ——

円周上の 2 点 $A$,$B$ を、円周上の別の点から見込む角は、どこから見ても同じ大きさになります。これが円周角の定理で、円の図形の話はほとんどここから始まります。この章では、円周角と中心角の関係、直径に対する円周角が $90^\circ$ になること、弧の比と角の比、そして「4 点が 1 つの円の上に並ぶ条件」(円周角の定理の逆・円に内接する四角形)までを学びます。第2章で保留した外心の角 $\angle BOC = 2\angle A$ も、ここで説明がつきます。

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この章で使う言葉と記号

円の上の話を始める前に、言葉を 3 つそろえておきます。

「弧 ABAB に対する円周角」と言うときは、どちらの弧の話かをはっきりさせる必要があります。点 PP が優弧の上にあれば、PP から見ている弧は劣弧のほうです。以下、ことわりがなければ「弧 ABAB」は PP を含まないほうの弧を指します。

この章の主役は、次のひと言です。弧の大きさが決まれば、円周角の大きさも決まる。

円周角の定理——どこから見ても同じ角度

円 OO の弧 ABAB をとり、その弧の上にない円周上の点 PP から AA,BB を見込みます。PP をどこに動かしても ∠APB\angle APB は変わらず、しかもその大きさは中心角 ∠AOB\angle AOB のちょうど半分です。

2θ θ A B P O 弧 AB(赤)に対する中心角 ∠AOB = 2θ は、円周角 ∠APB = θ の 2 倍

理由は、OAOA=OB{}= OB=OP{}= OP(どれも半径)から二等辺三角形が現れることにあります。PP と OO を結んで円まで延ばした点を QQ とし、直径 PQPQ で角を 2 つに分けます。

△OPA\triangle OPA は OPOP=OA{}= OA の二等辺三角形なので ∠OPA\angle OPA=∠OAP{}= \angle OAP。三角形の外角は、それととなり合わない 2 つの内角の和なので

∠AOQ\displaystyle \angle AOQ=∠OPA\displaystyle {}= \angle OPA+∠OAP\displaystyle {}+ \angle OAP=2∠APQ\displaystyle {}= 2\angle APQ

同じことを BB 側でもやると ∠BOQ\angle BOQ=2∠BPQ{}= 2\angle BPQ。この 2 つを足せば ∠AOB\angle AOB=2∠APB{}= 2\angle APB が出ます。

A B P O Q (i) 中心が内側 A B P O (ii) 中心が辺上 A B P O Q (iii) 中心が外側 証明は直径 PQ で 2 つに分ける((iii) だけは差で考える)

中心 OO が ∠APB\angle APB の外側にあるときは、足すかわりに引きます(図の (iii))。OO が辺 PBPB の上に乗ってしまうときは、分ける必要すらなく 1 回で終わりです(図の (ii))。どの置き方でも結論は同じでした。

公式1:円周角の定理

1 つの円で、弧 ABAB に対する円周角は、その弧に対する中心角の半分である。

∠APB\displaystyle \angle APB=12∠AOB\displaystyle {}= \frac{1}{2}\angle AOB
  • したがって、同じ弧に対する円周角はすべて等しい(中心角は 1 つしかないため)。
  • 中心角は 180∘180^\circ を超えることがあります(PP が劣弧の上にあるとき)。そのときも「半分」は変わりません。
  • △ABC\triangle ABC の外心を OO とすると、弧 BCBC に対する円周角が ∠A\angle A、中心角が ∠BOC\angle BOC なので ∠BOC\angle BOC=2∠A{}= 2\angle A。第2章で「円周角の定理が要る」として保留した式が、これです。
P1 P2 P3 A B 同じ弧 → 同じ円周角 ∠A 2∠A A B C O 外心:∠BOC = 2∠A 右は第2章で保留した外心の式。円周角の定理から出る

円形に客席が並んだ劇場を思い浮かべてください。舞台の左端と右端を見込む角度は、席が舞台に近いほど広く、遠いほど狭くなりそうなものです。ところが、客席が同じ円弧の上に並んでいるかぎり、どの席から見ても舞台はまったく同じ広さの角度に収まります。前の席に移っても損をしないし、端の席に回っても損をしない。円という形が、角度を一定に保っているのです。

円周角は「見る位置」ではなく「見ている弧」で決まり、その大きさは中心角の半分だということです。

例題1:円周角から中心角と底角を求める

円 OO の周上に 3 点 AA,BB,CC があり、∠BAC\angle BAC=42∘{}= 42^\circ です。∠BOC\angle BOC(AA を含まない弧 BCBC に対する中心角)と ∠OBC\angle OBC を求めなさい。

42° ? ? A B C O 例題1:∠BAC = 42° から ∠BOC と ∠OBC を求める(OB = OC)

【解答】

∠BAC\angle BAC は弧 BCBC に対する円周角なので、公式1 より

∠BOC\displaystyle \angle BOC=2∠BAC\displaystyle {}= 2\angle BAC=2×42∘\displaystyle {}= 2 \times 42^\circ=84∘‾\displaystyle {}= \underline{84^\circ}

OBOB=OC{}= OC(どちらも半径)なので △OBC\triangle OBC は二等辺三角形です。底角は等しいので

∠OBC\displaystyle \angle OBC=180∘−84∘2\displaystyle {}= \frac{180^\circ - 84^\circ}{2}=48∘‾\displaystyle {}= \underline{48^\circ}

第2章 公式1 で覚えた ∠OBC\angle OBC=90∘−∠A{}= 90^\circ - \angle A と合っています(90∘−42∘90^\circ - 42^\circ=48∘{}= 48^\circ)。第2章では合同を使って示した式が、円周角の定理からはこの 2 行で出ます。

直径に対する円周角——いつでも直角

弧 ABAB が半円、つまり ABAB が直径のときを考えます。中心角は 180∘180^\circ なので、円周角はその半分でいつも 90∘90^\circ です。

A B P Q R M 直径 AB に立つ円周角はどれも 90°(M から 3 点まで等距離)

逆も成り立ちます。∠APB\angle APB=90∘{}= 90^\circ なら、PP は ABAB を直径とする円の上にあります。これは公式1 からすぐには出ないので、厳密定義ページで示しますが、使い方のほうが大事です。直角を見つけたら円を思い出す——この章でいちばん出番の多い道具です。

公式2:半円の弧に対する円周角

ABAB が円の直径のとき、円周上の点 PP(AA,BB と異なる)について

∠APB\displaystyle \angle APB=90∘\displaystyle {}= 90^\circ

逆に ∠APB\angle APB=90∘{}= 90^\circ ならば、PP は線分 ABAB を直径とする円の上にある。

  • したがって、∠A\angle A=90∘{}= 90^\circ の直角三角形 ABCABC(斜辺 BCBC)の外心は斜辺の中点 MM であり、MAMA=MB{}= MB=MC{}= MC が成り立ちます。
  • 第1章の j18 と小話1 で中学の知識として使った「斜辺の中点は 3 頂点から等距離」は、この逆の形です。

大工さんが大きな円弧を描くとき、コンパスのかわりに直角定規を使う手があります。板に釘を 2 本打ち、直角定規の内側の角を両方の釘に当てたまま滑らせる。すると角の頂点は、2 本の釘を結ぶ線分を直径とする円の弧をなぞります。「直角を保って動く点は円を描く」——公式2 の逆が、そのまま道具になっています。

直径を見たら 90∘90^\circ、90∘90^\circ を見たら直径。この行き来が自由にできれば十分だということです。

例題2:直径を使って角を求める

円 OO の直径を ABAB、円周上の点を CC とします。∠ABC\angle ABC=35∘{}= 35^\circ のとき、∠ACB\angle ACB,∠BAC\angle BAC,∠AOC\angle AOC を求めなさい。


【解答】

ABAB は直径なので、公式2 より

∠ACB\displaystyle \angle ACB=90∘‾\displaystyle {}= \underline{90^\circ}

△ABC\triangle ABC の内角の和から

∠BAC\displaystyle \angle BAC=180∘−90∘−35∘\displaystyle {}= 180^\circ - 90^\circ - 35^\circ=55∘‾\displaystyle {}= \underline{55^\circ}

∠AOC\angle AOC は弧 ACAC(BB を含まない側)に対する中心角で、同じ弧に対する円周角が ∠ABC\angle ABC なので

∠AOC\displaystyle \angle AOC=2∠ABC\displaystyle {}= 2\angle ABC=70∘‾\displaystyle {}= \underline{70^\circ}

確かめ:∠BOC\angle BOC=2∠BAC{}= 2\angle BAC=110∘{}= 110^\circ で、∠AOC\angle AOC+∠BOC{}+ \angle BOC=70∘+110∘{}= 70^\circ + 110^\circ=180∘{}= 180^\circ。AA,OO,BB が一直線(直径)であることと合っています。

弧と円周角——長さの比がそのまま角の比

同じ円の中では、弧が 2 倍になれば中心角も 2 倍、したがって円周角も 2 倍です。円周角は弧の長さにきれいに比例します。

30° 60° A B C X 弧 BC(緑)は弧 AB(赤)の 2 倍 → 円周角も 2 倍
公式3:弧と円周角・弦

1 つの円(または半径の等しい円)について

  1. 等しい弧に対する円周角は等しい。逆に、等しい円周角に対する弧は等しい。
  2. 円周角の大きさは、それが立っている弧の長さに比例する。
  3. 等しい弧に対する弦は等しい。逆に、等しい弦に対する弧(短いほう)は等しい。

