問1
関数 が増加する の範囲を求めなさい。
答えを見る答えを閉じる
より
目次 / 微分積分 / 数学II
—— 導関数の符号から、グラフの上り下りと山・谷の位置を読み取る ——
第3章では、微分係数を「接線の傾き」として使いました。傾きが正なら右上がり、負なら右下がり。この章では、この当たり前に見える事実を関数全体に広げて、導関数 $f'(x)$ の符号から「関数が増えている区間・減っている区間」を調べます。さらに、増減が入れかわる山の頂上(極大)と谷の底(極小)を、増減表という表を使って求められるようにします。
第3章で見たとおり、 は点 における接線の傾きです。接線が右上がり()なら、そのあたりでグラフも右上がり。右下がり()なら、グラフも右下がりです。この見方を、1点ではなく区間全体に広げます。
ある区間で
「増加する」とは、 が大きくなると も大きくなること、「減少する」とは、 が大きくなると が小さくなることです。
自転車で知らない道を走っている場面を想像してください。先の景色が見えなくても、ペダルが重くなれば上り坂、足を止めても進むなら下り坂だとわかります。足元の「傾き」だけで、自分がいま高いほうへ向かっているのか、低いほうへ向かっているのかが判断できるわけです。導関数 は、グラフの各地点での足元の傾きにあたります。
の符号を調べれば、グラフのどこが上り(増加)でどこが下り(減少)かがわかるということです。
関数 が増加する区間と減少する区間を求めなさい。
【解答】
です。 となるのは 。この2点で数直線を区切り、 の符号を調べます。
よって
※ は2次関数なので、「 のグラフは下に凸で、 と の間だけ 軸より下」と考えても符号がわかります。
例題1の関数は、 で増加から減少へ、 で減少から増加へ切りかわりました。この「切りかわる点」に名前を付けます。
を境に が増加から減少に変わるとき、 は で極大になるといい、 を極大値という。 を境に が減少から増加に変わるとき、 は で極小になるといい、 を極小値という。極大値と極小値をまとめて極値という。
導関数の言葉で言いかえると
調べた結果は、次のような増減表にまとめます( は増加、 は減少)。
| 極大 | 極小 |
(例題1の の増減表です。,)
遊園地のジェットコースターを思い浮かべてください。ゆっくり上っていって、上りが下りに変わる瞬間の場所が頂上。一気に下って、下りが上りに変わる場所が谷底です。2つめの山が1つめより低くても、その周りだけ見れば頂上であることに変わりはありません。極大・極小も同じで、「そのすぐ近くの中で」いちばん高い・低い点を指します。コース全体でいちばん高い点(最大値)は、第5章で扱います。
極大・極小は、 の符号が変わる点、つまり増加と減少が入れかわる点で、増減表を書けば見つけられるということです。
関数 の極値を求めなさい。
【解答】
なので、 となるのは です。
| 極大 | 極小 |
※ 手順は「① を因数分解 → ② の を求める → ③ その点の を計算 → ④ 増減表」。極値は「どの で」「極大か極小か」「値はいくつか」の3点セットで答えます。
極値をとる点では、グラフの接線が水平になり です。けれども、逆は成り立ちません。 なのに極値にならない点があるのです。
が で極値をとるならば、 である。
しかし、 であっても、 の前後で の符号が変わらなければ、 で極値はとらない。
上り階段の途中にある「踊り場」を思い浮かべてください。踊り場は平らで、そこだけ見れば傾きは です。でも、踊り場を過ぎるとまた上りが続きます。そこは頂上ではありません。平らな場所が頂上や谷底になるのは、そこを境に上りと下りが入れかわるときだけです。
極値の点では ですが、 の点がいつも極値とは限らず、前後で の符号が変わるかどうかを確かめる必要があるということです。
関数 の極値を求めなさい。
【解答】
なので、 となるのは です。 なので、 の符号は の符号で決まります(ただし では )。
| 極小 |
です。
※ では ですが、前後とも で減少が続くので、極値ではありません。 の因数に のような2乗の因数があると、その点では符号が変わりません。
「 で極大値 をとる」のように、極値の情報から関数の係数を決める問題もよく出ます。
が で極値 をとるとき、
公式3のとおり、 だけでは極値とは限らないので、手順2は省略できません。
