目次 / 三角比と三角関数 / 数学II

第5章 一般角と弧度法

—— 角を「回転の量」として測り直す——度からラジアンへ ——

第4章までの角は「三角形の角」でした。三角形の角は 180° を超えないので、日常と同じ「度」で不自由はなかったのです。この章から角を「回転の量」として見直します。1 周を超えて回った角、逆向きに回った負の角も 1 つの角として扱えるようにするのが「一般角」です。あわせて角の単位を「度」から「ラジアン(弧度法)」に切り替えます。理由は 3 つ——弧の長さと扇形の面積が簡単な式になること、円そのものから決まる自然な単位であること、そして先の微分で sin・cos の式がすっきりすることです。第2章の単位円が、第6章の「三角関数」へつながる橋になります。

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なぜ今、角の測り方を変えるのか

第1章から第4章まで、角はずっと「度」で書いてきました。三角形の角は 0∘0^\circ より大きく 180∘180^\circ より小さいので、分度器で測れる範囲に収まっていたからです。測量や面積の計算では、それで何も困りません。

ところが、この先で扱う sin⁡\sin・cos⁡\cos は「三角形の角」から離れて、回転を表す道具になります。観覧車は 1 周して止まらずに回り続けますし、逆回しもできます。そこで 2 つのことを新しくします。

  1. 角を「どれだけ回ったか」で測り、360∘360^\circ を超える角や負の角も認める(一般角)。
  2. 角の単位を、円の半径と弧の長さから決まるラジアンに切り替える(弧度法)。

2 のほうは「単位の乗り換え」にすぎませんが、乗り換えると扇形の弧の長さが rθr\theta、面積が 12r2θ\dfrac{1}{2}r^2\theta という短い式になり、さらに先の微分で sin⁡\sin の計算が驚くほど簡単になります。度が「人間の都合で 1 周を 360 等分した単位」なのに対し、ラジアンは「円そのものから出てくる単位」だからです。

一般角——角を「回転の量」として見る

平面上に点 O\mathrm{O} をとり、O\mathrm{O} から右向きに伸びる半直線 OA\mathrm{OA} を始線とします。始線を O\mathrm{O} のまわりに回して半直線 OP\mathrm{OP} に重ねたとき、OP\mathrm{OP} を動径といい、回した量を「動径 OP\mathrm{OP} の表す角」と呼びます。反時計回りを正、時計回りを負と約束します。

x y 始線 OA O P(動径 OP) +60° −300°(時計回りに 300°) 60° と −300° は同じ動径 OP を与える。一般角は 60° + 360° × n(n は整数)

図の動径 OP\mathrm{OP} は、60∘60^\circ 回しても、60∘+360∘60^\circ + 360^\circ=420∘{}= 420^\circ 回しても、逆向きに 300∘300^\circ 回しても(−300∘-300^\circ)同じ位置に来ます。動径の位置は同じでも「回した量」は違う——その回した量をすべて区別して 1 つの角と考えるのが一般角です。

公式1:一般角

動径 OP\mathrm{OP} の表す角の 1 つを α\alpha とすると、動径 OP\mathrm{OP} の表す角の全体は

α\displaystyle \alpha+360∘×n\displaystyle {}+ 360^\circ \times n(n は整数)\displaystyle (n \text{ は整数})
  • nn=0,{}= 0, 1,\ 1, 2,\ 2, …\ \ldots は反時計回りに何周か余分に回った角、nn=−1,{}= -1, −2,{}\ -2, …\ \ldots は時計回りに回った角です。
  • 動径が xx 軸・yy 軸で分けられる 4 つの領域のどこにあるかで、角を第1象限の角〜第4象限の角と呼びます(右上が第1象限で、反時計回りに第2・第3・第4)。

ダイヤル式の金庫を思い浮かべてください。つまみが「3」を指していても、右に 1 周してから 3 に合わせたのか、左に回して 3 に合わせたのかで、錠の中身は違う動きをしています。つまみの見た目(動径の位置)と回した量(一般角)は別のもの——それが公式1の 360∘×n360^\circ \times n です。第2章の観覧車は「0∘0^\circ から 180∘180^\circ まで」で止めていましたが、ここからは何周でも、逆回しでも構いません。

一般角とは「動径をどれだけ回したか」で角を測る考え方で、同じ動径を表す角は 360∘360^\circ ずつ違う無限個があるということです。

例題1:一般角の表し方と象限

次の角の動径を図示するとき、その動径が第何象限にあるか答えなさい。また、その動径の表す角を α\alpha+360∘×n{}+ 360^\circ \times n(0∘0^\circ≦α{}\leqq \alpha<360∘{}< 360^\circ,nn は整数)の形で表しなさい。

(1) 400∘\displaystyle \text{(1)}\ 400^\circ(2)\displaystyle \text{(2)} −120∘\displaystyle {}\ -120^\circ(3) 1000∘\displaystyle \text{(3)}\ 1000^\circ

【解答】

(1) 400∘400^\circ=40∘+360∘{}= 40^\circ + 360^\circ なので、動径は 40∘40^\circ と同じ位置にあり、第1象限です。

40∘+360∘×n‾\underline{40^\circ + 360^\circ \times n}

(2) −120∘-120^\circ=240∘−360∘{}= 240^\circ - 360^\circ なので、動径は 240∘240^\circ と同じ位置にあり、第3象限です。

240∘+360∘×n‾\underline{240^\circ + 360^\circ \times n}

(3) 1000∘1000^\circ=280∘+360∘×2{}= 280^\circ + 360^\circ \times 2 なので、動径は 280∘280^\circ と同じ位置にあり、第4象限です。

280∘+360∘×n‾\underline{280^\circ + 360^\circ \times n}

360∘360^\circ を足したり引いたりして 0∘0^\circ 以上 360∘360^\circ 未満に入れる。それが「動径の位置」を読む手順です。負の角は 360∘360^\circ を足して正にします。

弧度法——半径を「ものさし」にして角を測る

度は「1 周を 360 等分したものが 1∘1^\circ」という約束でした。360 という数は円のどこにも書いてありません。円が自分で持っている長さは半径と弧だけです。そこで、半径と同じ長さの弧を切り取る中心角を新しい単位にします。

r r 弧の長さ r 1 ラジアン O 半径と同じ長さの弧を切り取る中心角が 1 ラジアン(≈ 57.3°)。 半径を変えても弧が同じ割合で伸び縮みするので、角は変わらない
公式2:弧度法(ラジアン)の定義

半径 rr の円で、長さ ll の弧に対する中心角の大きさを

θ\displaystyle \theta=lr ラジアン\displaystyle {}= \frac{l}{r}\ \text{ラジアン}

と定める。この測り方を弧度法という。

  • 半径と同じ長さの弧に対する中心角が 11 ラジアンで、11 ラジアン ≈57.3∘\approx 57.3^\circ です。
  • 中心角が同じ扇形は相似なので、ll と rr は同じ割合で変わり、lr\dfrac{l}{r} は半径によりません(だから角の単位として使えます。厳密定義ページ)。
  • ラジアンは「長さ ÷ 長さ」なので単位のない数です。ふつう「ラジアン」を書かずに θ\theta=2{}= 2 のように書きます。

ロープを 1 本用意して、その長さを半径にした円を地面に描いてみてください。そのロープを円周に沿って 1 本分だけ巻いたとき、円の中心から見た「開き具合」が 1 ラジアンです。半径 11 m の円でも 100100 m の円でも、ロープを半径に合わせて用意すれば開き具合は同じ——半径が単位を決めるので、円の大きさに関係なく角が測れます。

