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第3章 チェバの定理・メネラウスの定理

—— 辺の比を一周する順に掛けると 1——3 本の線が集まるとき、1 本の線が横切るとき ——

三角形の 3 辺(またはその延長)の上に 1 つずつ点をとり、「頂点 → 点 → 頂点 → …」と一周する順に辺の比を掛けていくと、答えがぴったり 1 になる場面が 2 つあります。3 本の線が 1 点に集まるとき(チェバの定理)と、1 本の直線が 3 辺を横切るとき(メネラウスの定理)です。この章では、この 2 つの定理と、その逆を学びます。第1章の面積の比・平行線と線分の比が証明の道具になり、第2章の重心・内心が 1 点で交わる理由も、ここでまとめて説明できます。

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この章で使う記号と「一周する順」

この章では、△ABC\triangle ABC の辺 BCBC,CACA,ABAB(またはその延長)の上に、それぞれ点 DD,EE,FF をとります。辺やその延長の上にとったこれらの点を、ここでは分点と呼びます。

チェバの定理もメネラウスの定理も、主役は次の 3 つの比の積です。

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}

頂点 AA から出発して、AA→F{}\to F→B{}\to B→D{}\to D→C{}\to C→E{}\to E→A{}\to A と、頂点と分点を交互にたどりながら三角形を一周します。「頂点から分点まで」の長さを分子に、「分点から次の頂点まで」の長さを分母に置いていくと、この式ができます。どの頂点から始めても、どちら回りでも、たどる順を崩さなければ同じ式になります(逆回りなら 3 つとも逆数になるだけで、積が 11 であることは変わりません)。

ここで使う AFAF,FBFB などは、どれも長さ(正の数)です。分点が辺の延長上にあっても、長さはそのまま測ります。

チェバの定理——3 本の線が 1 点に集まるとき

△ABC\triangle ABC の内部に点 PP をとり、直線 APAP,BPBP,CPCP が向かいの辺と交わる点を DD,EE,FF とします。PP をどこにとっても、3 つの比の積は必ず 11 になります。

A B C D E F P A→F→B→D→C→E→A と一周:赤の長さを分子、緑の長さを分母に

理由は面積の比です。△ABP\triangle ABP と △ACP\triangle ACP は、辺 APAP を共通の底辺とする 2 つの三角形です。BB,CC から直線 ADAD に垂線 BHBH,CKCK を下ろすと、△BHD\triangle BHD と △CKD\triangle CKD は直角と対頂角が等しいので相似になり、BH:CKBH : CK=BD:DC{}= BD : DC。底辺が共通なら面積の比は高さの比なので

BDDC\displaystyle \frac{BD}{DC}=△ABP△ACP\displaystyle {}= \frac{\triangle ABP}{\triangle ACP}
A B C D P H K 底辺 AP が共通なので、面積の比は高さ BH : CK = BD : DC

同じように CEEA\dfrac{CE}{EA}=△BCP△BAP{}= \dfrac{\triangle BCP}{\triangle BAP},AFFB\dfrac{AF}{FB}=△CAP△CBP{}= \dfrac{\triangle CAP}{\triangle CBP} です。3 つを掛けると、分子と分母に同じ面積が 1 回ずつ現れて、すべて消えます。

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=△CAP△CBP⋅△ABP△ACP⋅△BCP△BAP\displaystyle {}= \frac{\triangle CAP}{\triangle CBP} \cdot \frac{\triangle ABP}{\triangle ACP} \cdot \frac{\triangle BCP}{\triangle BAP}=1\displaystyle {}= 1
公式1:チェバの定理

△ABC\triangle ABC の 3 つの頂点と、辺上にない点 PP を結ぶ直線 APAP,BPBP,CPCP が、向かいの辺またはその延長と、それぞれ点 DD,EE,FF で交わるとき

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=1\displaystyle {}= 1
  • 頂点 AA から AA→F{}\to F→B{}\to B→D{}\to D→C{}\to C→E{}\to E→A{}\to A と一周する順に掛けます。
  • 証明のかなめは BDDC\dfrac{BD}{DC}=△ABP△ACP{}= \dfrac{\triangle ABP}{\triangle ACP}(第1章 公式5 と同じ「高さの比」の考え方)です。
  • PP が三角形の外にあっても成り立ちます(図)。そのとき、分点のうち 2 つは辺の延長上に来ます。
A B C D E F P P が外にあると、D,F は辺の延長上(E だけが辺の上)

旅行で、手数料のかからない公正なレートで両替をするとします。円をドルに、ドルをユーロに、ユーロを円に戻すと、1 周して元の金額に戻ります。3 つのレートを掛けると 11 になるわけです。チェバの定理の 3 つの比も、正体は「面積の両替レート」でした。△CAP\triangle CAP を △CBP\triangle CBP に、△ABP\triangle ABP を △ACP\triangle ACP に……と換えていくと、三角形を 1 周したところで元の面積に戻ってきます。

3 本の線が 1 点で交わるとき、頂点と分点を交互にたどって一周する順に辺の比を掛けると 11 になる、ということです。

例題1:チェバの定理で比を求める

△ABC\triangle ABC の内部の点 PP に対し、直線 APAP,BPBP,CPCP と辺 BCBC,CACA,ABAB の交点を DD,EE,FF とします。AF:FBAF : FB=3:2{}= 3 : 2,BD:DCBD : DC=1:2{}= 1 : 2,CACA=14{}= 14 のとき、CE:EACE : EA と CECE の長さを求めなさい。


【解答】

チェバの定理(公式1)より

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=32⋅12⋅CEEA\displaystyle {}= \frac{3}{2} \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{CE}{EA}=1\displaystyle {}= 1⟹CEEA\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \frac{CE}{EA}=43\displaystyle {}= \frac{4}{3}

よって CE:EACE : EA=4:3‾{}= \underline{4 : 3}。CECE=14⋅47{}= 14 \cdot \dfrac{4}{7}=8‾{}= \underline{8}。

比を分数にするときは、図で「頂点 → 分点」が分子、「分点 → 頂点」が分母になっているかを指でなぞって確かめましょう。EACE\dfrac{EA}{CE} と逆にしてしまうのが、いちばん多い間違いです。

チェバの定理の逆——1 点で交わることを示す

チェバの定理は「1 点で交わる → 積が 1」でした。逆に「積が 1 → 1 点で交わる」も成り立ちます。

辺 BCBC,CACA,ABAB 上の点 DD,EE,FF について積が 11 だとします。BEBE と CFCF の交点を PP、直線 APAP と辺 BCBC の交点を D′D' とすると、チェバの定理から

AFFB⋅BD′D′C⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD'}{D'C} \cdot \frac{CE}{EA}=1\displaystyle {}= 1

仮定の式と比べると BD′D′C\dfrac{BD'}{D'C}=BDDC{}= \dfrac{BD}{DC}。辺 BCBC をこの比に内分する点はただ 1 つ(第1章の厳密定義ページ 定理1)なので D′D'=D{}= D。つまり ADAD も PP を通ります。

公式2:チェバの定理の逆

△ABC\triangle ABC の辺 BCBC,CACA,ABAB 上に、それぞれ点 DD,EE,FF があって

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=1\displaystyle {}= 1

が成り立つならば、3 直線 ADAD,BEBE,CFCF は 1 点で交わる。

  • 重心:DD,EE,FF が中点なら 1⋅1⋅11 \cdot 1 \cdot 1=1{}= 1 なので、3 本の中線は 1 点で交わります。
  • 内心:ADAD,BEBE,CFCF が角の二等分線なら、第1章 公式3 より BDDC\dfrac{BD}{DC}=cb{}= \dfrac{c}{b},CEEA\dfrac{CE}{EA}=ac{}= \dfrac{a}{c},AFFB\dfrac{AF}{FB}=ba{}= \dfrac{b}{a}。積は ba⋅cb⋅ac\dfrac{b}{a} \cdot \dfrac{c}{b} \cdot \dfrac{a}{c}=1{}= 1 なので、3 本の角の二等分線は 1 点で交わります。
  • 分点が延長上にある場合の逆は、3 本が平行になる例外があります(厳密定義ページ)。

第2章では、重心と内心が 1 点で交わることを別々の方法で示しました。チェバの定理の逆を使うと、どちらも「比の積が 1」を確かめるだけで済みます。垂心や内接円の接点についても、実践問題で同じように示します。

2 人の友だちが、ある交差点で落ち合ったとします。3 人目も同じ交差点に来るでしょうか。実際に歩いてもらわなくても、3 人目の出発点と道の向きが分かれば、地図の上の計算で判定できます。チェバの定理の逆は、その判定の計算が「比の積が 1 かどうか」になる、ということを言っています。

辺上の 3 点で比の積が 11 になれば、3 本の線は 1 点で交わる、ということです。「1 点で交わること」を示すときの道具になります。

例題2:3 本の線が 1 点で交わることを示す

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB,ACAC 上に、AF:FBAF : FB=AE:EC{}= AE : EC=2:1{}= 2 : 1 となる点 FF,EE をとり、辺 BCBC の中点を DD とします。3 直線 ADAD,BEBE,CFCF が 1 点で交わることを示しなさい。

A B C F E D P EF ∥ BC なら、BE と CF の交点 P は中線 AD の上にある

【解答】

DD,EE,FF はそれぞれ辺 BCBC,CACA,ABAB 上の点で

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=21⋅11⋅12\displaystyle {}= \frac{2}{1} \cdot \frac{1}{1} \cdot \frac{1}{2}=1\displaystyle {}= 1

よって、チェバの定理の逆(公式2)より、3 直線 ADAD,BEBE,CFCF は 1 点で交わる。(証明終)

