問1
の動径の表す角を (, は整数)の形で表しなさい。
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目次 / 三角比と三角関数 / 数学II
—— 角を「回転の量」として測り直す——度からラジアンへ ——
第4章までの角は「三角形の角」でした。三角形の角は 180° を超えないので、日常と同じ「度」で不自由はなかったのです。この章から角を「回転の量」として見直します。1 周を超えて回った角、逆向きに回った負の角も 1 つの角として扱えるようにするのが「一般角」です。あわせて角の単位を「度」から「ラジアン(弧度法)」に切り替えます。理由は 3 つ——弧の長さと扇形の面積が簡単な式になること、円そのものから決まる自然な単位であること、そして先の微分で sin・cos の式がすっきりすることです。第2章の単位円が、第6章の「三角関数」へつながる橋になります。
第1章から第4章まで、角はずっと「度」で書いてきました。三角形の角は より大きく より小さいので、分度器で測れる範囲に収まっていたからです。測量や面積の計算では、それで何も困りません。
ところが、この先で扱う ・ は「三角形の角」から離れて、回転を表す道具になります。観覧車は 1 周して止まらずに回り続けますし、逆回しもできます。そこで 2 つのことを新しくします。
2 のほうは「単位の乗り換え」にすぎませんが、乗り換えると扇形の弧の長さが 、面積が という短い式になり、さらに先の微分で の計算が驚くほど簡単になります。度が「人間の都合で 1 周を 360 等分した単位」なのに対し、ラジアンは「円そのものから出てくる単位」だからです。
平面上に点 をとり、 から右向きに伸びる半直線 を始線とします。始線を のまわりに回して半直線 に重ねたとき、 を動径といい、回した量を「動径 の表す角」と呼びます。反時計回りを正、時計回りを負と約束します。
図の動径 は、 回しても、 回しても、逆向きに 回しても()同じ位置に来ます。動径の位置は同じでも「回した量」は違う——その回した量をすべて区別して 1 つの角と考えるのが一般角です。
動径 の表す角の 1 つを とすると、動径 の表す角の全体は
ダイヤル式の金庫を思い浮かべてください。つまみが「3」を指していても、右に 1 周してから 3 に合わせたのか、左に回して 3 に合わせたのかで、錠の中身は違う動きをしています。つまみの見た目(動径の位置)と回した量(一般角)は別のもの——それが公式1の です。第2章の観覧車は「 から まで」で止めていましたが、ここからは何周でも、逆回しでも構いません。
一般角とは「動径をどれだけ回したか」で角を測る考え方で、同じ動径を表す角は ずつ違う無限個があるということです。
次の角の動径を図示するとき、その動径が第何象限にあるか答えなさい。また、その動径の表す角を (, は整数)の形で表しなさい。
【解答】
(1) なので、動径は と同じ位置にあり、第1象限です。
(2) なので、動径は と同じ位置にあり、第3象限です。
(3) なので、動径は と同じ位置にあり、第4象限です。
を足したり引いたりして 以上 未満に入れる。それが「動径の位置」を読む手順です。負の角は を足して正にします。
度は「1 周を 360 等分したものが 」という約束でした。360 という数は円のどこにも書いてありません。円が自分で持っている長さは半径と弧だけです。そこで、半径と同じ長さの弧を切り取る中心角を新しい単位にします。
半径 の円で、長さ の弧に対する中心角の大きさを
と定める。この測り方を弧度法という。
ロープを 1 本用意して、その長さを半径にした円を地面に描いてみてください。そのロープを円周に沿って 1 本分だけ巻いたとき、円の中心から見た「開き具合」が 1 ラジアンです。半径 m の円でも m の円でも、ロープを半径に合わせて用意すれば開き具合は同じ——半径が単位を決めるので、円の大きさに関係なく角が測れます。
弧度法は「弧の長さ ÷ 半径」で角を測る方法で、半径と同じ長さの弧が ラジアン、円の大きさによらない単位だということです。
次の中心角の大きさをラジアンで求めなさい。
(1) 半径 の円で、長さ の弧に対する中心角
(2) 半径 の円で、円周全体(1 周)に対する中心角
【解答】
(1) 公式2より
(2) 円周の長さは なので
1 周が ラジアン、つまり です。半径 が消えるところを見てください——どんな円でも 1 周は です。
例題2の (2) から、 ラジアン、すなわち ラジアンです。この 1 本の関係で、度とラジアンは自由に行き来できます。
よく使う角の対応表( までと、それより大きい角の 2 つに分けています):