弧度法は「弧の長さ ÷ 半径」で角を測る方法で、半径と同じ長さの弧が 11 ラジアン、円の大きさによらない単位だということです。

例題2:定義から角を求める

次の中心角の大きさをラジアンで求めなさい。

(1) 半径 44 の円で、長さ 66 の弧に対する中心角

(2) 半径 rr の円で、円周全体(1 周)に対する中心角


【解答】

(1) 公式2より

θ\displaystyle \theta=lr\displaystyle {}= \frac{l}{r}=64\displaystyle {}= \frac{6}{4}=32‾\displaystyle {}= \underline{\frac{3}{2}}

(2) 円周の長さは 2πr2\pi r なので

θ\displaystyle \theta=2πrr\displaystyle {}= \frac{2\pi r}{r}=2π‾\displaystyle {}= \underline{2\pi}

1 周が 2π2\pi ラジアン、つまり 360∘360^\circ=2π{}= 2\pi です。半径 rr が消えるところを見てください——どんな円でも 1 周は 2π2\pi です。

度とラジアンの換算——π が 180° の目印

例題2の (2) から、360∘360^\circ=2π{}= 2\pi ラジアン、すなわち 180∘180^\circ=π{}= \pi ラジアンです。この 1 本の関係で、度とラジアンは自由に行き来できます。

公式3:度とラジアンの換算
180∘\displaystyle 180^\circ=π\displaystyle {}= \pi⟺1∘\displaystyle {}\Longleftrightarrow\qquad 1^\circ=π180,\displaystyle {}= \frac{\pi}{180},1 ラジアン\displaystyle 1\ \text{ラジアン}=180∘π\displaystyle {}= \frac{180^\circ}{\pi}≈57.3∘\displaystyle {}\approx 57.3^\circ

よく使う角の対応表(90∘90^\circ までと、それより大きい角の 2 つに分けています):

度0∘0^\circ30∘30^\circ45∘45^\circ60∘60^\circ90∘90^\circ
ラジアン00π6\dfrac{\pi}{6}π4\dfrac{\pi}{4}π3\dfrac{\pi}{3}π2\dfrac{\pi}{2}
度120∘120^\circ135∘135^\circ150∘150^\circ180∘180^\circ270∘270^\circ360∘360^\circ
ラジアン23π\dfrac{2}{3}\pi34π\dfrac{3}{4}\pi56π\dfrac{5}{6}\piπ\pi32π\dfrac{3}{2}\pi2π2\pi
  • 度 → ラジアンは π180\dfrac{\pi}{180} を掛ける。ラジアン → 度は 180∘π\dfrac{180^\circ}{\pi} を掛ける(π\pi を 180∘180^\circ に置き換える、と覚えても同じ)。

km とマイルのような「単位の換算」と同じことですが、換算率が π\pi という無理数なのが違いです。とはいえ、π\pi を「半周」と読み替えると計算より速く分かります。π3\dfrac{\pi}{3} は「半周の 3 分の 1」で 60∘60^\circ、56π\dfrac{5}{6}\pi は「半周の 6 分の 5」で 150∘150^\circ。三角定規の角は表の π6\dfrac{\pi}{6},π4\dfrac{\pi}{4},π3\dfrac{\pi}{3} に対応するので、まずこの 3 つを覚えてください。

π\pi=180∘{}= 180^\circ の 1 本を覚えておけば、度とラジアンは掛け算 1 回で換算できるということです。

例題3:度とラジアンを換算する

(1) 75∘75^\circ,225∘225^\circ,−30∘-30^\circ をラジアンで表しなさい。

(2) 54π\dfrac{5}{4}\pi,76π\dfrac{7}{6}\pi,−π2-\dfrac{\pi}{2} を度で表しなさい。


【解答】

(1) π180\dfrac{\pi}{180} を掛けます。

75∘\displaystyle 75^\circ=75⋅π180\displaystyle {}= 75 \cdot \frac{\pi}{180}=512π‾,\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{12}\pi},225∘\displaystyle 225^\circ=225⋅π180\displaystyle {}= 225 \cdot \frac{\pi}{180}=54π‾,\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{4}\pi},−30∘\displaystyle {}\qquad -30^\circ=−30⋅π180\displaystyle {}= -30 \cdot \frac{\pi}{180}=−π6‾\displaystyle {}= \underline{-\frac{\pi}{6}}

(2) π\pi を 180∘180^\circ に置き換えます。

54π\displaystyle \frac{5}{4}\pi=54⋅180∘\displaystyle {}= \frac{5}{4} \cdot 180^\circ=225∘‾,\displaystyle {}= \underline{225^\circ},76π\displaystyle \frac{7}{6}\pi=76⋅180∘\displaystyle {}= \frac{7}{6} \cdot 180^\circ=210∘‾,\displaystyle {}= \underline{210^\circ},−π2\displaystyle {}\qquad -\frac{\pi}{2}=−12⋅180∘\displaystyle {}= -\frac{1}{2} \cdot 180^\circ=−90∘‾\displaystyle {}= \underline{-90^\circ}

負の角も同じ換算率です。ラジアンの分数は約分した形(512π\frac{5}{12}\pi を 75180π\frac{75}{180}\pi のままにしない)で答えます。

一般角をラジアンで書く——θ + 2nπ

360∘360^\circ=2π{}= 2\pi なので、公式1の「360∘×n360^\circ \times n」はラジアンでは「2nπ2n\pi」になります。これ以降、一般角はこの形で書きます。

公式4:一般角のラジアン表記

動径 OP\mathrm{OP} の表す角の 1 つを α\alpha とすると、動径 OP\mathrm{OP} の表す角の全体は

α\displaystyle \alpha+2nπ\displaystyle {}+ 2n\pi(n は整数)\displaystyle (n \text{ は整数})
  • 与えられた角の動径の位置を知るには、2π2\pi を足し引きして 00≦α{}\leqq \alpha<2π{}< 2\pi の範囲に入れます。
  • 2 つの角 α\alpha,β\beta の動径が一致する条件は「α\alpha−β{}- \beta が 2π2\pi の整数倍」です。

時計の針は 12 時間で 1 周しますが、「今 3 時を指している」と言うとき、何周してきたかは気にしません。α\alpha+2nπ{}+ 2n\pi の 2nπ2n\pi は「何周してきたか」、α\alpha は「今どこを指しているか」です。第2章の時計盤(3 時の位置が始線、反時計回り)を、そのまま何周でも回せるようにしたものと思ってください。

ラジアンでは 2π2\pi が 1 周なので、一般角は α\alpha+2nπ{}+ 2n\pi と書き、動径の位置は α\alpha を 00≦α{}\leqq \alpha<2π{}< 2\pi に入れて読むということです。

例題4:ラジアンで書かれた角の動径

次の角の動径が第何象限にあるか答えなさい。また、その動径の表す角を α\alpha+2nπ{}+ 2n\pi(00≦α{}\leqq \alpha<2π{}< 2\pi,nn は整数)の形で表しなさい。

(1) 136π\displaystyle \text{(1)}\ \frac{13}{6}\pi(2)\displaystyle \text{(2)} −π3\displaystyle {}\ -\frac{\pi}{3}(3)\displaystyle \text{(3)} −114π\displaystyle {}\ -\frac{11}{4}\pi

【解答】

(1) 136π\dfrac{13}{6}\pi=π6{}= \dfrac{\pi}{6}+2π{}+ 2\pi なので、動径は π6\dfrac{\pi}{6}(30∘30^\circ)と同じ位置で、第1象限です。

π6‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{1.7936em}\frac{\pi}{6}}+2nπ‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{1.7936em}{}+ 2n\pi}

(2) −π3-\dfrac{\pi}{3}=53π{}= \dfrac{5}{3}\pi−2π{}- 2\pi なので、動径は 53π\dfrac{5}{3}\pi(300∘300^\circ)と同じ位置で、第4象限です。

53π‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}\frac{5}{3}\pi}+2nπ‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}{}+ 2n\pi}