AF:FBAF : FB=AE:EC{}= AE : EC なので、第1章 公式1 より FEFE∥BC{}\parallel BC です。一般に、FEFE∥BC{}\parallel BC なら AFFB⋅CEEA\dfrac{AF}{FB} \cdot \dfrac{CE}{EA}=1{}= 1 なので、積が 11 になるのは BDBD=DC{}= DC のときだけ。つまり、「台形 FBCEFBCE の対角線の交点と頂点 AA を結ぶ直線は、底辺 BCBC の中点を通る」ことが分かります。

メネラウスの定理——1 本の直線が三角形を横切るとき

今度は点 PP のかわりに、1 本の直線 ℓ\ell を考えます。ℓ\ell が △ABC\triangle ABC のどの頂点も通らず、直線 BCBC,CACA,ABAB とそれぞれ点 DD,EE,FF で交わるとします。すると、チェバの定理とまったく同じ形の式が成り立ちます。

A B C F E D ℓ BD DC A→F→B→D→C→E→A と一周:D は延長上でも同じ順に掛ける

証明には、第1章の「平行線と線分の比」を使います。CC を通り ℓ\ell に平行な直線を引き、辺 ABAB との交点を KK とします。

A B C F E D K CK ∥ ℓ から BD : DC = BF : FK,CE : EA = KF : FA

BB から出る 2 直線 BABA,BCBC を平行な 2 直線 FDFD,KCKC が切るので、BD:DCBD : DC=BF:FK{}= BF : FK。AA から出る 2 直線 ABAB,ACAC を平行な 2 直線 FEFE,KCKC が切るので、CE:EACE : EA=KF:FA{}= KF : FA。これを代入すると

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=AFFB⋅BFFK⋅KFFA\displaystyle {}= \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BF}{FK} \cdot \frac{KF}{FA}=1\displaystyle {}= 1

第1章では、こうした比の問題を面積の比で解きました。メネラウスの定理は、その計算を「平行線を 1 本引く」ことで一度に済ませた形です。

公式3:メネラウスの定理

△ABC\triangle ABC の頂点を通らない直線 ℓ\ell が、直線 BCBC,CACA,ABAB とそれぞれ点 DD,EE,FF で交わるとき

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=1\displaystyle {}= 1
  • 式の形はチェバの定理と同じで、たどる順も同じ(AA→F{}\to F→B{}\to B→D{}\to D→C{}\to C→E{}\to E→A{}\to A)です。
  • ℓ\ell は、2 辺の内部と残り 1 辺の延長を通るか、3 辺すべての延長を通ります。延長上にある分点は 1 個か 3 個です。
  • 問題で使うときは、図の中から「三角形 1 つと、それを横切る直線 1 本」を見つけ出すのが仕事です。

三角形の形をした散歩道を、まっすぐな川が横切っているとします。川には橋が 3 つ架かっていて、そのうち 1 つは、道を延ばした先にあります。AA を出発して橋 FF を渡り BB へ。BB からは CC を通り過ぎて延長上の橋 DD まで行き、引き返して CC へ。CC から橋 EE を渡って AA に戻ります。「頂点 → 橋 → 頂点」の区間を交互に分子・分母に置く、というたどり方は、延長上の橋でも変わりません。行き過ぎて引き返す区間があるだけです。

1 本の直線が三角形の 3 辺(または延長)を横切るとき、頂点と交点を交互にたどって一周する順に比を掛けると 11 になる、ということです。

例題3:メネラウスの定理で線分の比を求める

△ABC\triangle ABC の辺 BCBC を 3:23 : 2 に内分する点を DD、辺 CACA 上の AE:ECAE : EC=1:2{}= 1 : 2 となる点を EE とし、線分 ADAD と BEBE の交点を PP とします。AP:PDAP : PD と BP:PEBP : PE を求めなさい。

A B C D E P 緑の △ADC を、赤の直線 B→P→E が横切る(B は DC の延長上)

【解答】

(AP:PDAP : PD)△ADC\triangle ADC と直線 BEBE にメネラウスの定理を使います。直線 BEBE は、辺 ADAD と PP で、辺 CACA と EE で、辺 DCDC の延長と BB で交わるので、AA→P{}\to P→D{}\to D→B{}\to B→C{}\to C→E{}\to E→A{}\to A とたどって

APPD⋅DBBC⋅CEEA\displaystyle \frac{AP}{PD} \cdot \frac{DB}{BC} \cdot \frac{CE}{EA}=1\displaystyle {}= 1⟹APPD⋅35⋅21\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \frac{AP}{PD} \cdot \frac{3}{5} \cdot \frac{2}{1}=1\displaystyle {}= 1

APPD\dfrac{AP}{PD}=56{}= \dfrac{5}{6} なので AP:PDAP : PD=5:6‾{}= \underline{5 : 6}。

(BP:PEBP : PE)△BCE\triangle BCE と直線 ADAD に使います。BB→P{}\to P→E{}\to E→A{}\to A→C{}\to C→D{}\to D→B{}\to B とたどって

BPPE⋅EAAC⋅CDDB\displaystyle \frac{BP}{PE} \cdot \frac{EA}{AC} \cdot \frac{CD}{DB}=1\displaystyle {}= 1⟹BPPE⋅13⋅23\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \frac{BP}{PE} \cdot \frac{1}{3} \cdot \frac{2}{3}=1\displaystyle {}= 1

BPPE\dfrac{BP}{PE}=92{}= \dfrac{9}{2} なので BP:PEBP : PE=9:2‾{}= \underline{9 : 2}。

求めたい比(AP:PDAP : PD)の両端 AA,DD を頂点にもつ三角形を選び、残りの点を通る直線を探す——これがメネラウスの定理の使い方の基本です。DBDB や BCBC のように延長をまたぐ長さは、BD:DCBD : DC=3:2{}= 3 : 2 から DBDB=3{}= 3,BCBC=5{}= 5 と数えます。

メネラウスの定理の逆——3 点が一直線に並ぶことを示す

メネラウスの定理にも逆があります。「3 点が一直線上にある」ことを示したいとき、直線を実際に引かなくても、比の計算だけで済ませられます。

辺 CACA,ABAB 上に EE,FF があり、辺 BCBC の延長上に DD があって、積が 11 だとします。直線 EFEF と直線 BCBC の交点を D′D' とすると(EFEF∥BC{}\parallel BC にならないことは厳密定義ページで確かめます)、メネラウスの定理から BD′D′C\dfrac{BD'}{D'C}=BDDC{}= \dfrac{BD}{DC}。DD も D′D' も辺 BCBC の延長上にあり、同じ比に外分する点はただ 1 つなので、D′D'=D{}= D です。

公式4:メネラウスの定理の逆

△ABC\triangle ABC の直線 BCBC,CACA,ABAB 上に、それぞれ頂点と異なる点 DD,EE,FF があり、そのうち 1 個または 3 個が辺の延長上にあって

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=1\displaystyle {}= 1

が成り立つならば、3 点 DD,EE,FF は一直線上にある。

  • 「延長上に 1 個か 3 個」の条件を落とさないこと。3 つとも辺の上にあって積が 11 なら、それはチェバの定理の逆の状況で、DD,EE,FF は一直線に並びません。
  • 同じ式が、分点の位置によって「1 点で交わる」(チェバ)と「一直線に並ぶ」(メネラウス)の両方を表しています。

広い原っぱに、3 本の杭が打ってあるとします。一直線に並んでいるかを確かめるには、ふつうは糸を張ってみます。けれども、杭どうしの位置関係が地図の上で比として分かっていれば、糸を張らなくても計算だけで判定できます。メネラウスの定理の逆は、そういう「計算による測量」の道具です。

延長上の分点が 1 個か 3 個で、一周する順の比の積が 11 なら、3 つの分点は一直線上に並ぶ、ということです。

例題4:3 点が一直線上にあることを示す

ABAB≠AC{}\neq AC の △ABC\triangle ABC で、∠B\angle B,∠C\angle C の二等分線が辺 CACA,ABAB と交わる点をそれぞれ EE,FF とし、∠A\angle A の外角の二等分線が直線 BCBC と交わる点を DD とします。3 点 DD,EE,FF が一直線上にあることを示しなさい。

A B C E F D AB = 3,BC = 8,CA = 9 の場合(赤の点線が D,F,E を通る) 橙:∠A の外角の二等分線 緑:∠B,∠C の二等分線

【解答】

aa=BC{}= BC,bb=CA{}= CA,cc=AB{}= AB とします。第1章 公式3(内角の二等分線と比)より

CEEA\displaystyle \frac{CE}{EA}=BCBA\displaystyle {}= \frac{BC}{BA}=ac,\displaystyle {}= \frac{a}{c},AFFB\displaystyle \frac{AF}{FB}=CACB\displaystyle {}= \frac{CA}{CB}=ba\displaystyle {}= \frac{b}{a}

第1章 公式4(外角の二等分線と比)より、DD は辺 BCBC を AB:ACAB : AC に外分するので

BDDC\displaystyle \frac{BD}{DC}=cb\displaystyle {}= \frac{c}{b}

よって

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=ba⋅cb⋅ac\displaystyle {}= \frac{b}{a} \cdot \frac{c}{b} \cdot \frac{a}{c}=1\displaystyle {}= 1

EE,FF は辺の上、DD は辺 BCBC の延長上にある(延長上は 1 個)ので、メネラウスの定理の逆(公式4)より、3 点 DD,EE,FF は一直線上にある。(証明終)

ABAB=AC{}= AC だと、∠A\angle A の外角の二等分線は BCBC に平行になり、DD ができません。問題文の「ABAB≠AC{}\neq AC」はそのための条件です。3 つの外角の二等分線と向かいの辺の延長の交点も、同じ計算(延長上が 3 個)で一直線に並ぶことが示せます。

2 つの定理の使い分け

チェバの定理とメネラウスの定理は式の形が同じなので、どちらを使うかは「図の中に何を見つけるか」で決まります。

知りたいこと使う定理図の中の目印
3 辺の分点の比チェバの定理頂点から出る 3 本の線が 1 点に集まっている
1 本の線分の上の比(AP:PDAP : PD など)メネラウスの定理その線分の両端を頂点にもつ三角形と、それを横切る直線
3 本の線が 1 点で交わることチェバの定理の逆分点がすべて辺の上
3 点が一直線に並ぶことメネラウスの定理の逆延長上の分点が 1 個か 3 個

線分の比が分かれば、第1章 公式5 で面積の比に進めます。「チェバで辺の比 → メネラウスで線分の比 → 高さの比で面積」が、この分野の典型的な流れです。

3 本の線の集まりにはチェバ、1 本の線分の比にはメネラウスを使い、得られた比を面積の比につなげる、ということです。

例題5:2 つの定理を使って面積を求める

面積 3030 の △ABC\triangle ABC で、辺 ABAB の中点を FF、辺 BCBC を 1:21 : 2 に内分する点を DD とし、線分 ADAD と CFCF の交点を PP とします。CP:PFCP : PF,AP:PDAP : PD と、△APC\triangle APC の面積を求めなさい。

A B C D F P AF = FB,BD : DC = 1 : 2。赤の △APC の面積は?