比例するのは弧と角であって、弦は弧に比例しません(弧が 2 倍でも弦は 2 倍になりません)。

回転寿司のレーンを思い浮かべてください。皿がレーンの上を 2 倍の距離だけ流れると、中心から見た向きも 2 倍だけ回ります。席から見ても同じで、皿が「レーン 1 区間ぶん」進んだときの目の動きと、「2 区間ぶん」進んだときの目の動きは、ちょうど 1 対 2 です。ところが、皿の最初の位置と今の位置をまっすぐ結んだ距離は 2 倍にはなりません。これが (3) の但し書き、弧と弦の違いです。

弧・中心角・円周角の 3 つは比例して動くので、どれか 1 つの比が分かれば残りも分かるということです。

例題3:弧の比から角を求める

円周上に 4 点 AA,BB,CC,DD がこの順にあり、AB⌢:BC⌢:CD⌢:DA⌢\stackrel{\frown}{AB} : \stackrel{\frown}{BC} : \stackrel{\frown}{CD} : \stackrel{\frown}{DA}=2:3:4:3{}= 2 : 3 : 4 : 3 です。弦 ACAC と BDBD の交点を PP とするとき、∠ADB\angle ADB と ∠APB\angle APB を求めなさい。

? ? A B C D P 2 3 4 3 例題3:弧 AB : BC : CD : DA = 2 : 3 : 4 : 3

【解答】

4 つの弧を合わせると円周 1 周ぶん、中心角でいえば 360∘360^\circ です。比の合計は 22+3{}+ 3+4{}+ 4+3{}+ 3=12{}= 12 なので、比 1 あたりの中心角は

360∘12\displaystyle \frac{360^\circ}{12}=30∘\displaystyle {}= 30^\circ

よって弧 ABAB,BCBC,CDCD,DADA の中心角は順に 60∘60^\circ,90∘90^\circ,120∘120^\circ,90∘90^\circ です。

∠ADB\angle ADB は弧 ABAB に対する円周角なので

∠ADB\displaystyle \angle ADB=12×60∘\displaystyle {}= \frac{1}{2} \times 60^\circ=30∘‾\displaystyle {}= \underline{30^\circ}

∠APB\angle APB は三角形の角ではないので、いったん △APD\triangle APD に目を移します。∠DAC\angle DAC は弧 CDCD に対する円周角なので ∠DAC\angle DAC=12×120∘{}= \dfrac{1}{2} \times 120^\circ=60∘{}= 60^\circ。∠APB\angle APB は △APD\triangle APD の頂点 PP における外角なので

∠APB\displaystyle \angle APB=∠ADP\displaystyle {}= \angle ADP+∠DAP\displaystyle {}+ \angle DAP=30∘+60∘\displaystyle {}= 30^\circ + 60^\circ=90∘‾\displaystyle {}= \underline{90^\circ}

まとめると「2 本の弦の交点にできる角は、向かい合う 2 つの弧に対する円周角の和」です。12(60∘+120∘)\dfrac{1}{2}(60^\circ + 120^\circ)=90∘{}= 90^\circ と一息で計算してもかまいません。

円周角の定理の逆——4 点が 1 つの円の上に並ぶ条件

ここからは向きを変えて、「円がある」ところから「円があるはずだ」を言う話に入ります。

線分 ABAB を、同じ側にある 2 点 CC,DD から見込んだ角が等しいとします。∠ACB\angle ACB=∠ADB{}= \angle ADB。このとき AA,BB,CC,DD は 1 つの円の上に並びます。AA,BB,CC を通る円はただ 1 つ決まる(第2章の厳密定義ページ)ので、あとは「DD もその円の上にいるしかない」ことを言えばよく、第1章から使ってきた同一法が効きます。

θ θ A B C D 同じ側 → 1 つの円の上 θ θ A B C D 反対側 → 別の円(反例) 角が等しくても、AB の反対側なら同じ円とは限らない

「同じ側」は落とせません。図の右側のように DD が ABAB の反対側にあると、角が等しくても DD は鏡に映したもう 1 つの円の上に乗ってしまいます。

公式4:円周角の定理の逆

2 点 CC,DD が直線 ABAB について同じ側にあり

∠ACB\displaystyle \angle ACB=∠ADB\displaystyle {}= \angle ADB

が成り立つならば、4 点 AA,BB,CC,DD は同一円周上にある。

  • とくに ∠ACB\angle ACB=∠ADB{}= \angle ADB=90∘{}= 90^\circ のときは、ABAB を直径とする円になります(公式2 の逆)。
  • 「同じ側」を外すと成り立ちません。反対側のときの条件は、次の公式5・6 で扱います。

同じ被写体を、同じ画角のレンズで、被写体がちょうど画面いっぱいに写るように撮りたいとします。撮影者が何人いても、条件を満たす立ち位置は 1 本の曲線の上に並びます。その曲線が円弧です。「同じ広さに見える場所の集まり」が円弧になる——公式4 は、それを言っています。

等しい角が同じ側に 2 つ見つかったら、4 点は同じ円の上に乗っているということです。

例題4:4 点が同一円周上にあることを示す

鋭角三角形 ABCABC の頂点 BB,CC から対辺に下ろした垂線の足を、それぞれ EE,FF とします。

(1) 4 点 BB,CC,EE,FF が同一円周上にあることを示しなさい。

(2) ∠A\angle A=64∘{}= 64^\circ のとき、∠FBE\angle FBE と ∠FCE\angle FCE を求めなさい。

A B C E F H M 例題4:∠BEC = ∠BFC = 90° → B,C,E,F は同一円周上

【解答】

(1) BEBE⊥CA{}\perp CA,CFCF⊥AB{}\perp AB なので

∠BEC\displaystyle \angle BEC=∠BFC\displaystyle {}= \angle BFC=90∘\displaystyle {}= 90^\circ

△ABC\triangle ABC は鋭角三角形なので、EE は辺 CACA 上、FF は辺 ABAB 上にあり、EE と FF はどちらも直線 BCBC について AA と同じ側にあります。線分 BCBC を同じ側から等しい角で見込んでいるので、公式4 より 4 点 BB,CC,EE,FF は同一円周上にあります。(証明終)

しかも、その角が 90∘90^\circ だったので、公式2 の逆からこの円は BCBC を直径とする円だと分かります。中心は BCBC の中点 MM で、MBMB=MC{}= MC=ME{}= ME=MF{}= MF です。

(2) △ABE\triangle ABE で ∠AEB\angle AEB=90∘{}= 90^\circ なので

∠ABE\displaystyle \angle ABE=180∘−90∘−64∘\displaystyle {}= 180^\circ - 90^\circ - 64^\circ=26∘\displaystyle {}= 26^\circ

FF は辺 ABAB 上にあるので ∠FBE\angle FBE=∠ABE{}= \angle ABE=26∘‾{}= \underline{26^\circ}。

同じように △ACF\triangle ACF で ∠AFC\angle AFC=90∘{}= 90^\circ なので ∠ACF\angle ACF=26∘{}= 26^\circ、EE は辺 CACA 上にあるので ∠FCE\angle FCE=26∘‾{}= \underline{26^\circ}。

2 つが等しくなったのは偶然ではありません。(1) の円で、∠FBE\angle FBE と ∠FCE\angle FCE は弧 FEFE に対する円周角どうしだからです。

円に内接する四角形——向かい合う角の和は 180°

4 つの頂点がすべて 1 つの円の上にある四角形を、円に内接する四角形といいます(その円を外接円と呼びます)。

四角形 ABCDABCD が円 OO に内接するとき、∠A\angle A は弧 BCDBCD(AA を含まない側)に対する円周角、∠C\angle C は弧 DABDAB(CC を含まない側)に対する円周角です。この 2 つの弧を合わせると円周 1 周ぶん、中心角でいえば 360∘360^\circ なので

∠A\displaystyle \angle A+∠C\displaystyle {}+ \angle C=12×360∘\displaystyle {}= \frac{1}{2} \times 360^\circ=180∘\displaystyle {}= 180^\circ
α 180°−α α A B D C E 向かい合う角の和は 180°。外角 ∠DCE は内対角 ∠A に等しい
公式5:円に内接する四角形

四角形 ABCDABCD が円に内接するとき

  1. 向かい合う角の和は 180∘180^\circ。 ∠A\displaystyle \angle A+∠C\displaystyle {}+ \angle C=∠B\displaystyle {}= \angle B+∠D\displaystyle {}+ \angle D=180∘\displaystyle {}= 180^\circ
  2. 1 つの外角は、それととなり合わない内角(内対角)に等しい。辺 BCBC を CC の先へ延ばした点を EE とすると ∠DCE\displaystyle \angle DCE=∠A\displaystyle {}= \angle A

(2) は (1) から出ます。∠DCE\angle DCE=180∘−∠BCD{}= 180^\circ - \angle BCD=180∘−(180∘−∠A){}= 180^\circ - (180^\circ - \angle A)=∠A{}= \angle A。

丸いケーキを、向かい合って座った 2 人で分けるところを思い浮かべてください。どこで切っても、2 人の取り分を合わせればケーキ 1 個ぶんです。円に内接する四角形の ∠A\angle A と ∠C\angle C は、円周を 2 つの弧に分けて「半分ずつ」見ている角なので、足せば必ず円 1 周の半分、つまり 180∘180^\circ になります。

円に内接する四角形では、向かい合う角が 180∘180^\circ を分け合っているということです。

四角形が円に内接する条件——公式5 の逆

公式5 の逆も成り立ちます。こちらが、4 点が同じ円の上にあることを示すときの主力になります。

公式6:四角形が円に内接する条件

四角形 ABCDABCD について、次のどちらかが成り立てば、この四角形は円に内接する。

  1. 向かい合う角の和が 180∘180^\circ である(∠A\angle A+∠C{}+ \angle C=180∘{}= 180^\circ)。
  2. 1 つの外角が内対角に等しい(∠DCE\angle DCE=∠A{}= \angle A)。

