目次 / 図形の性質 / 数学A

第2章 三角形の五心

—— 3 本の線が 1 点に集まる——外心・内心・重心、そして垂心・傍心 ——

三角形に 3 本の直線を引くと、ふつうは交点が 3 つできます。ところが「3 辺の垂直二等分線」「3 つの角の二等分線」「3 本の中線」は、どんな三角形でもぴったり 1 点で交わります。この章では、そうした特別な点——外心・内心・重心・垂心・傍心の「五心」——を学びます。第1章で学んだ角の二等分線と比、平行線と線分の比が、ここで活躍します。

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この章で使う記号と「五心」

第1章に続き、△ABC\triangle ABC の ∠A\angle A,∠B\angle B,∠C\angle C の向かいの辺の長さを aa=BC{}= BC,bb=CA{}= CA,cc=AB{}= AB と書きます。三角比の分野(第3章・第4章)と同じく、外接円の半径を RR、内接円の半径を rr、△ABC\triangle ABC の面積を SS とします。

三角形に適当な 3 本の直線を引くと、ふつうは交点が 3 つできます。ところが、ある決まった引き方をすると、3 本がどんな三角形でもぴったり 1 点に集まります。この章では、その代表の 5 つの点をまとめて五心と呼び、1 つずつ調べます。

名前記号どの 3 本の直線の交点か何の中心か
外心OO3 辺の垂直二等分線外接円(3 頂点を通る円)
内心II3 つの内角の二等分線内接円(3 辺に接する円)
重心GG3 本の中線三角形の板のつり合う点
垂心HH各頂点から向かいの辺への垂線—
傍心IAI_A など1 つの内角と 2 つの外角の二等分線傍接円

中心になるのは外心・内心・重心の 3 つです。垂心と傍心は、最後にまとめて紹介します。

外心——3 つの頂点から等しい距離

中学で学んだとおり、線分 ABAB の垂直二等分線(ABAB の中点を通り ABAB に垂直な直線)の上の点は、AA と BB から等しい距離にあります。逆に、PAPA=PB{}= PB となる点 PP はすべて垂直二等分線の上にあります。

A B C O OA = OB = OC(O は外心、円は外接円)

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB の垂直二等分線と辺 BCBC の垂直二等分線の交点を OO とします。OO は ABAB の垂直二等分線上にあるので OAOA=OB{}= OB、BCBC の垂直二等分線上にあるので OBOB=OC{}= OC。すると OAOA=OC{}= OC なので、OO は辺 CACA の垂直二等分線の上にもあります。こうして 3 本が 1 点で交わることが分かります。

公式1:外心

△ABC\triangle ABC の 3 辺の垂直二等分線は 1 点 OO で交わり

OA\displaystyle OA=OB\displaystyle {}= OB=OC  (=R)\displaystyle {}= OC \;(= R)

この点 OO を △ABC\triangle ABC の外心といい、OO を中心とする半径 RR の円が外接円です。

  • 外心の位置は、鋭角三角形なら内部、直角三角形なら斜辺の中点、鈍角三角形なら外部(最も長い辺の外側)です。
  • OAOA=OB{}= OB=OC{}= OC なので、OO と 3 頂点を結ぶと 3 つの二等辺三角形ができます。鋭角三角形で底角を xx,yy,zz とすると(図)
x\displaystyle x+y\displaystyle {}+ y+z\displaystyle {}+ z=90∘,\displaystyle {}= 90^\circ,∠BAC\displaystyle \angle BAC=x\displaystyle {}= x+z,\displaystyle {}+ z,∠OBC\displaystyle \angle OBC=y\displaystyle {}= y=90∘−∠A\displaystyle {}= 90^\circ - \angle A
A B C O A B C O A B C O 鋭角三角形 外心は内部 直角三角形 外心は斜辺の中点 鈍角三角形 外心は外部
x x y y z z A B C O OA = OB = OC なので底角が等しい。2x + 2y + 2z = 180°

3 つの村が共同で給水塔を 1 つ建てることになりました。どの村から見ても公平なように、3 つの村からの距離がちょうど等しい場所を探します。村 AA と村 BB から等しい場所は 2 村を結ぶ線分の垂直二等分線上、村 BB と村 CC から等しい場所はその垂直二等分線上。その 2 本の交点が答えで、そこは自動的に村 CC と村 AA からも等距離です。村が大きく開いた(鈍角の)配置だと、公平な場所は 3 村に囲まれた土地の外へはみ出してしまいます。

外心は「3 頂点から等しい距離にある点」で、3 辺の垂直二等分線の交点であり、外接円の中心だということです。

例題1:外心のまわりの角

鋭角三角形 ABCABC の外心を OO とします。∠OBC\angle OBC=20∘{}= 20^\circ,∠OCA\angle OCA=35∘{}= 35^\circ のとき、∠OAB\angle OAB と ∠BAC\angle BAC を求めなさい。


【解答】

OAOA=OB{}= OB=OC{}= OC より、△OBC\triangle OBC,△OCA\triangle OCA,△OAB\triangle OAB は二等辺三角形なので

∠OCB\displaystyle \angle OCB=∠OBC\displaystyle {}= \angle OBC=20∘,\displaystyle {}= 20^\circ,∠OAC\displaystyle \angle OAC=∠OCA\displaystyle {}= \angle OCA=35∘,\displaystyle {}= 35^\circ,∠OBA\displaystyle \angle OBA=∠OAB\displaystyle {}= \angle OAB

∠OAB\angle OAB=x{}= x とおくと、△ABC\triangle ABC の内角の和は 2x2x+2⋅20∘+2⋅35∘{}+ 2 \cdot 20^\circ + 2 \cdot 35^\circ=180∘{}= 180^\circ。よって xx=35∘{}= 35^\circ で

∠OAB\displaystyle \angle OAB=35∘‾,\displaystyle {}= \underline{35^\circ},∠BAC\displaystyle \angle BAC=∠OAB\displaystyle {}= \angle OAB+∠OAC\displaystyle {}+ \angle OAC=35∘+35∘\displaystyle {}= 35^\circ + 35^\circ=70∘‾\displaystyle {}= \underline{70^\circ}

∠BAC\angle BAC=90∘−∠OBC{}= 90^\circ - \angle OBC=90∘−20∘{}= 90^\circ - 20^\circ とも一致します。外心の角の問題は、「二等辺三角形の底角」を書きこむところから始めましょう。

内心——3 つの辺から等しい距離

外心が「3 頂点から等距離の点」なら、内心は「3 辺から等距離の点」です。

第1章の厳密定義ページで、角の二等分線上の点は角をはさむ 2 辺から等しい距離にあることを確かめました。逆に、角の内部にあって 2 辺から等しい距離にある点は、その角の二等分線の上にあります。

A B C I P Q R r I から 3 辺までの距離はどれも r(I は内心)

∠B\angle B の二等分線と ∠C\angle C の二等分線の交点を II とします。II は辺 BABA,BCBC から等距離で、辺 CBCB,CACA からも等距離です。つまり 3 辺すべてから等距離なので、∠A\angle A の二等分線の上にもあります。

公式2:内心

△ABC\triangle ABC の 3 つの内角の二等分線は 1 点 II で交わり、II から 3 辺までの距離はすべて等しい(=r= r)。この点 II を内心といい、II を中心とする半径 rr の円が内接円です。内心はいつも三角形の内部にあります。

(1)∠BIC\displaystyle \text{(1)}\quad \angle BIC=90∘+∠A2\displaystyle {}= 90^\circ + \frac{\angle A}{2}

(2) 直線 AIAI と辺 BCBC の交点を DD とすると

AI:ID\displaystyle AI : ID=(b+c):a\displaystyle {}= (b + c) : a

(3) 内接円と辺 BCBC,CACA,ABAB の接点を PP,QQ,RR とすると

AQ\displaystyle AQ=AR\displaystyle {}= AR=b+c−a2\displaystyle {}= \frac{b + c - a}{2}
  • (1) は ∠IBC\angle IBC+∠ICB{}+ \angle ICB=∠B+∠C2{}= \dfrac{\angle B + \angle C}{2}=180∘−∠A2{}= \dfrac{180^\circ - \angle A}{2} から出ます。
  • (2) は、第1章 公式3 を 2 回使います。BDBD=acb+c{}= \dfrac{ac}{b + c} で、△ABD\triangle ABD で BIBI が ∠B\angle B の二等分線なので AI:IDAI : ID=BA:BD{}= BA : BD=c:acb+c{}= c : \dfrac{ac}{b + c}=(b+c):a{}= (b + c) : a。
  • (3) は「円の外の点から引いた 2 本の接線の長さは等しい」(中学で学習。第5章でも扱います)から、AQAQ=AR{}= AR,BRBR=BP{}= BP,CPCP=CQ{}= CQ を使って解きます。同様に BPBP=BR{}= BR=c+a−b2{}= \dfrac{c + a - b}{2},CPCP=CQ{}= CQ=a+b−c2{}= \dfrac{a + b - c}{2}。
  • 三角比の分野 第4章で学んだ SS=12r(a+b+c){}= \dfrac{1}{2}r(a + b + c) も、内心と 3 頂点を結んで 3 つに分けた面積の和です。

三角形の箱に、丸いクッキーをできるだけ大きく焼いて入れたいとします。クッキーを少しずつ大きくしていくと、どこかの壁にぶつかります。ぶつからない向きへずらしながらさらに大きくすると、最後は 3 つの壁すべてに触れて、もう動けなくなります。そのとき中心は 3 つの壁から同じ距離にあり、それが内心です。どんな形の三角形でも、このクッキーは必ず箱の中に収まります。内心がいつも内部にあるのはそのためです。

