第6章の最後に、$a_{n+1} = 2a_n + n$、$a_{n+1} = \dfrac{a_n}{a_n + 1}$、$a_{n+2} = a_{n+1} + a_n$、そして和 $S_n$ と $a_n$ が混ざった式を予告しました。この章では、こうした少し複雑な漸化式を順に解いていきます。道具は第6章と同じで、最後は等差数列・等比数列・階差数列のどれかに言いかえます。違うのは、そこへたどり着くための「ひと工夫」です。何かを引く、何かで割る、逆数をとる、2 つの式を引き算する。どの工夫を選ぶかを、漸化式の形から見分けられるようになることが、この章の目標です。
足す数が n の 1 次式のとき
第6章の最後に予告した漸化式から始めましょう。
a1=1,an+1=2an+n
項を書き出すと 1, 3, 8, 19, 42, … です。「2 倍して足す」形は第6章の an+1=pan+q に似ていますが、足す数が 1, 2, 3, … と番号によって変わるので、落ち着き先 α を 1 つの数として見つけることができません。
そこで、落ち着き先のほうも番号とともに動かしてみます。n の 1 次式 g(n)=αn+β で、もとの漸化式と同じ関係
g(n+1)=2g(n)+n
を満たすものを探すのです。左辺は αn+α+β、右辺は (2α+1)n+2β なので、n の係数と定数項を比べて α=2α+1,α+β=2β。これを解くと α=−1,β=−1 で、g(n)=−n−1 が見つかります。
an+1=2an+n から g(n+1)=2g(n)+n を辺々引くと、n の部分がきれいに消えて
an+1−g(n+1)=2{an−g(n)}
となります。{an−g(n)}、つまり {an+n+1} は公比 2 の等比数列です。
第6章の α は「その場に止まっている落ち着き先」でした。公式1の g(n) は「動いていく落ち着き先」です。
散歩中の犬と飼い主を思い浮かべてください。飼い主は一定の歩幅で道を進み、犬はそのまわりを行ったり来たりしています。道の起点から犬までの距離だけを記録すると、動きは複雑に見えます。ところが、飼い主を基準にして「飼い主から犬までの距離」を測ると、「毎回半分になる」のような単純な規則が見えることがあります。飼い主にあたるのが g(n)、飼い主からのずれが an−g(n) です。
図は a1=4,an+1=21an+n の例です(例題1(2))。数列そのものは増えたり減ったりしますが、直線 g(n)=2n−4 からのずれだけを見ると、毎回ちょうど半分になっています。
g(n) の代わりに、階差をとる方法もあります。an+2=pan+1+c(n+1)+d から an+1=pan+cn+d を引くと、bn=an+1−an について bn+1=pbn+c となり、第6章の pan+q 型に帰着します(実践 j16)。計算は少し長くなりますが、1 次式を探す必要がありません。
足す数が n の 1 次式のときは、同じ漸化式を満たす 1 次式 g(n)(動く落ち着き先)を係数比較で見つけ、an−g(n) が等比数列になることを使って解くということです。
例題1:
pan+(n の 1 次式) 型
次の漸化式で定まる数列 {an} の一般項を求めなさい。
(1) a1=1,an+1=2an+n
(2) a1=4,an+1=21an+n
【解答】
(1) 上で見たとおり、g(n)=−n−1 は g(n+1)=2g(n)+n を満たします。漸化式から辺々引くと
an+1+(n+1)+1=2(an+n+1)数列 {an+n+1} は初項 a1+2=3、公比 2 の等比数列なので、an+n+1=3⋅2n−1 より
an=3⋅2n−1−n−1(a2=3,a3=8、式でも 6−3=3,12−4=8。)
(2) g(n)=αn+β とおき、g(n+1)=21g(n)+n に代入すると
αn+α+β=(21α+1)n+21β係数を比べて α=21α+1,α+β=21β より α=2,β=−4、g(n)=2n−4 です。よって
an+1−{2(n+1)−4}=21{an−(2n−4)}数列 {an−(2n−4)} は初項 4−(−2)=6、公比 21 の等比数列なので