(3) −114π-\dfrac{11}{4}\pi=−114π{}= -\dfrac{11}{4}\pi+4π{}+ 4\pi=54π{}= \dfrac{5}{4}\pi、つまり −114π-\dfrac{11}{4}\pi=54π{}= \dfrac{5}{4}\pi−2π×2{}- 2\pi \times 2 なので、動径は 54π\dfrac{5}{4}\pi(225∘225^\circ)と同じ位置で、第3象限です。

54π‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}\frac{5}{4}\pi}+2nπ‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}{}+ 2n\pi}

π\pi の係数だけを見て「22 を足し引きして 00 以上 22 未満にする」と考えると速いです。(3) なら −114-\dfrac{11}{4} に 22 を 2 回足して 54\dfrac{5}{4} です。

扇形の弧の長さと面積——ラジアンで式が短くなる

弧度法の定義 θ\theta=lr{}= \dfrac{l}{r} を ll について解くと、弧の長さの公式になります。面積は「扇形は円全体の θ2π\dfrac{\theta}{2\pi}」と考えれば出ます。

θ r r l = rθ S = ½ r²θ O 扇形(この章) A c b S = ½ bc sin A 三角形(第4章) 「2 辺の積 × 角の何か × ½」。扇形は 2 辺がどちらも r で、sin θ の代わりに θ そのものが入る
公式5:扇形の弧の長さと面積

半径 rr、中心角 θ\theta(ラジアン)の扇形の弧の長さを ll、面積を SS とすると

l\displaystyle l=rθ,\displaystyle {}= r\theta,S\displaystyle S=12r2θ\displaystyle {}= \frac{1}{2}r^2\theta=12rl\displaystyle {}= \frac{1}{2}rl
  • 度のままなら ll=2πr×θ360{}= 2\pi r \times \dfrac{\theta}{360}、SS=πr2×θ360{}= \pi r^2 \times \dfrac{\theta}{360} です。ラジアンなら θ360\dfrac{\theta}{360} の分数が消えて、掛け算だけになります。
  • SS=12rl{}= \dfrac{1}{2}rl は「底辺 ll、高さ rr の三角形」と同じ形です。

第4章の三角形の面積 SS=12bcsin⁡A{}= \dfrac{1}{2}bc\sin A と並べてみてください。扇形の面積 12r2θ\dfrac{1}{2}r^2\theta は、2 辺がどちらも rr で、はさむ角の sin⁡\sin の代わりに角 θ\theta そのものが入った形です。角が小さいときは sin⁡θ\sin\theta と θ\theta がほとんど同じ値になる(厳密定義ページ)ので、細い扇形はほぼ三角形——2 つの公式が近い形をしているのは偶然ではありません。ピザを 1 切れ取るとき、縁の長さも面積も「切れの角」に比例します。第4章では中心から 3 切れに分けましたが、今回は 1 切れの大きさを角で測ります。

ラジアンで測ると、扇形の弧の長さは「半径 × 角」、面積は「半径の 2 乗 × 角 ÷ 2」という掛け算だけの式になるということです。

例題5:扇形の弧の長さと面積

(1) 半径 66、中心角 π3\dfrac{\pi}{3} の扇形の弧の長さ ll と面積 SS を求めなさい。

(2) 半径 44、弧の長さ 1010 の扇形の中心角 θ\theta と面積 SS を求めなさい。


【解答】

(1) 公式5より

l\displaystyle l=6⋅π3\displaystyle {}= 6 \cdot \frac{\pi}{3}=2π‾,\displaystyle {}= \underline{2\pi},S\displaystyle S=12⋅62⋅π3\displaystyle {}= \frac{1}{2} \cdot 6^2 \cdot \frac{\pi}{3}=6π‾\displaystyle {}= \underline{6\pi}

(2) ll=rθ{}= r\theta より

θ\displaystyle \theta=lr\displaystyle {}= \frac{l}{r}=104\displaystyle {}= \frac{10}{4}=52‾\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{2}}

面積は SS=12rl{}= \dfrac{1}{2}rl が速く

S\displaystyle S=12⋅4⋅10\displaystyle {}= \frac{1}{2} \cdot 4 \cdot 10=20‾\displaystyle {}= \underline{20}

(2) の中心角 52\dfrac{5}{2} は π\pi を含まない「ただの数」です。ラジアンは π\pi の何倍かで書くことが多いですが、π\pi が付かない値も立派な角です(52\dfrac{5}{2} ラジアン ≈143∘\approx 143^\circ)。

第6章へ——単位円の点を「角の関数」として見直す

第2章では、単位円上で A(1, 0)\mathrm{A}(1,\ 0) から角 θ\theta だけ進んだ点 P(x, y)\mathrm{P}(x,\ y) の座標を cos⁡θ\cos\theta,sin⁡θ\sin\theta と定めました。角は 0∘0^\circ から 180∘180^\circ までに限っていました。

この章の言葉で言い直すと、P\mathrm{P} は「始線 OA\mathrm{OA} を θ\theta だけ回した動径と単位円の交点」です。一般角なら θ\theta は 2π2\pi を超えても負でも構いませんし、動径は必ず単位円と 1 点で交わります。つまり、どんな実数 θ\theta に対しても点 P\mathrm{P} が 1 つ決まる——その xx 座標・yy 座標を cos⁡θ\cos\theta・sin⁡θ\sin\theta と呼び直せば、sin⁡\sin と cos⁡\cos は「すべての実数で定義された関数」になります。これが第6章の三角関数です。第2章で使った「定義の拡張(もとの範囲では前の定義と一致することを確かめる)」の考え方を、もう一度使うことになります。

基礎確認問題(全5問)

まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。

問1

780∘780^\circ の動径の表す角を α\alpha+360∘×n{}+ 360^\circ \times n(0∘0^\circ≦α{}\leqq \alpha<360∘{}< 360^\circ,nn は整数)の形で表しなさい。

つまずいたときは:
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答え

60∘+360∘×n‾\underline{60^\circ + 360^\circ \times n}(780∘780^\circ=60∘+360∘×2{}= 60^\circ + 360^\circ \times 2)

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問2

120∘120^\circ をラジアンで表しなさい。

つまずいたときは:
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答え

23π‾\underline{\dfrac{2}{3}\pi}(120⋅π180120 \cdot \dfrac{\pi}{180})

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問3

74π\dfrac{7}{4}\pi を度で表しなさい。

つまずいたときは:
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答え

315∘‾\underline{315^\circ}(74⋅180∘\dfrac{7}{4} \cdot 180^\circ)

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問4

半径 33、中心角 π6\dfrac{\pi}{6} の扇形の弧の長さ ll を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

π2‾\underline{\dfrac{\pi}{2}}(ll=rθ{}= r\theta=3⋅π6{}= 3 \cdot \dfrac{\pi}{6})

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問5

半径 55、中心角 22 の扇形の面積 SS を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

25‾\underline{25}(SS=12⋅52⋅2{}= \dfrac{1}{2} \cdot 5^2 \cdot 2)

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実践問題(全20問)

難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。

問1 ★

(1) 36∘\displaystyle \text{(1)}\ 36^\circ(2) 150∘\displaystyle \text{(2)}\ 150^\circ(3) 300∘\displaystyle \text{(3)}\ 300^\circ

上の 3 つの角をラジアンで表しなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) π5\dfrac{\pi}{5} (2) 56π\dfrac{5}{6}\pi (3) 53π\dfrac{5}{3}\pi

解説

π180\dfrac{\pi}{180} を掛けて約分します。

36⋅π180\displaystyle 36 \cdot \frac{\pi}{180}=π5‾,\displaystyle {}= \underline{\frac{\pi}{5}},150⋅π180\displaystyle 150 \cdot \frac{\pi}{180}=56π‾,\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{6}\pi},300⋅π180\displaystyle 300 \cdot \frac{\pi}{180}=53π‾\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{3}\pi}