∠A\angle A+∠C{}+ \angle C=180∘{}= 180^\circ のとき、自動的に ∠B\angle B+∠D{}+ \angle D=360∘−180∘{}= 360^\circ - 180^\circ=180∘{}= 180^\circ なので、確かめるのは 1 組だけでかまいません。

紙で四角形を切り出し、向かい合う 2 つの角を切り取って並べてみましょう。ぴたりと一直線になれば、その四角形は円に載ります。少しでも重なる、あるいはすき間ができるなら載りません。180∘180^\circ になるかどうかだけで、円の存在が決まってしまうわけです。

向かい合う角の和が 180∘180^\circ なら円に内接する——「4 点が同一円周上」を示すときの、いちばん使いやすい入口だということです。

例題5:内心と傍心が作る円

△ABC\triangle ABC の内心を II、∠A\angle A 内の傍心を IAI_A とします。∠A\angle A=50∘{}= 50^\circ のとき、

(1) ∠BIC\angle BIC と ∠BIAC\angle B I_A C を求めなさい。

(2) 4 点 II,BB,IAI_A,CC が同一円周上にあることを、2 通りの方法で示しなさい。

A B C I IA 例題5:B,C から IIA を見込む角はどちらも 90°

【解答】

(1) 第2章 公式2 と公式5 より

∠BIC\displaystyle \angle BIC=90∘+∠A2\displaystyle {}= 90^\circ + \frac{\angle A}{2}=90∘+25∘\displaystyle {}= 90^\circ + 25^\circ=115∘‾,\displaystyle {}= \underline{115^\circ},∠BIAC\displaystyle \angle B I_A C=90∘−∠A2\displaystyle {}= 90^\circ - \frac{\angle A}{2}=90∘−25∘\displaystyle {}= 90^\circ - 25^\circ=65∘‾\displaystyle {}= \underline{65^\circ}

(2) 方法1(公式6) II と IAI_A は直線 BCBC について反対側にあるので、II,BB,IAI_A,CC はこの順に四角形をなします。向かい合う角は ∠BIC\angle BIC と ∠BIAC\angle B I_A C で、その和は

(90∘+∠A2)\displaystyle \left(90^\circ + \frac{\angle A}{2}\right)+(90∘−∠A2)\displaystyle {}+ \left(90^\circ - \frac{\angle A}{2}\right)=180∘\displaystyle {}= 180^\circ

∠A\angle A の値によらず 180∘180^\circ なので、公式6 より四角形 IBIACI B I_A C は円に内接します。

方法2(公式2 の逆) BIBI は ∠B\angle B の二等分線、BIAB I_A は ∠B\angle B の外角の二等分線です。第1章 公式4 より、内角の二等分線と外角の二等分線は直交するので

∠IBIA\displaystyle \angle I B I_A=90∘\displaystyle {}= 90^\circ

同じ理由で ∠ICIA\angle I C I_A=90∘{}= 90^\circ。BB も CC も線分 IIAI I_A を 90∘90^\circ で見込んでいるので、公式2 の逆より、どちらも IIAI I_A を直径とする円の上にあります。(証明終)

方法2 のほうが得るものが多く、この円の直径が IIAI I_A であることまで分かります。第2章の j20 で「II,BB,IAI_A,CC は IIAI I_A を直径とする円の上」と予告したのは、このことでした。

4 点が同一円周上にあることを示す 3 つの道具

この章で出そろいました。使い分けは、2 点が線分のどちら側にいるかで決まります。

場面使う道具形
CC,DD が ABAB の同じ側公式4(円周角の定理の逆)∠ACB=∠ADB\angle ACB = \angle ADB
CC,DD が ABAB の同じ側で、しかも直角公式2 の逆∠ACB=∠ADB=90∘\angle ACB = \angle ADB = 90^\circ。円の直径が ABAB と分かる
4 点が四角形をなす(向かい合う 2 頂点)公式6∠A+∠C=180∘\angle A + \angle C = 180^\circ、または外角 == 内対角

図をかいて、90∘90^\circ が 2 つ見えたら公式2 の逆、同じ側の等角が見えたら公式4、四角形が見えたら公式6。この順に探すと迷いません。

次の章へ

この章では、円と「角」の関係を調べました。次の第5章「円の接線と方べきの定理」では、円と直線の関係に進みます。第2章・第3章から持ち越している「円の外の点から引いた 2 本の接線の長さは等しい」をきちんと証明し、接線と弦が作る角が円周角に等しいこと(接弦定理)を学びます。そして、例題3 で見た「2 本の弦の交点」には、角だけでなく長さについてもきれいな関係(方べきの定理)が隠れています。この章の円周角と相似が、その証明の道具になります。

基礎確認問題(全5問)

まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。

問1

円 OO の周上に 3 点 AA,BB,CC があります。∠BAC\angle BAC=35∘{}= 35^\circ のとき、AA を含まない弧 BCBC に対する中心角 ∠BOC\angle BOC を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

70∘‾\underline{70^\circ}(中心角は円周角の 2 倍)

自己採点:
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問2

円 OO の直径を ABAB、円周上の点を PP(AA,BB と異なる)とします。∠PAB\angle PAB=28∘{}= 28^\circ のとき、∠APB\angle APB と ∠ABP\angle ABP を求めなさい。

つまずいたときは:
答えを見る
答え

∠APB\angle APB=90∘‾{}= \underline{90^\circ}(直径に対する円周角)、∠ABP\angle ABP=180∘−90∘−28∘{}= 180^\circ - 90^\circ - 28^\circ=62∘‾{}= \underline{62^\circ}

自己採点:
記録を読み込み中…

問3

円周上に 4 点 AA,BB,CC,DD がこの順にあります。∠BAC\angle BAC=30∘{}= 30^\circ のとき、∠BDC\angle BDC を求めなさい。

つまずいたときは:
答えを見る
答え

30∘‾\underline{30^\circ}(どちらも弧 BCBC に対する円周角)

自己採点:
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問4

四角形 ABCDABCD が円に内接していて ∠A\angle A=95∘{}= 95^\circ です。∠C\angle C を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

85∘‾\underline{85^\circ}(∠A\angle A+∠C{}+ \angle C=180∘{}= 180^\circ)

自己採点:
記録を読み込み中…

問5

四角形 ABCDABCD が円に内接しています。辺 BCBC を CC の先へ延ばした点を EE とするとき、∠DCE\angle DCE=72∘{}= 72^\circ ならば ∠BAD\angle BAD はいくらか求めなさい。

つまずいたときは:
答えを見る
答え

72∘‾\underline{72^\circ}(外角は内対角に等しい)

自己採点:
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実践問題(全20問)

難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。

問1 ★

円 OO の周上に 3 点 AA,BB,CC があり、AA を含まない弧 BCBC に対する中心角が ∠BOC\angle BOC=130∘{}= 130^\circ です。∠BAC\angle BAC を求めなさい。

つまずいたときは:
答えを見る
答え

∠BAC\angle BAC=65∘{}= 65^\circ

解説

∠BAC\angle BAC は弧 BCBC に対する円周角、∠BOC\angle BOC は同じ弧に対する中心角です。公式1 より円周角は中心角の半分なので

∠BAC\displaystyle \angle BAC=12×130∘\displaystyle {}= \frac{1}{2} \times 130^\circ=65∘‾\displaystyle {}= \underline{65^\circ}

中心角のほうが大きい、と向きを覚えておくと、2 倍と 12\dfrac{1}{2} を取り違えません。

自己採点:
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問2 ★

円 OO の直径を ABAB、円周上の点を CC(AA,BB と異なる)とします。∠BAC\angle BAC=32∘{}= 32^\circ のとき、∠ACB\angle ACB,∠ABC\angle ABC,∠BOC\angle BOC を求めなさい。

つまずいたときは:
答えを見る
答え

∠ACB\angle ACB=90∘{}= 90^\circ,∠ABC\angle ABC=58∘{}= 58^\circ,∠BOC\angle BOC=64∘{}= 64^\circ

解説

ABAB は直径なので、公式2 より ∠ACB\angle ACB=90∘‾{}= \underline{90^\circ}。△ABC\triangle ABC の内角の和から

∠ABC\displaystyle \angle ABC=180∘−90∘−32∘\displaystyle {}= 180^\circ - 90^\circ - 32^\circ=58∘‾\displaystyle {}= \underline{58^\circ}

∠BOC\angle BOC は弧 BCBC(AA を含まない側)に対する中心角で、同じ弧の円周角が ∠BAC\angle BAC なので

∠BOC\displaystyle \angle BOC=2×32∘\displaystyle {}= 2 \times 32^\circ=64∘‾\displaystyle {}= \underline{64^\circ}
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問3 ★

四角形 ABCDABCD が円に内接していて、∠ABC\angle ABC=106∘{}= 106^\circ,∠BCD\angle BCD=78∘{}= 78^\circ です。∠ADC\angle ADC と ∠DAB\angle DAB を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠ADC\angle ADC=74∘{}= 74^\circ,∠DAB\angle DAB=102∘{}= 102^\circ

解説

向かい合う角の和は 180∘180^\circ(公式5)なので

∠ADC\displaystyle \angle ADC=180∘−∠ABC\displaystyle {}= 180^\circ - \angle ABC=180∘−106∘\displaystyle {}= 180^\circ - 106^\circ=74∘‾\displaystyle {}= \underline{74^\circ} ∠DAB\displaystyle \angle DAB=180∘−∠BCD\displaystyle {}= 180^\circ - \angle BCD=180∘−78∘\displaystyle {}= 180^\circ - 78^\circ=102∘‾\displaystyle {}= \underline{102^\circ}