an=2n−4+6(21)n−1(a2=2+1=3,a3=23+2=27、式でも 0+3=3,2+23=27。)
足す数が指数のとき:pan+qn 型
今度は、足す数が 3n のように指数で増えていく場合です。
a1=2,an+1=2an+3n
1 次式を探す方法は使えません。代わりに、両辺を 3n+1 で割ってみます。
3n+1an+1=32⋅3nan+31
bn=3nan とおくと、これは bn+1=32bn+31 で、第6章の pan+q 型そのものです。割ったことで、邪魔だった 3n が定数 31 に変わりました。
割り算の意味は、値段の比べ方にたとえられます。物価が毎年 3 倍になる国で、ある人の貯金額を 10 年分並べても、増えたのか減ったのかは分かりにくいでしょう。そこで、各年の金額をその年の物価で割って「今の値段に直すといくら分か」(実質の価値)を見ると、動きが素直に見えてきます。3n で割るのは、物価の上がり分をならして、数列の本当の動きを取り出すことにあたります。
足す数が qn のときは、両辺を qn+1(または pn+1)で割って qnan を新しい数列とみると、pan+q 型(または階差型)になるということです。
例題2:
pan+qn 型
a1=2,an+1=2an+3n で定まる数列 {an} の一般項を求めなさい。
【解答】
両辺を 3n+1 で割り、bn=3nan とおくと
bn+1=32bn+31,b1=3a1=32α=32α+31 を解くと α=1 で、bn+1−1=32(bn−1) と変形できます。数列 {bn−1} は初項 32−1=−31、公比 32 の等比数列なので
bn=1−31(32)n−1an=3nbn で、3n⋅31(32)n−1=3n−1⋅3n−12n−1=2n−1 なので
an=3n−2n−1(a2=4+3=7,a3=14+9=23、式でも 9−2=7,27−4=23。)
同じ問題を、2n+1 で割って解くこともできます。cn=2nan とおくと cn+1=cn+21(23)n、c1=1 で、階差型です。n≧2 のとき
cn=1+k=1∑n−121(23)k=1+23{(23)n−1−1}=(23)n−21
(n=1 でも 23−21=1)。an=2ncn=3n−2n−1 と、同じ答えになります。「等比に帰着させるか、階差に帰着させるか」は、第6章と同じく好みで選べます。
分数の形の漸化式
第6章で予告した、分数の形の漸化式です。
a1=1,an+1=an+1an
項は 1, 21, 31, 41, … と続き、an=n1 が見えます。これを導くには、両辺の逆数をとります。
an+11=anan+1=1+an1
bn=an1 とおくと bn+1=bn+1 で、等差数列です。b1=1 なので bn=n、an=n1 となります。
逆数をとるには、どの項も 0 でないことが必要です。上の例では a1=1>0 で、an>0 なら an+1=an+1an>0 なので、すべての項が正です(「1 つ目が正、正なら次も正」という議論で、第8章の数学的帰納法の形です)。答案では、このことを一言書いておきましょう。
逆数をとると話が簡単になる例は、算数の仕事算にもあります。A さん 1 人なら 3 日、B さん 1 人なら 6 日かかる仕事を、2 人でやると何日かかるか。日数のままでは足せませんが、逆数にして「1 日あたりの仕事量」31 と 61 にすれば、足して 21、答えは 2 日です。分数型の漸化式も、逆数の世界に移ると、割り算が足し算やかけ算に変わるのです。
分母に an がある分数型の漸化式は、すべての項が 0 でないことを確かめてから逆数 an1 を新しい数列とみると、等差型や pan+q 型になるということです。
例題3:分数型
次の漸化式で定まる数列 {an} の一般項を求めなさい。
(1) a1=1,an+1=an+1an
(2) a1=1,an+1=3an+2an
【解答】
(1) 上で見たとおり、すべての項が正なので逆数をとれて、bn=an1 は初項 1、公差 1 の等差数列です。bn=n より