180180 との最大公約数で約分するだけです。3636 と 180180 なら 3636 で割って 15\dfrac{1}{5} です。

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問2 ★

(1) 76π\displaystyle \text{(1)}\ \frac{7}{6}\pi(2) 1112π\displaystyle \text{(2)}\ \frac{11}{12}\pi(3)\displaystyle \text{(3)} −34π\displaystyle {}\ -\frac{3}{4}\pi

上の 3 つの角を度で表しなさい。

つまずいたときは:
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答え

(1) 210∘210^\circ (2) 165∘165^\circ (3) −135∘-135^\circ

解説

π\pi を 180∘180^\circ に置き換えます。

76⋅180∘\displaystyle \frac{7}{6} \cdot 180^\circ=210∘‾,\displaystyle {}= \underline{210^\circ},1112⋅180∘\displaystyle \frac{11}{12} \cdot 180^\circ=165∘‾,\displaystyle {}= \underline{165^\circ},−34⋅180∘\displaystyle {}\qquad -\frac{3}{4} \cdot 180^\circ=−135∘‾\displaystyle {}= \underline{-135^\circ}

180÷12180 \div 12=15{}= 15 なので 1112π\dfrac{11}{12}\pi は 15∘×1115^\circ \times 11 です。

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問3 ★

−210∘-210^\circ の動径が第何象限にあるか答えなさい。また、その動径の表す角を α\alpha+360∘×n{}+ 360^\circ \times n(0∘0^\circ≦α{}\leqq \alpha<360∘{}< 360^\circ,nn は整数)の形で表しなさい。

つまずいたときは:
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答え

第2象限,150∘+360∘×n150^\circ + 360^\circ \times n

解説

負の角なので 360∘360^\circ を足します。

−210∘+360∘\displaystyle -210^\circ + 360^\circ=150∘\displaystyle {}= 150^\circ

150∘150^\circ は 90∘90^\circ と 180∘180^\circ の間なので、動径は第2象限にあります。動径の表す角は

150∘+360∘×n‾\underline{150^\circ + 360^\circ \times n}

時計回りに 210∘210^\circ 回るのと、反時計回りに 150∘150^\circ 回るのは同じ位置に着きます(合わせて 360∘360^\circ)。

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問4 ★

203π\dfrac{20}{3}\pi の動径が第何象限にあるか答えなさい。また、その動径の表す角を α\alpha+2nπ{}+ 2n\pi(00≦α{}\leqq \alpha<2π{}< 2\pi,nn は整数)の形で表しなさい。

つまずいたときは:
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答え

第2象限,23π\dfrac{2}{3}\pi+2nπ{}+ 2n\pi

解説

π\pi の係数 203\dfrac{20}{3} から 22 を引いていって 00 以上 22 未満にします。

203\displaystyle \frac{20}{3}−2×3\displaystyle {}- 2 \times 3=203\displaystyle {}= \frac{20}{3}−6\displaystyle {}- 6=23\displaystyle {}= \frac{2}{3}

よって 203π\dfrac{20}{3}\pi=23π{}= \dfrac{2}{3}\pi+2π×3{}+ 2\pi \times 3。23π\dfrac{2}{3}\pi=120∘{}= 120^\circ なので動径は第2象限にあり

23π‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}\frac{2}{3}\pi}+2nπ‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}{}+ 2n\pi}
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問5 ★

半径 88、中心角 34π\dfrac{3}{4}\pi の扇形の弧の長さ ll と面積 SS を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

ll=6π,{}= 6\pi,SS=24π{}= 24\pi

解説

公式5より

l\displaystyle l=rθ\displaystyle {}= r\theta=8⋅34π\displaystyle {}= 8 \cdot \frac{3}{4}\pi=6π‾,\displaystyle {}= \underline{6\pi},S\displaystyle S=12r2θ\displaystyle {}= \frac{1}{2}r^2\theta=12⋅64⋅34π\displaystyle {}= \frac{1}{2} \cdot 64 \cdot \frac{3}{4}\pi=24π‾\displaystyle {}= \underline{24\pi}

SS=12rl{}= \dfrac{1}{2}rl=12⋅8⋅6π{}= \dfrac{1}{2} \cdot 8 \cdot 6\pi=24π{}= 24\pi でも同じです。

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問6 ★

半径 66 の円で、長さ 44 の弧に対する中心角 θ\theta を求めなさい。また、この弧と 2 本の半径で囲まれる扇形の面積 SS を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

θ\theta=23,{}= \dfrac{2}{3},SS=12{}= 12

解説

弧度法の定義(公式2)より

θ\displaystyle \theta=lr\displaystyle {}= \frac{l}{r}=46\displaystyle {}= \frac{4}{6}=23‾\displaystyle {}= \underline{\frac{2}{3}}

面積は SS=12rl{}= \dfrac{1}{2}rl で

S\displaystyle S=12⋅6⋅4\displaystyle {}= \frac{1}{2} \cdot 6 \cdot 4=12‾\displaystyle {}= \underline{12}

π\pi の付かない角です。23\dfrac{2}{3} ラジアンは約 38∘38^\circ で、鋭角の扇形です。

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問7 ★

中心角 π4\dfrac{\pi}{4}、弧の長さ 3π3\pi の扇形の半径 rr と面積 SS を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

rr=12,{}= 12,SS=18π{}= 18\pi

解説

ll=rθ{}= r\theta を rr について解きます。

r\displaystyle r=lθ\displaystyle {}= \frac{l}{\theta}=3π÷π4\displaystyle {}= 3\pi \div \frac{\pi}{4}=3π⋅4π\displaystyle {}= 3\pi \cdot \frac{4}{\pi}=12‾\displaystyle {}= \underline{12} S\displaystyle S=12rl\displaystyle {}= \frac{1}{2}rl=12⋅12⋅3π\displaystyle {}= \frac{1}{2} \cdot 12 \cdot 3\pi=18π‾\displaystyle {}= \underline{18\pi}

π\pi どうしが約分で消えるところが、ラジアンで計算する利点です。

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問8 ★

半径 55 の円周上で、長さ 5π5\pi の弧に対する中心角をラジアンで求めなさい。また、それを度で表しなさい。

つまずいたときは:
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答え

π\pi(180∘180^\circ)

解説
θ\displaystyle \theta=lr\displaystyle {}= \frac{l}{r}=5π5\displaystyle {}= \frac{5\pi}{5}=π‾\displaystyle {}= \underline{\pi}

π\pi ラジアンは 180∘‾\underline{180^\circ} です。弧の長さが半径の π\pi 倍、つまり円周(2πr2\pi r)のちょうど半分なので、半周=180∘180^\circ と一致します。

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問9 ★★

−176π-\dfrac{17}{6}\pi の動径が第何象限にあるか答えなさい。また、その動径の表す角を α\alpha+2nπ{}+ 2n\pi(00≦α{}\leqq \alpha<2π{}< 2\pi,nn は整数)の形で表し、α\alpha を度で表しなさい。

つまずいたときは:
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答え

第3象限,76π\dfrac{7}{6}\pi+2nπ{}+ 2n\pi,α\alpha=210∘{}= 210^\circ

解説

係数 −176-\dfrac{17}{6} に 22 を足していきます。−176-\dfrac{17}{6}+2{}+ 2=−56{}= -\dfrac{5}{6} でまだ負、もう一度足して −56-\dfrac{5}{6}+2{}+ 2=76{}= \dfrac{7}{6}。

−176π\displaystyle -\frac{17}{6}\pi=76π\displaystyle {}= \frac{7}{6}\pi−2π×2\displaystyle {}- 2\pi \times 2

76π\dfrac{7}{6}\pi=76⋅180∘{}= \dfrac{7}{6} \cdot 180^\circ=210∘{}= 210^\circ で、180∘180^\circ と 270∘270^\circ の間なので動径は第3象限にあります。

76π‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}\frac{7}{6}\pi}+2nπ,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}{}+ 2n\pi,}α=210∘‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}\qquad \alpha = 210^\circ}
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問10 ★★

