問1
を分数で表した数を求めなさい。
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( より )
目次 / 数と式 / 数学I
—— 分数で書ける数・書けない数と、√ の扱い方 ——
この章では、数の世界を「実数」まで広げます。分数で表せる有理数と表せない無理数の違い、原点からの距離を表す絶対値、そして $\sqrt{\ }$ を含む式の計算(有理化・二重根号)を順に学びます。後半では、無理数の整数部分・小数部分や、$x + y$ と $xy$ を使って式の値を手早く求める工夫も扱います。
中学校では、 や円周率 のように、分数では書けない数に出会いました。この章では、そうした数も含めた実数の全体を整理し、 を含む式を自在に計算できるようにします。
たとえば は割り切れて終わり、 は が永遠にくり返します。一方 は、どこまで計算しても決まったくり返しが現れません。
循環小数は、音楽プレーヤーの1曲リピートに似ています。同じフレーズが終わりなく流れ続けますが、どのフレーズがくり返されるかさえ分かれば、曲全体を知っていることになります。だから循環小数は、分数という「短い楽譜」に書き直せるのです。書き直しの手順は、くり返しの長さだけ 倍・ 倍して引き算し、終わりのない尻尾を消してしまうことです。
実数は「分数で書ける有理数(有限小数か循環小数)」と「分数で書けない無理数(循環しない無限小数)」に分かれ、循環小数は引き算でくり返しを消せば分数に直せるということです。
(1) を分数で表した数を求めなさい。
(2) を分数で表した数を求めなさい。
(3) 次の数のうち、無理数であるものをすべて求めなさい。
【解答】
(1) とおきます。くり返しは2けたなので 倍します。
辺々引くと となり、 です。
(2) とおきます。くり返しが始まる位置をそろえるため、 と を比べます。
より です。
(3) は整数、 は循環小数なので、どちらも有理数です。無理数は です。
実数は、数直線上の点と1つずつ対応しています。数直線の上で「 からどれだけ離れているか」を表すのが絶対値です。
数直線上で、実数 を表す点と原点との距離を の絶対値といい、 で表す。
「 のとき 」という書き方に戸惑う人は多いのですが、 なら です。負の数にマイナスをつけて正にする、と読めば納得できます。
絶対値は、駅からの距離のようなものです。駅から東へ km の家も、西へ km の家も、「駅から km」であることに変わりはありません。向き(符号)は忘れて、離れ具合だけを見る。それが絶対値です。
絶対値の記号をはずすときは、中身の符号を先に調べます。中身が 以上ならそのまま、負ならマイナスをつけてはずします。
絶対値は原点からの距離で、記号をはずすときは中身の符号を調べ、負ならマイナスをつけるということです。
(1) の値を求めなさい。
(2) を、絶対値記号を使わずに表した式を求めなさい。
(3) のとき、 を絶対値記号を使わずに表した式を求めなさい。
(4) 数直線上の2点 , の距離を求めなさい。
【解答】
(1) , なので、 です。
(2) なので です。マイナスをつけてはずします。
(3) なので です。
(4) です。
とする。2乗すると になる数を の平方根という。 のとき平方根は正と負の2つあり、正のほうを 、負のほうを で表す。 である。
,, のとき
また、どんな実数 に対しても が成り立つ。
最後の は、見落としやすい大事な性質です。 は「正のほう」の平方根を表す記号なので、 であって ではありません。 の符号が分からないときに としてしまうと、答えが負になってしまうことがあります。
(3) を使って の中をできるだけ小さくするには、中身を素因数分解して、2つそろった因数を探します。遊園地の2人乗りの乗り物を想像してください。 という乗り場から外に出られるのは、ペアを組んだ因数だけで、ペアは1人ぶんとして外に出ます。 なら、ペアになった が外に出て 。相手のいない は乗り場に残ります。
と のように の中身が違うものは、同類項ではないので、足し算でまとめられません。 です。
どうしはかけたり割ったりでき、中身の中の「2つそろった因数」は外に出せるが、 は ではなく になるということです。
次の式を計算した結果を求めなさい。
【解答】
(1) それぞれの中身から つそろった因数を外に出すと、 の同類項になります。
(2) 第1章の乗法公式 を使います。
(3) です。
のように分母に がある式は、分母・分子に同じ数をかけて、分母を有理数にするのがふつうです。これを分母の有理化といいます。