an=n1(2) a1=1>0 で、an>0 なら an+1>0 なので、すべての項が正です。逆数をとると
an+11=an3an+2=an2+3bn=an1 とおくと bn+1=2bn+3,b1=1 です。α=2α+3 を解くと α=−3 で、bn+1+3=2(bn+3)。数列 {bn+3} は初項 4、公比 2 の等比数列なので、bn+3=4⋅2n−1=2n+1 より
an=2n+1−31(a2=3+21=51、式でも 8−31=51。)
2 つ前の項まで使う 3 項間漸化式
次は、2 つ前の項まで使う漸化式です。たとえば
a1=1,a2=1,an+2=an+1+an
では、1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, … と、前の 2 つを足して次の項を作ります。項が 3 つ登場するので 3 項間漸化式 といいます。次の項を作るのに 2 つの項が要るので、初めに a1 と a2 の 2 つを与えます。
この形を解く鍵は、うまい定数 α, β を選んで
an+2−αan+1=β(an+1−αan)
と書きかえることです。こうできれば、数列 {an+1−αan} が公比 β の等比数列になります。右辺を移項して整理すると an+2=(α+β)an+1−αβan なので、an+2=pan+1+qan と比べて
α+β=p,αβ=−q
であればよいことが分かります。解と係数の関係から、α, β は 2 次方程式 x2−px−q=0、つまり x2=px+q の 2 つの解です。この式は、漸化式の an+2, an+1, an を x2, x, 1 に置きかえた形をしています。
しゃくとり虫の歩き方を思い浮かべてください。しゃくとり虫は、前足と後ろ足の 2 か所で体を支えながら進みます。次にどこへ足を下ろすかは、今の 2 か所の位置で決まります。前足の位置だけを追いかけても動きは読みにくいのですが、2 か所を組み合わせた量、たとえば「前足と後ろ足の間隔」に目をつけると、単純な規則が見えてくることがあります。3 項間漸化式で an+1−αan という組み合わせを考えるのは、この「うまい組み合わせ」に目をつけることにあたります。
(ii) で α=β(重解)のときは、2 つの式が同じになってしまうので、別の工夫が要ります(実践 j10)。
3 項間漸化式は、特性方程式 x2=px+q の解 α, β を使って an+1−αan が等比数列になる形に変形し、解に 1 があれば階差数列で、α=β なら 2 式から an+1 を消して解くということです。
例題4:3 項間漸化式
次の漸化式で定まる数列 {an} の一般項を求めなさい。
(1) a1=2,a2=5,an+2=3an+1−2an
(2) a1=1,a2=5,an+2=an+1+6an
【解答】
(1) x2=3x−2 を解くと x=1, 2 です。解の 1 を使うと、漸化式は
an+2−an+1=2(an+1−an)と変形できます。階差数列 bn=an+1−an は初項 b1=5−2=3、公比 2 の等比数列で、bn=3⋅2n−1 です。n≧2 のとき
an=2+k=1∑n−13⋅2k−1=2+3(2n−1−1)=3⋅2n−1−1n=1 を代入すると 3−1=2 で、a1 と一致します。よって an=3⋅2n−1−1。
(a3=15−4=11、式でも 12−1=11。)
(2) x2=x+6 を解くと x=3, −2 です。漸化式は次の 2 通りに変形できます。
an+2−3an+1=−2(an+1−3an),an+2+2an+1=3(an+1+2an)a2−3a1=2,a2+2a1=7 なので
an+1−3an=2⋅(−2)n−1,an+1+2an=7⋅3n−12 つ目の式から 1 つ目の式を辺々引くと 5an=7⋅3n−1−2⋅(−2)n−1 で
an=57⋅3n−1−2⋅(−2)n−1(n=1 で 57−2=1,n=2 で 521+4=5。a3=5+6=11、式でも 563−8=11。)