34π,\displaystyle \frac{3}{4}\pi,54π,\displaystyle \frac{5}{4}\pi,−34π,\displaystyle {}\qquad -\frac{3}{4}\pi,134π,\displaystyle \frac{13}{4}\pi,−54π\displaystyle {}\qquad -\frac{5}{4}\pi

上の 5 つの角のうち、動径が同じ位置にあるものを組にして示しなさい。

つまずいたときは:
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答え

{34π, −54π}\left\{\dfrac{3}{4}\pi,\ -\dfrac{5}{4}\pi\right\} と {54π, −34π, 134π}\left\{\dfrac{5}{4}\pi,\ -\dfrac{3}{4}\pi,\ \dfrac{13}{4}\pi\right\}

解説

それぞれ 2π2\pi を足し引きして 00≦α{}\leqq \alpha<2π{}< 2\pi に入れます。

−34π\displaystyle -\frac{3}{4}\pi+2π\displaystyle {}+ 2\pi=54π,\displaystyle {}= \frac{5}{4}\pi,134π\displaystyle \frac{13}{4}\pi−2π\displaystyle {}- 2\pi=54π,\displaystyle {}= \frac{5}{4}\pi,−54π\displaystyle {}\qquad -\frac{5}{4}\pi+2π\displaystyle {}+ 2\pi=34π\displaystyle {}= \frac{3}{4}\pi

したがって、動径が 34π\dfrac{3}{4}\pi の位置にあるのは 34π\dfrac{3}{4}\pi と −54π-\dfrac{5}{4}\pi、54π\dfrac{5}{4}\pi の位置にあるのは 54π\dfrac{5}{4}\pi,−34π-\dfrac{3}{4}\pi,134π\dfrac{13}{4}\pi です。

{34π, −54π},‾\displaystyle \underline{\rule[-0.95em]{0em}{2.4000em}\left\{\frac{3}{4}\pi,\ -\frac{5}{4}\pi\right\},}{54π, −34π, 134π}‾\displaystyle \underline{\rule[-0.95em]{0em}{2.4000em}\quad \left\{\frac{5}{4}\pi,\ -\frac{3}{4}\pi,\ \frac{13}{4}\pi\right\}}

「差が 2π2\pi の整数倍なら同じ動径」(公式4)。34π\dfrac{3}{4}\pi と 54π\dfrac{5}{4}\pi は差が π2\dfrac{\pi}{2} なので別の動径です。

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問11 ★★

半径 44 の扇形の周の長さ(2 本の半径と弧の長さの合計)が 2020 のとき、中心角 θ\theta と面積 SS を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

θ\theta=3,{}= 3,SS=24{}= 24

解説

周の長さは 2r2r+l{}+ l なので

2⋅4\displaystyle 2 \cdot 4+l\displaystyle {}+ l=20\displaystyle {}= 20⟹l\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad l=12\displaystyle {}= 12 θ\displaystyle \theta=lr\displaystyle {}= \frac{l}{r}=124\displaystyle {}= \frac{12}{4}=3‾,\displaystyle {}= \underline{3},S\displaystyle S=12rl\displaystyle {}= \frac{1}{2}rl=12⋅4⋅12\displaystyle {}= \frac{1}{2} \cdot 4 \cdot 12=24‾\displaystyle {}= \underline{24}

「周の長さ」には半径 2 本分が含まれることを忘れないでください。中心角 33 ラジアンは約 172∘172^\circ で、半円に近い扇形です。

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問12 ★★

中心角 π3\dfrac{\pi}{3}、面積 6π6\pi の扇形の半径 rr と弧の長さ ll を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

rr=6,{}= 6,ll=2π{}= 2\pi

解説

SS=12r2θ{}= \dfrac{1}{2}r^2\theta に代入します。

6π\displaystyle 6\pi=12r2⋅π3\displaystyle {}= \frac{1}{2}r^2 \cdot \frac{\pi}{3}=π6r2\displaystyle {}= \frac{\pi}{6}r^2⟹r2\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad r^2=36\displaystyle {}= 36

rr>0{}> 0 より rr=6‾{}= \underline{6}。弧の長さは

l\displaystyle l=rθ\displaystyle {}= r\theta=6⋅π3\displaystyle {}= 6 \cdot \frac{\pi}{3}=2π‾\displaystyle {}= \underline{2\pi}

例題5(1) の扇形と同じものです。面積から半径を出すときは r2r^2 の方程式になるので、正の解だけを採ります。

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問13 ★★

00<θ{}< \theta<2π{}< 2\pi とします。角 θ\theta の動径と角 4θ4\theta の動径が同じ位置にあるような θ\theta をすべて求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

θ\theta=23π,{}= \dfrac{2}{3}\pi, 43π\ \dfrac{4}{3}\pi

解説

2 つの角の動径が一致する条件は「差が 2π2\pi の整数倍」です。

4θ\displaystyle 4\theta−θ\displaystyle {}- \theta=2nπ\displaystyle {}= 2n\pi⟹3θ\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad 3\theta=2nπ\displaystyle {}= 2n\pi⟹θ\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \theta=2nπ3\displaystyle {}= \frac{2n\pi}{3}

00<θ{}< \theta<2π{}< 2\pi より 00<2n3{}< \dfrac{2n}{3}<2{}< 2、つまり 00<n{}< n<3{}< 3 なので nn=1,{}= 1, 2\ 2。

θ=23π,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}\theta = \frac{2}{3}\pi,} 43π‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}\ \frac{4}{3}\pi}

θ\theta=23π{}= \dfrac{2}{3}\pi のとき 4θ4\theta=83π{}= \dfrac{8}{3}\pi=23π{}= \dfrac{2}{3}\pi+2π{}+ 2\pi で、確かに同じ動径です。「動径が一致 ⇔ 差が 2nπ2n\pi」を方程式に翻訳するのがこの型の要点です。

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問14 ★★

時計の長針は 6060 分で 1 周します。長針が 2525 分間に回る角をラジアンで求めなさい。また、長針の長さが 6 cm6\ \text{cm} のとき、その 2525 分間に長針の先端が動く距離を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

56π\dfrac{5}{6}\pi,5π cm5\pi\ \text{cm}(≈15.7 cm\approx 15.7\ \text{cm})

解説

1 周は 2π2\pi なので、2525 分間に回る角は

2π×2560\displaystyle 2\pi \times \frac{25}{60}=56π‾\displaystyle {}= \underline{\frac{5}{6}\pi}

先端が動く距離は、半径 66、中心角 56π\dfrac{5}{6}\pi の扇形の弧の長さです。

l\displaystyle l=rθ\displaystyle {}= r\theta=6⋅56π\displaystyle {}= 6 \cdot \frac{5}{6}\pi=5π cm‾ (≈15.7 cm)\displaystyle {}= \underline{5\pi\ \text{cm}}\ (\approx 15.7\ \text{cm})

「回った角 × 半径 = 動いた距離」。ラジアンだからこの掛け算 1 回で済みます。時計の針は時計回りなので、向きまで含めれば −56π-\dfrac{5}{6}\pi ですが、ここでは大きさだけを答えれば十分です。

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問15 ★★

半径 rr、中心角 θ\theta の扇形 X\mathrm{X} と、半径 2r2r、中心角 θ2\dfrac{\theta}{2} の扇形 Y\mathrm{Y} があります。弧の長さの比 lX:lYl_{\mathrm{X}} : l_{\mathrm{Y}} と、面積の比 SX:SYS_{\mathrm{X}} : S_{\mathrm{Y}} を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

lX:lYl_{\mathrm{X}} : l_{\mathrm{Y}}=1:1,{}= 1 : 1,SX:SYS_{\mathrm{X}} : S_{\mathrm{Y}}=1:2{}= 1 : 2