【解答】

(CP:PFCP : PF)△BCF\triangle BCF と直線 ADAD にメネラウスの定理を使います。BB→D{}\to D→C{}\to C→P{}\to P→F{}\to F→A{}\to A→B{}\to B とたどって

BDDC⋅CPPF⋅FAAB\displaystyle \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CP}{PF} \cdot \frac{FA}{AB}=1\displaystyle {}= 1⟹12⋅CPPF⋅12\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \frac{1}{2} \cdot \frac{CP}{PF} \cdot \frac{1}{2}=1\displaystyle {}= 1

よって CP:PFCP : PF=4:1‾{}= \underline{4 : 1}。

(AP:PDAP : PD)△ABD\triangle ABD と直線 CFCF に使います。AA→F{}\to F→B{}\to B→C{}\to C→D{}\to D→P{}\to P→A{}\to A とたどって

AFFB⋅BCCD⋅DPPA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BC}{CD} \cdot \frac{DP}{PA}=1\displaystyle {}= 1⟹1⋅32⋅DPPA\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad 1 \cdot \frac{3}{2} \cdot \frac{DP}{PA}=1\displaystyle {}= 1

DPPA\dfrac{DP}{PA}=23{}= \dfrac{2}{3} なので AP:PDAP : PD=3:2‾{}= \underline{3 : 2}。

(面積)BD:DCBD : DC=1:2{}= 1 : 2 より △ADC\triangle ADC=23⋅30{}= \dfrac{2}{3} \cdot 30=20{}= 20。△APC\triangle APC と △ADC\triangle ADC は CC からの高さが共通で、底辺の比は AP:ADAP : AD=3:5{}= 3 : 5 なので

△APC\displaystyle \triangle APC=35⋅20\displaystyle {}= \frac{3}{5} \cdot 20=12‾\displaystyle {}= \underline{12}

確かめ:△AFC\triangle AFC=12⋅30{}= \dfrac{1}{2} \cdot 30=15{}= 15 で、CP:CFCP : CF=4:5{}= 4 : 5 から △APC\triangle APC=45⋅15{}= \dfrac{4}{5} \cdot 15=12{}= 12。2 通りで一致します。

次の章へ

この章では、三角形と直線が作る「比」を扱いました。次の第4章「円周角と円に内接する四角形」からは、円が主役です。第2章で予告した「中心角は円周角の 2 倍」や、「4 点が 1 つの円の上にある」ための条件を学びます。第5章の方べきの定理では、この章と同じように、円と直線が作る線分の長さの関係が再び登場します。

基礎確認問題(全5問)

まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。

問1

△ABC\triangle ABC の内部の点 PP に対し、直線 APAP,BPBP,CPCP と辺 BCBC,CACA,ABAB の交点を DD,EE,FF とします。AF:FBAF : FB=2:3{}= 2 : 3,BD:DCBD : DC=3:4{}= 3 : 4 のとき、CE:EACE : EA を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

CE:EACE : EA=2:1‾{}= \underline{2 : 1}(チェバの定理 23⋅34⋅CEEA\dfrac{2}{3} \cdot \dfrac{3}{4} \cdot \dfrac{CE}{EA}=1{}= 1 より CEEA\dfrac{CE}{EA}=2{}= 2)

自己採点:
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問2

△ABC\triangle ABC の辺 BCBC,CACA,ABAB 上の点 DD,EE,FF が BD:DCBD : DC=2:1{}= 2 : 1,CE:EACE : EA=1:1{}= 1 : 1,AF:FBAF : FB=1:2{}= 1 : 2 を満たしています。AFFB⋅BDDC⋅CEEA\dfrac{AF}{FB} \cdot \dfrac{BD}{DC} \cdot \dfrac{CE}{EA} の値を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

1‾\underline{1}(12⋅2⋅1\dfrac{1}{2} \cdot 2 \cdot 1。チェバの定理の逆より ADAD,BEBE,CFCF は 1 点で交わる)

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問3

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB,ACAC 上に AF:FBAF : FB=1:2{}= 1 : 2,AE:ECAE : EC=1:3{}= 1 : 3 となる点 FF,EE をとり、直線 FEFE と辺 BCBC の延長の交点を DD とします。BD:DCBD : DC を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

BD:DCBD : DC=2:3‾{}= \underline{2 : 3}(メネラウスの定理 12⋅BDDC⋅31\dfrac{1}{2} \cdot \dfrac{BD}{DC} \cdot \dfrac{3}{1}=1{}= 1。DD は BB の側の延長上)

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問4

△ABC\triangle ABC の辺 BCBC を CC の先へ延長し、CDCD=BC{}= BC となる点 DD をとります。辺 CACA の中点を EE、直線 DEDE と辺 ABAB の交点を FF とするとき、AF:FBAF : FB を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

AF:FBAF : FB=1:2‾{}= \underline{1 : 2}(BD:DCBD : DC=2:1{}= 2 : 1 なので AFFB⋅21⋅11\dfrac{AF}{FB} \cdot \dfrac{2}{1} \cdot \dfrac{1}{1}=1{}= 1)

自己採点:
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問5

△ABC\triangle ABC の内部の点 PP について、直線 APAP と辺 BCBC の交点を DD とします。△ABP:△ACP\triangle ABP : \triangle ACP=2:3{}= 2 : 3 のとき、BD:DCBD : DC を求めなさい。

つまずいたときは:
答えを見る
答え

BD:DCBD : DC=2:3‾{}= \underline{2 : 3}(底辺 APAP が共通なので、面積の比は BB,CC から直線 ADAD までの高さの比で、それは BD:DCBD : DC に等しい)

自己採点:
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実践問題(全20問)

難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。

問1 ★

△ABC\triangle ABC の内部の点 PP に対し、直線 APAP,BPBP,CPCP と辺 BCBC,CACA,ABAB の交点を DD,EE,FF とします。AF:FBAF : FB=3:2{}= 3 : 2,CE:EACE : EA=1:2{}= 1 : 2,BCBC=14{}= 14 のとき、BDBD の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
答えを見る
答え

BDBD=8{}= 8

解説

チェバの定理より

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=32⋅BDDC⋅12\displaystyle {}= \frac{3}{2} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{1}{2}=1\displaystyle {}= 1⟹BDDC\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \frac{BD}{DC}=43\displaystyle {}= \frac{4}{3}

BD:DCBD : DC=4:3{}= 4 : 3 なので BDBD=14⋅47{}= 14 \cdot \dfrac{4}{7}=8‾{}= \underline{8}。

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問2 ★

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB,ACAC 上に AF:FBAF : FB=3:1{}= 3 : 1,AE:ECAE : EC=2:3{}= 2 : 3 となる点 FF,EE をとり、直線 FEFE と直線 BCBC の交点を DD とします。BCBC=14{}= 14 のとき、DD が辺 BCBC の BB の側と CC の側のどちらの延長上にあるかを答え、BDBD の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
答えを見る
答え

BB の側の延長上,BDBD=4{}= 4

解説

△ABC\triangle ABC と直線 FEFE にメネラウスの定理を使うと

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=31⋅BDDC⋅32\displaystyle {}= \frac{3}{1} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{3}{2}=1\displaystyle {}= 1⟹BDDC\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \frac{BD}{DC}=29\displaystyle {}= \frac{2}{9}

BDBD<DC{}< DC なので、DD は BB に近い側、つまり B の側の延長上‾\underline{B \text{ の側の延長上}} にあります。

BDBD=2k{}= 2k,DCDC=9k{}= 9k とおくと、外分なので BCBC=DC{}= DC−BD{}- BD=7k{}= 7k=14{}= 14、kk=2{}= 2。よって BDBD=4‾{}= \underline{4}。

「外分は差が全体」(第1章 公式2)で立式します。

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問3 ★

△ABC\triangle ABC の辺 BCBC 上に BD:DCBD : DC=2:3{}= 2 : 3 となる点 DD、辺 CACA 上に CE:EACE : EA=1:2{}= 1 : 2 となる点 EE をとり、ADAD と BEBE の交点を PP とします。直線 CPCP と辺 ABAB の交点を FF とするとき、AF:FBAF : FB を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

AF:FBAF : FB=3:1{}= 3 : 1

解説

3 直線 ADAD,BEBE,CFCF は PP で交わるので、チェバの定理より

AFFB⋅23⋅12\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{2}{3} \cdot \frac{1}{2}=1\displaystyle {}= 1⟹AFFB\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \frac{AF}{FB}=3\displaystyle {}= 3