内心は「3 辺から等しい距離にある点」で、3 つの内角の二等分線の交点であり、内接円の中心だということです。

例題2:内心の角と比

(1) △ABC\triangle ABC の内心を II とします。∠A\angle A=64∘{}= 64^\circ のとき、∠BIC\angle BIC を求めなさい。

(2) ABAB=6{}= 6,BCBC=5{}= 5,CACA=4{}= 4 の △ABC\triangle ABC の内心を II、直線 AIAI と辺 BCBC の交点を DD、内接円と辺 BCBC の接点を PP とします。AI:IDAI : ID と BPBP の長さを求めなさい。


【解答】

(1) ∠B\angle B+∠C{}+ \angle C=180∘−64∘{}= 180^\circ - 64^\circ=116∘{}= 116^\circ なので ∠IBC\angle IBC+∠ICB{}+ \angle ICB=58∘{}= 58^\circ。

∠BIC\displaystyle \angle BIC=180∘−58∘\displaystyle {}= 180^\circ - 58^\circ=122∘‾\displaystyle {}= \underline{122^\circ}

公式2 (1) で 90∘+32∘90^\circ + 32^\circ としても同じです。

(2) 第1章 公式3 より BD:DCBD : DC=AB:AC{}= AB : AC=6:4{}= 6 : 4=3:2{}= 3 : 2 なので BDBD=5⋅35{}= 5 \cdot \dfrac{3}{5}=3{}= 3。△ABD\triangle ABD で BIBI は ∠B\angle B の二等分線なので、もう一度公式3を使うと

AI:ID\displaystyle AI : ID=BA:BD\displaystyle {}= BA : BD=6:3\displaystyle {}= 6 : 3=2:1‾\displaystyle {}= \underline{2 : 1}

(公式2 (2) で (4+6):5(4 + 6) : 5=2:1{}= 2 : 1 としても同じ。)接点までの長さは、BPBP=BR{}= BR=y{}= y,CPCP=CQ{}= CQ=z{}= z,AQAQ=AR{}= AR=x{}= x とおくと

x\displaystyle x+y\displaystyle {}+ y=6,\displaystyle {}= 6,y\displaystyle y+z\displaystyle {}+ z=5,\displaystyle {}= 5,z\displaystyle z+x\displaystyle {}+ x=4\displaystyle {}= 4

3 式を足して xx+y{}+ y+z{}+ z=152{}= \dfrac{15}{2}。ここから yy=152{}= \dfrac{15}{2}−(z+x){}- (z + x)=152{}= \dfrac{15}{2}−4{}- 4、BPBP=72‾{}= \underline{\dfrac{7}{2}}。

角の二等分線が BCBC と交わる点 DD(BDBD=3{}= 3)と、内接円の接点 PP(BPBP=72{}= \dfrac{7}{2})は別の点です。混同しないようにしましょう。

中点連結定理——重心への準備

重心に進む前に、第1章 公式1 の特別な場合を 1 つ用意します。

A B C M N A D B C M N P MN ∥ BC,MN = BC / 2 台形(例題3) MN = (AD + BC) / 2
公式3:中点連結定理

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB,ACAC の中点をそれぞれ MM,NN とすると

MN\displaystyle MN∥BC,\displaystyle {}\parallel BC,MN\displaystyle MN=12BC\displaystyle {}= \frac{1}{2}BC
  • 第1章 公式1 で AM:ABAM : AB=AN:AC{}= AN : AC=1:2{}= 1 : 2 の場合です。公式1の逆から MNMN∥BC{}\parallel BC、公式1 (1) から MN:BCMN : BC=1:2{}= 1 : 2 が出ます。
  • 逆に、辺 ABAB の中点 MM を通り BCBC に平行な直線は、辺 ACAC の中点を通ります(公式1 (2) で AM:MBAM : MB=1:1{}= 1 : 1 だから)。

三角形の紙を、頂点 AA が底辺 BCBC にぴったり重なるように、BCBC と平行な折り目で折ってみてください。AA から折り目までの距離と、折り目から BCBC までの距離が等しくなるので、折り目はちょうど高さの半分の位置を通ります。そして折り目の長さを測ると、底辺のちょうど半分になっています。折り目の両端が、辺 ABAB,ACAC の中点です。

2 辺の中点を結ぶ線分は、残りの辺に平行で長さはその半分だということです。

例題3:台形の中点を結ぶ線分

ADAD∥BC{}\parallel BC の台形 ABCDABCD で ADAD=4{}= 4,BCBC=10{}= 10 です。辺 ABAB,DCDC の中点をそれぞれ MM,NN とするとき、MNMN の長さを求めなさい。


【解答】

対角線 ACAC の中点を PP とします。

△ABC\triangle ABC で、MM,PP は ABAB,ACAC の中点なので、公式3より MPMP∥BC{}\parallel BC,MPMP=12⋅10{}= \dfrac{1}{2} \cdot 10=5{}= 5。

△CDA\triangle CDA で、NN,PP は CDCD,CACA の中点なので PNPN∥DA{}\parallel DA,PNPN=12⋅4{}= \dfrac{1}{2} \cdot 4=2{}= 2。

ADAD∥BC{}\parallel BC なので、MPMP と PNPN はどちらも PP を通り BCBC に平行な直線の一部です。平行線は 1 本しか引けないので、MM,PP,NN は一直線上に並びます。よって

MN\displaystyle MN=MP\displaystyle {}= MP+PN\displaystyle {}+ PN=5\displaystyle {}= 5+2\displaystyle {}+ 2=7‾\displaystyle {}= \underline{7}

一般に、台形の脚の中点を結ぶ線分の長さは上底と下底の平均 AD+BC2\dfrac{AD + BC}{2} です。「一直線に並ぶ」ことを確かめてから足すのがポイントです。

重心——3 本の中線は 2 : 1 で交わる

三角形の頂点と、向かいの辺の中点を結ぶ線分を中線といいます。中線は、三角形の面積をちょうど半分に分けます(第1章 公式5 (1))。

A B C D E F G AG : GD = BG : GE = CG : GF = 2 : 1

中線 BEBE と CFCF の交点を GG とします。EE,FF は辺の中点なので、中点連結定理より FEFE∥BC{}\parallel BC,FEFE=12BC{}= \dfrac{1}{2}BC。錯角が等しいので △GEF∽△GBC\triangle GEF \backsim \triangle GBC で、相似比は FE:BCFE : BC=1:2{}= 1 : 2 です。よって

BG:GE\displaystyle BG : GE=CG:GF\displaystyle {}= CG : GF=2:1\displaystyle {}= 2 : 1

中線 BEBE と ADAD の交点についても同じ議論ができ、やはり BEBE を 2:12 : 1 に内分する点になります。BEBE を 2:12 : 1 に内分する点は 1 つしかないので、それは GG です。こうして 3 本の中線が GG で交わります。

公式4:重心

△ABC\triangle ABC の 3 本の中線 ADAD,BEBE,CFCF は 1 点 GG で交わり、GG は各中線を頂点の側から 2:12 : 1 に内分する。

AG:GD\displaystyle AG : GD=BG:GE\displaystyle {}= BG : GE=CG:GF\displaystyle {}= CG : GF=2:1\displaystyle {}= 2 : 1

この点 GG を重心といいます。

  • GDGD=13AD{}= \dfrac{1}{3}AD なので、GG から BCBC までの距離は AA から BCBC までの距離の 13\dfrac{1}{3} です。よって △GBC\triangle GBC=△GCA{}= \triangle GCA=△GAB{}= \triangle GAB=13S{}= \dfrac{1}{3}S。
  • さらに 3 本の中線で分けた 6 つの小さな三角形は、どれも面積が 16S\dfrac{1}{6}S です。

厚紙で三角形を切り抜き、指先 1 本で水平に支えようとすると、うまくつり合う点がただ 1 つあります。それが重心です。三角形を BCBC に平行な細い帯に切り分けて考えると、どの帯も中点は中線 ADAD の上にあります(中点連結定理と同じ理屈です)。だから三角形は、ADAD に沿って置いた定規の上でつり合います。同じことが 3 本の中線のどれについても言えるので、3 本の交点で支えれば、どちらにも傾かないのです。

重心は 3 本の中線の交点で、各中線を頂点の側から 2:12 : 1 に分け、三角形を面積の等しい 3 つに分ける点だということです。

例題4:重心と長さ・面積

面積 3636 の △ABC\triangle ABC の重心を GG、辺 BCBC の中点を DD とします。中線 ADAD の長さが 99 のとき、AGAG,GDGD の長さと、△GAB\triangle GAB,△GBD\triangle GBD の面積を求めなさい。


【解答】

公式4より AG:GDAG : GD=2:1{}= 2 : 1 なので

AG\displaystyle AG=9⋅23\displaystyle {}= 9 \cdot \frac{2}{3}=6‾,\displaystyle {}= \underline{6},GD\displaystyle GD=9⋅13\displaystyle {}= 9 \cdot \frac{1}{3}=3‾\displaystyle {}= \underline{3}

面積は △GAB\triangle GAB=13⋅36{}= \dfrac{1}{3} \cdot 36=12‾{}= \underline{12}。△GBC\triangle GBC=12{}= 12 で、DD は BCBC の中点なので △GBD\triangle GBD=12⋅12{}= \dfrac{1}{2} \cdot 12=6‾{}= \underline{6}。