解説

公式5で両方を書きます。

lX\displaystyle l_{\mathrm{X}}=rθ,\displaystyle {}= r\theta,lY\displaystyle l_{\mathrm{Y}}=2r⋅θ2\displaystyle {}= 2r \cdot \frac{\theta}{2}=rθ\displaystyle {}= r\theta SX\displaystyle S_{\mathrm{X}}=12r2θ,\displaystyle {}= \frac{1}{2}r^2\theta,SY\displaystyle S_{\mathrm{Y}}=12(2r)2⋅θ2\displaystyle {}= \frac{1}{2}(2r)^2 \cdot \frac{\theta}{2}=12⋅4r2⋅θ2\displaystyle {}= \frac{1}{2} \cdot 4r^2 \cdot \frac{\theta}{2}=r2θ\displaystyle {}= r^2\theta lX:lY=1:1,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8888em}l_{\mathrm{X}} : l_{\mathrm{Y}} = 1 : 1,}SX:SY=1:2‾\displaystyle \underline{\rule[-0.1944em]{0em}{0.8888em}\qquad S_{\mathrm{X}} : S_{\mathrm{Y}} = 1 : 2}

半径を 2 倍、角を半分にすると、弧の長さは変わらず(rθr\theta が同じ)、面積は 2 倍になります。弧の長さは rr に比例、面積は r2r^2 に比例——同じ「×θ\times\theta」でも rr の次数が違うからです。

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問16 ★★

地球を半径 6400 km6400\ \text{km} の球とみなします。同じ経線上にあって緯度の差が 1∘1^\circ の 2 地点の間の距離(地表に沿った弧の長さ)を求めなさい。π\pi=3.14{}= 3.14 として小数第 1 位を四捨五入した値も求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

3209π km\dfrac{320}{9}\pi\ \text{km}(≈112 km\approx 112\ \text{km})

解説

1∘1^\circ をラジアンに直すと π180\dfrac{\pi}{180} です。弧の長さは

l\displaystyle l=rθ\displaystyle {}= r\theta=6400⋅π180\displaystyle {}= 6400 \cdot \frac{\pi}{180}=6400π180\displaystyle {}= \frac{6400\pi}{180}=3209π km‾\displaystyle {}= \underline{\frac{320}{9}\pi\ \text{km}}

π\pi=3.14{}= 3.14 とすると 320×3.149\dfrac{320 \times 3.14}{9}=1004.89{}= \dfrac{1004.8}{9}=111.6…{}= 111.6\ldots なので、約 112 km‾\underline{112\ \text{km}} です。

緯度 1∘1^\circ が約 111 km111\ \text{km} というのは地図の基本の数字で、11 分(160\dfrac{1}{60} 度)に当たる約 1.85 km1.85\ \text{km} が「海里」の由来です。弧度法で書けば「半径 × 角」の 1 行で出ます。

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問17 ★★★

周の長さ(2 本の半径と弧の長さの合計)が 1212 の扇形のうち、面積 SS が最大になるものの半径 rr、中心角 θ\theta、そのときの面積 SS を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

rr=3,{}= 3,θ\theta=2,{}= 2,SS=9{}= 9

解説

弧の長さを ll とすると 2r2r+l{}+ l=12{}= 12 より ll=12{}= 12−2r{}- 2r。ll>0{}> 0 なので 00<r{}< r<6{}< 6 です。面積は SS=12rl{}= \dfrac{1}{2}rl なので

S\displaystyle S=12r(12−2r)\displaystyle {}= \frac{1}{2}r(12 - 2r)=−r2\displaystyle {}= -r^2+6r\displaystyle {}+ 6r=−(r−3)2\displaystyle {}= -(r - 3)^2+9\displaystyle {}+ 9

00<r{}< r<6{}< 6 の範囲で、rr=3‾{}= \underline{3} のとき最大値 SS=9‾{}= \underline{9} をとります。このとき ll=12{}= 12−6{}- 6=6{}= 6 なので

θ\displaystyle \theta=lr\displaystyle {}= \frac{l}{r}=63\displaystyle {}= \frac{6}{3}=2‾\displaystyle {}= \underline{2}

面積を「rr の 2 次関数」と見て平方完成する問題です。最大になるのは弧の長さが半径 2 本分と等しいとき(ll=2r{}= 2r)で、中心角はちょうど 22 ラジアン——周の長さが何であっても同じ形になります。

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問18 ★★★

00<θ{}< \theta<2π{}< 2\pi とします。角 θ\theta の動径と角 4θ4\theta の動径が xx 軸について対称であるような θ\theta をすべて求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

θ\theta=25π,{}= \dfrac{2}{5}\pi, 45π,\ \dfrac{4}{5}\pi, 65π,\ \dfrac{6}{5}\pi, 85π\ \dfrac{8}{5}\pi

解説

角 θ\theta の動径を xx 軸で折り返した動径は、角 −θ-\theta の動径です(反時計回りに θ\theta 回したものを、時計回りに θ\theta 回したものに写す)。したがって「4θ4\theta の動径が −θ-\theta の動径と一致する」と言い換えられます。

4θ\displaystyle 4\theta−(−θ)\displaystyle {}- (-\theta)=2nπ\displaystyle {}= 2n\pi⟹5θ\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad 5\theta=2nπ\displaystyle {}= 2n\pi⟹θ\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad \theta=2nπ5\displaystyle {}= \frac{2n\pi}{5}

00<θ{}< \theta<2π{}< 2\pi より 00<n{}< n<5{}< 5 なので nn=1,{}= 1, 2,\ 2, 3,\ 3, 4\ 4。

θ=25π,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}\theta = \frac{2}{5}\pi,} 45π,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}\ \frac{4}{5}\pi,} 65π,‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}\ \frac{6}{5}\pi,} 85π‾\displaystyle \underline{\rule[-0.686em]{0em}{2.0074em}\ \frac{8}{5}\pi}

θ\theta=25π{}= \dfrac{2}{5}\pi で確かめると 4θ4\theta=85π{}= \dfrac{8}{5}\pi=−25π{}= -\dfrac{2}{5}\pi+2π{}+ 2\pi なので、確かに −θ-\theta と同じ動径です。「xx 軸対称 ⇒ −θ-\theta」「yy 軸対称 ⇒ π\pi−θ{}- \theta」「原点対称 ⇒ θ\theta+π{}+ \pi」の 3 つの言い換えは、第6章の公式にそのまま姿を変えて現れます。

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問19 ★★★

半径 99 の円から中心角 43π\dfrac{4}{3}\pi の扇形を切り取り、その 2 本の半径を貼り合わせて円錐の側面を作ります。この円錐の底面の半径 r′r'、側面積 SS、高さ hh を求めなさい。

つまずいたときは:
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答え

r′r'=6,{}= 6,SS=54π,{}= 54\pi,hh=35{}= 3\sqrt{5}

解説

扇形の弧が、そのまま円錐の底面の円周になります。弧の長さは

l\displaystyle l=9⋅43π\displaystyle {}= 9 \cdot \frac{4}{3}\pi=12π\displaystyle {}= 12\pi

底面の円周 2πr′2\pi r' がこれに等しいので

2πr′\displaystyle 2\pi r'=12π\displaystyle {}= 12\pi⟹r′\displaystyle {}\Longrightarrow\qquad r'=6‾\displaystyle {}= \underline{6}

側面積は扇形の面積そのものです。

S\displaystyle S=12⋅9⋅12π\displaystyle {}= \frac{1}{2} \cdot 9 \cdot 12\pi=54π‾\displaystyle {}= \underline{54\pi}

高さは、母線(扇形の半径 99)・底面の半径 66・高さ hh で作る直角三角形から

h\displaystyle h=92−62\displaystyle {}= \sqrt{9^2 - 6^2}=45\displaystyle {}= \sqrt{45}=35‾\displaystyle {}= \underline{3\sqrt{5}}

「扇形の弧 = 底面の円周」が円錐の展開図の要です。ラジアンなら ll=rθ{}= r\theta の 1 行で弧が出るので、中心角を 360∘360^\circ で割る計算が要りません。