(1) の漸化式は、実は第6章の pan+q 型から生まれたものです。an+1=2an+1 の番号を 1 つずらした an+2=2an+1+1 から、もとの式を引くと an+2−an+1=2(an+1−an)、つまり an+2=3an+1−2an になります。第6章で示した「pan+q 型は階差をとると等比数列」という別解は、3 項間漸化式の (i) の場合を先取りしていたわけです。
和 Sn を含む漸化式
最後は、初項から第 n 項までの和 Sn と an の関係で数列が決まる場合です。たとえば「すべての n で Sn=2an−n」という条件から、an を求めます。
使うのは第4章の公式3、a1=S1 と an=Sn−Sn−1 です。ここでは番号を 1 つずらした形を使います。
n のときの式と n+1 のときの式は、左右に並べた「間違い探し」の 2 枚の絵のようなものです。ほとんど同じなので、重ねてみると共通の部分は消え、違うところだけが浮かび上がります。Sn+1 と Sn の違いは最後の 1 項 an+1 だけなので、引き算をすると和 S が姿を消し、項どうしの関係だけが残るのです。
2 の手順で出てくる an は n≧1 のものなので、a1 は 1 の手順で別に求めておく必要があります。第4章で「n=1 を別に確かめる」としたのと同じ注意です。
Sn を含む式は、n=1 で初項を求めたうえで、n+1 の式ともとの式を引いて S を消し、an+1 と an の漸化式に直して解くということです。
数列 {an} の初項から第 n 項までの和 Sn が、すべての自然数 n について次の式を満たすとき、一般項 an を求めなさい。
(1) Sn=3−2an
(2) Sn=2an−n
【解答】
(1) n=1 とすると a1=3−2a1 より a1=1 です。Sn+1=3−2an+1 から Sn=3−2an を辺々引くと
an+1=−2an+1+2anよりan+1=32an初項 1、公比 32 の等比数列なので an=(32)n−1。
(S2=1+32=35、式でも 3−2⋅32=35。)
(2) n=1 とすると a1=2a1−1 より a1=1 です。Sn+1=2an+1−(n+1) から Sn=2an−n を辺々引くと
an+1=2an+1−2an−1よりan+1=2an+1α=2α+1 より α=−1 で、an+1+1=2(an+1)。数列 {an+1} は初項 2、公比 2 の等比数列なので、an+1=2n より
an=2n−1(S2=1+3=4、式でも 2⋅3−2=4。)
(2) の答えは、第6章で最初に pan+q 型を考えたときの数列 1, 3, 7, 15, … と同じです。
場面から 3 項間漸化式を立てる
3 項間漸化式は、「場合の数」を数えるときによく現れます。一般項が分からなくても、漸化式さえ立てれば、項を順に計算して答えにたどり着けます。
例題6:階段の上り方
階段を、1 回に 1 段または 2 段ずつ上ります。n 段の階段を上りきる上り方の数を an とします(たとえば 3 段なら「1 段・1 段・1 段」「1 段・2 段」「2 段・1 段」の 3 通りで、a3=3 です)。
(1) a1, a2 を求め、an+2 を an+1 と an で表しなさい。
(2) a10 を求めなさい。
【解答】
(1) 1 段の階段は「1 段」の 1 通り、2 段の階段は「1 段・1 段」「2 段」の 2 通りなので、a1=1, a2=2。
n+2 段の上り方を、最後の一歩 で 2 つに分けます。
- 最後が 1 段のとき、その直前には n+1 段目にいます。そこまでの上り方は an+1 通り。
- 最後が 2 段のとき、その直前には n 段目にいます。そこまでの上り方は an 通り。
この 2 つは重ならず、ほかの場合もないので
an+2=an+1+an(2) 漸化式で順に計算すると
1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89よって a10=89。
ポイントは「最後の一歩で場合分けする」ことです。最初の一歩で分けても同じ漸化式になります。この数列は、小話で紹介するフィボナッチ数列の仲間です。
場合の数を数える問題では、最後(または最初)の一歩で場合分けすると、1 つ前・2 つ前の場合の数を使った漸化式が立ち、項を順に計算できるということです。