「2:12 : 1」は頂点の側が 2 です。AGAG=3{}= 3,GDGD=6{}= 6 と逆にしないように、「重心は辺の側に寄っている」と図で確かめましょう。

垂心と傍心

残りの 2 つは、ここで性質をまとめて紹介します。

A B C D E F H 3 本の垂線は 1 点 H で交わる(H は垂心)

各頂点から向かいの辺(またはその延長)に下ろした垂線は、1 点で交わります。この理由は外心に帰着させるときれいに示せます(厳密定義ページ)。

A B C I P Q R IA ∠A の中にある傍心と傍接円

一方、∠B\angle B の外角の二等分線と ∠C\angle C の外角の二等分線の交点を IAI_A とすると、IAI_A は直線 ABAB,BCBC から等距離で、直線 BCBC,CACA からも等距離です。すると直線 ABAB,ACAC から等距離なので、IAI_A は ∠A\angle A の二等分線の上にあります。内心と同じ理屈で、今度は三角形の外に中心ができるわけです。

公式5:垂心と傍心

(1) △ABC\triangle ABC の各頂点から向かいの辺またはその延長に下ろした 3 本の垂線は 1 点 HH で交わる。この点を垂心という。

  • 鋭角三角形なら内部、直角三角形なら直角の頂点、鈍角三角形なら外部にあります。
  • 鋭角三角形では ∠BHC\angle BHC=180∘−∠A{}= 180^\circ - \angle A。

(2) ∠A\angle A の二等分線と、∠B\angle B,∠C\angle C の外角の二等分線は 1 点 IAI_A で交わる。この点を(∠A\angle A 内の)傍心という。

  • IAI_A は 3 直線 BCBC,CACA,ABAB から等距離で、IAI_A を中心とする円(傍接円)は辺 BCBC と、辺 ABAB,ACAC の延長に接します。
  • 傍心は 1 つの三角形に 3 つあります(IAI_A,IBI_B,ICI_C)。
  • ∠BIAC\angle B I_A C=90∘−∠A2{}= 90^\circ - \dfrac{\angle A}{2}。

正三角形では、外心・内心・重心・垂心の 4 つが一致します。

三角形の形をした公園の 3 つの角に 1 人ずつ立ち、それぞれが向かいの柵まで最短距離でまっすぐ歩くとします。最短の道は柵に垂直な道なので、3 人の歩く道は 3 本の垂線です。公園がどんな形でも、3 人の道は 1 か所で交差します。その交差点が垂心です。

垂心は 3 本の垂線の交点、傍心は 1 つの内角と 2 つの外角の二等分線の交点で、傍心は三角形の外にある「3 直線から等距離の点」だということです。

例題5:垂心と傍心の角

∠A\angle A=70∘{}= 70^\circ,∠B\angle B=60∘{}= 60^\circ の △ABC\triangle ABC があります。

(1) 垂心を HH とするとき、∠BHC\angle BHC を求めなさい。

(2) ∠A\angle A 内の傍心を IAI_A とするとき、∠BIAC\angle B I_A C を求めなさい。


【解答】

(1) 垂線 BEBE,CFCF の足を EE(辺 CACA 上),FF(辺 ABAB 上)とします。四角形 AFHEAFHE で ∠AFH\angle AFH=∠AEH{}= \angle AEH=90∘{}= 90^\circ なので

∠FHE\displaystyle \angle FHE=360∘−90∘−90∘−70∘\displaystyle {}= 360^\circ - 90^\circ - 90^\circ - 70^\circ=110∘\displaystyle {}= 110^\circ

∠BHC\angle BHC は ∠FHE\angle FHE の対頂角なので ∠BHC\angle BHC=110∘‾{}= \underline{110^\circ}。

(2) ∠C\angle C=180∘−70∘−60∘{}= 180^\circ - 70^\circ - 60^\circ=50∘{}= 50^\circ。IAI_A は外角の二等分線上にあるので

∠IABC\displaystyle \angle I_A BC=180∘−60∘2\displaystyle {}= \frac{180^\circ - 60^\circ}{2}=60∘,\displaystyle {}= 60^\circ,∠IACB\displaystyle \angle I_A CB=180∘−50∘2\displaystyle {}= \frac{180^\circ - 50^\circ}{2}=65∘\displaystyle {}= 65^\circ∠BIAC\displaystyle \angle B I_A C=180∘−60∘−65∘\displaystyle {}= 180^\circ - 60^\circ - 65^\circ=55∘‾\displaystyle {}= \underline{55^\circ}

公式5 (2) の 90∘−35∘90^\circ - 35^\circ と一致します。内心なら ∠BIC\angle BIC=90∘+35∘{}= 90^\circ + 35^\circ=125∘{}= 125^\circ で、∠BIC\angle BIC+∠BIAC{}+ \angle B I_A C=180∘{}= 180^\circ になっています(実践問題で理由を考えます)。

次の章へ

重心は「中線」、内心は「角の二等分線」が 1 点で交わる点でした。では、3 本の線が 1 点で交わるのは一般にどんなときでしょうか。その答えが次の第3章「チェバの定理・メネラウスの定理」です。重心や内心が 1 点で交わることも、チェバの定理から一気に説明できます。

基礎確認問題(全5問)

まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。

問1

鋭角三角形 ABCABC の外心を OO とします。∠OAB\angle OAB=20∘{}= 20^\circ,∠OBC\angle OBC=30∘{}= 30^\circ のとき、∠OCA\angle OCA を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠OCA\angle OCA=40∘‾{}= \underline{40^\circ}(二等辺三角形の底角の和 xx+y{}+ y+z{}+ z=90∘{}= 90^\circ より 90∘−20∘−30∘90^\circ - 20^\circ - 30^\circ)

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問2

△ABC\triangle ABC の内心を II とします。∠A\angle A=70∘{}= 70^\circ のとき、∠BIC\angle BIC を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠BIC\angle BIC=125∘‾{}= \underline{125^\circ}(∠IBC\angle IBC+∠ICB{}+ \angle ICB=180∘−70∘2{}= \dfrac{180^\circ - 70^\circ}{2}=55∘{}= 55^\circ)

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問3

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB,ACAC の中点をそれぞれ MM,NN とします。BCBC=14{}= 14 のとき、MNMN の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

MNMN=7‾{}= \underline{7}(中点連結定理より MNMN=12BC{}= \dfrac{1}{2}BC)

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問4

△ABC\triangle ABC の重心を GG、辺 BCBC の中点を DD とします。ADAD=9{}= 9 のとき、AGAG の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

AGAG=6‾{}= \underline{6}(AG:GDAG : GD=2:1{}= 2 : 1 より 9⋅239 \cdot \dfrac{2}{3})

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問5

∠C\angle C=90∘{}= 90^\circ,ABAB=10{}= 10 の直角三角形 ABCABC の外接円の半径を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

5‾\underline{5}(直角三角形の外心は斜辺 ABAB の中点)

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実践問題(全20問)

難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。

問1 ★

鋭角三角形 ABCABC の外心を OO とします。∠OAB\angle OAB=25∘{}= 25^\circ,∠OBC\angle OBC=35∘{}= 35^\circ のとき、∠OCA\angle OCA と ∠BAC\angle BAC を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠OCA\angle OCA=30∘{}= 30^\circ,∠BAC\angle BAC=55∘{}= 55^\circ

解説

OAOA=OB{}= OB=OC{}= OC なので △OAB\triangle OAB,△OBC\triangle OBC,△OCA\triangle OCA は二等辺三角形で

∠OBA\displaystyle \angle OBA=∠OAB\displaystyle {}= \angle OAB=25∘,\displaystyle {}= 25^\circ,∠OCB\displaystyle \angle OCB=∠OBC\displaystyle {}= \angle OBC=35∘,\displaystyle {}= 35^\circ,∠OAC\displaystyle \angle OAC=∠OCA\displaystyle {}= \angle OCA

∠OCA\angle OCA=z{}= z とおくと、△ABC\triangle ABC の内角の和から 2⋅25∘+2⋅35∘+2z2 \cdot 25^\circ + 2 \cdot 35^\circ + 2z=180∘{}= 180^\circ、zz=30∘{}= 30^\circ。よって

∠OCA\displaystyle \angle OCA=30∘‾,\displaystyle {}= \underline{30^\circ},∠BAC\displaystyle \angle BAC=∠OAB\displaystyle {}= \angle OAB+∠OAC\displaystyle {}+ \angle OAC=25∘+30∘\displaystyle {}= 25^\circ + 30^\circ=55∘‾\displaystyle {}= \underline{55^\circ}

∠BAC\angle BAC=90∘−∠OBC{}= 90^\circ - \angle OBC=90∘−35∘{}= 90^\circ - 35^\circ とも一致します。

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問2 ★

△ABC\triangle ABC の内心を II とします。∠BIC\angle BIC=130∘{}= 130^\circ,∠ABC\angle ABC=60∘{}= 60^\circ のとき、∠BAC\angle BAC と ∠ICB\angle ICB を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠BAC\angle BAC=80∘{}= 80^\circ,∠ICB\angle ICB=20∘{}= 20^\circ

解説

△IBC\triangle IBC で ∠IBC\angle IBC+∠ICB{}+ \angle ICB=180∘−130∘{}= 180^\circ - 130^\circ=50∘{}= 50^\circ。BIBI,CICI は角の二等分線なので