よって AF:FBAF : FB=3:1‾{}= \underline{3 : 1}。

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問4 ★

△ABC\triangle ABC の辺 BCBC を 1:21 : 2 に内分する点を DD、辺 CACA の中点を EE とし、ADAD と BEBE の交点を PP とします。AP:PDAP : PD と BP:PEBP : PE を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

AP:PDAP : PD=3:1{}= 3 : 1,BP:PEBP : PE=1:1{}= 1 : 1

解説

(AP:PDAP : PD)△ADC\triangle ADC と直線 BEBE にメネラウスの定理を使います。BB は辺 DCDC の延長上で、DB:BCDB : BC=1:3{}= 1 : 3 なので

APPD⋅DBBC⋅CEEA\displaystyle \frac{AP}{PD} \cdot \frac{DB}{BC} \cdot \frac{CE}{EA}=APPD⋅13⋅11\displaystyle {}= \frac{AP}{PD} \cdot \frac{1}{3} \cdot \frac{1}{1}=1\displaystyle {}= 1⟹AP:PD\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad AP : PD=3:1‾\displaystyle {}= \underline{3 : 1}

(BP:PEBP : PE)△BCE\triangle BCE と直線 ADAD に使います。AA は辺 CECE の延長上で、EA:ACEA : AC=1:2{}= 1 : 2 なので

BPPE⋅EAAC⋅CDDB\displaystyle \frac{BP}{PE} \cdot \frac{EA}{AC} \cdot \frac{CD}{DB}=BPPE⋅12⋅21\displaystyle {}= \frac{BP}{PE} \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{2}{1}=1\displaystyle {}= 1⟹BP:PE\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad BP : PE=1:1‾\displaystyle {}= \underline{1 : 1}

PP は BEBE の中点になっています。

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問5 ★

△ABC\triangle ABC の重心を GG、辺 BCBC,ABAB の中点をそれぞれ DD,FF とします。△ABD\triangle ABD と直線 CFCF にメネラウスの定理を使って、AG:GDAG : GD を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

AG:GDAG : GD=2:1{}= 2 : 1

解説

直線 CFCF は、辺 ABAB と FF で、辺 BDBD の延長と CC で、辺 DADA と GG で交わります。AA→F{}\to F→B{}\to B→C{}\to C→D{}\to D→G{}\to G→A{}\to A とたどると、BC:CDBC : CD=2:1{}= 2 : 1 なので

AFFB⋅BCCD⋅DGGA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BC}{CD} \cdot \frac{DG}{GA}=1⋅21⋅DGGA\displaystyle {}= 1 \cdot \frac{2}{1} \cdot \frac{DG}{GA}=1\displaystyle {}= 1⟹DGGA\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \frac{DG}{GA}=12\displaystyle {}= \frac{1}{2}

よって AG:GDAG : GD=2:1‾{}= \underline{2 : 1}。第2章 公式4 の「重心は中線を 2:12 : 1 に分ける」が、メネラウスの定理から一行で出ました。

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問6 ★

ABAB=6{}= 6,BCBC=7{}= 7,CACA=8{}= 8 の △ABC\triangle ABC で、辺 BCBC 上に BDBD=3{}= 3 となる点 DD をとり、辺 ABAB の中点を FF とします。辺 CACA 上の点 EE を、3 直線 ADAD,BEBE,CFCF が 1 点で交わるように定めるとき、CECE の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

CECE=327{}= \dfrac{32}{7}

解説

3 直線が 1 点で交わるための条件は、チェバの定理とその逆より

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=1\displaystyle {}= 1

AFFB\dfrac{AF}{FB}=1{}= 1,BDDC\dfrac{BD}{DC}=34{}= \dfrac{3}{4} なので CEEA\dfrac{CE}{EA}=43{}= \dfrac{4}{3}。CACA=8{}= 8 を 4:34 : 3 に分けて

CE\displaystyle CE=8⋅47\displaystyle {}= 8 \cdot \frac{4}{7}=327‾\displaystyle {}= \underline{\frac{32}{7}}
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問7 ★

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB を 2:12 : 1 に内分する点を FF、辺 ACAC の中点を EE とし、直線 FEFE と直線 BCBC の交点を DD とします。BCBC=6{}= 6 のとき、CDCD の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

CDCD=12{}= 12

解説

メネラウスの定理より

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=21⋅BDDC⋅11\displaystyle {}= \frac{2}{1} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{1}{1}=1\displaystyle {}= 1⟹BD:DC\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad BD : DC=1:2\displaystyle {}= 1 : 2

BDBD<DC{}< DC なので DD は BB の側の延長上です。BDBD=k{}= k,DCDC=2k{}= 2k とおくと BCBC=DC{}= DC−BD{}- BD=k{}= k=6{}= 6。よって CDCD=12‾{}= \underline{12}(BB は DCDC の中点)。

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問8 ★

面積 4040 の △ABC\triangle ABC の内部の点 PP に対し、直線 APAP,BPBP,CPCP と辺 BCBC,CACA,ABAB の交点を DD,EE,FF とします。BD:DCBD : DC=2:1{}= 2 : 1,CE:EACE : EA=3:2{}= 3 : 2 のとき、AF:FBAF : FB と △AFC\triangle AFC の面積を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

AF:FBAF : FB=1:3{}= 1 : 3,△AFC\triangle AFC=10{}= 10

解説

チェバの定理より

AFFB⋅21⋅32\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{2}{1} \cdot \frac{3}{2}=1\displaystyle {}= 1⟹AF:FB\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad AF : FB=1:3‾\displaystyle {}= \underline{1 : 3}

△AFC\triangle AFC と △ABC\triangle ABC は CC からの高さが共通なので、面積の比は AF:ABAF : AB=1:4{}= 1 : 4(第1章 公式5)。

△AFC\displaystyle \triangle AFC=40⋅14\displaystyle {}= 40 \cdot \frac{1}{4}=10‾\displaystyle {}= \underline{10}
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問9 ★★

△ABC\triangle ABC の内部の点 PP に対し、直線 APAP,BPBP,CPCP と辺 BCBC,CACA,ABAB の交点を DD,EE,FF とします。AF:FBAF : FB=2:3{}= 2 : 3,BD:DCBD : DC=1:2{}= 1 : 2 のとき、CE:EACE : EA と、面積の比 △PBC:△PCA:△PAB\triangle PBC : \triangle PCA : \triangle PAB を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

CE:EACE : EA=3:1{}= 3 : 1,△PBC:△PCA:△PAB\triangle PBC : \triangle PCA : \triangle PAB=3:2:1{}= 3 : 2 : 1

解説

チェバの定理より 23⋅12⋅CEEA\dfrac{2}{3} \cdot \dfrac{1}{2} \cdot \dfrac{CE}{EA}=1{}= 1、CE:EACE : EA=3:1‾{}= \underline{3 : 1}。

面積を △PBC\triangle PBC=α{}= \alpha,△PCA\triangle PCA=β{}= \beta,△PAB\triangle PAB=γ{}= \gamma とおきます。公式1 の証明と同じく、底辺 APAP が共通な 2 つの三角形の面積の比は BD:DCBD : DC なので

BDDC\displaystyle \frac{BD}{DC}=△PAB△PCA\displaystyle {}= \frac{\triangle PAB}{\triangle PCA}=γβ\displaystyle {}= \frac{\gamma}{\beta}=12,\displaystyle {}= \frac{1}{2},AFFB\displaystyle \frac{AF}{FB}=△PCA△PBC\displaystyle {}= \frac{\triangle PCA}{\triangle PBC}=βα\displaystyle {}= \frac{\beta}{\alpha}=23\displaystyle {}= \frac{2}{3}

β\beta=2{}= 2 とすると γ\gamma=1{}= 1,α\alpha=3{}= 3 なので、△PBC:△PCA:△PAB\triangle PBC : \triangle PCA : \triangle PAB=3:2:1‾{}= \underline{3 : 2 : 1}。

確かめ:CEEA\dfrac{CE}{EA}=△PBC△PAB{}= \dfrac{\triangle PBC}{\triangle PAB}=αγ{}= \dfrac{\alpha}{\gamma}=3{}= 3 で、チェバの定理の答えと一致します。

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問10 ★★

△ABC\triangle ABC の辺 BCBC を CC の先へ延長して BD:DCBD : DC=2:1{}= 2 : 1 となる点 DD を、辺 CACA を AA の先へ延長して CE:EACE : EA=3:1{}= 3 : 1 となる点 EE をとり、直線 ADAD と BEBE の交点を PP とします。直線 CPCP と直線 ABAB の交点を FF とするとき、AF:FBAF : FB を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

AF:FBAF : FB=1:6{}= 1 : 6(FF は辺 ABAB 上)

解説

DD,EE が辺の延長上にあるので、PP は三角形の外にあります。チェバの定理は PP が外にあっても長さの比で成り立つ(公式1)ので

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=AFFB⋅21⋅31\displaystyle {}= \frac{AF}{FB} \cdot \frac{2}{1} \cdot \frac{3}{1}=1\displaystyle {}= 1⟹AFFB\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \frac{AF}{FB}=16\displaystyle {}= \frac{1}{6}

PP が外にあるとき、延長上に来る分点はちょうど 2 つです(厳密定義ページ 定理3 の符号)。DD,EE がその 2 つなので、FF は辺 ABAB 上にあり、AF:FBAF : FB=1:6‾{}= \underline{1 : 6}。

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問11 ★★

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB 上に AF:FBAF : FB=2:3{}= 2 : 3 となる点 FF、辺 CACA 上に CE:EACE : EA=3:1{}= 3 : 1 となる点 EE、辺 BCBC を BB の先へ延長して BD:DCBD : DC=1:2{}= 1 : 2 となる点 DD をとります。3 点 DD,EE,FF が一直線上にあることを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\dfrac{AF}{FB} \cdot \dfrac{BD}{DC} \cdot \dfrac{CE}{EA}=23⋅12⋅3{}= \dfrac{2}{3} \cdot \dfrac{1}{2} \cdot 3=1{}= 1 で、延長上の点は DD の 1 個なので、メネラウスの定理の逆より一直線上にある。