この章のまとめと次の章
この章の漸化式の形と、ひと工夫、帰着させる先をまとめます。
- an+1=pan+(n の 1 次式):1 次式 g(n) を引く(または階差をとる)→ {an−g(n)} が等比数列
- an+1=pan+qn:qn+1 で割る(または pn+1 で割る)→ pan+q 型(または階差型)
- an+1=ran+san:逆数をとる(項が 0 でないことを確かめる)→ 等差型・pan+q 型
- an+2=pan+1+qan:x2=px+q の解 α, β で変形 → {an+1−αan} が等比数列
- Sn と an の関係式:n=1 で初項、n+1 の式と引く → an+1 と an の漸化式
どの形でも、最後は第1章・第2章・第4章で学んだ等差数列・等比数列・階差数列に戻ってきました。見慣れない漸化式に出会ったら、「何を引けば、何で割れば、何を新しい数列とみれば、知っている形になるか」を考えることが出発点です。
では、次の漸化式はどうでしょう。
a1=0,an+1=2−an1
項を書き出すと 0, 21, 32, 43, … で、an=nn−1 ではないかと見当がつきます。この見当が、n=100 でも n=10000 でも本当に正しいと、どうすれば言い切れるでしょうか。次の第8章では、「n=1 で成り立つ」と「n=k で成り立てば n=k+1 でも成り立つ」の 2 段で、すべての自然数についての主張を示す方法、数学的帰納法 を学びます。
※ここは発展ページです。本文では、漸化式ごとに「何を引くか」「何で割るか」を工夫して、等差・等比・階差数列に言いかえました。ここでは、その工夫の裏にある共通の仕組み、つまり「解の構造」を整理します。an+1=pan+f(n) の解はすべて「特別な解 1 つ + 等比数列」の形になること、3 項間漸化式の解はすべて「2 つの等比数列の組み合わせ」で書けることを示し、特性方程式が重解や虚数解をもつ場合にも触れます。
定義1:3 項間漸化式による数列の定義
実数 c1, c2 と、自然数 n と実数 x, y に対して実数 f(n, x, y) を 1 つ定める規則 f が与えられたとする。数列 {an} が
a1=c1,a2=c2,an+2=f(n, an, an+1)(n=1, 2, 3, …)を満たすとき、{an} はこの 3 項間漸化式 で定められるという。a1=c1,a2=c2 を初期条件という。
第6章の定理1と同じく、a1, a2 から a3 が、a2, a3 から a4 が……と順に決まるので、条件を満たす数列はただ 1 つ存在します(厳密には第8章の数学的帰納法で完成します)。初期条件が 2 つ必要なのは、1 つ目の項を作るのに 2 つの項を使うからです。
定理1:
an+1=pan+f(n) の解の構造
p を 0 でない定数、f(n) を n の式とする。数列 {g(n)} が g(n+1)=pg(n)+f(n) を満たすとき(特別な解)、数列 {an} が漸化式 an+1=pan+f(n) を満たすための必要十分条件は、ある定数 C を用いて
an=g(n)+Cpn−1と表されることである。
証明 (必要)dn=an−g(n) とおくと、2 つの漸化式を辺々引いて dn+1=pdn。よって {dn} は公比 p の等比数列で、dn=d1pn−1。C=d1 とすればよい。
(十分)an=g(n)+Cpn−1 なら pan+f(n)={pg(n)+f(n)}+Cpn=g(n+1)+Cpn=an+1。(証明終)
第6章の定理4は、f(n)=q(定数)で特別な解が定数 α の場合でした。本文の公式1は f(n) が 1 次式で特別な解を 1 次式の中から探したもの、公式2は f(n)=qn の場合です。特別な解は「f(n) と同じ形」から探すのが基本で、次のようにまとめられます。
最後の行のように、f(n) が「q=0 にした式の解」と同じ形のときは、そのままの形では見つからず、n を掛けた形になります。この現象は、次の重解の場合にも現れます。
定理2:3 項間漸化式の重ね合わせ