∠B\displaystyle \angle B+∠C\displaystyle {}+ \angle C=2×50∘\displaystyle {}= 2 \times 50^\circ=100∘\displaystyle {}= 100^\circ⟹∠BAC\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \angle BAC=180∘−100∘\displaystyle {}= 180^\circ - 100^\circ=80∘‾\displaystyle {}= \underline{80^\circ}

∠C\angle C=100∘−60∘{}= 100^\circ - 60^\circ=40∘{}= 40^\circ なので ∠ICB\angle ICB=40∘2{}= \dfrac{40^\circ}{2}=20∘‾{}= \underline{20^\circ}。

公式2 (1) ∠BIC\angle BIC=90∘+∠A2{}= 90^\circ + \dfrac{\angle A}{2} に 130∘130^\circ を入れて ∠A\angle A=80∘{}= 80^\circ としても求められます。

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問3 ★

BCBC=5{}= 5,CACA=12{}= 12,ABAB=13{}= 13 の △ABC\triangle ABC について、外接円の半径 RR と内接円の半径 rr を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

RR=132{}= \dfrac{13}{2},rr=2{}= 2

解説

525^2+122{}+ 12^2=132{}= 13^2 なので ∠C\angle C=90∘{}= 90^\circ の直角三角形です(三平方の定理の逆)。外心は斜辺 ABAB の中点なので

R\displaystyle R=AB2\displaystyle {}= \frac{AB}{2}=132‾\displaystyle {}= \underline{\frac{13}{2}}

面積は SS=12⋅5⋅12{}= \dfrac{1}{2} \cdot 5 \cdot 12=30{}= 30、周の長さは 3030 なので、SS=12r(a+b+c){}= \dfrac{1}{2}r(a + b + c) より 3030=12⋅r⋅30{}= \dfrac{1}{2} \cdot r \cdot 30、rr=2‾{}= \underline{2}。

別解:CC から接点までの長さは公式2 (3) より a+b−c2\dfrac{a + b - c}{2}=5+12−132{}= \dfrac{5 + 12 - 13}{2}=2{}= 2。直角の頂点 CC、2 つの接点、内心 II は 1 辺 rr の正方形を作るので、rr=2{}= 2 です。

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問4 ★

ABAB=7{}= 7,BCBC=8{}= 8,CACA=9{}= 9 の △ABC\triangle ABC の内接円が、辺 BCBC,CACA,ABAB とそれぞれ点 PP,QQ,RR で接しています。BPBP と AQAQ の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

BPBP=3{}= 3,AQAQ=4{}= 4

解説

円の外の点から引いた 2 本の接線の長さは等しいので、AQAQ=AR{}= AR=x{}= x,BRBR=BP{}= BP=y{}= y,CPCP=CQ{}= CQ=z{}= z とおくと

x\displaystyle x+y\displaystyle {}+ y=7,\displaystyle {}= 7,y\displaystyle y+z\displaystyle {}+ z=8,\displaystyle {}= 8,z\displaystyle z+x\displaystyle {}+ x=9\displaystyle {}= 9

3 式を足すと 2(x+y+z)2(x + y + z)=24{}= 24、xx+y{}+ y+z{}+ z=12{}= 12。よって

BP\displaystyle BP=y\displaystyle {}= y=12\displaystyle {}= 12−9\displaystyle {}- 9=3‾,\displaystyle {}= \underline{3},AQ\displaystyle AQ=x\displaystyle {}= x=12\displaystyle {}= 12−8\displaystyle {}- 8=4‾\displaystyle {}= \underline{4}

(zz=12{}= 12−7{}- 7=5{}= 5 で、BPBP+PC{}+ PC=3{}= 3+5{}+ 5=8{}= 8=BC{}= BC と合います。)「xx+y{}+ y+z{}+ z は周の長さの半分」と覚えておくと、公式2 (3) の形がすぐに出ます。

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問5 ★

四角形 ABCDABCD の辺 ABAB,BCBC,CDCD,DADA の中点をそれぞれ PP,QQ,RR,SS とします。対角線の長さが ACAC=10{}= 10,BDBD=8{}= 8 のとき、四角形 PQRSPQRS の周の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

1818

解説

三角形を 1 つずつ取り出して、中点連結定理を使います。

△ABC で PQ\displaystyle \triangle ABC \text{ で } PQ=12AC\displaystyle {}= \frac{1}{2}AC=5,\displaystyle {}= 5,△BCD で QR\displaystyle \triangle BCD \text{ で } QR=12BD\displaystyle {}= \frac{1}{2}BD=4\displaystyle {}= 4 △CDA で RS\displaystyle \triangle CDA \text{ で } RS=12AC\displaystyle {}= \frac{1}{2}AC=5,\displaystyle {}= 5,△DAB で SP\displaystyle \triangle DAB \text{ で } SP=12BD\displaystyle {}= \frac{1}{2}BD=4\displaystyle {}= 4

周の長さは 55+4{}+ 4+5{}+ 5+4{}+ 4=18‾{}= \underline{18}。一般に ACAC+BD{}+ BD に等しくなります。

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問6 ★

面積 3636 の △ABC\triangle ABC の重心を GG、辺 BCBC の中点を DD とします。△GBC\triangle GBC と △GBD\triangle GBD の面積を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

△GBC\triangle GBC=12{}= 12,△GBD\triangle GBD=6{}= 6

解説

AG:GDAG : GD=2:1{}= 2 : 1 なので GDGD=13AD{}= \dfrac{1}{3}AD。△GBC\triangle GBC と △ABC\triangle ABC は底辺 BCBC が共通で、高さの比は GD:ADGD : AD=1:3{}= 1 : 3 なので

△GBC\displaystyle \triangle GBC=13×36\displaystyle {}= \frac{1}{3} \times 36=12‾\displaystyle {}= \underline{12}

DD は BCBC の中点なので、△GBD\triangle GBD=12△GBC{}= \dfrac{1}{2}\triangle GBC=6‾{}= \underline{6}。

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問7 ★

∠C\angle C=90∘{}= 90^\circ,∠A\angle A=35∘{}= 35^\circ の直角三角形 ABCABC の外心を OO とします。∠OCB\angle OCB と ∠AOC\angle AOC を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠OCB\angle OCB=55∘{}= 55^\circ,∠AOC\angle AOC=110∘{}= 110^\circ

解説

直角三角形の外心は斜辺 ABAB の中点なので、OO は ABAB 上にあり OAOA=OB{}= OB=OC{}= OC です。

∠B\angle B=90∘−35∘{}= 90^\circ - 35^\circ=55∘{}= 55^\circ。△OBC\triangle OBC は OBOB=OC{}= OC の二等辺三角形なので ∠OCB\angle OCB=∠OBC{}= \angle OBC=55∘‾{}= \underline{55^\circ}。

△OCA\triangle OCA は OAOA=OC{}= OC の二等辺三角形なので ∠OCA\angle OCA=∠OAC{}= \angle OAC=35∘{}= 35^\circ、よって

∠AOC\displaystyle \angle AOC=180∘−2×35∘\displaystyle {}= 180^\circ - 2 \times 35^\circ=110∘‾\displaystyle {}= \underline{110^\circ}

「斜辺の中点は 3 頂点から等距離」なので、直角三角形は斜辺の中点で 2 つの二等辺三角形に分かれます。

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問8 ★

△ABC\triangle ABC で BCBC=8{}= 8,CACA=10{}= 10 です。辺 ABAB の中点 MM を通り辺 BCBC に平行な直線が、辺 ACAC と交わる点を NN とするとき、ANAN と MNMN の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

ANAN=5{}= 5,MNMN=4{}= 4

解説

中点連結定理の逆より、MM を通り BCBC に平行な直線は辺 ACAC の中点を通ります(第1章 公式1 (2) で AM:MBAM : MB=1:1{}= 1 : 1 から AN:NCAN : NC=1:1{}= 1 : 1)。よって NN は ACAC の中点で

AN\displaystyle AN=12⋅10\displaystyle {}= \frac{1}{2} \cdot 10=5‾,\displaystyle {}= \underline{5},MN\displaystyle MN=12BC\displaystyle {}= \frac{1}{2}BC=4‾\displaystyle {}= \underline{4}
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問9 ★★

∠A\angle A=50∘{}= 50^\circ,∠B\angle B=60∘{}= 60^\circ の △ABC\triangle ABC の外心を OO、内心を II とします。∠OBC\angle OBC,∠IBC\angle IBC,∠OBI\angle OBI を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠OBC\angle OBC=40∘{}= 40^\circ,∠IBC\angle IBC=30∘{}= 30^\circ,∠OBI\angle OBI=10∘{}= 10^\circ

解説

∠C\angle C=70∘{}= 70^\circ で、すべての角が鋭角なので OO は内部にあります。∠OAB\angle OAB=x{}= x,∠OBC\angle OBC=y{}= y,∠OCA\angle OCA=z{}= z とおくと、二等辺三角形の底角から

x\displaystyle x+y\displaystyle {}+ y+z\displaystyle {}+ z=90∘,\displaystyle {}= 90^\circ,∠A\displaystyle \angle A=x\displaystyle {}= x+z\displaystyle {}+ z=50∘\displaystyle {}= 50^\circ⟹∠OBC\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \angle OBC=y\displaystyle {}= y=40∘‾\displaystyle {}= \underline{40^\circ}