| 度 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| ラジアン |
| 度 | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| ラジアン |
km とマイルのような「単位の換算」と同じことですが、換算率が という無理数なのが違いです。とはいえ、 を「半周」と読み替えると計算より速く分かります。 は「半周の 3 分の 1」で 、 は「半周の 6 分の 5」で 。三角定規の角は表の ,, に対応するので、まずこの 3 つを覚えてください。
の 1 本を覚えておけば、度とラジアンは掛け算 1 回で換算できるということです。
(1) ,, をラジアンで表しなさい。
(2) ,, を度で表しなさい。
【解答】
(1) を掛けます。
(2) を に置き換えます。
負の角も同じ換算率です。ラジアンの分数は約分した形( を のままにしない)で答えます。
なので、公式1の「」はラジアンでは「」になります。これ以降、一般角はこの形で書きます。
動径 の表す角の 1 つを とすると、動径 の表す角の全体は
時計の針は 12 時間で 1 周しますが、「今 3 時を指している」と言うとき、何周してきたかは気にしません。 の は「何周してきたか」、 は「今どこを指しているか」です。第2章の時計盤(3 時の位置が始線、反時計回り)を、そのまま何周でも回せるようにしたものと思ってください。
ラジアンでは が 1 周なので、一般角は と書き、動径の位置は を に入れて読むということです。
次の角の動径が第何象限にあるか答えなさい。また、その動径の表す角を (, は整数)の形で表しなさい。
【解答】
(1) なので、動径は ()と同じ位置で、第1象限です。
(2) なので、動径は ()と同じ位置で、第4象限です。
(3) 、つまり なので、動径は ()と同じ位置で、第3象限です。
の係数だけを見て「 を足し引きして 以上 未満にする」と考えると速いです。(3) なら に を 2 回足して です。
弧度法の定義 を について解くと、弧の長さの公式になります。面積は「扇形は円全体の 」と考えれば出ます。
半径 、中心角 (ラジアン)の扇形の弧の長さを 、面積を とすると
第4章の三角形の面積 と並べてみてください。扇形の面積 は、2 辺がどちらも で、はさむ角の の代わりに角 そのものが入った形です。角が小さいときは と がほとんど同じ値になる(厳密定義ページ)ので、細い扇形はほぼ三角形——2 つの公式が近い形をしているのは偶然ではありません。ピザを 1 切れ取るとき、縁の長さも面積も「切れの角」に比例します。第4章では中心から 3 切れに分けましたが、今回は 1 切れの大きさを角で測ります。
ラジアンで測ると、扇形の弧の長さは「半径 × 角」、面積は「半径の 2 乗 × 角 ÷ 2」という掛け算だけの式になるということです。
(1) 半径 、中心角 の扇形の弧の長さ と面積 を求めなさい。
(2) 半径 、弧の長さ の扇形の中心角 と面積 を求めなさい。
【解答】
(1) 公式5より
(2) より
面積は が速く
(2) の中心角 は を含まない「ただの数」です。ラジアンは の何倍かで書くことが多いですが、 が付かない値も立派な角です( ラジアン )。
第2章では、単位円上で から角 だけ進んだ点 の座標を , と定めました。角は から までに限っていました。
この章の言葉で言い直すと、 は「始線 を だけ回した動径と単位円の交点」です。一般角なら は を超えても負でも構いませんし、動径は必ず単位円と 1 点で交わります。つまり、どんな実数 に対しても点 が 1 つ決まる——その 座標・ 座標を ・ と呼び直せば、 と は「すべての実数で定義された関数」になります。これが第6章の三角関数です。第2章で使った「定義の拡張(もとの範囲では前の定義と一致することを確かめる)」の考え方を、もう一度使うことになります。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
の動径の表す角を (, は整数)の形で表しなさい。
()
問2
をラジアンで表しなさい。
()
問3
を度で表しなさい。
()
問4
半径 、中心角 の扇形の弧の長さ を求めなさい。
()
問5
半径 、中心角 の扇形の面積 を求めなさい。
()
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
上の 3 つの角をラジアンで表しなさい。
(1) (2) (3)
を掛けて約分します。
との最大公約数で約分するだけです。 と なら で割って です。