確かめ:4 つの内角の和は 106∘+78∘+74∘+102∘106^\circ + 78^\circ + 74^\circ + 102^\circ=360∘{}= 360^\circ で、四角形の内角の和と一致します。

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問4 ★

円周を 5 等分する点を、順に AA,BB,CC,DD,EE とします。∠ACB\angle ACB と ∠ACD\angle ACD を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠ACB\angle ACB=36∘{}= 36^\circ,∠ACD\angle ACD=72∘{}= 72^\circ

解説

5 等分なので、となり合う 2 点で切り取られる弧 1 つぶんの中心角は 360∘5\dfrac{360^\circ}{5}=72∘{}= 72^\circ です。

∠ACB\angle ACB は弧 ABAB(CC を含まない側、弧 1 つぶん)に対する円周角なので

∠ACB\displaystyle \angle ACB=12×72∘\displaystyle {}= \frac{1}{2} \times 72^\circ=36∘‾\displaystyle {}= \underline{36^\circ}

∠ACD\angle ACD は弧 ADAD のうち CC を含まない側、つまり DD→E{}\to E→A{}\to A とたどる弧 2 つぶんに対する円周角なので

∠ACD\displaystyle \angle ACD=12×144∘\displaystyle {}= \frac{1}{2} \times 144^\circ=72∘‾\displaystyle {}= \underline{72^\circ}

「CC を含まないほうの弧」を選ぶのがかんじんです。AA→B{}\to B→C{}\to C→D{}\to D の側(弧 3 つぶん)を取ると答えが違ってしまいます。

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問5 ★

円 OO の周上に 4 点 AA,BB,CC,DD がこの順にあり、弦 ACAC と弦 BDBD の交点を PP とします。∠ADB\angle ADB=35∘{}= 35^\circ,∠DAC\angle DAC=28∘{}= 28^\circ のとき、∠APB\angle APB を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠APB\angle APB=63∘{}= 63^\circ

解説

PP は線分 ACAC 上にも線分 BDBD 上にもあるので、△APD\triangle APD に注目します。この三角形の内角は

∠ADP\displaystyle \angle ADP=∠ADB\displaystyle {}= \angle ADB=35∘,\displaystyle {}= 35^\circ,∠DAP\displaystyle \angle DAP=∠DAC\displaystyle {}= \angle DAC=28∘\displaystyle {}= 28^\circ

∠APB\angle APB は ∠APD\angle APD ととなり合って一直線をなす角、つまり △APD\triangle APD の頂点 PP における外角です。外角はそれととなり合わない 2 つの内角の和なので

∠APB\displaystyle \angle APB=35∘+28∘\displaystyle {}= 35^\circ + 28^\circ=63∘‾\displaystyle {}= \underline{63^\circ}

「2 本の弦の交点の角は、向かい合う 2 つの弧に対する円周角の和」という形でも覚えられます。

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問6 ★

△ABC\triangle ABC の外心を OO とします。∠BAC\angle BAC=58∘{}= 58^\circ のとき、∠BOC\angle BOC と ∠OBC\angle OBC を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠BOC\angle BOC=116∘{}= 116^\circ,∠OBC\angle OBC=32∘{}= 32^\circ

解説

外接円で考えると、∠BAC\angle BAC は弧 BCBC(AA を含まない側)に対する円周角、∠BOC\angle BOC は同じ弧に対する中心角です。

∠BOC\displaystyle \angle BOC=2×58∘\displaystyle {}= 2 \times 58^\circ=116∘‾\displaystyle {}= \underline{116^\circ}

OBOB=OC{}= OC なので △OBC\triangle OBC は二等辺三角形で

∠OBC\displaystyle \angle OBC=180∘−116∘2\displaystyle {}= \frac{180^\circ - 116^\circ}{2}=32∘‾\displaystyle {}= \underline{32^\circ}

第2章 公式1 の ∠OBC\angle OBC=90∘−∠A{}= 90^\circ - \angle A=90∘−58∘{}= 90^\circ - 58^\circ=32∘{}= 32^\circ と一致します。

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問7 ★

四角形 ABCDABCD(頂点はこの順)で、∠ABD\angle ABD=47∘{}= 47^\circ,∠ACD\angle ACD=47∘{}= 47^\circ です。4 点 AA,BB,CC,DD が同一円周上にあることを示し、さらに ∠BAC\angle BAC=25∘{}= 25^\circ のときの ∠BDC\angle BDC を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

同一円周上にある(円周角の定理の逆)。∠BDC\angle BDC=25∘{}= 25^\circ

解説

四角形 ABCDABCD の頂点はこの順なので、BB と CC は対角線 ADAD について同じ側にあります。その 2 点から線分 ADAD を見込む角が

∠ABD\displaystyle \angle ABD=∠ACD\displaystyle {}= \angle ACD=47∘\displaystyle {}= 47^\circ

と等しいので、公式4(円周角の定理の逆)より 4 点 AA,BB,CC,DD は同一円周上にあります。(証明終)

この円で ∠BAC\angle BAC と ∠BDC\angle BDC は、どちらも弧 BCBC(AA,DD を含まない側)に対する円周角です。したがって

∠BDC\displaystyle \angle BDC=∠BAC\displaystyle {}= \angle BAC=25∘‾\displaystyle {}= \underline{25^\circ}
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問8 ★

四角形 ABCDABCD の内角が ∠A\angle A=84∘{}= 84^\circ,∠B\angle B=97∘{}= 97^\circ,∠C\angle C=96∘{}= 96^\circ です。この四角形が円に内接するかどうかを確かめなさい。

つまずいたときは:
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答え

内接する(∠D\angle D=83∘{}= 83^\circ で ∠A\angle A+∠C{}+ \angle C=180∘{}= 180^\circ)

解説

四角形の内角の和は 360∘360^\circ なので

∠D\displaystyle \angle D=360∘−84∘−97∘−96∘\displaystyle {}= 360^\circ - 84^\circ - 97^\circ - 96^\circ=83∘\displaystyle {}= 83^\circ

向かい合う角の和を調べると

∠A\displaystyle \angle A+∠C\displaystyle {}+ \angle C=84∘+96∘\displaystyle {}= 84^\circ + 96^\circ=180∘,\displaystyle {}= 180^\circ,∠B\displaystyle \angle B+∠D\displaystyle {}+ \angle D=97∘+83∘\displaystyle {}= 97^\circ + 83^\circ=180∘\displaystyle {}= 180^\circ

公式6 より、この四角形は円に内接すると分かります。

なお、片方の組が 180∘180^\circ なら残りの組も自動的に 180∘180^\circ になります(和が 360∘360^\circ だから)。確かめるのは 1 組だけで十分です。

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問9 ★★

円 OO の周上に 3 点 AA,BB,CC があり、ABAB=AC{}= AC です。AA を含まない弧 BCBC に対する中心角が 96∘96^\circ のとき、∠ABC\angle ABC を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠ABC\angle ABC=66∘{}= 66^\circ

解説

∠BAC\angle BAC は弧 BCBC(AA を含まない側)に対する円周角なので

∠BAC\displaystyle \angle BAC=12×96∘\displaystyle {}= \frac{1}{2} \times 96^\circ=48∘\displaystyle {}= 48^\circ

ABAB=AC{}= AC より △ABC\triangle ABC は二等辺三角形で、底角 ∠ABC\angle ABC と ∠ACB\angle ACB は等しいので

∠ABC\displaystyle \angle ABC=180∘−48∘2\displaystyle {}= \frac{180^\circ - 48^\circ}{2}=66∘‾\displaystyle {}= \underline{66^\circ}

別解:ABAB=AC{}= AC なら弧 ABAB と弧 ACAC が等しく(公式3 (3) の逆)、残りの弧 BCBC が 96∘96^\circ ぶんなので、弧 ABAB と弧 ACAC はそれぞれ 360∘−96∘2\dfrac{360^\circ - 96^\circ}{2}=132∘{}= 132^\circ ぶん。∠ABC\angle ABC は弧 ACAC に対する円周角なので 132∘2\dfrac{132^\circ}{2}=66∘{}= 66^\circ です。

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問10 ★★

円周上に 4 点 AA,BB,CC,DD がこの順にあり、AB⌢:BC⌢:CD⌢:DA⌢\stackrel{\frown}{AB} : \stackrel{\frown}{BC} : \stackrel{\frown}{CD} : \stackrel{\frown}{DA}=3:4:5:6{}= 3 : 4 : 5 : 6 です。弦 ACAC と弦 BDBD の交点を PP とするとき、∠BAC\angle BAC と ∠APB\angle APB を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠BAC\angle BAC=40∘{}= 40^\circ,∠APB\angle APB=80∘{}= 80^\circ

解説

比の合計は 33+4{}+ 4+5{}+ 5+6{}+ 6=18{}= 18 で、4 つの弧を合わせた中心角は 360∘360^\circ です。比 1 あたり

360∘18\displaystyle \frac{360^\circ}{18}=20∘\displaystyle {}= 20^\circ

なので、弧 ABAB,BCBC,CDCD,DADA の中心角は順に 60∘60^\circ,80∘80^\circ,100∘100^\circ,120∘120^\circ。

∠BAC\angle BAC は弧 BCBC に対する円周角なので

∠BAC\displaystyle \angle BAC=12×80∘\displaystyle {}= \frac{1}{2} \times 80^\circ=40∘‾\displaystyle {}= \underline{40^\circ}

∠APB\angle APB は △APD\triangle APD の頂点 PP における外角です。∠ADB\angle ADB は弧 ABAB に対する円周角で 30∘30^\circ、∠DAC\angle DAC は弧 CDCD に対する円周角で 50∘50^\circ なので

∠APB\displaystyle \angle APB=30∘+50∘\displaystyle {}= 30^\circ + 50^\circ=80∘‾\displaystyle {}= \underline{80^\circ}