健康診断の流れに似ています。一次検査で数値が引っかかった人は、そのまま「病気」と決めつけず、精密検査で本当にそうか確かめますよね。 は一次検査。これで候補をしぼり込み、増減表という精密検査で確定させます。
極値の条件から係数を決めるときは、 で候補を出したあと、増減表で本当に極値になるかを確かめるということです。
関数 が で極大値 をとるように、定数 の値を定めなさい。また、そのときの極小値を求めなさい。
【解答】
です。 で極大値 をとるので
2式を足すと 、よって ,。
確認 このとき ,。
| 極大 | 極小 |
たしかに で極大値 をとります。極小値は 。
3次関数 の導関数は2次関数です。極値をもつかどうかは、この2次関数の符号が変わるかどうか、つまり2次方程式 の解の様子で決まります。
3次関数 について、2次方程式 の判別式を とすると
あいだに「 が異なる2つの実数解をもつ」をはさんで、3つとも同じ条件です。
エレベーターで考えてみます。上がって、下がって、また上がる、という動きをするには、途中で「止まって向きを変える」瞬間が2回必要です。止まる瞬間が1回もなかったり、止まっても同じ向きに動き出したりするなら、ずっと上がり続けるだけ。3次関数のグラフに山と谷ができるのは、 が になって符号を変える点が2つあるときです。
3次関数が極値をもつかどうかは、 という2次方程式の判別式 が正かどうかで判定できるということです。
関数 が極値をもつような、定数 の値の範囲を求めなさい。
【解答】
です。 が極値をもつのは、 が異なる2つの実数解をもつときなので、判別式を として
※ のときは で、。符号が変わらないので極値はもちません。等号を含めないように注意しましょう。
まずは公式をそのまま使う、ごく簡単な問題で確認しましょう。
問1
関数 が増加する の範囲を求めなさい。
より
問2
関数 について、 となる の値を求めなさい。
より
問3
関数 の導関数が であるとき、 が減少する の範囲を求めなさい。
となる範囲なので
問4
関数 の極大値と極小値を求めなさい。
より
問5
関数 の極値を求めなさい。
の符号は で正から負に変わるので
難易度マークは ★=基礎、★★=標準、★★★=入試レベルです。★から順に取り組みましょう。
問1 ★
関数 が増加する区間と減少する区間を求めなさい。
で増加, で減少
。 となるのは で、 は で負、それ以外で正です。
問2 ★
関数 が増加する区間と減少する区間を求めなさい。
で増加, で減少
。 は上に凸の放物線なので、 で正、それ以外で負です。
の係数が負なので、符号の並びは「」になります。
問3 ★
関数 の極値を求めなさい。
で極大値 , で極小値
。,。
| 極大 | 極小 |
問4 ★
関数 の極値を求めなさい。
で極大値 , で極小値
。
| 極大 | 極小 |
問5 ★
関数 の極値を求めなさい。
で極小値 , で極大値
。 は で正、それ以外で負です。
| 極小 | 極大 |
の係数が負のときは、左にあるほうが極小になります。「小さい が極大」と決めつけないようにしましょう。
問6 ★
関数 は、すべての で増加することを示しなさい。
で、等号は のときだけなので増加する(極値はない)
等号が成り立つのは のときだけで、その前後で です。
よって は でも でも増加し、全体として すべての で増加する(極値はない)。
は階段の踊り場のような点で、 でも極値ではありません。
問7 ★
関数 の極値を求めなさい。
で極大値 , で極小値
。 となるのは 。
| 極小 | 極大 | 極小 |
(符号は、たとえば で と右端を決め、因数が1回ずつなので の点ごとに入れかわる、と考えると速いです。)
問8 ★
関数 が で極値をとるように、定数 の値を定めなさい。また、 における極値を求めなさい。
, で極小値
。 で極値をとるので ,。
確認 で、 の前後で符号が負から正に変わるので、たしかに で極小になります。
| 極大 | 極小 |
問9 ★★
関数 の極値を求めなさい。
で極小値 (極大値はない)
。 なので、 では の符号は の符号と同じです。
| 極小 |
。
極大値はありません。 は ですが、前後とも減少なので極値ではありません。
問10 ★★
関数 の極値を求めなさい。
で極大値 , で極小値
。
| 極小 | 極大 | 極小 |
( と因数分解できるので、 で が谷底になるのは式からも見えます。)
問11 ★★
関数 が で極大値 をとり、 で極小値をとるように、定数 の値を定めなさい。また、極小値を求めなさい。