解説

AA→F{}\to F→B{}\to B→D{}\to D→C{}\to C→E{}\to E→A{}\to A の順に比を掛けると

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=23⋅12⋅31\displaystyle {}= \frac{2}{3} \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{3}{1}=1\displaystyle {}= 1

FF,EE は辺の上、DD は辺 BCBC の延長上にあり、延長上の点は 1 個である。よって、メネラウスの定理の逆(公式4)より、3 点 DD,EE,FF は一直線上にある。

(証明終)同じ比でも、DD を辺 BCBC 上(BD:DCBD : DC=1:2{}= 1 : 2 の内分点)にとると積は同じ 11 ですが、今度はチェバの定理の逆の状況になり、ADAD,BEBE,CFCF が 1 点で交わります。

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問12 ★★

△ABC\triangle ABC の辺 BCBC の中点を DD、線分 ADAD を 1:21 : 2 に内分する点を EE とし、直線 BEBE と辺 ACAC の交点を FF とします。AF:FCAF : FC を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

AF:FCAF : FC=1:4{}= 1 : 4

解説

求めたい比は辺 ACAC 上にあり、分かっている比は ADAD 上と BCBC 上にあるので、△ADC\triangle ADC と直線 BFBF を使います。直線 BFBF は、辺 ADAD と EE で、辺 DCDC の延長と BB で、辺 CACA と FF で交わります。DB:BCDB : BC=1:2{}= 1 : 2 なので

AEED⋅DBBC⋅CFFA\displaystyle \frac{AE}{ED} \cdot \frac{DB}{BC} \cdot \frac{CF}{FA}=12⋅12⋅CFFA\displaystyle {}= \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{CF}{FA}=1\displaystyle {}= 1⟹CFFA\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \frac{CF}{FA}=4\displaystyle {}= 4

よって AF:FCAF : FC=1:4‾{}= \underline{1 : 4}。

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問13 ★★

△ABC\triangle ABC の辺 BCBC を 2:32 : 3 に内分する点を DD、辺 ABAB を 2:12 : 1 に内分する点を FF とし、ADAD と CFCF の交点を PP とします。直線 BPBP と辺 CACA の交点を EE とするとき、CE:EACE : EA と CP:PFCP : PF を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

CE:EACE : EA=3:4{}= 3 : 4,CP:PFCP : PF=9:4{}= 9 : 4

解説

(CE:EACE : EA)チェバの定理より

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=21⋅23⋅CEEA\displaystyle {}= \frac{2}{1} \cdot \frac{2}{3} \cdot \frac{CE}{EA}=1\displaystyle {}= 1⟹CE:EA\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad CE : EA=3:4‾\displaystyle {}= \underline{3 : 4}

(CP:PFCP : PF)△BCF\triangle BCF と直線 ADAD にメネラウスの定理を使います。BB→D{}\to D→C{}\to C→P{}\to P→F{}\to F→A{}\to A→B{}\to B とたどり、FA:ABFA : AB=2:3{}= 2 : 3 なので

BDDC⋅CPPF⋅FAAB\displaystyle \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CP}{PF} \cdot \frac{FA}{AB}=23⋅CPPF⋅23\displaystyle {}= \frac{2}{3} \cdot \frac{CP}{PF} \cdot \frac{2}{3}=1\displaystyle {}= 1⟹CP:PF\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad CP : PF=9:4‾\displaystyle {}= \underline{9 : 4}

「辺の比はチェバ、線分 CFCF の上の比はメネラウス」と使い分けます。

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問14 ★★

面積 6060 の △ABC\triangle ABC で、辺 ABAB の中点を FF、辺 ACAC を 2:12 : 1 に内分する点を EE とし、BEBE と CFCF の交点を PP とします。△PBC\triangle PBC の面積と、四角形 AFPEAFPE の面積を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

△PBC\triangle PBC=15{}= 15,四角形 AFPEAFPE=25{}= 25

解説

△ABE\triangle ABE と直線 CFCF にメネラウスの定理を使います。AA→F{}\to F→B{}\to B→P{}\to P→E{}\to E→C{}\to C→A{}\to A とたどり、EC:CAEC : CA=1:3{}= 1 : 3 なので

AFFB⋅BPPE⋅ECCA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BP}{PE} \cdot \frac{EC}{CA}=1⋅BPPE⋅13\displaystyle {}= 1 \cdot \frac{BP}{PE} \cdot \frac{1}{3}=1\displaystyle {}= 1⟹BP:PE\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad BP : PE=3:1\displaystyle {}= 3 : 1

AE:ECAE : EC=2:1{}= 2 : 1 より △EBC\triangle EBC=13⋅60{}= \dfrac{1}{3} \cdot 60=20{}= 20,△ABE\triangle ABE=40{}= 40。

△PBC\displaystyle \triangle PBC=34 △EBC\displaystyle {}= \frac{3}{4}\,\triangle EBC=15‾\displaystyle {}= \underline{15}

△ABP\triangle ABP=34 △ABE{}= \dfrac{3}{4}\,\triangle ABE=30{}= 30 で、FF は ABAB の中点なので △FBP\triangle FBP=15{}= 15。四角形 AFPEAFPE=△ABE{}= \triangle ABE−△FBP{}- \triangle FBP=40{}= 40−15{}- 15=25‾{}= \underline{25}。

確かめ:△PEC\triangle PEC=14⋅20{}= \dfrac{1}{4} \cdot 20=5{}= 5 で、1515+15{}+ 15+25{}+ 25+5{}+ 5=60{}= 60。

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問15 ★★

△ABC\triangle ABC の内接円が、辺 BCBC,CACA,ABAB とそれぞれ点 PP,QQ,RR で接しています。3 直線 APAP,BQBQ,CRCR が 1 点で交わることを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

接線の長さから ARAR=AQ{}= AQ,BPBP=BR{}= BR,CQCQ=CP{}= CP なので ARRB⋅BPPC⋅CQQA\dfrac{AR}{RB} \cdot \dfrac{BP}{PC} \cdot \dfrac{CQ}{QA}=1{}= 1。チェバの定理の逆より 1 点で交わる。

解説

円の外の点から引いた 2 本の接線の長さは等しいので(第2章 公式2 (3))

AR\displaystyle AR=AQ\displaystyle {}= AQ=x,\displaystyle {}= x,BP\displaystyle BP=BR\displaystyle {}= BR=y,\displaystyle {}= y,CQ\displaystyle CQ=CP\displaystyle {}= CP=z\displaystyle {}= z

とおける。PP,QQ,RR はそれぞれ辺 BCBC,CACA,ABAB 上の点で

ARRB⋅BPPC⋅CQQA\displaystyle \frac{AR}{RB} \cdot \frac{BP}{PC} \cdot \frac{CQ}{QA}=xy⋅yz⋅zx\displaystyle {}= \frac{x}{y} \cdot \frac{y}{z} \cdot \frac{z}{x}=1\displaystyle {}= 1

よって、チェバの定理の逆(公式2)より、3 直線 APAP,BQBQ,CRCR は 1 点で交わる。

(証明終)この点はジェルゴンヌ点と呼ばれます。内心とは別の点で、一般には内接円の中心とは一致しません。

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問16 ★★

△ABC\triangle ABC の重心 GG を通る直線が、辺 ABAB,ACAC とそれぞれ点 PP,QQ で交わり、AP:PBAP : PB=3:2{}= 3 : 2 です。AQ:QCAQ : QC を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

AQ:QCAQ : QC=3:1{}= 3 : 1

解説

辺 BCBC の中点を DD とすると、GG は中線 ADAD 上にあり AG:GDAG : GD=2:1{}= 2 : 1。直線 PQPQ と直線 BCBC の交点を RR とします。

△ABD\triangle ABD と直線 PRPR にメネラウスの定理を使うと(AA→P{}\to P→B{}\to B→R{}\to R→D{}\to D→G{}\to G→A{}\to A)

APPB⋅BRRD⋅DGGA\displaystyle \frac{AP}{PB} \cdot \frac{BR}{RD} \cdot \frac{DG}{GA}=32⋅BRRD⋅12\displaystyle {}= \frac{3}{2} \cdot \frac{BR}{RD} \cdot \frac{1}{2}=1\displaystyle {}= 1⟹BR:RD\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad BR : RD=4:3\displaystyle {}= 4 : 3

BRBR>RD{}> RD なので、RR は線分 BDBD の DD の先にあります。BDBD=DC{}= DC=t{}= t とすると、BRBR=t{}= t+RD{}+ RD と BR:RDBR : RD=4:3{}= 4 : 3 から RDRD=3t{}= 3t。よって RR は CC の先にあり RCRC=2t{}= 2t。

次に △ADC\triangle ADC と直線 QRQR に使うと(AA→G{}\to G→D{}\to D→R{}\to R→C{}\to C→Q{}\to Q→A{}\to A)

AGGD⋅DRRC⋅CQQA\displaystyle \frac{AG}{GD} \cdot \frac{DR}{RC} \cdot \frac{CQ}{QA}=21⋅3t2t⋅CQQA\displaystyle {}= \frac{2}{1} \cdot \frac{3t}{2t} \cdot \frac{CQ}{QA}=1\displaystyle {}= 1⟹CQQA\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \frac{CQ}{QA}=13\displaystyle {}= \frac{1}{3}

よって AQ:QCAQ : QC=3:1‾{}= \underline{3 : 1}。

一般に、重心を通る直線では PBPA\dfrac{PB}{PA}+QCQA{}+ \dfrac{QC}{QA}=1{}= 1 が成り立ちます(ここでは 23\dfrac{2}{3}+13{}+ \dfrac{1}{3}=1{}= 1)。