向かい合う 2 つの弧 ABAB,CDCD の中心角の和の半分、60∘+100∘2\dfrac{60^\circ + 100^\circ}{2}=80∘{}= 80^\circ と数えても同じです。

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問11 ★★

半径 55 の円 OO の直径を ABAB とし、円周上の点 CC について BCBC=6{}= 6 とします。ACAC の長さと △ABC\triangle ABC の面積を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

ACAC=8{}= 8,面積 =24= 24

解説

ABAB は直径なので ABAB=2×5{}= 2 \times 5=10{}= 10、そして公式2 より ∠ACB\angle ACB=90∘{}= 90^\circ です。直角三角形 ABCABC で三平方の定理を使うと

AC\displaystyle AC=AB2−BC2\displaystyle {}= \sqrt{AB^2 - BC^2}=102−62\displaystyle {}= \sqrt{10^2 - 6^2}=64\displaystyle {}= \sqrt{64}=8‾\displaystyle {}= \underline{8}

直角をはさむ 2 辺が ACAC=8{}= 8,BCBC=6{}= 6 なので

△ABC\displaystyle \triangle ABC=12×8×6\displaystyle {}= \frac{1}{2} \times 8 \times 6=24‾\displaystyle {}= \underline{24}

「直径を見たら直角」を思い出せるかどうかだけの問題です。思い出せれば、あとは 3:4:53 : 4 : 5 の直角三角形を 2 倍したものだと見えます。

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問12 ★★

四角形 ABCDABCD が円に内接していて、ABAB=AD{}= AD,∠BCD\angle BCD=112∘{}= 112^\circ です。∠ABD\angle ABD を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠ABD\angle ABD=56∘{}= 56^\circ

解説

∠BAD\angle BAD と ∠BCD\angle BCD は向かい合う角なので、公式5 より

∠BAD\displaystyle \angle BAD=180∘−112∘\displaystyle {}= 180^\circ - 112^\circ=68∘\displaystyle {}= 68^\circ

対角線 BDBD を引くと、ABAB=AD{}= AD より △ABD\triangle ABD は二等辺三角形です。底角 ∠ABD\angle ABD と ∠ADB\angle ADB は等しいので

∠ABD\displaystyle \angle ABD=180∘−68∘2\displaystyle {}= \frac{180^\circ - 68^\circ}{2}=56∘‾\displaystyle {}= \underline{56^\circ}

別解:ABAB=AD{}= AD なら弧 ABAB と弧 ADAD が等しく(公式3 (3) の逆)、∠ABD\angle ABD と ∠ADB\angle ADB はそれぞれ弧 ADAD,弧 ABAB に対する円周角なので等しい、と言ってもかまいません。

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問13 ★★

四角形 ABCDABCD が円に内接しています。直線 ABAB と直線 DCDC が、BB,CC の側で点 PP で交わり、∠APD\angle APD=32∘{}= 32^\circ,∠ADC\angle ADC=78∘{}= 78^\circ です。∠BAD\angle BAD と ∠BCD\angle BCD を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠BAD\angle BAD=70∘{}= 70^\circ,∠BCD\angle BCD=110∘{}= 110^\circ

解説

PP は直線 ABAB 上で BB の先、直線 DCDC 上で CC の先にあるので、△PAD\triangle PAD の辺 PAPA の上に BB が、辺 PDPD の上に CC が乗っています。したがって

∠PAD\displaystyle \angle PAD=∠BAD,\displaystyle {}= \angle BAD,∠PDA\displaystyle \angle PDA=∠CDA\displaystyle {}= \angle CDA=78∘\displaystyle {}= 78^\circ

△PAD\triangle PAD の内角の和から

∠BAD\displaystyle \angle BAD=∠PAD\displaystyle {}= \angle PAD=180∘−32∘−78∘\displaystyle {}= 180^\circ - 32^\circ - 78^\circ=70∘‾\displaystyle {}= \underline{70^\circ}

∠BAD\angle BAD と ∠BCD\angle BCD は円に内接する四角形の向かい合う角なので

∠BCD\displaystyle \angle BCD=180∘−70∘\displaystyle {}= 180^\circ - 70^\circ=110∘‾\displaystyle {}= \underline{110^\circ}

確かめ:外角 ∠BCP\angle BCP=180∘−110∘{}= 180^\circ - 110^\circ=70∘{}= 70^\circ で、内対角 ∠BAD\angle BAD=70∘{}= 70^\circ に等しくなっています(公式5 (2))。

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問14 ★★

△ABC\triangle ABC の外心を OO とします。∠A\angle A=70∘{}= 70^\circ,∠B\angle B=60∘{}= 60^\circ のとき、∠OBC\angle OBC と ∠OAC\angle OAC を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠OBC\angle OBC=20∘{}= 20^\circ,∠OAC\angle OAC=30∘{}= 30^\circ

解説

内角の和から ∠C\angle C=180∘−70∘−60∘{}= 180^\circ - 70^\circ - 60^\circ=50∘{}= 50^\circ です。

弧 BCBC に対する中心角は ∠BOC\angle BOC=2∠A{}= 2\angle A=140∘{}= 140^\circ。OBOB=OC{}= OC より △OBC\triangle OBC は二等辺三角形なので

∠OBC\displaystyle \angle OBC=180∘−140∘2\displaystyle {}= \frac{180^\circ - 140^\circ}{2}=20∘‾\displaystyle {}= \underline{20^\circ}

同じように、弧 CACA に対する中心角は ∠AOC\angle AOC=2∠B{}= 2\angle B=120∘{}= 120^\circ で、OAOA=OC{}= OC より

∠OAC\displaystyle \angle OAC=180∘−120∘2\displaystyle {}= \frac{180^\circ - 120^\circ}{2}=30∘‾\displaystyle {}= \underline{30^\circ}

第2章 公式1 の 90∘−∠A90^\circ - \angle A=20∘{}= 20^\circ,90∘−∠B90^\circ - \angle B=30∘{}= 30^\circ と合っています。残る ∠OAB\angle OAB=90∘−∠C{}= 90^\circ - \angle C=40∘{}= 40^\circ も入れると、20∘+30∘+40∘20^\circ + 30^\circ + 40^\circ=90∘{}= 90^\circ で「xx+y{}+ y+z{}+ z=90∘{}= 90^\circ」も確かめられます。

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問15 ★★

△ABC\triangle ABC の外接円を OO とし、∠A\angle A の二等分線と円 OO の交点のうち AA でないほうを MM とします。MM が AA を含まない弧 BCBC の中点であること、および MBMB=MC{}= MC であることを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

等しい円周角には等しい弧が対応するので弧 BMBM = 弧 MCMC。等しい弧には等しい弦が対応するので MBMB=MC{}= MC

解説

AMAM は ∠A\angle A の二等分線なので

∠BAM\displaystyle \angle BAM=∠MAC\displaystyle {}= \angle MAC

∠BAM\angle BAM は弧 BMBM(AA を含まない側)に対する円周角、∠MAC\angle MAC は弧 MCMC(AA を含まない側)に対する円周角です。等しい円周角に対する弧は等しい(公式3 (1) の逆)ので

BM⌢\displaystyle \stackrel{\frown}{BM}=MC⌢\displaystyle {}= \stackrel{\frown}{MC}

2 つを合わせると AA を含まない弧 BCBC になるので、MM はその弧の中点です。

さらに、等しい弧に対する弦は等しい(公式3 (3))ので

MB\displaystyle MB=MC\displaystyle {}= MC

(証明終)

∠A\angle A の二等分線が向かいの弧を「ちょうど半分に切る」ことになります。MM はこのあと j18・j20 でも主役になる点です。

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問16 ★★

四角形 ABCDABCD が円に内接していて ∠ABC\angle ABC=90∘{}= 90^\circ です。ACAC がこの円の直径であることを示し、ABAB=6{}= 6,BCBC=8{}= 8,CDCD=5{}= 5 のときの ADAD を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠ABC\angle ABC=90∘{}= 90^\circ より ACAC は直径。ADAD=53{}= 5\sqrt{3}

解説

∠ABC\angle ABC=90∘{}= 90^\circ で、BB は AA,CC を通る円の上にあります。公式2 の逆より、BB は ACAC を直径とする円の上にあり、この円は AA,BB,CC を通る円、つまり四角形の外接円と一致します(3 点を通る円はただ 1 つ)。よって ACAC は直径です。(証明終)

直角三角形 ABCABC で三平方の定理を使うと

AC\displaystyle AC=62+82\displaystyle {}= \sqrt{6^2 + 8^2}=100\displaystyle {}= \sqrt{100}=10\displaystyle {}= 10

ACAC が直径なので、公式2 より ∠ADC\angle ADC=90∘{}= 90^\circ です。直角三角形 ACDACD で

AD\displaystyle AD=AC2−CD2\displaystyle {}= \sqrt{AC^2 - CD^2}=102−52\displaystyle {}= \sqrt{10^2 - 5^2}=75\displaystyle {}= \sqrt{75}=53‾\displaystyle {}= \underline{5\sqrt{3}}

別解:∠ABC\angle ABC+∠ADC{}+ \angle ADC=180∘{}= 180^\circ(公式5)から ∠ADC\angle ADC=90∘{}= 90^\circ を出しても同じです。

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問17 ★★★

四角形 ABCDABCD の 4 つの内角の二等分線について、∠A\angle A と ∠B\angle B の二等分線の交点を PP、∠B\angle B と ∠C\angle C の交点を QQ、∠C\angle C と ∠D\angle D の交点を RR、∠D\angle D と ∠A\angle A の交点を SS とします。4 点 PP,QQ,RR,SS がこの順に四角形をなすとき、四角形 PQRSPQRS が円に内接することを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠SPQ\angle SPQ=180∘−∠A+∠B2{}= 180^\circ - \dfrac{\angle A + \angle B}{2},∠QRS\angle QRS=180∘−∠C+∠D2{}= 180^\circ - \dfrac{\angle C + \angle D}{2} で、和は 360∘−360∘2360^\circ - \dfrac{360^\circ}{2}=180∘{}= 180^\circ なので、公式6 より円に内接する

