問1
単項式 の係数と次数を求めなさい。
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係数 、次数 (文字は の3個)
目次 / 数と式 / 数学I
—— 文字の式を「並べ直す」「かけ広げる」 ——
この章では、文字を使った式(整式)の扱い方の基本を学びます。項を種類ごとにまとめて並べ直す「整理」と、かっこをはずして足し算の形にする「展開」の2つです。乗法公式を使いこなせるようになると、次の章の因数分解(展開の逆の作業)がぐっと楽になります。
や のように、数と文字をかけ算だけでつないだ式を単項式といいます。単項式の数の部分を係数、かけ合わせた文字の個数を次数と呼びます。
単項式をいくつか足し合わせた式、たとえば を多項式といい、足し合わされたひとつひとつの単項式(,,)を項といいます。単項式と多項式をまとめて整式と呼びます。
「どの文字に着目するか」で次数も係数も変わる、というのがこの章の最初のポイントです。 という式は、 についてみれば「係数 の2次式」、 についてみれば「係数 の1次式」です。数学では、方程式の未知数だけを文字とみなし、ほかは定数として扱う場面がとても多いので、この見方に早めに慣れておきましょう。
写真の「ピント」に似ています。同じ景色でも、手前の花にピントを合わせれば花が主役になり、背景の山はぼやけた「背景」になります。 にピントを合わせれば が主役、 や は背景の数、ということです。
単項式の次数は文字の個数、係数は数の部分で、特定の文字に着目すると、ほかの文字は係数の側に入るということです。
単項式 について、次の場合の係数と次数を求めなさい。
(1) すべての文字に着目したとき (2) に着目したとき
【解答】
(1) 文字は の6個なので、係数は 、次数は です。
(2) だけを文字とみなすと、 は数の扱いになります。
係数は 、次数は です。
と のように、文字の部分がまったく同じ項を同類項といいます。同類項は、係数どうしを足して1つにまとめられます(分配法則 )。
整式 , の和 や差 は、同類項どうしを計算する。差のときは のすべての項の符号を変えて足す。
同類項をまとめる作業は、貯金箱の小銭を数えるのに似ています。10円玉、100円玉、1円玉がごちゃまぜに入っていたら、まず種類ごとに山を分けて、それぞれの枚数を数えますね。 の山、 の山、数だけの山、と分けて数えるのが「同類項をまとめる」ことです。 と は、10円玉と100円玉が別物なのと同じで、決して1つにまとめられません。
降べきの順は、整列のときの「背の順」です。並び方を決めておくと、答えどうしを比べたり、項の書き忘れに気づいたりしやすくなります。
整式の整理とは、同類項を種類ごとにまとめ、次数の高い順(降べきの順)に並べ直すことだということです。
(1) 整式 を、 について降べきの順に整理した式を求めなさい。
(2) , のとき、 を求めなさい。
【解答】
(1) の項、 の項、 を含まない項に分けます。
についての定数項は です。
(2) にかっこをつけてから、符号を変えてはずします。
のように、後ろの項の符号の変え忘れがいちばん多いミスです。
を3回かけた を と書き、右上の小さな数を指数といいます。指数どうしの計算には、次の3つのルールがあります。
, を正の整数とするとき
単項式どうしのかけ算は、係数どうし・同じ文字どうしをそれぞれかける。
3つとも、「 を全部で何回かけているか」を数えているだけです。 は で、 が 回。 は のかたまりが3つで、 が 回。
レシピにたとえると、「卵2個を使う料理を3回作る」なら卵は 個、「卵2個の料理と卵3個の料理を1回ずつ」なら 個。足すのか、かけるのかは、何回かけているかを数えれば迷いません。 としてしまうのは、よくある勘違いです。
指数法則は「同じ文字を何回かけているか」を数えるルールで、かけ算なら指数を足し、累乗の累乗なら指数をかけるということです。
次の計算の結果を求めなさい。
【解答】
(1)
(2)
(3) まず累乗を計算します。, なので
係数の符号は、 を2回かけるので正になります。
のように、整式の積をかっこのない和の形に書き直すことを展開といいます。基本は分配法則です。
前のかっこの各項を、後ろのかっこのすべての項にかけていきます。よく出てくる形は、結果を公式として覚えておくと速く正確に計算できます。
(1) の は、1辺が の正方形の面積です。この正方形を縦横に切ると、 の正方形、 の長方形2枚、 の正方形の4枚に分かれます。
真ん中の を忘れて としてしまうミスは、この図の長方形2枚を落としたことにあたります。床にタイルを敷き詰めるとき、角の大小2枚の正方形だけでは床が埋まらない、と思い出してください。
(3) は「和と差の積は2乗の差」。真ん中の項 と が打ち消し合うため、とても短い形になります。(5) は (4) を一般にしたもので、 の係数 は「外側どうしの積+内側どうしの積」と覚えると便利です。