BIBI は ∠B\angle B の二等分線なので ∠IBC\angle IBC=30∘‾{}= \underline{30^\circ}。

∠OBC\angle OBC>∠IBC{}> \angle IBC なので、半直線 BIBI は BCBC と BOBO の間にあり

∠OBI\displaystyle \angle OBI=40∘−30∘\displaystyle {}= 40^\circ - 30^\circ=10∘‾\displaystyle {}= \underline{10^\circ}

確かめ:∠OBA\angle OBA=x{}= x=90∘−∠C{}= 90^\circ - \angle C=20∘{}= 20^\circ で、∠OBA\angle OBA+∠OBI{}+ \angle OBI=30∘{}= 30^\circ=∠IBA{}= \angle IBA となり合っています。

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問10 ★★

ABAB=9{}= 9,BCBC=5{}= 5,CACA=6{}= 6 の △ABC\triangle ABC の内心を II とし、直線 AIAI と辺 BCBC の交点を DD とします。BDBD の長さと AI:IDAI : ID を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

BDBD=3{}= 3,AI:IDAI : ID=3:1{}= 3 : 1

解説

ADAD は ∠A\angle A の二等分線なので、第1章 公式3 より BD:DCBD : DC=AB:AC{}= AB : AC=9:6{}= 9 : 6=3:2{}= 3 : 2。

BD\displaystyle BD=5⋅35\displaystyle {}= 5 \cdot \frac{3}{5}=3‾\displaystyle {}= \underline{3}

△ABD\triangle ABD で、BIBI は ∠ABD\angle ABD の二等分線なので、公式3をもう一度使うと

AI:ID\displaystyle AI : ID=BA:BD\displaystyle {}= BA : BD=9:3\displaystyle {}= 9 : 3=3:1‾\displaystyle {}= \underline{3 : 1}

公式2 (2) の (b+c):a(b + c) : a=(6+9):5{}= (6 + 9) : 5=3:1{}= 3 : 1 とも一致します。

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問11 ★★

ABAB=13{}= 13,BCBC=14{}= 14,CACA=15{}= 15 の △ABC\triangle ABC の内接円の半径 rr と、内接円と辺 BCBC の接点を PP とするときの BPBP の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

rr=4{}= 4,BPBP=6{}= 6

解説

AA から BCBC に垂線 AKAK を下ろし、BKBK=t{}= t とすると、三平方の定理より

132\displaystyle 13^2−t2\displaystyle {}- t^2=152\displaystyle {}= 15^2−(14−t)2\displaystyle {}- (14 - t)^2⟹169\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad 169−t2\displaystyle {}- t^2=225\displaystyle {}= 225−196\displaystyle {}- 196+28t\displaystyle {}+ 28t−t2\displaystyle {}- t^2⟹t\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad t=5\displaystyle {}= 5

AKAK=169−25{}= \sqrt{169 - 25}=12{}= 12 なので、SS=12⋅14⋅12{}= \dfrac{1}{2} \cdot 14 \cdot 12=84{}= 84。周の長さは 4242 なので

84\displaystyle 84=12⋅r⋅42\displaystyle {}= \frac{1}{2} \cdot r \cdot 42⟹r\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad r=4‾\displaystyle {}= \underline{4}

接点までの長さは公式2 (3) より

BP\displaystyle BP=c+a−b2\displaystyle {}= \frac{c + a - b}{2}=13+14−152\displaystyle {}= \frac{13 + 14 - 15}{2}=6‾\displaystyle {}= \underline{6}

KK(BKBK=5{}= 5)と PP(BPBP=6{}= 6)は近いけれど別の点です。

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問12 ★★

面積 4545 の △ABC\triangle ABC の重心 GG を通り、辺 BCBC に平行な直線が辺 ABAB,ACAC と交わる点をそれぞれ PP,QQ とします。△APQ\triangle APQ と四角形 PBCQPBCQ の面積を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

△APQ\triangle APQ=20{}= 20,四角形 PBCQPBCQ=25{}= 25

解説

辺 BCBC の中点を DD とすると、GG は中線 ADAD 上にあり AG:ADAG : AD=2:3{}= 2 : 3。PQPQ∥BC{}\parallel BC なので △APQ∽△ABC\triangle APQ \backsim \triangle ABC で、相似比は AG:ADAG : AD=2:3{}= 2 : 3 です(△ABD\triangle ABD で PGPG∥BD{}\parallel BD から AP:ABAP : AB=AG:AD{}= AG : AD)。

相似な三角形の面積の比は相似比の 2 乗なので

△APQ\displaystyle \triangle APQ=45×(23)2\displaystyle {}= 45 \times \left(\frac{2}{3}\right)^2=20‾\displaystyle {}= \underline{20}

四角形 PBCQPBCQ=45{}= 45−20{}- 20=25‾{}= \underline{25}。

「重心は中線の 23\dfrac{2}{3} の位置」を、平行線で辺 ABAB,ACAC に運んだ形です。AP:PBAP : PB=2:1{}= 2 : 1 もすぐ分かります。

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問13 ★★

四角形 ABCDABCD の辺 ABAB,BCBC,CDCD,DADA の中点をそれぞれ PP,QQ,RR,SS とするとき、四角形 PQRSPQRS は平行四辺形であることを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

対角線 ACAC を引き、△ABC\triangle ABC と △DAC\triangle DAC で中点連結定理を使うと PQPQ∥AC{}\parallel AC∥SR{}\parallel SR,PQPQ=SR{}= SR=12AC{}= \dfrac{1}{2}AC。1 組の対辺が平行で長さが等しい。

解説

対角線 ACAC を引きます。

△ABC\triangle ABC で、PP,QQ は ABAB,BCBC の中点なので、中点連結定理より

PQ\displaystyle PQ∥AC,\displaystyle {}\parallel AC,PQ\displaystyle PQ=12AC\displaystyle {}= \frac{1}{2}AC⋯(1)\displaystyle \cdots(1)

△DAC\triangle DAC で、SS,RR は DADA,DCDC の中点なので

SR\displaystyle SR∥AC,\displaystyle {}\parallel AC,SR\displaystyle SR=12AC\displaystyle {}= \frac{1}{2}AC⋯(2)\displaystyle \cdots(2)

(1)(2) より PQPQ∥SR{}\parallel SR かつ PQPQ=SR{}= SR。1 組の対辺が平行で長さが等しいので、四角形 PQRSPQRS は平行四辺形である。

(証明終)どんな四角形でも(へこんだ四角形でも)中点を結ぶと平行四辺形になります。この事実はヴァリニョンの定理と呼ばれます。

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問14 ★★

平行四辺形 ABCDABCD で、辺 BCBC の中点を MM、線分 AMAM と対角線 BDBD の交点を PP とします。BDBD=12{}= 12 のとき、BPBP の長さと、△PBM\triangle PBM の面積が平行四辺形 ABCDABCD の面積の何倍かを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

BPBP=4{}= 4,112\dfrac{1}{12} 倍

解説

対角線 ACAC,BDBD の交点を OO とすると、平行四辺形の対角線はたがいに他を二等分するので OO は ACAC の中点です。

△ABC\triangle ABC で、BOBO と AMAM はどちらも中線なので、交点 PP は △ABC\triangle ABC の重心です。よって BP:POBP : PO=2:1{}= 2 : 1 で

BP\displaystyle BP=23BO\displaystyle {}= \frac{2}{3}BO=23⋅6\displaystyle {}= \frac{2}{3} \cdot 6=4‾\displaystyle {}= \underline{4}

重心と中線で分けた 6 つの三角形は面積が等しいので、△PBM\triangle PBM=16△ABC{}= \dfrac{1}{6}\triangle ABC。△ABC\triangle ABC は平行四辺形の半分なので

△PBM\displaystyle \triangle PBM=16×12 ABCD\displaystyle {}= \frac{1}{6} \times \frac{1}{2}\,ABCD=112‾ ABCD\displaystyle {}= \underline{\frac{1}{12}}\,ABCD

「平行四辺形の中に重心が隠れている」ことに気づけば、比の計算はいりません。

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問15 ★★

∠A\angle A=90∘{}= 90^\circ,ABAB=6{}= 6,ACAC=8{}= 8 の直角三角形 ABCABC の重心を GG、内心を II とします。内接円の半径 rr と、線分 GIGI の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

rr=2{}= 2,GIGI=23{}= \dfrac{2}{3}

解説

BCBC=36+64{}= \sqrt{36 + 64}=10{}= 10。面積 SS=12⋅6⋅8{}= \dfrac{1}{2} \cdot 6 \cdot 8=24{}= 24、周の長さ 2424 なので 2424=12⋅r⋅24{}= \dfrac{1}{2} \cdot r \cdot 24、rr=2‾{}= \underline{2}。

II は直線 ABAB からも直線 ACAC からも距離 22 です。

次に GG の位置を調べます。ACAC の中点を EE とすると GG は中線 BEBE 上で GEGE=13BE{}= \dfrac{1}{3}BE。EE は直線 ACAC 上にあるので、GG から直線 ACAC までの距離は、BB から直線 ACAC までの距離 BABA=6{}= 6 の 13\dfrac{1}{3} で 22。同様に、GG から直線 ABAB までの距離は CACA=8{}= 8 の 13\dfrac{1}{3} で 83\dfrac{8}{3}。

GG も II も直線 ACAC から距離 22(同じ側)なので、GIGI∥AC{}\parallel AC です。ACAC⊥AB{}\perp AB なので、GIGI の長さは直線 ABAB までの距離の差になり