,極小値
。 で極値をとるので ,:
2式を引くと ,,。さらに より 。
確認 で、符号は「」。 で極大、 で極小になり、条件どおりです。
(別解: の解が なので、はじめから と書いて係数を比べても求まります。)
問12 ★★
関数 がすべての で増加するような、定数 の値の範囲を求めなさい。
。 の係数が正なので、 が常に増加するのは が異なる2つの実数解をもたない、つまり判別式 のときです。
のときは で、 となる点が1つあるだけなので、増加し続けます(問6 と同じ形)。そのため、等号を含めます。
問13 ★★
関数 が極値をもつような、定数 の値の範囲を求めなさい。
。極値をもつのは が異なる2つの実数解をもつときなので
のときは となり、極値をもちません。
問14 ★★
関数 の極大値と極小値の差を求めなさい。
。符号は「」なので、 で極大、 で極小です。
問15 ★★
関数 が減少する の範囲が であるとき、定数 の値を求めなさい。
は の係数が正の2次式です。 が減少する範囲がちょうど になるのは、 となる範囲が のとき、つまり の解が のときです。よって
係数を比べて ,。
(このとき は で正、 で負なので、条件どおりです。)
問16 ★★
関数 が で極値をとるような定数 の値は存在しないことを示しなさい。
から に限られるが、そのとき で符号が変わらず、極値をとらない
。 で極値をとるなら、公式3より が必要です。
ところが のとき
で、 の前後で のまま符号が変わりません。 は増加し続けるので、 で極値をとりません。
したがって、 で極値をとるような は 存在しない。
だけで「」と答えてしまうのが典型的な誤りです。公式4の「確かめる」手順が大切な理由がここにあります。
問17 ★★★
とする。関数 の極大値と極小値の差が であるとき、 の値を求めなさい。
。 より で、符号は「」です。
| 極大 | 極小 |
差は より 。 は実数なので
( の条件がないと、 と のどちらが左にあるかが決まらず、極大・極小の入れかわりを場合分けする必要があります。)
問18 ★★★
の3次関数 が極値をもつような、定数 の値の範囲を求めなさい。
「3次関数」なので、まず です。 は2次式で、極値をもつのは が異なる2つの実数解をもつときです。
とあわせて
のときも、2つの解の前後で の符号が「」と変わるので、極小値と極大値を1つずつもちます。 を除き忘れるのが典型的な落とし穴です( だと は2次関数になり、そもそも3次関数ではありません)。
問19 ★★★
関数 が極大値をもつような、定数 の値の範囲を求めなさい。
の係数が正なので、 が十分小さいと 、十分大きいと です。符号が変わる点が1つだけなら「」で極小しかできません。極大ができるのは、符号が「」と3回変わるとき、つまり が異なる3つの実数解をもつときです。
はいつも解なので、条件は「 が 以外の異なる2つの実数解をもつ」ことです。
( のときは で、 の前後で符号が変わらず、極大値をもちません。 のときは で、やはり極小値しかもちません。)
問20 ★★★
関数 が極値をもつとき、定数 の値の範囲と、極大値と極小値の和を の式で求めなさい。
,極大値と極小値の和は
。極値をもつ条件は ,つまり 。
このとき の2つの解を とすると、 で極値をとり、解と係数の関係より
, なので
(別解:小話「3次関数のグラフは、どれも点対称」より、グラフは の点について点対称で、極大の点と極小の点はこの点について向かい合っています。よって和は と一瞬で求まります。)
微分を発明したのはニュートンとライプニッツ、というのが定番の説明です(第1章の小話)。ところが、その少し前の1630年代に、フランスの法律家ピエール・ド・フェルマーが、極大・極小を求める独自の方法を考えていました(※年代には諸説あり)。
フェルマーのアイデアはこうです。極大になる点の近くでは、 を少しずらして にしても、関数の値はほとんど変わらない。そこで と を「ほぼ等しい」とおいて式を整理し、 で割ってから を消す。たとえば なら、 を で割って を消すと 。これを として が求まります。いま見ると、これはまさに「 を解く」ことそのものです。
豆知識
フェルマーは本業の合間に数学を楽しんだ人で、本の余白に「この定理のすばらしい証明を見つけたが、余白が狭すぎて書けない」と書き残したことでも有名です。その「フェルマーの最終定理」は、350年以上たった1990年代に、アンドリュー・ワイルズによってようやく証明されました。