解説

△ABP\triangle ABP に注目します。APAP は ∠A\angle A の二等分線、BPBP は ∠B\angle B の二等分線なので

∠APB\displaystyle \angle APB=180∘−∠A2\displaystyle {}= 180^\circ - \frac{\angle A}{2}−∠B2\displaystyle {}- \frac{\angle B}{2}

SS は ∠A\angle A の二等分線上で PP から見て AA の反対側、QQ は ∠B\angle B の二等分線上で PP から見て BB の反対側にあります。したがって ∠SPQ\angle SPQ は ∠APB\angle APB の対頂角で

∠SPQ\displaystyle \angle SPQ=180∘−∠A+∠B2\displaystyle {}= 180^\circ - \frac{\angle A + \angle B}{2}

まったく同じことを △CDR\triangle CDR で行うと

∠QRS\displaystyle \angle QRS=∠CRD\displaystyle {}= \angle CRD=180∘−∠C+∠D2\displaystyle {}= 180^\circ - \frac{\angle C + \angle D}{2}

この 2 つは四角形 PQRSPQRS の向かい合う角です。足すと、四角形 ABCDABCD の内角の和 ∠A\angle A+∠B{}+ \angle B+∠C{}+ \angle C+∠D{}+ \angle D が 360∘360^\circ であることから

∠SPQ\displaystyle \angle SPQ+∠QRS\displaystyle {}+ \angle QRS=360∘−∠A+∠B2\displaystyle {}= 360^\circ - \frac{\angle A + \angle B}{2}−∠C+∠D2\displaystyle {}- \frac{\angle C + \angle D}{2}=360∘−360∘2\displaystyle {}= 360^\circ - \frac{360^\circ}{2}=180∘\displaystyle {}= 180^\circ

向かい合う角の和が 180∘180^\circ なので、公式6 より四角形 PQRSPQRS は円に内接します。(証明終)

もとの四角形の形をまったく使っていないところが、この問題の見どころです。∠A\angle A,∠B\angle B,∠C\angle C,∠D\angle D の個々の値は最後に消えてしまい、「和が 360∘360^\circ」だけが効いています。

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問18 ★★★

△ABC\triangle ABC の内心を II、外接円の AA を含まない弧 BCBC の中点を MM とします。MBMB=MC{}= MC=MI{}= MI を示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠MBI\angle MBI=∠MIB{}= \angle MIB=∠A+∠B2{}= \dfrac{\angle A + \angle B}{2} より △MBI\triangle MBI は二等辺三角形で MBMB=MI{}= MI。MBMB=MC{}= MC は j15 による

解説

内心 II は ∠A\angle A の二等分線上にあるので、AA,II,MM はこの順に一直線上に並びます(j15 の MM と同じ点です)。また j15 より MBMB=MC{}= MC です。

残りは MBMB=MI{}= MI です。∠A\angle A=2α{}= 2\alpha,∠B\angle B=2β{}= 2\beta とおきます。

∠MBI\angle MBI を求める ∠MBC\angle MBC は弧 MCMC に対する円周角で、∠MAC\angle MAC も同じ弧 MCMC に対する円周角なので

∠MBC\displaystyle \angle MBC=∠MAC\displaystyle {}= \angle MAC=α\displaystyle {}= \alpha

BIBI は ∠B\angle B の二等分線なので ∠IBC\angle IBC=β{}= \beta。MM と II は直線 BCBC について反対側にあるので、∠MBI\angle MBI は 2 つの角の和になり

∠MBI\displaystyle \angle MBI=∠MBC\displaystyle {}= \angle MBC+∠IBC\displaystyle {}+ \angle IBC=α\displaystyle {}= \alpha+β\displaystyle {}+ \beta

∠MIB\angle MIB を求める ∠MIB\angle MIB は △ABI\triangle ABI の頂点 II における外角です(AA,II,MM が一直線だから)。外角は残り 2 つの内角の和なので

∠MIB\displaystyle \angle MIB=∠IAB\displaystyle {}= \angle IAB+∠IBA\displaystyle {}+ \angle IBA=α\displaystyle {}= \alpha+β\displaystyle {}+ \beta

2 つが等しいので △MBI\triangle MBI は MBMB=MI{}= MI の二等辺三角形です。よって

MB\displaystyle MB=MC\displaystyle {}= MC=MI\displaystyle {}= MI

(証明終)

MM は「BB,CC,II から等距離な点」でした。この事実は、三角形の問題で内心が出てきたときの定番の入口になります。

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問19 ★★★

鋭角三角形 ABCABC で、BB から辺 CACA に下ろした垂線の足を EE、CC から辺 ABAB に下ろした垂線の足を FF とし、BEBE と CFCF の交点を HH とします。直線 AHAH と辺 BCBC の交点を DD とするとき、4 点が同一円周上にあることだけを使って ADAD⊥BC{}\perp BC を示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

四角形 AFHEAFHE と四角形 BCEFBCEF がともに円に内接することから ∠DAC\angle DAC=90∘−∠C{}= 90^\circ - \angle C が出て、△ADC\triangle ADC より ∠ADC\angle ADC=90∘{}= 90^\circ

解説

(a) 4 点 AA,FF,HH,EE は同一円周上 HH は CFCF 上にあるので ∠AFH\angle AFH=∠AFC{}= \angle AFC=90∘{}= 90^\circ、HH は BEBE 上にあるので ∠AEH\angle AEH=∠AEB{}= \angle AEB=90∘{}= 90^\circ。四角形 AFHEAFHE の向かい合う角 ∠AFH\angle AFH と ∠AEH\angle AEH の和が 180∘180^\circ なので、公式6 より円に内接します。

(b) 4 点 BB,CC,EE,FF は同一円周上 ∠BEC\angle BEC=∠BFC{}= \angle BFC=90∘{}= 90^\circ で、EE,FF は直線 BCBC の同じ側にあるので、公式4 より同一円周上にあります(例題4)。

(c) 角を渡り歩く (a) の円で、∠HAE\angle HAE と ∠HFE\angle HFE は弦 HEHE に対する円周角で、AA と FF は HEHE の同じ側にあります。よって

∠HAE\displaystyle \angle HAE=∠HFE\displaystyle {}= \angle HFE

HH は線分 CFCF 上にあるので ∠HFE\angle HFE=∠CFE{}= \angle CFE。次に (b) の円で、∠CFE\angle CFE と ∠CBE\angle CBE は弦 CECE に対する円周角で、FF と BB は CECE の同じ側にあるので

∠CFE\displaystyle \angle CFE=∠CBE\displaystyle {}= \angle CBE

△BEC\triangle BEC は ∠BEC\angle BEC=90∘{}= 90^\circ の直角三角形なので ∠CBE\angle CBE=90∘−∠C{}= 90^\circ - \angle C。

(d) 仕上げ HH は線分 ADAD 上、EE は辺 CACA 上にあるので ∠HAE\angle HAE=∠DAC{}= \angle DAC。(c) をつなぐと

∠DAC\displaystyle \angle DAC=90∘−∠C\displaystyle {}= 90^\circ - \angle C

△ADC\triangle ADC の内角の和から

∠ADC\displaystyle \angle ADC=180∘−(90∘−∠C)\displaystyle {}= 180^\circ - (90^\circ - \angle C)−∠C\displaystyle {}- \angle C=90∘\displaystyle {}= 90^\circ

よって ADAD⊥BC{}\perp BC です。(証明終)

第2章 公式5 では、外側に大きな三角形を作って外心に帰着させる方法で垂心の存在を示しました。円周角を使うと、補助の三角形を作らずに角をたどるだけで同じ結論に着きます。

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問20 ★★★

△ABC\triangle ABC の内心を II、∠A\angle A 内の傍心を IAI_A、外接円の AA を含まない弧 BCBC の中点を MM とします。MM が線分 IIAI I_A の中点であることを示し、MBMB=MC{}= MC=MI{}= MI=MIA{}= M I_A が成り立つことを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠MBIA\angle M B I_A=∠MIAB{}= \angle M I_A B より MBMB=MIA{}= M I_A。j18 の MBMB=MC{}= MC=MI{}= MI と合わせて MM は IIAI I_A の中点

解説

II も IAI_A も ∠A\angle A の二等分線上にあり(第2章 公式2・5)、MM もその二等分線と外接円の交点でした(j15)。したがって AA,II,MM,IAI_A はこの順に一直線上に並びます。

j18 より

MB\displaystyle MB=MC\displaystyle {}= MC=MI\displaystyle {}= MI

が分かっているので、あとは MIAM I_A=MB{}= MB を示せば MM が II と IAI_A の中点だと言えます。

△MBIA\triangle M B I_A が二等辺であること MBMB=MI{}= MI より △MBI\triangle MBI は二等辺三角形なので

∠MBI\displaystyle \angle MBI=∠MIB\displaystyle {}= \angle MIB

BIBI は ∠B\angle B の二等分線、BIAB I_A は ∠B\angle B の外角の二等分線なので、第1章 公式4 より ∠IBIA\angle I B I_A=90∘{}= 90^\circ。MM は線分 IIAI I_A 上にあるので

∠MBIA\displaystyle \angle M B I_A=90∘−∠MBI\displaystyle {}= 90^\circ - \angle MBI