問2 ★
上の 3 つの角を度で表しなさい。
(1) (2) (3)
を に置き換えます。
なので は です。
問3 ★
の動径が第何象限にあるか答えなさい。また、その動径の表す角を (, は整数)の形で表しなさい。
第2象限,
負の角なので を足します。
は と の間なので、動径は第2象限にあります。動径の表す角は
時計回りに 回るのと、反時計回りに 回るのは同じ位置に着きます(合わせて )。
問4 ★
の動径が第何象限にあるか答えなさい。また、その動径の表す角を (, は整数)の形で表しなさい。
第2象限,
の係数 から を引いていって 以上 未満にします。
よって 。 なので動径は第2象限にあり
問5 ★
半径 、中心角 の扇形の弧の長さ と面積 を求めなさい。
公式5より
でも同じです。
問6 ★
半径 の円で、長さ の弧に対する中心角 を求めなさい。また、この弧と 2 本の半径で囲まれる扇形の面積 を求めなさい。
弧度法の定義(公式2)より
面積は で
の付かない角です。 ラジアンは約 で、鋭角の扇形です。
問7 ★
中心角 、弧の長さ の扇形の半径 と面積 を求めなさい。
を について解きます。
どうしが約分で消えるところが、ラジアンで計算する利点です。
問8 ★
半径 の円周上で、長さ の弧に対する中心角をラジアンで求めなさい。また、それを度で表しなさい。
()
ラジアンは です。弧の長さが半径の 倍、つまり円周()のちょうど半分なので、半周= と一致します。
問9 ★★
の動径が第何象限にあるか答えなさい。また、その動径の表す角を (, は整数)の形で表し、 を度で表しなさい。
第3象限,,
係数 に を足していきます。 でまだ負、もう一度足して 。
で、 と の間なので動径は第3象限にあります。
問10 ★★
上の 5 つの角のうち、動径が同じ位置にあるものを組にして示しなさい。
と
それぞれ を足し引きして に入れます。
したがって、動径が の位置にあるのは と 、 の位置にあるのは ,, です。
「差が の整数倍なら同じ動径」(公式4)。 と は差が なので別の動径です。
問11 ★★
半径 の扇形の周の長さ(2 本の半径と弧の長さの合計)が のとき、中心角 と面積 を求めなさい。
周の長さは なので
「周の長さ」には半径 2 本分が含まれることを忘れないでください。中心角 ラジアンは約 で、半円に近い扇形です。
問12 ★★
中心角 、面積 の扇形の半径 と弧の長さ を求めなさい。
に代入します。
より 。弧の長さは
例題5(1) の扇形と同じものです。面積から半径を出すときは の方程式になるので、正の解だけを採ります。
問13 ★★
とします。角 の動径と角 の動径が同じ位置にあるような をすべて求めなさい。
2 つの角の動径が一致する条件は「差が の整数倍」です。
より 、つまり なので 。
のとき で、確かに同じ動径です。「動径が一致 ⇔ 差が 」を方程式に翻訳するのがこの型の要点です。
問14 ★★
時計の長針は 分で 1 周します。長針が 分間に回る角をラジアンで求めなさい。また、長針の長さが のとき、その 分間に長針の先端が動く距離を求めなさい。
,()
1 周は なので、 分間に回る角は
先端が動く距離は、半径 、中心角 の扇形の弧の長さです。
「回った角 × 半径 = 動いた距離」。ラジアンだからこの掛け算 1 回で済みます。時計の針は時計回りなので、向きまで含めれば ですが、ここでは大きさだけを答えれば十分です。
問15 ★★
半径 、中心角 の扇形 と、半径 、中心角 の扇形 があります。弧の長さの比 と、面積の比 を求めなさい。
公式5で両方を書きます。
半径を 2 倍、角を半分にすると、弧の長さは変わらず( が同じ)、面積は 2 倍になります。弧の長さは に比例、面積は に比例——同じ「」でも の次数が違うからです。
問16 ★★
地球を半径 の球とみなします。同じ経線上にあって緯度の差が の 2 地点の間の距離(地表に沿った弧の長さ)を求めなさい。 として小数第 1 位を四捨五入した値も求めなさい。
()
をラジアンに直すと です。弧の長さは
とすると なので、約 です。
緯度 が約 というのは地図の基本の数字で、 分( 度)に当たる約 が「海里」の由来です。弧度法で書けば「半径 × 角」の 1 行で出ます。
問17 ★★★
周の長さ(2 本の半径と弧の長さの合計)が の扇形のうち、面積 が最大になるものの半径 、中心角 、そのときの面積 を求めなさい。
弧の長さを とすると より 。 なので です。面積は なので
の範囲で、 のとき最大値 をとります。このとき なので