展開の基本は分配法則で、よく出る形は乗法公式として結果を覚えておけば、真ん中の項の書き落としも防げるということです。
次の式を展開した式を求めなさい。
【解答】
(1) 公式 (1) で , とします。
(2) 公式 (3) より
(3) 公式 (4) で、足して 、かけて なので
(4) 公式 (5) で、外側どうし 、内側どうし より
2乗の次は3乗です。 を分配法則で展開すると、次の公式が得られます。
(1) の係数は 。(2) は (1) の を に置きかえたもので、符号が と交互になる。
(1) は、1辺 の立方体の積み木を、縦・横・高さそれぞれ と のところで切った姿です。切ると8個のブロックになり、 の立方体が1個、 の板が3個、 の棒が3個、 の小さな立方体が1個。係数 は、この8個の内訳そのものです。
(3) と (4) は、展開すると途中の項がきれいに消えて だけが残る式です。2つめのかっこの中の の符号が、1つめのかっことは逆になっていることに注意してください。次の章の因数分解では、この2つを逆向きに使います。
3乗の展開は係数 の形になり、 は途中が消えて になるということです。
次の式を展開した式を求めなさい。
【解答】
(1) 公式 (2) で , とします。
(2) なので、公式 (3) の形です。
項が多い式も、ひと工夫すると乗法公式に持ち込めます。
置き換えは、引っ越しで小物をまとめて段ボールに詰めるのに似ています。細かい物をひとつずつ運ぶより、箱ごと運んだほうが楽で、落とし物も減ります。箱を開ける( をもとの式に戻す)のは、運び終わってからで十分です。
3項の2乗は、「それぞれの2乗」と「2つずつ選んだ積の2倍」の合計、と読むと覚えやすくなります。,, から2つを選ぶ組は ,, の3組です。
複雑な展開は、共通のかたまりを1文字に置き換えたり、かける組み合わせを選んだりして、乗法公式が使える形に持ち込めばよいということです。
次の式を展開した式を求めなさい。
【解答】
(1) とおくと
(2) 前の2つから先にかけると、和と差の積が2回続きます。
左から順に全部かけても答えは同じですが、組み合わせを選ぶと計算がほとんど要りません。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
単項式 の係数と次数を求めなさい。
係数 、次数 (文字は の3個)
問2
の同類項をまとめた式を求めなさい。
問3
を計算した結果を求めなさい。
問4
を展開した式を求めなさい。
()
問5
を展開した式を求めなさい。
(和と差の積は2乗の差)
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
単項式 について、 に着目したときの係数と次数を求めなさい。
係数 、次数
だけを文字とみなすと、 は数と同じ扱いになります。
よって係数は 、次数は です。
問2 ★
整式 を降べきの順に整理した式を求めなさい。
次数ごとに同類項をまとめます。
問3 ★
, のとき、 と を求めなさい。
,
差は のすべての項の符号を変えて足します。
問4 ★
を計算した結果を求めなさい。
と を使います。
を3回かけるので、符号は負のままです。
問5 ★
を計算した結果を求めなさい。
係数どうし、同じ文字どうしをかけます。
問6 ★
を展開した式を求めなさい。
で , とします。
問7 ★
を展開した式を求めなさい。
で , です。
問8 ★
を展開した式を求めなさい。
を使います。 外側どうし 、内側どうし なので
問9 ★★
整式 を について降べきの順に整理した式と、 についての定数項を求めなさい。
、定数項は
だけを文字とみなし、 の項、 の項、 を含まない項に分けます。
を含まない部分がまるごと定数項なので、定数項は です。
問10 ★★
,, のとき、 を求めなさい。
それぞれを何倍かしてから、同類項ごとに足します。
の係数 、 の係数 、 の係数 より
問11 ★★
ある整式に を加えるところを、誤って引いたので、答えが になった。正しい答えを求めなさい。
ある整式を とすると、 です。よって
正しい答えは
問12 ★★
を展開した式を求めなさい。
前のかっこの各項に をかけます。
問13 ★★
を展開した式を求めなさい。
で とします。
を含む積の項だけが負になります。
問14 ★★
を展開した式を求めなさい。
で , とします。
問15 ★★
を展開した式を求めなさい。
で , とします。
なので、2項めは です。
問16 ★★
を展開した式を求めなさい。
なので、 の形です。
問17 ★★★
を展開した式を求めなさい。
が共通しているので、 とおきます。
問18 ★★★
を展開した式を求めなさい。
定数の和が等しくなる組()を先にかけます。
とおくと
をもとに戻します。 なので
検算として を代入すると、左辺 、右辺 で一致します。
問19 ★★★
と の積を展開した式を求めなさい。
,, をそれぞれ後ろのかっこにかけます。
縦に見ると、 と 、 と のように、,,, 以外の項はすべて打ち消し合います。 は が3つ残るので