GI\displaystyle GI=83\displaystyle {}= \frac{8}{3}−2\displaystyle {}- 2=23‾\displaystyle {}= \underline{\frac{2}{3}}

直角をはさむ 2 辺 ABAB,ACAC を目盛りのついた 2 本の軸と見ると、GG も II も「2 本の軸からの距離」だけで位置が決まるので、差をとるだけで距離が出ます。

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問16 ★★

ABAB=AC{}= AC=5{}= 5,BCBC=6{}= 6 の二等辺三角形 ABCABC の外接円の半径 RR、内接円の半径 rr、外心 OO と内心 II の距離 OIOI を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

RR=258{}= \dfrac{25}{8},rr=32{}= \dfrac{3}{2},OIOI=58{}= \dfrac{5}{8}

解説

BCBC の中点を DD とすると ADAD⊥BC{}\perp BC、ADAD=25−9{}= \sqrt{25 - 9}=4{}= 4。二等辺三角形は ADAD について対称なので、外心・内心・重心はすべて ADAD 上にあります。

(rr)SS=12⋅6⋅4{}= \dfrac{1}{2} \cdot 6 \cdot 4=12{}= 12、周の長さ 1616 なので 1212=12⋅r⋅16{}= \dfrac{1}{2} \cdot r \cdot 16、rr=32‾{}= \underline{\dfrac{3}{2}}。II は BCBC から距離 rr なので IDID=32{}= \dfrac{3}{2}。

(RR)OO は ADAD 上で OAOA=OB{}= OB=R{}= R。ODOD=4{}= 4−R{}- R として直角三角形 OBDOBD で三平方の定理を使うと

R2\displaystyle R^2=32\displaystyle {}= 3^2+(4−R)2\displaystyle {}+ (4 - R)^2⟹8R\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad 8R=25\displaystyle {}= 25⟹R\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad R=258‾\displaystyle {}= \underline{\frac{25}{8}}

ODOD=4{}= 4−258{}- \dfrac{25}{8}=78{}= \dfrac{7}{8} で、OO も II も BCBC から見て同じ側(AA の側)にあるので

OI\displaystyle OI=ID\displaystyle {}= ID−OD\displaystyle {}- OD=32\displaystyle {}= \frac{3}{2}−78\displaystyle {}- \frac{7}{8}=58‾\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{8}}

確かめ:OI2OI^2=R2{}= R^2−2Rr{}- 2Rr(オイラーの式、小話を参照)に入れると 62564\dfrac{625}{64}−60064{}- \dfrac{600}{64}=2564{}= \dfrac{25}{64} で合っています。

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問17 ★★★

鋭角三角形 ABCABC の垂心を HH、外心を OO とするとき、∠BAH\angle BAH=∠OAC{}= \angle OAC が成り立つことを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

AHAH と BCBC の交点を DD とすると、直角三角形 ABDABD で ∠BAH\angle BAH=90∘−∠B{}= 90^\circ - \angle B。二等辺三角形の底角 xx+y{}+ y+z{}+ z=90∘{}= 90^\circ から ∠OAC\angle OAC=z{}= z=90∘−∠B{}= 90^\circ - \angle B。

解説

鋭角三角形なので HH も OO も内部にあります。

直線 AHAH と辺 BCBC の交点を DD とすると、ADAD⊥BC{}\perp BC です。直角三角形 ABDABD で

∠BAH\displaystyle \angle BAH=∠BAD\displaystyle {}= \angle BAD=90∘−∠B\displaystyle {}= 90^\circ - \angle B⋯(1)\displaystyle \cdots(1)

一方、OAOA=OB{}= OB=OC{}= OC なので、∠OAB\angle OAB=∠OBA{}= \angle OBA=x{}= x,∠OBC\angle OBC=∠OCB{}= \angle OCB=y{}= y,∠OCA\angle OCA=∠OAC{}= \angle OAC=z{}= z とおけて、内角の和から 2x2x+2y{}+ 2y+2z{}+ 2z=180∘{}= 180^\circ。∠B\angle B=x{}= x+y{}+ y なので

∠OAC\displaystyle \angle OAC=z\displaystyle {}= z=90∘−(x+y)\displaystyle {}= 90^\circ - (x + y)=90∘−∠B\displaystyle {}= 90^\circ - \angle B⋯(2)\displaystyle \cdots(2)

(1)(2) より ∠BAH\angle BAH=∠OAC{}= \angle OAC。

(証明終)AHAH と AOAO は、∠A\angle A の二等分線をはさんで対称な位置にあります。垂心と外心は、角の二等分線について「鏡に映した」関係の 2 点です。

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問18 ★★★

鋭角三角形 ABCABC で、頂点 AA から辺 BCBC に下ろした垂線を ADAD とすると、BDBD=3{}= 3,DCDC=4{}= 4,ADAD=6{}= 6 です。△ABC\triangle ABC の垂心を HH とするとき、HDHD と AHAH の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

HDHD=2{}= 2,AHAH=4{}= 4

解説

垂心 HH は ADAD 上にあります。BB から CACA に下ろした垂線を BEBE とすると、HH は BEBE 上にもあります。

直角三角形 BECBEC で ∠HBD\angle HBD=∠EBC{}= \angle EBC=90∘−∠C{}= 90^\circ - \angle C。直角三角形 ADCADC で ∠DAC\angle DAC=90∘−∠C{}= 90^\circ - \angle C。よって ∠HBD\angle HBD=∠CAD{}= \angle CAD で、∠BDH\angle BDH=∠ADC{}= \angle ADC=90∘{}= 90^\circ なので

△BDH∽△ADC\triangle BDH \backsim \triangle ADC

対応する辺の比から HD:BDHD : BD=CD:AD{}= CD : AD、すなわち

HD\displaystyle HD=BD⋅CDAD\displaystyle {}= \frac{BD \cdot CD}{AD}=3⋅46\displaystyle {}= \frac{3 \cdot 4}{6}=2‾,\displaystyle {}= \underline{2},AH\displaystyle AH=AD\displaystyle {}= AD−HD\displaystyle {}- HD=6\displaystyle {}= 6−2\displaystyle {}- 2=4‾\displaystyle {}= \underline{4}

AD⋅HDAD \cdot HD=BD⋅DC{}= BD \cdot DC という形は、第5章の「方べきの定理」でも現れます。

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問19 ★★★

ABAB=6{}= 6,BCBC=7{}= 7,CACA=5{}= 5 の △ABC\triangle ABC で、∠A\angle A 内の傍接円が辺 BCBC と点 PP で、辺 ABAB の BB の先への延長と点 QQ で、辺 ACAC の CC の先への延長と点 RR で接しています。AQAQ と BPBP の長さを求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

AQAQ=9{}= 9,BPBP=3{}= 3

解説

円の外の点から引いた 2 本の接線の長さは等しいので

AQ\displaystyle AQ=AR,\displaystyle {}= AR,BQ\displaystyle BQ=BP,\displaystyle {}= BP,CR\displaystyle CR=CP\displaystyle {}= CP

AQAQ+AR{}+ AR=(AB+BQ){}= (AB + BQ)+(AC+CR){}+ (AC + CR)=AB{}= AB+AC{}+ AC+(BP+CP){}+ (BP + CP)=6{}= 6+5{}+ 5+7{}+ 7=18{}= 18 なので

AQ\displaystyle AQ=AR\displaystyle {}= AR=9‾\displaystyle {}= \underline{9}

これは周の長さの半分です。BPBP=BQ{}= BQ=AQ{}= AQ−AB{}- AB=9{}= 9−6{}- 6=3‾{}= \underline{3}。

比べてみると、内接円と BCBC の接点を P′P' とすれば BP′BP'=c+a−b2{}= \dfrac{c + a - b}{2}=6+7−52{}= \dfrac{6 + 7 - 5}{2}=4{}= 4 で、CP′CP'=3{}= 3=BP{}= BP。内接円の接点と傍接円の接点は、辺 BCBC の中点について対称な位置にあります。

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問20 ★★★

△ABC\triangle ABC の内心を II、∠A\angle A 内の傍心を IAI_A とします。∠A\angle A=50∘{}= 50^\circ のときの ∠BIAC\angle B I_A C を求め、さらに一般に ∠BIC\angle BIC+∠BIAC{}+ \angle B I_A C=180∘{}= 180^\circ が成り立つことを示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

∠BIAC\angle B I_A C=65∘{}= 65^\circ。BIBI⊥BIA{}\perp BI_A,CICI⊥CIA{}\perp CI_A なので、四角形 IBIACIBI_AC の残りの 2 角の和が 180∘180^\circ。

解説

(前半)∠IABC\angle I_A BC=180∘−∠B2{}= \dfrac{180^\circ - \angle B}{2},∠IACB\angle I_A CB=180∘−∠C2{}= \dfrac{180^\circ - \angle C}{2} なので

∠BIAC\displaystyle \angle B I_A C=180∘−360∘−(∠B+∠C)2\displaystyle {}= 180^\circ - \frac{360^\circ - (\angle B + \angle C)}{2}=∠B+∠C2\displaystyle {}= \frac{\angle B + \angle C}{2}=90∘−∠A2\displaystyle {}= 90^\circ - \frac{\angle A}{2}

∠A\angle A=50∘{}= 50^\circ なら ∠BIAC\angle B I_A C=90∘−25∘{}= 90^\circ - 25^\circ=65∘‾{}= \underline{65^\circ}。