一方、△BIIA\triangle B I I_A は ∠IBIA\angle I B I_A=90∘{}= 90^\circ の直角三角形なので、残りの 2 角の和は 90∘90^\circ。∠BIIA\angle B I I_A=∠MIB{}= \angle MIB(MM が線分 IIAI I_A 上)なので

∠MIAB\displaystyle \angle M I_A B=∠BIAI\displaystyle {}= \angle B I_A I=90∘−∠MIB\displaystyle {}= 90^\circ - \angle MIB

2 つを見比べると ∠MBIA\angle M B I_A=∠MIAB{}= \angle M I_A B なので、△MBIA\triangle M B I_A は二等辺三角形で

MIA\displaystyle M I_A=MB\displaystyle {}= MB

結論 MIMI=MB{}= MB=MIA{}= M I_A で、II,MM,IAI_A は一直線上にあるので、MM は線分 IIAI I_A の中点です。さらに MCMC=MB{}= MB も合わせて

MB\displaystyle MB=MC\displaystyle {}= MC=MI\displaystyle {}= MI=MIA\displaystyle {}= M I_A

(証明終)

例題5 で「II,BB,IAI_A,CC は IIAI I_A を直径とする円の上にある」ことを示しました。いまその円の中心が MM、つまり弧 BCBC の中点だと分かったわけです。△ABC\triangle ABC の外接円の上の 1 点が、内心と傍心の円の中心を兼ねている——三角形の「心」どうしは、こういう形でつながっています。

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数学小話コーナー

絵はどこから見るといちばん大きいか——1471 年の問い

美術館で絵を見るとき、壁に近づきすぎると首が痛くなり、離れすぎると絵が小さくなります。ちょうどよい距離がありそうだ、という感覚は誰にでもあるでしょう。これを数学の問題として最初に書いたのが、1471 年のレギオモンタヌスです。

彼の問いはこうでした。「棒が垂直に吊るされている。地面のどの点から見ると、棒はいちばん大きな角度に見えるか」。答えを出すには、棒の両端を通り、目の高さの直線に接する円を考えます。接点に立ったときが最大です。

なぜかというと、目の高さの直線上の別の点に立つと、その点は円の外側に出てしまうからです。円の外の点から棒の両端を見込む角は、円周上から見込む角より必ず小さくなります(外の点から円まで線を伸ばし、三角形の外角を 1 つぶん引くことになるため)。円周上、つまり接点にいるときだけが最大、というわけです。

この問題は「数学の歴史に現れた最初の極値問題」と呼ばれることがあります(※そう呼べるかは定義次第で、諸説あります)。微分が登場するのはこの 200 年後なので、当時は円周角だけで解くしかありませんでした。

いまでも同じ計算が使われている場所があります。ラグビーのコンバージョンキックです。トライした地点を通り、ゴールラインに垂直な線の上ならどこに置いてもよい。2 本のポールを見込む角がいちばん大きくなる点まで下がるのが、理屈の上では最適です。トライがゴールポストから横に離れているほど、最適な位置は遠くなります。

豆知識

レギオモンタヌスは本名をヨハネス・ミュラーといい、ドイツのケーニヒスベルク(「王の山」)の生まれです。当時の学者の習慣で地名をラテン語に直し、「レギオモンタヌス(王の・山の)」と名乗りました。彼が作った天体位置表は航海者に重宝され、1504 年にジャマイカで立ち往生したコロンブスが、その表から月食の日を知って現地の人々を驚かせた——という有名な話が残っています(※逸話の細部には諸説あります)。

海の上の「危険円」——角度だけで船の位置を出す

GPS のなかった時代、陸地の見える海で自分の位置を知るには、海図に載っている目標物(灯台・岬・煙突など)を使いました。方法は驚くほど単純です。目標物を 3 つ選び、六分儀で「左の目標と真ん中の目標のあいだの角」「真ん中の目標と右の目標のあいだの角」の 2 つを測る。それだけです。

角が 1 つ決まれば、その角で 2 つの目標を見込める点の集まりが分かります。円周角の定理から、それは 2 つの目標を結ぶ弦をもつ円弧です。角を 2 つ測れば円弧が 2 本引け、その交点が自分の位置になります。距離はひとつも測っていないのに、位置が出てしまう。この手順を後方交会法といい、数学の問題としてはオランダのスネリウスが 1617 年に、フランスのポテノーが 1692 年に扱ったので「スネリウス・ポテノーの問題」とも呼ばれます(※どちらを先とするかは資料によります)。

ところが、この方法には効かない場所があります。3 つの目標物と自分が、たまたま 1 つの円の上に並んでしまったときです。円周角の定理によれば、その円弧の上ではどこに動いても角は同じ。つまり測った 2 つの角がぴったり同じ値になり、円弧が重なって交点が決まりません。位置が「その円のどこか」としか分からなくなります。

この円を、海図の世界では危険円と呼びます。航海の教科書には「3 つの目標物を通る円の上、またはその近くでは観測してはいけない」と書かれています。円周角の定理が、そのまま実務のルールになっているわけです。

豆知識

測った 2 つの角から位置を求める作業には、三桿分度器という道具が使われました。中央の腕を 0 度に固定し、左右 2 本の腕を測った角度に開いて海図の上を滑らせ、3 本の腕がそれぞれ目標物に重なるように置く。そのときの中心の穴に鉛筆を差すと、そこが自船の位置です。方程式を解くかわりに、道具のほうに円周角の定理を組み込んでしまった例といえます。

シムソン線を書かなかったシムソン

三角形の外接円の上に点 PP をとり、PP から 3 辺(またはその延長)に垂線を下ろします。すると、3 つの垂線の足が一直線に並びます。逆に、3 つの足が一直線になるのは PP が外接円の上にあるときだけです。この直線をシムソン線といいます。

証明には、この章で学んだ道具がそのまま使えます。PP と 2 つの垂線の足は、直角が 2 つ並ぶので同一円周上(公式4)。PP を含む四角形が円に内接することから角が等しくなり、それをつないでいくと 3 点が一直線に並ぶ、という流れです。

さて、名前の話です。ロバート・シムソンは 18 世紀スコットランドの数学者で、グラスゴー大学でユークリッド『原論』の校訂版を出し、それが英語圏の幾何学教育を長く支えました。名の通った人物です。ところが、彼の著作にこの定理は出てきません。実際にこの定理を発表したのは、同じスコットランドのウィリアム・ウォレスで、1799 年のことでした(※経緯の詳細には諸説あります)。「ウォレス線」と呼ぶべきだという主張は、いまでもときどき見かけます。

第3章で、チェバの定理を 11 世紀にイブン・フードが先に証明していた話をしました。定理の名前は、最初に見つけた人の名前とは限りません。

豆知識

この現象には名前がついています。統計学者のスティグラーが 1980 年に唱えたスティグラーの法則——「科学的発見に、その発見者の名前がつくことはない」。おもしろいのは、スティグラー自身がこの法則の発見者を社会学者マートンだとしていることです。法則が自分自身に当てはまるように作られている、という念の入れようでした(※もちろん半分は冗談です)。

厳密定義(発展)

※ここは発展ページです。高校の範囲では「公式1〜6 を使えること」で十分ですが、「円周角の定理はなぜ 3 通りに分けて証明するのか」「逆はどうやって示すのか」「180∘180^\circ を超える中心角はどう扱うのか」が気になる人のために、この章の定理を順番に組み立て直します。第2章の厳密定義ページの定理(3 点を通る円はただ 1 つ)を使います。

定義1:弧・中心角・円周角

円 OO の周上の異なる 2 点 AA,BB は、円周を 2 つの部分に分ける。そのそれぞれを、AA,BB を端とする弧という。短いほうを劣弧、長いほうを優弧という(ABAB が直径のときは 2 つとも半円で、区別しない)。

1 つの弧 ss に対して、その両端 AA,BB と中心 OO が作る角のうち、ss の側にある角を ss の中心角という。ss が優弧のときは 180∘180^\circ を超える角(優角)をとるものとし、ss が半円のときは 180∘180^\circ とする。中心角は 0∘0^\circ より大きく 360∘360^\circ より小さい。

円周上の点 PP(AA,BB と異なる)に対し、∠APB\angle APB を、PP を含まないほうの弧に対する円周角という。

「弧に対する」という言い方をするのは、円周角の大きさが弧だけで決まるからです。中心角に優角を許しておくと、次の定理を場合分けなしの 1 本の式で書けます。

定理1:円周角の定理

円 OO の弧 ss(端点 AA,BB)に対する中心角を ∠AOB\angle AOB、ss の上にない円周上の点を PP とすると

∠APB\displaystyle \angle APB=12∠AOB\displaystyle {}= \frac{1}{2}\angle AOB

証明 PP と OO を通る直線が円と再び交わる点を QQ とする(PQPQ は直径)。OPOP=OA{}= OA より △OPA\triangle OPA は二等辺三角形なので ∠OPA\angle OPA=∠OAP{}= \angle OAP。三角形の外角は、それととなり合わない 2 つの内角の和だから ∠AOQ\angle AOQ=∠OPA{}= \angle OPA+∠OAP{}+ \angle OAP。OO は線分 PQPQ 上にあるので ∠OPA\angle OPA=∠APQ{}= \angle APQ で

∠AOQ\displaystyle \angle AOQ=2∠APQ\displaystyle {}= 2\angle APQ(1)\displaystyle \text{(1)}

同じ理由で

∠BOQ\displaystyle \angle BOQ=2∠BPQ\displaystyle {}= 2\angle BPQ(2)\displaystyle \text{(2)}