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問17 ★★★

△ABC\triangle ABC の内部の点 PP に対し、直線 APAP,BPBP,CPCP と辺 BCBC,CACA,ABAB の交点を DD,EE,FF とします。等式 APPD\dfrac{AP}{PD}=AFFB{}= \dfrac{AF}{FB}+AEEC{}+ \dfrac{AE}{EC} が成り立つことを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

△PBC\triangle PBC=α{}= \alpha,△PCA\triangle PCA=β{}= \beta,△PAB\triangle PAB=γ{}= \gamma とおくと AFFB\dfrac{AF}{FB}=βα{}= \dfrac{\beta}{\alpha},AEEC\dfrac{AE}{EC}=γα{}= \dfrac{\gamma}{\alpha},APPD\dfrac{AP}{PD}=β+γα{}= \dfrac{\beta + \gamma}{\alpha}。

解説

△PBC\triangle PBC=α{}= \alpha,△PCA\triangle PCA=β{}= \beta,△PAB\triangle PAB=γ{}= \gamma とおく。公式1 の証明と同じく、底辺 CPCP が共通な △PCA\triangle PCA,△PBC\triangle PBC の面積の比は AF:FBAF : FB に等しく、底辺 BPBP が共通な △PAB\triangle PAB,△PBC\triangle PBC の面積の比は AE:ECAE : EC に等しいので

AFFB\displaystyle \frac{AF}{FB}=βα,\displaystyle {}= \frac{\beta}{\alpha},AEEC\displaystyle \frac{AE}{EC}=γα\displaystyle {}= \frac{\gamma}{\alpha}⋯(1)\displaystyle \cdots(1)

次に、△ABP\triangle ABP と △DBP\triangle DBP は BB からの高さが共通なので △ABP△DBP\dfrac{\triangle ABP}{\triangle DBP}=APPD{}= \dfrac{AP}{PD}。同様に △ACP△DCP\dfrac{\triangle ACP}{\triangle DCP}=APPD{}= \dfrac{AP}{PD}。2 つの分数が等しいとき、分子どうし・分母どうしを足した分数も同じ値になる(xy\dfrac{x}{y}=zw{}= \dfrac{z}{w}=k{}= k なら xx+z{}+ z=k(y+w){}= k(y + w))ので

APPD\displaystyle \frac{AP}{PD}=△ABP+△ACP△DBP+△DCP\displaystyle {}= \frac{\triangle ABP + \triangle ACP}{\triangle DBP + \triangle DCP}=γ+βα\displaystyle {}= \frac{\gamma + \beta}{\alpha}⋯(2)\displaystyle \cdots(2)

(1)(2) より APPD\dfrac{AP}{PD}=βα{}= \dfrac{\beta}{\alpha}+γα{}+ \dfrac{\gamma}{\alpha}=AFFB{}= \dfrac{AF}{FB}+AEEC{}+ \dfrac{AE}{EC}。

(証明終)この等式はファン・オーベルの定理と呼ばれます。問4(BD:DCBD : DC=1:2{}= 1 : 2,EE は中点)では AFFB\dfrac{AF}{FB}=2{}= 2,AEEC\dfrac{AE}{EC}=1{}= 1 で、和の 33 は AP:PDAP : PD=3:1{}= 3 : 1 と一致します。

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問18 ★★★

鋭角三角形 ABCABC の頂点 AA,BB,CC から向かいの辺に下ろした垂線の足を、それぞれ DD,EE,FF とします。aa=BC{}= BC,bb=CA{}= CA,cc=AB{}= AB として BDBD,DCDC などを三角比で表し、3 直線 ADAD,BEBE,CFCF が 1 点で交わることをチェバの定理の逆を使って示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

BDBD=ccos⁡B{}= c\cos B,DCDC=bcos⁡C{}= b\cos C,CECE=acos⁡C{}= a\cos C,EAEA=ccos⁡A{}= c\cos A,AFAF=bcos⁡A{}= b\cos A,FBFB=acos⁡B{}= a\cos B で、比の積が 11。

解説

鋭角三角形なので、垂線の足 DD,EE,FF はそれぞれ辺 BCBC,CACA,ABAB の上にある。

直角三角形 ABDABD,ACDACD で

BD\displaystyle BD=ccos⁡B,\displaystyle {}= c\cos B,DC\displaystyle DC=bcos⁡C\displaystyle {}= b\cos C

同様に、直角三角形 BCEBCE,BAEBAE で CECE=acos⁡C{}= a\cos C,EAEA=ccos⁡A{}= c\cos A。直角三角形 CAFCAF,CBFCBF で AFAF=bcos⁡A{}= b\cos A,FBFB=acos⁡B{}= a\cos B。よって

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=bcos⁡Aacos⁡B⋅ccos⁡Bbcos⁡C⋅acos⁡Cccos⁡A\displaystyle {}= \frac{b\cos A}{a\cos B} \cdot \frac{c\cos B}{b\cos C} \cdot \frac{a\cos C}{c\cos A}=1\displaystyle {}= 1

チェバの定理の逆(公式2)より、3 直線 ADAD,BEBE,CFCF は 1 点で交わる。

(証明終)第2章の厳密定義ページでは、垂心の存在を「2 倍の三角形の外心」に帰着させて示しました。ここでは、比の計算だけで同じ結論が出ています。

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問19 ★★★

面積 11 の △ABC\triangle ABC で、辺 BCBC,CACA,ABAB をそれぞれ 1:21 : 2 に内分する点を PP,QQ,RR とします(BP:PCBP : PC=CQ:QA{}= CQ : QA=AR:RB{}= AR : RB=1:2{}= 1 : 2)。線分 APAP,BQBQ,CRCR で囲まれてできる三角形の面積を求めなさい。

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答え

17\dfrac{1}{7}

解説

APAP と BQBQ の交点を XX,BQBQ と CRCR の交点を YY,CRCR と APAP の交点を ZZ とします。

△APC\triangle APC と直線 BQBQ にメネラウスの定理を使うと(AA→X{}\to X→P{}\to P→B{}\to B→C{}\to C→Q{}\to Q→A{}\to A、PB:BCPB : BC=1:3{}= 1 : 3)

AXXP⋅PBBC⋅CQQA\displaystyle \frac{AX}{XP} \cdot \frac{PB}{BC} \cdot \frac{CQ}{QA}=AXXP⋅13⋅12\displaystyle {}= \frac{AX}{XP} \cdot \frac{1}{3} \cdot \frac{1}{2}=1\displaystyle {}= 1⟹AX:XP\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad AX : XP=6:1\displaystyle {}= 6 : 1

△ABP\triangle ABP と直線 CRCR に使うと(AA→R{}\to R→B{}\to B→C{}\to C→P{}\to P→Z{}\to Z→A{}\to A、BC:CPBC : CP=3:2{}= 3 : 2)

ARRB⋅BCCP⋅PZZA\displaystyle \frac{AR}{RB} \cdot \frac{BC}{CP} \cdot \frac{PZ}{ZA}=12⋅32⋅PZZA\displaystyle {}= \frac{1}{2} \cdot \frac{3}{2} \cdot \frac{PZ}{ZA}=1\displaystyle {}= 1⟹AZ:ZP\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad AZ : ZP=3:4\displaystyle {}= 3 : 4

よって APAP 上に AA,ZZ,XX,PP がこの順に並び、AZ:ZX:XPAZ : ZX : XP=3:3:1{}= 3 : 3 : 1 です。3 本の線と条件は AA→B{}\to B→C{}\to C の入れかえで同じ形なので、BQBQ 上でも BB,XX,YY,QQ、CRCR 上でも CC,YY,ZZ,RR が同じ比で並びます。すると △ABC\triangle ABC は、△ABX\triangle ABX,△BCY\triangle BCY,△CAZ\triangle CAZ と、中央の △XYZ\triangle XYZ にちょうど分かれます。

△ABP\triangle ABP=13{}= \dfrac{1}{3}(BP:BCBP : BC=1:3{}= 1 : 3)で、△ABX\triangle ABX は BB からの高さが共通で底辺が AXAX=67AP{}= \dfrac{6}{7}AP なので

△ABX\displaystyle \triangle ABX=67⋅13\displaystyle {}= \frac{6}{7} \cdot \frac{1}{3}=27\displaystyle {}= \frac{2}{7}

同様に △BCY\triangle BCY=△CAZ{}= \triangle CAZ=27{}= \dfrac{2}{7}。よって

△XYZ\displaystyle \triangle XYZ=1\displaystyle {}= 1−3⋅27\displaystyle {}- 3 \cdot \frac{2}{7}=17‾\displaystyle {}= \underline{\frac{1}{7}}

第1章 問20 では、同じ 3 点 PP,QQ,RR を結んだ三角形の面積が 13\dfrac{1}{3} でした。頂点と結ぶ 3 本の線が作る三角形は、それよりずっと小さくなります(小話を参照)。

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問20 ★★★

△ABC\triangle ABC の内部の点 PP に対し、直線 APAP,BPBP,CPCP と辺 BCBC,CACA,ABAB の交点を DD,EE,FF とします。直線 EFEF が直線 BCBC と点 QQ で交わるとき、BD:DCBD : DC=BQ:QC{}= BQ : QC が成り立つことを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

チェバの定理 AFFB⋅BDDC⋅CEEA\dfrac{AF}{FB} \cdot \dfrac{BD}{DC} \cdot \dfrac{CE}{EA}=1{}= 1 と、△ABC\triangle ABC と直線 FEQFEQ のメネラウスの定理 AFFB⋅BQQC⋅CEEA\dfrac{AF}{FB} \cdot \dfrac{BQ}{QC} \cdot \dfrac{CE}{EA}=1{}= 1 を比べる。

解説

3 直線 ADAD,BEBE,CFCF は PP で交わるので、チェバの定理より

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=1\displaystyle {}= 1⋯(1)\displaystyle \cdots(1)