(後半)BIBI は ∠B\angle B の内角の二等分線、BIABI_A は ∠B\angle B の外角の二等分線です。第1章 公式4 のとおり、内角と外角の二等分線は直交するので ∠IBIA\angle IBI_A=90∘{}= 90^\circ。同様に ∠ICIA\angle ICI_A=90∘{}= 90^\circ。

II は三角形の内部、IAI_A は辺 BCBC について AA と反対側にあるので、四角形 IBIACIBI_AC ができ、その内角の和は 360∘360^\circ です。よって

∠BIC\displaystyle \angle BIC+∠BIAC\displaystyle {}+ \angle B I_A C=360∘−90∘−90∘\displaystyle {}= 360^\circ - 90^\circ - 90^\circ=180∘\displaystyle {}= 180^\circ

(証明終)∠A\angle A=50∘{}= 50^\circ なら ∠BIC\angle BIC=115∘{}= 115^\circ で、115∘+65∘115^\circ + 65^\circ=180∘{}= 180^\circ と確かめられます。向かい合う角の和が 180∘180^\circ なので、4 点 II,BB,IAI_A,CC は IIAII_A を直径とする 1 つの円の上にあります(第4章で扱う「円に内接する四角形」の形です)。

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数学小話コーナー

オイラー線——3 つの心が一直線に並ぶ

外心・重心・垂心は、それぞれまったく別の決め方をした点です。ところが、どんな三角形でもこの 3 点は 1 本の直線の上に並びます。しかも重心は、外心と垂心を結ぶ線分をいつも 1:21 : 2 に内分します(OG:GHOG : GH=1:2{}= 1 : 2)。これを見つけたのは 18 世紀の数学者レオンハルト・オイラーで、1765 年ごろの論文で示されました(※論文の年は 1763 年・1767 年などとされることもあります)。この直線はオイラー線と呼ばれています。

直角三角形で確かめてみましょう。∠C\angle C=90∘{}= 90^\circ なら、垂心は直角の頂点 CC、外心は斜辺 ABAB の中点 MM です。重心は中線 CMCM を CC の側から 2:12 : 1 に分ける点なので、たしかに HH(=C= C)と OO(=M= M)を結ぶ線分の上にあり、OG:GHOG : GH=1:2{}= 1 : 2 です。二等辺三角形なら、3 点はどれも対称の軸の上に並びます。

一方、内心はふつうオイラー線の上にはありません。そのかわりオイラーは、外心と内心の距離について OI2OI^2=R2{}= R^2−2Rr{}- 2Rr という式も残しました(※イギリスのチャップルが 1746 年に先に発表していたとも言われます)。左辺は 00 以上なので RR≧2r{}\geqq 2r、つまり「外接円の半径は内接円の半径の 2 倍以上」で、等号は正三角形のときだけです。

豆知識

オイラー線の上には、もう 1 つ有名な点があります。3 辺の中点、3 本の垂線の足、垂心と各頂点を結ぶ線分の中点——合わせて 9 個の点は、いつも 1 つの円の上にあります。この九点円の中心は外心と垂心のちょうど真ん中にあり、半径は外接円の半分です。1822 年にドイツのフォイエルバッハは、九点円が内接円と 3 つの傍接円すべてに接することまで示しました(※九点円そのものの発見者には諸説あり)。

ナポレオンの定理——皇帝の名がついた三角形

どんな形の三角形でもかまいません。3 つの辺それぞれに、外側へ向けて正三角形を貼りつけます。そして、貼りつけた 3 つの正三角形の中心(正三角形なので外心・内心・重心はすべて同じ点です)を結ぶと——なんと、いつも正三角形ができます。

これはナポレオンの定理と呼ばれ、フランス皇帝ナポレオン・ボナパルトが見つけたと言われてきました。ナポレオンは砲兵将校として数学を学び、数学者のラプラスやラグランジュとも交流がありました。ただ、本人が発見したという確かな記録はなく、知られている最も古い発表は 1825 年のイギリスの雑誌だとされます(※名前の由来には諸説あり)。

この定理のすごいところは、もとの三角形がどんなにいびつでも、結果が必ず「いちばん整った三角形」になる点です。いびつさが、3 つの正三角形の中でうまく打ち消し合っているのです。

豆知識

同じ図で、各頂点と「向かいの辺に貼った正三角形の、遠いほうの頂点」を結ぶと、3 本の線はやはり 1 点で交わります。3 つの角がすべて 120∘120^\circ より小さい三角形では、この点から 3 頂点までの距離の和 PAPA+PB{}+ PB+PC{}+ PC が最小になり、どの 2 頂点を見込む角も 120∘120^\circ です。この点はフェルマー点と呼ばれ、17 世紀にフェルマーが出した問題をトリチェリが解いたと伝えられます(※伝承による)。第1章の実践問題で PAPA+PB{}+ PB+PC{}+ PC の大きさを評価しましたが、その最小値を与える点が、ここで登場したわけです。3 つの町を結ぶ道路の総延長を最短にしたいときにも、この 120∘120^\circ の分かれ道が現れます。

三角形の「中心」は何万個もある

この章では 5 つの「心」を学びましたが、三角形の中心と呼べる点はそれだけではありません。アメリカの数学者クラーク・キンバーリングは、三角形の中心を集めた『三角形の中心百科事典』(Encyclopedia of Triangle Centers、略して ETC)を 1990 年代にインターネット上で公開しました。世界中の研究者や愛好家が新しい中心を報告し続け、登録数は 2020 年代に数万個に達しています(※件数は今も増え続けています)。

百科事典では、中心に X(1)X(1),X(2)X(2),… と番号がついています。X(1)X(1) が内心、X(2)X(2) が重心、X(3)X(3) が外心、X(4)X(4) が垂心、X(5)X(5) が九点円の中心です。この章の主役たちは、最初の番号を占める「古株」なのです。

中心として登録されるには、「三角形を拡大・縮小・回転しても、同じ位置関係の点に移る」「3 つの頂点を平等に扱って決まる」といった条件を満たす必要があります。実は傍心は、この意味での「中心」には入りません。傍心は 3 つあり、どの頂点を選ぶかで決まる点だからです。5 つをひとまとめに「五心」と呼ぶのは、日本の数学教育でよく見られる言い方です(※英語圏では、それぞれを個別に扱うのがふつうです)。

豆知識

英語の名前には、それぞれの決め方が表れています。外心 circumcenter の circum は「まわり」(外接円 circumcircle の中心)、内心 incenter の in は「内側」、傍心 excenter の ex は「外側」です。垂心 orthocenter の ortho は「まっすぐ・直角」の意味で、歯並びを整える矯正歯科(orthodontics)と同じ語源です。重心 centroid は「中心 center のようなもの」という意味です。

厳密定義(発展)

※ここは発展ページです。高校の範囲では「公式1〜5を使えること」で十分ですが、「3 本の線が 1 点で交わることは、どう証明すれば完全なのか」「垂心はなぜ存在するのか」が気になる人のために、証明を紹介します。第1章の厳密定義ページの定理(内分点はただ 1 つ、平行線と線分の比)を使います。

定義1:1 点で交わる 3 直線と五心

3 本以上の直線がすべて同じ 1 点を通るとき、それらの直線は 1 点で交わるという。△ABC\triangle ABC について

  • 3 辺の垂直二等分線が 1 点で交わるとき、その点を外心という。
  • 3 つの内角の二等分線が 1 点で交わるとき、その点を内心という。
  • 3 本の中線が 1 点で交わるとき、その点を重心という。
  • 各頂点から向かいの辺(を含む直線)に下ろした 3 本の垂線が 1 点で交わるとき、その点を垂心という。
  • ∠A\angle A の二等分線と ∠B\angle B,∠C\angle C の外角の二等分線が 1 点で交わるとき、その点を ∠A\angle A 内の傍心という(∠B\angle B 内・∠C\angle C 内も同様)。

定義では「1 点で交わるとき」と条件をつけました。本当に 1 点で交わることは、これから定理として示します。

定理1:垂直二等分線は 2 点から等距離な点の集まり

点 PP が線分 ABAB の垂直二等分線上にあることと、PAPA=PB{}= PB であることは同値である。

証明 ABAB の中点を MM とする。PP=M{}= M のときは明らかなので、PP≠M{}\neq M とする。

(⇒\Rightarrow)PP が垂直二等分線上にあれば、△PMA\triangle PMA と △PMB\triangle PMB で MAMA=MB{}= MB,PMPM は共通,∠PMA\angle PMA=∠PMB{}= \angle PMB=90∘{}= 90^\circ。2 辺とその間の角が等しいので合同で、PAPA=PB{}= PB。

(⇐\Leftarrow)PAPA=PB{}= PB ならば、△PMA\triangle PMA と △PMB\triangle PMB は 3 辺がそれぞれ等しいので合同で、∠PMA\angle PMA=∠PMB{}= \angle PMB。2 つの和は 180∘180^\circ なので、どちらも 90∘90^\circ。よって PMPM⊥AB{}\perp AB で、PP は垂直二等分線上にある。(証明終)

定理2:外心の存在

△ABC\triangle ABC の 3 辺の垂直二等分線は 1 点で交わる。

証明 辺 ABAB,BCBC の垂直二等分線をそれぞれ ℓ\ell,mm とする。もし ℓ\ell∥m{}\parallel m なら、ℓ\ell に垂直な ABAB と mm に垂直な BCBC も平行になり、BB を共有するので AA,BB,CC が一直線上に並んでしまう。よって ℓ\ell と mm は 1 点 OO で交わる。