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問20 ★★★

単位円上で、始線 OA\mathrm{OA} から角 θ\theta だけ回った動径と単位円の交点を P(x, y)\mathrm{P}(x,\ y) とします。角 θ\theta+π{}+ \pi,−θ-\theta,π\pi−θ{}- \theta の動径と単位円の交点をそれぞれ Q\mathrm{Q},R\mathrm{R},T\mathrm{T} とするとき、Q\mathrm{Q},R\mathrm{R},T\mathrm{T} の座標を xx,yy で表しなさい。

つまずいたときは:
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答え

Q(−x, −y),\mathrm{Q}(-x,\ -y),R(x, −y),\mathrm{R}(x,\ -y),T(−x, y)\mathrm{T}(-x,\ y)

解説

Q\mathrm{Q}(角 θ\theta+π{}+ \pi) P\mathrm{P} の動径をさらに π\pi(半周)回すと、動径は原点をはさんで正反対の向きになります。単位円上の正反対の点は原点について対称なので

Q(−x, −y)\mathrm{Q}(-x,\ -y)

R\mathrm{R}(角 −θ-\theta) 反時計回りに θ\theta 回す代わりに時計回りに θ\theta 回すと、動径は xx 軸について対称な位置に来ます。xx 軸で折り返すと yy 座標だけ符号が変わるので

R(x, −y)\mathrm{R}(x,\ -y)

T\mathrm{T}(角 π\pi−θ{}- \theta) π\pi−θ{}- \theta の動径は、θ\theta の動径を yy 軸で折り返したものです(第2章の 180∘−θ180^\circ - \theta と同じ)。xx 座標だけ符号が変わるので

T(−x, y)\mathrm{T}(-x,\ y) Q(−x, −y),‾\displaystyle \underline{\rule[-0.25em]{0em}{1.0000em}\mathrm{Q}(-x,\ -y),}R(x, −y),‾\displaystyle \underline{\rule[-0.25em]{0em}{1.0000em}\quad \mathrm{R}(x,\ -y),}T(−x, y)‾\displaystyle \underline{\rule[-0.25em]{0em}{1.0000em}\quad \mathrm{T}(-x,\ y)}

第6章では P\mathrm{P} の座標を (cos⁡θ, sin⁡θ)(\cos\theta,\ \sin\theta) と呼びます。すると今の結果はそのまま cos⁡(θ+π)\cos(\theta + \pi)=−cos⁡θ{}= -\cos\theta,sin⁡(−θ)\sin(-\theta)=−sin⁡θ{}= -\sin\theta,cos⁡(π−θ)\cos(\pi - \theta)=−cos⁡θ{}= -\cos\theta などの公式になります。公式を暗記する前に、「原点対称・xx 軸対称・yy 軸対称」の 3 つの図を頭に置いてください。

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数学小話コーナー

なぜ 1 周は 360° なのか

円のどこにも「360」という数は書いてありません。それなのに 1 周を 360∘360^\circ とするのは、古代メソポタミアのバビロニア人が使っていた 60 進法(60 でひとまとまりにする数え方)の名残だと言われています。1 時間が 60 分、1 分が 60 秒なのも同じ出どころです。

なぜ 60 なのか、なぜその 6 倍の 360 なのかについては、はっきりした記録がありません。よく挙げられる説は 2 つ——「1 年がおよそ 360 日で、太陽が毎日 1∘1^\circ ずつ星座の中を進むように見えた」という天文の説と、「360 は約数がとても多く(1,1, 2,\ 2, 3,\ 3, 4,\ 4, 5,\ 5, 6,\ 6, 8,\ 8, 9,\ 9, 10,\ 10, 12,\ 12, …\ \ldots で割り切れる)、円を等分するのに便利だった」という実用の説です(※諸説あり)。

豆知識

角の単位は 360 度だけではありません。フランス革命のころ、長さをメートルに統一したのと同じ流れで「直角を 100 等分」するグラード(1 周 400400 グラード)が作られ、今でも一部の測量機器に目盛りが残っています。度もグラードも「1 周を何等分するか」という人間の約束です。それに対してラジアンは、半径と弧という円自身の長さから決まる、約束の要らない単位——この章が度からラジアンへ乗り換えたのは、そのためです。

ラジアンは「微分が楽になる角」として生まれた

弧の長さで角を測るという発想は、円周率を扱った数学者たちの間で古くからありましたが、それを角の単位としてはっきり使ったのは、18 世紀イギリスのロジャー・コーツだとされています。コーツはニュートンの弟子で、『プリンキピア』第 2 版の校訂を任された若い天才でした。彼が 1714 年に残した計算の中に「弧の長さで角を測ると、三角関数の計算がもっとも簡単になる」という趣旨の考察があります(※コーツは 33 歳で亡くなり、ニュートンが「彼が生きていれば我々はもっと多くを知ったろう」と惜しんだと伝えられます)。

「radian」という言葉自体はずっと後で、1873 年にベルファストのジェームズ・トムソン(絶対温度のケルビン卿の兄)が試験問題に使ったのが最初とされています(※諸説あり)。定義から名前がつくまで 150 年以上かかった単位です。

豆知識

「微分が楽になる」とはどういうことか、少しだけ先取りします。θ\theta が小さいとき、ラジアンで測れば sin⁡θ\sin\theta と θ\theta はほとんど同じ値です(例:sin⁡0.1\sin 0.1=0.0998…{}= 0.0998\ldots)。この「sin⁡θ\sin\theta≈θ{}\approx \theta」があるおかげで、sin⁡\sin を微分すると係数なしでぴったり cos⁡\cos になります。度で測ると sin⁡\sin の微分に π180\dfrac{\pi}{180} という係数がいつまでも付きまとう——ラジアンは、この係数を消すために選ばれた単位だと言えます。厳密定義ページの補足で入口を見ておきます。

地球の大きさを「弧の長さ ÷ 角」で測った人

紀元前 3 世紀、アレクサンドリアの図書館長エラトステネスは、地球の一周の長さを計算しました。使ったのは、この章の公式 ll=rθ{}= r\theta を逆向きに読んだだけの方法です。

南のシエネ(現在のアスワン)では、夏至の正午に太陽が真上に来て、深い井戸の底まで日が差すと知られていました。同じ日の正午、北のアレクサンドリアでは太陽が真上から 7.2∘7.2^\circ ずれていました。太陽の光は平行に届くので、この 7.2∘7.2^\circ は「2 地点を地球の中心から見た角」と同じです。7.2∘7.2^\circ は 1 周 360∘360^\circ の 150\dfrac{1}{50} ——つまり、2 地点間の距離を 50 倍すれば地球 1 周になります。2 地点間はおよそ 5000 スタディオン(当時の距離の単位)と見積もられていたので、地球 1 周は 25 万スタディオン。1 スタディオンの長さには幅があるものの、現在の値(約 40,000 km40{,}000\ \text{km})にかなり近い数字だったとされています(※距離の値や誤差の評価は諸説あり)。

豆知識

ラジアンで書けば、エラトステネスがやったのは rr=lθ{}= \dfrac{l}{\theta} の計算です。θ\theta=7.2∘{}= 7.2^\circ=π25{}= \dfrac{\pi}{25}、ll=5000{}= 5000 スタディオンから rr を出し、2πr2\pi r で 1 周が求まります。第1章の伊能忠敬が「距離と方角の積み重ね」で日本の形を描いたのに対し、エラトステネスは「角 1 つと距離 1 本」で地球の大きさを出しました。この章の j16(緯度差 1∘1^\circ で約 111 km111\ \text{km})は、同じ計算を現代の半径でやり直したものです。

厳密定義(発展)