直線 FEFE は、直線 ABAB,BCBC,CACA とそれぞれ FF,QQ,EE で交わり、どの頂点も通らないので、△ABC\triangle ABC と直線 FEFE にメネラウスの定理を使うと

AFFB⋅BQQC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BQ}{QC} \cdot \frac{CE}{EA}=1\displaystyle {}= 1⋯(2)\displaystyle \cdots(2)

(1)(2) の左辺を比べると、AFFB\dfrac{AF}{FB} と CEEA\dfrac{CE}{EA} が共通なので BDDC\dfrac{BD}{DC}=BQQC{}= \dfrac{BQ}{QC}、すなわち BD:DCBD : DC=BQ:QC{}= BQ : QC。

(証明終)DD は BCBC を内分し、QQ は同じ比で外分します。このような 2 点は、BB,CC を調和に分けるといいます。第1章で学んだ内角と外角の二等分線の足も、BCBC を同じ比 AB:ACAB : AC に内分・外分するので、調和に分ける 2 点の例です。

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数学小話コーナー

メネラウスとチェバ——1600 年をへだてた 2 人

この章の 2 つの定理は、名前こそ並んでいますが、生まれた時代はまるで違います。

メネラウスは 1 世紀ごろ、エジプトのアレクサンドリアで活躍した天文学者・数学者です。のちのプトレマイオスの天文書『アルマゲスト』には、メネラウスが西暦 98 年にローマで行った星の観測が引用されています(※年代はこの記録によるもので、生没年は分かっていません)。代表作『球面論』はギリシャ語の原本が失われ、アラビア語の翻訳を通して伝わりました。メネラウスの定理はもともと、球面の上に大円で作った三角形についての定理として書かれていて、星の位置を計算する天文学の道具でした。平面版は、それより前から知られていたと考えられています(※諸説あり)。

一方、チェバの定理の名前の由来であるジョヴァンニ・チェバは、17 世紀イタリアの数学者です。1678 年の著書『たがいに交わる直線について』でこの定理を発表し、同じ本の中でメネラウスの定理も改めて証明しました。メネラウスからおよそ 1600 年後のことです。

ところが話はここで終わりません。20 世紀になって、11 世紀のイベリア半島にあったサラゴサ王国の王、ユースフ・アル=ムータマン・イブン・フードの数学書の写本が見つかり、そこにチェバの定理にあたる内容がすでに証明されていたことが分かりました(※発見の経緯には諸説あり)。定理の名前は、必ずしも最初に見つけた人の名前ではないのです。

豆知識

チェバは幾何学だけの人ではありませんでした。北イタリアのマントヴァで川の治水にかかわり、1711 年には『貨幣について』という本で、お金の問題に数学を持ちこもうとしています。経済学に数式を使った、ごく早い試みの一つとされています(※評価は研究者によって異なります)。

おもりで解く——てこの原理と重心座標

シーソーは、支点からの距離と重さを掛けたものが左右で等しいときにつり合います。アルキメデスが『平面のつり合いについて』で示したてこの原理です。重いほうが支点の近くに座る、というのが大事なところです。

これを使うと、この章の問題がおもりの計算で解けます。例題5(AFAF=FB{}= FB,BD:DCBD : DC=1:2{}= 1 : 2)で試してみましょう。

  • BD:DCBD : DC=1:2{}= 1 : 2 なので、DD でつり合うように BB に 22、CC に 11 のおもりを置きます(重い BB のほうが DD に近い)。
  • FF は ABAB の中点なので、AA にも BB と同じ 22 を置きます。

こうして AA,BB,CC に 22,22,11 のおもりが乗りました。三角形全体がつり合う点が PP です。線分 ADAD で見ると、AA に 22、DD に BB と CC の合計 33 が集まっているので、AP:PDAP : PD=3:2{}= 3 : 2。線分 CFCF で見ると、CC に 11、FF に AA と BB の合計 44 なので、CP:PFCP : PF=4:1{}= 4 : 1。メネラウスの定理を 2 回使って出した答えと、ぴったり同じです。

この考え方を数学として整えたのが、ドイツのメビウス(メビウスの帯のメビウス)です。1827 年の著書『重心の計算』で、平面の点を「3 頂点に乗せるおもりの比」で表す重心座標を導入しました。実は、このおもりの比は、実践問題9 で求めた面積の比 △PBC:△PCA:△PAB\triangle PBC : \triangle PCA : \triangle PAB と一致します。問9 の 3:2:13 : 2 : 1 は、AA,BB,CC に乗せるおもりそのものです。

豆知識

天井からつるして、腕がゆらゆら揺れながらつり合う飾りモビールは、アメリカの彫刻家アレクサンダー・カルダーが 1930 年代に作品として広めました。「モビール」という名前をつけたのは画家のマルセル・デュシャンだと伝えられています(※伝承による)。どの腕も、支点をはさんで「距離 × 重さ」が等しくなるように作られた、小さなてこの集まりです。

面積が 1/7 になる三角形とラウスの定理

実践問題19 で、各辺を 1:21 : 2 に分ける点と頂点を結ぶと、3 本の線に囲まれた三角形の面積がもとの 17\dfrac{1}{7} になりました。「7」という中途半端な数が出てくるのは意外です。

この結果を一般にしたのがラウスの定理です。BDDC\dfrac{BD}{DC}=x{}= x,CEEA\dfrac{CE}{EA}=y{}= y,AFFB\dfrac{AF}{FB}=z{}= z のとき

u\displaystyle u=xy\displaystyle {}= xy+x\displaystyle {}+ x+1,\displaystyle {}+ 1,v\displaystyle v=yz\displaystyle {}= yz+y\displaystyle {}+ y+1,\displaystyle {}+ 1,w\displaystyle w=zx\displaystyle {}= zx+z\displaystyle {}+ z+1\displaystyle {}+ 1

とおくと、3 本の線 ADAD,BEBE,CFCF が囲む三角形の面積は、もとの三角形の

(xyz−1)2uvw\frac{(xyz - 1)^2}{uvw}

倍になります。xx=y{}= y=z{}= z=12{}= \dfrac{1}{2} を入れると 17\dfrac{1}{7} です。

注目したいのは分子の (xyz−1)2(xyz - 1)^2 です。xyzxyz=1{}= 1 のとき面積は 00、つまり 3 本の線が 1 点に集まって三角形がつぶれます。xyzxyz=1{}= 1 は、並べかえると AFFB⋅BDDC⋅CEEA\dfrac{AF}{FB} \cdot \dfrac{BD}{DC} \cdot \dfrac{CE}{EA}=1{}= 1——チェバの定理の条件そのものです。チェバの定理は、ラウスの定理の「面積 00 の場合」だったのです。

エドワード・ラウスは 19 世紀イギリスの数学者で、ケンブリッジ大学の伝説的な受験指導者でした。数学優等試験(トライポス)の首席合格者「シニア・ラングラー」を 27 人も育てたといわれます(※人数は数え方による)。ラウス自身も 1854 年の首席で、そのとき 2 位だったのは、のちに電磁気学を完成させるマクスウェルでした。この定理は、1896 年ごろのラウスの力学の教科書に載っています(※版により異なります)。

豆知識

各辺を 1:n1 : n に分けた場合は、面積は (n−1)2n2+n+1\dfrac{(n - 1)^2}{n^2 + n + 1} 倍になります。nn=2{}= 2 で 17\dfrac{1}{7}、nn=3{}= 3 で 413\dfrac{4}{13}、nn=1{}= 1(中線)で 00(重心で 1 点に集まる)です。英語圏では、17\dfrac{1}{7} の三角形を物理学者の名前から「ファインマンの三角形」と呼ぶことがあります(※ファインマンが話題にしたという逸話によるもので、確かな出典は見つかっていません)。

厳密定義(発展)

※ここは発展ページです。高校の範囲では「公式1〜4を使えること」で十分ですが、「分点が延長上にあるときも本当に同じ式でよいのか」「逆はいつでも成り立つのか」が気になる人のために、符号をつけた比を使って 2 つの定理を整理します。第1章の厳密定義ページの定理(内分点・外分点はただ 1 つ、平行線と線分の比)を使います。

定義1:符号つきの長さと符号つきの比

1 本の直線 mm に向きを 1 つ決める。mm 上の 2 点 XX,YY について、XX から YY への向きが決めた向きと同じなら XY‾\overline{XY}=XY{}= XY、反対なら XY‾\overline{XY}=−XY{}= -XY と定め、これを符号つきの長さという。YX‾\overline{YX}=−XY‾{}= -\overline{XY} である。

直線 ABAB 上の点 PP(PP≠B{}\neq B)について、AP‾PB‾\dfrac{\overline{AP}}{\overline{PB}} を PP が ABAB を分ける符号つきの比という。この値は向きの決め方によらず、PP が線分 ABAB の内部にあれば正、外部にあれば負である。

符号つきの比の値が同じ点は 1 つしかありません(第1章 定理1)。また、値が −1-1 になる点はありません。AP‾\overline{AP}=−PB‾{}= -\overline{PB} とすると AP‾\overline{AP}+PB‾{}+ \overline{PB}=AB‾{}= \overline{AB}=0{}= 0 となり、AA=B{}= B になってしまうからです(「1:11 : 1 の外分点はない」)。この「−1-1 にならない」ことが、あとで効いてきます。

以下、△ABC\triangle ABC の直線 BCBC,CACA,ABAB 上の、頂点と異なる点を DD,EE,FF とし

[ DEF ]\displaystyle \left[\,DEF\,\right]=AF‾FB‾⋅BD‾DC‾⋅CE‾EA‾\displaystyle {}= \frac{\overline{AF}}{\overline{FB}} \cdot \frac{\overline{BD}}{\overline{DC}} \cdot \frac{\overline{CE}}{\overline{EA}}