,, のとき
分母が2項のときは、 を利用して、符号を入れかえた式を分母・分子にかける。
なぜわざわざ形を変えるのでしょう。 の値を手で求めると、 という面倒な割り算になります。有理化した なら で済みます。
割り勘を思い浮かべてください。「 人で割る」と言われても困りますが、「 人で割る」なら暗算でもできますね。有理化は、割る側の人数をきりのよい数にそろえる作業です。分母・分子に同じものをかけているので、値そのものは変わりません。
分母の は、1項ならその を、2項なら符号を入れかえた式を分母・分子にかけて消すということです。
次の式の分母を有理化した式を求めなさい。
【解答】
(1)
(2) 分母・分子に をかけます。
(3) 分母・分子に をかけます。分子は 、分母は です。
の中にさらに がある式を二重根号といいます。いつもはずせるわけではありませんが、中身が特別な形なら、1重の に直せます。
, のとき
のとき
「足して 、かけて 」になる2数 , を探す。内側の の前が でないときは、 が現れるように変形する。
左辺の中身は です。つまり、平方の形を見抜いて を1枚はがしているのです。引き算の形では、 が正になるよう、大きいほうを前に書きます( の値は負にならないからです)。
二重根号は、ロシアの人形マトリョーシカに似ています。大きな人形の中に小さな人形が入っていて、外側を開けると中身が出てきます。「足して・かけて」の2数が見つかることが、外側の人形の留め金を外す合図です。第2章の「かけて定数項、足して の係数」とそっくりの探し方なのも、覚えやすい点です。
二重根号は、内側の の前を にそろえ、「足して外の数、かけて中の数」になる2数を見つければ、1重にはずせるということです。
次の式の二重根号をはずした式を求めなさい。
【解答】
(1) 足して 、かけて の2数は と です。
(2) と直します。足して 、かけて の2数は と です。
(3) 内側の の前に がないので、中身の分母・分子に をかけます。
足して 、かけて の2数 , を使い、最後に分母を有理化しました。
実数 に対して、 を満たす整数 を の整数部分という。 を の小数部分という。
たとえば は、 から なので、整数部分は です。小数部分は と小数で書くのではなく、 と式で表します。無理数の小数部分は、小数で書ききれないからです。
これは満年齢の数え方と同じです。15歳と8か月の人は「15歳」と名乗り、残りの8か月ぶんは次の誕生日までの途中経過になります。整数部分は「何歳か」、小数部分は「その歳になってからどれだけ過ぎたか」にあたり、途中経過はいつも1年未満です。
整数部分は「 を超えない最大の整数」で、小数部分は「 からその整数を引いた式」で表すということです。
(1) の整数部分を 、小数部分を とするとき、, と の値を求めなさい。
(2) の整数部分と小数部分を求めなさい。
【解答】
(1) より , です。 と因数分解してから代入すると、計算が楽になります。
(2) まず有理化します。
より 、2で割って です。整数部分は 、小数部分は です。
と を入れかえても変わらない式を対称式といいます。 や がその例です。
対称式は、 と を用いて表せる。
をそのまま に代入すると、展開がかなり大変です。けれども、 と がペアで与えられているなら、先に と を求めておくと、ずっと簡単な数で計算できます。 を含む2数では、 や で が消えることが多いのです。
対称式は、2種類のブロックだけで組み立てる模型のようなものです。どんなに複雑な形の対称式でも、 と という2種類の部品を組み合わせれば作れることが知られています。部品さえ手元にあれば、あとは組み立てるだけです。
, の対称式の値は、先に と を求め、それらの式に書き直してから代入すればよいということです。
, のとき、,,, の値を求めなさい。
【解答】
有理化すると , です。
公式7を使います。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
を分数で表した数を求めなさい。
( より )
問2
の値を求めなさい。
()
問3
を ( はできるだけ小さい自然数)の形で表した式を求めなさい。
()
問4
を計算した結果を求めなさい。
()
問5
の分母を有理化した式を求めなさい。
(分母・分子に をかける)
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
を分数で表した数を求めなさい。
とおくと、くり返しは2けたなので です。辺々引いて