面積を「 の 2 次関数」と見て平方完成する問題です。最大になるのは弧の長さが半径 2 本分と等しいとき()で、中心角はちょうど ラジアン——周の長さが何であっても同じ形になります。
問18 ★★★
とします。角 の動径と角 の動径が 軸について対称であるような をすべて求めなさい。
角 の動径を 軸で折り返した動径は、角 の動径です(反時計回りに 回したものを、時計回りに 回したものに写す)。したがって「 の動径が の動径と一致する」と言い換えられます。
より なので 。
で確かめると なので、確かに と同じ動径です。「 軸対称 ⇒ 」「 軸対称 ⇒ 」「原点対称 ⇒ 」の 3 つの言い換えは、第6章の公式にそのまま姿を変えて現れます。
問19 ★★★
半径 の円から中心角 の扇形を切り取り、その 2 本の半径を貼り合わせて円錐の側面を作ります。この円錐の底面の半径 、側面積 、高さ を求めなさい。
扇形の弧が、そのまま円錐の底面の円周になります。弧の長さは
底面の円周 がこれに等しいので
側面積は扇形の面積そのものです。
高さは、母線(扇形の半径 )・底面の半径 ・高さ で作る直角三角形から
「扇形の弧 = 底面の円周」が円錐の展開図の要です。ラジアンなら の 1 行で弧が出るので、中心角を で割る計算が要りません。
問20 ★★★
単位円上で、始線 から角 だけ回った動径と単位円の交点を とします。角 ,, の動径と単位円の交点をそれぞれ ,, とするとき、,, の座標を , で表しなさい。
(角 ) の動径をさらに (半周)回すと、動径は原点をはさんで正反対の向きになります。単位円上の正反対の点は原点について対称なので
(角 ) 反時計回りに 回す代わりに時計回りに 回すと、動径は 軸について対称な位置に来ます。 軸で折り返すと 座標だけ符号が変わるので
(角 ) の動径は、 の動径を 軸で折り返したものです(第2章の と同じ)。 座標だけ符号が変わるので
第6章では の座標を と呼びます。すると今の結果はそのまま ,, などの公式になります。公式を暗記する前に、「原点対称・ 軸対称・ 軸対称」の 3 つの図を頭に置いてください。
円のどこにも「360」という数は書いてありません。それなのに 1 周を とするのは、古代メソポタミアのバビロニア人が使っていた 60 進法(60 でひとまとまりにする数え方)の名残だと言われています。1 時間が 60 分、1 分が 60 秒なのも同じ出どころです。
なぜ 60 なのか、なぜその 6 倍の 360 なのかについては、はっきりした記録がありません。よく挙げられる説は 2 つ——「1 年がおよそ 360 日で、太陽が毎日 ずつ星座の中を進むように見えた」という天文の説と、「360 は約数がとても多く( で割り切れる)、円を等分するのに便利だった」という実用の説です(※諸説あり)。
豆知識
角の単位は 360 度だけではありません。フランス革命のころ、長さをメートルに統一したのと同じ流れで「直角を 100 等分」するグラード(1 周 グラード)が作られ、今でも一部の測量機器に目盛りが残っています。度もグラードも「1 周を何等分するか」という人間の約束です。それに対してラジアンは、半径と弧という円自身の長さから決まる、約束の要らない単位——この章が度からラジアンへ乗り換えたのは、そのためです。
弧の長さで角を測るという発想は、円周率を扱った数学者たちの間で古くからありましたが、それを角の単位としてはっきり使ったのは、18 世紀イギリスのロジャー・コーツだとされています。コーツはニュートンの弟子で、『プリンキピア』第 2 版の校訂を任された若い天才でした。彼が 1714 年に残した計算の中に「弧の長さで角を測ると、三角関数の計算がもっとも簡単になる」という趣旨の考察があります(※コーツは 33 歳で亡くなり、ニュートンが「彼が生きていれば我々はもっと多くを知ったろう」と惜しんだと伝えられます)。
「radian」という言葉自体はずっと後で、1873 年にベルファストのジェームズ・トムソン(絶対温度のケルビン卿の兄)が試験問題に使ったのが最初とされています(※諸説あり)。定義から名前がつくまで 150 年以上かかった単位です。
豆知識
「微分が楽になる」とはどういうことか、少しだけ先取りします。 が小さいとき、ラジアンで測れば と はほとんど同じ値です(例:)。この「」があるおかげで、 を微分すると係数なしでぴったり になります。度で測ると の微分に という係数がいつまでも付きまとう——ラジアンは、この係数を消すために選ばれた単位だと言えます。厳密定義ページの補足で入口を見ておきます。
紀元前 3 世紀、アレクサンドリアの図書館長エラトステネスは、地球の一周の長さを計算しました。使ったのは、この章の公式 を逆向きに読んだだけの方法です。