QQ の位置で 3 つに分かれる。

(i) QQ が弧 ss の上にあるとき。このとき半直線 PQPQ は ∠APB\angle APB の内部を通り、∠APB\angle APB=∠APQ{}= \angle APQ+∠BPQ{}+ \angle BPQ。また中心角 ∠AOB\angle AOB(ss の側の角)は ∠AOQ\angle AOQ+∠BOQ{}+ \angle BOQ に等しい。(1)+(2) より ∠AOB\angle AOB=2∠APB{}= 2\angle APB。∠APB\angle APB が 90∘90^\circ を超えるときは ∠AOB\angle AOB が優角になるが、式はそのまま成り立つ。

(ii) QQ が AA または BB に一致するとき。QQ=B{}= B とすると (1) だけで ∠AOB\angle AOB=∠AOQ{}= \angle AOQ=2∠APQ{}= 2\angle APQ=2∠APB{}= 2\angle APB。

(iii) QQ が弧 ss の上にないとき(PP と同じ側にあるとき)。AA,BB のうち QQ に近いほうを BB としてよい。半直線 PBPB が ∠APQ\angle APQ の内部を通るので ∠APB\angle APB=∠APQ{}= \angle APQ−∠BPQ{}- \angle BPQ、同様に ∠AOB\angle AOB=∠AOQ{}= \angle AOQ−∠BOQ{}- \angle BOQ。(1)-(2) より ∠AOB\angle AOB=2∠APB{}= 2\angle APB。(証明終)

3 通りに分けるのは、PQPQ を引いたときに角が「和になるか・そのままか・差になるか」が変わるからでした。証明の本体である (1)(2) は、どの場合でも同じ 1 行です。

定理2:直径と直角(両向き)

(1) ABAB が円 OO の直径で、PP が円周上の点(AA,BB と異なる)ならば ∠APB\angle APB=90∘{}= 90^\circ。

(2) 逆に ∠APB\angle APB=90∘{}= 90^\circ ならば、PP は線分 ABAB を直径とする円の上にある。

証明 (1) 弧 ABAB は半円なので中心角は 180∘180^\circ。定理1 より ∠APB\angle APB=90∘{}= 90^\circ。

(2) ABAB の中点を MM とし、半直線 PMPM 上に MP′MP'=PM{}= PM となる点 P′P' をとる。四角形 APBP′APBP' は 2 本の対角線 ABAB,PP′PP' がたがいの中点 MM で交わるので平行四辺形である。∠APB\angle APB=90∘{}= 90^\circ より、この平行四辺形は長方形であり、長方形の 2 本の対角線は等しいので PP′PP'=AB{}= AB。よって

MP\displaystyle MP=12PP′\displaystyle {}= \frac{1}{2}PP'=12AB\displaystyle {}= \frac{1}{2}AB=MA\displaystyle {}= MA=MB\displaystyle {}= MB

PP は MM から AB2\dfrac{AB}{2} の距離にあるので、ABAB を直径とする円の上にある。(証明終)

(2) から、直角三角形の外心が斜辺の中点であることがただちに出ます。第1章で中学の知識として使っていた事実の、正式な根拠です。

定理3:円周角の定理の逆

2 点 CC,DD が直線 ABAB について同じ側にあり ∠ACB\angle ACB=∠ADB{}= \angle ADB ならば、4 点 AA,BB,CC,DD は同一円周上にある。

証明 AA,BB,CC を通る円 OO をとる(3 点を通る円はただ 1 つ。第2章 厳密定義ページ 定理3)。DD がこの円の上にないとして矛盾を導く。半直線 ADAD と円 OO の交点のうち AA でないほうを D′D' とすると、D′D' は直線 ABAB について CC と同じ側にあり、∠AD′B\angle AD'B=∠ACB{}= \angle ACB(定理1 より、同じ弧 ABAB に対する円周角)。

DD が円の内部にあるとき、AA,DD,D′D' はこの順に並ぶ。∠ADB\angle ADB は △DD′B\triangle DD'B の頂点 DD における外角なので

∠ADB\displaystyle \angle ADB=∠AD′B\displaystyle {}= \angle AD'B+∠D′BD\displaystyle {}+ \angle D'BD>∠AD′B\displaystyle {}> \angle AD'B=∠ACB\displaystyle {}= \angle ACB

DD が円の外部にあるとき、AA,D′D',DD はこの順に並ぶので、同じ議論を D′D' について行って

∠AD′B\displaystyle \angle AD'B=∠ADB\displaystyle {}= \angle ADB+∠D′BD\displaystyle {}+ \angle D'BD>∠ADB\displaystyle {}> \angle ADB

つまり ∠ADB\angle ADB<∠ACB{}< \angle ACB。どちらの場合も ∠ADB\angle ADB=∠ACB{}= \angle ACB に反する。よって DD は円 OO の上にある。(証明終)

いまの証明の途中で、次のことも示せました。あとで使うので取り出しておきます。

定理4:円の内側は角が大きい

線分 ABAB の一方の側で考える。円 OO が AA,BB を通り、その側の円周上の点から ABAB を見込む角を θ\theta とすると、同じ側にある点 XX について

  • XX が円の内部にあれば ∠AXB\angle AXB>θ{}> \theta
  • XX が円周上にあれば ∠AXB\angle AXB=θ{}= \theta
  • XX が円の外部にあれば ∠AXB\angle AXB<θ{}< \theta

証明 定理3 の証明の 2 つの不等式が、そのままこの主張である。(証明終)

「ABAB を一定の角度で見込む点の集まりは円弧である」という言い方は、この定理4 まで込みで理解しておくと使いやすくなります。近づけば広く、離れれば狭く見えるのが普通で、円弧の上だけが「同じ広さ」の境目なのです。

定理5:等しい弧・等しい中心角・等しい弦

1 つの円(または半径の等しい 2 つの円)において、次の 3 つはたがいに同値である。

(1) 2 つの弧の長さが等しい (2) 2 つの中心角が等しい (3) 2 つの弦の長さが等しい(ただし弧は劣弧どうし、または優弧どうしで比べる)

証明 (1) ⇔\Leftrightarrow (2):半径 rr の円で、中心角 θ\theta(弧度法)の弧の長さは rθr\theta である。rr が共通なら弧の長さと中心角は比例するので同値。

(2) ⇒\Rightarrow (3):中心角が等しければ、△OAB\triangle OAB と △OA′B′\triangle OA'B' は OAOA=OA′{}= OA',OBOB=OB′{}= OB',∠AOB\angle AOB=∠A′OB′{}= \angle A'OB' で 2 辺夾角が等しく合同。よって ABAB=A′B′{}= A'B'。

(3) ⇒\Rightarrow (2):OAOA=OA′{}= OA',OBOB=OB′{}= OB',ABAB=A′B′{}= A'B' で 3 辺が等しく合同。よって ∠AOB\angle AOB=∠A′OB′{}= \angle A'OB'。(証明終)

弧の長さが中心角に比例すること(ℓ\ell=rθ{}= r\theta)は、円周の長さを定義する段階で認めている事実です。まず円周を nn 等分して「中心角が 1n\dfrac{1}{n} なら弧も 1n\dfrac{1}{n}」を示し、有理数倍へ広げ、最後に連続性で一般の角に渡す、という順で組み立てられます。ここではその結果だけを使いました。

なお、弦は弧に比例しません。中心角 θ\theta の弦の長さは 2rsin⁡θ22r\sin\dfrac{\theta}{2} で、θ\theta の 1 次式ではないからです。θ\theta を 2 倍しても弦は 2 倍にならず、θ\theta が 180∘180^\circ に近づくと弦は直径で頭打ちになります。

定理6:円に内接する四角形(両向き)

(1) 四角形 ABCDABCD が円に内接するならば ∠A\angle A+∠C{}+ \angle C=180∘{}= 180^\circ。

(2) 逆に、四角形 ABCDABCD で ∠A\angle A+∠C{}+ \angle C=180∘{}= 180^\circ ならば、この四角形は円に内接する。

証明 (1) ∠A\angle A は弧 BCDBCD(AA を含まない側)に対する円周角、∠C\angle C は弧 DABDAB(CC を含まない側)に対する円周角である。この 2 つの弧を合わせると円周 1 周ぶんで、中心角の和は 360∘360^\circ。定理1 より

∠A\displaystyle \angle A+∠C\displaystyle {}+ \angle C=12×360∘\displaystyle {}= \frac{1}{2} \times 360^\circ=180∘\displaystyle {}= 180^\circ

(2) AA,BB,DD を通る円 OO をとる。四角形 ABCDABCD の頂点はこの順なので、CC は対角線 BDBD について AA と反対側にある。その側の円周上の点 XX をとると、(1) を四角形 ABXDABXD に使って

∠BXD\displaystyle \angle BXD=180∘−∠BAD\displaystyle {}= 180^\circ - \angle BAD=∠BCD\displaystyle {}= \angle BCD

CC は BDBD について XX と同じ側にあるので、定理4 より、CC が円の内部なら ∠BCD\angle BCD>∠BXD{}> \angle BXD、外部なら ∠BCD\angle BCD<∠BXD{}< \angle BXD となって上の等式に反する。よって CC は円 OO の上にあり、四角形 ABCDABCD は円 OO に内接する。(証明終)

定理3 と定理6 (2) は、どちらも「定理4 で内側・外側を排除する」という同じ形の議論です。第1章から使ってきた同一法(結論を否定して、一意性に反することを示す)が、円でもそのまま働いています。

最後に、公式4 で「同じ側」が外せない理由を、定理4 の言葉で言い直しておきます。ABAB の一方の側で θ\theta の角に見える点の集まりは 1 本の円弧です。反対側にも同じ θ\theta に見える円弧がありますが、それは最初の円弧を直線 ABAB について折り返したもので、両者を合わせた図形は円ではありません(ABAB のところで折れ曲がっています)。CC と DD が別々の弧に乗っていると、角が等しくても同一円周上にはならないのです。

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