最後に約分を忘れないようにしましょう。
問2 ★
,,,,, のうち、無理数であるものをすべて求めなさい。
,
,,, はすべて有理数です。
は無理数なので、それを で割った も無理数、 に を足した も無理数です(有理数だとすると、 や が有理数になってしまいます)。よって です。
がついていても、 や のように中身が平方数なら有理数になる点に注意しましょう。
問3 ★
の値を求めなさい。
なので、, です。
数直線で見ると、 から までの距離と から までの距離の和で、 と の間の長さ に等しくなります。
問4 ★
を計算した結果を求めなさい。
それぞれの中身から、2つそろった因数を外に出します。
問5 ★
を展開した式を求めなさい。
を使います。 です。
問6 ★
の分母を有理化した式を求めなさい。
先に と簡単にしてから有理化すると、数が小さくて済みます。
問7 ★
の分母を有理化した式を求めなさい。
分母・分子に をかけます。分母は です。
問8 ★
を簡単にした式を求めなさい。
です。 なので となり、マイナスをつけてはずします。
と答えると負の数になってしまい、 の値として誤りです。
問9 ★★
を分数で表した数を求めなさい。
とおきます。くり返し()が始まる位置をそろえるため、 と を比べます。
辺々引くと で、 です。
問10 ★★
のとき、 を簡単にした式を求めなさい。
より、, です。
数直線で見ると、 から までの距離と から までの距離の和なので、 が と の間にあれば、いつも になります。
問11 ★★
のとき、 を簡単にした式を求めなさい。
中身を因数分解すると , なので、 より
のとき , なので、どちらもマイナスをつけてはずします。
問12 ★★
を計算した結果を求めなさい。
通分すると、分母は です。
問13 ★★
の二重根号をはずした式を求めなさい。
と直して、内側の の前を にします。足して 、かけて の2数は と です。
引き算なので、大きいほうの を前に書きます。
問14 ★★
の二重根号をはずした式を求めなさい。
内側の の前に がないので、中身の分母・分子に をかけます。足して 、かけて の2数は と です。
問15 ★★
の整数部分 と小数部分 を求めなさい。
,
まず有理化します。
より 、2で割って です。よって で、
問16 ★★
, のとき、 と の値を求めなさい。
,
先に と を求めます。
問17 ★★★
の整数部分を 、小数部分を とするとき、, と の値を求めなさい。
,,
有理化すると です。 より なので
なので、, です。対称式の公式 を , として使います。
問18 ★★★
, のとき、 と の値を求めなさい。
,
有理化すると , です。
は、 と を1つのかたまりとみて同じ公式を使います。 です。
問19 ★★★
, は有理数で、 を満たします。 が無理数であることを用いて、, の値を求めなさい。
,
左辺を について整理します。
移項して です。もし なら
となり、右辺は有理数どうしの割り算なので有理数です。これは が無理数であることに反するので、 で、そのとき も成り立ちます。
「有理数 , について なら 」という性質は、厳密定義ページの定理2で扱います。
問20 ★★★
の小数部分を とするとき、 の値を求めなさい。
と直します。足して 、かけて の2数は と です。
より なので、整数部分は 、小数部分は です。
の形は、アルファベットの小文字 r を崩したものだと言われています。r はラテン語で「根」を意味する radix(ラディックス) の頭文字です。16世紀のドイツで、クリストフ・ルドルフが 1525 年の代数の本『コス』の中でこの種の記号を使い、広まったとされます(※記号の起源には諸説あり)。
ただし、そのころの記号には上の横棒がありませんでした。 にどこまでが中身かを示す横棒をつなげた形は、1637 年のデカルト『幾何学』に見られます。今の は、長い時間をかけて整ってきた書き方なのです。
豆知識
radix の仲間の言葉は、英語にも残っています。 の記号を英語で radical(ラディカル) と呼ぶほか、根を食べる野菜の radish(ラディッシュ) も同じ語源です。日本語の「平方根」の「根」も、この「根っこ」の意味を訳したものです。
古代ギリシャのピタゴラス学派は、「万物は数である」と考えていました。ここでいう数は整数のことで、どんな2つの長さも、整数の比で表せると信じていたのです。