と書きます。絶対値は本文の「長さの比の積」で、符号は延長上の分点の個数で決まります(延長上が 0 個か 2 個なら ++、1 個か 3 個なら −-)。

定理1:直線が三角形の辺を通る本数

△ABC\triangle ABC の頂点を通らない直線 ℓ\ell は、3 辺 BCBC,CACA,ABAB のうち、ちょうど 0 本または 2 本の辺の内部と交わる。

証明 ℓ\ell は平面を 2 つの側に分け、AA,BB,CC はどれも ℓ\ell 上にないので、どちらかの側にある。線分 XYXY が ℓ\ell と交わるのは、XX と YY が反対側にあるときに限る。

AA,BB,CC がすべて同じ側なら、どの辺も ℓ\ell と交わらない(0 本)。そうでなければ、1 つの頂点だけが他の 2 つと反対側にあり、その頂点を端にもつ 2 辺だけが ℓ\ell と交わる(2 本)。(証明終)

「直線は平面を 2 つの側に分ける」ことは、ユークリッドの『原論』では当たり前として黙って使われていました。1882 年にドイツのパッシュが、これを公理(証明なしに認める約束)として書き出す必要があると指摘しました。今日「パッシュの公理」と呼ばれるものです。

定理2:メネラウスの定理(符号つき)

△ABC\triangle ABC の頂点を通らない直線 ℓ\ell が、直線 BCBC,CACA,ABAB とそれぞれ点 DD,EE,FF で交わるとき、[ DEF ]\left[\,DEF\,\right]=−1{}= -1 である。

証明 (絶対値)AA,BB,CC から ℓ\ell までの距離を pp,qq,rr とする(どれも正)。AA,BB から ℓ\ell に下ろした垂線の足を A′A',B′B' とすると、直角三角形 AA′FAA'F と BB′FBB'F は FF の角が等しい(対頂角、または共通の角)ので相似で、AFFB\dfrac{AF}{FB}=pq{}= \dfrac{p}{q}。同様に BDDC\dfrac{BD}{DC}=qr{}= \dfrac{q}{r},CEEA\dfrac{CE}{EA}=rp{}= \dfrac{r}{p} なので

AFFB⋅BDDC⋅CEEA\displaystyle \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=pq⋅qr⋅rp\displaystyle {}= \frac{p}{q} \cdot \frac{q}{r} \cdot \frac{r}{p}=1\displaystyle {}= 1

(符号)定理1 より、ℓ\ell が内部で交わる辺は 0 本か 2 本なので、延長上にある分点は 3 個か 1 個。どちらの場合も負の比が奇数個なので、積は −1-1。(証明終)

本文では平行線を 1 本引いて証明しました。ここでは 3 頂点から ℓ\ell までの距離を使いました。こちらの証明は、分点がどこにあっても場合分けがいりません。

A B C D E F P △ABD と直線 C-P-F A B C D E F P △ADC と直線 B-P-E 2 つの式を掛けると、AD 上の比 AP : PD が消える
定理3:チェバの定理(符号つき)

点 PP が直線 BCBC,CACA,ABAB のどれの上にもなく、直線 APAP,BPBP,CPCP が直線 BCBC,CACA,ABAB とそれぞれ点 DD,EE,FF で交わるとき、[ DEF ]\left[\,DEF\,\right]=1{}= 1 である。

証明 △ABD\triangle ABD と直線 CFCF(FF,CC,PP を通り、AA,BB,DD を通らない)に定理2 を使うと

AF‾FB‾⋅BC‾CD‾⋅DP‾PA‾\displaystyle \frac{\overline{AF}}{\overline{FB}} \cdot \frac{\overline{BC}}{\overline{CD}} \cdot \frac{\overline{DP}}{\overline{PA}}=−1\displaystyle {}= -1⋯(1)\displaystyle \cdots(1)

△ADC\triangle ADC と直線 BEBE(PP,BB,EE を通る)に使うと

AP‾PD‾⋅DB‾BC‾⋅CE‾EA‾\displaystyle \frac{\overline{AP}}{\overline{PD}} \cdot \frac{\overline{DB}}{\overline{BC}} \cdot \frac{\overline{CE}}{\overline{EA}}=−1\displaystyle {}= -1⋯(2)\displaystyle \cdots(2)

(1)(2) を掛けると、DP‾PA‾⋅AP‾PD‾\dfrac{\overline{DP}}{\overline{PA}} \cdot \dfrac{\overline{AP}}{\overline{PD}}=(−PD‾)(−PA‾)PA‾⋅PD‾{}= \dfrac{(-\overline{PD})(-\overline{PA})}{\overline{PA} \cdot \overline{PD}}=1{}= 1,BC‾CD‾⋅DB‾BC‾\dfrac{\overline{BC}}{\overline{CD}} \cdot \dfrac{\overline{DB}}{\overline{BC}}=DB‾CD‾{}= \dfrac{\overline{DB}}{\overline{CD}}=BD‾DC‾{}= \dfrac{\overline{BD}}{\overline{DC}} なので

AF‾FB‾⋅BD‾DC‾⋅CE‾EA‾\displaystyle \frac{\overline{AF}}{\overline{FB}} \cdot \frac{\overline{BD}}{\overline{DC}} \cdot \frac{\overline{CE}}{\overline{EA}}=(−1)×(−1)\displaystyle {}= (-1) \times (-1)=1\displaystyle {}= 1

(証明終)

積が +1+1 なので、負の比は 0 個か 2 個です。PP が内部なら 3 つとも辺の上、外部なら 2 つが延長上、という本文の説明は、この符号から出てきます。

定理4:チェバの定理の逆

[ DEF ]\left[\,DEF\,\right]=1{}= 1 で、直線 BEBE と CFCF が 1 点 PP で交わり、直線 APAP が直線 BCBC と交わるならば、3 直線 ADAD,BEBE,CFCF は PP で交わる。

証明 直線 APAP と直線 BCBC の交点を D′D' とする。定理3 より [ D′EF ]\left[\,D'EF\,\right]=1{}= 1 で、仮定と比べると BD′‾D′C‾\dfrac{\overline{BD'}}{\overline{D'C}}=BD‾DC‾{}= \dfrac{\overline{BD}}{\overline{DC}}。符号つきの比が等しい点はただ 1 つなので D′D'=D{}= D。(証明終)

DD,EE,FF がすべて辺の上にあるとき(本文の公式2)は、BEBE と CFCF は三角形の内部で交わり、APAP も辺 BCBC と交わるので、仮定は自動的に満たされます。一方、延長上に分点があると例外が起こります。たとえば ∠B\angle B=90∘{}= 90^\circ,BABA=BC{}= BC の直角二等辺三角形で、EE を辺 CACA の中点、DD を辺 CBCB を BB の先へ BDBD=BC{}= BC となるよう延ばした点、FF を辺 ABAB を BB の先へ BFBF=AB{}= AB となるよう延ばした点とすると

AF‾FB‾⋅BD‾DC‾⋅CE‾EA‾\displaystyle \frac{\overline{AF}}{\overline{FB}} \cdot \frac{\overline{BD}}{\overline{DC}} \cdot \frac{\overline{CE}}{\overline{EA}}=(−2)⋅(−12)⋅1\displaystyle {}= (-2) \cdot \left(-\frac{1}{2}\right) \cdot 1=1\displaystyle {}= 1

ですが、3 直線 ADAD,BEBE,CFCF はどれも CACA に垂直で、たがいに平行です。3 本の線の「交点」が限りなく遠くへ行ってしまった場合だと考えられます。

定理5:メネラウスの定理の逆

[ DEF ]\left[\,DEF\,\right]=−1{}= -1 ならば、3 点 DD,EE,FF は一直線上にある。

証明 まず、直線 EFEF は直線 BCBC と平行でないことを示す。EFEF∥BC{}\parallel BC とすると、平行線と線分の比(第1章 定理3。符号も含めて成り立つ)より AF‾FB‾\dfrac{\overline{AF}}{\overline{FB}}=AE‾EC‾{}= \dfrac{\overline{AE}}{\overline{EC}} なので

[ DEF ]\displaystyle \left[\,DEF\,\right]=AE‾EC‾⋅BD‾DC‾⋅CE‾EA‾\displaystyle {}= \frac{\overline{AE}}{\overline{EC}} \cdot \frac{\overline{BD}}{\overline{DC}} \cdot \frac{\overline{CE}}{\overline{EA}}=BD‾DC‾\displaystyle {}= \frac{\overline{BD}}{\overline{DC}}

これが −1-1 になるが、符号つきの比が −1-1 になる点はないので矛盾する。

よって直線 EFEF は直線 BCBC と 1 点 D′D' で交わる(EE,FF は頂点でないので、直線 EFEF は頂点を通らない)。定理2 より [ D′EF ]\left[\,D'EF\,\right]=−1{}= -1 で、仮定と比べると BD′‾D′C‾\dfrac{\overline{BD'}}{\overline{D'C}}=BD‾DC‾{}= \dfrac{\overline{BD}}{\overline{DC}}。よって D′D'=D{}= D で、DD は直線 EFEF 上にある。(証明終)

※直線 EFEF が頂点を通らないことは、次のように確かめられます。直線 EFEF が AA を通るとすると、EE≠A{}\neq A なので直線 EFEF は直線 CACA と一致し、FF は直線 CACA と直線 ABAB の交点 AA になってしまいます。BB を通るとすると、FF≠B{}\neq B なので直線 EFEF は直線 ABAB と一致し、EE が AA になってしまいます。CC を通る場合も同様です。

本文の公式4 の条件「延長上の分点が 1 個か 3 個」は、符号つきの積が −1-1 であることの言いかえです。符号を使うと、チェバの定理は「+1+1」、メネラウスの定理は「−1-1」と、2 つの定理の違いが符号 1 つにまとまります。

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