南のシエネ(現在のアスワン)では、夏至の正午に太陽が真上に来て、深い井戸の底まで日が差すと知られていました。同じ日の正午、北のアレクサンドリアでは太陽が真上から ずれていました。太陽の光は平行に届くので、この は「2 地点を地球の中心から見た角」と同じです。 は 1 周 の ——つまり、2 地点間の距離を 50 倍すれば地球 1 周になります。2 地点間はおよそ 5000 スタディオン(当時の距離の単位)と見積もられていたので、地球 1 周は 25 万スタディオン。1 スタディオンの長さには幅があるものの、現在の値(約 )にかなり近い数字だったとされています(※距離の値や誤差の評価は諸説あり)。
豆知識
ラジアンで書けば、エラトステネスがやったのは の計算です。、 スタディオンから を出し、 で 1 周が求まります。第1章の伊能忠敬が「距離と方角の積み重ね」で日本の形を描いたのに対し、エラトステネスは「角 1 つと距離 1 本」で地球の大きさを出しました。この章の j16(緯度差 で約 )は、同じ計算を現代の半径でやり直したものです。
※ここは発展ページです。高校の範囲では「一般角を と書けること」「度とラジアンを換算できること」「, を使えること」で十分ですが、「なぜ弧の長さ ÷ 半径が角の単位になるのか」「扇形の面積の式はどこから来るのか」「 とはどういう意味か」が気になる人のために、根拠を紹介します。
平面上の点 から出る半直線 を始線とする。 を中心として始線を回転させて得られる半直線 を動径といい、回転の量(反時計回りを正、時計回りを負とする実数)を動径 の表す一般角という。動径の位置が同じでも、回転の量が違えば異なる一般角として区別する。
同じ動径を表す一般角どうしは、回転の量が 1 周()の整数倍だけ違います。逆に、1 周の整数倍だけ違う 2 つの角は同じ動径を与えます。これが公式1・公式4の「」「」の根拠です。「動径が同じ」という関係で一般角を仲間分けすると、各仲間から代表を 1 つ( の範囲で)選べる、という見方をしています。
半径 の円において、長さ の弧に対する中心角の大きさを と定め、その単位をラジアンという。
中心角が等しい 2 つの扇形(半径 ,、弧の長さ ,)について である。すなわち定義2の値は、どの半径の円で測っても同じである。
証明 中心角 (度で とする)の扇形の弧の長さは、円周 の 倍であるから 。よって
右辺は を含まないので、 は半径によらず中心角だけで決まる。(証明終)
証明の中に出てきた は、そのまま「 をラジアンに直す式」です。つまり定理1は、換算公式(公式3)の証明も兼ねています。幾何の言葉で言えば「中心角の等しい扇形は互いに相似で、相似な図形では対応する長さの比が等しい」ということです。
半径 、中心角 (ラジアン)の扇形について
証明 は定義2を について解いたものである。
面積について。扇形の面積は中心角に比例する(中心角を 2 倍にすれば合同な扇形を 2 つ並べたものになる)。円全体は中心角 の扇形とみなせて面積は であるから
(証明終)
「面積が中心角に比例する」ことは、中心角が整数比のときは扇形を並べて確かめられ、一般の実数では極限で正当化します。厳密には積分の考え方が要りますが、高校ではこの比例を認めて進みます。 と書き直すと、扇形を「弧を底辺・半径を高さとする三角形」とみなした式にもなっています。
のとき
証明 単位円(半径 )の上で、始線上の点 と、角 の動径上の点 をとる。さらに、点 における円の接線と動径 の延長との交点を とする。3 つの図形
は、この順に前のものが後のものに含まれる。したがって面積の大小から
各辺を 2 倍して 。(証明終)
この不等式の各辺を で割ると となり、 を に近づけると右辺は に近づきます。つまり は に近づく——これが「小さい角では 」の正確な意味で、数学III で として学びます。証明の真ん中に「扇形の面積 」が入っていることに注目してください。角をラジアンで測ったからこそ、扇形の面積が そのもので書けて、 と を直接比べられたのです。度で測っていたら真ん中が になり、 は に近づきます。 の微分に が付きまとうというのは、このことです。
**補足:ラジアンは「数」である。**定義2の は長さを長さで割ったものなので、単位のない実数です。だから のように書け、 や と の足し引き( など)も自然に意味を持ちます。「 の 2 乗」には意味を与えにくいのに対し、「 の 2 乗」はただの数の 2 乗です。第6章で を「実数 の関数」として扱うとき、この性質が効いてきます。
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