ところが、1辺が の正方形の対角線(長さ )は、辺の長さとどうしても整数の比になりません。この発見をしたのは学派の一員ヒッパソスだと伝えられています。学派の教えをゆるがす事実を外にもらしたため、海で命を落とした、という話まで残っていますが、これは後の時代に書かれた伝説で、どこまで本当かは分かっていません(※諸説あり)。
いずれにしても、「分数で書けない数がある」ことは、当時の人々にとって世界観を変えるほどの衝撃でした。その証明は、この章の厳密定義ページで紹介しています。
豆知識
「無理数」は、理屈に合わない数という意味ではありません。英語の irrational は ir(〜でない)+ ratio(比)で、「比で表せない」数という意味です。ratio には「理性」という意味もあるため「無理」と訳されました。有理数(rational)は、比で表せる数というわけです。
は より少しだけ小さい、と感じる人は多いでしょう。けれども、この2つはまったく同じ数です。
例題1と同じ手順で分数に直してみます。 とおくと、 です。引き算すると となり、 が出てきます。
別の見方もできます。 の両辺を 倍すると、左辺は 、右辺は です。もし と が違う数なら、その間にほかの数が入るはずですが、 との差は より小さく、 より小さく……と、どんな正の数よりも小さくなってしまいます。そんな差は しかありません。
豆知識
同じことから、有限小数には2通りの書き方があることが分かります。、 という具合です。無理数や循環小数には、このような「2つの顔」はありません。
※ここは発展ページです。高校の範囲では「 は無理数」と覚えておけば十分ですが、「なぜ分数で書けないと言い切れるの?」が気になる人のために、証明を紹介します。証明には、第6章で詳しく学ぶ背理法(「そうでないと仮定すると矛盾が起きる」ことを示す方法)を使います。
整数 と でない整数 を用いて と表せる実数を有理数という。有理数でない実数を無理数という。
有理数は、分母と分子を公約数で割って、それ以上約分できない形(分母と分子の最大公約数が )にできます。これが次の証明の出発点です。
は無理数である。
準備 整数 について、 が偶数ならば は偶数である。実際、 が奇数 なら は奇数になるからである。
証明 が有理数であると仮定すると、それ以上約分できない形の分数で
と表せる。両辺を2乗して分母を払うと である。右辺は偶数なので は偶数であり、準備より は偶数である。 とおくと 、つまり となるから、同様に も偶数である。
すると , はともに で割り切れ、「それ以上約分できない」ことに反する。よって は有理数でない。(証明終)
同じ考え方で、「自然数 が平方数()でなければ は無理数」であることが、素因数分解を使って示せます。,, などが無理数なのはこのためです。
第2章の厳密定義で予告した「 は有理数の範囲で既約」も、ここで確かめられます。第2章の定理2より、可約なら有理数係数の1次式 ()を因数にもち、 を代入すると となります。これは2乗して になる有理数があることを意味し、定理1に反します。
を無理数、, を有理数とする。 ならば である。
証明 と仮定すると となる。有理数どうしの割り算は有理数なので、 が有理数となり矛盾する。よって であり、そのとき である。(証明終)
定理2から、有理数 ,,, について「 ならば ,」が分かります( に使えばよい)。実践問題 j19 は、この性質を使って係数を決める問題でした。
有理数を小数で表すと、有限小数または循環小数になる。逆に、有限小数と循環小数は有理数である。
証明(概略) 正の有理数 を、筆算で と割り進めることを考える。 の数字を下ろしきったあとは、各段で「余りに をかけて で割る」ことをくり返す。余りは の 通りしかない。
逆に、有限小数は の形なので有理数である。循環小数は、例題1のように「くり返しの長さだけ 倍して引く」ことで、整数どうしの比の形に直せる。(証明終)
定理3から、「無理数 ⇔ 循環しない無限小数」という本文の説明が正しいことが分かります。 の小数の並びに、どれほど先まで調べても決まったくり返しが見つからないのは、定理1と定理3の組み合わせによるものです。
最後に1つ、深い事実を紹介しておきます。そもそも「2乗して になる正の実数」が存在することは、有理数だけの世界では保証されません。定理1が示すとおり、有理数の中にはそのような数がないからです。数直線に「すき間がない」という実数の性質(実数の連続性)があってはじめて、 は数直線上の1点として存在できます。この性質は、微分積分の分野で詳しく扱います。
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