p, q を定数とする。2 つの数列 {xn}, {yn} がどちらも an+2=pan+1+qan を満たすならば、任意の定数 s, t に対して、数列 {sxn+tyn} もこの漸化式を満たす。
証明 sxn+2+tyn+2=s(pxn+1+qxn)+t(pyn+1+qyn)=p(sxn+1+tyn+1)+q(sxn+tyn)。(証明終)
定理3:特性方程式が異なる 2 つの解をもつとき
x2=px+q が異なる 2 つの解 α, β をもつとする。漸化式 an+2=pan+1+qan を満たす数列は、ある定数 C, D を用いて
an=Cαn−1+Dβn−1と表され、C, D は a1, a2 からただ 1 通りに決まる。
証明 α2=pα+q の両辺に αn−1 を掛けると αn+1=pαn+qαn−1 なので、数列 {αn−1} は漸化式を満たす。{βn−1} も同様。定理2より、bn=Cαn−1+Dβn−1 も漸化式を満たす。
b1=a1,b2=a2 となるように C, D を選ぶには、連立方程式 C+D=a1,Cα+Dβ=a2 を解けばよい。1 つ目の式の α 倍を 2 つ目から引くと D(β−α)=a2−αa1 で、α=β なので D が、続いて C がただ 1 通りに決まる。
こうして {an} と {bn} は、同じ漸化式と同じ初期条件を満たすので、定義1のあとで述べたことにより一致する。(証明終)
本文の例題4(2) なら、α=3,β=−2 で C+D=1,3C−2D=5 から C=57,D=−52。本文の答えと一致します。本文の公式4で 2 つの等比数列を作って an+1 を消した計算は、この C, D を求める計算を別の順番で行ったものです。
定理4:特性方程式が重解をもつとき
x2=px+q が重解 α(α=0)をもつとする。漸化式 an+2=pan+1+qan を満たす数列は、ある定数 C, D を用いて
an=(C+Dn)αn−1と表される。
証明 重解なので p=2α,q=−α2。数列 {nαn−1} が漸化式を満たすことを確かめる。
p(n+1)αn+qnαn−1=2(n+1)αn+1−nαn+1=(n+2)αn+1{αn−1} も漸化式を満たすので、定理2より (C+Dn)αn−1 も満たす。C+D=a1,(C+2D)α=a2 は α=0 よりただ 1 組の解をもつので、定理3と同じ議論で an と一致する。(証明終)
実践 j10(a1=1,a2=4,α=2)では C+D=1,2(C+2D)=4 から C=0,D=1 で、an=n⋅2n−1 です。重解のときに n が掛かるのは、定理1の表の最後の行と同じ現象です。
定理3を a1=a2=1,an+2=an+1+an(フィボナッチ数列)に使うと、α=21+5,β=21−5 で、実践 j17 の一般項
an=5αn−βn
が得られます。この式は、18 世紀にド・モアブルが、1843 年にビネが示したことから、ビネの公式 と呼ばれます(※オイラーらも知っていたとされる)。∣β∣<1 なので 5βn は n が大きくなると小さくなり、an は 5αn にいちばん近い整数になります。たとえば 5α10=55.0036⋯ で、a10=55 です。
特性方程式が実数の解をもたないこともあります。a1=a2=1,an+2=an+1−an では x2=x−1 が虚数解をもちますが、項を計算すると
1, 1, 0, −1, −1, 0, 1, 1, 0, …
と、6 項ごとにくり返します。定理3は、α, β を複素数としてもそのまま成り立ち、このくり返しは、虚数解 α が α6=1 を満たすことから説明できます(複素数平面の分野で扱います)。
最後に、分数型の注意を式で確かめます。本文の公式3で逆数をとるには、すべての項が 0 でないことが必要でした。逆に、項の途中で分母が 0 になると、数列そのものが作れなくなります。an+1=an+1an で a1=−21 とすると、a2=−1 となり、a3 は分母が 0 で決まりません。逆数の数列で見ると、bn=an1 は b1=−2、公差 1 の等差数列 −2, −1, 0, … で、b3=0 となるところで、もとの数列が壊れているのです。