定理1より、OO は ℓ\ell 上にあるので OAOA=OB{}= OB、mm 上にあるので OBOB=OC{}= OC。よって OCOC=OA{}= OA となり、再び定理1より OO は辺 CACA の垂直二等分線上にある。(証明終)

3 点 AA,BB,CC を通る円の中心は、3 点から等距離なので必ず OO です。「一直線上にない 3 点を通る円はただ 1 つ」ということも、この定理から分かります。

定理3:角の二等分線は 2 辺から等距離な点の集まり

∠XOY\angle XOY(0∘0^\circ<∠XOY{}< \angle XOY<180∘{}< 180^\circ)の内部の点 PP から直線 OXOX,OYOY に下ろした垂線の足を KK,LL とする。PP が ∠XOY\angle XOY の二等分線上にあることと、PKPK=PL{}= PL であることは同値である。

証明 直角三角形 POKPOK と POLPOL は、斜辺 POPO が共通である。

(⇒\Rightarrow)∠POX\angle POX=∠POY{}= \angle POY=12∠XOY{}= \dfrac{1}{2}\angle XOY<90∘{}< 90^\circ なので、KK,LL はそれぞれ半直線 OXOX,OYOY 上にあり、∠POK\angle POK=∠POL{}= \angle POL。斜辺と 1 つの鋭角がそれぞれ等しいので合同で、PKPK=PL{}= PL。

(⇐\Leftarrow)PKPK=PL{}= PL ならば、斜辺と他の 1 辺がそれぞれ等しいので合同で、∠POK\angle POK=∠POL{}= \angle POL。∠XOY\angle XOY が鈍角のときは、足 KK が半直線 OXOX の反対側(OO の向こう)に落ちることがあり、そのときは ∠POK\angle POK=180∘−∠POX{}= 180^\circ - \angle POX である(LL も同様)。足の位置で場合を分けると、∠POK\angle POK=∠POL{}= \angle POL から「∠POX\angle POX=∠POY{}= \angle POY」か「∠POX\angle POX+∠POY{}+ \angle POY=180∘{}= 180^\circ」のどちらかが出るが、後者は ∠POX\angle POX+∠POY{}+ \angle POY=∠XOY{}= \angle XOY<180∘{}< 180^\circ に反する。よって ∠POX\angle POX=∠POY{}= \angle POY。(証明終)

第1章では(⇒\Rightarrow)だけを使いました。内心の存在には(⇐\Leftarrow)が必要です。「角の内部の点」という条件を外すと、2 直線から等距離な点には外角の二等分線上の点も含まれます。傍心はそちらを使います。

定理4:内心・傍心の存在

△ABC\triangle ABC の 3 つの内角の二等分線は 1 点で交わる。また、∠A\angle A の二等分線と ∠B\angle B,∠C\angle C の外角の二等分線も 1 点で交わる。

証明 (内心)∠B\angle B の二等分線は辺 CACA と、∠C\angle C の二等分線は辺 ABAB と交わるので、2 本は三角形の内部の点 II で交わる。定理3より、II から直線 BABA,BCBC までの距離は等しく、直線 CBCB,CACA までの距離も等しい。よって II から直線 ABAB,ACAC までの距離は等しく、II は ∠A\angle A の内部にあるので、定理3より ∠A\angle A の二等分線上にある。

(傍心)∠B\angle B,∠C\angle C の外角の二等分線が辺 BCBC となす角(AA と反対側)は 180∘−∠B2\dfrac{180^\circ - \angle B}{2},180∘−∠C2\dfrac{180^\circ - \angle C}{2} で、その和は 180∘−∠B+∠C2180^\circ - \dfrac{\angle B + \angle C}{2}<180∘{}< 180^\circ。よって 2 本は BCBC について AA と反対側の点 IAI_A で交わる。内心と同じく IAI_A は直線 ABAB,BCBC,CACA から等距離で、IAI_A は ∠BAC\angle BAC の内部にあるので、定理3より ∠A\angle A の二等分線上にある。(証明終)

定理5:中点連結定理

△ABC\triangle ABC の辺 ABAB,ACAC の中点を MM,NN とすると、MNMN∥BC{}\parallel BC,MNMN=12BC{}= \dfrac{1}{2}BC である。

証明 第1章の定理3(平行線と線分の比の逆)からすぐに出るが、ここでは比を使わない証明を示す。

線分 MNMN を NN の先へ延ばし、NLNL=MN{}= MN となる点 LL をとる。△AMN\triangle AMN と △CLN\triangle CLN で、ANAN=CN{}= CN,MNMN=LN{}= LN,対頂角で ∠ANM\angle ANM=∠CNL{}= \angle CNL。よって △AMN\triangle AMN≡△CLN{}\equiv \triangle CLN で、CLCL=AM{}= AM=MB{}= MB,∠NCL\angle NCL=∠NAM{}= \angle NAM。

錯角が等しいので CLCL∥AB{}\parallel AB、すなわち CLCL∥MB{}\parallel MB。CLCL=MB{}= MB と合わせて、1 組の対辺が平行で長さが等しいので、四角形 MBCLMBCL は平行四辺形である。よって MLML∥BC{}\parallel BC,MLML=BC{}= BC。MNMN=12ML{}= \dfrac{1}{2}ML なので、MNMN∥BC{}\parallel BC,MNMN=12BC{}= \dfrac{1}{2}BC。(証明終)

定理6:重心の存在と 2 : 1

△ABC\triangle ABC の 3 本の中線 ADAD,BEBE,CFCF は 1 点 GG で交わり、AG:GDAG : GD=BG:GE{}= BG : GE=CG:GF{}= CG : GF=2:1{}= 2 : 1 である。

証明 中線 BEBE と CFCF は三角形の内部の点 GG で交わる。定理5より FEFE∥BC{}\parallel BC,FEFE=12BC{}= \dfrac{1}{2}BC。錯角が等しいので △GEF∽△GBC\triangle GEF \backsim \triangle GBC で、相似比は 1:21 : 2。よって BG:GEBG : GE=CG:GF{}= CG : GF=2:1{}= 2 : 1。

同様に、中線 ADAD と BEBE の交点を G′G' とすると、△G′ED∽△G′BA\triangle G'ED \backsim \triangle G'BA(EDED∥AB{}\parallel AB,EDED=12AB{}= \dfrac{1}{2}AB)より BG′:G′EBG' : G'E=AG′:G′D{}= AG' : G'D=2:1{}= 2 : 1。GG と G′G' はどちらも線分 BEBE を 2:12 : 1 に内分する点なので、第1章の定理1(内分点はただ 1 つ)より GG=G′{}= G'。よって 3 本の中線は GG で交わり、AG:GDAG : GD=2:1{}= 2 : 1 も成り立つ。(証明終)

同じ点が 2 通りの方法で得られたら同じ点、という同一法です。

A B C A′ B′ C′ H △ABC の垂心 H = △A′B′C′ の外心
定理7:垂心の存在

△ABC\triangle ABC の各頂点から向かいの辺を含む直線に下ろした 3 本の垂線は 1 点で交わる。

証明 AA を通り BCBC に平行な直線、BB を通り CACA に平行な直線、CC を通り ABAB に平行な直線を引く。どの 2 本も平行でないので、3 本は三角形 A′B′C′A'B'C' を作る(A′A' は BB,CC を通る 2 本の交点、他も同様)。

四角形 ABCB′ABCB' は 2 組の対辺がそれぞれ平行なので平行四辺形で、AB′AB'=BC{}= BC。同様に四角形 AC′BCAC'BC も平行四辺形で、AC′AC'=BC{}= BC。よって AA は線分 B′C′B'C' の中点である。同様に BB は C′A′C'A' の、CC は A′B′A'B' の中点である。

AA から BCBC への垂線は、BCBC∥B′C′{}\parallel B'C' なので B′C′B'C' にも垂直で、B′C′B'C' の中点 AA を通る。つまり B′C′B'C' の垂直二等分線である。他の 2 本も同様なので、△ABC\triangle ABC の 3 本の垂線は △A′B′C′\triangle A'B'C' の 3 辺の垂直二等分線であり、定理2より 1 点で交わる。(証明終)

垂心は、2 倍に拡大して裏返した三角形の外心だったのです。この「辺に平行な線で大きな三角形を作る」考え方は、小話のオイラー線の証明にもつながります。

定理8:2 つの心が一致すれば正三角形

△ABC\triangle ABC の外心と重心が一致するならば、△ABC\triangle ABC は正三角形である。内心と重心が一致する場合も同様である。

証明 (外心 == 重心)一致する点を GG とし、辺 BCBC の中点を DD とする。GG は中線 ADAD 上にあって GG≠D{}\neq D である。GG は外心なので、定理1より BCBC の垂直二等分線上にあり、DD もその上にある。よって直線 GDGD、すなわち直線 ADAD は BCBC の垂直二等分線であり、AA はその上にあるので ABAB=AC{}= AC。同様に BABA=BC{}= BC となり、正三角形である。

(内心 == 重心)一致する点を GG とすると、中線 ADAD は GG を通るので ∠A\angle A の二等分線でもある。第1章の公式3より BD:DCBD : DC=AB:AC{}= AB : AC で、BDBD=DC{}= DC なので ABAB=AC{}= AC。同様に BABA=BC{}= BC となり、正三角形である。(証明終)

逆に正三角形なら、対称性から外心・内心・重心・垂心の 4 つが一致します。「どれか 2 つが一致する」ことは、正三角形であることの言いかえになっているのです。

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