ニュースで「景気の山」「景気の谷」という言葉を耳にすることがあります。日本では内閣府が、生産や雇用などの統計をもとに、景気が拡大から後退に転じた時点を「山」、後退から拡大に転じた時点を「谷」として決めています。これは「景気基準日付」と呼ばれます。
山は増加から減少への切りかわり、谷は減少から増加への切りかわり。極大・極小とまったく同じ考え方です。しかも、山や谷が正式に決まるのは、その時点からしばらくたってからです。ある月が山だったと言えるのは、その後に下り坂が続いたことを確かめてから。「前後で増減が入れかわったかを見ないと極値かどうかは決まらない」という増減表の考え方が、ここでも生きています。
豆知識
天気図で使う「気圧の谷」も、周りより気圧が低くなっている帯状の部分のことです。数学の「極小」と同じく、全体でいちばん低いかどうかではなく、「周りと比べて低い」ことに注目した言葉です。
例題2の では、極大の点が ,極小の点が でした。この2点の真ん中は 。実は なので、この点はグラフの上に乗っています。
これは偶然ではありません。3次関数 のグラフは、 の点を中心とする点対称な形をしています。グラフをその点のまわりに 回転させると、ぴったり元のグラフに重なるのです。だから極大の点と極小の点は、いつもこの中心について向かい合っています。
豆知識
この中心の点では、グラフの曲がり方が「上に凸」から「下に凸」へ切りかわります。こうした点を変曲点といい、数学III(第12章)で詳しく学びます。実践問題 問20 では、この性質を使うと計算が一気に楽になります。
※ここは発展ページです。高校の範囲では、増減表を書いて極値を求められれば十分です。「公式1はなぜ正しいのか」「区間の端を含めてよいのはなぜか」が気になる人のために、きちんとした定義と証明を紹介します。
関数 が区間 で増加するとは、 に属する任意の について
が成り立つことである。不等号の向きを にしたものを、区間 で減少するという。
関数 が で極大であるとは、ある正の数 があって
が成り立つことである。不等号の向きを にしたものを で極小という。
定義2の「ある正の数 があって」が、解説の「そのすぐ近くの中で」にあたります。 のまわりのごく狭い範囲だけを見ればよいので、遠くにもっと大きな値があってもかまいません。極大値が最大値と一致するとは限らないのはこのためです。
関数 が閉区間 で連続、開区間 で微分可能ならば
をみたす が存在する。
左辺は2点 , を結ぶ直線の傾き(平均変化率)です。定理1は「その直線と平行な接線が、2点の間のどこかに必ず引ける」と言っています。証明には「閉区間で連続な関数は最大値をもつ」という実数の深い性質が必要なので、ここでは省略します(高校の教科書でも、図による説明にとどめるのが普通です)。第2章の厳密定義で予告した「 なら定数」も、この定理から導けます。
関数 が閉区間 で連続、 の内部で微分可能で、内部の任意の で ならば、 は で増加する。
証明 に属する を任意にとる。平均値の定理より
をみたす がある。 は の内部にあるので 、また 。よって 、すなわち である。(証明終)
仮定に「内部で 」としか書いていないことに注目してください。区間の端で になっていても結論は変わりません。例題1で「 で増加」と端の を含めて書いてよいのは、この定理のおかげです。
なお、定理2の逆は成り立ちません。 はすべての実数で増加します( なら )が、 です。「増加 ⟹ 」ではなく、「増加 ⟹ 」までしか言えません。
関数 が で微分可能で、かつ で極値をとるならば、 である。
証明 極大の場合を示す(極小も同様)。定義2の をとると、 のとき である。
で微分可能なので、どちら側から近づけても極限は同じ である。よって 。(証明終)
証明の中で不等号が「」から「」にゆるんでいるのは、極限をとると等号が成り立つことがあるからです(たとえば でも、 の極限は )。
定理3には「 で微分可能」という仮定が付いています。第1章の厳密定義で扱った は、 で極小値 をとりますが、そこでは微分できないので そのものがありません。高校で扱う多項式の関数はどこでも微分可能なので、この点を気にする必要はありませんが、数学IIIでとがった点をもつ関数を扱うときには思い出してください。
この章の学習が終わったら
学習完了テストを受ける