この式は、第2章の因数分解で逆向きに使います。
問20 ★★★
を展開したときの、 の係数と の係数を求めなさい。
の係数 , の係数
全部を展開する必要はありません。前のかっこから1項、後ろのかっこから1項を選んで、次数の合計が目的の次数になる組だけを集めます。
の項(,, の組)
の項(,, の組)
よって の係数は , の係数は です。
数学で「分からない数」といえば 。この習慣を広めたのは、17 世紀フランスの哲学者デカルトです。1637 年の著書『幾何学』で、デカルトはアルファベットの最初のほう(,,)を既知の数に、最後のほう(,,)を未知の数に使うというルールを採用しました。この使い分けは今もそのまま生きていて、この章で を「 に着目すると係数 」と読んだのも、デカルトの流儀です。
豆知識
では、,, のなかでなぜ がいちばん使われるようになったのか。「フランス語には を含む単語が少なく、印刷所に の活字が余っていたから」という話がよく語られますが、確かな証拠はありません(※諸説あり)。また、デカルトは ではなく と書くことも多く、指数の書き方が今の形に落ち着くまでには、もう少し時間がかかりました。
古代ギリシャの数学者ユークリッドがまとめた『原論』には、 にあたる内容が書かれています。ただし、そこに文字の式は1つもありません。第2巻の命題4は「線分を任意に2つに分けると、全体の上の正方形は、2つの部分の上の正方形と、2つの部分でできる長方形の2倍との和に等しい」という図形の言葉で語られています。
この章の解説で見た「正方形を4枚に切る図」は、まさにこの命題の図です。当時のギリシャでは、数の2乗は「正方形の面積」、2つの数の積は「長方形の面積」として考えられていました。 を「 の平方」、 を「 の立方」と呼ぶのは、この面積・体積の見方の名残です。
乗法公式は、数の計算にもそのまま使えます。
は、 をはさんだ「和と差の積」です。
のように一の位が の数の2乗には、有名な近道があります。十の位の に「1 大きい数」 をかけた の後ろに、 をつけて 。これは、十の位を とすると
となることから説明できます。 なら で 。種明かしを知ると、手品が「公式の使い道」に変わります。
※ここは発展ページです。高校の範囲では「単項式の和が多項式」という理解で十分ですが、「 の次数はいくつ?」「2つの式をかけると次数は必ず足し算になるの?」が気になる人のために、少し厳密な見方を紹介します。
を 以上の整数、 を実数とする。
の形の式を、 の多項式(整式)という。 を の係数、 を定数項という。
2つの多項式は、すべての次数について係数が等しいとき、等しいと定める。
「係数がすべて等しいとき等しい」という決め方は、多項式を係数の並び として扱う、ということです。 と は項の並べ方が違うだけで、係数の並びは同じなので、同じ多項式です。「降べきの順に整理する」ことは、この並びを見やすく書き出す作業にあたります。
多項式 の係数のうち でないものがあるとき、 となる最大の を の次数といい、 と書く。このとき を最高次の係数という。
すべての係数が である多項式(零多項式 )には、次数を定めない。
のような でない定数は、 とみて次数 です。ところが だけは「最高次の係数」が存在しないので、次数を決められません。本によっては と約束することもありますが、高校では「次数を考えない」で十分です。
, がどちらも零多項式でないとき
証明 , とし、それぞれの最高次の係数を , とする。 を分配法則で展開すると、各項は の1項と の1項の積で、その次数は高々 である。次数がちょうど になるのは の組だけなので、 の係数は である。実数では , ならば だから、 の次数は である。(証明終)
証明の最後で「 でない数どうしの積は でない」を使っています。当たり前に見えますが、この性質が成り立たない数の世界(たとえば「12 で割った余り」だけを考える時計の世界では )では、定理1が崩れます。展開した式の最高次の項を「」と一発で読み取れるのは、実数のこの性質のおかげです。
を実数、, を正の整数とし、 を「 を 個かけたもの」と定める。このとき
証明 第1式: は、 を 個かけたものと 個かけたものの積であり、かけ算の結合法則によりかっこをはずせば を 個かけたもの、すなわち である。
第2式: は を 個かけたもので、第1式をくり返し使うと指数は を 回足した になる。
第3式: は を 個かけたもので、かけ算の交換法則・結合法則により を 個、 を 個に並べかえられる。よって である。(証明終)
ここでは指数を正の整数に限りました。「 を 個かける」という定義は、 や , では意味をなさないからです。それでも , などと決めると、指数法則がそのまま成り立ち続けます。定義を広げても、もとのルールが壊れないように決める——この考え方は、指数関数・対数関数の分野で本格的に登場します。
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