※ここは発展ページです。高校の範囲では「一般角を α\alpha+2nπ{}+ 2n\pi と書けること」「度とラジアンを換算できること」「ll=rθ{}= r\theta,SS=12r2θ{}= \frac{1}{2}r^2\theta を使えること」で十分ですが、「なぜ弧の長さ ÷ 半径が角の単位になるのか」「扇形の面積の式はどこから来るのか」「sin⁡θ\sin\theta≈θ{}\approx \theta とはどういう意味か」が気になる人のために、根拠を紹介します。

定義1:一般角

平面上の点 O\mathrm{O} から出る半直線 OA\mathrm{OA} を始線とする。O\mathrm{O} を中心として始線を回転させて得られる半直線 OP\mathrm{OP} を動径といい、回転の量(反時計回りを正、時計回りを負とする実数)を動径 OP\mathrm{OP} の表す一般角という。動径の位置が同じでも、回転の量が違えば異なる一般角として区別する。

同じ動径を表す一般角どうしは、回転の量が 1 周(360∘360^\circ)の整数倍だけ違います。逆に、1 周の整数倍だけ違う 2 つの角は同じ動径を与えます。これが公式1・公式4の「α\alpha+360∘×n{}+ 360^\circ \times n」「α\alpha+2nπ{}+ 2n\pi」の根拠です。「動径が同じ」という関係で一般角を仲間分けすると、各仲間から代表を 1 つ(00≦α{}\leqq \alpha<2π{}< 2\pi の範囲で)選べる、という見方をしています。

定義2:弧度法

半径 rr の円において、長さ ll の弧に対する中心角の大きさを lr\dfrac{l}{r} と定め、その単位をラジアンという。

定理1:弧度法は半径によらない

中心角が等しい 2 つの扇形(半径 r1r_1,r2r_2、弧の長さ l1l_1,l2l_2)について l1r1\dfrac{l_1}{r_1}=l2r2{}= \dfrac{l_2}{r_2} である。すなわち定義2の値は、どの半径の円で測っても同じである。

証明 中心角 θ\theta(度で θ∘\theta^\circ とする)の扇形の弧の長さは、円周 2πr2\pi r の θ360\dfrac{\theta}{360} 倍であるから ll=2πr⋅θ360{}= 2\pi r \cdot \dfrac{\theta}{360}。よって

lr\displaystyle \frac{l}{r}=2πθ360\displaystyle {}= \frac{2\pi\theta}{360}=πθ180\displaystyle {}= \frac{\pi\theta}{180}

右辺は rr を含まないので、lr\dfrac{l}{r} は半径によらず中心角だけで決まる。(証明終)

証明の中に出てきた lr\dfrac{l}{r}=πθ180{}= \dfrac{\pi\theta}{180} は、そのまま「θ∘\theta^\circ をラジアンに直す式」です。つまり定理1は、換算公式(公式3)の証明も兼ねています。幾何の言葉で言えば「中心角の等しい扇形は互いに相似で、相似な図形では対応する長さの比が等しい」ということです。

定理2:扇形の弧の長さと面積

半径 rr、中心角 θ\theta(ラジアン)の扇形について

l\displaystyle l=rθ,\displaystyle {}= r\theta,S\displaystyle S=12r2θ\displaystyle {}= \frac{1}{2}r^2\theta

証明 ll=rθ{}= r\theta は定義2を ll について解いたものである。

面積について。扇形の面積は中心角に比例する(中心角を 2 倍にすれば合同な扇形を 2 つ並べたものになる)。円全体は中心角 2π2\pi の扇形とみなせて面積は πr2\pi r^2 であるから

S\displaystyle S=πr2×θ2π\displaystyle {}= \pi r^2 \times \frac{\theta}{2\pi}=12r2θ\displaystyle {}= \frac{1}{2}r^2\theta

(証明終)

「面積が中心角に比例する」ことは、中心角が整数比のときは扇形を並べて確かめられ、一般の実数では極限で正当化します。厳密には積分の考え方が要りますが、高校ではこの比例を認めて進みます。12r2θ\dfrac{1}{2}r^2\theta=12r⋅(rθ){}= \dfrac{1}{2}r \cdot (r\theta)=12rl{}= \dfrac{1}{2}rl と書き直すと、扇形を「弧を底辺・半径を高さとする三角形」とみなした式にもなっています。

定理3:小さい角では sin θ ≈ θ(挟み撃ちの入口)

00<θ{}< \theta<π2{}< \dfrac{\pi}{2} のとき

sin⁡θ\displaystyle \sin\theta<θ\displaystyle {}< \theta<tan⁡θ\displaystyle {}< \tan\theta

証明 単位円(半径 11)の上で、始線上の点 A(1, 0)\mathrm{A}(1,\ 0) と、角 θ\theta の動径上の点 P(cos⁡θ, sin⁡θ)\mathrm{P}(\cos\theta,\ \sin\theta) をとる。さらに、点 A\mathrm{A} における円の接線と動径 OP\mathrm{OP} の延長との交点を T(1, tan⁡θ)\mathrm{T}(1,\ \tan\theta) とする。3 つの図形

  • 三角形 OAP\mathrm{OAP}(面積 12⋅1⋅1⋅sin⁡θ\dfrac{1}{2} \cdot 1 \cdot 1 \cdot \sin\theta=12sin⁡θ{}= \dfrac{1}{2}\sin\theta。第4章の公式1)
  • 扇形 OAP\mathrm{OAP}(面積 12⋅12⋅θ\dfrac{1}{2} \cdot 1^2 \cdot \theta=12θ{}= \dfrac{1}{2}\theta。定理2)
  • 三角形 OAT\mathrm{OAT}(面積 12⋅1⋅tan⁡θ\dfrac{1}{2} \cdot 1 \cdot \tan\theta=12tan⁡θ{}= \dfrac{1}{2}\tan\theta)

は、この順に前のものが後のものに含まれる。したがって面積の大小から

12sin⁡θ\displaystyle \frac{1}{2}\sin\theta<12θ\displaystyle {}< \frac{1}{2}\theta<12tan⁡θ\displaystyle {}< \frac{1}{2}\tan\theta

各辺を 2 倍して sin⁡θ\sin\theta<θ{}< \theta<tan⁡θ{}< \tan\theta。(証明終)

この不等式の各辺を sin⁡θ\sin\theta で割ると 11<θsin⁡θ{}< \dfrac{\theta}{\sin\theta}<1cos⁡θ{}< \dfrac{1}{\cos\theta} となり、θ\theta を 00 に近づけると右辺は 11 に近づきます。つまり sin⁡θθ\dfrac{\sin\theta}{\theta} は 11 に近づく——これが「小さい角では sin⁡θ\sin\theta≈θ{}\approx \theta」の正確な意味で、数学III で lim⁡θ→0sin⁡θθ\lim_{\theta \to 0}\dfrac{\sin\theta}{\theta}=1{}= 1 として学びます。証明の真ん中に「扇形の面積 12θ\dfrac{1}{2}\theta」が入っていることに注目してください。角をラジアンで測ったからこそ、扇形の面積が θ\theta そのもので書けて、sin⁡θ\sin\theta と θ\theta を直接比べられたのです。度で測っていたら真ん中が πθ360\dfrac{\pi\theta}{360} になり、sin⁡θθ\dfrac{\sin\theta}{\theta} は π180\dfrac{\pi}{180} に近づきます。sin⁡\sin の微分に π180\dfrac{\pi}{180} が付きまとうというのは、このことです。

**補足:ラジアンは「数」である。**定義2の lr\dfrac{l}{r} は長さを長さで割ったものなので、単位のない実数です。だから θ\theta=2{}= 2 のように書け、θ2\theta^2 や sin⁡θ\sin\theta と θ\theta の足し引き(θ\theta−sin⁡θ{}- \sin\theta など)も自然に意味を持ちます。「60∘60^\circ の 2 乗」には意味を与えにくいのに対し、「π3\dfrac{\pi}{3} の 2 乗」はただの数の 2 乗です。第6章で sin⁡θ\sin\theta を「実数 θ\theta の関数」として扱うとき、この性質が効いてきます。

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